JP2006100063A - Nb3X化合物系超電導線材の製造方法 - Google Patents

Nb3X化合物系超電導線材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ジェリーロール法でNb3X系超電導線材を製造するに際して、効果的に減面加工を行うための焼鈍条件を確立し、長尺で超電導特性の高いNb3X系化合物超電導線材を製造するための有用な方法を提供する。
【解決手段】 Nb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を生成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートによって構成したロール状積層物を、Cu若しくはCu基合金等からなるパイプに挿入して減面加工し、得られた単芯複合材を、複数本束ねてCu若しくはCu基合金等からなるパイプに挿入し、これに減面加工を施すことによって多芯複合材とし、これを熱処理することによってNb3X系超電導性化合物を生成するNb3X化合物系超電導線材の製造方法において、前記単芯複合材の初期断面からの減面率が85%以上となるまで加工した後に、加工硬化したNbは軟化するが、Nbと元素Xの化合物は生成しない温度・時間域で焼鈍を行う工程を含む。
【選択図】 図5

Description

本発明は、Nb3Al系やNb3Sn系(以下、「Nb3X化合物系」と略記することがある)の超電導線材をジェリーロール法によって製造する方法に関するものであり、殊に核融合装置、電力貯蔵装置、物性研究などに使用される超電導マグネットの素材として利用できるNb3X化合物系超電導線材を製造するための有用な方法に関するものである。以下では、Nb3X化合物系として、代表的なものとしてNb3Al系超電導線材を採り上げて説明を進める。
高磁場応用の分野において使用される超電導線材においては、高磁界下における高臨界電流密度に加え、超電導線材に作用する電磁力によって生じる機械的歪応力に耐えるだけの耐歪特性の高い材料の開発が望まれている。こうした中で、例えばNb3Al系金属間化合物は高磁場下での耐歪特性が高いことから、核融合装置、電力貯蔵装置、物性研究等に使用される超電導マグネットへの利用が期待されている。
Nb3Al系金属間化合物の生成法としては、(A)線材を加熱して1600℃以上の高温に保持した後に急冷してNb3Al相を得る急熱急冷法、(B)NbとAlを微細に分散させた状態で1000℃以下の温度で熱処理を施してNbとAlの拡散反応でNb3Al相を得る方法(拡散法)等が知られている。
上記方法のうち急熱急冷法を適用した場合のNb3Al相は、Nb:Al=3:1という化学量論組成の化合物が安定して存在可能であり、極めて高い超電導特性(高磁場下での高臨界電流密度)が期待できる。しかしながら、1600℃以上の高温条件下では、超電導線材の安定性を高めるために配置されるCuやAlなどの安定化金属が溶融してしまうため、安定化金属の複合が困難であるという問題があり、実用化するための大きな障害になっている。
一方、拡散法を適用した場合には、1000℃以下の温度で熱処理されることから、安定化金属の複合化は比較的容易であるが、処理温度が低いため、化学量論組成(Nb:Al=3:1)からずれた化合物が生成し易く、超電導特性が劣ることが多い。但し、この方法では、Nb中へのAlの拡散距離が短い場合には、1000℃以下の処理温度であっても良質なNb3Al相が生成することが知られるようになり、この拡散法を適用するNb3Al系超電導線材の開発が進められている。
NbへのAlの拡散距離を短くするNb3Al系超電導線材の製造方法として、粉末冶金法、チューブ法、クラッドチップ押出し法、ジェリーロール法等、様々な製造方法が提案されているが、このうちジェリーロール法では超電導線材の多芯化、長尺化が比較的容易であることから実用化に最も適した方法であると考えられている。
このジェリーロール法では、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、AlまたはAl合金からなるAl含有シートを、CuまたはCu合金(或はNbまたはNb合金)からなる芯材を中心として重ね巻きして積層物とし、CuまたはCu合金からなるパイプ内に挿入した後、減面加工(押出し加工や伸線加工)して一次超電導線材を作成し、これを同じ断面形状のCu線(或はNb線)と一緒にして複数本束ね、CuまたはCu合金(或はNbまたはNb合金)からなるパイプ内に挿入して縮径加工することによって多芯フィラメントを持つ線材が製造される。こうした方法では、減面加工を施すことによって、積層されたNb製シートとAl製シートの厚さを薄くしていき、Nb中へのAlの拡散距離を短くすることができる。
図1は、ジェリーロール法によってNb3Al系超電導線材を製造するときに用いられる一次複合材5の構成例を模式的に示す断面図である。この一次複合材5では、NbまたはNb合金からなるNb含有シート2と、AlまたはAl合金からなるAl含有シート3を、Cu若しくはCu合金(またはNbまたはNb合金)からなる芯材1を中心として重ね巻きしてロール状積層物4とするものである。そして、これらをCu若しくはCu合金(またはNb若しくはNb合金)のいずれかからなるパイプ7内に挿入して、図2(概略説明図)に示すような単芯複合材10(超電導線材製造用複合材)とする。
次に、単芯複合材10を伸線によって六角断面形状にして、同じ様に六角断面形状にしたCuまたはCu合金(またはNb若しくはNb合金)スペーサ(図示せず)とともに複数本束ね、図3に示すようにCu若しくはCu合金(またはNb若しくはNb合金)のいずれかからなるパイプ8内に挿入し、これに減面加工(押出し加工や伸線加工)を施し、図4に示すような断面形状の多芯複合材12(Nb3Al系多芯超電導線材)を得る。
最終的に、このNb3Al系多芯超電導線材を比較的低い温度(例えば、700〜800℃程度)で熱処理することによって、Nb含有シート2とAl含有シート3の間で反応が進行し、Nb3Al系超電導相が形成されてNb3Al系超電導線材を得ることができる。こうした方法では、減面加工を施すことによって、積層されたNb含有シート2とAl含有シート3の厚さを薄くしていき、Nb中へのAlの拡散距離を短くすることができる。
ところで、ジェリーロール法によってNb3Sn系超電導線材を製造するに際して、NbとAlの複合加工性が乏しいことから、減面加工によって安定して長尺線材を製造することが困難であるという問題がある。また異種金属であるNbとAlの密着性は極めて悪く、しかも両者の機械的な強度差も大きいことから、減面加工が進むにつれて変形量に差が生じ、加工硬化が進行した結果として断線を引き起こすことが長尺線材の製造が困難になる原因と考えられる。
一方、断線の起こらない範囲で減面加工(例えば、99.95%程度まで)を行うことも考えられるが、こうした場合にはNbとAlの拡散距離を十分に短くすることができないので、超電導特性は期待するほどの性能が発揮できないという問題が生じる。こうした問題は、上記したNb3Al系超電導線材に限らず、Nbと反応して超電導相を形成する元素(Sn,Ge,Ga等)を用いる場合においても、同様に生じる共通の課題である。
こうしたことから、線材の加工の途中に所定の温度に加熱する焼鈍処理も行われている。例えば特許文献1には、線材の加工途中に200〜300℃または500〜600℃に加熱して焼鈍処理することによって、Nb3X系超電導製造用複合材の加工性が向上することが開示されている。しかしながら、比較的低い温度である200〜300℃で加熱した場合には、Cuを軟化させることができても、Nbを軟化させるには不十分な温度であるので、断線の問題を解決するには至らない。また、500℃以上の温度で焼鈍を行った場合には、CuおよびNbの両方を軟化させることができるが、Nb/Alの接触界面で硬質の金属間化合物が生成してしまい、加工性が却って低下するという問題が生じることになる。
特開平4−132116号公報 特許請求の範囲等
本発明は、こうした状況の下でなされたものであって、その目的は、ジェリーロール法でNb3X系超電導線材を製造するに際して、効果的に減面加工を行うための焼鈍条件を確立し、長尺で超電導特性の高いNb3X系化合物超電導線材を製造するための有用な方法を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明のNb3X化合物系超電導線材の製造方法とは、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を生成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを重ね合わせて芯材に巻取って構成したロール状積層物を、Cu若しくはCu基合金またはNb若しくはNb基合金のいずれかからなるパイプに挿入して減面加工し、得られた単芯複合材を、複数本束ねてCu若しくはCu基合金またはNb若しくはNb基合金のいずれかからなるパイプに挿入し、これに減面加工を施すことによって多芯複合材とし、これを熱処理することによってNb3X系超電導性化合物を生成するNb3X化合物系超電導線材の製造方法において、前記単芯複合材の初期断面からの減面率が85%以上となるまで加工した後に、加工硬化したNbは軟化するが、Nbと元素Xの化合物は生成しない温度・時間域で焼鈍を行う工程を含む点に要旨を有するものである。
本発明の製造方法においては、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xとしては、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられる。
また、本発明方法における具体的な製造条件としては、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素XがAlであり、焼鈍温度を300℃超〜500℃未満の範囲とすると共に、焼鈍温度をx(℃)、焼鈍保持時間をy(時間)としたとき、これらが下記の(1)式を満足するようにして焼鈍することが挙げられる(式中、eは自然対数の底を示す)。
0.002x2−2x+501≦y≦e-0.0135x×3×104…(1)
本発明方法によれば、最終の減面加工が終了した段階で元素Xを含む合金からなるシートの厚みが100nm以下であるような(即ち、拡散距離が短い)複合線材が得られ、Nb3X系超電導線材における良好な特性を達成することができる。
本発明の製造方法では、Nb3X化合物系超伝導線材をジェリーロール法によって製造するに際して、加工硬化したNbが軟化すると共に、Nbと元素Xの化合物が生成しない温度・時間域で焼鈍を行う工程を含むようにして製造するようにしたので、効果的に減面加工を行うことができると共に、長尺で超電導特性の高いNb3X系化合物超電導線材が得られることになる。
本発明者らは、焼鈍を行うための条件として、(1)NbまたはNb基合金の軟化を目的とするものであること、および(2)焼鈍の際にNbと元素Xの金属間化合物が生成しないことが必要であると考えた。こうした着想に基づいて、最適な焼鈍条件について様々な角度から検討した。その結果、所定の加工率となるまで減面加工した後であれば、300℃超〜500℃未満の温度範囲であっても、その条件さえ適切に制御してやれば、焼鈍の効果が十分に現われることを見出し、本発明を完成した。
即ち、焼鈍処理するまでに複合材の減面率積が85%を超えるような領域まで加工を行っておけば、300℃超〜500℃未満の比較的低い焼鈍温度範囲であっても、Nbには歪エネルギーが十分に蓄積された状態になっているので、Nbは十分に軟化して焼鈍の効果が現れることになる。
本発明においては、単芯複合材の初期断面からの減面率が85%を超えるような領域まで加工を行ってから、300℃超〜500℃未満の温度で焼鈍するものであるが、減面率が85%未満であれば、歪が十分に導入されず、上記温度範囲で加熱してもNbが十分軟化せず、十分な焼鈍の効果が現れない。その結果、複合材の減面加工の際に断線が生じる恐れがある。上記「減面率」とは、下記(2)式で示されるものである。
減面率=[(初期断面積−加工後断面積)/初期断面積]×100(%)…(2)
尚、焼鈍の時期については、単芯複合材の初期断面からの減面率が85%を超えるような領域まで加工を行った後であれば、単芯複合材の段階若しくは多芯複合材の段階のいずれでも良い。また上記の焼鈍温度範囲では、Nb−Al系金属間化合物が急速に生成・成長する温度よりも低いため、Nbを軟化させることと金属間化合物の生成を抑えることを両立させることができる。
図5は、減面率95%となった複合材に対して、各種温度で焼鈍を行ったときの各焼鈍温度(保持時間:10時間)と硬度変化の関係を示したものである。このときの硬度変化は、(焼鈍後硬度/焼鈍前硬度)で表されるものである。
この結果から明らかなように、300℃超〜500℃未満の焼鈍温度であっても、Nbを十分軟化させることができると共に、焼鈍温度は500℃以上となると金属間化合物の生成に起因する著しい硬度上昇が認められることが分かる。
但し、300℃超〜500℃未満の温度で焼鈍する場合であっても、その温度範囲に応じて、時間との関係も考慮する必要がある。即ち、比較的低温である300℃超〜400℃以下の温度範囲では、Nbの軟化を十分に実現するために長時間の等温保持が必要となる。また、比較的高温である400℃超〜500℃未満の温度範囲では、長時間の等温保持を行なえば、少なからず金属間化合物が生成して硬度が上昇し、加工性を悪化させるので、保持時間を適切に調整する必要がある。
本発明者らが、Nb3Al系複合線材に焼鈍したときの焼鈍温度と保持時間が線材特性に与える影響について検討したところ、図6に示す結果が得られた。この図6において、ハッチングで表した領域は、その後何らの支障なく減面加工できた領域であることを示し、領域A、Bはその後の減面加工において断線(軟化不十分または硬度上昇)が生じたことを意味する。尚、ここで「保持時間」とは、線材を所定の温度に昇温してから、その温度で恒温保持したときの時間を示す。
前記図6のハッチングで示した領域について、焼鈍温度をx(℃)、保持時間をy(時間)としたとき、前記(1)式で示されることになる。即ち、300℃超〜500℃未満の温度範囲内で、前記(1)式を満足するように、焼鈍温度および保持時間を制御すれば、効果的に焼鈍を行うことができて、更なる減面加工ができ、元素X層の厚さ(即ち、拡散距離)を100nm以下とすることができ、超電導線材における特性を顕著に向上させることができる。
尚、図5、6は、Nb3Sn系超電導線材についての結果を示したものであるが、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xが、Sn,GeおよびGaのときのNb3X系超電導線材においても、上記と同様の傾向が認められた。
尚本発明で用いるNb含有シート2としては、工業用純Nbの他、Ti,Ta,Zr,Hf等の合金元素を含むNb合金を用いることができる。またNbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xとしては、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられ、これらの単独の元素からなるシート、或いはこれらの2種以上を合金化したシート、更にはMg,Be,Ag,Cu等の合金元素を含有させたもの等は、いずれも元素Xを含むシートとして用いることができる。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
(実施例)
厚み0.1mmのNbシートと厚み0.03mmのAlシートを積層して、芯材としてのCu棒に巻き取り、一次複合材を作製した。
この一次複合材をCuケース中に装填後(前記図2)、静水圧押し出し・伸線加工して減面率が99%となったところで450℃に加熱し15時間保持する焼鈍処理を施した。この焼鈍処理によって、Nb層の硬度は20〜30%程度低下したが、顕微鏡観察によれば、金属間化合物の生成は認められなかった。
この後、六角断面単芯複合材(前記図3参照)へと加工し、この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、減面加工を行い、φ0.8mmまで加工し、多芯複合材(前記図4)を作製した。
作製した多芯複合材中のAl層の厚みを観察したところ、50nmであった。また多芯複合材の最終の線径までの断線回数は1回であった。この「断線回数」は、加工性の良否を意味し、断線回数が少ないほど長尺線材が製造可能であることを示す。
この多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2K、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、690A/mm2であった。
(比較例1)
厚み0.1mmのNbシートと厚み0.03mmのAlシートを積層して、芯材としてのCu棒に巻き取り、一次複合材を作製した。
この一次複合材をCuケース中に装填後(前記図2)、静水圧押し出し・伸線加工して単芯複合材を作製し、六角断面単芯複合材へと加工した。
この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、焼鈍を行わずに減面加工を行って多芯複合材(前記図4)を作製した。
この六角断面多芯複合材は、φ5.0mmとなったところで断線し、その後も断線を繰り返しながらφ2.5mmまで加工可能であった。
作製した多芯複合材中のAl層の厚みを観察したところ、140nmであった。また多芯複合材のφ2.5mmまでの断線回数は20回であった。
この多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2K、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、410A/mm2であった。
(比較例2)
厚み0.1mmのNbシートと厚み0.03mmのAlシートを積層して、芯材としてのCu棒に巻き取り、一次複合材を作製した。
この一次複合材をCuケース中に装填後(前記図2)、静水圧押し出し・伸線加工して減面率が99%となったところで250℃に加熱し15時間保持する焼鈍処理を施した。この焼鈍処理によって、Nb層の硬度は2〜3%程度低下したが、顕微鏡観察によれば、金属間化合物の生成は認められなかった。
この後、六角断面単芯複合材へと加工し、この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、減面加工を行って多芯複合材(前記図4)を作製した。
この六角断面多芯複合材は、φ4.8mmとなったところで断線し、その後も断線を繰り返しながらφ2.3mmまで加工可能であった。
作製した多芯複合材中のAl層の厚みを観察したところ、130nmであった。また多芯複合材のφ2.3mmまでの断線回数は21回であった。
この多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2K、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、430A/mm2であった。
(比較例3)
厚み0.1mmのNbシートと厚み0.03mmのAlシートを積層して、芯材としてのCu棒に巻き取り、一次複合材を作製した。
この一次複合材をCuケース中に装填後(前記図2)、静水圧押し出し・伸線加工して減面率が99%となったところで600℃に加熱し15時間保持する焼鈍処理を施した。この焼鈍処理によって、Nb層の硬度は40%程度低下したが、顕微鏡観察によれば、金属間化合物の生成が認められた。
この後、六角断面単芯複合材へと加工し、この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、減面加工を行って多芯複合材(前記図4)を作製した。
この多芯複合材は、φ20.0mmとなったところで断線し、その後も断線して加工不可能となり、超電導特性の評価には至らなかった。
(比較例4)
厚み0.1mmのNbシートと厚み0.03mmのAlシートを積層して、芯材1としてのCu棒に巻き取り、一次複合材を作製した。
この一次複合材をCuケース中に装填後(前記図2)、静水圧押し出し・伸線加工して減面率が80%となったところで450℃に加熱し15時間保持する焼鈍処理を施した。この焼鈍処理によって、Nb層の硬度は変化しておらず、顕微鏡観察によれば、金属間化合物の生成は認められなかった。
この後、六角断面単芯複合材へと加工し、この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、減面加工を行って多芯複合材(図4)を作製した。
この六角断面多芯複合材は、φ4.50mmとなったところで断線し、その後も断線を繰り返しながらφ2.10mmまで加工可能であった。
作製した多芯複合材中のAl層の厚みを観察したところ、115nmであった。また多芯複合材のφ2.10mmまでの断線回数は15回であった。
この多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2K、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、480A/mm2であった。
ジェリーロール法によってNb3Al系超電導線材を製造するときに用いられる一次複合材の構成例を示す概略断面図である。 単芯複合材の構成を示した概略説明図である。 本発明で多芯複合材を作製する際の模式図である。 多芯複合材の概略断面図である。 各種温度で焼鈍を行ったときの各焼鈍温度と硬度変化の関係を示したグラフである。 本発明で実施する焼鈍処理における焼鈍温度と保持時間の最適範囲を示すグラフである。
符号の説明
1 芯材
2 Nb含有シート
3 Al含有シート
4 ロール状積層物
5 一次複合材
10 単芯複合材
12 多芯複合材

Claims (4)

  1. NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を生成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを重ね合わせて芯材に巻取って構成したロール状積層物を、Cu若しくはCu基合金またはNb若しくはNb基合金のいずれかからなるパイプに挿入して減面加工し、得られた単芯複合材を、複数本束ねてCu若しくはCu基合金またはNb若しくはNb基合金のいずれかからなるパイプに挿入し、これに減面加工を施すことによって多芯複合材とし、これを熱処理することによってNb3X系超電導性化合物を生成するNb3X化合物系超電導線材の製造方法において、前記単芯複合材の初期断面からの減面率が85%以上となるまで加工した後に、加工硬化したNbは軟化するが、Nbと元素Xの化合物は生成しない温度・時間域で焼鈍を行う工程を含むことを特徴とするNb3X化合物系超電導線材の製造方法。
  2. Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xは、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素である請求項1に記載のNb3X系超電導線材の製造方法。
  3. Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素XがAlであり、焼鈍温度を300℃超〜500℃未満の範囲とすると共に、焼鈍温度をx(℃)、焼鈍保持時間をy(時間)としたとき、これらが下記の(1)式を満足するようにして焼鈍する請求項1または2に記載のNb3X系超電導線材の製造方法。
    0.002x2−2x+501≦y≦e-0.0135x×3×104…(1)
  4. 最終の減面加工が終了した段階で元素Xを含む合金からなるシートの厚みが100nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載のNb3X系超電導線材の製造方法。
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