JP5207304B2 - Nb3Al超伝導線材の製造方法 - Google Patents

Nb3Al超伝導線材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、NbAl超伝導線材製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、NbAl細線の構造を工夫し、実用化に向けて特性が改善されたNbAl超伝導線材製造する製造方法に関する。
現在、実用化が見込まれている高磁場特性に優れたNbAl超伝導線材は、急熱急冷・変態法と呼ばれる方法によって製造されている(特許文献1、2)。急熱急冷・変態法の概略は以下の通りである。
(1)数十〜数百μm程度の厚さのNbシートとAlシートとをジェリーロール状に巻いた後、押出加工し、必要に応じて伸線加工して、一次線材を作製する。
(2)一次線材を複数本束ね、NbまたはTa管に組み込んだ後、押出加工、伸線加工を順に施し、二次複合多芯線材を作製する。
(3)二次複合多芯線材を1900℃以上の温度に加熱した後、直ちに急冷却し、ジェリーロール状に拡散対を構成していたNbとAlとを反応させてNb(Al)過飽和固溶体とし、多数のNb(Al)過飽和固溶体細線を内部に有する複合多芯過飽和固溶体線材を作製する。
(4)複合多芯過飽和固溶体線材に追加熱処理を施し、Nb(Al)過飽和固溶体細線をNbAl超伝導体細線ヘ相変態させ、複合多芯構造のNbAl超伝導線材を作製する。
このような急熱急冷・変態法によって作製されるNbAl超伝導線材については、実用化に向けて特性のさらなる改善が急務とされている。
一つに、限界歪みの改善がある。現状、NbAl超伝導線材の損傷に至る限界歪みは実用NbSn超伝導線材に比べて小さい。極細多芯構造を有する超伝導線材は、一般に、細線径が小さいほど限界歪みが向上する傾向にある。NbAl超伝導線材は、上記の通り、極細多芯構造を有するが、細線径は100μm前後であり、限界歪みという観点からは必ずしも十分小さい値とはいえない。
また、上記急熱急冷・変態法によるNbAl超伝導線材の製造において、細線径を100μm以下に縮小することは、Alの硬度がNbの硬度に比べかなり低いことに起因するNb/Al複合体の加工限界に加え、製造工程の大幅な増大を招くなどの理由からきわめて困難となっている。
もう一つには、安定化材と金属マトリクスとの接合性の改善がある。急熱急冷・変態法では、上記の通り、加熱温度が1900℃以上の高温であるため、二次複合多芯線材の金属マトリクスはNbなどの高融点金属に限られており、安定化材として利用されているCuなどの良導電性材料は、融点が約1000℃と低く、急加熱急冷却処理時に蒸発してしまう。
そこで、従来、急加熱急冷処理後に安定化材を形成する方法が数多く提案されているが、いずれも、NbAl超伝導線材の特性改善という見地に立つと、抜本的な解決策となってはいない。
たとえば、Nb(Al)過飽和固溶体の延性を利用し、急加熱急冷却処理後のNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材の周りに機械的にCuシートを付着させる方法が提案されている(特許文献3)。しかしながら、この方法では、CuとNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材のNbマトリクスの表面との間に機械的および電気的に十分に良好な界面を得ることが困難であり、また、NbAl超伝導体部分の断面積が限られるため、大電流容量化が難しいという問題がある。
また、Nb/Al複合多芯前駆体線材の最外部ではなく、内部にCuやAgなどの安定化材を配置する内部安定化法が提案されている(特許文献4)。しかしながら、この方法では、安定化材比を増加させることが極めて困難である。それというのも、安定化材を内部に組み込むと、NbAl超伝導体部分が減少するからである。安定化材比0.3以上では、高い電流容量を有するNbAl超伝導線材を作製することは原理的に難しい。
この他、安定化方法として、Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材のNbマトリクスの表面上にCuをイオンプレーティングし、NbとCuとの間の機械的および電気的接合を改善させる方法が提案されている。しかしながら、この方法では、装置が複雑で、製造コストがかかり、また、上記方法と同様に、NbAl超伝導体部分の断面積が限られ、大電流容量化が難しい。
特開平6−283059号公報 特開平10−144162号公報 特開2000−113748号公報 特開2000−243158号公報
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、限界歪みや安定化材と金属マトリクスとの接合性などの問題を解消し、NbAl細線の構造を工夫し、実用化に向けて特性が改善されたNbAl超伝導線材を製造する製造方法を提供することを課題としている。
本発明は、第に、Nbシート、AlシートおよびNb、Alの両融点より融点が高い高融点金属のシートを重ねて巻き、ジェリーロール複合材を得、ジェリーロール複合材を伸線加工して一次線材を得、一次線材の複数本を束ねて金属管内に配置した後、高融点金属がファイバー状に分散するように伸線加工し、次いで加熱してNb(Al)過飽和固溶体を生成させた後、直ちに急冷却し、再度加熱してNb(Al)過飽和固溶体をNbAl超伝導体に変態させることを特徴としている。
本発明は、第に、上記特徴において、Nb(Al)過飽和固溶体を生成させる加熱温度を1900℃以上高融点金属の融点未満とし、NbAl超伝導体に変態させる温度を600℃〜1000℃とすることを特徴としている。
本発明は、第に、上記特徴において、高融点金属がTaまたはその合金であり、金属管が、Nb、Taまたはそれらの合金である常温で導電性を有する金属から形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、超伝導細線中に微細なTaなどの高融点金属が導入された新しい構造を有するNbAl超伝導線材が提供され、このNbAl超伝導線材では超伝導細線の強度が大幅に改善されるため、NbAl超伝導線材が損傷に至る限界歪みを大幅に改善することができる。
また、本発明によれば、限界歪みが大幅に改善されたNbAl超伝導線材を特殊な設備などを付加することなく製造することができる。
したがって、本発明によれば、実用化に向けて特性が改善されたNbAl超伝導線材製造方法が提供される。
本発明を用いて製造されるNbAl超伝導線材の横断面を模式的に示した概略図である。 本発明の特徴を有するNbAl超伝導線材の製造方法の概要を示した流れ図である。 本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材の横断面を模式的に示した概略図である。 本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材の製造方法の概要を例示した工程図である。 実施例1で用いた急熱急冷装置の構成を模式的に示した概略図である。 a、bは、それぞれ、実施例1で得られたNbAl超伝導線材の断面像を示した図である。 曲げ治具にNbAl超伝導線材を挟み込んだ状態を示した図である。 aは、歪み0.52%が加えられたときの比較線材の長手方向縦断面像を示した図であり、bは、歪み0.83%が加えられたときの実施例1で得られたNbAl超伝導線材の長手方向縦断面像を示した図を示した図である。 左図は実施例2で得られたNbAl超伝導線材Cの断面像を示した図であり、右図はその部分拡大図である。 aは、実施例2においてNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材Bに曲げ歪みを加えたときの状態を示した図であり、bは、比較線材Dの状態を示した図である。 実施例2で得られたNbAl超伝導線材Cと比較線材Dの臨界電流密度特性を示した図である。
1 NbAl超伝導線材
2 良導電性金属
3、30 高融点金属
4 NbAl細線
10 セル
20 最小のセル
本発明を用いて製造されるNbAl超伝導線材は、金属マトリクス中にNbAl細線が多数本配置された多芯構造を有し、NbAl細線中に、Nb、Alの両融点より融点が高く、かつNbAl細線の太さに比べ極細いファイバー状の高融点金属が、長手方向を線心方向に沿わせた状態で分散配置している構造を有するNbAl超伝導線材である。
具体的には、上記NbAl超伝導線材では、図1に示したように、横断面において、厚さ100nm〜1μmの高融点金属ファイバーが、NbAl細線中に、半径方向に100nm〜20μmの範囲内の間隔で、また、周方向に連続的にまたは20μmの範囲内の間隔で分散配置している。高融点金属ファイバーは、横断面では面積は微小であるものの、ほぼ層状に存在し、また、NbAl超伝導線材の線心方向に連続的または断続的に分布している。つまり、NbAl超伝導線材では、高融点金属ファイバーによってNbAl細線が実効的に分割されており、NbAl細線に生じうる微細なクラックの発生および進展を抑制し、NbAl超伝導線材が損傷に至る限界歪みを大幅に改善させている。図1に示したNbAl超伝導線材では、NbAl細線は19本であるが、NbAl細線の本数は十数本〜数百本程度とすることができる。
図1に例示されるようなNbAl超伝導線材は、本発明の特徴を有するNbAl超伝導線材の製造方法によって製造することができ、本発明の特徴を有するNbAl超伝導線材の製造方法によれば、限界歪みの改善に加え、高い化学量論組成を有するNbAl超伝導相が得られ、より優れた超伝導特性を有するNbAl超伝導線材が実現される。
本発明の特徴を有するNbAl超伝導線材の製造方法では、Nbシート、AlシートおよびNb、Alの両融点より融点が高い高融点金属のシートを重ねて巻き、ジェリーロール複合材を得、ジェリーロール複合材を伸線加工して一次線材を得、一次線材の複数本を束ねて金属管内に配置した後、高融点金属がファイバー状に分散するように伸線加工し、次いで加熱してNb(Al)過飽和固溶体を生成させた後、直ちに急冷却し、再度加熱してNb(Al)過飽和固溶体をNbAl超伝導体に変態させる。
具体的には、図2に示したように、Nb、Alおよび高融点金属のシートを重ねて巻き、ジェリーロール複合材を得、ジェリーロール複合材を伸線加工し、その複数本を束ね、金属マトリクスを構成する金属管内に挿入、配置し(スタッキング)、伸線加工した後、1900℃以上かつ高融点金属の融点未満の温度に加熱し、Nb(Al)過飽和固溶体を生成させた後、直ちに急冷却し(急熱急冷処理)、再度600℃〜1000℃の温度に加熱してNb(Al)過飽和固溶体をNbAl超伝導体に変態させる(追加熱処理)。
NbおよびAlには、純Nb、純Alまたは急熱急冷・変態法により形成されるNbAl超伝導体の超伝導特性を損なうことのない組成を有するNb合金またはAl合金を用いることができる。
高融点金属には、伸線加工が可能で、Nb、Alの両融点より融点が高く、NbとAlとを合金化させる際の熱処理温度においてもNbAl細線中にファイバー状に存在することのできる各種の金属または合金を採用することができる。具体的には、Taまたはその合金が好適に例示され、Taまたはその合金は、高融点材料であり、また、NbおよびAlとの反応性が低い。したがって、1900℃以上融点未満の高温からの急熱急冷処理においてもNbAl細線中でファイバー状を維持することができ、Nb/Alの反応に与える影響が小さい。
上記のNb、Alおよび高融点金属は、所定の大きさおよび厚さのシートとして使用される。
ジェリーロール複合材を伸線加工して作製した一次線材の複数本を束ね、金属管内に配置し、高融点金属がファイバー状に分散するように伸線加工して作製した伸線加工後の複合多芯前駆体線材におけるNbとAlの体積比(Nb/Al)は、2.5〜3.5程度の範囲を好ましいものとして例示することができる。高融点金属の割合は、厳密には規定されないが、NbAl細線中において体積率で40%以下とすることが好ましい。高融点金属の体積率が増加するにつれてNbAl細線中のNbAl超伝導体部が減少し、得られるNbAl超伝導線材の通電電流特性が低下するのを抑制するためである。また、複合多芯前駆体線材における高融点金属の形状およびサイズについてもファイバー状である限り厳密に規定されないが、直径または厚さは100nm以上1μm以下であることが好ましい。直径または厚さが100nm未満であると、急加熱急冷処理においてNbまたはAlと容易に反応してしまい、NbAl細線が変質し、1μmを超えると、NbAl細線中におけるNbAl超伝導体部が著しく減少し、いずれの場合もNbAl超伝導線材の超伝導特性が低下する恐れがある。
複合多芯前駆体線材において、ファイバー状の高融点金属が、NbAl細線中に、半径方向に100nm〜20μmの範囲内の間隔で、また、周方向に連続的にまたは20μmの範囲内の間隔で分散配置させるようにするのが好ましい。このようなファイバー状の高融点金属の分散配置が得られるように、前工程のジェリーロール複合材の作製に使用するNb、Alおよび高融点金属のシートの厚さなどの形状や伸線加工の条件などを適宜設定する。100nm以上の間隔は、NbAl細線を実効的に分割することのできる距離であるとともに、NbAl細線に対する高融点金属の割合を抑えるのに有効となる。一方、20μm超の間隔で高融点金属を導入することは、製造上難しいと考えられる。
NbAl超伝導線材の金属マトリクスは、一次線材の複数本が束ねられて内部に挿入、配置される金属管により形成されるが、金属管を形成する金属には、電気伝導度が高く、NbAl超伝導線材を安定化させることができる、常温で導電性を有する金属が適用可能である。具体的には、Nb、Ta、Cu、Agまたはそれらの合金を使用することができる。なお、後工程で1900℃以上の高温に加熱する場合には、Nb、Taまたはこれらの合金が例示される。一方、NbAl超伝導線材の製造は、たとえば、特開平9−204826号公報、特開平6−260040号公報などに開示されているような全製造工程を1000℃以下の温度での拡散反応により行うこともできる。この場合、金属管には、融点が約1000℃のCu、Agまたはそれらの合金も使用可能である。ただし、拡散反応を利用するNbAl超伝導線材の製造では、化学両論組成の高いNbAl相を得るのが難しいという難点がある。
金属マトリクス比は、急熱急冷処理を施すまたは拡散反応を利用するいずれの場合にも、得られるNbAl超伝導線材の横断面において、NbAl細線の断面積に対して0.5〜2の割合となるよう調整することが好ましい。金属マトリクス比が0.5より小さいと伸線加工が困難となり、2を超えるとNbAl超伝導線材の電流密度が低下するために現実的でない。
急熱急冷処理は、複合多芯前駆体線材に対し、1900℃以上高融点金属の融点未満の温度に加熱し、NbとAlとを反応させてNb(Al)過飽和固溶体を生成させた後、直ちに急冷却することにより行われる。急熱急冷処理後は、再度600℃〜1000℃で追加熱処理し、Nb(Al)固溶体をNbAl超伝導体に変態させる。
急熱急冷処理において加熱温度を1900℃以上高融点金属の融点未満の温度とするのは、到達温度が1900℃未満であると、NbAl相が直接生成してしまい、Nb(Al)固溶体が生成しないためである。高温で直接生成されたNbAl相は、結晶粒径が大きく、優れた超伝導特性を示さず、実用的でない。加熱温度が高融点金属の融点以上となると、高融点金属が融解してしまい、ファイバー状の高融点金属の上記の通りの分散配置が実現されない。追加熱処理の温度範囲を600℃〜1000℃とするのは、600℃未満で変態させると、NbAl相の規則化が難しくなり、1000℃を超える温度で熱処理すると、望ましくない相、たとえばNbAl相の生成が促進されて特性が劣化してしまうなどのためである。なお、上記の温度範囲は厳密に限定されるものではなく、誤差を含め、多少の増減は許容される。
追加熱処理後、限界歪みが大幅に改善されたNbAl超伝導線材が得られる。
本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材は、Nb、Alの両融点より融点が高い高融点金属から形成された高融点金属マトリクス中にNbAl細線が多数本配置された多芯構造を有し、高融点金属マトリクスを構成する各セル中に同様な高融点金属マトリクスが形成された重複マトリクス構造を有し、最小のセル中にNbAl細線が位置し、NbAl超伝導線材の外周に常温で導電性を有する良導電性金属層が形成されているNbAl超伝導線材である。
具体的には、上記NbAl超伝導線材は、図3に示したように、良導電性金属2の層の内側の領域が高融点金属3を介して複数のセル10に区分され、各セル10内が、高融点金属30によりさらにセル状に多数に区切られた、あたかも各セル10の中に、さらにセル20が存在するような重複セル構造を有している。そして、最小のセル20中にNbAl細線4が位置しているまたは最小のセル20がNbAl細線4である。重複度合いを二重、三重、四重とすることに何ら困難性はない。NbAl超伝導線材1の直径が大きい場合は、重複度合いを多くし、1本のNbAl細線4自体の太さを太くすることなく、NbAl超伝導線材1を太くすることが可能である。
このようなNbAl超伝導線材1におけるNbAl細線4の直径(最大径)は、20μm以下、たとえば10μm程度と、従来に比べて大幅に縮小されたものとして実現することができる。NbAl細線4は、NbAl超伝導線材として機能する各種のものを採用することができる。好ましくは、Nb−22〜28at%Al程度の範囲の組成を有するもの、さらに好ましくは、化学量論組成であるNb−25at%Alの組成にできるだけ近いものが例示される。具体的には、本発明を用いて製造されるNbAl超伝導線材と同様な、Nb、Alの両融点より融点が高く、かつNbAl細線の太さに比べ極細いファイバー状の高融点金属が、長手方向を線心方向に沿わせた状態で分散配置されたNbAl細線が例示される。
高融点金属3は、NbAl細線4を区分する役割を果たし、後述の製造工程を考慮して、伸線加工が可能で、急加熱急冷却処理においてNb(Al)過飽和固溶体の反応に与える影響が小さい金属が好適である。そのような金属として、融点が1900℃より高い高融点金属が例示され、具体的には、Nb、Taまたはその合金が例示される。なお、セル10を区分する高融点金属3とNbAl細線4を区分する高融点金属30とは、同一でも相違してもよい。高融点金属3、30のNbAl細線4に対する合計の体積比は、0.5〜2.0程度が例示される。加工上高融点金属の体積比を0.5以上とすることが好ましいが、体積比が2.0を超えると、NbAl細線4の割合が減少するため、電流密度が低下する。
良導電性金属2は、NbAl超伝導線材1において安定化材として機能するものであり、電気伝導性の高い金属またはその合金を用いることができる。具体的には、優れた導電性を持つCu、Agまたはその合金が例示される。NbAl超伝導線材1における良導電性金属2の体積比は高く設定することができる。良導電性金属2の体積比は、用途によって必要量が変化するため、明確に限定されるものではないが、良導電性金属2以外の部分に対する体積比として、0.3以上とすることができ、伸線加工上好ましい値として、たとえば0.5以上、より好適には0.7以上が例示される。なお、たとえば加速器用マグネットに用いる場合には、1.0以上とすることも可能である。良導電性金属2の良導電性金属2以外の部分に対する体積比の上限は、応用機器から要求される電流密度の仕様に応じて適宜設定することができる。良導電性金属2の体積比が大きくなると、その分NbAl超伝導線材1の電流容量が減少する。一応の目安として上限は2が例示される。
なお、NbAl超伝導線材1の径や所望の特性、さらに製造上の制約にもよるため一概には言えないが、セル10は、直径が20μm〜200μm程度の大きさとすることができ、最小のセル20の直径は20μm以下とすることができる。また、セル10は、高融点金属3によりたとえば19〜130区画程度に、また、最小のセル20は、高融点金属30により19〜300区画程度に区切ることができる。この場合、NbAl細線4は、NbAl超伝導線材1中に300〜39000本程度配置される。
また、NbAl超伝導線材1では、セル10間の高融点金属3の平均厚さと最小のセル20間の高融点金属30の平均厚さとが異なり、高融点金属3より高融点金属30の平均厚さが薄い。最小のセル20間の高融点金属30については、厚さを非常に薄くすることが可能であり、高融点金属30を非常に薄くかつ高密度化することで、臨界電流密度の向上に関わる磁束のピンニングセンターとしての効果が期待される。そのような高融点金属30の平均厚さ、特にNbAl細線4により形成されている場合の最小のセル20の隔壁としての平均厚さは、2μm以下が例示される。
セル10および最の小セル20は、図3では、略円形に図示されているが、実際のNbAl超伝導線材1では、横断面形状は円形または略円形に限定されることなく、たとえば多角形状、星型形状またはそれらが崩れた形状などであってよい。一方、NbAl超伝導線材1の横断面形状は、円形または略円形状とすることが好適であるが、これに限定されない。
上記の通りの本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材は、たとえば臨界温度17K以上のものとして実現される。
本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材は、本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材の製造方法によって製造することができる。本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材の製造方法では、Nb、Alの両融点より融点が高い高融点金属から形成された高融点金属マトリクス中にNb(Al)過飽和固溶体の細線が多数本配置された多芯構造体の複数本を束ねて金属管内に配置した後、高融点マトリックスが破壊しない程度に伸線加工を行い、高融点金属マトリクスを構成する各セル中に同様な高融点金属マトリクスが形成された重複マトリクス構造を形成させる第一工程と、重複マトリクス構造を有する線材の複数本を束ねて金属管内に配置した後、伸線加工して多重マトリックス構造を形成させる第二工程とを一回以上繰り返した後、または第二工程を行わずに熱処理して、Nb(Al)過飽和固溶体をNbAl超伝導体に変態させる。本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材の製造方法では、従来法において追加熱処理される状態のNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材を再度束ねて伸線加工を施すのである。
出発材料としての高融点金属マトリクス中にNb(Al)過飽和固溶体の細線が多数本配置された多芯構造体は、ジェリーロール法やロッドインチューブ法などの各種の方法を利用して作製することができる。好適には、図4に示したように、巻芯の周りにNbおよびAlのシートを重ねて巻き、巻き上がったものの周りに、後に細線間の隔壁として機能する高融点金属のシートを巻き付け、ジェリーロール複合材を構成し、ジェリーロール複合材を伸線加工し、伸線加工後の線材の複数本を高融点金属製の高融点金属管内に挿入、配置して伸線加工した後、1900℃以上高融点金属の融点未満の温度に加熱し、直ちに急冷却したNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材などを用いることができる。なお、ジェリーロール法は、加工度が比較的小さくても、最終的なNbとAlとの拡散対のサイズを500nm程度に微細化することができるため、実用的に適している。
高融点金属管を形成する金属は、Nb、Taまたはその合金であることが好ましい。特にTaまたはその合金は、急熱急冷処理に冷媒として使用される液体金属Gaとの反応性が低く、伸線加工に望ましくない化合物相の生成を抑制することができる。この場合、高融点金属マトリクスの内、外皮をなす部分がTaまたはその合金から形成される。
巻芯には、高融点金属や高融点金属で敷居したCuなどの線材を用いることができる。また、ジェリーロール複合材を断面六角形状に加工しておくと、スタックして伸線加工する際にジェリーロール複合材の配置ずれを抑えるのに効果的である。ずれを抑えることができれば、高融点金属管内に挿入、配置したジェリーロール複合材毎の加工度が均一化し、伸線時の断線リスクを減らすことができ、設計形状を維持することもできる。なお、ジェリーロール複合材は、断面丸形状としても、スタックして伸線加工する際に、線材が加工中に密着し、自然な配置により六角形状に近づいていくため、断面六角形状への加工は必須のものではない。
Nb(Al)過飽和固溶体芯の組成については、NbへのAlの固溶量を22〜28at%程度の範囲にすることが好ましく、Alの固溶量を化学量論組成の25at%に可能な限り近づけることがより好ましい。Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材の芯数、スタック数などについては、再スタックにおけるNb(Al)過飽和固溶体の加工限界が減面加工率で99.9%以下程度であることを目安とし、最終的なNbAl超伝導線材に含まれるNbAl細線の直径が20μm以下となるように、適宜設定することができる。
高融点金属マトリクスとしての高融点金属は、1900℃以上高融点金属の融点未満の温度に加熱する急熱急冷処理を考慮し、適当な金属を選択することができる。好ましくは、Nb、Taまたはその合金が例示される。
上記Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材の複数本を所定の内外径を有する良導電性金属管内に束ねて挿入、配置し、減面加工率50%以上の伸線加工を施す。良導電性金属管を形成する良導電性金属としては、上記の通り、Cu、Agまたはその合金が好ましい。良導電性金属管は、NbAl超伝導線材の製造に用いられる金属管の内、最終伸線工程で用いる金属管として適用される。良導電性金属管に挿入する線材には、Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材のみでなく、良導電性金属線材を含めることもできる。良導電性金属の厚さを増加させることおよび良導電性金属線材の本数を増やすことにより、安定化材比、すなわち、良導電性金属以外の部分に対する良導電性金属の体積比を容易に増加させることができる。
減面加工率50%以上の伸線加工によって、NbAl細線径のさらなる微細化が図れるとともに、良導電性金属管の内壁と高融点マトリクスの表面との接合性を高めることができる。なお、伸線加工の手法はいずれも特に限定されるものではないが、等方的に線材表面に変形圧力を加えることができ、また、伸線加工中に良導電性金属管の内壁と高融点マトリクスの表面との接合性を効果的に改善させることができるとの観点から、ダイス引き(ダイス伸線加工)により行うことが好ましい。ダイス引きは、大きな引抜力で伸線加工を行うため、伸線加工を阻害しないように、Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材の表面の異物を十分除去しておくことが必要である。
50%以上の減面加工率とは、Nb(Al)過飽和固溶体に加えられる加工率であるが、もし減面加工率が95%以上であっても、特性を劣化させることなく優れた超伝導特性を維持することができる。
熱処理は、本発明の特徴を有するNbAl超伝導線材において採用することのできる追加熱処理と同等のものとして行うことができる。600℃〜1000℃に加熱し、Nb(Al)過飽和固溶体をNbAl超伝導体に変態させる。600℃未満で変態させるとNbAl相の規則化が難しくなり、1000℃を超えると、Cuが溶融し、また、望ましくない相、たとえばNb2Al相などの生成が促進され、超伝導特性が劣化するなどの問題が生じる。一方、熱処理の温度範囲は、上記の範囲に厳密に限定されることはなく、誤差を含め、多少の増減は許容される。
熱処理後、良導電性金属と高融点金属マトリクスとの間の機械的および電気的接合性が良好なNbAl超伝導線材が得られる。
また、本発明の別の実施形態によるNbAl超伝導線材によれば、Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材の複数本を再スタックして伸線加工を行うことができるため、NbAl超伝導線材における超伝導断面積を任意かつ容易に増加させることができ、NbAl超伝導線材の大電流容量化が可能となる。
さらに、上記再スタックおよび伸線加工により、NbAl細線径が縮小し、磁気的不安定性の問題も改善されたNbAl超伝導線材が得られる。
加えて、伸線加工をダイス引きにより行う場合には、寸法精度を向上させることができ、これまでNbAl超伝導線材に指摘されていた問題をほぼすべて解決することができる。
以下、実施例を示し、本発明のNbAl超伝導線材とその製造方法についてさらに詳しく説明する。
図2に示したNbAl超伝導線材の製造方法にしたがってNbAl超伝導線材を製造した。厚さ90μmで所定の幅と長さを有するNbシート、厚さ30μmで所定の幅と長さを有するAlシートおよび厚さ90μmで所定の幅と長さを有するTaのシートを重ね、直径3.0mmのNb巻芯を中心にしてジェリーロール状に巻いてジェリーロール積層複合体を作製した。このとき、NbシートとAlシートとの体積比(Nb/Al)は、3とした。なお、NbおよびAlの体積率を増やすため、Nbシート、Alシートを交互に6層積層した後、Taシート1枚を重ね、総積層数を7層とした。
作製したジェリーロール積層複合体を所定の長さおよび内外径を有するNb管内に挿入、配置し、このNb管を所定の長さおよび内外径を有するCu管内に挿入、配置した後、押出加工、ダイス伸線などを施し、次いで外皮であるCuを除去してTa/Nb/Alジェリーロール単芯線を作製した。
1本のNbダミー線を中心にして、84本のTa/Nb/Alジェリーロール単芯線を束ね、所定の長さおよび内外径を有するNb管内に挿入、配置した。Ta/Nb/Alジェリーロール単芯線が挿入、配置されたNb管を、所定の長さおよび内外径を有するCu−Ni管内に挿入、配置し、多芯ビレットを作製した。
作製した多芯ビレットに押出加工、ダイス伸線などを施した後、外皮であるCu−Niを除去し、金属マトリクスとしてのNbマトリクスの中に多数本のTa/Nb/Al細線が配置された外径1mmの複合多芯前駆体線を作製した。
作製した複合多芯前駆体線を、図5に示した急熱急冷装置を用い、約0.3m/sの速度で連続的に巻き取りながら、自己通電加熱により1900℃以上Taの融点未満の高温に加熱し、1秒以内で直ちに電極を兼ねた液体金属Ga浴中に突入させて急冷した。NbとAlとを反応させ、Nb(Al)過飽和固溶体を生成させた。このとき、高融点金属であるTaは、細線中にファイバー状の形態を変えることなく残存する。
このNb(Al)過飽和固溶体を有する複合多芯前駆体線材に対し、800℃で10時間保持の条件で追加熱処理を行い、Nb(Al)固溶体をNbAl超伝導体に変態させ、NbAl超伝導線材を得た。表1に得られたNbAl超伝導線材の主な諸元を示した。また、図6(a)(b)中の細線内に黒い点として散見されるのがTaファイバーの端面である。
得られたNbAl超伝導線材については、臨界磁場約20Tの超伝導特性が得られた。
得られたNbAl超伝導線材を曲線状の隙間を有する冶具に挟み込み、室温において曲げ歪みを加え、NbAl超伝導線材の耐歪み特性、すなわち、どの程度の歪みに耐えられるかを調べた。
曲線状の隙間の曲率半径は6〜10cmであり、曲げ歪みは以下の通り定義される。
曲げ歪み(%)=線材半径/(線材半径+曲率半径)×100 (1)
図7にNbAl超伝導線材を挟み込んだ様子を示す。分散配置されたTaファイバーの効果を調べるために、Taファイバーを含まないNbAl超伝導線材を比較線材として用意した。比較線材は、Taシートをジェリーロール単芯線に含まない点を除いて上記と同様の工程で製造されたものである。比較線材の諸元を表2に示す。
図8(b)に示した実施例1で得られたNbAl超伝導線材には、NbAl細線の内部に線心方向に多数の筋が確認された。この筋は導入されたTaファイバーである。また、図8(a)(b)の対比から明らかであるように、比較線材(図8(a))では、0.52%の歪みにおいて明らかに亀裂が生じているのに対し、実施例1で得られたNbAl超伝導線材には、0.83%の歪みが加えられたにも関わらす、内部に亀裂は全く確認されなかった。
NbAl細線内部にTaファイバーを分散配置させることによって、NbAl細線内部の亀裂の発生が抑制され、NbAl超伝導線材が損傷する限界歪みが大幅に改善される。
線径0.8mm、細線径63.2μm、細線数66本、高融点金属マトリクス((Nb(隔壁として)+Ta(外皮として))比1.654の諸元をもつNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材Aを用意した。線材A54本を同サイズの1本の銅線を中心にして束ね、内径6.9mm、外径9mmの銅パイプに挿入、配置して複合体とし、複合体に対して、超硬ダイスにより1リダクションにつき約15%の減面加工率で伸線加工を施した。最終的に、外径1mm、細線数3564本、細線径約10μm、高融点金属マトリクス比1.654、Cu比0.88のNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材Bが得られた。伸線加工により、Nb(Al)過飽和固溶体には95%以上の減面加工が施された。
その後、800℃で10時間保持し、Nb(Al)過飽和固溶体を変態させ、NbAl超伝導線材Cを得た。
図9から確認されるように、NbAl超伝導線材Cは、外皮をCuとし、内部がTaで複数の小領域に区切られていたセル状構造を有している。また、個々のセルの拡大図から、NbAl超伝導線材Cは、Nbで細分化された重複セル構造を有していることがわかる。最小のセルを形成しているNbAl細線のサイズは径の10μm前後と、20μmよりも大幅に小さい。
安定化材としてのCu外皮と高融点金属マトリクスとの間の接合性を確認するために、Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材Bを室温において90°以上に曲げ、Cu外皮が高融点金属マトリクスから剥離するかどうか調べた。比較のために、特開2000−113748号公報に開示されている方法により作製された、Cuクラッド線材(相変態前の状態)を比較線材Dとして用意した。比較線材Dの諸元は、厚さ0.8mm、幅1.8mm、細線径75.5μm、細線数132本、マトリクス比0.8、Cu比0.39である。図10(a)(b)に示したように、比較線材Dには約35%の曲げ歪みが加わっており、Cuが破損し、Cuがマトリクスから剥離している。一方、Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材Bは、約50%の曲げ歪みが加わっているにも関わらず、Cuの剥離や破損は見られず、接合性が改善されていることが確認される。なお、曲げ歪みは上記式(1)で定義される。
次に、実施例2で得られたNbAl超伝導線材CのNbAl相当たりの臨界電流密度特性を測定した。図11にその結果を示す。図11には、比較線材Dの相変態熱処理後の臨界電流密度特性を併せて示した。実施例2で得られたNbAl超伝導線材Cは、臨界電流密度特性に優れている。また、通電電流値をNbAl超伝導体部の総面積で除したNbAl超伝導体部当たりの臨界電流密度は、4.2Kの温度、15Tの磁場中で、1000A/mm以上であった。このことから、95%以上のNb(Al)過飽和固溶体の減面加工によっても優れた臨界電流密度特性が維持されることが確認された。
また、比較線材Dでは、12T以下の磁界下でしばしば磁気的不安定性を誘発したが、実施例2で得られたNbAl超伝導線材Cでは、磁気的不安定が生じることなく、良好に測定することができた。実施例2で得られたNbAl超伝導線材Cでは、磁気的不安定性が抑制されることも確認された。
なお、Nb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材Bの作製に際し、線径が1.13mmのところでCu外皮にひびが発生することがあった。このときの線材のCu比は0.193であり、Cu比が少ないために伸線加工中に表面に割れが生じたと考えられる。その後の試作の結果、Cuなどの良導電性金属の比が0.3以上において良好な伸線加工が可能となることがわかった。
実施例1で作製した、高融点金属であるTaが細線中にファイバー状に残存したNb(Al)過飽和固溶体線材(線径1.01mm)の表面の不純物相を十分除去した後、この線材36本を同サイズの1本の銅線を中心にして束ね、内径7.4mm、外径9.3mmのCuパイプに挿入、配置して複合体とし、この複合体に対して、超硬ダイスにより1リダクションにつき約15%の減面加工率でダイス伸線加工を施した。最終的に外径1.0mm、細線数3024本、細線径約15μm、高融点金属マトリクス比0.8、Cu比0.9のNb(Al)過飽和固溶体複合多芯線材が得られた。その後、800℃で10時間保持し、Nb(Al)過飽和固溶体を変態させてNbAl超伝導線材が得られた。
得られたNbAl超伝導線材については、臨界磁場約20Tの超伝導特性が得られた。
NbAl超伝導線材の信頼性を高めることができるため、線材が強力な電磁力を受ける核融合実験炉用マグネット、NMRマグネット、高エネルギー粒子加速器マグネット等の大型マグネットの信頼性および安全性を高めることができる。また、長寿命のマグネットを実現することができ、経費削減が見込まれる。さらに、複雑な形状のケーブリングも可能となり、応用範囲が広く、たとえば加速器用マグネットに使用されるようなラザフォードタイプのケーブルなどに特に適する。

Claims (3)

  1. Nbシート、AlシートおよびNb、Alの両融点より融点が高い高融点金属のシートを重ねて巻き、ジェリーロール複合材を得、ジェリーロール複合材を伸線加工して一次線材を得、一次線材の複数本を束ねて金属管内に配置した後、高融点金属がファイバー状に分散するように伸線加工し、次いで加熱してNb(Al)過飽和固溶体を生成させた後、直ちに急冷却し、再度加熱してNb(Al)過飽和固溶体をNbAl超伝導体に変態させることを特徴とするNbAl超伝導線材の製造方法。
  2. 請求項に記載のNbAl超伝導線材の製造方法において、Nb(Al)過飽和固溶体を生成させる加熱温度を1900℃以上高融点金属の融点未満とし、NbAl超伝導体に変態させる温度を600℃〜1000℃とすることを特徴とするNbAl超伝導線材の製造方法。
  3. 請求項またはに記載のNbAl超伝導線材の製造方法において、高融点金属がTaまたはその合金であり、金属管が、Nb、Taまたはそれらの合金である常温で導電性を有する金属から形成されていることを特徴とするNbAl超伝導線材の製造方法。
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