JP4214200B2 - 粉末法Nb3Sn超電導線材 - Google Patents

粉末法Nb3Sn超電導線材 Download PDF

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Description

本発明は、粉末法によって製造されるNb3Sn超電導線材に関するものであり、殊に
高磁場発生用超電導マグネットの素材として有用な粉末法Nb3Sn超電導線材に関する
ものである。
超電導線材が実用化されている分野のうち、高分解能核磁気共鳴(NMR)分析装置に用いられる超電導マグネットについては発生磁場が高いほど分解能が高まることから、超電導マグネットは近年ますます高磁場化の傾向にある。
高磁場発生用超電導マグネットに使用される超電導線材としては、Nb3Sn線材が実
用化されており、このNb3Sn超電導線材の製造には主にブロンズ法が採用されている
。このブロンズ法は、Cu−Sn基合金(ブロンズ)マトリックス中に複数のNb基芯材を埋設し、伸線加工することによって上記Nb基芯材をフィラメントとなし、このフィラメントを複数束ねて線材群となし、安定化の為の銅(安定化銅)に埋設して伸線加工する。上記線材群を600〜800℃で熱処理(拡散熱処理)することにより、Nb基フィラメントとマトリックスの界面にNb3Sn化合物相を生成する方法である(例えば、非特
許文献1参照)。しかしながら、この方法ではブロンズ中に固溶できるSn濃度には限界があり、生成されるNb3Sn層の厚さが薄くなってしまい、高磁場特性が良くないとい
う欠点があった。
一方、Nb3Sn超電導線材を製造する方法としては、上記ブロンズ法の他に、粉末法
も知られている。この粉末法としては、NbとSnの中間化合物粉末を芯材(コア粉末)としてNbシース内に充填し、加工後熱処理を行うことにより、芯材とNbシースの界面にNb3Sn相を生成する、いわゆるECN法が知られている。また新しい粉末法として
、Ta−Snの合金粉末を芯材としてNbまたはNb基合金シース内に充填し、加工後熱処理をすることで、Sn量の制限が無く、ブロンズ法およびECN法よりも厚いNb3
n相が生成可能であるため、高磁場特性が優れた超電導線材が得られることが示されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、一般に超電導線材では、線材に部分的発熱が生じても熱伝導でその熱を除去して安定化するために、超電導フィラメント径は細いことが必要であり、大電流を得ようとすると超電導フィラメントを多数本含んだ極細多芯線が望ましい。実際、ブロンズ法では数千本〜数万本のNb3Snフィラメントを持つ線材が実用化されている。極細多芯線
の出発材はNb芯、NbシースまたはNb基合金シースを1本含む単芯線、または数本含
むサブマルチ材であって、それらを束ねて複合体とし、これを押出、伸線または圧延等によって縮径加工することで得られる。
上記のような多芯化法のためには、線材にある程度の強度は勿論のこと、優れた伸線加工性が要求されるのであるが、これまで提案されている粉末法(前記特許文献1)では、縮径加工中にNbまたはNb基合金シースが破損し、拡散熱処理時に前記シース内部の粉末が外部に拡散し、超電導特性に影響を与えるという問題があった。こうしたことから、これまでの粉末法によって得られた超電導線材では、単芯フィラメントを持つ短尺試作材での超電導特性しか評価できておらず、安定した超電導特性を持つ多芯線材の実現が切望されているのが実状である。
K.Tachikawa Filamentary A15 Superconductors,Plenum Press(1980)p1 特開平11−250749号公報
これまで提案されている粉末法では、単芯線を縮径加工する際には問題ないが、単芯線材を束ねて複合体として、これを縮径加工し多芯線(一次超電導線材)を作製する際に、粉末の成形性が悪いことから均一な加工が難しく、加工中にNbシースやNb基合金シースが破損することがあり、これが超電導特性に影響を与えるという問題点があった。
本発明者らも、超電導線材の多芯化についてかねてより研究を進めており、その研究の一環として、Ta−Sn粉末法で作製される超電導線材における改良された多芯化方法について提案しており、その技術的意義が認められたので先に出願している(特願2002−269108号)。この技術では、NbまたはNb基合金シース内に、NbまたはNb基合金芯を単数または複数配置すると共に、前記シースと芯材との間に形成される空間内に、Ta−Snの合金、金属間化合物、または混合粉末(以下、これを「コア粉末」と呼ぶことがある)を充填し、縮径加工して線材とし、この線材を拡散熱処理することによって、コア粉末に接するNbまたはNb基合金内周部と、NbまたはNb基合金芯材の外周部にNb3Sn層を形成するものである。
この技術では、前記芯材が伸線時に破損した場合であっても、拡散熱処理時にシース内部の粉末が外部に拡散することなく、超電導特性に影響を与えることがないので、優れた特性をもつ多芯化線材が容易に得られることが明らかにされた。
しかしながら、上記多芯化方法では、安定化銅の付いていない一次超電導線材では良好な超電導特性が発揮されたものの、この一次超電導線材に安定化銅を被覆し、これを更に束ねてCuマトリックス内に埋設して押し出し、伸線および圧延によって縮径加工してより一層の多芯化(以下、こうした構成の多芯化線を「二次スタック材超電導線材」と呼ぶことがある)を図った場合には、当初期待していたほどの超電導特性が発揮できないことがある。
こうしたことから、Ta−Sn粉末法で作製される超電導線材においては、安定化銅付き線材で高い超電導特性を発揮する二次スタック超電導線材が作製可能な多芯化法が切望されているのが実状である。
本発明はこうした状況の下でなされたものであって、その目的は、安定化銅付き線材にあって優れた超電導特性を発揮し、しかも二次スタック超電導線材とすることが可能な粉末法Nb3Sn超電導線材を提供することにある。
上記目的を達成することのできた本発明のNb3Sn超電導線材とは、NbまたはNb基合金からなる芯材を1本または複数本配置すると共に、前記TaまたはTa合金製シースと芯材間に形成される空間内に、TaとSnとの合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末に、更にCuを構成元素として0.3〜30質量%含有する粉末を充填し、これを縮径加工した線材を一次超電導線として作製されたものである点に要旨を有するものである。
本発明の上記目的は、粉末を用いて超電導線材を作製する方法によって製造されるNb3Sn超電導線材であって、安定化用Cuシース内に配置されたTaまたはTa合金製シース内に、NbまたはNb基合金からなるパイプ状部材内にCu芯を配置した複合芯材を1本または複数本配置すると共に、前記TaまたはTa合金製シースと複合芯材間に形成される空間内に、Ta,NbおよびTiのうちの少なくとも1種の金属とSnとの合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末を充填し、これを縮径加工した線材を一次超電導線として作製されたものであるような構成を採用することによっても達成される。
本発明の粉末法Nb3Sn超電導線材では、(1)前記粉末として、更にCuを構成元
素として含有したものを用いることや、(2)前記TaまたはTa合金製シースの外周に、Nb製シースを配置した複合シース材を前記安定化Cuシース内に配置して作製すること等が好ましい実施形態である。
また、上記のような超電導線材で用いる一次超電導線の複数本を、(a)更にCuマトリックス内に埋設した線材(二次スタック超電導線材)や、(b)更にCuシース内に挿入した線材(二次スタック超電導線材)を用いても本発明の粉末法Nb3Sn超電導線材
を作製することができ、こうした構成によって、より多芯化した超電導線材が実現できる。
本発明は以上のように構成されており、安定化銅付き線材として優れた超電導特性を発揮すると共に、伸線加工性も改善され、二次スタック超電導線材として製造することができる粉末法Nb3Sn超電導線材が実現できた。
本発明者らが先に提案した技術(特願2002−269108号)では、NbまたはNb基合金シース内周部に生成されたNb3Sn層がひび割れや歪によって劣化することも
あり、その結果としてNbまたはNb基合金芯の外周部のNb3Sn層よりも先に常電導
への遷移が起こるので、前記芯材外周部のNb3Sn層に流れ込む超電導電流に悪影響を
与え、全体の超電導特性が低下することがあった。特に、安定化銅で被覆した線材では、安定化銅無しの線材に比べると、熱処理および冷却時の熱収縮の影響で前記シース内周面のNb3Sn層はひび割れや歪劣化が起こることがあり、超電導電流特性が低下するとい
う事態を招くこともあった。
この方法で作製された線材では、縮径加工によって、一次超電導線材として加工された後、更にそれらを束ねてCuマトリックス内に埋設し押し出し、伸線および圧延によって縮径加工して二次スタック超電導線材とする過程で、NbまたはNb基合金シースが加工硬化によって延性が低くなって薄くなることが多かった。こうした場合には、熱処理によって前記シース部分が全てNb3Sn層になった後、Snが外部に拡散するという事態も
招くことがある。また、前記二次スタック超電導線材とする過程において、NbまたはNb基合金芯材が加工硬化により延性が低くなって一部破損し、超電導特性に影響を与えることもあった。
本発明者らは、こうした課題を解決するために、上記の技術を更に改良して更に優れた超電導線材を実現するべく、様々な角度から検討した。その結果、上記のような構成の各種超電導原線若しくは複合体を用いて作製した粉末法Nb3Sn超電導線材では、上記目
的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明で用いる一次超電導線の一構成例を示した概略断面図であり、図中1はNbまたはNb基合金からなる芯材、2はTaまたはTa合金製シース(以下、「Ta製シース」で代表する)、3はコア粉末、4は安定化用Cuシースを夫々示し、これらの部材によって本発明の一次超電導線10が構成される。この一次超電導線10では、安定化用Cuシース内に同軸上に積層配置されたTa製シース2内に、NbまたはNb基合金からなる芯材1を1本または複数本配置すると共に、前記Ta製シース2と芯材1間に形成される空間内に、原料粉末3を充填し、これを縮径加工した線材である。
このとき用いるコア粉末3としては、Ta,NbおよびTiのうちの少なくとも1種の金属とSnとを成分として含むものであり、その形態は合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末のいずれでも良い。このコア粉末3に含まれる成分のうちSnは、周囲に配置されるるNbやNb基合金(前記芯材1)と反応してNb3Sn相を形成するものとなる
。またこのコア粉末には、Snの他にTa,Nb若しくはTi等の成分を含むものであるが、これらの成分はNb3Sn相の形成を促進したり、それ自体がSnと反応して超電導
体となるという効果を発揮するものであり、その1種または2種以上を用いても同様の効果が発揮される。
このコア粉末3中のSn成分の含有量は、20〜90原子%程度であることが好ましく、Sn含有量が20原子%未満となるとNb3Sn相が薄くなり、超電導特性が劣化し、
90原子%を超えると拡散熱処理時に粉末コア部の融点が低下し、熱処理時に線材端部よりSnのしみ出しが多くなるため好ましくない。尚、このコア粉末3は、いずれの形態を採るにしても、その平均粒径は熱処理時の反応性を高めるという観点から150μm以下(100メッシュアンダー)であることが好ましい。
また、このコア粉末3には、必要によってCu成分を含有することも有効である。このCu成分は、拡散熱処理温度を低減する作用を発揮する。即ち、従来の粉末法においてCu成分が含有されていない場合の最適反応温度(拡散熱処理温度)は900〜925℃であり、一方ブロンズ法の最適反応温度は650〜850℃程度であり、900℃以上で熱処理すると結晶粒が大きくなり過ぎて超電導特性が劣化するときがあるが、コア粉末にCu成分を含有させることによって、最適熱処理温度を下げることができ、その結果、結晶粒が微細化され、Nb3Sn超電導線材における高特性が実現できるのである。こうした
作用を発揮させるためには、コア粉末中のCu含有量は0.3質量%以上であることが好ましいが、Cu含有量が大きくなり過ぎると、生成するNb3Snに対してCuが不純物
として作用して特性が劣化するので、その上限は30質量%程度にすることが好ましい。
図1に示したような一次超電導線10を用いて拡散熱処理することによって、芯材1中のNbとコア粉末3中のSnとが反応してNb3Sn相が形成されて本発明の超電導線材
が得られる。また、こうした構成では、NbまたはNb基合金からなる芯材1が粉末内部に入った状態であるため、従来線材に比べると線材全体の強度が増加すると共に、コア粉末3を取り巻くシース(Ta製シース2)上には脆いNb3Sn相が形成されないので、
割れやひびが入り難くなり、また芯材1の外周部に生成されるNb3Sn相にのみ超電導
電流が流れることになって、安定した超電導特性を示すものとなる。
また、粉末中心部(コア部)のSn成分の付近に芯材が配置されることによって、Sn原子の拡散距離を短くすること、および粉末内部に芯材を埋め込むことで粉末に接するNbやNb基合金の表面積が増加することになり、線材全断面積に占めるNb3Sn反応層
の比率を大きくして臨界電流を大きくすることができる。
図2は本発明で用いる一次超電導線の他の構成例を示した概略断面図であり、図中7はNbまたはNb基合金からなるパイプ状部材、6はパイプ状部材7内に埋設して配置されるCu芯、5は前記パイプ状部材7およびCu芯6からなる複合芯材を夫々示し[図2(b)]、この複合芯材5が図1に示した芯材1の代わりに、Ta製シース2内に1本または複数本配置されると共に、前記Ta製シース2と複合芯材5間に形成される空間内に、コア粉末3を充填し、これを縮径加工することによって本発明の一次超電導線11が構成される[図2(a)]。この一次超電導線11の構成は、パイプ状部材5内にコア粉末3を充填して縮径加工した線材を前記芯材1の代わりに用いる以外は、基本的に前記図1に示した一次超電導線10と同じである。
図2に示した構成では、複合芯材5が前記芯材1と同様の機能を発揮する他、縮径加工時のNbまたはNb基合金(パイプ状部材7)の加工硬化による延性の低下を、延性の高いCu(Cu芯6)が補うことによって、NbまたはNb基合金芯(前記図1に示した芯材1)に比べて破損し難くなり、断線も回避できることになる。
図3は本発明で用いる一次超電導線の更に他の構成例を示した概略断面図であり、図3に示した構成では、前記図1、2に示したTa製シース2の外周にNb製シース8を重ね合わせた複合シースを、Cuシース4内に配置した一次超電導線材12であり、それ以外の構成は基本的には前記図1または図2に示した構成と同じである。このように、Ta製シース2の外周にNb製シース8を重ね合わせて配置することによって、Cuシース4とTa製シースとの密着性が上がり、伸線加工途中での断線が減少できる。また、NbはTaよりもコストが安いので、Ta製シースの一部をNb製シースに置き換えることによって、コストダウンが図れることになる。
尚、本発明で用いるTa製シース2やNb製シース8については、最終的に管状となれば良く、例えば薄肉のTaシートやNbシートを重ね巻きしたり、またそれらを溶接することによって管状としたものを採用することができる。
前記図1〜3に示した一次超電導線10〜12に対して拡散熱処理を施すことによって希望する特性を発揮する超電導線材が得られるのであるが、図4に示すように、上記一次超電導線10(図1)、11(図2)および12(図3)の複数本をCuマトリックス9内に埋設した線材を用いても本発明の粉末法Nb3Sn超電導線材を作製することができ
、こうした構成によって多芯化(例えば、一次超電導線の数が3000程度まで)した超電導線材(二次スタック超電導線材)とすることができる。尚、二次スタック材の構成は、図4に示したものに限らず、例えば前記図1〜3に示した一次超電導線10〜12を六角形断面に伸線加工したものを、Cuシース内に複数束ねて挿入し、縮径加工することによっても多芯化した二次スタック超電導線材が得られる。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
実施例1
325メッシュ以下のTa粉末とSn粉末を、その原子比が6:5(Ta:Sn)となるよう混合し、この混合粉末に更に325メッシュ以下のCu粉末を混合後の全粉末量に対して2質量%になるよう添加混合した。この混合粉末を、アルミナ製坩堝に入れ、1.33×10-3Paの真空中で950℃、20時間反応させてTa−Sn−Cu合金微粉末を作製した。
次に、厚さ:0.2mmのTa製シートを外径:4.8mmとなるように2周重ね巻きし、外径:8mm、内径:5mmの安定化用Cuシース内に挿入し、Taシートの厚みが0.4mmとなるようにTaシート(Ta製シース)を安定化用Cuシース内面に張り付けて二重構造の複合シースを作製した。この複合シース内の中央部に、外径:1.2mmのNb−4.0原子%Ta合金製芯材7本を配置しておき、これに(複合シース材と芯材間に形成される空間内に)先に作製したTa−Sn−Cu合金微粉末を充填し、溝ロールにより2.7mm角正方形断面に加工した後、伸線により外径:1.5mmの線材(一次超電導線)に加工した(前記図1参照)。
このとき比較材として、外径:1.1mmのNb−4.0原子%Ta合金芯4本を、外径:8mm、内径:5mmのNb−4.0原子%Ta合金製シース内中心部に配置しておき、これに(シース材と芯材間に形成される空間内に)先に作製したTa−Sn−Cu合金微粉末を充填したものに、更に外径:11mm、内径:8.25mmのCuシースを被せて溝ロールにより2.7mm角正方形断面に加工した後、伸線により外径:1.5mmに加工した線材(一次超電導線)についても作製した。
両線材に800℃で80時間の拡散熱処理を行って、超電導線材とした。比較材のNb3Sn線材の断面を図5(図面代用電子顕微鏡写真)に示す。一方、本発明材の超電導線
材の断面を図6(図面代用電子顕微鏡写真)に示す。
これらのNb3Sn超電導線材を、液体ヘリウム中(4.2K)で14〜18Tの磁場
(外部磁場)における臨界電流密度(臨界電流Icを、安定化銅を除いた線材断面積で割った値:Jc)を測定したところ、下記のような値が得られた。
[臨界電流密度Jcの測定値]
(1)本発明材
670A/mm2(15T)、603A/mm2(16T)、541A/mm2(17T
)、495A/mm2(18T)
(2)比較材
466A/mm2(14T)、384A/mm2(15T)、320A/mm2(16T
)、268A/mm2(17A)、238A/mm2(18T)
例えば、外部磁場が18TのときのJcは、比較材で238A/mm2、本発明材は4
95A/mm2となっており、本発明材は比較材を大幅に上回る特性を示していた。外部
磁場Bと臨界電流密度Jcの関係を図9に示す。
実施例2
325メッシュ以下のTa粉末とSn粉末を、その原子比が3:7(Ta:Sn)となるよう混合し、この混合粉末に更に325メッシュ以下のCu粉末を混合後の全粉末量に対して5質量%になるよう添加混合し、混合粉末を調製した。
次に、厚さ:0.2mmのTaシートを外径:4.8mmとなるように2周重ね巻きし、外径:8mm、内径:5mmの安定化用Cuシース内に挿入し、Taシートの厚みが0.4mmとなるようにTaシート(Ta製シース)を安定化用Cuシース内面に張り付けて二重構造の複合シースを作製した。この複合シース内の中央部に、外径:1.9mmのNb−4.0原子%Ta合金製芯材3本を配置しておき、これに(複合シース材と芯材間に形成される空間内に)先に作製したTa−Sn−Cu混合粉末を充填し、溝ロールにより2.7mm角正方形断面に加工した後、伸線により外径:1.5mmの線材(一次超電導線)に加工した(前記図1参照)。
この線材に800℃で80時間の拡散熱処理を行って、超電導線材とした。本発明材の超電導線材の断面を図7(図面代用電子顕微鏡写真)に示す。
このNb3Sn超電導線材を、液体ヘリウム中(4.2K)で14〜18Tの磁場(外
部磁場)における臨界電流密度Jcを測定したところ、下記のような値が得られた。これらの値を、前記図9に併せて示す。
[臨界電流密度Jcの測定値]
636A/mm2(14T)、572A/mm2(15T)、494A/mm2(16T
)、430A/mm2(17T)、357A/mm2(18T)
実施例3
外径:8mm、内径:5mmのNb−4.0原子%Ta合金製シース内に、外径:2.9mmのCu芯を挿入し、溝ロールにより1.0mm角正方形断面の複合芯材を作製した。
次に、厚さ:0.2mmのTaシートを外径:4.8mmとなるように2周重ね巻きし、外径:8mm、内径:5mmの安定化用Cuシース内に挿入し、Taシートの厚みが0.4mmとなるようにTaシート(Ta製シース)をCuシース内面に張り付けて二重構造の複合シースを作製した。この複合シース内の中央部に、先に作製した複合芯材を7本配置しておき、これに(複合シース材と複合芯材間に形成される空間内に)実施例1と同様にして作製したTa−Sn−Cu合金微粉末を充填し、溝ロールにより2.7mm角正方形断面に加工した後、伸線により外径:1.5mmの線材(一次超電導線)に加工した(前記図2参照)。伸線加工後の本発明材の一次超電導線材断面を図8(図面代用電子顕微鏡写真)に示す。
更に、この一次超電導線材の一部を伸線により外径:1.0mmまで加工した後、外径:8mm、内径:5mmのCuシース内に7本束ねて挿入し、伸線により1.5mmまで加工して二次スタック超電導線材としたが、芯材の断線は見られず、Cuを複合させた芯材を使用したことによる伸線加工性向上が認められた。
この線材に800℃で80時間の拡散熱処理を行って超電導線材とし、液体ヘリウム中(4.2K)で14〜18Tの磁場(外部磁場)における臨界電流密度Jcを測定したところ、下記のような値が得られた。これらの値を、前記図9に併せて示す。
[臨界電流密度Jcの測定値]
790A/mm2(16T)、670A/mm2(17T)、600A/mm2(18T

尚、上記実施例では、コア粉末としてTa粉末とSn粉末を基本成分として含むものを用いたけれども、Ta粉末の代わりにTaと同じVa族元素のNbやIVa族元素のTiを用いた場合にも同様の効果が発揮されることが確認できた。
本発明で用いる超電導原線の一構成例を示した概略断面図である。 本発明で用いる超電導原線の他の構成例を示した概略断面図である。 本発明で用いる超電導原線の更に他の構成例を示した概略断面図である。 本発明で用いる超電導原線の他の構成例を示した概略断面図である。 実施例1で得られた超電導線材(比較材)の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。 実施例1で得られた超電導線材(本発明材)の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。 実施例2で得られた超電導線材(本発明材)の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。 実施例3で得られた超電導線材(本発明材)の断面を示す図面代用顕微鏡写真である。 各実施例1〜3で得られたNb3Sn超電導線のJc特性と外部磁場Bとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 NbまたはNb基合金からなる芯材
2 TaまたはTa合金からなるシース
3 コア粉末
4 Cuシース
5 複合芯材
6 Cu芯
7 NbまたはNb基合金からなるシース
8 Nbシース
9 Cuマトリックス
10、11、12 一次超電導線

Claims (6)

  1. 粉末を用いて超電導線材を作製する方法によって製造されるNb3Sn超電導線材であって、安定化用Cuシース内に配置されたTaまたはTa合金製シース内に、NbまたはNb基合金からなる芯材を1本または複数本配置すると共に、前記TaまたはTa合金製シースと芯材間に形成される空間内に、TaとSnとの合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末に、更にCuを構成元素として0.3〜30質量%含有する粉末を充填し、これを縮径加工した線材を一次超電導線として作製されたものであることを特徴とする粉末法Nb3Sn超電導線材。
  2. 粉末を用いて超電導線材を作製する方法によって製造されるNb3Sn超電導線材であって、安定化用Cuシース内に配置されたTaまたはTa合金製シース内に、NbまたはNb基合金からなるパイプ状部材内にCu芯を配置した複合芯材を1本または複数本配置すると共に、前記TaまたはTa合金製シースと複合芯材間に形成される空間内に、Ta,NbおよびTiのうちの少なくとも1種の金属とSnとの合金粉末、金属間化合物粉末または混合粉末を充填し、これを縮径加工した線材を一次超電導線として作製されたものであることを特徴とする粉末法Nb3Sn超電導線材。
  3. 前記粉末は、更にCuを構成元素として含有したものである請求項2に記載の粉末法Nb3Sn超電導線材。
  4. TaまたはTa合金製シースの外周に、Nb製シースを配置した複合シース材を、安定化用Cuシース内に配置して作製されたものである請求項1〜3のいずれかに記載の粉末法Nb3Sn超電導線材。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の一次超電導線の複数本を、更にCuマトリックス内に埋設した線材を用いて作製されたものである粉末法Nb3Sn超電導線材。
  6. 請求項1〜4いずれかに記載の一次超電導線の複数本を、更にCuシース内に挿入した線材を用いて作製されたものである粉末法Nb3Sn超電導線材。
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