JP5557086B2 - Nb3Al超電導線材 - Google Patents

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Description

本発明は、NbAl超電導線材に関する。特に、本発明は、輸送臨界電流密度を高く維持できると共にkm級の長尺線材に適用できるNbAl超電導線材に関する。
一般的に、NbAl超電導線材は、ジェリーロール法と呼ばれる製造方法で作製される。例えば、NbシートとAlシートとをジェリーロール法により巻き上げてなる第1の線材をCuからなる安定化材で覆った第2の線材を形成して、第2の線材を複数本束ねてCuからなる筒に充填した後、当該筒に伸縮加工を施して、その後に加熱処理することによりNbAl系化合物超電導線材を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のNbAl系化合物超電導線材は上記のようにジェリーロール法により製造されるので、超電導線材として既に実用化されているNbTi超電導線材に比べて、特に、10T(テスラ)を超える中磁界における輸送臨界電流密度(以下、単に「Jc」とする)特性に優れ、かつ、NbSn化合物系超電導線材に比べて耐歪特性に優れている。したがって、12〜15T程度の磁界下で稼働する高エネルギー粒子加速器への適用が期待されている。
特開平4−132116号公報
しかし、特許文献1に記載のNbAl系化合物超電導線材を粒子加速器に適用した場合であって、超電導線材の内部に充填された超電導フィラメントが所定のサイズより大きい場合には、磁界の増加のための励磁運転中に磁気的不安定性(フラックスジャンプ)に起因する大きな電圧が発生して粒子加速器の稼働が停止する場合がある。斯かる問題を抑制することを目的として、各フィラメント間の結合を防止すべく、Nb/Alフィラメントの外周にバリア層としてのNbシートを巻くことが一般的に実施されている。しかしながら、Nbは液体ヘリウムの温度(4.2K)においては約0.5T以下の磁界下で超電導体になるので、多芯化されたフィラメントがあたかも一つの超電導フィラメント(すなわち、フィラメント同士が結合する)のように機能して、磁気的不安定性が更に増加する。したがって、バリア層としては、磁気的不安定性を無視することができると共に、放射化の影響が小さいTaの適用が要求されている。
そして、バリア層としてTaを用いたNbAl超電導線材の試作がなされてきた。しかしながら、Nb/Alフィラメントの硬度とTaからなるバリア層の硬度との硬度差が大きいことから、超電導線材の加工途中に線材の断線が多発するという問題がある。超電導線材の伸線加工性は、線材の断面内における材料の伸びの大きさと相関があり、断線の要因として、Nb/Alフィラメントの伸びにTaからなるバリア層の伸びが追従できないことが挙げられる。NbAl超電導線材を工業的に広く適用可能にするためには、最低でもkm級の多芯線材を製造することができ、かつ、磁界中で1000A/mm程度のJcを実現することができる超電導線材を提供する必要がある。
したがって、本発明の目的は、磁気的不安定性を生じさせるNb/Alフィラメント間の結合を抑制できると共に、高いJc特性を維持しつつ伸線加工時の断線を防止できる、高性能かつ長尺のNbAl超電導線材を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、巻芯と、Nb及びAlを含むと共に巻芯を覆うフィラメント層とを有する線材と、線材を覆う第1バリア層と、第1バリア層を覆うTaからなる第2バリア層とを有するシングル線を備え、シングル線の第1バリア層は、フィラメント層の硬度と第2バリア層の硬度との間の硬度を有するNbAl超電導線材が提供される。
また、上記シングル線は、巻芯とフィラメント層との間に、巻芯の硬度とフィラメント層の硬度との間の硬度を有する金属層を更に備えることができる。
また、上記NbAl超電導線材は、第1バリア層は、Nb又はNbを含む合金からなることが好ましい。
また、上記シングル線は、第1バリア層は、第2バリア層の厚さと第1バリア層の厚さとの合計厚さの0.2倍以上0.8倍以下の厚さを有することが好ましい。
また、上記NbAl超電導体は、複数本の上記シングル線を伸線加工することで得られるマルチ線を備えることができる。
本発明に係るNbAl超電導線材によれば、磁気的不安定性を生じさせるNb/Alフィラメント間の結合を抑制できると共に、高いJc特性を維持しつつ伸線加工時の断線を防止できる、高性能かつ長尺のNbAl超電導線材を提供できる。
本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の流れを示す図である。 本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の流れを示す図である。 本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の内容を示す図である。 本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の内容を示す図である。 本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の内容を示す図である。 本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の内容を示す図である。 本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の内容を示す図である。 本発明の実施の形態に係る前駆体シングル線の断面図である。 比較例に係る前駆体シングル線の断面図である。 実施例3に係る前駆体シングル線の断面図である。
[実施の形態の要約]
巻芯と、Nb及びAlを含むと共に前記巻芯を覆うフィラメント層とを有する線材を備えるNbAl超電導線材において、前記線材を覆う第1バリア層と、最終形状まで加工した際の前記第1バリア層を覆うTaからなる第2バリア層とを有し、前記第1バリア層は、前記線材の硬度と前記Ta層の硬度との間の硬度を有するNbAl超電導線材が提供される。
[実施の形態]
図1A及び図1Bは、本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の流れの一例を示し、図2A〜図2Eは、本発明の実施の形態に係るNbAl超電導線材の製造の内容の概要を示す。
本実施の形態に係るNbAl超電導線材は、NbAl化合物を含んで形成されるNbAl化合物系超電導線材であって、例えば、ジェリーロール法で製造されるNbAl超電導線材である。以下、詳述する。
(NbAl超電導線材の製造方法)
まず、アルミニウム(Al)から形成され、所定の厚さを有するAlシート10と、Nbから形成され、所定の厚さを有するNbシート20と、Nb又はTa等の高融点の金属材料から形成され、所定の径を有する巻芯30とを準備する。そして、図2Aの(a)に示すように、Alシート10とNbシート20とを巻芯30に合わせ巻きすることによりAlシート10とNbシート20とで巻芯30を覆う。これにより、図2Aの(b)に示すような線材としてのNb/Alフィラメント40が作製される(フィラメント作製工程:図1Aのステップ10。以下、ステップを単に「S」とする)。
次に、図2Aの(c)に示すように、Nb/Alフィラメント40の外周に、所定の長さ、所定の厚さを有する金属バリアシート50を巻き付ける。その後、図2Bの(a)に示すように、所定の長さ、所定の厚さを有するTaバリアシート60を巻き付けて、図2Bの(b)に示すようなジェリーロール/シングル線70を作製する(シングル線作製工程:図1AのS12)。ここで、本実施の形態に係る金属バリアシート50は、Nb/Alフィラメント40とTaバリアシート60との間に設けられ、Nb/Alフィラメント40の硬度(例えば、平均の硬さである)とTaバリアシート60の硬度との間の硬度を有する金属材料、例えば、Nb又はNbを含む合金から形成することができる。ここで、本実施の形態において特に断りのない限り、「硬度」とは、ビッカース硬度である。
なお、本実施の形態において、Nb/Alフィラメント40の硬度(H1)、Taバリアシート60の硬度(H2)、及び金属バリアシート50の硬度(H3)の関係は、H2>H3>H1を満たすようにする。ただし、斯かる硬度の関係は、後述する前駆体マルチ線に所定の加工を施す途中で変化する場合があるので、本実施の形態においては、後述する前駆体シングル線2の状態、すなわち、前駆体マルチ線を作製するために複数本の前駆体シングル線2を合金パイプ6に挿入する時点において斯かる硬度の関係が成立するようにする。
次に、図2Bの(c)に示すように、シングルビレット80にジェリーロール/シングル線70を充填する(シングルビレット充填工程:S14)。なお、シングルビレット80は、ジェリーロール/シングル線70の外径以上の内径を有すると共に、略円筒形の外形(すなわち、パイプ状)を呈する。そして、シングルビレット80は、例えば、銅(Cu)又はCu合金から形成することができ、本実施の形態では、Cuから形成することが好ましい。
ここで、ジェリーロール/シングル線70をシングルビレット80に充填することにより、ジェリーロール/シングル線70の外周をシングルビレット80で被覆する理由は以下のとおりである。すなわち、ジェリーロール/シングル線70の外表面が外部に露出した状態で後述するダイス伸線等の工程をジェリーロール/シングル線70が経ると、ダイス伸線時におけるダイスの焼き付き、ジェリーロール巻き線部分のずれ等の発生に起因して加工性が低下するので、斯かる加工性の低下の抑制を目的としている。したがって、シングルビレット80は、後の加工において加工性に優れ、伸線加工中にシングルビレット80に充填された材料に損傷を与えない限り、Cuを除く他の材料から形成することもできる。
次に、ジェリーロール/シングル線70を充填したシングルビレット80を所望の径、所望の長さまで加工して図2Cの(a)に示すような前駆体シングル線2を形成する(前駆体線材形成工程:S16)。例えば、ジェリーロール/シングル線70を充填したシングルビレット80に、静水圧押出及びダイス伸線による加工(伸線加工)を施すことにより、ジェリーロール/シングル線70を充填したシングルビレット80を所望の径、所望の長さまで加工する。これにより、図2Cの(a)に示すような前駆体シングル線2が作製される。なお、必要に応じて焼鈍処理をジェリーロール/シングル線70を充填したシングルビレット80に施すこともできる。
なお、本実施の形態において、焼鈍処理を施す工程は、NbとAlとの金属間化合物が実質的に生成しない条件で実施する。例えば、Nbの融点より低い温度(一例として、Nbの融点の1/2程度の温度)であって、不活性雰囲気又は真空での焼鈍処理を当該シングルビレット80に施す。より具体的には、例えば、約350℃の温度で、所定の時間、不活性ガス(例えば、アルゴンガス)フロー中又は真空中において焼鈍処理を実施する。
図3は、本発明の実施の形態に係る前駆体シングル線の断面の概要を示す。
前駆体線材形成工程を経て得られる前駆体シングル線2は、巻芯30と、巻芯30の外周を覆うフィラメント層としてのNb/Alフィラメント40と、Nb/Alフィラメント40を覆う金属バリアシート50からなる第1バリア層としての金属バリア52と、金属バリア52を覆うTaバリアシート60からなる第2バリア層としてのTaバリア62と、Taバリア62を覆うシングルビレット80とを有する。なお、第1バリア層としての金属バリア52は、Taバリア62の厚さの0.25倍以上4倍以下の厚さを有することが好ましい。すなわち、第1バリア層としての金属バリア52は、第2バリア層としてのTaバリア62の厚さと金属バリア52の厚さとの合計厚さの0.2倍以上0.8倍以下の厚さを有することが好ましい。また、巻芯30とフィラメント層としてのNb/Alフィラメント40との間に、巻芯30の硬度とフィラメント層の硬度との間の硬度を有する金属層を更に設けることもできる。
次に、シングルビレット80は、後述する加熱冷却処理(若しくは、急熱急冷処理)においては不要であるので、前駆体シングル線2の表面に露出しているシングルビレット80を除去する。例えば、シングルビレット80がCuから形成されている場合、所定の濃度の硝酸を主成分とするシングルビレット除去剤に前駆体シングル線2を所定の時間(例えば、数時間程度)、浸漬することにより、前駆体シングル線2の表面からシングルビレット80を除去する(シングルビレット除去工程:S18)。これにより、図2Cの(b)に示すようなシングルビレット80が除去された前駆体シングル線2aが形成される。
続いて、複数本の前駆体シングル線2aと、複数本の中心ダミー材4と、合金パイプ6とを準備する。そして、図2Dの(a)に示すように、複数本の前駆体シングル線2aと、機械的強度の確保と伸線加工性の向上とに寄与する複数本の中心ダミー材4と、外周ダミー材5とを、合金パイプ6に充填する(多芯ビレット形成工程:S20)。これにより、図2Dの(b)に示すような、マルチビレット7が得られる。なお、合金パイプ6は、加工性を考慮して、Ni含有量が30%以上の合金材料、例えば、CuNi合金から形成される。
なお、中心ダミー材4は、例えば、Nb又はTa等の金属材料から形成することができる。一例として、作製すべきNbAl超電導線材を加速器等に用いる場合であって、低放射化が要求される場合には、液体ヘリウムの温度下で磁気的な不安定性がNbよりも少ないTaを用いることが好ましい。一方、低放射化が要求されない場合には、Nb又はTaを用いることができる。なお、合金パイプ6は、所定の内径の略円筒形状を有する。また、前駆体シングル線2a、中心ダミー材4は、断面が六角形状を有するように加工することもできる。更に、複数の前駆体シングル線2aの大きさと複数の中心ダミー材4の大きさとは、略同一にすることもできる。
なお、一例として、132本の前駆体シングル線2aと、19本の中心ダミー材4と、Nb又はTaからなる外周ダミー材5とを合金パイプ6に充填することにより、151芯構造のマルチビレット7を作製することができる。前駆体シングル線2aの本数、中心ダミー材4の本数及び/又は材質は、作製すべきNbAl超電導線材の用途に応じて適宜増減させることができる。例えば、作製すべきNbAl超電導線材を交流に応用する場合には、前駆体シングル線2aにツイスト加工を施すことが好ましい。
次に、マルチビレット7を所望の径、所望の長さまで加工することにより前駆体マルチ線を作製する。すなわち、マルチビレット7に、静水圧押出及びダイス伸線による加工を施すことにより、マルチビレット7を所望の径、所望の長さまで加工する(前駆体マルチ線形成工程:S22)。なお、前駆体マルチ線形成工程において、所定の温度の焼鈍処理を実施することにより、前駆体マルチ線の断線を抑制することができる。
前駆体マルチ線の表面には、合金パイプ6が被覆されている。合金パイプ6は、後述する加熱冷却処理において不要であるので、除去する(合金パイプ除去工程:S24)。例えば、合金パイプ6がCuNi合金等のCu合金から形成されている場合、硝酸を主成分とするエッチング溶液(例えば、10%程度の濃度の硝酸)を用いて、前駆体マルチ線の表面を被覆している合金パイプ6を除去する。これにより、合金パイプ6が除去された前駆体マルチ線が得られる。
続いて、合金パイプ6を除去した前駆体マルチ線に加熱冷却処理(急熱急冷処理)を施して、過飽和固溶体線を作製する(熱処理工程:S26)。この加熱冷却処理は、前駆体マルチ線が有するAlシート10とNbシート20との過飽和固溶体を形成する処理である。すなわち、加熱冷却処理は、前駆体マルチ線を構成するAlとNbとからNb/Al過飽和固溶体を形成する。
例えば、前駆体マルチ線に電流を供給する。前駆体マルチ線に電流が供給されると、前駆体マルチ線は、自己通電加熱により1500℃から2000℃まで温度が上昇する。自己通電加熱により加熱するので、前駆体マルチ線は短時間で所定の温度まで急速に加熱される。続いて、加熱された前駆体マルチ線を、所定の冷却用のバス、例えば、ガリウム(Ga)バスに浸すことにより、急速冷却する。これにより、前駆体マルチ線を構成するAlとNbとが反応して、Nb/Al過飽和固溶体からなる過飽和固溶体線が形成される。そして、過飽和固溶体線に再加熱処理、すなわち、変態熱処理を施して、図2Eの(a)及び(b)に示すような、最終形状を有するNbAl超電導線材1が製造される(再加熱処理工程:S28)。なお、再加熱処理は、一例として、800℃、10時間程度の熱処理を過飽和固溶体線に施すことにより実施することができる。
なお、上記各工程において、静水圧押出の後に実施する径を縮小する縮径加工としてのダイス伸線は、以下のように実施できる。すなわち、縮径加工としては、ドローベンチ、スエージャー、カセットローラーダイス、又は溝ロールを用いて実施できる。そして、縮径加工における1パス当りの断面減少率が10〜30%程度の伸線加工を繰り返し実施する。
また、線材を多芯化する場合(例えば、S22)には、丸断面形状、又は六角断面形状に伸線加工した線材(例えば、前駆体シングル線2a、中心ダミー材4等)をパイプ(例えば、合金パイプ6等)に組み込み、上記の装置を用いて、1パス当りの断面減少率が10〜30%程度で、所望の線径まで伸線加工する。そして、所望する形状まで加工した線材(例えば、過飽和固溶体線)は、所定の温度下、所定の雰囲気下において所定の熱処理を施すことによって、高いJcを有する線材(例えば、NbAl超電導線材1)になる。なお、高いJcを実現することを目的として、最終的にNbAl相を形成するフィラメント部分のNb又はNb合金と、Al又はAl合金との体積比(Nb/Al)は、2.5〜4.0の範囲が望ましい。
また、本実施に形態に係るNbAl超電導線材1は、超電導マグネットに適用することができる。具体的に、本実施の形態に係るNbAl超電導線材は、高靭性・高硬度性という特性を有しているので、線材自身の降伏応力、引っ張り強度、ヤング率等の機械的強度が優れている。したがって、本実施の形態に係るNbAl超電導線材は、強磁場における電磁力に耐えることのできる超電導マグネットの製造に適用できる。更に、本実施の形態に係るNbAl超電導線材は、両端抵抗を十分に抑えることにより、永久電流超電導マグネットに適用することができる。
また、本実施の形態に係るNbAl超電導線材を、例えば、液体ヘリウム中で使用する場合、金属系超電導体又は酸化物超電導体と組合せさせる構造にすることで、より強い磁場を発生する超電導マグネット等の実用導体を実現できる。この場合における金属系超電導体としては、NbTi系合金、NbSn系化合物、VGa系、MgB系、及び/又はシェブレル系化合物等を用いることができ、若しくは、必要に応じて2種以上のマグネットを配置することができる。なお、酸化物超電導体には、Y系、Bi系、Tl系、Hg系、又はAg−Pb系の超電導体を用いることができる。
更に、本実施の形態に係るNbAl超電導線材1を冷凍機伝導冷却で使用する場合には、NbAl超電導線材1と、MgB系又は酸化物超電導体とを組み合わせることにより、より高性能の超電導マグネット等の実用導体を実現できる。
そして、本実施の形態に係るNbAl超電導線材1は、臨界温度以下の環境において超電導性を発現すると共に、高いJcを維持しつつ、km級の長尺線材として用いることができる。例えば、NbAl超電導線材1は、送電ケーブル、核磁気共鳴分析装置、医療用磁気共鳴診断装置、磁気分離装置、磁場中単結晶引き上げ装置、超電導発電機、核融合炉用マグネット、高エネルギー粒子加速器用マグネット等の機器に適用することができる。
特に、高エネルギー粒子加速器等の放射線環境下における超電導マグネットに従来のNbAl超電導線材を適用する場合には、超電導線材が放射化して超電導特性が低下する等の被爆管理等の問題が生じる。一方、本実施の形態に係るNbAl超電導線材1は、中心ダミー材4を半減期が短いTaから形成することができ、斯かる場合、NbAl超電導線材1自身の低放射化を図ることができる。なお、中心ダミー材4をTaから形成することは、TaがNbに比べて液体ヘリウム温度下における磁気的な安定性に優れていることからも好ましい。
(実施の形態の効果)
本実施の形態においては、Nb/Alフィラメント40とTaバリア62との間に、Nb/Alフィラメント40を構成する材料のビッカース硬さとTaバリアを構成する材料のビッカース硬さとの間のビッカース硬さを有する材料からなる金属バリア52を備えているので、前駆体シングル線2の断面内におけるNb/Alフィラメント40からTaバリア62に至るまでのビッカース硬さの差の傾斜を、金属バリア52を備えていない場合に比べて緩やかにすることができる。これにより、加工性を向上させて断線を抑制できると共に、高Jc化(例えば、1000A/mm程度のJc)と長尺化(例えば、km級)とを両立することができるNbAl超電導線材1を提供することができる。また、Nb/Alフィラメント40と巻芯30との間に、巻芯30を構成する材料のビッカース硬さとNb/Alフィラメント40を構成する材料のビッカース硬さとの間のビッカース硬さを有する材料からなる金属層を更に導入することもでき、斯かる場合、NbAl超電導線材1のより一層の高Jc化及び長尺化を図ることができる。
実施例1に係る前駆体マルチ線は、以下のように製造した。まず、出発素材として、厚さ0.03mmのAlシート10と厚さ0.10mmのNbシート20とを準備した。次に、Alシート10とNbシート20とを巻芯30として直径2mmのTa棒に合わせ巻きした。これにより、外径が約11.8mmであるNb/Alフィラメント40を作製した。続いて、Nb/Alフィラメント40の外周に厚さ0.1mmのNbシートを金属バリアシート50として5ターン巻き付けて、外径を約12.8mmにした。更に、金属バリアシート50の外周に厚さ0.1mmのTaシートをTaバリア62として5ターン巻き付けることにより、外径が約13.8mmの実施例1に係るジェリーロール/シングル線70が得られた。
次に、得られたジェリーロール/シングル線70を、外径17mm、内径14.5mm、長さ160mmのシングルビレット80としてのCuパイプに充填した。そして、ジェリーロール/シングル線70を充填したCuパイプを、押出機を用いて線径7mmまで押出加工した。次に、ドローベンチを用いて、最終的に六角対辺長が4.30mmになるように伸線加工した。これにより、前駆体シングル線2を得た。
続いて、前駆体シングル線2の全体を硝酸に浸すことにより、前駆体シングル線2の外周を覆うCuパイプを完全に除去した。これにより、六角対辺長が3.95mmの前駆体シングル線2aが得られた。次に、前駆体シングル線2aを、長さ300mmごとに切断した。そして、外径59.0mm、内径54.0mmのCuNi合金パイプに、六角対辺長が2.55mmであり、Taからなる7本の中心ダミー材と、Taからなる外周ダミー材と共に、切断した複数本の前駆体シングル線2aを組み込んで多芯線を作製した。具体的には、中心ダミー材をCuNi合金パイプの中心付近に位置するように配置して、前駆体シングル線2aを中心ダミー材の周囲に位置するように配置すると共に、前駆体シングル線2aとCuNi合金パイプの内表面との間に位置するように外周ダミー材を配置することにより多芯線を作製した。なお、組み込み後の断面の概要は、図2Eの(b)に示すとおりである。
次に、押出機を用いてこの多芯線に押出加工を施して、線径を29.0mmまで加工した。その後、1パスあたりの断面減少率が10%から30%の範囲内に収まるようにして、ドローベンチ、釜状の伸線機を用いて伸線加工を継続した。その結果、線径が1.0mmになるまで断線を発生させずに伸線加工ができ、前駆体マルチ線が得られた。その後、伸線加工を継続したが、線径が0.82mm近傍で断線が多発することが分かった。
実施例1においては、Nb/Alフィラメント40とTaバリア62との間に、Nb/Alフィラメント40の硬度とTaバリア62の硬度との間の硬度を有するNbからなる金属バリア52を用いたが、その後の実験により、Nb合金、例えば、Taの重量比が50%以下のNb−Ta合金、Tiの重量比が50%以下のNb−Ti合金を金属バリア52に用いた場合であっても実施例1と同様の効果が得られることが分かった。更に、非磁性の他の金属を用いた場合であっても実施例1と同様の効果が得られることが分かった。ただし、急熱急冷処理を実施する熱処理工程において1500℃を超える温度での熱処理を実施するので、融点が1500℃を超え、かつ、超電導特性を低下させない材料であることを要する。なお、CuNi合金パイプに充填する前駆体シングル線2aの本数については特に限定されない。当該本数を実施例1の本数と異なる本数にした場合であっても同様の結果が得られた。すなわち、実施例1に係る前駆体マルチ線を用いて作製されるNbAl超電導線材1が適用される機器に応じて前駆体シングル線の本数を変更しても、実施例1と同様の効果が得られることが示された。
(比較例)
図4は、比較例に係る前駆体シングル線の断面の概要を示す。
比較例に係る前駆体シングル線3は、実施例1に係る前駆体シングル線2と異なり、Nb/Alフィラメント40とTaバリア62との間にNbからなる金属バリア52を設けていない点を除き実施例1と同様にして作製した。すなわち、外径が約11.8mmであるNb/Alフィラメント40を作製して、Taバリア62の厚さが約2.0mmになるようにNb/Alフィラメント40の外周にTaシートを所定ターン巻き付けて、外径が約13.8mmの比較例に係るジェリーロール/シングル線を作製した。そして、実施例1と同様にして当該ジェリーロール/シングル線とCuパイプとから、図4に示す断面を有するような比較例に係る前駆体シングル線3を作製した。
実施例1と同様の工程でNbAl超電導線材の作製を試みたが、線径が2.1mm〜1.8mmに縮径させると、断線が頻発に発生した。光学顕微鏡を用いて断線した部分の破断面を観察した結果、Nb/Alフィラメント40とTaバリア62との界面近傍が、断線の起点になっていることが分かった。
実施例2に係る前駆体マルチ線は、以下のように製造した。まず、出発素材として、厚さ0.025mmのAlシート10と厚さ0.08mmのNbシート20とを準備した。次に、Alシート10とNbシート20とを巻芯30として直径2mmのTa棒に合わせ巻きした。これにより、外径が約11.5mmであるNb/Alフィラメント40を作製した。続いて、Nb/Alフィラメント40の外周に厚さ0.1mmのNbシートを金属バリアシート50(すなわち、線材の状態で金属バリア52になる)として巻き付けた後、金属バリアシート50の外周に厚さ0.1mmのTaシートをTaバリア62として巻き付けることにより、外径が約13.8mmの実施例2に係るジェリーロール/シングル線70が得られた。
実施例2においては、金属バリア52の厚さと、Taバリア62の厚さとを変化させて伸線加工性を比較した。具体的には、金属バリア52の厚さとTaバリア62の厚さとの合計を基準の厚さにした場合に、金属バリア52の厚さが当該基準の厚さの0.05倍〜0.95倍(すなわち、厚さの比率で5%〜95%)になるようにジェリーロール/シングル線を作製した。例えば、金属バリア52の厚さが基準の厚さの0.5倍の厚さである場合に、金属バリア52の厚さとTaバリア62の厚さとが等しくなる。
表1に示した厚さの比率で作製したジェリーロール/シングル線のそれぞれを、外径が16mm、内径が14mm、長さが150mmのCuパイプに充填してマルチビレットを作製した。そして、線径が8mmになるまで押出機を用いてマルチビレットに押出加工を施した。その後、ドローベンチを用いて、最終的に六角対辺長が4.30mmになるように押出加工後のマルチビレットに伸線加工を施して、前駆体シングル線を作製した。
Figure 0005557086
続いて、前駆体シングル線の全体を硝酸に浸すことにより、前駆体シングル線の外周を覆うCuパイプを完全に除去した。これにより、六角対辺長が3.95mmの前駆体シングル線が得られた。そして、この前駆体シングル線に、断面が六角形状になるように伸線加工を施した後、所定の長さに切断した。そして、切断した複数本の前駆体シングル線を、実施例1と同様にして、外径59.0mm、内径53.2mmのCuNi合金パイプに、中心ダミー材と外周ダミー材と共に組み込んで多芯線を作製した。そして、押出機を用いてこの多芯線に押出加工を施して、線径が28mmになるまで加工した。その後、ドローベンチ、釜状の伸線機を用いて伸線加工を継続することにより前駆体マルチ線を作製した。ここで、作製した前駆体マルチ線は表1に示す9種類であり、断線開始時の径を用いて伸線加工性を比較した。
具体的に、表1には、金属バリア52の厚さとTaバリア62の厚さとの合計を「1」に規格化した場合における金属バリア52の厚さの比率と、前駆体マルチ線の断線開始時の線径を示す。また、Nbからなる金属バリア52とNb/Alフィラメント40との結合状態についても調査した。すなわち、前駆体マルチ線に含まれる一の前駆体シングル線のNbからなる金属バリア52と、他の前駆体シングル線のNbからなる金属バリア52同士の結合を抑制するために、Taバリア62の厚さをどの程度の厚さにすることを要するのかについて明確にすべく、実験を実施した。なお、実験方法は、4.2Kの温度下で、作製した前駆体マルチ線の磁化特性を評価することにより発生するフラックスジャンプの有無で判断した。
表1を参照すると、金属バリア52の厚さの比率の増加と共に、前駆体マルチ線の断線がしにくくなることが示された。すなわち、Nbからなる金属バリア52の厚さを厚くしてTaからなるTaバリア62の厚さを薄くすることで、より細い線径にまで前駆体マルチ線を伸線できることが示された。しかしながら、Taバリア62の厚さを薄くしすぎると、加速器への応用等においては、特に重要になるNbを介した前駆体シングル線同士の結合が、前駆体マルチ線の断面内で発生していることが確認された。したがって、伸線加工、押出加工等を施す前(すなわち、前駆体マルチ線を製造するために金属バリア52の原料を準備した段階)における金属バリア52の厚さは、金属バリア52の厚さとTaバリア62の厚さとの合計の厚さに対して、0.2倍以上0.8倍以下にすることが好ましいことが示された。
図5は、実施例3に係る前駆体シングル線の断面の概要を示す。
実施例3に係る前駆体マルチ線は、以下のように製造した。まず、巻芯30を作製する際に、直径が8mmのTa丸棒の外周に、厚さが0.2mmの金属バリア54としてのNbシートを20ターン巻き付けて、直径が16mmの(Ta+Nb)材を作製した。その後、外径が16.5mmの巻芯作製用のCuパイプに(Ta+Nb)材を組み込んで、押し出し加工及び伸線加工を施した。そして、最終的に直径が2mmである(Ta+Nb)巻芯を作製した。
(Ta+Nb)巻芯に、厚さ0.03mmのAlシート10と厚さ0.10mmのNbシート20とを合わせ巻きして、外径が約11.8mmであるNb/Alフィラメント40を作製した。続いて、Nb/Alフィラメント40の外周に厚さ0.1mmのNbシートを金属バリアシート50として5ターン巻き付けて、外径を約12.8mmにした。更に、金属バリアシート50の外周に厚さ0.1mmのTaシートをTaバリア62として5ターン巻き付けることにより、外径が約13.8mmの実施例3に係るジェリーロール/シングル線70が得られた。ここで、実施例3においては、Taの硬度とNb/Alフィラメント40の硬度との間の硬度を有するNbシートを、Ta丸棒とNb/Alフィラメント40との間に設けた点が、実施例1及び2とは異なる点である。
次に、得られたジェリーロール/シングル線70を、外径17mm、内径14.8mm、長さ100mmのシングルビレット80としてのCuパイプに充填した。そして、ジェリーロール/シングル線70を充填したCuパイプを、押出機を用いて線径7mmまで押出加工した。次に、ドローベンチを用いて、最終的に六角対辺長が4.30mmになるように伸線加工した。これにより、実施例3に係る前駆体シングル線2を得た。
続いて、前駆体シングル線2の全体を硝酸に浸すことにより、前駆体シングル線2の外周を覆うCuパイプを完全に除去した。これにより、六角対辺長が2.55mmの前駆体シングル線2aが得られた。次に、前駆体シングル線2aを、長さ300mmごとに切断して276本の前駆体シングル線2aを作製した。そして、外径59mm、内径54mmのCuNi合金パイプに、六角対辺長が2.55mmであり、Taからなる37本の中心ダミー材と、切断した276本の前駆体シングル線2aとを組み込むと共に、前駆体シングル線2aの最外周に厚さが0.2mmのTaからなる外周ダミー材としてのTaシートを5ターン巻き付けて多芯線を作製した。
次に、押出機を用いてこの多芯線に押出加工を施して、線径を29.0mmまで加工した。その後、1パスあたりの断面減少率が10%から30%の範囲内に収まるようにして、ドローベンチ、釜状の伸線機を用いて伸線加工を継続した。その結果、線径が1.0mmになるまで断線を発生させずに伸線加工ができ、前駆体マルチ線が得られた。その後、伸線加工を継続したが、線径が0.72mm近傍で断線が多発することが分かった。
実施例1のように巻芯30がTa棒である場合には、線径が0.82mm程度までが前駆体マルチ線の伸線加工の限界であったが、実施例3のように巻芯30を(Ta+Nb)巻芯にすることにより、伸線加工性の向上が確認された。
実施例3においては、Taからなる丸棒とNb/Alフィラメント40との間に、Nb/Alフィラメント40の硬度とTaからなる丸棒の硬度との間の硬度を有するNbからなるNbシートを用いたが、その後の実験により、Nb合金、例えば、Taの重量比が50%以下のNb−Ta合金、Tiの重量比が50%以下のNb−Ti合金をNbシートの代わりに用いた場合であっても実施例3と同様の効果が得られることが分かった。更に、非磁性の他の金属を用いた場合であっても実施例3と同様の効果が得られることが分かった。ただし、急熱急冷処理を実施する熱処理工程において1500℃を超える温度での熱処理を実施するので、融点が1500℃を超え、かつ、超電導特性を低下させない材料であることを要する。
なお、CuNi合金パイプに充填する前駆体シングル線2aの本数については特に限定されない。当該本数を実施例3の本数と異なる本数にした場合であっても同様の結果が得られた。すなわち、実施例3に係る前駆体マルチ線を用いて作製されるNbAl超電導線材1が適用される機器に応じて前駆体シングル線の本数を変更しても、実施例3と同様の効果が得られることが示された。
実施例1〜3、及び比較例に係る実験以外の実験により、Nb/Alフィラメント40に対して金属バリア52及びTaバリア62の厚さを厚くして、前駆体マルチ線の断面におけるバリア層(ただし、以下の実施例における記載において、「バリア層」とは、金属バリア52及びTaバリア62の双方を指す)の比率を高めることは、前駆体マルチ線の製造の歩留り向上に有効であるという結果が得られた。しかしながら、バリア層は線材断面内における超電導体が占める率、すなわち、超電導占積率を低下させるので、線材の断面積が同一であれば、バリア層の厚さを薄くして(例えば、金属バリア52の厚さとTaバリア62の厚さとの合計の厚さを薄くするか、又は金属バリア52の厚さ及びTaバリア62の厚さのいずれかを薄くする)、超電導占積率を増加させる方が臨界電流は向上する。したがって、NbAl超電導線材の特性を向上させる観点からは、バリア層、中心ダミー材の断面における割合を低下させることが要求される。
実施例4においては、斯かる割合を「マトリックス比」と称する。すなわち、「マトリックス比」は、線材の断面に占める超電導体の面積を基準にした場合におけるバリア層の面積(金属バリア52の面積とTaバリア62の面積との合計の面積)の比率である。具体的には、Nb及びAlからなるNbAl超電導体が線材の断面において占める面積を「1」に規格化した場合に、当該断面におけるバリア層の面積の割合である。そして、実施例4においては、マトリックス比の最適値を検討した。その結果を表2に示す。
Figure 0005557086
ここでは表2に示す6種類の線材を作製して、断線開始時における線径を用いて伸線加工性を比較した。また、線径を1.3mmまで伸線加工した線材については、急熱急冷処理と変態熱処理とを当該線材に施すことにより、NbAl超電導線材を作製して、液体ヘリウム温度で磁場を20Tまで印加して臨界電流(Ic)を測定した。
表2を参照すると、マトリックス比が0.6以下の場合、線径が1.45mmよりも太い線径において断線が発生して、臨界電流も低いことが示された。臨界電流が低下した原因は、バリア層が薄くなりすぎることでバリア層の一部が欠損して、バリア層の機能が失われたことにより、急熱急冷処理、変態熱処理時に非超電導層が生成したことに起因することが分かった。また、伸線加工性について、断線開始時の線径が1mm以上の場合に伸線加工性に優れるというように定義すると、マトリックス比は0.75以上が好ましいことが示された。
したがって、NbAl超電導線材の断面の超電導体の面積を「1」にした場合に、マトリックス比が0.75以上であれば、超電導体の面積比を必要以上に減少させることを要さずに、高い超電導特性を維持できることが示された。また、マトリックス比を0.75以上にすることで、伸線加工時の断線を抑制できることが示された。
したがって、線材の断面に占める超電導体の面積を「1」に規格化した場合に、マトリックス比が0.75程度であれば、超電導体の面積比を必要以上に減少させることがなく、高い超電導特性を維持することができ、かつ、伸線加工時の断線を抑制することができる。したがって、本発明に係る実施例によれば、超電導特性に寄与しないバリア層、中心ダミー材を必要以上に用いることを要さない。更に、NbAl超電導線材の生産性、及び歩留りを向上させることができる。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
1、1a NbAl超電導線材
2、2a 前駆体シングル線
3 前駆体シングル線
4 中心ダミー材
5 外周ダミー材
6 合金パイプ
7 マルチビレット
10 Alシート
20 Nbシート
30 巻芯
40 Nb/Alフィラメント
50 金属バリアシート
52、54 金属バリア
60 Taバリアシート
62 Taバリア
70 ジェリーロール/シングル線
80 シングルビレット

Claims (5)

  1. 巻芯と、Nb及びAlを含むと共に前記巻芯を覆うフィラメント層とを有する線材と、
    前記線材を覆う第1バリア層と、
    前記第1バリア層を覆うTaからなる第2バリア層とを有するシングル線を備え、
    前記シングル線の前記第1バリア層は、前記フィラメント層の硬度と前記第2バリア層の硬度との間の硬度を有するNbAl超電導線材。
  2. 前記シングル線は、前記巻芯と前記フィラメント層との間に、前記巻芯の硬度と前記フィラメント層の硬度との間の硬度を有する金属層を更に備える請求項1に記載のNbAl超電導線材。
  3. 前記第1バリア層は、Nb又はNbを含む合金からなる請求項2に記載のNbAl超電導線材。
  4. 前記シングル線の前記第1バリア層は、前記第2バリア層の厚さと前記第1バリア層の厚さとの合計厚さの0.2倍以上0.8倍以下の厚さを有する請求項3に記載のNbAl超電導線材。
  5. 複数本の請求項1〜4のいずれか1項に記載の前記シングル線を伸線加工することで得られるマルチ線を備えるNbAl超電導線材。
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