JP2006131777A - スチレン系発泡性樹脂粒子、発泡ビーズ及び成形品 - Google Patents

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誠 国見
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Abstract

【課題】 低VOC(低揮発性有機化合物)性能を有し、使用限界倍数が高いスチレン系発泡性樹脂粒子、スチレン系発泡ビーズ、及び発泡成形品を提供する。
【解決手段】
スチレン系単量体の懸濁重合において、重合後期に、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下に低く保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて、重合反応を進め、発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。この方法により得られる粒子は外側の分子量が選択的に高くなる。発泡剤としてペンタンを含浸することにより、低VOC(低揮発性有機化合物)性能が可能となり、さらに、外側の分子量が高いため、発泡粒子の外観や強度に優れる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スチレン系発泡性樹脂粒子、発泡ビーズ及び成形品に関し、特に、ペンタンで発泡させたスチレン系発泡性樹脂粒子、発泡ビーズ及び成形品に関する。
近年、環境保護、人体への影響を考慮して、建築材料や構造部材等に代表される建築用材料は、空気中に揮発する有機化合物、すなわち揮発性有機化合物(Volatail Organic Compounds=略称VOC)を減少させた、低VOC性能を有することが求められている。現在、このVOCの定義は、世界保健機構(WHO)が常温で揮発する有機化合物の沸点をもとに約50物質をガイドラインとして定めており、国内では厚生労働省が14物質について気中濃度の指針値を定めている。
スチレン系発泡性樹脂は、優れた断熱性、経済性、衛生性を特徴として多くの食品容器、梱包材、緩衝材等に用いられている。これらの発泡成形品は、スチレン系発泡性樹脂粒子をスチーム等により加熱、所望の嵩密度まで予備発泡し、熟成工程を経た後、成形金型に充填され再度加熱発泡成形する方法により製造される。
スチレン系発泡性樹脂粒子は、スチレンモノマーを重合させて、その際、発泡剤を含浸させて製造する。従来よりスチレン系発泡性樹脂粒子においては、樹脂粒子の可塑性を付与する目的に、スチレンモノマーやトルエン、エチルベンゼン、キシレン等の揮発性有機化合物が用いられてきた。しかしながら、現在は揮発性有機化合物を使用しない又は、低減するという低VOC性能を有することが強く求められている。
スチレン系発泡性樹脂粒子において低VOC性能を有し、かつ高発泡性と外観や強度という成形品品質を両立させるためには、樹脂粒子自体の分子量を小さくする方法や揮発性有機化合物の代わりとなる可塑剤を添加する方法がとられてきた。一般的に、発泡剤としてブタンを用いた場合、揮発性有機化合物の含有量を少なくすると、発泡し難くなるため、揮発性有機化合物含有量を十分に減らすことができなかった。一方、ペンタンを発泡剤として用いる場合は、ペンタンが可塑剤として機能するため揮発性有機化合物の含有量を少なくしても、十分に発泡が可能であった。しかし、ペンタンを発泡剤として用いる粒子は、発泡倍数が高したときの発泡ビーズの収縮が大きく、また、成形体としたときの外観や融着性、強度といった品質が低下するため、高い発泡倍数で使用することができなかった。特に、魚箱類の食品容器や梱包材、緩衝材等の成形品強度を主に要求する用途に用いられる場合にペンタンを用いると、品質面からその使用限界倍数は50〜58倍が限界であり、その用途が限定されていた。そのため、低VOC性能を有し、使用できる倍数(使用限界倍数)が高いスチレン系発泡性樹脂粒子が求められている。
一方、本出願人は、重合後期の酸素濃度を低くすることにより、さらには重合後期にスチレン単量体を追加することにより、スチレン系発泡性樹脂粒子の内側の分子量を低く保ちながら、外側の分子量を高くできることを見出し、発泡成形品の強度が大きくかつ発泡性が高いスチレン系発泡性樹脂粒子を開発した(特許文献1)。
米国特許出願公開第2003/0212156号明細書
本発明は、低VOC(低揮発性有機化合物)性能を有し、使用限界倍数が高いスチレン系発泡性樹脂粒子、スチレン系発泡ビーズ、及び発泡成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究の結果、重合後期の酸素濃度を低くして、さらには重合後期にスチレン単量体を追加することにより、スチレン系発泡性樹脂粒子の外側の分子量を高くすると共に、発泡剤としてペンタンを使用すると、発泡後の収縮が少なく、従来ペンタンでは得られなかった良好な外観の粒子が得られること、即ち、低VOC性能であってかつ使用限界倍数が高い粒子が得られることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下のスチレン系発泡性樹脂粒子、スチレン系発泡ビーズ、及び発泡成形品が提供される。
1.スチレン系単量体の懸濁重合において、
重合後期に、反応槽内の酸素を強制的に排出することにより酸素濃度を低く保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
2.スチレン系単量体の懸濁重合において、
重合後期に、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下に低く保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
3.スチレン系単量体の懸濁重合において、
重合開始から、重合後期まで、反応槽内の酸素を強制的に排出することにより酸素濃度を低く保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
4.スチレン系単量体の懸濁重合において、
重合開始から、重合後期まで、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下に保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
5.スチレン系単量体の懸濁重合において、
重合開始から、重合後期まで、反応槽内の酸素濃度を1体積%以下に保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
6.前記重合後期が、重合率が60%以上のときである1〜5のいずれかに記載のスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
7.前記添加するスチレン系単量体が、前記スチレン系発泡性樹脂粒子の5重量%〜30重量%である1〜6のいずれかに記載のスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
8.1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られるスチレン系発泡性樹脂粒子。
9.粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分の重量平均分子量が、前記中心から前記表面に向かって中心から1/5までを形成する中心部分の重量平均分子量より高く、
前記表面部分のゲルパーミエーションクロマトグラフ法のチャートが二山又はショルダーを有し、
ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
10.前記中心部分の重量平均分子量が200,000〜300,000の範囲であり、
前記表面部分の重量平均分子量が300,000〜450,000の範囲であり、
前記表面部分の重量平均分子量が、前記中心部分の重量平均分子量に対して、1.2倍以上大きい9記載のスチレン系発泡性樹脂粒子。
11.粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分の、GPC/MALLS法により測定したlog(R.M.S半径)とlog(Mw)との相関式の傾きが、0.53以下であり、
ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
12.樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分を、さらに表面から中心に向かって6等分したときの表面から1/6〜6/6までを形成する部分において、重量平均分子量が表面に向かって低下せず、
ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
13.樹脂粒子全体の重量平均分子量(A)に対する、前記6等分した表面から1/6までを形成する最表面部分の重量平均分子量(B)の比率(B)/(A)×100(%)が、130以上である12記載のスチレン系発泡性樹脂粒子。
14.樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分のゲルパーミエーションクロマトグラフ法のチャートが二山又はショルダーを有し、
樹脂粒子全体の重量平均分子量(A)に対する、前記表面部分をさらに表面から中心に向かって6等分した表面から1/6までを形成する最表面部分の重量平均分子量(B)の比率(B)/(A)×100(%)が、130以上であり、
ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
15.使用限界倍数が60ml/g以上の、ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
16.8〜15のいずれかに記載のスチレン系発泡性樹脂粒子を発泡させて得られるスチレン系発泡ビーズ。
17.16記載のスチレン系発泡ビーズを成形させて得られるスチレン系発泡成形品。
18.発泡倍数が60ml/g以上である17記載のスチレン系発泡成形品。
19.曲げ強度が0.285MPa以上であり、外観が90%以上である18記載のスチレン系発泡成形品。
本発明によれば、低VOC(低揮発性有機化合物)性能を有し、使用限界倍数が高いスチレン系発泡性樹脂粒子、スチレン系発泡ビーズ、及び発泡成形品を得ることができる。
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は、スチレン系単量体を重合して得られる。スチレン系単量体として、スチレン、又はスチレンを主成分とし、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類との混合単量体を使用できる。また、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート等の架橋剤を使用しても差し支えない。
スチレン系発泡性樹脂粒子を製造する方法は懸濁重合が好ましく、これは従来公知の方法を採用することができる。一般に、分散剤を含む水性媒体中に有機過酸化物等の触媒を溶解したスチレン系単量体を分散してラジカルを発生させて重合を行なう。
分散剤として、難溶性無機塩と界面活性剤を併用してもよいし、PVA等の有機分散剤等従来公知のものを使用することができる。
難溶性無機塩として、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等が使用できる。界面活性剤として、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、その他懸濁重合に一般的に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれでも使用できる。有機分散剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等が使用できる。
有機過酸化物は、10時間半減分解温度が50〜100℃である従来公知のものを使用できる。例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t―ブチルパーオキシベンゾエート、t―ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト等がある。有機過酸化物は、重合性単量体に対して0.001重量%〜0.5重量%使用するのが好ましい。有機過酸化物は一又は二以上用いることができる。
全体の分子量は、触媒濃度を調整するか、連鎖移動剤を併用するか、又はこれら両方により調整できる。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、α―メチルスチレンダイマー等の従来公知のものが使用できる。連鎖移動剤の添加量は、重合性単量体に対して20ppm〜100ppm使用することが好ましい。
本発明の製造方法においては、少なくとも、重合後期のとき、反応槽内を低酸素濃度に保ちながらスチレン系単量体を添加して反応を進め、重合反応の完了前又は重合反応の完了後に、昜揮発性発泡剤を含浸する。
この方法では、重合開始又は重合途中より、反応槽内を低酸素濃度にしてもよいが、少なくとも重合後期には低酸素濃度にする。
一般に、反応槽内に酸素が存在した状態で重合が進む場合、スチレン系樹脂粒子中の低分子量物の形成量は増加する。特に、重合後期においては、残存する少ない重合触媒やラジカルを停止するため、スチレン系樹脂粒子表面層で低分子量物が形成され易く、そのため、成形品の外観を損なうこととなる。
一方、本発明の製造方法では、重合後期に、反応槽内を低酸素濃度に保っているため、このような低分子量物の発生を抑制することが可能となる。酸素濃度は、好ましくは7体積%以下、より好ましくは5体積%以下、特に好ましくは1体積%以下に保つ。酸素濃度は、反応槽内の酸素を強制的に排出して、例えば、窒素等の不活性ガスで置き換えることにより調節できる。
また、重合後期は、好ましくは重合率が60%以上、より好ましくは60%以上97%未満の時期である。
重合率が60%より低い場合、スチレン系樹脂粒子へのスチレン系単量体の吸収が促進し、中心部分の分子量が高分子量化するため、発泡力及び成形品の融着が低下する恐れがある。また、重合率が97%以上の場合、樹脂粒子へのスチレン系単量体の吸収が低下し、樹脂粒子内のラジカル量及び重合触媒量が減少し、樹脂粒子最表面部の分子量が低分子量化するため、発泡成形時において熱融着が促進しすぎて、成形品の強度を低下させると共に表面仕上がりを悪化させる恐れがある。重合率85以上97%未満での追加がより好ましい。
本発明の第一の製造方法では、重合率が60%以上、好ましくは60%以上97%未満において、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下に保ちつつ、スチレン系単量体を添加する。
酸素濃度が7体積%を超えると、スチレン系単量体を添加して反応を進める際に、スチレン系樹脂粒子の表面層で低分子量物が形成される恐れがある。表皮での低分子量物の生成は、発泡成形時において熱融着が促進しすぎて、成形品の強度を低下させると共に表面仕上がりを悪化させる。
また、本発明の第二の製造方法では、重合開始から、重合率が60%以上、好ましくは60%以上97%未満において、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下、特に1体積%以下に保ちつつ、スチレン系単量体を添加する。
この場合、反応槽内の酸素濃度は、重合を開始する際に反応槽内の酸素濃度を予め窒素等により置換し、1体積%以下とする。酸素濃度は少ないほど良い。その後、重合を進めるにあたり、反応槽内への酸素侵入を防止するために、そのまま反応槽内への窒素等の置換を継続してもよいし、置換終了後に反応槽内を密閉してもよい。
反応槽内を密閉して重合を進める場合は、重合反応物の仕込み温度から反応温度への昇温に際して、又は重合触媒の反応に際して、水分中及びスチレン単量体中に含まれる酸素、撹拌により液中に巻き込まれた酸素、さらに重合反応時に発生する酸素等が析出してくるため、酸素濃度が1体積%を超えるときは、再度窒素等により置換する。
反応槽内の酸素濃度は、追加するスチレン単量体の添加が完了するまで1体積%以下で管理する。重合中に酸素濃度を1体積%以下に保つため、酸素濃度計を接続して管理するとよい。
酸素濃度が1体積%以下であると、高分子量化がさらに進み、成形品の強度を大きくすることができる。
スチレン系単量体の添加量は、最終的に得られるスチレン系樹脂粒子に対して5重量%〜30重量%であることが好ましい。より好ましくは、10重量%〜15重量%の範囲である。
添加量が5重量%より少ない量では、スチレン系樹脂粒子における最表面部の高分子量化効果が小さく、強度向上効果を十分に得られない場合がある。反面、添加量が30重量%より多い量では、樹脂粒子を軟化し、スチレン系単量体の吸収が促進され中心部の分子量が高分子量化する等粒子内の最も高分子量化する部分が中心部へ移動するため、発泡力が低下し成形品で融着しにくくなる場合がある。
懸濁重合温度は、一般に、80℃〜95℃である。スチレン系単量体の添加温度は、そのままの温度でもよく昇温してもよい。最終的に得られるスチレン系発泡性樹脂粒子において残存するスチレン系単量体の量を少なくするという、工業的な製造効率からは、重合温度は90℃以上が好ましく、スチレン系単量体添加温度は昇温中に行うことが好ましい。
本発明の製造方法においては、水分散液の水素イオン濃度が8〜10で重合を開始させ、重合率20%〜50%で少なくとも1回以上の難溶性無機塩を追加することが好ましい。水分散液は連続相であることが好ましい。
水素イオン濃度が上記の範囲外であると、懸濁重合終了時の粒度分布がシャープとならない恐れがある。水素イオン濃度は塩基性無機塩により調節することができる。
また、同様の理由により重合率20%〜50%で難溶性無機塩を追加することができる。
難溶性無機塩は少なくとも一回以上、例えば、2〜3回追加することができる。また、難溶性無機塩はさらに重合が進んでから追加することもできる。
発泡剤は、スチレン系単量体の添加と平行して圧入することができ、重合反応の完結前又は完結後に、スチレン系樹脂粒子に含浸する。一般的には、重合反応の完結前スチレン系単量体添加後に含浸することが好ましい。
本発明では、発泡剤として、ペンタンを使用する。ペンタンには、イソペンタン、ノルマルペンタンが含まれ、これらを混合して使用できる。例えば、イソペンタン:ノルマルペンタンを10〜50:90〜50(重量比)、好ましくは15〜25:85〜75(重量比)混合して用いる。
発泡剤の使用量は、適宜選択できるが、得られる発泡性樹脂粒子100重量部に対して、通常3〜8重量部、好ましくは4〜7重量部である。
また、発泡助剤として脂肪族炭化水素の他に、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を発泡剤と併用することもできる。例えば、シクロヘキサンを、ペンタン100重量部に対して、通常20〜60重量部使用する。
重合に際し、溶剤、可塑剤、発泡セル造核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤、滑剤、着色剤等、スチレン系発泡性樹脂粒子を製造する際に用いられる添加剤を、必要に応じて適宜使用してもよい。
尚、本発明の製造方法において、スチレン系発泡性樹脂粒子または、再生スチレン系樹脂粒子を核として用いたシード重合法を適用することもできる。この方法においても、上述したように、酸素濃度を低く制御し、発泡剤としてペンタンを用いる。
スチレン系発泡性樹脂粒子は、発泡剤の含浸が完了し、重合系内より排出され、さらに脱水乾燥した後、必要に応じて表面被覆剤を被覆することができる。かかる被覆剤は、従来公知である発泡スチレン系樹脂粒子に用いられるものが適用できる。例えば、ジンクステアレート、ステアリン酸トリグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、ひまし硬化油、アミド化合物、シリコーン類、静電防止剤等である。
通常、懸濁重合により製造されるスチレン系発泡性樹脂粒子は、重量平均分子量(分子量)は重合触媒の量により決定され、粒子中心部、中間部、及び表層部の分子量は、ほぼ一定である。
しかしながら、上記の第一及び第二の製造方法によれば、樹脂粒子の表面部分の分子量が、中心部分の分子量より高いスチレン系発泡性樹脂粒子が得られる。中心から表面までの分子量勾配は、徐々に一定の比率で高くなるのではなく、表面付近で急に高くなる。
本発明の製造方法により得られるスチレン系発泡性樹脂粒子では、分子量が表面付近で急に高くなっているので、中心部分を低分子量に保ちながら、表面部分を高分子量にできる。一般に、中心部分が低分子量であると良好な発泡性が発揮でき、表面部分が高分子量であると成形品の強度が大きくなる。従って、本発明の粒子では、発泡性と成形品強度を共に満足させることができる。例えば、ある程度の発泡性を保ちながら、かなり高い成形品強度を得ることができる。
特に、樹脂粒子表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分の重量平均分子量が、中心から表面に向かって中心から1/5までを形成する中心部分の重量平均分子量より高いスチレン系発泡性樹脂粒子が得られる。
ここで、表面部分及び中心部分について、図面を用いて説明する。図1に示すように、樹脂粒子10の表面から中心に向かって5等分する。最も外側にある、表面から1/5までを形成する部分1が、表面部分である。表面部分の重量平均分子量は、この部分1の重量平均分子量である。最も内側にある、中心から1/5までを形成する部分5が、中心部分である。中心部分の重量平均分子量は、この部分5を5等分した中心の重量平均分子量である。
さらに、表面部分のゲルパーミエーションクロマトグラフ法によるチャートが二山又はショルダーを有することが好ましい。二山又はショルダーを有することは、分子量が急激に変化していることを意味する。ショルダーは変曲点により形成される。本発明において、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法によるチャートは、日立化成工業(株)社製のカラム、GL−R400M、を2本用いて測定する。図4に二山又はショルダーを有するチャートを例示する。すなわち、図4(a)はショルダーを有するチャート、(b)は二山を有するチャート、(c)はショルダーの無いチャートを示す。尚、図4(a)に示すように、通常チャートの両すそにも変曲点が発生するが、本発明でいうショルダーにはこれらは含まれない。
さらに、本発明は、中心部分の重量平均分子量が、200,000〜300,000の範囲であり、表面部分の重量平均分子量が300,000〜450,000の範囲であると共に、表面部分の重量平均分子量が中心部分の重量平均分子量に対して1.2倍以上大きいことが好ましい。
中心部分の分子量が200,000より小さい場合、成形品強度が低くなる恐れがある。また、分子量を200,000より小さくするためには、製造過程において、触媒の使用量を増加しなければならず好ましくない。
中心部分の分子量が300,000より大きい場合、発泡性が低くなる恐れがある。
また、好ましくは、中心部分の重量平均分子量は、200,000〜250,000である。好ましくは、中心から3/5を形成する部分の分子量がほぼ均一である。
表面部分の分子量が300,000より小さい場合、十分な成形品強度が得られない恐れがある。
表面部分の分子量が450,000より大きい場合、発泡力が低下し熱溶融が促進せず成形品の表面仕上がりが悪くなり融着しにくくなる。
また、好ましくは、表面部分の重量平均分子量は、350,000〜450,000である。
また、本発明の製造方法によれば、表面部分に、従来のスチレンのラジカル重合では起こらないと考えられていたグラフト化が起こり、高分子量の枝分かれ構造を生成させることが可能となった。
このように、表面部分が枝分かれ構造を有していることは、例えば、粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分をGPC/MALLS法により測定すると、log(R.M.S半径)とlog(Mw)との相関式の傾きが0.53以下、好ましくは0.52以下、より好ましくは0.50以下であることから分かる。ここで、GPCはゲルパーミエーションクロマトグラフィーを、MALLS(Multi Angle Laser Light Scattering)は、多角度光散乱検出器を、R.M.S(Root Mean Square)半径は、根平均二乗半径を、Mwは、絶対分子量をそれぞれ意味する。
尚、この傾きは、通常のラジカル重合(懸濁系)により得られた直鎖構造のポリスチレンでは、0.55〜0.60である。
また、この表面部分の重量平均分子量は、上記と同様の理由により、300,000以上450,0000以下が好ましい。
また、上記の本発明の第二の製造方法によれば、重合開始から、重合後期まで酸素濃度を1体積%以下に保つことにより、重合反応の最後で、即ち、特に表面に近い部分で、分子量が低下するのを防ぐことができる。
特に、本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は、樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分を、さらに表面から中心に向かって6等分したときの表面から1/6〜6/6までを形成する部分において、重量平均分子量が表面に向かって低下しないことが好ましく、上昇することがより好ましい。
ここで、「表面から1/6〜6/6までを形成する部分」について、図面を用いて説明する。図2(a)に示すように、まず、樹脂粒子10を1/2に切り、次に、表面から中心に向かって5等分する。最も外側にある、表面から1/5までを形成する部分Aを、さらに、図2(b)に示すように、6等分する。「表面から1/6〜6/6までを形成する部分」は、表面から、この6等分した各部分までである。
そのとき、本発明は、前記6等分した表面から1/6までを形成する最表面部分の重量平均分子量(B)が、樹脂粒子全体の重量平均分子量(A)より大きいことが好ましく、特に、樹脂粒子全体の重量平均分子量(A)に対する、前記6等分した表面から1/6までを形成する最表面部分の重量平均分子量(B)の比率(B)/(A)×100(%)が、130以上であることがより好ましい。
最表面部分の分子量を相対的に高分子量化することにより成形品の強度を一層大きくできる。
本発明の製造方法で得られる樹脂粒子は、発泡剤としてペンタンを使用しているので、ペンタンが含浸している。本発明の樹脂粒子は、高い発泡倍数で発泡させても、良好な外観、強度を有する。これは、樹脂粒子の外側の分子量が高いためと推察される。即ち、発泡の際、又は発泡後、一部のペンタンが空気と入れ替わるが、従来の樹脂粒子では、空気圧に負けて収縮する。しかし、本発明の樹脂粒子は、外側の分子量が高いため、収縮が少ないと考えられる。その結果、発泡剤にペンタンを用いることで低VOC性能を有しつつ、使用限界倍数が高い樹脂粒子が得られる。例えば、ペンタンを用いて使用限界倍数が60ml/g以上、60〜65ml/g程度の、従来得られなかった粒子を得ることが可能となる。発泡剤としてブタンを使用する場合と比較すると、発泡剤の逸散量が少ないこと、発泡剤の量を減らせることから、大気に放出される発泡剤の量を大幅に低減できる。また、残留モノマー量も大幅に低減できる。
本発明において、「使用限界倍数(ml/g)」とは、ある倍数まで発泡性樹脂粒子を発泡させたとき、実施例に示す測定方法で測定した外観(表面平滑率)が、90%以上であり、かつ、実施例に示す測定方法で測定した曲げ強度が、0.285MPa以上である倍数のうち、最も大きい倍数をいう。
本発明の発泡ビーズは、スチレン系発泡性樹脂粒子を発泡して製造する。また、本発明の発泡成形品は、この発泡ビーズを成形して製造する。
一般には、スチレン系発泡性樹脂粒子を、スチーム等により加熱して所定の嵩密度まで予備発泡し、熟成工程を経て発泡ビーズを製造する。その後、発泡ビーズを成形金型に充填し再度加熱発泡成形して、発泡成形品を製造する。
実施例及び比較例における特性評価方法は以下の通りであった。
(1)重量平均分子量(分子量)
スチレン系発泡性樹脂粒子の分子量は粒子を発泡させて測定した。スチレン系発泡性樹脂粒子は飽和水蒸気中で嵩倍数80ml/gに発泡した。ただし、比較例では発泡粒子の収縮により嵩倍数80ml/gに達しなかった。従って、比較例1では嵩倍数75ml/g、比較例2では嵩倍数70ml/g、比較例3では嵩倍数75ml/gで測定した。
<粒子を5等分したときの各部分の分子量の測定方法>
任意の発泡粒子2〜3粒を採取し、剃刀で図1に示すように粒子1を半分等間隔に5等分して、外側から、部分1,2,3,4,5を形成した。最も表面側の部分1(表面部分)についてはそのまま、最も内側の部分5(中心部分)についてはこの部分を5等分した中心を注射針(直径0.6〜0.7mm)で繰り抜いて取り出し、分子量を測定した部分3(中心より3/5部分)については部分5と同じ中心を注射針で繰り抜いて取り出し、分子量を測定した。ただし、発泡粒子の収縮により嵩倍数が80ml/gに達しない樹脂粒子は、収縮しない発泡粒子(嵩倍数の低い)を用いるため、また注射針サイズを変更することが困難であったため、同じ器具を用いた。
尚、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により以下の装置及び条件で測定した。また、表面部分について、GPC法によるチャート(GPCチャート)を得た。
測定装置:(株)日立製作所社製
溶離液:THF、流量:2ml/分
検出器:UV 220nm
カラム:日立化成工業(株)社製 GL−R400M 2本
<粒子の5等分したときの表面部分をさらに6等分したときの各部分の分子量の測定方法>
「表面から1/6〜6/6までを形成する部分」の分子量は以下のようにして測定した。図2(a)に示すように、まず、発泡粒子10を1/2に切り、次に、表面から中心に向かって5等分した。最も外側にある、表面から1/5までを形成する部分Aを、さらに、図2(b)に示すように、顕微鏡の下で6等分に切断し、部分a,b,c,d,e,fを得た。部分a,b,c,d,e,fの分子量をそれぞれ測定した。部分aの分子量が、表面から1/6までを形成する部分の分子量、部分a,bの分子量の平均値が、表面から2/6までを形成する部分の分子量、部分a,b,cの分子量の平均値が、表面から3/6までを形成する部分の分子量、部分a,b,c,dの分子量の平均値が、表面から4/6までを形成する部分の分子量、部分a,b,c,d,eの分子量の平均値が、表面から5/6までを形成する部分の分子量、部分a,b,c,d,e,fの分子量の平均値が、表面から6/6までを形成する部分の分子量である。
尚、分子量は、同様にGPC法により測定した。
(2)発泡性
発泡性は、スチレン系発泡性樹脂粒子の揮発性成分量が6.5重量%のときの100℃沸騰水中で3分間発泡させた際の嵩密度(発泡度)を測定した。
揮発性成分量は、防爆式乾燥機を195℃(±1℃)に設定し、容器に入れ重量を秤量したスチレン系発泡性樹脂粒子を前述乾燥機に7分間放置後取り出し、デシケーター内で冷却した後の重量を測定、その減量分を以下の式にて計算し、定義した。
(乾燥前の樹脂重量−乾燥後の樹脂重量)/(乾燥前の樹脂重量)×100=(%)
(3)曲げ強度
スチレン系発泡性樹脂粒子を、日立テクノプラント(株)製のHBP−700発泡機を用いて63倍及び58倍に発泡させて発泡ビーズを得た。さらに、この発泡ビーズを、ダイセン工業(株)製のVS−500成形機を用い、スチーム圧力を0.08MPaで成形して、550mm×335mm×150mmの成形品を得た。
成形品の曲げ強度は、密度60及び55ml/gの発泡成形体をJIS−A−9511に準じて測定した。
(4)GPC/MALLS法による粒子表面部分のポリマー構造解析
図1に示す表面部分1を測定用試料とした。GPC/MALLS法は、以下の装置及び条件で行い、これから、log(R.M.S半径)とlog(Mw)との相関式の傾きを求めた。
カラム:Shodex、KF−807L×2本
カラム温度:40℃
溶離液:THF
流速:1.00ml/min
注入量:100μL
検出器:RI及びWyatt Technology、DAWN DSP‐F
(レーザー波長:632.8nm)
多角度フィット法:Berry法
(5)外観(表面平滑率)
(3)と同様にして製造した成形品(発泡ビーズの発泡倍率:全て60ml/g)の表面部分に黒色印刷インクをローラーで薄く塗り、この表面部分を画像処理装置にかけた。表面部分の空隙には印刷インクが塗布されないことから、全塗布面積に対する黒色部分の面積を求め表面平滑率とし、外観の評価数値とした。
(6)重合率
重合率は、合成中の樹脂粒子を採取し、以下の装置及び条件にて測定した。
測定装置:(株)日立製作所社製
溶離液:アセトニトリル/蒸留水=70/30、流量:1ml/分
検出器:UV 230nm
カラム:Inertsil ODS−2
(7)揮発性有機化合物の含有量
揮発性有機化合物の含有量は、樹脂粒子を以下の装置及び条件にて測定した。
測定装置:(株)島津製作所社製ガスクロマトグラフィー
検出器:FID
インジェクション温度:200℃
キャリアガス:窒素;0.3MPa、40ml/min
水素;0.06MPa、50ml/min
空気;0.07MPa、300ml/min
カラム:PEG−20MT
カラム温度:105℃
測定可能物質:スチレン、トルエン、エチルベンゼン、P−キシレン、M−キシレン、O−キシレン、I−プロピルベンゼン等
(8)使用限界倍数
発泡成形品の外観(表面平滑率)が90%以上であり、かつ、曲げ強度が0.285MPa以上の倍数のうち、最も大きい倍数を使用限界倍数とした。
実施例1
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中を、窒素で置換した後、純水6000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを入れ230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン5400g、ベンゾイルパーオキサイド22.4g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、重合槽内を密閉し、ブロー配管を開け、再度窒素置換を行った。このとき酸素濃度計を用い測定した酸素濃度は0.7体積%であった。90℃まで昇温した後、再度酸素濃度が0.5体積%となる様、窒素置換を行い、昇温完了後2時間及び3時間後、それぞれ燐酸三カルシウムを3g追加した。引き続き90℃で2.5時間保温し重合率95%まで進んだ時点で燐酸三カルシウム6gとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを追加した。このときの酸素濃度は0.5体積%であった。この後、スチレン600gを100℃に昇温しながら3時間かけて連続的に滴下した。
引き続きシクロヘキサン90g、さらに1時間後に、ペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン比=2/8)420gを1時間で圧入し、さらに6時間保温した。その後、室温まで冷却しオートクレーブより取り出した。取り出したスラリーを洗浄、脱水、乾燥と各工程を行った後、14メッシュ通過、26メッシュ残で分級し、さらにジンクステアレート0.08%、ひまし硬化油0.05%、ジメチルシリコーン0.02%を表面被覆しスチレン系発泡性樹脂粒子を得た。得られたスチレン系発泡性樹脂粒子の分子量、残存モノマ量及び特性を測定し、その結果を表1に示す。
尚、表1に示すように、表面部分の分子量は、表面から1/5部分の6/6の分子量と同じであった。
さらに、表面部分について、GPC法によるチャート(GPCチャート)を測定した。チャートを図3に示す。
実施例2
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中に、純水6000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを入れ230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン5400g、ベンゾイルパーオキサイド22.4g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、重合槽内を密閉し、ブロー配管を開け、窒素置換を行った。このとき酸素濃度計を用い測定した酸素濃度は5.9体積%であった。90℃まで昇温し、昇温完了後2時間及び3時間後、それぞれ燐酸三カルシウムを3g追加した。引き続き90℃で2.5時間保温し重合率95%まで進んだ時点で燐酸三カルシウム6gとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを追加した。このときの酸素濃度は3.9体積%であった。この後、スチレン600gを100℃に昇温しながら3時間かけて連続的に滴下した。
発泡剤の含浸以降は、実施例1と同様に行った。分子量、残存モノマ量及び特性を測定し、その結果を表1に示す。
実施例3
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中に、純水6000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを入れ230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン5400g、ベンゾイルパーオキサイド22.4g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、90℃まで昇温し、ブロー配管を開放して重合を進めた。昇温完了後2時間及び3時間後、それぞれ燐酸三カルシウムを3g追加した。引き続き90℃で2時間保温した後、酸素濃度が6.5体積%となるまで窒素置換行った。また、重合率95%まで進んだ時点で燐酸三カルシウム6gとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを追加した。この後、スチレン600gを100℃に昇温しながら3時間かけて連続的に滴下した。
発泡剤の含浸以降は、実施例1と同様に行った。分子量、残存モノマ量及び特性を測定し、その結果を表1に示す。
比較例1
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中に、純水6000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを入れ230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン6000g、ベンゾイルパーオキサイド20.0g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、90℃まで昇温し、ブロー配管を開放して重合を進めた。昇温完了後2時間及び3時間後、それぞれ燐酸三カルシウムを3g追加した。引き続き90℃で2.5時間保温し重合率95%まで進んだ時点で燐酸三カルシウム6gとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを追加した。このときの酸素濃度は13.2体積%であった。その後、100℃に1時間かけて昇温した。
発泡剤の含浸以降は、実施例1と同様に行った。分子量、残存モノマ量及び特性を測定し、その結果を表1に示す。
比較例2
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中に、純水6000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを入れ230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン6000g、ベンゾイルパーオキサイド24.0g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、90℃まで昇温し、ブロー配管を開放して重合を進めた。昇温完了後2時間及び3時間後、それぞれ燐酸三カルシウムを3g追加した。引き続き90℃で2時間保温し重合率95%まで進んだ時点で燐酸三カルシウム6gとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを追加した。このときの酸素濃度は13.5体積%であった。その後、100℃に1時間かけて昇温した。
発泡剤の含浸以降は、実施例1と同様に行った。分子量、残存モノマ量及び特性を測定し、その結果を表1に示す。
比較例3
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中に、純水6000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを入れ230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。続いてスチレン6000g、ベンゾイルパーオキサイド24.0g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3g、可塑剤としてジオクチルフタレート30gを攪拌しながら仕込んだ。仕込み完了後、90℃まで昇温し、ブロー配管を開放して重合を進めた。昇温完了後2時間及び3時間後、それぞれ燐酸三カルシウムを3g追加した。引き続き90℃で2時間保温し重合率95%まで進んだ時点で燐酸三カルシウム6gとドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.12gを追加した。このときの酸素濃度は13.6体積%であった。その後、100℃に1時間かけて昇温した。
発泡剤の含浸以降は、実施例1と同様に行った。分子量、残存モノマ量及び特性を測定し、その結果を表1に示す。
Figure 2006131777
比較例1〜3では、発泡剤としてペンタンを使用し、さらに酸素濃度を下げずにスチレン単量体を追加しなかった。その結果、VOCは少ないものの外観に劣り(収縮が多い)、曲げ強度が弱かった。また、使用限界倍数は、60ml/g未満であった。
本発明のスチレン系発泡性樹脂粒子は低VOC性能であり使用限界倍数が高いため、環境保護、人体の健康への配慮が求められ、かつ、一定の強度が必要とされる様々な用途に使用できる。具体的には、本発明の成形品は、食品容器、梱包材、緩衝材等に好適に使用できる。
粒子を5等分したときの各部分の分子量の測定方法を説明するための図である。 粒子を5等分したときの表面部分をさらに6等分したときの各部分の分子量の測定方法を説明するための図である。 実施例1のGPCチャートである。 二山又はショルダーを有するチャートの例を示す図である。

Claims (18)

  1. スチレン系単量体の懸濁重合において、
    重合後期に、反応槽内の酸素を強制的に排出することにより酸素濃度を低く保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
    発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  2. スチレン系単量体の懸濁重合において、
    重合後期に、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下に低く保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
    発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  3. スチレン系単量体の懸濁重合において、
    重合開始から、重合後期まで、反応槽内の酸素を強制的に排出することにより酸素濃度を低く保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
    発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  4. スチレン系単量体の懸濁重合において、
    重合開始から、重合後期まで、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下に保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
    発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  5. スチレン系単量体の懸濁重合において、
    重合開始から、重合後期まで、反応槽内の酸素濃度を1体積%以下に保ちつつ、スチレン系単量体を添加し、重合途中にあるスチレン樹脂粒子に吸着させて重合反応を進め、
    発泡剤としてペンタンを含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  6. 前記重合後期が、重合率が60%以上のときである請求項1〜5のいずれかに記載のスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  7. 前記添加するスチレン系単量体が、前記スチレン系発泡性樹脂粒子の5重量%〜30重量%である請求項1〜6のいずれかに記載のスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られるスチレン系発泡性樹脂粒子。
  9. 粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分の重量平均分子量が、前記中心から前記表面に向かって中心から1/5までを形成する中心部分の重量平均分子量より高く、
    前記表面部分のゲルパーミエーションクロマトグラフ法のチャートが二山又はショルダーを有し、
    ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
  10. 前記中心部分の重量平均分子量が200,000〜300,000の範囲であり、
    前記表面部分の重量平均分子量が300,000〜450,000の範囲であり、
    前記表面部分の重量平均分子量が、前記中心部分の重量平均分子量に対して、1.2倍以上大きい請求項9記載のスチレン系発泡性樹脂粒子。
  11. 粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分の、GPC/MALLS法により測定したlog(R.M.S半径)とlog(Mw)との相関式の傾きが、0.53以下であり、
    ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
  12. 樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分を、さらに表面から中心に向かって6等分したときの表面から1/6〜6/6までを形成する部分において、重量平均分子量が表面に向かって低下せず、
    ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
  13. 樹脂粒子全体の重量平均分子量(A)に対する、前記6等分した表面から1/6までを形成する最表面部分の重量平均分子量(B)の比率(B)/(A)×100(%)が、130以上である請求項12記載のスチレン系発泡性樹脂粒子。
  14. 樹脂粒子の表面から中心に向かって5等分した表面から1/5までを形成する表面部分のゲルパーミエーションクロマトグラフ法のチャートが二山又はショルダーを有し、
    樹脂粒子全体の重量平均分子量(A)に対する、前記表面部分をさらに表面から中心に向かって6等分した表面から1/6までを形成する最表面部分の重量平均分子量(B)の比率(B)/(A)×100(%)が、130以上であり、
    ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
  15. 使用限界倍数が60ml/g以上の、ペンタンが含浸しているスチレン系発泡性樹脂粒子。
  16. 請求項8〜15のいずれかに記載のスチレン系発泡性樹脂粒子を発泡させて得られるスチレン系発泡ビーズ。
  17. 請求項16記載のスチレン系発泡ビーズを成形させて得られるスチレン系発泡成形品。
  18. 発泡倍数が60ml/g以上である請求項17記載のスチレン系発泡成形品。
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