JP2007191725A - スチレン系発泡性樹脂粒子、発泡ビーズ及び発泡成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレン系発泡性樹脂粒子を発泡させたスチレン系発泡ビーズにおいて、図1に示すように、半分に切断した発泡ビーズ1の表面から中心に向かって等間隔に、最表面層部分の発泡セル1ヶ分の厚みで最表面層部分2と層部分3を切り取り、それぞれの重量平均分子量を測定した際に、最表面層部分2の重量平均分子量が、最表面層部分2及び層部分3を合わせた表面層部分の重量平均分子量より低下しないことを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。このスチレン系発泡性樹脂粒子では、最表面層部分において、低分子量物の発生が抑制されるため、外観が良好な発泡成形品を得ることができる。
【選択図】図1
Description
本発明の製造方法においては、スチレン系単量体を懸濁重合する。
スチレン系単量体として、スチレン、又はスチレンを主成分とし、α−メチルスチレン、クロルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類との混合単量体を使用できる。
核無しでスチレン系単量体を重合する方法では、一般に、分散剤を含む水性媒体中に、有機過酸化物等の触媒を溶解したスチレン系単量体を分散してラジカルを発生させて重合を行う。
難溶性無機塩として、リン酸マグネシウム、リン酸三カルシウム等が使用できる。界面活性剤として、オレイン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、その他懸濁重合に一般的に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤のいずれでも使用できる。有機分散剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等が使用できる。
有機過酸化物は、10時間半減分解温度が50〜100℃である従来公知のものを使用できる。例えば、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト等がある。有機過酸化物は、重合性単量体に対して、0.001重量%〜0.5重量%使用されるのが好ましい。有機過酸化物は、一又は二以上用いることができる。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー等の従来公知のものが使用できる。連鎖移動剤の添加量は、重合性単量体に対して、20ppm〜100ppm使用することが好ましい。
この方法では、重合開始又は重合途中より、反応槽内を低酸素濃度にしてもよいが、少なくとも重合後期には低酸素濃度にする。好ましくは、重合率が60%以上、より好ましくは60%以上97%未満で低酸素濃度にする。
一般に、反応槽内に酸素が存在した状態で重合が進む場合、スチレン系樹脂粒子中の低分子量物の形成量は増加する。特に、重合後期においては、残存する少ない重合触媒やラジカルを停止するため、スチレン系樹脂粒子表面層で低分子量物が形成され易く、そのため、成形品の外観を損なうこととなる。
一方、本発明の製造方法では、重合後期、又は重合開始より、反応槽内を低酸素濃度に保っているため、このような低分子量物の発生を抑制することが可能となる。酸素濃度は、好ましくは7体積%以下に保ち、より好ましくは1体積%以下に保つ。酸素濃度は、窒素等の不活性ガスで置き換えることにより調節できる。
水素イオン濃度が上記の範囲外であると、懸濁重合終了時の粒度分布がシャープとならない恐れがある。水素イオン濃度は、塩基性無機塩により調節することができる。
また、同様の理由により、重合率20%〜50%で難溶性無機塩を追加することができる。
難溶性無機塩は、少なくとも一回以上、例えば、2〜3回追加することができる。また、難溶性無機塩は、さらに重合が進んでから追加することもできる。
昜揮発性発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン、シクロペンタン等の脂肪族炭化水素の中から選ばれる。また、発泡助剤として、脂肪族炭化水素の他に、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素や芳香族炭化水素を、昜揮発性発泡剤と併用することもできる。
しかしながら、本発明により製造されるスチレン系発泡性樹脂粒子では、このような低分子量物の発生が抑制されるため、酸素濃度を制御しない通常の重合により製造される発泡成形品に比較し、外観が良好な発泡成形品を得ることができる。
一般には、スチレン系発泡性樹脂粒子を、スチーム等により加熱して所定の嵩密度まで予備発泡し、熟成工程を経て発泡ビーズを製造する。その後、発泡ビーズを成形金型に充填し、再度加熱発泡成形して、発泡成形品を製造する。
(1)重量平均分子量(分子量)
スチレン系発泡性樹脂粒子の分子量は、粒子を発泡させて測定した。
スチレン系発泡性樹脂粒子を、飽和水蒸気中で、嵩倍数80ml/gに発泡した。
スチレン系発泡ビーズの分子量は、以下のようにして測定した。
まず、発泡ビーズ(平均粒子径:3.0mm)を5〜6ヶ準備し、それぞれ半分に切断した。次に、図1に示すように、半分に切断した発泡ビーズ1の表面から中心に向かって等間隔に、発泡セル1ヶ分の厚みで、層部分2及び層部分3を、顕微鏡の下で確認しながら切り取った。最表面層部分(層部分2)と、表面層部分(層部分2及び3を合わせた部分)の分子量を測定した。最表面層部分は、発泡セル1ヶ分の部分であり、表面層部分は、発泡セル2ヶ分の部分である。表面層部分の分子量は、層部分2及び3の分子量の平均値として求めた。
本実施例において、最表面層部分の発泡セル1ヶ分とは、およそ50〜100μmの大きさを示し、表面層部分の発泡セル2ヶ分とは、およそ100〜200μmの大きさを示す。
尚、分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により、以下の装置及び条件で測定した。
測定装置:(株)日立製作所社製
溶離液:THF、流量:2ml/分
検出器:UV 220nm
カラム:日立化成工業(株)社製 GL−R400M 2本
発泡性は、スチレン系発泡性樹脂粒子の揮発性成分量が7.0重量%のときの100℃沸騰水中で3分間発泡させた際の嵩密度(発泡度)を測定した。
スチレン系発泡性樹脂粒子を、日立テクノプラント(株)製、HBP−700発泡機を用いて、嵩密度が60ml/gとなるように発泡させて、発泡ビーズを得た。さらに、この発泡ビーズを、ダイセン工業(株)製、VS−500成形機を用い、スチーム圧力0.08MPaで実施して、550mm×335mm×150mmの成形品を得た。この成形品の表面部分に、黒色印刷インクをローラーで薄く塗り、この表面部分を画像処理装置にかけた。このとき、表面部分の空隙には印刷インクが塗布されないことから、全塗布面積に対する黒色部分の面積を求め、表面平滑率とし、これを外観の評価数値とした。
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中に、純水6,000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.3gを入れ、230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。このときの水素イオン濃度は8.0であった。
続いて、スチレン6,000g、ベンゾイルパーオキサイド20.8g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3gを攪拌しながら仕込んだ。
仕込み完了から90℃での重合が完了するまで、重合槽内に窒素を流し続け、重合槽内の酸素濃度を0.1体積%以下で制御した以外は、実施例1と同様に行い、スチレン系発泡性樹脂粒子(平均粒子径:0.85mm)を得た。分子量及び特性の測定結果を表1に示す。
攪拌機付属の14リットルオートクレーブ中に、純水6,000g、燐酸三カルシウム9g、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ0.3gを入れ、230回転/分で攪拌しながら仕込んだ。このときの水素イオン濃度は8.0であった。
続いて、スチレン6,000g、ベンゾイルパーオキサイド20.8g(Wet75%)、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネイト2.4g、エチレンビスアミド3gを攪拌しながら仕込んだ。
Claims (4)
- スチレン系発泡性樹脂粒子を発泡させたスチレン系発泡ビーズにおいて、図1に示すように、半分に切断した発泡ビーズ1の表面から中心に向かって等間隔に、最表面層部分の発泡セル1ヶ分の厚みで最表面層部分2と層部分3を切り取り、それぞれの重量平均分子量を測定した際に、最表面層部分2の重量平均分子量が、最表面層部分2及び層部分3を合わせた表面層部分の重量平均分子量より低下しないことを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。
- スチレン系単量体の懸濁重合において、
少なくとも重合率60%以上のとき、反応槽内の酸素濃度を7体積%以下に保ちながら重合反応を進め、
重合反応の完了前または重合反応の完了後に、発泡剤を含浸するスチレン系発泡性樹脂粒子の製造方法により得られることを特徴とするスチレン系発泡性樹脂粒子。 - 請求項1又は2記載のスチレン系発泡性樹脂粒子を発泡させて得られることを特徴とするスチレン系発泡ビーズ。
- 請求項3記載のスチレン系発泡ビーズを成形させて得られることを特徴とするスチレン系発泡成形品。
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