JP2006118388A - 車両用トルク制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを緩和させて、走行快適性を向上させることを課題とする。
【解決手段】 ドライバによる加減速要求に伴って変化するアクセル開度の時間的な変化に対して、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段として、ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )なる伝達関数で表現される二次遅れフィルタ(32)を設定している。そして、この二次遅れフィルタ(32)によって、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がりまたは立ち下がりを、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の中間域および一次遅れフィルタを用いた場合よりも緩やかにすることにより、加減速要求時における初期加減速ショックを充分に緩和させることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ドライバが要求するドライバ要求トルクに基づいて、エンジンの気筒に供給される燃料噴射量または吸入空気量を制御することで、エンジンの出力軸に発生させるエンジン出力軸トルクを可変制御する車両用トルク制御装置に関するものである。
[従来の技術]
従来より、ディーゼルエンジンの加減速時、アクセルペダルが急に踏み込まれた場合や、急に戻された場合等に燃料噴射量の変化を緩やかにして、燃料噴射量が急激に増減されることによる加減速ショックを緩和する噴射量なまし制御が行われている(例えば、特許文献1及び2参照)。また、ドライバのアクセルペダルの踏み込み量とエンジン回転速度とに基づいて、ドライバが要求するドライバ要求トルクを算出し、このドライバ要求トルクに基づいて燃料噴射量または吸入空気量を制御することで、エンジンの出力軸に発生させるエンジン出力軸トルクを可変制御する車両用トルク制御装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
このような特許文献3に記載の車両用トルク制御装置であっても、特許文献1及び2に記載のようなトルクなまし制御を行うことが望ましい。すなわち、図12および図13に示したように、ドライバのアクセル操作の変化に伴って、現在値(例えばアクセル開度:0%)の立ち上がり(または立ち下がり)から中間域を経て目標値(例えばアクセル開度:100%)に到達するまでのアクセル開度信号の出力波形に対して、アクセルペダルが急に踏み込まれた加速要求時や、急に戻された減速要求時の両方共に一次遅れフィルタを用いることにより、ドライバによる加減速要求時に、上記の現在値に対応した現在トルクの立ち上がり(または立ち下がり)から中間域を経て上記の目標値に対応した目標トルクに到達するまでのドライバ要求トルクの応答波形がなまるようになまし処理を行うことが望ましい。ここで、図12(b)は、従来のエンジントルク制御におけるドライバによる加減速要求時のドライバ要求トルクの応答波形を示した図である。
これは、ドライバが車両を加速させる目的でアクセルペダルを踏み込むと、このアクセルペダルの踏み込みに伴い、ドライバのアクセル操作の変化に基づいて、図12(a)に示したように、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)が演算される。このなまし処理前トルクは、図14に示したように、ドライバのアクセル操作の変化に対応したステップ状の応答波形となる。そして、なまし処理前トルクを、伝達関数{ω/(s+ω)}で表現される一次遅れフィルタを通して、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)に変換する。ここで、sはラプラス演算子、ωは応答周波数である。そして、なまし処理後トルクに基づいて燃料噴射量または吸入空気量を制御することで、燃料噴射量または吸入空気量が急激に増減されることによる加減速ショックを緩和することが可能となる。
[従来の技術の不具合]
ところが、従来の車両用トルク制御装置においては、ドライバが要求するトルク応答、すなわち、ドライバのアクセル操作の変化に伴って変更されるドライバ要求トルクに対して、加減速共に一次遅れフィルタを用いて、ドライバ要求トルクの応答波形をなましているので、図12(b)に示したように、加速時の立ち上がり(加速開始域:Aゾーン)の場合、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりの傾斜(傾き:大)が中間域および収束域と比べてあまりに急なため、初期加速ショックにより走行快適性を損なうという問題がある。また、減速時の立ち下がりの初期域(減速開始域)の場合においても、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりの傾斜(傾き:大)が中間域および収束域と比べてあまりに急なため、初期減速ショックにより走行快適性を損なうという問題がある。
そこで、一次遅れフィルタを用いて初期加減速ショックを緩和させるために伝達関数{ω/(s+ω)}に乗算する時定数(τ)を大きくして、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりの傾斜(傾き:小)を小さくすることが考えられるが、その後の中間域および収束域の傾斜も緩やかになり、ドライバ要求トルクの目標トルク(なまし処理前トルク)に対するなまし処理後トルクの追従性が悪化する。すなわち、加減速開始時刻から、なまし処理後トルクがドライバ要求トルクの目標トルク(なまし処理前トルク)に収束する収束時刻までの目標トルク到達時間が長くなることにより、エンジントルク制御の応答性(例えばアクセルレスポンス)が悪化するため、全体的な走行快適性を損なうという問題が生じる。
特開平07−150998号公報(第1−11頁、図1−図9) 特開平11−182294号公報(第1−14頁、図1−図7) 特開2002−317681号公報(第1−7頁、図1−図7)
本発明の目的は、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを緩和させて、走行快適性を向上させることのできる車両用トルク制御装置を提供することにある。また、アクセルレスポンスの悪化を防止することにより、全体的な走行快適性を向上させることのできる車両用トルク制御装置を提供することにある。
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、ドライバによる加減速要求に伴ってアクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号の時間的な変化に対して、アクセル開度算出手段によって算出されるアクセル開度の応答波形を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段を設けている。そして、このフィルタ処理手段によって、アクセル開度の応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、アクセル開度の応答波形の中間域よりも緩やかにすることにより、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを緩和させることができるので、車両を発進させる際、あるいは車両の走行状態を定速走行から加減速走行に移行する際の走行快適性を向上させることができる。
また、アクセル開度センサから出力されたアクセル開度信号に基づいて算出されるアクセル開度の応答波形の立ち上がったまたは立ち下がった後の中間域の傾斜が急になり、アクセル開度の応答波形の目標値(ドライバによる加減速操作が定常化した時点のアクセル開度信号に合致したアクセル開度の推定値)に対するアクセル開度(の演算値)の追従性が良好となる。これによって、アクセル開度の応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりから中間域を経て目標値に到達するまでの目標値到達時間が長くならず、動力源のトルク制御の応答性、つまりドライバのアクセル操作に対する加減速反応性(所謂アクセルレスポンス)を確保できるので、全体的な走行快適性を向上させることができる。また、ドライバによる加減速要求時に、アクセル開度センサから出力されたアクセル開度信号を所定のなまし率でなまし処理することにより、アクセル開度信号に基づいて算出されるアクセル開度の応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、アクセル開度の応答波形の中間域よりも緩やかにすることで、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを軽減しつつ、ドライバのアクセル操作に対する加減速反応性(所謂アクセルレスポンス)を確保することができる。
請求項3に記載の発明によれば、ドライバによる加減速要求に伴ってアクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号(またはアクセル開度算出手段によって算出されるアクセル開度)の時間的な変化に対して、ドライバ要求トルク算出手段によって算出されるドライバ要求トルクの応答波形を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段を設けている。そして、このフィルタ処理手段によって、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、ドライバ要求トルクの応答波形の中間域よりも緩やかにすることにより、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを緩和させることができるので、車両を発進させる際、あるいは車両の走行状態を定速走行から加減速走行に移行する際の走行快適性を向上させることができる。
また、ドライバのアクセル操作に伴って変化するアクセル開度信号(またはアクセル開度)に基づいて算出されるドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がったまたは立ち下がった後の中間域の傾斜が急になり、ドライバ要求トルクの応答波形の目標値(目標トルク:ドライバによる加減速操作が定常化した時点のアクセル開度信号またはアクセル開度に合致したドライバ要求トルクの推定値)に対するドライバ要求トルク(の演算値)の追従性が良好となる。これによって、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりから中間域を経て目標値(目標トルク)に到達するまでの目標トルク到達時間が長くならず、動力源のトルク制御の応答性、つまりドライバのアクセル操作に対する加減速反応性(所謂アクセルレスポンス)を確保できるので、全体的な走行快適性を向上させることができる。また、ドライバによる加減速要求時に、アクセル開度センサから出力されたアクセル開度信号(またはアクセル開度)に基づいて算出されるドライバ要求トルクを所定のなまし率でなまし処理することにより、アクセル開度信号(またはアクセル開度)に基づいて算出されるドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、ドライバ要求トルクの応答波形の中間域よりも緩やかにすることで、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを軽減しつつ、ドライバのアクセル操作に対する加減速反応性(所謂アクセルレスポンス)を確保することができる。
請求項4に記載の発明によれば、アクセル開度センサから出力されたアクセル開度信号(またはこのアクセル開度信号に基づいて算出されるアクセル開度)と動力源の出力軸の回転速度とを適合させたガバナパターンから、ドライバ要求トルクを求めるようにしても良い。また、請求項5に記載の発明によれば、アクセル開度センサから出力されたアクセル開度信号(またはこのアクセル開度信号に基づいて算出されるアクセル開度)から目標走行速度を求め、この求めた目標走行速度を時間微分して目標加速度を求め、この求めた目標加速度と車両重量に基づく定数を用いて加速抵抗を求める。そして、求めた加速抵抗に、少なくとも空気抵抗と転がり抵抗とを加算して、車両を目標加速度で加減速走行させる際の走行抵抗を求める。そして、求めた走行抵抗とタイヤ有効半径に基づく定数とを用いて、ホイール(駆動輪)トルクを求める。そして、求めたホイール(駆動輪)トルクと最終変速比とを用いて、ドライバ要求トルクを求めるようにしても良い。
請求項6に記載の発明によれば、上記のドライバ要求トルク算出手段に、ドライバによる加減速要求に伴うアクセル開度信号またはアクセル開度の時間的な変化に対応した、なまし処理前トルクを算出する処理前トルク算出手段、およびなまし処理前トルクを、フィルタ処理手段に通して、ドライバ要求トルクの応答波形に相当するなまし処理後トルクを算出する処理後トルク算出手段を設けても良い。また、請求項7に記載の発明によれば、フィルタ処理手段として、アクセル開度またはドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、一次遅れフィルタを用いた場合よりも緩やかにする二次遅れフィルタを設定することにより、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを一次遅れフィルタを用いた場合と比べて、より緩和させることができるので、走行快適性を向上させることができる。
請求項8に記載の発明によれば、上記のフィルタ処理手段は、ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )よりなる伝達関数で表現される二次遅れフィルタであって、応答周波数ωおよび減衰係数ζを、動力源の運転状態または動力源を搭載した車両の走行状態に対応して変更するように構成されている。これによって、アクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号の時間的な変化に対するアクセル開度の応答波形のなまし率、あるいはアクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号(またはこのアクセル開度信号に基づいて算出されるアクセル開度)の時間的な変化に対するドライバ要求トルクの応答波形のなまし率を、動力源の運転状態または車両の走行状態に対応して最適化できるので、全体的な走行快適性を更に向上させることができる。
請求項9に記載の発明によれば、動力源の出力軸の回転速度が中速領域に対して高速側または低速側である程、アクセル開度またはドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを寝かせることができる。これによって、動力源の出力軸の回転速度が高速側または低速側である程、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを低減することができる。また、請求項10に記載の発明によれば、多段歯車変速機の変速段が中速段に対して高速段側または低速段側である程、アクセル開度またはドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを寝かせることができる。これによって、多段歯車変速機の変速段が高速段側または低速段側である程、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを低減することができる。
ここで、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを寝かせるについて以下に説明する。加速要求時における現在のトルク値から目標トルク値に到達するのに要する時間帯を、図2に示したように、初期領域、中間領域、収束(終期)領域に区分する。
先ず、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりを寝かせるとは、上記の初期領域において現在のトルク値から所定のトルク値に到達する際、2次曲線からなる基準設定(特性)に対して、上記の初期領域内での前部時間推移域のトルク増加率を小さく、上記の初期領域内での後部時間推移域のトルク増加率を大きくすることを意味する。
次に、ドライバ要求トルクの応答波形の立ち下がりを寝かせるとは、上記の収束(終期)領域において現在のトルク値から所定のトルク値に到達する際、2次曲線からなる基準設定(特性)に対して、上記の収束(終期)領域内での前部時間推移域のトルク増加率を大きく、上記の収束(終期)領域内での後部時間推移域のトルク増加率を小さくすることを意味する。なお、図2に破線で示した基準設定(特性)に対して、初期領域の立ち上がりを寝かせ、収束(終期)領域の立ち下がりを寝かせた、ドライバ要求トルクの応答波形を変更した例を図2に実線にて示した。
請求項11に記載の発明によれば、動力源制御手段として、アクセル開度またはドライバ要求トルクに基づいて、エンジンの気筒に供給する燃料噴射量または吸入空気量を可変制御するエンジン制御手段を用いても良い。また、ドライバのアクセル操作またはアクセル開度信号の時間的な変化率、あるいは燃料噴射量または吸入空気量の時間的な変化率を算出し、その変化率と予め設定された加速判定閾値および減速判定閾値との大小を比較する加減速要求判定手段を設けても良い。そして、変化率が加速判定閾値以上である場合には、ドライバが加速要求をしていると判断し、また、変化率が減速判定閾値以下である場合には、ドライバが減速要求をしていると判断するようにしても良い。この場合には、本発明の車両用トルク制御装置を、アクセル開度またはドライバ要求トルクに基づいて、エンジン搭載車またはハイブリッドカー等の車両の車輪を駆動するエンジン(車両走行用エンジン)の出力軸トルクを可変制御するエンジントルク制御装置に適用することが可能となる。
請求項12に記載の発明によれば、動力源制御手段として、アクセル開度またはドライバ要求トルクに基づいて、モータに供給するモータ駆動電流を可変制御するモータ制御手段を用いても良い。また、ドライバのアクセル操作またはアクセル開度信号の時間的な変化率、あるいはモータ駆動電流の時間的な変化率を算出し、変化率と予め設定された加速判定閾値および減速判定閾値との大小を比較する加減速要求判定手段を設けても良い。そして、変化率が加速判定閾値以上である場合には、ドライバが加速要求をしていると判断し、また、変化率が減速判定閾値以下である場合には、ドライバが減速要求をしていると判断しても良い。この場合には、本発明の車両用トルク制御装置を、アクセル開度またはドライバ要求トルクに基づいて、電気自動車またはハイブリッドカー等の車両の車輪を駆動するモータ(車両走行用モータ)の出力軸トルクを可変制御するモータトルク制御装置に適用することが可能となる。
本発明を実施するための最良の形態は、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを緩和させて、走行快適性を向上させるという目的を、ドライバによる加減速要求に伴うアクセル開度信号の時間的な変化に対してアクセル開度またはドライバ要求トルクの応答波形になまし処理を施すと共に、なまし処理を施したアクセル開度またはドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、アクセル開度またはドライバ要求トルクの応答波形の中間域よりも緩やかにすることが可能な二次遅れフィルタを設定することで実現した。
[実施例1の構成]
図1ないし図8は本発明の実施例1を示したもので、図3はコモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した図である。
本実施例の内燃機関用燃料噴射装置は、例えば自動車等の車両に搭載されるものであり、アクセル開度センサ1より出力されたアクセル開度信号に基づいて運転者(ドライバ)のアクセル操作量(アクセル開度)を算出し、この算出したアクセル開度に基づいてドライバ要求トルクを算出し、この算出したドライバ要求トルクに基づいて、車両に搭載された多気筒ディーゼルエンジン等の内燃機関(以下エンジン6と言う)の各気筒の燃焼室内に噴射供給する燃料噴射量を制御して、エンジン6の出力軸トルクを可変制御するディーゼル車両用エンジントルク制御装置(ディーゼルエンジン制御システム)である。
なお、本実施例のエンジン制御システムは、主として、ディーゼルエンジン用燃料噴射システムとして知られるコモンレール式燃料噴射システム(蓄圧式燃料噴射装置)であり、コモンレール11内に蓄圧された高圧燃料を、エンジン6の各気筒毎に対応して搭載された複数個の燃料噴射弁(インジェクタ)12を介してエンジン6の各気筒の燃焼室内に噴射供給するように構成されている。このコモンレール式燃料噴射システムは、燃料の噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール11と、エンジン6の各気筒の燃焼室内に燃料を所定の噴射タイミングで噴射供給する複数個(本例では4個)のインジェクタ12と、吸入調量弁(SCV)14を経て加圧室内に吸入される燃料を加圧して高圧化する吸入燃料調量方式の燃料供給ポンプ(サプライポンプ)13と、複数個のインジェクタ12の電磁弁(図示せず)およびサプライポンプ13の吸入調量弁14を電子制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと呼ぶ)15とを備えている。
エンジン6の出力軸(例えばクランク軸:以下クランクシャフト7と言う)は、図示しない自動クラッチ機構としてのトルクコンバータを介してエンジン6の回転動力を駆動軸(ドライブシャフト)および駆動輪(ドライブホイール)に伝達するための動力伝達装置としての自動変速機の入力軸に連結されている。そして、本実施例では、自動変速機として、前進側の変速段が多段化されて、エンジン6の回転速度を所定の変速比に変速するオートマチック・トランスミッション:以下トランスミッション8と言う)が搭載されている。なお、動力伝達装置としてマニュアル・トランスミッションを用いても良い。
コモンレール11は、燃料供給配管22を介して高圧燃料を吐出するサプライポンプ13の吐出口と接続されている。また、コモンレール11から燃料タンク16へのリリーフ配管(燃料還流配管)24には、プレッシャリミッタ17が取り付けられている。そのプレッシャリミッタ17は、コモンレール11内の燃料圧力が限界設定圧力を超えた際に開弁してコモンレール11内の燃料圧力を限界設定圧力以下に抑える。そして、エンジン6の各気筒毎に対応して搭載された複数個のインジェクタ12は、コモンレール11より分岐する複数の燃料供給配管(分岐管)23の下流端に接続されて、エンジン6の各気筒の燃焼室内への燃料噴射を行う燃料噴射ノズル、この燃料噴射ノズル内に収容されたノズルニードルを開弁方向に駆動する電磁弁、およびノズルニードルを閉弁方向に付勢するスプリング等のニードル付勢手段(図示せず)等から構成された電磁式燃料噴射弁である。
そして、各気筒のインジェクタ12からエンジン6の各気筒の燃焼室内への燃料噴射は、ノズルニードルと連動するコマンドピストンの動作制御を行う背圧制御室内の燃料圧力を増減制御する電磁弁のソレノイドコイルへの通電および通電停止(ON/OFF)により電子制御される。つまり、インジェクタ12の電磁弁のソレノイドコイルが通電されてノズルニードルがノズルボデーの先端部に形成された複数個の噴射孔を開弁している間、コモンレール11内に蓄圧された高圧燃料がエンジン6の各気筒の燃焼室内に噴射供給される。これにより、エンジン6が運転される。また、インジェクタ12には、余剰燃料や背圧制御室から排出された燃料を燃料系の低圧側に溢流させるためのリークポートが設けられており、インジェクタ12からのリーク燃料は、燃料還流配管25を介して燃料タンク16に戻される。
サプライポンプ13は、吸入した低圧燃料を加圧して高圧化しコモンレール11内に圧送供給する圧送系統(ポンプエレメント)を2つ以上備え、1つの吸入調量弁14で、全ての圧送系統の燃料吐出量を、吸入燃料量を調量することで制御するタイプの高圧供給ポンプである。このサプライポンプ13は、エンジン6のクランクシャフト7の回転に伴ってポンプ駆動軸(ドライブシャフトまたはカムシャフト)9が回転することで、燃料タンク16から低圧燃料を汲み上げる周知のフィードポンプ(低圧供給ポンプ:図示せず)と、ポンプ駆動軸9により回転駆動されるカム(図示せず)と、このカムに駆動されて上死点と下死点との間を往復運動する複数個のプランジャ(図示せず)と、これらのプランジャの往復運動により燃料を加圧して高圧化する複数個の加圧室(プランジャ室:図示せず)とを有している。
そして、サプライポンプ13は、プランジャがポンプシリンダ内を往復摺動することで、燃料タンク16から燃料供給配管21を経て複数個の加圧室内に吸入された低圧燃料を加圧して高圧化する。なお、燃料供給配管21の途中には、燃料フィルタ(図示せず)が設置されている。また、サプライポンプ13には、内部の燃料温度が高温にならないように、リークポートが設けられており、サプライポンプ13からのリーク燃料は、燃料還流配管26を介して燃料タンク16に戻される。ここで、サプライポンプ13内に形成される、フィードポンプから加圧室に至る燃料吸入経路(図示せず)の途中には、その燃料吸入経路の開口度合(弁体のリフト量または弁孔の開口面積)を調整する吸入調量弁14が取り付けられている。
吸入調量弁14は、図示しないポンプ駆動回路を介してECU15から印加されるポンプ駆動電流(ポンプ駆動信号)によって電子制御されることにより、サプライポンプ13の加圧室内に吸入される燃料吸入量を調整することで、サプライポンプ13の加圧室からコモンレール11内に吐出される燃料吐出量を制御する。この吸入調量弁14は、ソレノイドコイルに印加されるポンプ駆動電流の大きさに比例して、サプライポンプ13の加圧室からコモンレール11内に吐出される燃料吐出量を調整することで、インジェクタ12からエンジン6の各気筒の燃焼室内に噴射供給する燃料の噴射圧力に相当するコモンレール11内の燃料圧力、所謂コモンレール圧力を変更する。
本実施例のECU15には、制御処理、演算処理を行うCPU、各種の制御プログラム、制御ロジックや制御データを保存する記憶装置(ROMまたはEEPROMおよびRAMまたはスタンバイRAM等のメモリ)、入力回路、出力回路、電源回路等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータ、インジェクタ駆動回路(EDU)、ポンプ駆動回路が内蔵されている。なお、インジェクタ駆動回路(EDU)は、各気筒のインジェクタ12の電磁弁のソレノイドコイルに個別にパルス状のインジェクタ駆動電流を印加するインジェクタ駆動手段である。また、ポンプ駆動回路は、サプライポンプ13の吸入調量弁14のソレノイドコイルにポンプ駆動電流を印加するポンプ駆動手段である。
そして、ECU15は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、ECU電源の供給が成され、メモリ内に格納された制御プログラムや制御ロジックに基づいて、例えば燃料噴射量または燃料噴射圧力(コモンレール圧力)が制御値となるように電子制御するように構成されている。また、ECU15は、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されてECU電源の供給が断たれると、メモリ内に格納された制御プログラムや制御ロジックに基づく上記の制御が強制的に終了されるように構成されている。そして、ECU15は、コモンレール11に設置された燃料圧力センサ5より出力された出力値(コモンレール圧力信号)、その他の各種センサからのセンサ信号、および車両に設置された一部のスイッチからのスイッチ信号が、A/D変換器でA/D変換された後に、ECU15に内蔵されたマイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
また、マイクロコンピュータの入力回路には、エンジン6の運転状態や運転条件を検出する運転状態検出手段としての、ドライバのアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を検出するためのアクセル開度センサ(アクセル操作量検出手段)1、エンジン6のクランクシャフト7の回転角度を検出するためのクランク角度センサ2、エンジン冷却水温(THW)を検出するための冷却水温センサ3、およびサプライポンプ13内に吸入されるポンプ吸入側の燃料温度(THF)を検出するための燃料温度センサ4等が接続されている。上記のセンサのうちアクセル開度センサ1は、ドライバのアクセルペダル(図示せず)の踏み込み量(アクセル操作量)に対応したアクセル開度信号を出力する。そして、ECU15は、アクセル開度センサ1より出力されるアクセル開度信号に基づいて、ドライバのアクセル操作(ドライバによるアクセルペダルの加減速操作または定速操作)に伴って変化するアクセル操作量(以下アクセル開度と呼ぶ:ACCPF)を算出するためのアクセル開度算出手段として機能する。
また、クランク角度センサ2は、エンジン6のクランクシャフト7、あるいはサプライポンプ13のポンプ駆動軸(ドライブシャフトまたはカムシャフト)9に取り付けられたNEタイミングロータ(図示せず)の外周に対向するように設けられた電磁ピックアップコイルよりなる。そのNEタイミングロータの外周面には、所定回転角度毎に凸状歯が複数個配置されている。そして、クランク角度センサ2は、NEタイミングロータの各凸状歯がクランク角度センサ2に対して接近離反を繰り返すことにより、電磁誘導によってパルス状の回転位置信号(NE信号パルス)、特にエンジン6のクランクシャフト7の回転速度(エンジン回転速度)およびサプライポンプ13の回転速度(ポンプ回転速度)と同期したNE信号パルスが出力される。なお、ECU15は、クランク角度センサ2より出力されたNE信号パルスの間隔時間を計測することによってエンジン回転速度(以下エンジン回転数とも言う:NE)を検出するための回転速度検出手段として機能する。
また、ECU15は、トランスミッション制御ユニット(TCM:図示せず)、およびエアコンシステムとの間でCAN通信(例えば現在のギヤ位置、エンジン出力軸トルクの増減要求やアイドルアップ要求等)を行うように構成されている。ここで、TCMには、上記のアクセル開度センサ1、および車両の走行速度(以下車速とも言う)を検出する車速センサ(図示せず)等が接続されている。そして、車速センサは、例えばリードスイッチ式車速センサまたは磁気抵抗素子式車速センサであって、トランスミッション8の出力軸の回転速度を計測して車両の走行速度(車速)に対応した車速信号を出力する車速検出手段である。なお、車速検出手段として車両の車輪速度を検出する車輪速度センサを用いても良い。
また、TCMは、セレクトレバーがDレンジまたは2レンジの時に、アクセル開度センサ1からのアクセル開度(ACCPF)に対応したアクセル開度信号と、車速センサからの車速(SPD)に対応した車速信号とによって、変速用のソレノイドバルブ等のアクチュエータのON、OFFの組み合わせにより油圧回路を切り替えて、複数のギヤ位置(前進4段の場合は第1速〜第4速、または前進5段の場合は第1速〜第5速、または前進6段の場合は第1速〜第6速)が選択され(ギヤ位置検出手段)、トランスミッション8の変速状態を制御する。これにより変速が行われる。なお、第1速〜第4速、または第1速〜第5速、または第1速〜第6速の変速比(ギヤ比)は、車両諸元によって決定されている。
そして、ECU15は、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)された後、所定のタイミング毎に、エンジン6の運転状態または運転条件に対応した最適なコモンレール圧力を演算し、ポンプ駆動回路を介してサプライポンプ13の吸入調量弁14のソレノイドコイルを駆動する燃料圧力制御手段(コモンレール圧力制御手段)を有している。これは、エンジン回転数(NE)と基本噴射量(Q)または指令噴射量(QFIN)とによって目標コモンレール圧力(目標燃料圧力:PFIN)を演算する燃料圧力決定手段を有し、この目標燃料圧力(PFIN)を達成するために、吸入調量弁14のソレノイドコイルに印加するポンプ駆動電流を調整して、サプライポンプ13の燃料吐出量をフィードバック制御するように構成されている。すなわち、燃料圧力センサ5によって検出されたコモンレール圧力(PC)が目標燃料圧力(PFIN)と略一致するように、PI(比例積分)制御またはPID(比例積分微分)制御を用いて、サプライポンプ13の燃料吐出量をフィードバック制御している。具体的には、燃料圧力センサ5によって検出されたコモンレール圧力(PC)と目標燃料圧力(PFIN)との圧力偏差(ΔP)に基づいて、サプライポンプ13の燃料吐出量と相関関係を有する(吸入調量弁14のソレノイドコイルに印加する)ポンプ駆動電流をフィードバック制御している。
そして、ECU15は、エンジン6の運転状態または運転条件に対応した最適な燃料噴射量、噴射時期を演算し、インジェクタ駆動回路(EDU)を介して各気筒のインジェクタ12の電磁弁のソレノイドコイルを駆動する噴射量制御手段(動力源制御手段、エンジン制御手段)を有している。また、ECU15は、車両の走行抵抗の増減に影響を及ぼす車両諸元を各種変更されて多種仕様の車両に仕立てられた際に、車両諸元である車両重量、空気抵抗係数、前面投影面積、タイヤの転がり抵抗係数、タイヤ有効半径または最終変速比等に基づく定数のいずれか1つ以上を設定し直すことが可能な車両諸元変更手段を有している。これは、例えば電動サンルーフ、エアコンシステム、エアロパーツ、フロントグリルガード、ヘッドライト等をディーラ等で車両に後付けする際、あるいは車両仕様をグレイドアップする際、あるいは車両を寒冷地仕様に変更する際、あるいはノーマルオプションバージョン車からオフロードオプションバージョン車またはアーバンオプションバージョン車に変更する際、あるいは標準仕様のタイヤを転がり抵抗の小さいタイヤに変更する際に、車両諸元に基づく定数を変更し、この変更した車両諸元に基づく定数に書き換えてEEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリ(車両諸元記憶手段)に記憶するようにしても良い。
そして、ECU15は、アクセル開度センサ1より出力されるアクセル開度信号に基づいてアクセル開度(ACCPF)を算出し、この算出したアクセル開度(ACCPF)に基づいてホイールトルクを算出し、この算出したホイールトルクに基づいて、エンジン6に要求されるドライバ要求トルクを算出するためのドライバ要求トルク算出手段として機能する。これは、図1(a)に示したように、ドライバによる加減速要求に伴うアクセル開度(ACCPF)の時間的な変化に略一致して変化するドライバ要求トルクの応答波形(ステップ状のなまし処理前トルク:例えば図14参照)を算出する処理前トルク算出手段(31)と、ドライバによる加減速要求に伴うアクセル開度(ACCPF)またはアクセル開度信号の時間的な変化に対して、立ち上がりまたは立ち下がりから中間域を経て目標トルクに到達するまでのドライバ要求トルクの応答波形(ステップ状のなまし処理前トルク:例えば図14参照)を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段と、このフィルタ処理手段にてなまし処理を施したドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)を算出する処理後トルク算出手段(33)とによって構成されている。
ここで、本実施例のフィルタ処理手段としては、図1に示すように、ドライバによる加減速要求時に、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がり(Aゾーン)または立ち下がりを、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の中間域よりも緩やかにする二次遅れフィルタ(32)が設定されている。この二次遅れフィルタ(32)は、ドライバによる加減速要求に伴って変化するドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がりまたは立ち下がりを、図1(b)に示したように、一次遅れフィルタを用いた場合よりも緩やかにする二次遅れ要素であって、しかも加減速開始時刻から目標トルクに収束する収束時刻までの目標トルク到達時間が一次遅れフィルタを用いた場合と略同一時間に設定するフィルタ処理手段である。
ここで、加速要求時における現在のトルク値から目標トルク値に到達するのに要する時間帯を、初期領域β、中間領域α、収束(終期)領域γに区分する。そして、本実施例のフィルタ処理手段は、ドライバ要求トルク(またはアクセル開度)の応答波形において、図2に示したように、加速要求時における加速開始時刻から目標トルク値に収束する到達時刻までの時間(現在のトルク値から目標トルク値に到達するのに要する時間)をt0とすると、t0時間においての初期領域βまたは収束領域γのトルク増加率ΔT/Δtの平均値を応答周波数ωおよび減衰係数ζを用いて調整し、ドライバ要求トルク(またはアクセル開度)の応答波形の中間領域αにおけるトルク加速度を操作する。例えばt0時間において基準特性Aに対して初期領域βおよび収束領域γのトルク増加率ΔT/Δtの平均値を小さく調整すると、目標特性Bの中間領域αのトルク増加率ΔT/Δtの平均値を基準特性Aのトルク増加率ΔT/Δtの平均値よりも大きく設定することができる。このように、トルク増加率ΔT/Δtの平均値を小さくすると、ドライバ要求トルク(またはアクセル開度)の応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを寝かせることが可能となる。
[実施例1の制御方法]
次に、本実施例の燃料噴射量の制御方法を図1ないし図8に基づいて簡単に説明する。ここで、図4はインジェクタ噴射量の制御方法を示したフローチャートである。この図4のメインルーチンは、イグニッションスイッチがオン(IG・ON)された後、所定のタイミング毎に実行される。なお、エンジン6の各気筒の燃焼室内に噴射供給される燃料噴射量を、エンジン6の各気筒毎に個別に演算しても良い。
先ず、各種センサからのセンサ信号を取り込む(ステップS1)。具体的には、アクセル開度センサ1より取り込んだアクセル開度信号によってアクセル開度(ACCPF)を算出する(アクセル開度算出手段、アクセル開度検出手段)。また、クランク角度センサ2より取り込んだNE信号パルスの間隔時間を計測することでエンジン回転速度(NE)を算出する(エンジン回転速度検出手段)。また、燃料圧力センサ5より取り込んだコモンレール圧力信号によってコモンレール圧力(PC)を算出する(燃料圧力検出手段)。
ここで、ドライバのアクセル開度(ACCPF)に対する要求を、アクセル開度(ACCPF)の変化量が第1所定値以下の定常状態では、目標走行速度(以下目標速度と言う)を求めていると定義し、また、アクセル開度(ACCPF)の変化量が第2所定値以上の過渡状態では、目標加速度を求めていると定義する。このため、先ず、アクセル開度(ACCPF)を目標速度に変換する(目標速度算出手段:ステップS2)。次に、目標速度を時間微分して目標加速度を算出する(目標加速度算出手段:ステップS3)。
次に、車両諸元に基づく定数を、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリから読み込む(ステップS4)。ここで、車両諸元は、車両を一定の速度で定常走行させる際、あるいは車両を所定の加速度で加減速走行させる際の走行抵抗を算出するのに必要な、車両重量(m)、空気密度(ρ)、前面投影面積(車両を正面から見た時の車両全体の面積:S)、車両の全形状(例えばボディスタイル)から決まる走行抵抗係数(空気抵抗係数、空気抗力係数、CD値:Cd)、タイヤの転がり抵抗係数(路面摩擦抵抗係数:μ)等が有る。
また、車両諸元としては、ホイール(駆動輪)トルクからエンジン出力軸トルクを算出するのに必要な、トランスミッション8の変速比やデファレンシャルギヤの変速比等の複数の変速部の変速比を掛け合わせた値である最終変速比(以下変速比またはギヤ比と言う)が有り、また、走行抵抗からホイールトルクを算出するのに必要な、車両重量によるタイヤ偏平後のタイヤの中心から路面までの寸法値であるタイヤ有効半径(以下タイヤ半径と言う:r)が有る。また、車両諸元としては、タイヤ諸元値(タイヤ半径、タイヤ幅、タイヤゴム硬度等)が有る。特に、車両重量(m)は、車両に部品を追加または変更すれば必ず変化する。また、エアロパーツやフロントグリルガード等のボディスタイルを変更するような部品は、前面投影面積(S)、走行抵抗係数(Cd)が変化する。
次に、目標加速度と目標速度とからドライバ要求速度発生時に車両に加わる走行抵抗を算出する(ステップS5:走行抵抗算出手段)。次に、走行抵抗から目標駆動軸(ドライブシャフト)トルクに相当するホイール(駆動輪、駆動軸、車軸)トルクに換算する(駆動輪トルク算出手段:ステップS6)。次に、ホイールトルクからドライバ要求トルクを算出する(ドライバ要求トルク算出手段:ステップS7)。次に、ドライバ要求トルクから基本噴射量(Q)を算出する(ステップS8)。次に、エンジン冷却水温(THW)と燃料温度(THF)等から、基本噴射量(Q)に対する噴射量補正量(ΔQ)を算出する(補正量算出手段:ステップS9)。ここで、噴射量補正量(ΔQ)を、公知の比例積分(PI)制御または比例積分微分(PID)制御を用いて算出しても良い。この場合には、車速センサによって検出した実際の走行速度(車速)と目標速度またはなました目標速度との車速偏差に基づいて噴射量補正量(ΔQ)をフィードバック演算する。次に、ステップS8で算出した基本噴射量(Q)に、ステップS9で算出した噴射量補正量(ΔQ)を加算して通常制御中の指令噴射量(目標噴射量:QFIN)を算出する(ステップS10)。
次に、エンジン回転速度(NE)と指令噴射量(QFIN)とによって指令噴射時期(T)を算出する(噴射時期決定手段:ステップS11)。次に、コモンレール圧力(PC)と指令噴射量(QFIN)とによってインジェクタ12の電磁弁の通電時間(噴射パルス長さ、指令噴射期間:TQ)を算出する(噴射期間決定手段:ステップS12)。次に、インジェクタ駆動回路(EDU)を介して各気筒のインジェクタ12の電磁弁のソレノイドコイルに、指令噴射時期(T)から指令噴射期間(TQ)が経過するまでの間、パルス状のインジェクタ駆動電流を印加する(インジェクタ駆動手段:ステップS13)。その後に、図4のメインルーチンを抜ける。
ここで、インジェクタ噴射量制御に用いる、アクセル開度(ACCPF)に基づくドライバ要求トルクの算出方法を、図5の制御ロジックに示す。また、アクセル開度(ACCPF)に基づく走行抵抗の算出方法を、図6の制御ロジックに示す。
ECU15は、上述したように、目標速度算出手段でアクセル開度(ACCPF)を目標速度に変換した後に、その目標速度を微分器(目標加速度算出手段)で時間微分して目標加速度(α)を算出する。そして、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリから車両諸元に基づく定数の1つである車両重量(m)を読み込む。そして、算出した目標加速度(α)に、車両重量(m)を乗算して、車両を平坦路で加減速走行させる際の加速抵抗(FA)を算出する(加速抵抗算出手段)。なお、下記の数1の演算式を用いて加速抵抗(FA)を算出しても良い。
〔数1〕
FA={(W+ΔW)×α}/g
ここで、Wは車両重量(m)で、ΔWは回転部分相当重量で、αは目標加速度で、gは重力加速度である。
また、ECU15は、目標速度を1次遅れフィルタ(目標速度補正手段、目標速度なまし手段)に通すことで、目標速度を所定のなまし率でなます(目標速度の速度応答をなます)ことにより、現在の走行速度(車速)から次回までに追従することが可能な目標速度を設定する。そして、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリから車両諸元に基づく定数、具体的には空気密度(ρ)、前面投影面積(S)および走行抵抗係数(空気抗力係数、CD値:Cd)を読み込む。そして、応答速度をなました目標速度(V)、空気密度(ρ)、前面投影面積(S)、走行抵抗係数(Cd)および下記の数2の演算式を用いて、車両を平坦路で定常走行させる際の空気抵抗(FD)を算出する(空気抵抗算出手段、空力抵抗算出手段)。
〔数2〕
FD=0.5×ρ×V2 ×S×Cd
また、ECU15は、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリから車両諸元に基づく定数、具体的には車両重量(m)、タイヤの転がり抵抗係数(路面摩擦抵抗係数:μ)を読み込む。そして、車両重量(m)、路面摩擦抵抗係数(μ)、重力加速度(g)および下記の数3の演算式を用いて、車両を平坦路で定常走行させる際の転がり抵抗(FR)を算出する(転がり抵抗算出手段)。
〔数3〕
FR=μ×m×g
そして、ECU15は、車両が平坦路を定常走行している時には、空気抵抗(FD)と転がり抵抗(FR)とを加算して走行抵抗(RR=FD+FR)を算出する。また、車両が平坦路を加減速走行している時には、空気抵抗(FD)と転がり抵抗(FR)との和に加速抵抗(FA)を加算して走行抵抗(RR=FD+FR+FA)を算出する(走行抵抗算出手段)。なお、車両が坂道を登坂走行している時には、空気抵抗(FD)と転がり抵抗(FR)との和に勾配抵抗(FS)を加算しても良い。そして、勾配抵抗(FS)は、下記の数4の演算式に基づいて算出される。
〔数4〕
FS=W×sinθ
ここで、Wは車両重量(m)で、θは路面勾配である。この路面勾配(θ)は、ナビゲーションシステム搭載車であれば、地図上の車両走行地点より読み取ることができる。また、路面勾配(θ)を検出または推定する装置を有している車両であれば、容易に路面勾配(θ)を検出または推定できる。
そして、ECU15は、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリからタイヤ諸元値に基づく定数の1つであるタイヤ半径(r)を読み込む。そして、算出した走行抵抗(RR)にタイヤ半径(r)を乗算して、ホイールトルク(WDT)を算出(換算)する(駆動輪トルク算出手段)。ここで、本実施例では、アクセル操作量が0となるアイドル運転時のホイールトルク補正量(ΔWDT)を、公知の比例積分微分(PID)制御または比例積分(PI)制御を用いて算出する方法を、図5の制御ロジックに示している。
これは、クランク角度センサ2より取り込んだNE信号パルスの間隔時間を計測することで算出した実際のエンジン回転速度(NE)が、アイドル運転時の目標回転速度と略一致するように、エンジン回転速度(NE)と目標回転速度との速度偏差に基づいてホイールトルク(WDT)をフィードバック演算する回転速度フィードバック演算手段である。これによって、アクセル操作量が0となるアイドル運転時には、ホイールトルク(WDT)にホイールトルク補正量(ΔWDT)を加算してホイールトルク(WDT)を補正する。ここで、目標回転速度は、エンジン冷却水温(THW)が所定値以下のエンジン始動時にエンジン6の暖機を促進するため、あるいはエアコンシステムの作動時に渋滞中の場合でもエアコンの効きを良くするために、あるいはエンジン6のクランクシャフト7により回転駆動されるポンプ、オルタネータ等のエンジン補機の作動時、ヘッドライト等の電装品の作動時にエンジンストールを防止するために、アイドル回転速度を100〜200rpm程度規定値よりも高く設定されることもある。
次に、ドライバ要求トルク算出手段におけるフィルタ処理手段としての二次遅れフィルタ(32)によるドライバ要求トルクの応答波形のなまし処理方法を、図1(a)の制御ロジックおよび図7の制御ルーチン(ドライバ要求トルク算出ルーチン)に示す。
先ず、アクセル開度センサ1より取り込んだアクセル開度信号に基づいてアクセル開度(ACCPF)を算出する。さらに、上述したように算出したホイールトルク(WDT)を読み込み、TCMから現在のギヤ位置を読み込む(ステップS21)。次に、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリから車両諸元に基づく定数の1つである変速比(ギヤ比)を読み込み、現在のギヤ位置に対応した変速比(ギヤ比)を算出する。そして、算出したホイールトルク(WDT)を変速比(ギヤ比)で除算して、ドライバが要求するドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)を算出する(処理前トルク算出手段:ステップS22)。
次に、ドライバのアクセル操作の時間的な変化率を、アクセル開度センサ1より出力されるアクセル開度信号(またはアクセル開度)の時間的な変化率に基づいて算出する(ステップS23)。次に、上記の変化率と予め設定された加速判定閾値および減速判定閾値との大小を比較することで、ドライバがアクセルペダルを現在位置よりも踏み込む加速要求、あるいはドライバがアクセルペダルを現在位置よりも戻す減速要求を行っているか否かを判定する(加減速要求判定手段:ステップS24)。この判定結果がNOの場合、すなわち、ドライバのアクセル操作の時間的な変化率、例えばアクセル開度(ACCPF)の変化率が加速判定閾値未満および減速判定閾値未満の場合には、ドライバから加減速要求が成されていないと判断して、上記のなまし処理前トルクをドライバ要求トルクとする(ステップS27)。
また、ステップS24の判定結果がYESの場合、すなわち、ドライバのアクセル操作の時間的な変化率、例えばアクセル開度(ACCPF)の変化率が加速判定閾値以上および減速判定閾値以下の場合には、ドライバから加減速要求が成されていると判断して、上記のなまし処理前トルクを、二次遅れフィルタ(32)に通す(フィルタ処理手段:ステップS25)。これにより、ドライバ要求トルクの応答波形(ステップ状のなまし処理前トルク)に、所定のなまし率でなまし処理が施され、図1(b)に示したような二次曲線波形のなまし処理後トルクが算出される(処理後トルク算出手段:ステップS26)。次に、ステップS27において、上記のなまし処理後トルクをドライバ要求トルクとする。
ここで、二次遅れフィルタ(32)を通す前のドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)をTRQFR、二次遅れフィルタ(32)を通した後のドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)をTRQAF、応答周波数をω、減衰係数をζおよびラプラス演算子をsとしたとき、なまし処理後トルク(TRQAF)は、下記数5の式で表される。
〔数5〕
TRQAF=TRQFR×{ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )}
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、ドライバによる加減速要求に伴って変化する、アクセル開度センサ1より出力されるアクセル開度信号(またはこのアクセル開度信号に基づいて算出されるアクセル開度)の時間的な変化に対して、処理前トルク算出手段(31)によって算出されるドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段として、ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )なる伝達関数で表現される二次遅れフィルタ(32)を設定している。そして、この二次遅れフィルタ(32)によって、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がりまたは立ち下がりを、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の中間域および一次遅れフィルタを用いた場合よりも緩やかにしている。これによって、ドライバによる加減速要求に伴ってドライバがアクセルペダルを急に踏み込んだり、急に戻したりした過渡時(加減速要求時)における噴射量の急変が緩和されるので、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを充分に緩和させることができる。したがって、車両を発進させる際、あるいは車両の走行状態を、車両を一定の速度で定常走行させる定速走行状態から、車両を所定の加速度で加減速走行させる加減速走行状態に移行する際の走行快適性を向上させることができる。
また、本実施例のコモンレール式燃料噴射システムにおいては、ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )なる伝達関数で表現される二次遅れフィルタ(32)を設定することにより、ドライバのアクセル操作に伴って変化するアクセル開度信号(またはアクセル開度)に基づいて算出されるドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がったまたは立ち下がった後の中間域の傾斜が急になり、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の目標トルク(ドライバによる加減速操作が定常化した時点のアクセル開度信号またはアクセル開度に合致したドライバ要求トルクの推定値)に対するドライバ要求トルク(の演算値)の追従性が良好となる。これによって、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がりまたは立ち下がりから中間域を経て目標トルクに到達するまでの目標トルク到達時間が長くならず、ドライバのアクセル操作に対応した噴射量を迅速に得ることができるので、エンジン6のトルク制御の応答性、つまりドライバのアクセル操作に対する加減速反応性(所謂アクセルレスポンス)を確保できる。したがって、全体的な走行快適性を向上させることができる。
また、ドライバによる加減速要求に伴ってドライバがアクセルペダルを急に踏み込んだり、急に戻したりした過渡時(加減速要求時)に、アクセル開度センサ1から出力されたアクセル開度信号(またはアクセル開度)に基づいて算出されるドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)を所定のなまし率でなまし処理することにより、アクセル開度信号(またはアクセル開度)に基づいて算出されるドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がりまたは立ち下がりを、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の中間域よりも緩やかにすることで、ドライバによる加減速要求時における初期加減速ショックを軽減しつつ、ドライバのアクセル操作に対する加減速反応性(所謂アクセルレスポンス)を確保することができる。したがって、全体的な走行快適性を向上させることができる。
ここで、本実施例の二次遅れフィルタ(32)は、ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )よりなる伝達関数で表現されるものであって、応答周波数ωおよび減衰係数ζを、図8に示したように、ドライバの加減速要求または加減速反応性またはエンジン6の要求またはエンジン6の運転状態または車両の走行状態に合わせて変更できるように構成しても良い。この場合には、ドライバ要求トルクの応答波形(ステップ状のなまし処理前トルク:例えば図14参照)のなまし率を最適化できる。例えばドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がりまたは立ち下がりは、応答周波数ωが支配する領域(応答周波数ωに依存する領域)であるため、応答周波数ωの値を小さくするとなまし率が大きくなり(立ち上がりまたは立ち下がりの応答波形の傾きが緩やかになり)、逆に応答周波数ωの値を大きくするとなまし率が小さくなる(立ち上がりまたは立ち下がりの応答波形の傾きが急になる)。
また、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の中間域は、減衰係数ζが支配する領域(減衰係数ζに依存する領域)であるため、減衰係数ζの値を小さくするとなまし率が小さくなり(中間域の応答波形の傾きが急になり)、逆に減衰係数ζの値を大きくするとなまし率が大きくなる(中間域の応答波形の傾きが緩やかになる)。また、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の収束域は、応答周波数ωが支配する領域(応答周波数ωに依存する領域)であるため、応答周波数ωの値を小さくするとなまし率が大きくなり(立ち上がりまたは立ち下がりの応答波形の傾きが緩やかになり)、逆に応答周波数ωの値を大きくするとなまし率が小さくなる(立ち上がりまたは立ち下がりの応答波形の傾きが急になる)。
図9は本発明の実施例2を示したもので、二次遅れフィルタにおけるなまし率の変更方法を示した図である。
本実施例では、実施例1と同様にして、処理前トルク算出手段(31)によって算出されるドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク:なまし処理前ステップ波形)を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段として、ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )なる伝達関数で表現される二次遅れフィルタ(32)を設定している。そして、二次遅れフィルタ(32)は、エンジン回転速度(NE)が高速側または低速側である程、あるいはトランスミッション8の変速段が高速段側または低速段側である程、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理後トルク)の立ち上がりまたは立ち下がりを寝かせるようにしている。これにより、例えば車両を発進させるためにドライバがアクセルペダルを踏み込んだ際になましがきかないようにすることで、ドライバビリティを改善することができる。逆に、車両を発進させるためにドライバがアクセルペダルを踏み込んだ際になましがきくようにすることで、車両発進時の初期ショックおよび加減速後に発生する前後加速度(の急変動)を防止できる。また、例えば高速走行中に前の車両を追い越すためにドライバがアクセルペダルを踏み込んだ際になましがきかないようにすることで、定常走行から追い越しのための加速走行にスムーズに移行できる。
図10は本発明の実施例3を示したもので、図10(a)は二次遅れフィルタを用いたなまし処理方法を示した図で、図10(c)は加減速要求時のトルク応答波形を示したタイミングチャートである。ここで、インジェクタ噴射量制御に用いる、アクセル開度(ACCPF)とエンジン回転速度(NE)に基づくドライバ要求トルクの算出方法を、図10(b)の制御ロジックに示す。
ECU15は、アクセル開度センサ1より出力されたアクセル開度信号に基づいてアクセル開度(ACCPF)を算出し、クランク角度センサ2より取り込んだNE信号パルスの間隔時間を計測することでエンジン回転速度(NE)を算出する。そして、ECU15は、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリに格納されたマップに基づいて、アクセル開度(ACCPF)とエンジン回転速度(NE)とに対応するガバナパターントルク(TRQGOV)を算出する(ガバナパターントルク算出手段:GOV)。そして、ECU15は、図10(a)、(b)に示したように、ガバナパターントルク(TRQGOV)をなまし処理前トルクに変換して、二次遅れフィルタ(32)に通し、なまし処理後トルク(TRQFBAS)に変換する(なまし処理手段、フィルタ処理手段)。
そして、ECU15は、上記のなまし処理後トルク(TRQFBAS)に、アイドル回転速度制御手段(ISC)により設定されるアイドル回転速度を維持することが可能なアイドルトルク(TRQISC)を加算する。そして、ECU15は、なまし処理後トルク(TRQFBAS)にアイドルトルク(TRQISC)を加算した値と、エンジン6の仕様に応じて設定される上限トルク(TRQLMTF)とのうちのミニマム値(Min)に、エンジン6の回転速度変動を抑制するための補正トルク(TRQJRK)を加算または減算した値を、最終的なドライブ要求トルク(TRQFIN)とする。
図11は本発明の実施例4を示したものである。ここで、二次遅れフィルタにおけるなまし率の変更方法を、図11の制御ロジックに示す。
本実施例では、実施例3のガバナパターントルク(TRQGOV)を所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段として、ECU15の演算上、上記の2次遅れフィルタ(32)の伝達関数を入れ換えた、ω2 ×(u−y)−2ζω×syよりなる加速なまし1階微分状態の式を使用している。ここで、ωは加速なまし時定数OMEGAUP(=応答周波数ω×変速段補正係数)の値で、uはガバナパターントルク(TRQGOV)で、yはなまし処理後トルク(TRQFBAS)で、ζは減衰係数の値で、sはラプラス演算子である。また、このフィルタ処理手段は、加速なまし時定数OMEGAUP(=応答周波数ω×変速段補正係数)の値および減衰係数ζの値を、エンジン回転速度(NE)またはトランスミッション8の変速段に合わせて変更できるように構成している。先ず、減衰係数ζの値は、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリに格納された一次元マップ(TIHETA)に基づいて、エンジン回転速度(NE)に対応する減衰係数(ZETA)に変更される。
また、加速なまし時定数OMEGAUPは、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリに格納された、横軸がガバナパターントルク(TRQGOV)、縦軸がエンジン回転速度(NE)の二次元マップ(MIRQOMGUPN,MIRQOMGUPL,MIRQOMGUPM,MIRQOMGUPH)に基づいて、ガバナパターントルク(TRQGOV)とエンジン回転速度(NE)とに対応する応答周波数ωに変更される。そして、応答周波数ωは、トランスミッション8の各変速段(ギヤ段)に応じて応答周波数ωを切り替える変速段切替手段(ギヤ段切替手段)によってトランスミッション8の各変速段(ニュートラル、第1速、第2、3速、第4、5、6速)に対応した値に選択(または設定)される。そして、応答周波数ωの値は、二次元マップに基づいて、トランスミッション8の各変速段に対応させて設定された応答周波数ωに、トランスミッション8の各変速段(RAPPORTB)に対応して設定される変速段補正係数(TKGRDN)を乗算した値、つまり加速なまし時定数OMEGAUPに変換される。
なお、応答周波数ωの値を1に固定し、減衰係数ζの値をエンジン回転速度(NE)に合わせて変更しても良い。また、減衰係数ζの値を1に固定し、応答周波数ωの値をトランスミッション8の各変速段(RAPPORTB)またはギヤ比に合わせて変更しても良い。また、トランスミッション8の変速段(ギヤポジション)を、エンジン6の出力軸の回転速度に相当するエンジン回転速度(NE)と、トランスミッション8の出力軸の回転速度に相当する車速(V)との速度比(NV比)によって算出するようにしても良い。また、EEPROMまたはスタンバイRAM等のメモリの記憶内容の書き換えは、サービス専用のボリュームスイッチを操作して、応答周波数ωの値、加速なまし時定数OMEGAUPの値および減衰係数ζの値をドライバのフィーリングに応じて設定し直しても良い。
また、車両のインストルメントパネルに設置した2以上の操作スイッチを同時に押したり、1つ以上の操作スイッチを長時間押したりしたら、応答周波数ωの値、加速なまし時定数OMEGAUPの値および減衰係数ζの値をドライバのフィーリングに応じて設定し直しても良い。ここで、ドライバのフィーリングとして、例えばトルクなましを大きくきかせるなまし率に変更するか、トルクなましを小さくするなまし率に変更するか、アクセルレスポンスよりも初期加減速ショックの抑制効果を優先するドライブモードに変更するか、あるいは初期加減速ショックの抑制効果よりもアクセルレスポンスを優先するドライブモードに変更するか等がある。
[変形例]
本実施例では、本発明の車両用トルク制御装置を、コモンレール式燃料噴射システム(ディーゼルエンジン制御システム)に適用したが、本発明の車両用トルク制御装置を、コモンレール11を持たず、燃料供給ポンプから高圧供給配管を経て直接燃料噴射弁または燃料噴射ノズルに高圧燃料を圧送供給するタイプの内燃機関用燃料噴射装置に適用しても良い。また、本発明の車両用トルク制御装置を、ドライバのアクセル操作量に対応して車両に搭載されたエンジンの気筒内に向かう吸入空気量を制御するエンジントルク制御装置(エンジン制御システム)に適用しても良い。また、本発明の車両用トルク制御装置を、ドライバのアクセル操作量に対応して車両に搭載された走行用モータを駆動するモータ駆動電流を制御するモータトルク制御装置(モータ制御システム)に適用しても良い。
本実施例では、車両諸元変更手段によって設定し直した車両諸元に基づく定数を記憶する車両諸元記憶手段としてEEPROMやスタンバイRAM等のメモリを用いたが、EPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、DVD−ROM、CD−ROM、あるいはフレキシブル・ディスクのような他の記憶媒体を用いて、車両諸元変更手段によって設定し直した車両諸元に基づく定数を記憶するようにしても良い。この場合にも、イグニッションスイッチをオフ(IG・OFF)してから所定時間が経過した後、あるいはエンジン6の運転を停止した後も記憶した内容は保存される。
本実施例では、車両諸元である車両重量に基づく定数として、車両重量(mまたはW)を用いたが、車両諸元である車両重量に基づく定数として、車両重量(mまたはW)×補正係数を用いても良い。また、車両諸元であるタイヤ有効半径に基づく定数として、タイヤ有効半径(タイヤ半径:r)を用いたが、車両諸元であるタイヤ有効半径に基づく定数として、タイヤ有効半径(タイヤ半径:r)×補正係数を用いても良い。また、車両諸元である最終変速比に基づく定数として、最終変速比を用いたが、車両諸元である最終変速比に基づく定数として、トランスミッションの変速比とデファレンシャルの変速比等の複数の変速部の変速比を掛け合わした値×補正係数を用いても良い。また、車両諸元である空気抵抗係数に基づく定数として、走行抵抗係数(Cd)を用いたが、車両諸元である空気抵抗係数に基づく定数として、走行抵抗係数(Cd)×補正係数を用いても良い。また、車両諸元である前面投影面積に基づく定数として、前面投影面積(S)を用いたが、車両諸元である前面投影面積に基づく定数として、前面投影面積(S)×補正係数を用いても良い。
本実施例では、ドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)を、所定のなまし率でなまし処理しているが、アクセル開度センサ1より出力されるアクセル開度信号、あるいはこのアクセル開度信号に基づいて算出されるアクセル開度を、所定のなまし率でなまし処理し、このなまし処理した後のアクセル開度信号またはアクセル開度に基づいてドライバ要求トルクを演算するようにしても良い。また、なまし処理した後のアクセル開度信号またはアクセル開度に基づいて、車両の車輪を駆動するエンジンまたはモータ等の動力源の出力軸トルクを直接可変制御しても良い。
なお、エンジンの気筒に供給する燃料噴射量または吸入空気量とドライバ要求トルクとの対応関係を、マップデータまたは計算式データに基づいて予め記憶する記憶手段(例えばEEPROMまたはROMやスタンバイRAMまたはRAM等のメモリ)を設けても良い。そして、ドライバ要求トルク算出手段により算出されたドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルクまたはなまし処理後トルク)を、記憶手段(メモリ)に記憶されたマップデータまたは計算式データに基づいて、燃料噴射量または吸入空気量に換算するようにしても良い。また、減衰係数ζの値とエンジン回転速度(NE)との対応関係を、マップデータまたは計算式データに基づいて予め記憶する記憶手段(例えばEEPROMまたはROMやスタンバイRAMまたはRAM等のメモリ)を設けても良い。そして、減衰係数ζの値を、記憶手段(メモリ)に記憶されたマップデータまたは計算式データに基づいて、エンジン回転速度(NE)に対応して変換しても良い。
また、応答周波数ωの値とドライバ要求トルクの応答波形(なまし処理前トルク)とエンジン回転速度(NE)との対応関係を、マップデータまたは計算式データに基づいて予め記憶する記憶手段(例えばEEPROMまたはROMやスタンバイRAMまたはRAM等のメモリ)を設けても良い。そして、応答周波数ωの値を、記憶手段(メモリ)に記憶されたマップデータまたは計算式データに基づいて、エンジン回転速度(NE)に対応して変換しても良い。また、応答周波数ωの値とトランスミッション8の各変速段との対応関係を、マップデータまたは計算式データに基づいて予め記憶する記憶手段(例えばEEPROMまたはROMやスタンバイRAMまたはRAM等のメモリ)を設けても良い。そして、応答周波数ωの値を、記憶手段(メモリ)に記憶されたマップデータまたは計算式データに基づいて、トランスミッション8の各変速段に対応して変換しても良い。
(a)は二次遅れフィルタを用いたなまし処理方法を示した説明図で、(b)は加減速要求時のトルク応答波形を示したタイミングチャートである(実施例1)。 加速要求時のトルク応答波形を示したタイミングチャートである(実施例1)。 コモンレール式燃料噴射システムの全体構成を示した概略図である(実施例1)。 インジェクタ噴射量の制御方法を示したフローチャートである(実施例1)。 ドライバ要求トルクの算出方法を示した説明図である(実施例1)。 走行抵抗の算出方法を示した説明図である(実施例1)。 ドライバ要求トルクの算出方法を示したフローチャートである(実施例1)。 二次遅れフィルタにおけるなまし率の変更方法を示した説明図である(実施例1)。 二次遅れフィルタにおけるなまし率の変更方法を示した説明図である(実施例2)。 (a)は二次遅れフィルタを用いたなまし処理方法を示した説明図で、(b)はECUによる制御ロジックを示した説明図で、(c)は加減速要求時のトルク応答波形を示したタイミングチャートである(実施例3)。 ECUによる制御ロジックを示した説明図である(実施例4)。 (a)は一次遅れフィルタを用いたなまし処理方法を示した説明図で、(b)はドライバによる加減速要求時のドライバ要求トルクの応答波形を示したタイミングチャートである(従来の技術)。 加速要求時のアクセル開度、ドライバ要求トルクの変化を示したタイミングチャートである(従来の技術)。 加速要求時のトルク応答波形を示したタイミングチャートである(従来の技術)。
符号の説明
1 アクセル開度センサ(アクセル操作量検出手段)
2 クランク角度センサ(回転速度検出手段)
6 エンジン(内燃機関、動力源)
7 クランクシャフト(エンジンの出力軸)
8 トランスミッション
11 コモンレール
12 インジェクタ(燃料噴射弁)
13 サプライポンプ(燃料供給ポンプ)
15 ECU(エンジン制御ユニット、アクセル開度算出手段、動力源制御手段、ドライバ要求トルク算出手段)

Claims (12)

  1. (a)アクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号に基づいて、ドライバのアクセル操作に伴って変化するアクセル開度を算出するアクセル開度算出手段と、
    (b)前記アクセル開度に基づいて、車両の車輪を駆動する動力源の出力軸トルクを可変制御する動力源制御手段と
    を備えた車両用トルク制御装置において、
    前記アクセル開度算出手段は、前記ドライバによる加減速要求に伴う前記アクセル開度信号の時間的な変化に対して、立ち上がりまたは立ち下がりから中間域を経て目標値に到達するまでの前記アクセル開度の応答波形を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段を有し、
    前記フィルタ処理手段は、前記ドライバによる加減速要求時に、前記アクセル開度の応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、前記アクセル開度の応答波形の中間域よりも緩やかにすることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  2. (a)アクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号に基づいて、ドライバのアクセル操作に伴って変化するアクセル開度を算出するアクセル開度算出手段と、
    (b)前記アクセル開度信号または前記アクセル開度に基づいて、ドライバ要求トルクを算出するドライバ要求トルク算出手段と、
    (c)前記ドライバ要求トルクに基づいて、車両の車輪を駆動する動力源の出力軸トルクを可変制御する動力源制御手段と
    を備えた車両用トルク制御装置において、
    前記アクセル開度算出手段は、前記ドライバによる加減速要求に伴う前記アクセル開度信号の時間的な変化に対して、立ち上がりまたは立ち下がりから中間域を経て目標値に到達するまでの前記アクセル開度の応答波形を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段を有し、
    前記フィルタ処理手段は、前記ドライバによる加減速要求時に、前記アクセル開度の応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、前記アクセル開度の応答波形の中間域よりも緩やかにすることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  3. (a)アクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号に基づいて、ドライバのアクセル操作に伴って変化するアクセル開度を算出するアクセル開度算出手段と、
    (b)前記アクセル開度信号または前記アクセル開度に基づいて、ドライバ要求トルクを算出するドライバ要求トルク算出手段と、
    (c)前記ドライバ要求トルクに基づいて、車両の車輪を駆動する動力源の出力軸トルクを可変制御する動力源制御手段と
    を備えた車両用トルク制御装置において、
    前記ドライバ要求トルク算出手段は、前記ドライバによる加減速要求に伴う前記アクセル開度信号の時間的な変化に対して、立ち上がりまたは立ち下がりから中間域を経て目標値に到達するまでの前記ドライバ要求トルクの応答波形を、所定のなまし率でなまし処理するフィルタ処理手段を有し、
    前記フィルタ処理手段は、前記ドライバによる加減速要求時に、前記ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、前記ドライバ要求トルクの応答波形の中間域よりも緩やかにすることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両用トルク制御装置において、
    前記ドライバ要求トルク算出手段は、前記アクセル開度信号または前記アクセル開度と前記動力源の出力軸の回転速度とを適合させたガバナパターンに基づいて、前記ドライバ要求トルクを求めることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の車両用トルク制御装置において、
    前記アクセル開度信号または前記アクセル開度から目標走行速度を求める目標速度算出手段、前記目標走行速度を時間微分して目標加速度を求める目標加速度算出手段、および前記目標加速度と車両重量に基づく定数を用いて加速抵抗を求める加速抵抗算出手段を有し、
    前記加速抵抗に、少なくとも空気抵抗と転がり抵抗とを加算して、前記車両を前記目標加速度で加減速走行させる際の走行抵抗を求める走行抵抗算出手段と、
    前記走行抵抗とタイヤ有効半径に基づく定数とを用いて、駆動輪トルクを求める駆動輪トルク算出手段とを備え、
    前記ドライバ要求トルク算出手段は、前記駆動輪トルクと最終変速比とを用いて、前記ドライバ要求トルクを求めることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  6. 請求項3ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の車両用トルク制御装置において、
    前記ドライバ要求トルク算出手段は、前記ドライバによる加減速要求に伴う前記アクセル開度信号または前記アクセル開度の時間的な変化に対応した、なまし処理前トルクを算出する処理前トルク算出手段、および前記なまし処理前トルクを、前記フィルタ処理手段に通して、前記ドライバ要求トルクの応答波形に相当するなまし処理後トルクを算出する処理後トルク算出手段を有していることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  7. 請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の車両用トルク制御装置において、
    前記フィルタ処理手段として、前記アクセル開度または前記ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを、一次遅れフィルタを用いた場合よりも緩やかにする二次遅れフィルタが設定されていることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  8. 請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の車両用トルク制御装置において、
    前記フィルタ処理手段として、ω2 /(s2 +2ζωs+ω2 )よりなる伝達関数で表現される二次遅れフィルタが設定されており、
    応答周波数ωおよび減衰係数ζは、前記動力源の運転状態または前記動力源を搭載した車両の走行状態に対応して変更されることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  9. 請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の車両用トルク制御装置において、
    前記動力源の出力軸の回転速度を検出する回転速度検出手段を備え、
    前記フィルタ処理手段は、前記回転速度検出手段によって検出された前記動力源の出力軸の回転速度が中速領域に対して高速側または低速側である程、前記アクセル開度または前記ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを寝かせることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  10. 請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の車両用トルク制御装置において、
    前記動力源の出力軸トルクを前記車輪に伝達するための多段歯車変速機を有する動力伝達装置と、前記多段歯車変速機の変速段を検出する変速段検出手段とを備え、
    前記フィルタ処理手段は、前記変速段検出手段によって検出された変速段が中速段に対して高速段側または低速段側である程、前記アクセル開度または前記ドライバ要求トルクの応答波形の立ち上がりまたは立ち下がりを寝かせることを特徴とする車両用トルク制御装置。
  11. 請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の車両用トルク制御装置において、
    前記動力源制御手段は、前記アクセル開度または前記ドライバ要求トルクに基づいて、前記動力源としてのエンジンの気筒に供給する燃料噴射量または吸入空気量を可変制御するエンジン制御手段であって、
    前記ドライバのアクセル操作または前記アクセル開度信号の時間的な変化率、あるいは前記燃料噴射量または前記吸入空気量の時間的な変化率を算出し、前記変化率と予め設定された加速判定閾値および減速判定閾値との大小を比較する加減速要求判定手段を備え、 前記加減速要求判定手段は、前記変化率が前記加速判定閾値以上である場合、前記ドライバが加速要求をしていると判断し、また、前記変化率が前記減速判定閾値以下である場合、前記ドライバが減速要求をしていると判断することを特徴とするエンジントルク制御装置。
  12. 請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の車両用トルク制御装置において、
    前記動力源制御手段は、前記アクセル開度または前記ドライバ要求トルクに基づいて、前記動力源としてのモータに供給するモータ駆動電流を可変制御するモータ制御手段であって、
    前記ドライバのアクセル操作または前記アクセル開度信号の時間的な変化率、あるいは前記モータ駆動電流の時間的な変化率を算出し、前記変化率と予め設定された加速判定閾値および減速判定閾値との大小を比較する加減速要求判定手段を備え、
    前記加減速要求判定手段は、前記変化率が前記加速判定閾値以上である場合、前記ドライバが加速要求をしていると判断し、また、前記変化率が前記減速判定閾値以下である場合、前記ドライバが減速要求をしていると判断することを特徴とするモータトルク制御装置。
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