JP2006112359A - エアクリーナ - Google Patents

Abstract

【課題】 本発明は、シール枠体とケース体間のシール性に優れたエアクリーナを提供することを課題とする。
【解決手段】 気化器１５に連通する開口穴２５を備えるケース体２６と、このケース体２６に嵌合するシール枠体２７と、このシール枠体２７の内側に取付けるフィルタ２８と、このフィルタ２８をカバーするカバー体３１とからなるエアクリーナ１６において、シール枠体２７は、前面４２、後面４３及び周面４４とを有する厚さのある枠状のシール枠体２７であり、この枠状のシール枠体２７を嵌合するためにケース体２６に備える嵌入部３９は、シール枠体２７の周面４４に接する縦壁面４６及びシール枠体２７の後面４３周縁部に接する受面４５を備え、シール枠体２７には、周面４４に沿って且つ前面４２に開口する溝４７を設けた。
【選択図】 図４

Description

本発明は、汎用エンジンなどに適用するエアクリーナに関する。

エアクリーナは、ダストなどを含んだエアを濾過し、エンジンに清浄な空気を供給する役割を担う部材である。メンテナンス性を考慮し、エアクリーナの本体となるケース体に、エアを濾過するフィルタを着脱可能に構成する。フィルタ装着時に、フィルタとケース体の間に隙間があると、ダストなどを含むエアが、エンジン側の気化器に侵入する。そこで、フィルタとケース体の間に隙間がないように、ケース体とフィルタ間に弾性材料製のシール枠体を介在させたものが提案されている（例えば、特許文献１参照。）。
特開平１０−２５２５８５号公報（図３）

特許文献１を次図に基づいて説明する。
図６は従来の技術の基本構成を説明する図であり、エアクリーナ１００は、連通口１０１を有するケース体１０２と、このケース体１０２に嵌込んだ弾性材料製のシール枠体１０３と、このシール枠体１０３に嵌めたフィルタ１０４と、このフィルタ１０４を押える押え枠１０５と、この押え枠１０５を押えるカバー体１０６とからなり、支持枠１０３をケース体１０２へ押圧し、シール枠体１０３とケース体１０２との間１０７からダストなどが侵入しないようにするというものである。

しかしながら、ケース体１０２の寸法誤差による、シール枠体１０３の受面１０８のゆがみや、押え枠１０５及びカバー体１０６の寸法誤差による押え枠１０５のシール枠体１０３への押圧力不足などにより、ケース体１０２とシール枠体１０３との間１０７に隙間ができ、シール性が損なわれるという問題がある。

そこで、本発明は、シール枠体とケース体間のシール性に優れたエアクリーナを提供することを課題とする。

請求項１に係る発明では、気化器に連通する開口穴を備えるケース体と、このケース体に嵌合するシール枠体と、このシール枠体の内側に取付けるフィルタと、このフィルタをカバーするカバー体とからなるエアクリーナにおいて、シール枠体は、前面、後面及び周面とを有する厚さのある枠体であり、このシール枠体を嵌合するためにケース体に備える嵌入部は、シール枠体の周面に接する縦壁面及びシール枠体の後面周縁部に接する受面を備え、シール枠体には、周面沿って且つ前面に開口する溝を設けたことを特徴とする。

請求項２に係る発明では、シール枠体は、前記シール枠体の後面を嵌入部の入口より小径にし、シール枠体の前面を嵌入部の入口より大径となるように、シール枠体の周面をテーパ面にしたことを特徴とする。

請求項１に係る発明では、シール枠体には、周面に沿って且つ前面に開口する溝を設け、シール枠体の周面がフィルタ側に撓み易くするようにしたので、シール枠体の周面は、縦壁面に当り、撓んだ状態のまま、ケース体の縦壁面を移動する。この結果、シール枠体の周面をケース体の縦壁面に密着させつつ、シール枠体の後面を嵌入部の受面に当て、密着させることができる。

加えて、シール枠体の溝により、シール枠体の周面が伸縮するように形成したので、シール枠体の着脱操作を容易に行うことができる。

シール枠体の周面をケース体の縦壁面に密着させ、シール枠体の後面をケース体の嵌入部の受面に密着させることで、ケース体とシール枠体間のシール性を向上することができる。併せて、シール枠体の着脱性を向上することができる。
シール枠体の内側にフィルタを密着させて一体化しておけば、ケース体とフィルタ間のシール性が向上すると共に、フィルタの着脱性を向上することができるという利点がある。

請求項２に係る発明では、シール枠体の後面を嵌入部の入口より小径にしたので、ケース体にシール枠体を嵌入し易い。加えて、溝を設けることで、シール枠体の周面を嵌入部の入口のサイズまで容易に縮ませることができ、スプリング作用を発揮させることができる。
この結果、更なるシール性の向上を図ることができるという利点がある。

本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図１は、本発明に係るエアクリーナを備える汎用エンジンの側面図であり、エンジン１１は、クランクケース１２と、このクランクケース１２に接続するシリンダブロック１３と、シリンダブロック１３に取付けたシリンダヘッド１４と、このシリンダヘッド１４の側方に取付け、燃料と空気を所定の混合比に混合して混合気をエンジンに供給する気化器１５と、この気化器１５に取付け、濾過した清浄なエアを供給するエアクリーナ１６と、気化器１５に燃料を供給する燃料パイプ１７と、この燃料パイプ１７に燃料を供給する燃料タンク１８とを主な構成要素とするものである。

１９は下方に向け突出した動力の出力軸、２１はリコイルスタータであり、このリコイルスタータ２１に紐を介して取付けたものが、スタータグリップ２２である。２３は給油口キャップ、２４は燃料コックである。

図２は、図１の２−２線断面図であり、エアクリーナ１６（図１参照）は、気化器１５に連通する開口穴２５を備えるケース体２６と、このケース体２６に嵌合するシール枠体２７と、このシール枠体２７の内側に取付けるフィルタ２８と、このフィルタ２８をカバーするカバー体３１とからなる。そして、気化器１５に連通する開口穴２５を備えるケース体２６の嵌入部３９に、シール枠体２７と、このシール枠体２７の内側に境界部２９を密着させ、一体化したフィルタ２８を嵌入し、フィルタ２８及びシール枠体２７をカバー体３１で覆うことを示す。
また、カバー体３１の内側には、全周にわたり、フィルタ２８及びシール枠体２７をケース体２６に保持する周壁３２を備え、この周壁３２でシール枠体２７を押圧し、シール枠体２７とケース体２６の間を密着させるというものである。

ケース体２６に対してカバー体３１を着脱するため、ケース体２６の下部にヒンジ軸３３を設け、このヒンジ軸３３に係合するヒンジブラケット部３４をカバー体３１側に設け、ヒンジ軸３３に対してヒンジブラケット部３４を回動自在に支持する。また、ケース体２６の上部には、ストッパ受部３５と、このストッパ受部３５に係合するストッパ部材３６を配置し、ストッパ受部３５に対してストッパ部材３６を着脱自在にすることで、フィルタ２８をケース体２６に取付け、カバー体３１でフィルタ２８を覆い保護すると共に、フィルタ２８を着脱可能にして、メンテナンスを容易に行う。

なお、本実施例において、フィルタ２８とシール枠体２７とはあらかじめ、一体成形により、これらの境界部２９を密着させたので、フィルタ２８とシール枠体２７間からダストを含んだエアが洩れることはない。

図３は、図１の３−３線断面図であり、ケース体２６にシール枠体２７及びこれと一体のフィルタ２８を嵌入し、シール枠体２７にカバー体３１を取付けたことを示す。
図２と異なる点は、カバー体３１にエア取入口３７がある点である。このエア取入口３７からエアを取入れ、周壁３２の一部を開けた連通部３８を通じて、フィルタ２８にエアを供給することができる。
また、ケース体２６には、シール枠体２７を嵌入する嵌入部３９を設ける。

図４は、本発明に係るエアクリーナの嵌入部の断面図及び作用図である。
（ａ）は、ケース体２６の嵌入部３９にシール枠体２７と、シール枠体２７と一体化したフィルタ２８を嵌入することを説明する図であり、シール枠体２７の前面４２に溝４７を備え、嵌入方向に対して所定の角度θのテーパをもたせたことを示す。

シール枠体２７は、前面４２、後面４３及び周面４４とを有する厚さのある枠状の部材であり、この枠状のシール枠体２７を嵌合するために、ケース体２６に備える嵌入部３９は、シール枠体２７の周面４４に接する縦壁面４６及びシール枠体２７の後面４３の周縁部４３ａに接する受面４５を備え、シール枠体２７には、周面４４に沿って且つ前面４２に開口する溝４７を設けたものである。

加えて、シール枠体２７は、シール枠体２７の後面４３を嵌入部３９の入口６１より長さＰだけ小径にし、シール枠体２７の前面４２を嵌入部３９の入口６１より長さＱだけ大径となるように、シール枠体２７の周面４４をテーパ面６２にしたことを特徴とする。

シール枠体２７の後面４３を嵌入部３９の入口６１より小径にしたので、ケース体２６にシール枠体２７を嵌入し易い。また、シール枠体２７の前面４２を嵌入部３９の入口６１より大径にしたので、ケース体２６からシール枠体２７が抜け難い。加えて、溝４７を設けることで、シール枠体２７の周面４４を嵌入部３９の入口６１のサイズまで容易に縮ませることができ、スプリング作用を発揮させることができる。

（ｂ）は、ケース体２６の嵌入部３９にシール枠体２７及びフィルタ２８を嵌入し、シール枠体２７の後面４３が嵌入部３９の受面４５に到達すると共に、周面４４がフィルタ２８側に撓んだことを説明する図であり、シール枠体２７に、溝４７やテーパを付加することにより、ケース体２６に対するシール枠体２７の密着性を向上することができることを示す。

この周壁３２の先端３２ａを、シール枠体２７の前面４２に押付け、フィルタ２８と一体のシール枠体２７の後面４３をケース体２６の受面４５に押当てる。このように、シール枠体２７の周面４４は、ケース体２６の縦壁面４６と密着する。シール枠体２７は、ラバーなどの弾性体であるため、シール枠体２７の前面４２に周面４４に沿って開口する溝４７を設けることで、周面４４を内側に撓ませることができる。この結果、周面４４を縦壁面４６に密着させることができる。

さらに、開口穴２５（図３参照）側の空間に、外部からダストなどが侵入しないようシール性を向上させるため、ケース体２６の受面４５の全周にわたり突起部４８を設け、この突起部４８に対向させて、周壁３２の先端３２ａを配置する。なお、この突起部４８は、後面４３の周縁部４３ａとも対向するものである。そして、この突起部４８にシール枠体２７を当て、弾性体であるシール枠体２７側を凹ませるようにした。

カバー体３１に備える周壁３２の先端３２ａで、弾性体であるシール枠体２７の前面４２を押すと、シール枠体２７の後面４３の周縁を形成する周縁部４３ａは、受面４５に接触し、周縁部４３ａの一部は、突起部４８により凹む。周壁３２の先端３２ａは、突起部４８に対向させて配置したので、カバー体３１の周壁３２の先端３２ａをシール枠体２７に押しあてると、先端３２ａと、この先端３２ａに対向する突起部４８とでシール枠体２７を押すことにより、シール枠体２７をケース体２６に密着させることができる。併せて、このケース体２６にシール枠体２７と、このシール枠体２７と一体のフィルタ２８を保持することができる。

図５は、シール枠体の構造を比較する説明図である。
（ａ）は、本発明に係る実施例を示し、周壁３２の先端部３２ａでシール枠体２７の前面４２を押圧し、弾性部材で形成した前面４２を凹ませ、シール枠体２７と一体のフィルタ２８を保持することを示す。シール枠体２７の前面４２に、シール枠体２７の周面４４に沿って、周面４４から長さＴだけ離れた位置に、深さＤの溝４７を形成し、周面４４が内側に撓み易いようにした。

周面４４と縦壁面４６を密着させるため、シール枠体２７の前面４２に、深さＤの切込みとして溝４７を入れ、この溝４７を広げ幅Ｓをもたせた。幅Ｓをもたせたのは、周面４４の撓み代をかせぐためである。すなわち、シール枠体２７の周面４４は、長さＤ、厚さＴの片持ち梁であり、この梁を板ばねとみることもできる。長さＤ、厚さＴの板ばねが撓み、この板ばねの周面４４は、内側に容易に撓み、周面４４を立壁面４６に密着させることができる。

なお、この溝４７は、四方に完全に形成されておらず、任意の長さを有し、複数の溝４７の間には、剛性コントロール用のリブを備えたものである。
また、溝４７は、周壁３２の先端３２ａより外側になるように配置するものである。

加えて、シール枠体の周面４４は、嵌入方向にテーパ形状に形成した。
このように、シール枠体２７に、所定の深さＤの溝４７と、周面４４をテーパ形状に形成することで、シール枠体２７をケース体２６の嵌入部３９の奥となる受面４５まで、容易に嵌入することができる。

さらに、ケース体２６の受面４５には、フィルタ２８装着方向に突出する突起部４８を設けた。そして、この突起部４８は、溝４７よりもフィルタ２８中心側に配置したものである。カバー体３１をケース体２６に取付ける際、突起部４８の分だけ、シール枠体２７を凹ませることで、吸気エアの流れ方向の下流側への漏洩を抑制することができる。

（ｂ）は、比較例を示し、溝をもたないシール枠体２７Ｂの前面４２Ｂを備えたシール枠体２７Ｂを嵌入し、周壁３２Ｂの先端部３２ａでシール枠体２７Ｂの前面４２Ｂを押圧し、弾性部材で形成した前面４２Ｂを凹ませ、シール枠体２７Ｂと一体のフィルタ２８Ｂを保持することを示す。

しかしながら、ケース体２６Ｂに寸法誤差により、嵌入部３９Ｂの受面４５Ｂがゆがんだり、カバー体３１Ｂに備える周壁３２Ｂの寸法誤差により、先端部３２ａの長さが短いことなどの要因により、前面４２Ｂを押圧しても、後面４３Ｂが受面４５Ｂに密着せず、周面４４Ｂが縦壁面４６Ｂに密着しないことがある。
シール枠体２７Ｂがケース体２６Ｂに密着しないと、シール枠体２７Ｂとケース体２６Ｂとの間に隙間ができ、シール性が損なわれる。

このため、シール枠体２７Ｂを弾性材料とし、周面４４Ｂが内側に撓むようにするが、撓み代が少ないため、隙間を埋めることができない場合がある。

しかし、本発明のエアクリーナによれば、周面４４の近傍に溝４７を設けたので、この幅Ｓの溝４７が撓み代となり、周面４４が撓むことで、寸法誤差による隙間の発生を回避することができ、シール枠体とケース体間のシール性を確保することができる。以下、本発明の作用を説明する。

図２に戻って、シール枠体２７には、周面４４沿って且つ前面４２に開口する溝４７を設けたので、ケース体２６に、シール枠体２７を嵌入すると、ケース体２６の縦壁面４６にシール枠体２７の周面４４が接触する。シール枠体２７の周面４４の縦壁面４６への接触により、シール枠体２７の前面４２に開口する溝４７により、シール枠体２７の周面４４がフィルタ２８側に撓み易くすることで、シール枠体２７の周面４４は、縦壁面４６に当り、撓んだ状態のまま、ケース体２６の縦壁面４６を移動する。この結果、シール枠体２７の周面４４をケース体２６の縦壁面４６に密着させつつ、シール枠体２７の後面４３を嵌入部３９の受面４５に当て、密着させることができる。

加えて、シール枠体２７の溝４７により、シール枠体２７の周面４４が伸縮するように形成したので、シール枠体２７の着脱操作を容易に行うことができる。

シール枠体２７の周面４４をケース体２６の縦壁面４６に密着させ、シール枠体２７の後面４３をケース体２６の嵌入部３９の受面４５に密着させることで、ケース体２６とシール枠体２７間のシール性を向上することができる。併せて、シール枠体２７の着脱性を向上することができる。
シール枠体２７の内側にフィルタ２８を密着させて一体化しておけば、ケース体とフィルタ間のシール性が向上すると共に、フィルタ２８の着脱性を向上することができる。

尚、本発明のエアクリーナは、実施の形態では汎用エンジンに適用したが、自動二輪車にも適用可能であり、自動車に適用することは差し支えない。

本発明のエアクリーナは、汎用エンジンに好適である。

本発明に係るエアクリーナを備える汎用エンジンの側面図である。 図１の２−２線断面図である。 図１の３−３線断面図である。 本発明に係るエアクリーナの嵌入部の断面図及び作用図である。 シール枠体の構造を比較する説明図である。 従来の技術の基本構成を説明する図である。

符号の説明

１５…気化器、１６…エアクリーナ、２５…開口穴、２６…ケース体、３９…嵌入部、２７…シール枠体、２８…フィルタ、３１…カバー体、４２…シール枠体の前面、４３…シール枠体の後面、４４…シール枠体の周面、４７…溝、６２…テーパ面。

Claims (2)

1. 気化器に連通する開口穴を備えるケース体と、このケース体に嵌合するシール枠体と、このシール枠体の内側に取付けるフィルタと、このフィルタをカバーするカバー体とからなるエアクリーナにおいて、
   前記シール枠体は、前面、後面及び周面とを有する厚さのある枠体であり、
   このシール枠体を嵌合するために前記ケース体に備える嵌入部は、前記シール枠体の周面に接する縦壁面及び前記シール枠体の後面周縁部に接する受面を備え、
   前記シール枠体には、周面沿って且つ前面に開口する溝を設けたことを特徴とするエアクリーナ。
2. 前記シール枠体は、前記シール枠体の後面を嵌入部の入口より小径にし、
   前記シール枠体の前面を嵌入部の入口より大径となるように、前記シール枠体の周面をテーパ面にしたことを特徴とする請求項１記載のエアクリーナ。
   

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