JP2006111811A - 2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ウレタンプレポリマー(A)と、イソシアネート基、イソシアヌレート基および加水分解性ケイ素含有基をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物(B)とを含有する主剤と、ポリオール化合物(C)を含有する硬化剤とからなる2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
特に、建築用シーラントや土木用シーラントに用いられるポリウレタン樹脂組成物には、ガラス、金属、プラスチック、塗装鋼板、モルタル、塩化ビニル等の種々の被着体に対する優れた接着性が要求されている。
しかし、1液型ポリウレタン樹脂組成物は、貯蔵安定性に改善の余地があり、特に硬化速度や深部硬化性に問題がある。また、ポリイソシアネート化合物と硬化剤の相溶性が乏しいと、これらが貯蔵中に分離し不均質な硬化物となってしまうという問題もある。
これらの問題を回避するため、作業時に混合するいわゆる2成分系(2液型)ポリウレタン樹脂組成物で、種々の被着体に対して優れた接着性を有するものが要求されている。
したがって、本発明は、プライマーを用いなくても種々の被着体、特に、軟質塩化ビニルに対して優れた接着性を有し、また、耐水接着性に優れる2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、下記の(1)〜(5)を提供する。
ポリオール化合物(C)を含有する硬化剤と
からなる2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
本発明の2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物(以下、「本発明の組成物」ともいう。)は、ウレタンプレポリマー(A)と、イソシアネート基、イソシアヌレート基および加水分解性ケイ素含有基をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物(B)とを含有する主剤と、ポリオール化合物(C)を含有する硬化剤とからなるものである。
本発明の組成物の主剤に含有されるウレタンプレポリマー(A)は、活性イソシアネート基、即ち、ブロックされていないイソシアネート基を分子内に有するウレタンプレポリマーである。なお、本発明の効果を損なわない範囲であれば、一部のイソシアネート基がブロックされていてもよい。ブロックされたイソシアネート基を有しない場合には、湿気硬化させたときと加熱硬化させたときの物性の差が少ない。
具体的には、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
アミン類としては、例えば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
アルカノールアミン類としては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン等が挙げられる。
多価フェノール類としては、例えば、レゾルシン、ビスフェノール類等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の主剤に含有される化合物(B)は、イソシアネート基、イソシアヌレート基(環)および加水分解性ケイ素含有基をそれぞれ1分子中に平均して少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されない。化合物(B)は、極性の高いイソシアヌレート基を有することにより、組成物としたときに強力な接着性を発現し、各種被着体(例えば、アルミ塗板、ガラス、セラミックス、金属、セメント等の無機材料やプラスチック等の有機材料)をはじめ、モルタル等の多孔質物質や軟質塩化ビニル等に対しても有効な接着性を有する。特に、塩化ビニル、モルタルに対する接着性を著しく改善できる。
また、化合物(B)は、イソシアネート基を有するので、ポリオール化合物(C)を介して、上記ウレタンプレポリマー(A)と結合することができる。そのため、得られる組成物は接着性により優れる。
また、化合物(B)は、加水分解性ケイ素含有基を有するため、各種被着体をはじめ、モルタル等の多孔質物質や軟質塩化ビニルに対しても有効な接着性を有する。特に、モルタルに対する接着性を著しく改善できる。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基は、特に限定されないが、原料の入手が容易なことからメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が好適に挙げられる。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基は、特に限定されず、例えば、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が20以下である、アルキル基、アルケニル基もしくはアリールアルキル基が好適に挙げられる。
また、脂環式ポリイソシアネートとしては、具体的には、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビシクロヘプタントリイソシアネート、上述した各芳香族ポリイソシアネートの水添化合物等が挙げられる。
市販品としては、具体的には、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製のコロネート系(コロネート2030、EH等)、住友バイエルウレタン(株)製のスミジュール系(スミジュールIL等)、同デスモジュール系(デスモジュールN3390、Z4370等)、三井・武田ケミカル工業(株)製のタケネート系(タケネート204、D170N等)、大日本インキ化学工業(株)製のバーノック系(バーノックD800、DN980等)、デグサヒュルス社製のVESTANAT系(VESTANAT T1890/100等)等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の組成物の硬化剤に含有されるポリオール化合物(C)としては、上記ウレタンプレポリマー(A)に用いられるポリオール化合物を用いることができる。特に、得られる組成物を硬化させたときの物性に優れ、安価である点から二官能または三官能のポリプロピレングリコールが好ましい。本発明の組成物は、硬化剤としてポリオール化合物(C)を含有するため、特に、深部硬化性に優れる。そのため、本発明の組成物は、接着性および耐水接着性に優れる。
本発明の組成物の硬化剤は、更に、芳香族ポリアミン化合物(D)を含有するのが、得られる硬化物の機械的強度が向上するという点から好ましい。
上記芳香族ポリアミン化合物(D)は、少なくとも1つの芳香環と2つ以上のアミノ基および/またはイミノ基を有する化合物であれば特に限定されない。具体的には、例えば、メチレンジアニリン(MDA)、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルケトン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、下記式(4)で表される4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン)および下記式(5)で表される4,4′−メチレンビス(3−クロロ−2,6−ジエチエルアニリン)等が挙げられる。
中でも、十分な硬化速度が得られるという点から、上記式(4)または上記式(5)で表される化合物が好ましい。
硬化触媒の含有量は、上記主剤に含まれるイソシアネート基の合計に対して0.01〜1当量が好ましい。
酸化防止剤としては、具体的には、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
接着付与剤としては、具体的には、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
(ウレタンプレポリマー(A)の合成)
ポリプロピレントリオール(EXC4030、数平均分子量4000、旭硝子(株)製)333gとポリプロピレンジオール(EXC2020、数平均分子量2000、旭硝子(株)製)491g、可塑剤としてフタル酸ジイソノニル(DINP、新日本理化(株)製)50gを混合し、減圧下、110℃で8時間脱水した。その後、この混合物に対してトリレンジイソシアネート(TDI80、三井武田ケミカル(株)製)をNCO/OHモル比が1.95となるように126g添加し、窒素気流中、80℃で24時間かくはんし、NCO%=2.90のウレタンプレポリマー(A)を得た。なお、ウレタンプレポリマー(A)は精製を行わず、可塑剤との混合物のまま実施例および比較例の組成物に用いた。
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す組成(質量部)で混合し、かくはん機を用いて、窒素雰囲気下、80℃で6時間反応させて第1表に示す各化合物B1〜B4およびB6〜B7を得た。また、第1表に示す組成で混合し、かくはん機を用いて、窒素雰囲気下で十分に分散させて化合物B5を得た。なお、化合物B1〜B7は精製せずに混合物のまま実施例および比較例の組成物に用いた。
得られた各化合物B1〜B7が有する、イソシアネート基(−NCO)、イソシアヌレート基、メトキシ基(−OCH3)の1分子あたりの平均個数をそれぞれ第1表に示した。
得られた化合物B1〜B7(B2を除く)の化学式を以下に示す。なお、化合物B2は下記式B1とB3の混合物であったと推測される。
・イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート(HDIトリマー):タケネートD170N、三井武田ケミカル(株)製
・MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート):コスモネートPH、三井武田ケミカル(株)製
・イミノシラン1(上記式(2)で示す化合物):Y9669、日本ユニカー(株)製
・イミノシラン2(上記式(3)で示す化合物):D1189、デグッサ製
・可塑剤(フタル酸ジイソノニル):DINP、新日本理化(株)製
下記第2表に示す主剤の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される各主剤を得た。次に、第2表に示す硬化剤の各成分を、第2表に示す組成(質量部)で、かくはん機を用いて混合し、第2表に示される各硬化剤を得た。得られた主剤および硬化剤を混合し、かくはん機を用いて十分に混合し、第2表に示される各樹脂組成物を得た。
得られた各樹脂組成物について、以下に示すモルタルに対する接着性(モルタル接着性)および軟質塩化ビニルに対する接着性(軟質塩ビ接着性)の評価を行った。結果を第2表に示す。
得られた各樹脂組成物をモルタル板に5mm厚で塗布し、20℃下で7日間養生したものを試験体とした。各試験体のナイフカットによる手はく離試験を行い、はく離状態を、CF(凝集破壊:樹脂組成物が破壊)、AF(界面破壊:モルタル板と樹脂組成物との界面で破壊)で評価した(モルタル接着性(耐水試験前))。
上記と同様に作成した試験体を、更に、20℃の水に7日間浸漬したものを用いて、上記と同様にしてモルタル接着性(耐水試験後)を評価した。
モルタル板を軟質塩化ビニルシートに変更した以外は上述した(モルタル接着性)の評価方法と同様にして、軟質塩ビ接着性(耐水試験前)および軟質塩ビ接着性(耐水試験後)を評価した。
・ポリオール化合物C1(ポリプロピレントリオール):EXL5030、数平均分子量5000、旭硝子(株)製
・ポリオール化合物C2(ポリプロピレンジオール):EXL2020、数平均分子量2000、旭硝子(株)製
・芳香族ポリアミン化合物1(上記式(4)で示す化合物):4,4′−メチレンビス(2−クロロアニリン)
・芳香族ポリアミン化合物2(上記式(5)で示す化合物):ロンザキュアー M−CDEA、ロンザ(株)製
・炭酸カルシウム:スーパーS、丸尾カルシウム(株)製
・可塑剤(アジピン酸ジイソノニル):DINA、新日本理化(株)製
・硬化触媒(オクチル酸鉛):ニミコP−30、活材ケミカル(株)製
一方、実施例1〜8の樹脂組成物は、耐水試験前および耐水試験後のいずれにおいてもモルタル接着性および軟質塩ビ接着性に優れていた。
Claims (5)
- ウレタンプレポリマー(A)と、イソシアネート基、イソシアヌレート基および加水分解性ケイ素含有基をそれぞれ少なくとも1つ有する化合物(B)とを含有する主剤と、
ポリオール化合物(C)を含有する硬化剤と
からなる2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。 - 前記化合物(B)が、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートと、イソシアネート基と反応する官能基と加水分解性ケイ素含有基とを有するシランカップリング剤とを反応させて得られる請求項1に記載の2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
- 前記シランカップリング剤が、イミノシラン化合物である請求項2に記載の2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
- 前記硬化剤が、更に、芳香族ポリアミン化合物(D)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
- 前記化合物(B)を、この化合物(B)を除いた前記主剤および前記硬化剤の合計100質量部に対して1〜10質量部含有する請求項1〜4のいずれかに記載の2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物。
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