JP2006108084A - 正極活物質用マンガン酸化物粉体 - Google Patents

正極活物質用マンガン酸化物粉体 Download PDF

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Abstract

【課題】 ハイレート特性及び保存特性に優れた正極活物質用マンガン酸化物を提供する。
【解決手段】 組成式MnSabMexc・zH2Oで表されるマンガン酸化物であって、a:0.005以上0.015以下、b:0.3以上0.4以下、c:1.8以上2.3以下、x:0.015以下、z:0を超える値であり、個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることを特徴とするマンガン酸化物粉体を提案する。所定量の「S」「H」を含むことによって、放電反応時に直接かつ速やかにプロトン(H+)が供給され、高負荷時においても放電反応が追随でき易くなる。しかも、超微粒子の存在比率が極めて低いため保存特性にも優れた効果を発揮する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電池の正極活物質として用いるマンガン酸化物粉体に関する。
マンガン酸化物は、ニッケルマンガン電池、アルカリ電池、マンガンリチウム電池などの正極活物質として広く使用されている。中でも、電解二酸化マンガンは、比較的安価である上、高放電容量の電池を実現できるため、近年、これを正極活物質として用いたアルカリ電池は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDAなどの電子機器用駆動電源として広く利用されている。
最近、電子機器の高性能化に伴い、正極活物質として用いるマンガン酸化物にも、より一層のハイレート特性が求められるようになって来ているが、本来的に電解二酸化マンガンは、電池の正極活物質として用いた場合、放電電流が大きくなると電解二酸化マンガンの利用率が低下して大電流を効率良く取り出せなくなる課題を有している。そこで従来、ハイレート特性を向上させるための種々の提案が為されてきた。
例えば特許文献1には、硫酸マンガン及び硫酸溶液にアンモニウム塩を添加した電解液を電解して得た、アンモニアを有するα型二酸化マンガンを、リチウム塩水溶液で中和処理し、またはリチウム塩を混合することにより、リチウム二次電池の正極材料として使用することが提案されている。
特許文献2には、120℃以上400℃を超えない範囲での加熱処理により除去される水のモル数が、Mn原子1モル当たり0.16以上である電解二酸化マンガンを正極に用いることが提案されている。
特許文献3には、最大粒子径が100μm以下で、1μm以下の粒子個数が15%未満で、かつそのメジアン径が20〜60μmの範囲にある電解二酸化マンガン粉末であって、該粉末を窒素中150℃で脱気した後、窒素とヘリウムの混合ガス吸着法により測定した比表面積が50m2/g以上である電解二酸化マンガン粉末が提案されている。
また、特許文献4には、最大粒子径が100μm以下で、1μm以下の粒子個数が15%未満で、かつそのメジアン径が20〜60μmの範囲にある電解二酸化マンガン粉末であって、該粉末を、X線源としてCuKαを用いた測定において、ミラー指数が(110)である回折面の半価幅が3.5°未満である微小結晶サイズの大きな電解二酸化マンガン粉末が提案されている。
特許文献5には、ハイレート間欠性能を向上させたアルカリマンガン電池用正極合材として、表面硫酸量が0.10重量%以上であり、かつ、表面アルカリ金属量が0.20重量%未満である二酸化マンガンが開示されている。
特許文献6は、チタンを電解二酸化マンガンに0.001〜3.0重量%含有させることにより、電化二酸化マンガンの比表面積を高めて反応面積を高めることによりハイレート特性を高める方法が提案されている。
更に、特許文献7には、ハイレート特性を向上させることができる電解二酸化マンガンとして、硫酸根を1.3〜1.6重量%含有するものが開示されている。
特開平5−21062号 特開平5−174841号 特開2002−289185号 特開2002−289186号 特開2002−304990号 特開2003−163003号 特開2004−47445号
本発明は、従来存在しなかった新たな発想に基づき、ハイレート(高負荷)での放電特性に優れ、それでいて保存特性にも優れたマンガン酸化物粉体を提案せんとするものである。
本発明は、組成式MnSabMexc・zH2O(但し、Me:Ti,Ca、Mg、Ln(ランタノイド)の一種或いは二種以上の組合せ)で表されるマンガン酸化物粉体であって、
aは、0.005以上0.015以下であり、
bは、0.3以上0.4以下であり、
cは、1.8以上2.3以下であり、
xは、0或いは0より大きく0.015以下であり、
zは、0を超える値であり、
個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることを特徴とするマンガン酸化物粉体を提案する。
このようにマンガン酸化物中に所定量の「S」「H」が取り込まれることによって、放電反応時に、マンガン酸化物内から直接かつ速やかにプロトン(H+)が供給され、高負荷時においても放電反応(ハイレート放電)が追随でき易くなり、ハイレート特性に優れた電池を実現することができる。
また、マンガン酸化物の結晶成長の間に「S」乃至「Me」が取り込まれると、これが結晶成長に際して制御因子として働き、ハイレート特性が更に優れたものとなる。詳細なメカニズムは不明であるが、おそらくマンガン酸化物の結晶成長の間に取り込まれた「S」「Me」が結晶成長に際して制御因子と働き、プロトン(H+)を含めて放電反応物の供給をより一層スムースになると同時に放電生成物の拡散もスムースになるため優れたハイレート特性が実現されるものと考えられる。
しかも、本発明のマンガン酸化物粉体は1μm以下の超微粒子の存在比率が極めて少ないため、保存特性にも優れた効果を発揮する。
なお、本発明において「ハイレート」とは、例えばアルカリ電池(電池サイズLR6)の場合であれば400mA以上の領域をハイレートと言う。後述する試験では、ハーフセルにおいて25mA(アルカリ電池LR6の場合1300mA相当)の電流を所定の電圧を維持しつつ継続的に流すことによりハイレート特性を検討した。
本発明の組成式MnSabMexc・zH2Oにおいて「S」「H」及び「Me」は、焼成後に事後的に添加されて混合状態で存在するものとは異なり、マンガン酸化物内に含有され、X線回折において「S」「H」「Me」のピークが観察されない状態を意味し、マンガン酸化物と一体的に含有されている状態のものをいう。
また、組成式MnSabMexc・zH2Oにおける「z」は、マンガン酸化物を110℃で2時間乾燥させた時のマンガン酸化物1モル当たりの重量減少をH2Oのモル数に換算した値である。この「H2O」は110℃での加熱乾燥によって蒸発し得る状態にある水、すなわちマンガン酸化物中にH2Oの状態で含有される水であるから、事後的に添加された水分とは異なる。又、マンガン酸化物を200〜400℃に加熱した際に蒸発する水分を結合水などと言うが、この結合水は110℃での加熱乾燥では蒸発しないため、結合水とも異なる。
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きく、Yより小さい」の意を包含する。
次に、本発明の実施の形態について説明するが、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に制限されるものではない。
本発明のマンガン酸化物粉体は、組成式MnSabMexc・zH2Oで表されるマンガン酸化物からなり、個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であるマンガン酸化物粉体である。
本発明のマンガン酸化物粉体は、上記組成を満足するのであれば、天然マンガン酸化物、化学合成マンガン酸化物、電解マンガン酸化物、その他のマンガン酸化物のいずれからなるものでもよいが、安価でかつ上記組成を実現し易いという観点から、硫酸マンガン溶液を電気分解して析出させて得られるマンガン酸化物からなるものであるのが好ましい。
上記組成式において、Sのモル比率としての「a」は、0.005以上0.015以下であることが重要であり、好ましくは0.009以上0.013以下である。
S元素の定量はICP分析装置を使って測定することができる。このSのモル比率aが、0.015より大き過ぎると、放電生成物の拡散を阻害し、異相が存在して放電特性が悪くなる。
このSのモル比率aは、電解法によってマンガン酸化物を製造する場合であれば、例えば電解装置の設計(電解液の上層を高温層とし下層を低温層とすることも含む)、電解液の硫酸濃度、電解条件などによって調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
なお、Sのモル比率aをコントロールする手段として硫酸マンガン電解補給液の調整を挙げることができるが、aの値を高めるために硫酸マンガン電解補給液中の硫酸濃度を高くし過ぎると、溶液中の硫酸によって電極表面が不働態化してマンガンの電解を阻害する要因となる点に注意が必要である。
上記組成式において、Hのモル比率としての「b」は、0.3以上0.4以下であることが重要であり、好ましくは0.30以上0.40以下である。
「b」の値が0.3より小さ過ぎると、すなわちHが少な過ぎると放電反応時マンガン酸化物内からのプロトン(H+)の充分な供給が行われず放電反応が追随できなくなるようになる。他方、「b」の値が0.4より大き過ぎると、すなわちHが多過ぎるとマンガン酸化物内のマンガンがプロトンにより置換されてマンガンとしての理論容量が低下し、利用率が低下するようになる。
このHのモル比率bは、電解法によってマンガン酸化物を製造する場合であれば、例えば電解装置の設計(電解液の上層を高温層とし下層を低温層とすることも含む)、電解液の硫酸濃度、電解条件などによって調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
H元素の定量は、窒素雰囲気中にて110から500℃まで加熱した際に試料から放出された水分量をカールフィッシャー水分計で測定し、得られた水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除いた値に基づいて算出することができる。
なお、マンガン酸化物におけるHの存在状態として、H+、OH-、H2Oが考えられるが、試料を500℃まで加熱した場合、MnOx値に大きな減少は観られないため、この点から周囲の酸素を捉えてH2Oとして蒸発するプロトン(H+)の絶対量はほとんどなく、主にOH-、H2Oとして存在すると考えられる。
本発明のマンガン酸化物は、所定量の「S」及び「H」をともに含有することが重要であり、特にSに対するHの量が所定比率であることが好ましい。具体的には、Sに対するHの比率b/aが20以上40以下、特に25以上30以下であることが好ましい。
Sに対するHの比率b/aは、電解法によってマンガン酸化物を製造する場合であれば、例えば電解装置の設計(電解液の上層を高温層とし下層を低温層とすることも含む)、電解液の硫酸濃度、電解条件などによって調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
なお、b/aをコントロールする手段として硫酸マンガン電解補給液の調整を挙げることができるが、aの値を高めるために硫酸マンガン電解補給液中の硫酸濃度を高くし過ぎると、溶液中の硫酸によって電極表面が不働態化してマンガンの電解を阻害する要因となる点に注意が必要である。
上記組成式において、Oのモル比率としての「c」は、1.8以上2.3以下であることが重要であり、好ましくは1.9以上2.1以下である。このOのモル比率cは、S、H及びMeの含有量を変化させることにより調整できる。但し、この方法に限定されるものではない。
上記組成式において、「Me」はTi,Ca、Mg、Ln(ランタノイド)の一種あるいは二種以上の組合せであり、原料中に含まれている不可避不純物と故意に添加された物とを区別するものではない。また、Ti,Ca、Mg、Lnの効果は略同様であると考えられる。
「Me」のモル比率としての「x」は、0或いは0より大きく0.015以下であり、好ましくは0.000001以上0.013以下、さらに好ましくは0.00001以上0.013以下である。すなわち、Meは必ずしも含まれていなくてもよいが、少しでも含まれていると結晶成長の際に制御因子として働き、ハイレート特性を更に優れたものとすることができる。但し、上述したように「Me」が多過ぎるとプロトン(H+)の拡散を阻害するばかりか、マンガン酸化物が異相を形成し理論容量を低下させるようになるため、その量の適正化を図ることが重要である。
「Me」の量に関しては、原料の選択或いは添加によって調整することができる
上記組成式において、「z」は、マンガン酸化物中にH2Oの状態で含有される水のモル比率を意味し、110℃で十分加熱乾燥させた時の重量減少を、マンガン酸化物1モル当たりのH2Oモル数に換算した値であり、若干でも存在すれば、すなわち0を超える値であればよいが、好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.15以下である。この「z」の値が大き過ぎると、すなわちH2Oが多過ぎるとマンガン酸化物の表面近傍で電解液と反応し、その結果電解液濃度が希薄となり放電反応の際に抵抗となって放電反応が抑制されることになる。
(結晶性)
上記組成を有するマンガン酸化物の中でも、X線回折法(XRD)で測定される(310)面のピーク強度I(310)と(221)面のピーク強度I(221)との比率が、I(310)/I(221)<0.20、特に<0.19、中でも特に<0.18であるのが好ましい。ピーク強度I(310)と、(221)面のピーク強度I(221)の比率が0.4よりどれだけ小さいかは、γ−MnO2の結晶構造からどれだけずれているかの指標、言い換えればマンガン酸化物内にS、H及びMeがどれだけ含有されているかの指標となる。したがって、I(310)/I(221)<0.20であれば、マンガン酸化物内にS、H及びMeが十分に取り込まれていることの一つの目安となる。
また、X線回折法(XRD)で測定されるRamsdellite(空間群Pnma)と帰属した場合における(110)面の面間隔d値が4.01Å以上、特に4.01Å以上4.09Å以下、中でも特に4.01Å以上4.06Å以下であるのが好ましい。(110)面の面間隔d値はMnとOの結合状態に起因して変化する値である。詳細な理由は不明であるが、面間隔d値が4.01Å以上以上であればハイレート特性がより一層優れたものとなることが確かめられている。
(個数分布における1μm以下の粒子の存在比率)
本発明のマンガン酸化物粉体は、個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることが重要であり、好ましくは5%以下である。この1μm以下の存在比率が10%以下であれば、電池を保存した際に電池内導電剤および電解液との反応性が抑制され、結果として電位低下を抑制でき、更には保存後の電池特性が向上する。
この際、個数分布、中心粒径及び最多頻度粒子径は、溶媒として水を使用した湿式レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して測定して得た値から求めることができ、1μm以下の粒子の存在比率(%)は下記式(1)より算出することができる。
式(1)・・(粒子径1μm以下の粒の存在個数/全粒子の存在個数)×100
(個数分布における最大粒子径)
本発明のマンガン酸化物粉体は、個数分布における最大粒子径が60μm以上、特に80μm以上100μm以下であるのが好ましい。
この際、最大粒子径の値は、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置の測定値から得られる個数分布を100分割した分布の中で最も粗い粒子の径の意である。この最大粒子径が60μmより小さいと、保存時の電池内のマンガン酸化物と導電剤および電解液との接触による反応性が促進され電位の低下割合が上昇し、電池容量が低下するようになる。
さらに、個数分布における累積個数90%のときの粒径(D90)は、5μm以上、特に5μm以上12μm以下であるのが好ましい。この最大粒子径が5μmより小さいと、保存時の電池内のマンガン酸化物と導電剤および電解液との接触による反応性が促進され電位の低下割合が上昇し、その結果電池容量が低下する。
この際、上記D90の値は、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置の測定値から求めることができる。
(中心粒径)
本発明のマンガン酸化物粉体は、体積分布における中心粒子径が20μm以上50μm以下、特に35μm以上45μm以下であるのが好ましい。
中心粒子径が20μmより小さいと、保存時の電池内のマンガン酸化物と導電剤および電解液との接触による反応性が促進され電位の低下割合が上昇し、電池容量が低下するようになる。他方、中心粒子径が50μmより大きいと、マンガン酸化物反応面積が極端に小さくなり放電容量が低下するようになる。
この際、中心粒径は、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置の測定値における体積分布を100に分割した分布の中で各頻度を積算し、その積算値が50%に相当する粒子径の意である。
(見かけ密度)
本発明のマンガン酸化物粉体は、見かけ密度(AD)が1.65g/cm3以上、特に1.65g/cm3以上1.85g/cm3以下であるのが好ましい。見かけ密度は電池内へのマンガン酸化物の充填量に影響し、1.65g/cm3より小さいと、電池内へのマンガン酸化物の充填量が少なくなりその結果放電容量が低下するようになる。
この際、見かけ密度(AD)は、JIS−K5101「見掛け密度又は見掛け比容」内の「20.1静置法」にて測定される値である。
(マンガン酸化物の製造方法)
本発明のマンガン酸化物は、例えば、硫酸マンガン及び硫酸溶液からなる電解液を電気分解する方法において、電解槽内に高温の上層電解液層と低温の下層電解液層とを形成すると共に、電解電流密度、電解液の硫酸濃度等を調整することにより、目的とする組成のマンガン酸化物を製造し、所定の方法で粉砕乃至分級することにより得ることが出来る。
硫酸マンガン及び硫酸溶液からなる電解液を電気分解する方法において、電解槽内に高温の上層電解液層と低温の下層電解液層とを形成すると共に、電解電流密度、電解液の硫酸濃度等を調整することにより、目的とする組成のマンガン酸化物を製造することができる。以下、この製造方法についてより詳細に説明する。
電極として陽極には、チタン、チタン合金、鉛板、黒鉛板等を用い、陰極には、カーボン等を用いればよい。但し、これらに限定するものではない。
上層電解液層の温度は90〜100℃、低温の下層電解液層の温度は60〜85℃、特に65〜84℃とするのが好ましい。このように高温の上層電解液層と低温の下層電解液層とを形成する手段は、特に制限するものではないが、一例としては、電解槽の底部から補給液を上方向に送液するように導入管を設け、所定温度の電解液を所定の送液速度で補給しながら、熱交換器の配設位置とその加熱温度を調整する手段を紹介することができる。
電解液の組成は特に制限はないが、電解液中の硫酸濃度に関しては50〜100g/L、特に60〜80g/Lであるのが好ましい。電解液中のマンガン濃度は、20〜50g/L、特に20〜40g/Lであるのが好ましい。電解電流密度は、20〜100A/m2、特に50〜60A/m2であるのが好ましい。
なお、送液速度つまり電解液の補給速度は、電解液の硫酸濃度が所定濃度に保持されるように設定すればよい。
Meを含有させる場合、Meを多く含む原料を選択するか、或いは電解液にMe化合物を添加するようにすればよい。この際、Me化合物としては、硫酸塩化合物、硝酸塩化合物、塩化塩化合物などを挙げることができる。具体的には、補給液としての硫酸マンガン溶液にこれらのMe化合物を溶解して添加する方法が好ましい。
陽極上に電析固着したマンガン酸化物の析出物を剥離して電解マンガン酸化物を得ることができる。
なお、上述した方法は一例であって、これに限定するものではない。マンガン酸化物中にS、H、場合によってはMeがそれぞれ所定量含有されるようにマンガン酸化物を製造することができる他の方法でも製造可能であると考えられる。
このようにして得た電解マンガン酸化物を、ジョークラッシャー等により粗粉砕にて1cm程度の塊状物に粉砕し、さらに遠心ロールミル等により微粉砕を行い、分級して所望粒度のマンガン酸化物粉体を得るようにするのが好ましい。
この際、遠心ロールミルの回転速度及び粉砕器内の滞留時間(粉砕時間)を調節することにより、1μm以下の微粒子の存在比率を調整することができる。実際には、回転速度と粉砕時間とのバランスを調節しながら粉砕条件を設定する必要があるが、傾向としては、遠心ロールミルの回転速度を遅く、或いは粉砕器内の滞留時間(粉砕時間)を短くすれば、1μm以下の微粒子の存在比率を低くすることができる。ただし、本発明では、粉砕方法及び粉砕条件をこれらの方法に限定するものではない。
また、分級方法は、篩によるほか、粉砕して得られたマンガン酸化物粉末を純水中に分散させ、沈降粉末をろ過し乾燥を行うことにより微粉末を除去する方法等を採用することができる。
このように微粉砕したマンガン酸化物粉は、必要に応じて、表面に残留する遊離酸を取り除くため、水洗もしくはアルカリを用いて洗浄・乾燥を行うようにする。
(用途)
本発明のマンガン酸化物は、ニッケルマンガン電池、アルカリ電池、マンガンリチウム電池などの正極活物質として好適に用いることができる。特に、ハイレート特性と保存特性に優れているため、これを正極活物質として用いたアルカリ電池は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDAなどの電子機器用駆動電源として好適に用いることができる。
リチウム電池の正極活物質として用いる場合は、上述したように、電解後に焼成脱水したマンガン酸化物を使用することが好ましい。
なお、電池の負極活物質は従来から知られているものでよく、特に限定されないが、マンガン電池、アルカリマンガン電池の場合は亜鉛等を、リチウム電池の場合はリチウム等を用いるのが一般的である。
電池を構成する電解液も従来から知られているものでよく、特に限定されないが、マンガン電池では塩化亜鉛又は塩化アンモニウム、アルカリ電池では水酸化カリウム、リチウム電池ではリチウム塩の有機溶媒溶液等を用いるのが一般的である。
(実施例1)
5Lビーカーを電解槽として用い、陽極としてチタン板、陰極として黒鉛板をそれぞれ交互に電解槽内に懸吊し、電解槽の底部から補給液が上方向に補給されるように硫酸マンガン電解補給液の導入管を設けた。この際、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.2となる長さの電極を用いた。
60℃に調整した電解補給液を前記導入管を通じて電解槽内に注入し、電解するに際して電解液の組成がマンガン35g/L、硫酸60g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を95〜98℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
次に、電解析出して得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数を92rpm、粉砕時間2分)で微粉砕した。これを90℃の熱水で30分洗浄後、デカンテーションし、さらに同量の水で24時間撹拌洗浄し、再びデカンテーションした。そして、ここで得られたマンガン酸化物を苛性ソーダによりマンガン酸化物のJISpHが3.5になるよう中和後、95℃で0.5時間加熱乾燥させてマンガン酸化物粉体を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の電解槽において、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.4となる長さの電極を用い、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を112rpm、粉砕時間1分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(実施例3)
Caを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行い、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)
(実施例4)
Lnを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給すると共に、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸70g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。
電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を112rpm、粉砕時間2分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(実施例5)
電解液及び電解補給液にTiを0.25g/L及びLnを0.25g/L添加し、電解するに際して電解液の組成をマンガン20g/L、硫酸80g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を112rpm、粉砕時間3分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(実施例6)
Mgを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行い、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)
(実施例7)
Mgを含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行い、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)
(実施例8)
硫酸マンガン電解液の組成をマンガン20g/L、硫酸85g/Lとなるように調整するとともに、電流密度32A/m2に設定し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を92rpm、粉砕時間2分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(実施例9)
硫酸マンガン電解液の組成をマンガン10g/L、硫酸20g/Lとなるように調整するとともに、電流密度32A/m2に設定し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を92rpm、粉砕時間2分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(比較例1)
5Lビーカーを電解槽として用い、陽極としてチタン板、陰極として黒鉛板をそれぞれ交互に電解槽内に懸吊し、電解槽の底部に補給液が下方向に補給されるように硫酸マンガン電解補給液の導入管を設けた。この際、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.2となる長さの電極を用いた。
98℃に調整した電解補給液を前記導入管を通じて電解槽内に注入し、電解するに際して電解液の組成がマンガン60g/L、硫酸15g/Lとなるように調整するとともに、電解槽内の電解液温度が均一に95〜98℃に保たれるように熱交換器の配設位置と加熱温度を調整しながら、電流密度55A/m2に設定して10日間電解した。なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度A/m2の実測値の平均値を表1に示した。
次に、電解析出して得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数を108rpm、粉砕時間11分)で微粉砕した。これを90℃の熱水で30分洗浄後、デカンテーションし、さらに同量の水で24時間撹拌洗浄し、再びデカンテーションした。そして、ここで得られたマンガン酸化物を苛性ソーダによりマンガン酸化物のJISpHが3.5になるよう中和後、95℃で0.5時間加熱乾燥させてマンガン酸化物粉体を得た。
(比較例2)
電解するに際して電解液の組成をマンガン55g/L、硫酸35g/Lとなるように調整するとともに、電流密度65A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を118rpm、粉砕時間15分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(比較例3)
電解するに際して電解液の温度を93〜96℃、電解液の組成をマンガン40g/L、硫酸40g/Lとなるように調整するとともに、電流密度90A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を127rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(比較例4)
実施例2で得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数112rpm、粉砕時間16分)で微粉砕し、これを90℃の熱水で30分洗浄後、デカンテーションし、さらに同量の水で24時間撹拌洗浄し、再びデカンテーションした。そして、ここで得られたマンガン酸化物を苛性ソーダによりマンガン酸化物のJISpHが3.5になるよう中和後、95℃で0.5時間加熱乾燥させてマンガン酸化物粉体を得た(詳しくは表1を参照のこと)。
(比較例5)
比較例1で得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数101rpm、粉砕時間1分)で微粉砕し、これを90℃の熱水で30分洗浄後、デカンテーションし、さらに同量の水で24時間撹拌洗浄し、再びデカンテーションした。そして、ここで得られたマンガン酸化物を苛性ソーダによりマンガン酸化物のJISpHが3.5になるよう中和後、95℃で0.5時間加熱乾燥させてマンガン酸化物粉体を得た(詳しくは表1を参照のこと)。
(比較例6)
実施例2で得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数130rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した、ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(比較例7)
Mgを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を111rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
(比較例8)
電解するに際して電解液の組成をマンガン56g/L、硫酸28g/Lとなるように調整するとともに、電流密度15A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を111rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
Figure 2006108084
Figure 2006108084
実施例3−7の結果をみると、Ti、Ca、Ln、Mgのいずれを含む場合にも優れた特性(効果)が得られることが認められる。その一方、比較例7の結果をみると、Me量が多すぎると特性(効果)が低下することが認められる。このような点から、Me量(モル比率)の好ましい範囲としては0.015以下、特に0.004以下(実施例6参照)であると考えられる。
(水分量の測定)
試料としてのマンガン酸化物粉末を、110℃で2時間加熱乾燥した際に放出される水分量を測定した。
(H元素の定量方法)
試料としてのマンガン酸化物粉末を、カールフィッシャー水分計を用いて、110から500℃まで加熱した際に水分のカウントが安定するまで保持することで放出される水分量を測定し、その水分量から、上記の110℃の加熱乾燥させた際に放出される水分量を除き、その除いた水分量からH元素のモル比率を算出した。
(S元素の定量方法)
JIS K 1467:2003に基づき、ICP分析装置でS元素の量を測定した。
(Me元素の定量方法)
JIS K 1467:2003に基づき、ICP分析装置で各Me元素の量を測定した。
(MnO2含有量及び全Mn量の測定)
MnO2含有量は、JIS K 1467:2003の通り測定した。全Mn量はKMnO4を用いた電位差滴定により測定した。
(酸素分の測定)
MnO2含有量及び全Mn量からMn酸化数を算出してMnOx値を算出した。また、Sの存在状態をSO4 2-と仮定し、S量から酸素量を算出した。さらにまた、窒素雰囲気中で110℃から500℃まで加熱した際に試料から放出される水分量をカールフィッシャー水分計で測定し、得られた水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除いた値に基づいて酸素量を算出した。そして、前記MnOx値から算出した酸素量、前記S量から算出した酸素量、および前記加熱乾燥した際に放出される水分量の合計量から全酸素量を求め、O元素のモル比率を算出した。
(XRD測定)
Cu管球を用いて、測定範囲10〜80°をスキャンステップ0.02°、スキャンスピード1°/minでXRD測定してXRDチャートを求めた。
得られるXRDチャートのピークの平滑化処理、バックグラウンド除去処理及びKα2除去処理(最大強度比=0.500)を行ない、ピークトップの角度を用いて、Ramsdellite(空間群Pnma)と帰属した場合における(110)面のd値、(310)面/(221)面のピーク強度比I(310)/I(221)を算出し、表2に示した。
(粒度分布測定試験)
実施例及び比較例で得られたマンガン酸化物粉体の粒子径を、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置(装置:日機装株式会社製「マイクロトラックHRA 9320−X100」、分散媒:水、分散時間:3分間、測定時間:30秒、計測回数1回、前処理なし、チャンネル数100)を使用して測定し、前述したように、個数分布における1μm以下の存在割合、最大粒子径及びD90、体積分布における中心粒径を求めた。
(見かけ密度:AD)
JIS−K5101「見掛け密度又は見掛け比容」内の「20.1静置法」にて、実施例及び比較例で得られたマンガン酸化物粉体の見かけ密度(AD)を測定した。
(保存による電位低下割合の測定方法)
先ず、上記実施例及び比較例で得たマンガン酸化物(保存前)を0.3g秤量し、φ10mmの上部開放底付きニッケルめっきスチール缶に充填した。これを専用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた後、金属ニッケルリボンを底部にスポット溶接した。
200mLビーカーに前記充填済みスチール缶を挿入し、ニッケルリボンを折り曲げて固定し、電解液として40%KOH水溶液を注入し、スチール缶部分を完全に浸漬させて1昼夜静置した後、参照電極(水銀/酸化水銀)を電解液に浸漬させ、デジタル電圧計でサンプルと参照電極間の電位(開回路電位:OCP)を測定した。
その一方で、上記実施例及び比較例で得られた各マンガン酸化物粉体20gをフッ素樹脂製密封容器に入れ、密栓した状態で60℃の乾燥器内で7日間静置した。
静置後、容器からマンガン酸化物を取り出し、上記同様に(開回路電位:OCP)を測定し、次の式で電位低下割合(%)を求め、表2に示した。
電位低下割合=((保存前電位−保存後電位)/保存前電位)×100
また、上記同様に静置後に容器から取り出したマンガン酸化物について、次の方法でハイレート特性(ハーフセル25mA)を検討した。
すなわち、保存後のマンガン酸化物と黒鉛を所定比率(94:6)で混合し、200mLビーカーにて薬さじで充分に攪拌混合した後、この混合剤0.2gを、φ10mm円盤作製用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけて成形品を得た。この成形品をφ10mmの上部開放底付きニッケルめっきスチール缶に装入し、φ10mmニッケル網を成形品上部に装入した後、成形品を圧着するため油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた。次いで成形品が圧着されたスチール缶をアクリル樹脂製モデルセルに装着し、対極として導電用タブをつけたニッケル網をモデルセルに装着し、電解液40%KOH水溶液をモデルセルに注入し、一昼夜静置した後、サンプル極と対極(:ニッケル)と電流計とを、電流値が予め設定されている定電流電源装置に配線し、参照電極(Hg/HgO)を電解液に浸漬させ、デジタル式電圧記録計でサンプル極と参照電極間の電位を測定記録した。
定電流電源装置から25mA連続放電を行い、電位がカットオフ電位(−0.2V)に達した時点で放電終了し、−0.2V時の放電容量を測定した。
各実施例及び比較例の保存後ハーフセル特性(25mA)は、比較例2の測定値(放電容量)を100%とし、これに対する比率(%)として表2に示した。

Claims (8)

  1. 組成式MnSabMexc・zH2O(但し、Me:Ti,Ca、Mg、Lnの一種或いは二種以上の組合せ)で表されるマンガン酸化物粉体であって、
    aは、0.005以上0.015以下であり、
    bは、0.3以上0.4以下であり、
    cは、1.8以上2.3以下であり、
    xは、0或いは0より大きく0.015以下であり、
    zは、0を超える値であり、
    個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることを特徴とするマンガン酸化物粉体。
  2. 上記組成式MnSabMexc・zH2Oにおいて、Sに対するHの比率b/aが20以上40以下であることを特徴とする請求項1記載のマンガン酸化物粉体。
  3. 個数分布における最大粒子径が60μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマンガン酸化物粉体。
  4. 個数分布における累積個数90%のときの粒径(D90)が5μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
  5. 見かけ密度が1.65g/cm3以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
  6. 体積分布における中心粒径が20μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
  7. 体積分布における中心粒径が35μm以上45μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
  8. 請求項1〜7のいずれかのマンガン酸化物粉体を正極活物質として用いてなる構成を備えた電池。




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