JP2006108084A - 正極活物質用マンガン酸化物粉体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 組成式MnSaHbMexOc・zH2Oで表されるマンガン酸化物であって、a:0.005以上0.015以下、b:0.3以上0.4以下、c:1.8以上2.3以下、x:0.015以下、z:0を超える値であり、個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることを特徴とするマンガン酸化物粉体を提案する。所定量の「S」「H」を含むことによって、放電反応時に直接かつ速やかにプロトン(H+)が供給され、高負荷時においても放電反応が追随でき易くなる。しかも、超微粒子の存在比率が極めて低いため保存特性にも優れた効果を発揮する。
【選択図】 なし
Description
aは、0.005以上0.015以下であり、
bは、0.3以上0.4以下であり、
cは、1.8以上2.3以下であり、
xは、0或いは0より大きく0.015以下であり、
zは、0を超える値であり、
個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることを特徴とするマンガン酸化物粉体を提案する。
また、マンガン酸化物の結晶成長の間に「S」乃至「Me」が取り込まれると、これが結晶成長に際して制御因子として働き、ハイレート特性が更に優れたものとなる。詳細なメカニズムは不明であるが、おそらくマンガン酸化物の結晶成長の間に取り込まれた「S」「Me」が結晶成長に際して制御因子と働き、プロトン(H+)を含めて放電反応物の供給をより一層スムースになると同時に放電生成物の拡散もスムースになるため優れたハイレート特性が実現されるものと考えられる。
しかも、本発明のマンガン酸化物粉体は1μm以下の超微粒子の存在比率が極めて少ないため、保存特性にも優れた効果を発揮する。
S元素の定量はICP分析装置を使って測定することができる。このSのモル比率aが、0.015より大き過ぎると、放電生成物の拡散を阻害し、異相が存在して放電特性が悪くなる。
このSのモル比率aは、電解法によってマンガン酸化物を製造する場合であれば、例えば電解装置の設計(電解液の上層を高温層とし下層を低温層とすることも含む)、電解液の硫酸濃度、電解条件などによって調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
なお、Sのモル比率aをコントロールする手段として硫酸マンガン電解補給液の調整を挙げることができるが、aの値を高めるために硫酸マンガン電解補給液中の硫酸濃度を高くし過ぎると、溶液中の硫酸によって電極表面が不働態化してマンガンの電解を阻害する要因となる点に注意が必要である。
「b」の値が0.3より小さ過ぎると、すなわちHが少な過ぎると放電反応時マンガン酸化物内からのプロトン(H+)の充分な供給が行われず放電反応が追随できなくなるようになる。他方、「b」の値が0.4より大き過ぎると、すなわちHが多過ぎるとマンガン酸化物内のマンガンがプロトンにより置換されてマンガンとしての理論容量が低下し、利用率が低下するようになる。
このHのモル比率bは、電解法によってマンガン酸化物を製造する場合であれば、例えば電解装置の設計(電解液の上層を高温層とし下層を低温層とすることも含む)、電解液の硫酸濃度、電解条件などによって調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
H元素の定量は、窒素雰囲気中にて110から500℃まで加熱した際に試料から放出された水分量をカールフィッシャー水分計で測定し、得られた水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除いた値に基づいて算出することができる。
なお、マンガン酸化物におけるHの存在状態として、H+、OH-、H2Oが考えられるが、試料を500℃まで加熱した場合、MnOx値に大きな減少は観られないため、この点から周囲の酸素を捉えてH2Oとして蒸発するプロトン(H+)の絶対量はほとんどなく、主にOH-、H2Oとして存在すると考えられる。
Sに対するHの比率b/aは、電解法によってマンガン酸化物を製造する場合であれば、例えば電解装置の設計(電解液の上層を高温層とし下層を低温層とすることも含む)、電解液の硫酸濃度、電解条件などによって調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
なお、b/aをコントロールする手段として硫酸マンガン電解補給液の調整を挙げることができるが、aの値を高めるために硫酸マンガン電解補給液中の硫酸濃度を高くし過ぎると、溶液中の硫酸によって電極表面が不働態化してマンガンの電解を阻害する要因となる点に注意が必要である。
「Me」のモル比率としての「x」は、0或いは0より大きく0.015以下であり、好ましくは0.000001以上0.013以下、さらに好ましくは0.00001以上0.013以下である。すなわち、Meは必ずしも含まれていなくてもよいが、少しでも含まれていると結晶成長の際に制御因子として働き、ハイレート特性を更に優れたものとすることができる。但し、上述したように「Me」が多過ぎるとプロトン(H+)の拡散を阻害するばかりか、マンガン酸化物が異相を形成し理論容量を低下させるようになるため、その量の適正化を図ることが重要である。
「Me」の量に関しては、原料の選択或いは添加によって調整することができる
上記組成を有するマンガン酸化物の中でも、X線回折法(XRD)で測定される(310)面のピーク強度I(310)と(221)面のピーク強度I(221)との比率が、I(310)/I(221)<0.20、特に<0.19、中でも特に<0.18であるのが好ましい。ピーク強度I(310)と、(221)面のピーク強度I(221)の比率が0.4よりどれだけ小さいかは、γ−MnO2の結晶構造からどれだけずれているかの指標、言い換えればマンガン酸化物内にS、H及びMeがどれだけ含有されているかの指標となる。したがって、I(310)/I(221)<0.20であれば、マンガン酸化物内にS、H及びMeが十分に取り込まれていることの一つの目安となる。
本発明のマンガン酸化物粉体は、個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることが重要であり、好ましくは5%以下である。この1μm以下の存在比率が10%以下であれば、電池を保存した際に電池内導電剤および電解液との反応性が抑制され、結果として電位低下を抑制でき、更には保存後の電池特性が向上する。
この際、個数分布、中心粒径及び最多頻度粒子径は、溶媒として水を使用した湿式レーザー回折式粒度分布測定装置を使用して測定して得た値から求めることができ、1μm以下の粒子の存在比率(%)は下記式(1)より算出することができる。
式(1)・・(粒子径1μm以下の粒の存在個数/全粒子の存在個数)×100
本発明のマンガン酸化物粉体は、個数分布における最大粒子径が60μm以上、特に80μm以上100μm以下であるのが好ましい。
この際、最大粒子径の値は、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置の測定値から得られる個数分布を100分割した分布の中で最も粗い粒子の径の意である。この最大粒子径が60μmより小さいと、保存時の電池内のマンガン酸化物と導電剤および電解液との接触による反応性が促進され電位の低下割合が上昇し、電池容量が低下するようになる。
この際、上記D90の値は、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置の測定値から求めることができる。
本発明のマンガン酸化物粉体は、体積分布における中心粒子径が20μm以上50μm以下、特に35μm以上45μm以下であるのが好ましい。
中心粒子径が20μmより小さいと、保存時の電池内のマンガン酸化物と導電剤および電解液との接触による反応性が促進され電位の低下割合が上昇し、電池容量が低下するようになる。他方、中心粒子径が50μmより大きいと、マンガン酸化物反応面積が極端に小さくなり放電容量が低下するようになる。
この際、中心粒径は、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置の測定値における体積分布を100に分割した分布の中で各頻度を積算し、その積算値が50%に相当する粒子径の意である。
本発明のマンガン酸化物粉体は、見かけ密度(AD)が1.65g/cm3以上、特に1.65g/cm3以上1.85g/cm3以下であるのが好ましい。見かけ密度は電池内へのマンガン酸化物の充填量に影響し、1.65g/cm3より小さいと、電池内へのマンガン酸化物の充填量が少なくなりその結果放電容量が低下するようになる。
この際、見かけ密度(AD)は、JIS−K5101「見掛け密度又は見掛け比容」内の「20.1静置法」にて測定される値である。
本発明のマンガン酸化物は、例えば、硫酸マンガン及び硫酸溶液からなる電解液を電気分解する方法において、電解槽内に高温の上層電解液層と低温の下層電解液層とを形成すると共に、電解電流密度、電解液の硫酸濃度等を調整することにより、目的とする組成のマンガン酸化物を製造し、所定の方法で粉砕乃至分級することにより得ることが出来る。
上層電解液層の温度は90〜100℃、低温の下層電解液層の温度は60〜85℃、特に65〜84℃とするのが好ましい。このように高温の上層電解液層と低温の下層電解液層とを形成する手段は、特に制限するものではないが、一例としては、電解槽の底部から補給液を上方向に送液するように導入管を設け、所定温度の電解液を所定の送液速度で補給しながら、熱交換器の配設位置とその加熱温度を調整する手段を紹介することができる。
なお、送液速度つまり電解液の補給速度は、電解液の硫酸濃度が所定濃度に保持されるように設定すればよい。
この際、遠心ロールミルの回転速度及び粉砕器内の滞留時間(粉砕時間)を調節することにより、1μm以下の微粒子の存在比率を調整することができる。実際には、回転速度と粉砕時間とのバランスを調節しながら粉砕条件を設定する必要があるが、傾向としては、遠心ロールミルの回転速度を遅く、或いは粉砕器内の滞留時間(粉砕時間)を短くすれば、1μm以下の微粒子の存在比率を低くすることができる。ただし、本発明では、粉砕方法及び粉砕条件をこれらの方法に限定するものではない。
また、分級方法は、篩によるほか、粉砕して得られたマンガン酸化物粉末を純水中に分散させ、沈降粉末をろ過し乾燥を行うことにより微粉末を除去する方法等を採用することができる。
このように微粉砕したマンガン酸化物粉は、必要に応じて、表面に残留する遊離酸を取り除くため、水洗もしくはアルカリを用いて洗浄・乾燥を行うようにする。
本発明のマンガン酸化物は、ニッケルマンガン電池、アルカリ電池、マンガンリチウム電池などの正極活物質として好適に用いることができる。特に、ハイレート特性と保存特性に優れているため、これを正極活物質として用いたアルカリ電池は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDAなどの電子機器用駆動電源として好適に用いることができる。
リチウム電池の正極活物質として用いる場合は、上述したように、電解後に焼成脱水したマンガン酸化物を使用することが好ましい。
電池を構成する電解液も従来から知られているものでよく、特に限定されないが、マンガン電池では塩化亜鉛又は塩化アンモニウム、アルカリ電池では水酸化カリウム、リチウム電池ではリチウム塩の有機溶媒溶液等を用いるのが一般的である。
5Lビーカーを電解槽として用い、陽極としてチタン板、陰極として黒鉛板をそれぞれ交互に電解槽内に懸吊し、電解槽の底部から補給液が上方向に補給されるように硫酸マンガン電解補給液の導入管を設けた。この際、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.2となる長さの電極を用いた。
60℃に調整した電解補給液を前記導入管を通じて電解槽内に注入し、電解するに際して電解液の組成がマンガン35g/L、硫酸60g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を95〜98℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
実施例1と同様の電解槽において、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.4となる長さの電極を用い、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を112rpm、粉砕時間1分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
Caを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行い、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)
Lnを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給すると共に、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸70g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。
電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を112rpm、粉砕時間2分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
電解液及び電解補給液にTiを0.25g/L及びLnを0.25g/L添加し、電解するに際して電解液の組成をマンガン20g/L、硫酸80g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を112rpm、粉砕時間3分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
Mgを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行い、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)
Mgを含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行い、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)
硫酸マンガン電解液の組成をマンガン20g/L、硫酸85g/Lとなるように調整するとともに、電流密度32A/m2に設定し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を92rpm、粉砕時間2分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
硫酸マンガン電解液の組成をマンガン10g/L、硫酸20g/Lとなるように調整するとともに、電流密度32A/m2に設定し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を92rpm、粉砕時間2分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
5Lビーカーを電解槽として用い、陽極としてチタン板、陰極として黒鉛板をそれぞれ交互に電解槽内に懸吊し、電解槽の底部に補給液が下方向に補給されるように硫酸マンガン電解補給液の導入管を設けた。この際、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.2となる長さの電極を用いた。
98℃に調整した電解補給液を前記導入管を通じて電解槽内に注入し、電解するに際して電解液の組成がマンガン60g/L、硫酸15g/Lとなるように調整するとともに、電解槽内の電解液温度が均一に95〜98℃に保たれるように熱交換器の配設位置と加熱温度を調整しながら、電流密度55A/m2に設定して10日間電解した。なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度A/m2の実測値の平均値を表1に示した。
電解するに際して電解液の組成をマンガン55g/L、硫酸35g/Lとなるように調整するとともに、電流密度65A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を118rpm、粉砕時間15分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の温度を93〜96℃、電解液の組成をマンガン40g/L、硫酸40g/Lとなるように調整するとともに、電流密度90A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を127rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
実施例2で得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数112rpm、粉砕時間16分)で微粉砕し、これを90℃の熱水で30分洗浄後、デカンテーションし、さらに同量の水で24時間撹拌洗浄し、再びデカンテーションした。そして、ここで得られたマンガン酸化物を苛性ソーダによりマンガン酸化物のJISpHが3.5になるよう中和後、95℃で0.5時間加熱乾燥させてマンガン酸化物粉体を得た(詳しくは表1を参照のこと)。
比較例1で得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数101rpm、粉砕時間1分)で微粉砕し、これを90℃の熱水で30分洗浄後、デカンテーションし、さらに同量の水で24時間撹拌洗浄し、再びデカンテーションした。そして、ここで得られたマンガン酸化物を苛性ソーダによりマンガン酸化物のJISpHが3.5になるよう中和後、95℃で0.5時間加熱乾燥させてマンガン酸化物粉体を得た(詳しくは表1を参照のこと)。
実施例2で得られたマンガン酸化物を粗粉砕した後、遠心ロールミル(回転数130rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した、ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
Mgを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を111rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の組成をマンガン56g/L、硫酸28g/Lとなるように調整するとともに、電流密度15A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出を行った。電解にて合成された電解二酸化マンガンを、粗粉砕後、遠心ロールミル(回転数を111rpm、粉砕時間17分)で微粉砕した。ここで得られたマンガン酸化物の洗浄・乾燥は実施例1と同じになるようにし、マンガン酸化物粉体を得た。(詳しくは表1を参照のこと)。
試料としてのマンガン酸化物粉末を、110℃で2時間加熱乾燥した際に放出される水分量を測定した。
試料としてのマンガン酸化物粉末を、カールフィッシャー水分計を用いて、110から500℃まで加熱した際に水分のカウントが安定するまで保持することで放出される水分量を測定し、その水分量から、上記の110℃の加熱乾燥させた際に放出される水分量を除き、その除いた水分量からH元素のモル比率を算出した。
JIS K 1467:2003に基づき、ICP分析装置でS元素の量を測定した。
JIS K 1467:2003に基づき、ICP分析装置で各Me元素の量を測定した。
MnO2含有量は、JIS K 1467:2003の通り測定した。全Mn量はKMnO4を用いた電位差滴定により測定した。
MnO2含有量及び全Mn量からMn酸化数を算出してMnOx値を算出した。また、Sの存在状態をSO4 2-と仮定し、S量から酸素量を算出した。さらにまた、窒素雰囲気中で110℃から500℃まで加熱した際に試料から放出される水分量をカールフィッシャー水分計で測定し、得られた水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除いた値に基づいて酸素量を算出した。そして、前記MnOx値から算出した酸素量、前記S量から算出した酸素量、および前記加熱乾燥した際に放出される水分量の合計量から全酸素量を求め、O元素のモル比率を算出した。
Cu管球を用いて、測定範囲10〜80°をスキャンステップ0.02°、スキャンスピード1°/minでXRD測定してXRDチャートを求めた。
得られるXRDチャートのピークの平滑化処理、バックグラウンド除去処理及びKα2除去処理(最大強度比=0.500)を行ない、ピークトップの角度を用いて、Ramsdellite(空間群Pnma)と帰属した場合における(110)面のd値、(310)面/(221)面のピーク強度比I(310)/I(221)を算出し、表2に示した。
実施例及び比較例で得られたマンガン酸化物粉体の粒子径を、湿式レーザー回折式粒度分布測定装置(装置:日機装株式会社製「マイクロトラックHRA 9320−X100」、分散媒:水、分散時間:3分間、測定時間:30秒、計測回数1回、前処理なし、チャンネル数100)を使用して測定し、前述したように、個数分布における1μm以下の存在割合、最大粒子径及びD90、体積分布における中心粒径を求めた。
JIS−K5101「見掛け密度又は見掛け比容」内の「20.1静置法」にて、実施例及び比較例で得られたマンガン酸化物粉体の見かけ密度(AD)を測定した。
先ず、上記実施例及び比較例で得たマンガン酸化物(保存前)を0.3g秤量し、φ10mmの上部開放底付きニッケルめっきスチール缶に充填した。これを専用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた後、金属ニッケルリボンを底部にスポット溶接した。
200mLビーカーに前記充填済みスチール缶を挿入し、ニッケルリボンを折り曲げて固定し、電解液として40%KOH水溶液を注入し、スチール缶部分を完全に浸漬させて1昼夜静置した後、参照電極(水銀/酸化水銀)を電解液に浸漬させ、デジタル電圧計でサンプルと参照電極間の電位(開回路電位:OCP)を測定した。
電位低下割合=((保存前電位−保存後電位)/保存前電位)×100
すなわち、保存後のマンガン酸化物と黒鉛を所定比率(94:6)で混合し、200mLビーカーにて薬さじで充分に攪拌混合した後、この混合剤0.2gを、φ10mm円盤作製用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけて成形品を得た。この成形品をφ10mmの上部開放底付きニッケルめっきスチール缶に装入し、φ10mmニッケル網を成形品上部に装入した後、成形品を圧着するため油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた。次いで成形品が圧着されたスチール缶をアクリル樹脂製モデルセルに装着し、対極として導電用タブをつけたニッケル網をモデルセルに装着し、電解液40%KOH水溶液をモデルセルに注入し、一昼夜静置した後、サンプル極と対極(:ニッケル)と電流計とを、電流値が予め設定されている定電流電源装置に配線し、参照電極(Hg/HgO)を電解液に浸漬させ、デジタル式電圧記録計でサンプル極と参照電極間の電位を測定記録した。
定電流電源装置から25mA連続放電を行い、電位がカットオフ電位(−0.2V)に達した時点で放電終了し、−0.2V時の放電容量を測定した。
各実施例及び比較例の保存後ハーフセル特性(25mA)は、比較例2の測定値(放電容量)を100%とし、これに対する比率(%)として表2に示した。
Claims (8)
- 組成式MnSaHbMexOc・zH2O(但し、Me:Ti,Ca、Mg、Lnの一種或いは二種以上の組合せ)で表されるマンガン酸化物粉体であって、
aは、0.005以上0.015以下であり、
bは、0.3以上0.4以下であり、
cは、1.8以上2.3以下であり、
xは、0或いは0より大きく0.015以下であり、
zは、0を超える値であり、
個数分布における1μm以下の粒子の存在比率が10%以下であることを特徴とするマンガン酸化物粉体。 - 上記組成式MnSaHbMexOc・zH2Oにおいて、Sに対するHの比率b/aが20以上40以下であることを特徴とする請求項1記載のマンガン酸化物粉体。
- 個数分布における最大粒子径が60μm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のマンガン酸化物粉体。
- 個数分布における累積個数90%のときの粒径(D90)が5μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
- 見かけ密度が1.65g/cm3以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
- 体積分布における中心粒径が20μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
- 体積分布における中心粒径が35μm以上45μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のマンガン酸化物粉体。
- 請求項1〜7のいずれかのマンガン酸化物粉体を正極活物質として用いてなる構成を備えた電池。
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