JP3968372B2 - 正極活物質用マンガン酸化物 - Google Patents
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Description
aは、0.010以上0.015以下であり、
bは、0.30以上0.40以下であり、
cは、1.8以上2.3以下であり、
xは、0或いは0より大きく0.015以下であり、
zは、0を超える値であり、
参照電極に酸化水銀(Hg/HgO)、電解液に40%KOHを用いて、20℃で測定されるマンガン酸化物の開回路電位が250mV以上、或いは、マンガン酸化物:黒鉛=94:6の割合で黒鉛を混合した時に、参照電極に酸化水銀(Hg/HgO)、電解液に40%KOHを用いて、20℃で測定される、前記マンガン酸化物と黒鉛との混合物の開回路電位が230mV以上であることを特徴とするマンガン酸化物を提案する。
マンガン酸化物中に所定量の「S」「H」が取り込まれることによって、放電反応時に、マンガン酸化物内から直接かつ速やかにプロトン(H+)が供給され、高負荷時においても放電反応(ハイレート放電)が追随でき易くなり、ハイレート特性に優れた電池(例えばアルカリ電池)を実現することができるものと考えられる。
また、マンガン酸化物の結晶成長の間に「S」乃至「Me」が取り込まれると、これが結晶成長に際して制御因子として働き、ハイレート特性が更に優れたものとなる。詳細なメカニズムは不明であるが、おそらくマンガン酸化物の結晶成長の間に取り込まれた「S」「Me」が結晶成長に際して制御因子と働き、プロトン(H+)を含めて放電反応物の供給がより一層スムースになると同時に放電生成物の拡散もスムースになるため優れたハイレート特性が実現されるものと考えられる。ただし、一定量以上の「S」「Me」が存在するとプロトン(H+)の拡散を阻害することになる為、「S」「Me」の量を適正にすることが重要であるとも考えられる。
以上のように本発明のマンガン酸化物は、所定の組成において開回路電位が高く、正極活物質として高電位を備えているから、これを電池の正極活物質として用いることにより、高出力を発現可能な電池を構成することができるばかりか、負極活物質及び電解液の選択の幅を大きく広げることができる。
S元素の定量はICP分析装置を使って測定することができる(JIS K 1467:2003)。
H元素の定量は、窒素雰囲気中で110から500℃まで加熱した際に試料から放出された水分量をカールフィッシャー水分計で測定し、得られた水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除いた値に基づいて算出することができる。
なお、マンガン酸化物におけるHの存在状態として、H+、OH-、H2Oが考えられるが、試料を500℃まで加熱した場合、MnOx値に大きな減少は観られないため、この点から周囲の酸素を捉えてH2Oとして蒸発するプロトン(H+)の絶対量はほとんどなく、主にOH-、H2Oとして存在すると考えられる。
Sに対するHの比率b/aは、電解法によってマンガン酸化物を製造する場合であれば、例えば電解装置の設計(電解液の上層を高温層とし下層を低温層とすることも含む)、電解液の硫酸濃度、電解条件などによって調整することができる。但し、この方法に限定されるものではない。
「Me」のモル比率としての「x」は、0或いは0より大きく0.015以下であることが重要であり、好ましくは0.000001以上0.013以下、さらに好ましくは0.00001以上0.013以下である。すなわち、Meは必ずしも含まれていなくてもよいが、少しでも含まれていると結晶成長の際に制御因子として働き、ハイレート特性を更に優れたものとすることができる。但し、上述したように「Me」が多すぎるとプロトン(H+)の拡散を阻害することになる為、その量を適正にすることが重要である。
(110)面の面間隔d値はMnとOの結合状態に起因して変化する値である。詳細な理由は不明であるが、面間隔d値が4.01Å以上以上であればハイレート特性がより一層優れたものとなることが確かめられている。
また、黒鉛と混合して正極合剤とする場合には、マンガン酸化物:黒鉛=94:6の割合で黒鉛を混合した時に、参照電極に酸化水銀(Hg/HgO)、電解液に40%KOHを用いて、20℃で測定される、前記マンガン酸化物と黒鉛との混合物の開回路電位が230mV以上であることが重要であり、好ましくは230mV以上330mV以下、特に好ましくは240mV以上330mV以下の特性を備えたものである。
本発明のマンガン酸化物の製造方法は、例えば、硫酸マンガン及び硫酸溶液からなる電解液を電気分解する方法において、電解槽内に高温の上層電解液層と低温の下層電解液層とを形成すると共に、電解電流密度、電解液の硫酸濃度等を調整することにより、目的とする組成のマンガン酸化物を製造することができる。以下、この製造方法についてより詳細に説明する。
上層電解液層の温度は90〜100℃、低温の下層電解液層の温度は60〜85℃、特に65〜84℃とするのが好ましい。このように高温の上層電解液層と低温の下層電解液層とを形成する手段は、特に制限するものではないが、一例としては、電解槽の底部から補給液を上方向に送液するように導入管を設け、所定温度の電解液を所定の送液速度で補給しながら、熱交換器の配設位置とその加熱温度を調整する手段を紹介することができる。
なお、送液速度つまり電解液の補給速度は、電解液の硫酸濃度が所定濃度に保持されるように設定すればよい。
この際の粉砕方法としては、ジョークラッシャー等により粗粉砕して数cmの塊状物に粉砕し、さらに微粉砕を行うためにローラーミル等により粉砕を行い、必要に応じてさらに乳鉢、湿式ボールミル粉砕、臼(ミル)粉砕、乾式ボールミル粉砕等によって粉砕を行うようにすればよい。
また、分級方法は、篩によるほか、粉砕して得られたマンガン酸化物粉末を純水中に分散させ、沈降粉末をろ過し乾燥を行うことにより微粉末を除去する方法等を採用することができる。
このように微粉砕したマンガン酸化物粉は、必要に応じて、表面に残留する遊離酸を取り除くため、水洗もしくはアルカリを用いて洗浄・乾燥を行うようにする。
また、電解によって得られたマンガン酸化物を酸化剤で処理することによってもOCPを高めることができる。マンガン酸化物を酸化剤で処理する方法としては、例えばマンガン酸化物を過マンガン水溶液に浸漬した後、水洗する方法を挙げることができる。
本発明のマンガン酸化物は、ニッケルマンガン電池、アルカリ電池などの正極活物質として好適に用いることができる。特に、本発明のマンガン酸化物は開回路電位が250mV以上であるから、ハイレート特性に優れており、これを正極活物質として用いた電池は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機、PDAなどの電子機器用駆動電源として好適に用いることができる。
電池を構成する電解液も従来から知られているものでよく、特に限定されないが、マンガン電池では塩化亜鉛又は塩化アンモニウム、アルカリ電池では水酸化カリウム、リチウム電池ではリチウム塩の有機溶媒溶液等を用いるのが一般的である。
また、ニッケルマンガン電池を構成する場合には、例えばマンガン酸化物と、オキシ水酸化ニッケルと、導電剤である黒鉛と混練し、これを正極合材とすればよい。
5Lビーカーを電解槽として用い、陽極としてチタン板、陰極として黒鉛板をそれぞれ交互に電解槽内に懸吊し、電解槽の底部から補給液が上方向に補給されるように硫酸マンガン電解補給液の導入管を設けた。この際、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.2となる長さの電極を用いた。
60℃に調整した電解補給液を前記導入管を通じて電解槽内に注入し、電解するに際して電解液の組成がマンガン35g/L、硫酸60g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を95〜98℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保つようにしながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
実施例1と同様の電解槽において、電解液に浸漬している極板の長さ1に対して、電解槽底から極板下端までの距離が0.4となる長さの電極を用い、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
Caを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
Lnを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給すると共に、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸70g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った。(詳しくは表1を参照のこと)。
電解液及び電解補給液にTiを0.25g/L及びLnを0.25g/L添加し、電解するに際して電解液の組成をマンガン20g/L、硫酸80g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の組成がマンガン20g/L、硫酸80g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を87〜93℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度30A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
電解するに際して電解液の組成がマンガン10g/L、硫酸30g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を96〜99℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度30A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
電解するに際して電解液の組成がマンガン10g/L、硫酸30g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を87〜93℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度30A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
電解するに際して電解液の組成がマンガン30g/L、硫酸60g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を96〜99℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度60A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
電解液及び電解補給液にTiを0.25g/L添加し、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸60g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度60A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の組成がマンガン40g/L、硫酸55g/Lとなるように調整し、電流密度55A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に電解析出してマンガン酸化物を得た。次に、電解析出して得たマンガン酸化物50gを、0.05モルKMnO4水溶液(酸化剤水溶液、30℃)300ml中に投入し、マグネットスターラーで1時間攪拌継続した後、水洗し、107℃で乾燥した。乾燥後、粗粉砕し、90℃の熱水で30分洗浄した後デカンテーションし、さらに同量の水で24時間撹拌洗浄し、再びデカンテーションした。そして、ここで得られたマンガン酸化物を苛性ソーダによりマンガン酸化物のJISpHが3.5になるよう中和後、95℃で0.5時間加熱乾燥し、そして平均粒径が約35μmとなるよう微粉砕してマンガン酸化物粉体を得た。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値は表1に示した。
Mgを多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
実施例12に比べ、Mgを更に多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例12と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
電解液及び電解補給液にTiを0.56g/L添加し、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸60g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度60A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
実施例4に比べ、Lnを更に多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給すると共に、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸70g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った。(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の組成がマンガン20g/L、硫酸90g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を87〜93℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度30A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
電解するに際して電解液の組成がマンガン30g/L、硫酸30g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を95〜98℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度30A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
電解するに際して電解液の組成をマンガン50g/L、硫酸20g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の組成をマンガン45g/L、硫酸30g/Lとなるように調整するとともに、電流密度55A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の組成をマンガン40g/L、硫酸50g/Lとなるように調整するとともに、電流密度55A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
電解液及び電解補給液にTiを0.25g/L添加し、電解するに際して電解液の組成をマンガン40g/L、硫酸30g/Lとなるように調整するとともに、電流密度55A/m2に設定し、他の条件は比較例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
実施例13に比べ、Mgを更に多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給し、他の条件は実施例13と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
電解液及び電解補給液にTiを4.300g/L添加し、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸60g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度60A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った(詳しくは表1を参照のこと)。
実施例15に比べ、Lnを更に多く含むマンガン原料からなる硫酸マンガン電解補給液を調整して供給すると共に、電解するに際して電解液の組成をマンガン30g/L、硫酸70g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整することにより、電解液の上層の温度を95〜98℃に保ち、下層の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度55A/m2で10日間電解した。他の条件は実施例1と同じになるように電解析出及び粉砕・洗浄・乾燥を行った。(詳しくは表1を参照のこと)。
電解するに際して電解液の組成がマンガン15g/L、硫酸100g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を95〜98℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度30A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
電解するに際して電解液の組成がマンガン30g/L、硫酸30g/Lとなるように調整するとともに、熱交換器の配設位置と加熱温度を調整し、電解液の上層(電解液に浸漬している電極板全体を含む上層部)の温度を95〜98℃に保つ一方、電解液の下層(電極板より下層部)の温度を65〜80℃に保ちながら、電流密度20A/m2で10日間電解し、その他の点は実施例1と同様に行った。
なお、マンガン濃度、硫酸濃度、電流密度の実測値の平均値を表1に示した。
実施例6で得られたマンガン酸化物粉体を常温中で12ヶ月保存したものを、参考例1のサンプルとした。
上記実施例及び比較例で得られたマンガン酸化物の測定及び評価は、次に説明する方法で行った。
試料としてのマンガン酸化物粉末を、110℃で2時間加熱乾燥した際に放出される水分量を測定した。
試料としてのマンガン酸化物粉末を、カールフィッシャー水分計を用いて、窒素雰囲気中で110から500℃まで加熱した際に水分のカウントが安定するまで保持することで放出される水分量を測定し、その水分量から、上記の110℃の加熱乾燥させた際に放出される水分量を除き、その除いた水分量からH元素のモル比率を算出した。
JIS K 1467:2003に基づき、ICP分析装置でS元素の量を測定した。
JIS K 1467:2003に基づき、ICP分析装置で各Me元素の量を測定した。
MnO2含有量は、JIS K 1467:2003の通り測定した。全Mn量はKMnO4を用いた電位差滴定により測定した。
MnO2含有量及び全Mn量からMn酸化数を算出してMnOx値を算出した。また、Sの存在状態をSO4 2-と仮定し、S量から酸素量を算出した。さらにまた、窒素雰囲気中で110℃から500℃まで加熱した際に試料から放出される水分量をカールフィッシャー水分計で測定し、得られた水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除いた値に基づいて酸素量を算出した。そして、前記MnOx値から算出した酸素量、前記S量から算出した酸素量、および前記加熱乾燥した際に放出される水分量の合計量から全酸素量を求め、O元素のモル比率を算出した。
Cu管球を用いて、測定範囲10〜80°をスキャンステップ0.02°、スキャンスピード1°/minでXRD測定してXRDチャートを求めた。
得られたXRDチャートのピークのうち、Ramsdellite(空間群:Pnma)と帰属した場合における(110)面、(310)面、(201)面、(020)面、(211)面、(221)面のピークの平滑化処理、バックグラウンド除去処理及びKα2除去処理(最大強度比=0.500)を行ない、ピークトップの角度を用いて、(110)面のd値、(310)面/(221)面のピーク強度比I(310)/I(221)を算出し、表2に示した。
上記実施例及び比較例で得たマンガン酸化物(サンプル)を0.3g秤量し、φ10mmの上部開放底付きニッケルめっきスチール缶に充填した。これを専用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた後、金属ニッケルリボンを底部にスポット溶接した。
200mLビーカーに前記充填済みスチール缶を挿入し、ニッケルリボンを折り曲げて固定し、電解液として40%KOH水溶液を注入し、スチール缶部分を完全に浸漬させて1昼夜静置した後、参照電極(水銀/酸化水銀)を電解液に浸漬させ、デジタル電圧計でサンプルと参照電極間の電位(開回路電位:OCP)を測定した。
上記実施例及び比較例で得たマンガン酸化物(サンプル)と黒鉛を所定比率(94:6)で混合し、200mLビーカーにて薬さじで充分に攪拌混合した後、この混合剤0.2gを、専用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた後、金属ニッケルリボンを底部にスポット溶接した。
200mLビーカーに前記充填済みスチール缶を挿入し、ニッケルリボンを折り曲げて固定し、電解液として40%KOH水溶液を注入し、スチール缶部分を完全に浸漬させて一昼夜静置した後、参照電極(水銀/酸化水銀)を電解液に浸漬させ、デジタル電圧計でサンプルと参照電極間の電位(黒鉛入りOCP)を測定した。
−アルカリマンガン電池−
上記実施例1〜11及び比較例1〜3で得たマンガン酸化物(サンプル)と黒鉛を所定比率(94:6)で混合し、200mLビーカーにて薬さじで充分に攪拌混合した後、この混合剤0.2gを、φ10mm円盤作製用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけて成形品を得た。この成形品をφ10mmの上部開放底付きニッケルめっきスチール缶に装入し、φ10mmニッケル網を成形品上部に装入した後、成形品を圧着するため油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた。次いで成形品が圧着されたスチール缶をアクリル樹脂製モデルセルに装着し、対極として導電用タブをつけたニッケル網をモデルセルに装着し、電解液40%KOH水溶液をモデルセルに注入し、一昼夜静置した後、サンプル極と対極(:ニッケル)と電流計とを、電流値が予め設定されている定電流電源装置に配線し、参照電極(Hg/HgO)を電解液に浸漬させ、デジタル式電圧記録計でサンプル極と参照電極間の電位を測定記録した。
定電流電源装置から25mA連続放電を行い、電位がカットオフ電位(−0.2V)に達した時点で放電終了し、−0.2V時の放電容量を測定した。
各実施例及び比較例のハーフセル特性(25mA)は、比較例3の測定値(放電容量)を100とし、これに対する比率で表2に示した。
実施例1,2及び比較例3で得たマンガン酸化物(サンプル)とオキシ水酸化ニッケルと黒鉛とを所定比率(47:47:6)で混合し、200mLビーカーにて薬さじで充分に攪拌混合した後、この混合剤0.2gを、φ10mm円盤作製用ダイスにセットし、油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけて成形品を得た。この成形品をφ10mmの上部開放底付きニッケルめっきスチール缶に装入し、φ10mmニッケル網を成形品上部に装入した後、成形品を圧着するため油圧プレス機で荷重2tonを10秒間かけた。次いで成形品が圧着されたスチール缶をアクリル樹脂製モデルセルに装着し、対極として導電用タブをつけたニッケル網をモデルセルに装着し、電解液40%KOH水溶液をモデルセルに注入し、一昼夜静置した後、サンプル極と対極(:ニッケル)と電流計とを、電流値が予め設定されている定電流電源装置に配線し、参照電極(Hg/HgO)を電解液に浸漬させ、デジタル式電圧記録計でサンプル極と参照電極間の電位を測定記録した。
実施例のハーフセル特性(25mA)は、比較例3の測定値(放電容量)を100とし、これに対する比率で表2に示した。
ニッケルマンガン電池はオキシ水酸化ニッケルが加わること以外はアルカリ電池と同様の電池構成である。なお且つ実施例1,2及び比較例3よりニッケルマンガン電池においても同様の効果が確認された。これらのことから、本発明による効果はニッケルマンガン電池においても同様の効果があると考えられる。
Claims (4)
- 組成式MnSaHbMexOc・zH2O(但し、Me:Ti、Ca、Mg、Lnの一種或いは二種以上の組合せ。bは、窒素雰囲気中で110℃から500℃まで加熱した際にマンガン酸化物から放出された水分量から、110℃で加熱乾燥させた際に放出される水分量を除き、その除いた値に基づいて算出されるH元素のモル比率。cは、MnO2含有量及び全Mn量からMn酸化数を算出して得られたMnOx値に基づいて算出されたO元素のモル比率と、Sの存在状態をSO4 2-と仮定してS量に基づいて算出されたO元素のモル比率と、窒素雰囲気中で110℃から500℃まで加熱した際にマンガン酸化物から放出される水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除き、その除いた水分量に基づいて算出されたO元素のモル比率との合計値。zは、マンガン酸化物を110℃で2時間乾燥させた時のマンガン酸化物1モル当たりの重量減少をH2Oのモル比率に換算した値。)で表されるマンガン酸化物であって、
aは、0.010以上0.015以下であり、
bは、0.3以上0.5以下であり、
cは、1.8以上2.3以下であり、
xは、0或いは0より大きく0.015以下であり、
zは、0を超える値であり、
参照電極に酸化水銀(Hg/HgO)、電解液に40%KOHを用いて、20℃で測定される開回路電位が250mV以上であることを特徴とする、アルカリ一次電池の正極活物質用マンガン酸化物。 - 組成式MnSaHbMexOc・zH2O(但し、Me:Ti、Ca、Mg、Lnの一種或いは二種以上の組合せ。bは、窒素雰囲気中で110℃から500℃まで加熱した際にマンガン酸化物から放出された水分量から、110℃で加熱乾燥させた際に放出される水分量を除き、その除いた値に基づいて算出されるH元素のモル比率。cは、MnO2含有量及び全Mn量からMn酸化数を算出して得られたMnOx値に基づいて算出されたO元素のモル比率と、Sの存在状態をSO4 2-と仮定してS量に基づいて算出されたO元素のモル比率と、窒素雰囲気中で110℃から500℃まで加熱した際にマンガン酸化物から放出される水分量から、110℃で加熱乾燥した際に放出される水分量を除き、その除いた水分量に基づいて算出されたO元素のモル比率との合計値。zは、マンガン酸化物を110℃で2時間乾燥させた時のマンガン酸化物1モル当たりの重量減少をH2Oのモル比率に換算した値。)で表されるマンガン酸化物であって、
aは、0.010以上0.015以下であり、
bは、0.3以上0.5以下であり、
cは、1.8以上2.3以下であり、
xは、0或いは0より大きく0.015以下であり、
zは、0を超える値であり、
マンガン酸化物:黒鉛=94:6の割合で黒鉛を混合した時に、参照電極に酸化水銀(Hg/HgO)、電解液に40%KOHを用いて、20℃で測定される開回路電位が240mV以上であることを特徴とする、アルカリ一次電池の正極活物質用マンガン酸化物。 - 請求項1又は2に記載のマンガン酸化物を正極活物質として用いてなる構成を備えた電池。
- 請求項1又は2に記載のマンガン酸化物にオキシ水酸化ニッケルと黒鉛とを混合してなる混合合材を正極活物質として用いてなる構成を備えた電池。
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