JP2006098663A - ディスプレイパネル - Google Patents

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Abstract

【課題】共通のカソードを薄くしてもカソードの電圧を面内で一様にできるようにすること。
【解決手段】ディスプレイパネル1は、1ドットのサブピクセルPにつきトランジスタ21〜23及びキャパシタ24が設けられたトランジスタアレイ基板50を具備する。トランジスタアレイ基板50の表面には、複数の共通配線91が互いに平行となるよう配列されている。また、トランジスタアレイ基板50の表面には、サブピクセル電極20aが各共通配線91に沿うように配列されている。各サブピクセル電極20aに有機EL層20bが積層され、有機EL層20bに対向電極20cが積層され、対向電極20cによって共通配線91が覆われている。また、共通配線91が平坦化膜33及び保護絶縁膜32を挟んでトランジスタ22,23を覆っているので、画素開口率の低下が抑えられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光素子をサブピクセルに用いたディスプレイパネルに関する。
特許文献1に記載されているように、発光素子である有機エレクトロルミネッセンス素子は基板上にアノード、エレクトロルミネッセンス層(以下、EL層という。)、カソードの順に積層した積層構造となっており、アノードとカソードとの間に電圧が印加されるとEL層に正孔及び電子が注入され、EL層で電界発光する。EL層が設けられている基板からEL層の光を出射するように基板及び基板側の電極を光透過性に設計したエレクトロルミネッセンス素子をボトムエミッション型という。一方、EL層が設けられている基板と反対側からEL層の光を出射するように設計したエレクトロルミネッセンス素子をトップエミッション型という。
アクティブマトリクス駆動方式のディスプレイパネルでは1ドットのサブピクセルにつき一又は複数の薄膜トランジスタが設けられており、薄膜トランジスタによって有機エレクトロルミネッセンス素子を発光させる。例えば、特許文献1に記載されたディスプレイパネルにおいては、2つの薄膜トランジスタがサブピクセルごとに設けられている。アクティブマトリクス駆動方式のディスプレイパネルを製造するに際しては、薄膜トランジスタをサブピクセルごとにパターニングしたトランジスタアレイ基板を作製した後にそのトランジスタアレイ基板の表面に有機エレクトロルミネッセンス素子をサブピクセルごとにパターニングする。薄膜トランジスタの後に有機エレクトロルミネッセンス素子をパターニングするのは、薄膜トランジスタをパターニングする際の温度が有機エレクトロルミネッセンス素子の耐熱温度を超えてしまうためである。
サブピクセルごとに薄膜トランジスタがパターニングされているから、複数の有機エレクトロルミネッセンス素子をマトリクス状にパターニングするに際して薄膜トランジスタに接続する下層側の電極(例えば、アノード)をサブピクセルごとに独立するようパターニングする。一方、対向電極(例えば、カソード)は全ての有機エレクトロルミネッセンス素子に共通した共通電極としてべた一面に成膜する。
特開平8−330600号公報
ところで、対向電極を成膜している時に熱的要因・化学的要因でEL層が損傷することがあるため、EL層の損傷を抑えるために対向電極の成膜時間をできる限り短くすることが考えられるが、対向電極の成膜時間を短くすると対向電極が薄くなる。また、有機エレクトロルミネッセンス素子をトップエミッション型にした場合、EL層で発光した光が対向電極の透過中にできる限り減衰しないように、対向電極をできる限り薄く形成することが望まれている。
しかしながら、対向電極の薄膜化に伴い対向電極のシート抵抗が高くなってしまい、対向電極の高抵抗化によって対向電極の電圧が面内で一様にならず電圧の高低差が面内で顕著に表れてしまう。すなわち、対向電極が共通電極としてべた一面に形成されているから、仮に全てのサブピクセル電極に同じ大きさの電圧が印加された場合でも有機エレクトロルミネッセンス素子ごとに発光強度が異なってしまい、面内の発光強度が一様にならない。
そこで、本発明は、上記のような問題点を解決しようとしてなされたものであり、対向電極を薄くしても対向電極の電圧を面内で一様にできるようにすることを目的とする。
以上の課題を解決するために、本発明のディスプレイパネルは、
サブピクセルごとに設けられたトランジスタを絶縁膜によって被覆してなるトランジスタアレイ基板と、
前記絶縁膜を介して前記トランジスタにおけるソース−ドレイン間を被覆した複数の共通配線と、
前記各共通配線の間において前記トランジスタアレイ基板の表面に配列され、サブピクセルごとに設けられた複数のサブピクセル電極と、
前記各サブピクセル電極上に成膜された発光層と、
前記発光層を被覆するとともに前記共通配線に接続された対向電極と、
を備える。
好ましくは、ソース、ドレインの一方がサブピクセル電極に接続された駆動トランジスタが前記トランジスタとしてサブピクセルごとに設けられている。
好ましくは、発光期間に前記駆動トランジスタのソース−ゲート間の電圧を保持する保持トランジスタが前記トランジスタとしてサブピクセルごとに設けられている。
好ましくは、前記駆動トランジスタのソース−ドレイン間に書込電流を流すスイッチトランジスタが前記トランジスタとしてサブピクセルごとに設けられている。
好ましくは、前記ディスプレイパネルが、前記駆動トランジスタのソース、ドレインの他方と接続された給電配線を更に有する。
なお、前記ディスプレイパネルが、前記各共通配線それぞれを被覆し、撥水性・撥油性及び導電性を有し、前記対向電極によって被覆された撥液性導電層を更に備えても良い。また、前記有機EL層が湿式塗布法により成膜されたものとしても良い。また、前記絶縁膜は一層構造であっても良いし、積層構造であっても良い。
本発明によれば、対向電極の下に共通配線が形成されているので、対向電極自体が薄膜化してより高抵抗になった場合でも、対向電極の電圧を面内で一様にすることができる。また、対向電極をより薄膜化することが可能なので、有機EL層を発した光が対向電極の透過中に減衰し難くなる。
また、対向電極の下に形成された共通配線はトランジスタのゲート・ソース・ドレインとは別にパターニングしたものであるから、共通配線を厚くすることができる。そのため、共通配線を低抵抗することができる。従って、対向電極の電圧を面内で一様にすることができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。また、以下の説明において、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence)という用語をELと略称する。
〔ディスプレイパネルの平面レイアウト〕
図1には、アクティブマトリクス駆動方式で動作するカラー表示のディスプレイパネル1の画素3の概略平面図が示されている。このディスプレイパネル1においては、1ピクセルの画素3につき1ドットの赤サブピクセルPrと、1ドットの緑サブピクセルPgと、1ドットの青サブピクセルPbとが水平方向に隣り合って配列されている。このディスプレイパネル1においては、画素3がマトリクス状に配列されている。サブピクセルPr,Pg,Pbそれぞれが垂直方向(列方向)に沿って同色となるよう一列に配列されている。水平方向(行方向)には、赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbの順に繰り返し配列されており、全体としてサブピクセルPr,Pg,Pbがマトリクス状に配列されている。具体的には、サブピクセルPr,Pg,Pbが全体として垂直方向に沿ってmドットだけ配列され(但し、mは2以上の自然数)、水平方向に沿ってnドットだけ配列されている(但し、nは3の整数倍)。以下の説明において、サブピクセルPはこれら赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbの中の任意のサブピクセルを表し、サブピクセルPについての説明は赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbの何れについても適用され、サブピクセルPに下付けした数字の前側がディスプレイパネル1の上からの配列順を表し、後ろ側がディスプレイパネル1の左からの配列順を表す。すなわち、1〜mのうちの任意の自然数をiとし、1からnのうちの任意の自然数をjとした場合に、サブピクセルPi,jは上からi行目、左からj列目である。
また、垂直方向の赤サブピクセルPrの列に沿って信号線Yrが延在し、垂直方向の緑サブピクセルPgの列に沿って信号線Ygが延在し、垂直方向の青サブピクセルPbの列に沿って信号線Ygが延在している。信号線Yrは垂直方向に沿った画素3の一列のうち全ての赤サブピクセルPrに対して信号を供給するものであり、信号線Ygは垂直方向に沿った画素3の一列のうち全ての緑サブピクセルPgに対して信号を供給するものであり、信号線Ybは垂直方向に沿った画素3の一列のうち全ての青サブピクセルPbに対して信号を供給するものである。以下の説明において、信号線Yについての説明は、信号線Yr,Yg,Ybの何れについても適用され、信号線Yに下付けした数字はディスプレイパネル1の左からの配列順を表す。すなわち、信号線Yjは左からj列目である。
垂直方向の赤サブピクセルPrの列、緑サブピクセルPgの列及び青サブピクセルPbの列のそれぞれに沿って共通配線91が延在している。つまり、垂直方向のサブピクセルPの列1列につき一本の共通配線91が垂直方向に延在している。
水平方向の画素3の行1行につき1本の走査線Xと1本の供給線Zと1本の給電配線90が水平方向に延在している。平面視して、供給線Zには給電配線90が重なっている。ここで、走査線Xに下付けした数字がディスプレイパネル1の上からの配列順を表し、供給線Zに下付けした数字がディスプレイパネル1の上から配列順を表す。即ち、走査線Xiは上からi番目であり、供給線Ziは上からi番目である。
サブピクセルPr,Pg,Pbの色は、後述する有機EL素子20(図2等に図示)の発光色によって定まる。ディスプレイパネル1全体に着目して平面視した場合、有機EL素子20のアノードであるサブピクセル電極20a(図2等に図示)がマトリクス状に配列されており、1つのサブピクセル電極20aによって1ドットのサブピクセルPが定まる。ディスプレイパネル1全体としては、各信号線Y1〜Ynの一方側に沿ってサブピクセル電極20aの列が、図7又は図9に示すように配列されており、このような垂直方向のサブピクセル電極20aの列が合計n列ある。サブピクセル電極20aは、水平方向の両側が共通配線91、91に囲まれている。このため、共通配線91の本数は、(n+1)本になる。後で詳述するように、第k列の共通配線91(2≦k≦n+1)が第(k−1)列のサブピクセルPのトランジスタ22,23を平面視して覆っている。
〔サブピクセルの回路構成〕
次に、サブピクセルPr,Pg,Pbの回路構成について図2を用いて説明する。ここで、図2は、i行目j列目のサブピクセルPi,jの等価回路図である。
何れのサブピクセルPr,Pg,Pbも同様に構成されており、1ドットのサブピクセルPにつき、有機EL素子20、Nチャネル型のアモルファスシリコン薄膜トランジスタ(以下単にトランジスタと記述する。)21,22,23及びキャパシタ24が設けられている。以下では、トランジスタ21をスイッチトランジスタ21と称し、トランジスタ22を保持トランジスタ22と称し、トランジスタ23を駆動トランジスタ23と称する。
スイッチトランジスタ21においては、ソース21sが信号線Yに導通し、ドレイン21dが有機EL素子20のサブピクセル電極20a、駆動トランジスタ23のソース23s及びキャパシタ24の上層電極24Bに導通し、ゲート21gが保持トランジスタ22のゲート22g及び走査線Xに導通している。
保持トランジスタ22においては、ソース22sが駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24Aに導通し、ドレイン22dが駆動トランジスタ23のドレイン23d及び供給線Zに導通し、ゲート22gがスイッチトランジスタ21のゲート21g及び走査線Xに導通している。
駆動トランジスタ23においては、ソース23sが有機EL素子20のサブピクセル電極20a、スイッチトランジスタ21のドレイン21d及びキャパシタ24の上層電極24Bに導通し、ドレイン23dが保持トランジスタ22のドレイン22d及び供給線Zに導通し、ゲート23gが保持トランジスタ22のソース22s及びキャパシタ24の下層電極24Aに導通している。
有機EL素子20のカソードとなる対向電極20cは共通配線91に導通している。なお、詳細には後述するが、対向電極20cは、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbに共通した共通電極である。
垂直方向に沿って一列に配列された何れの赤サブピクセルPrにおいても、スイッチトランジスタ21のソース21sが共通の信号線Yrに導通している。垂直方向に沿って一列に配列された何れの緑サブピクセルPgにおいても、スイッチトランジスタ21のソース21sが共通の信号線Ygに導通している。垂直方向に沿って一列に配列された何れの青サブピクセルPbにおいても、スイッチトランジスタ21のソース21sが共通の信号線Ybに導通している。
一方、水平方向に沿って一行に配列された何れのサブピクセルPr,Pg,Pbにおいても、スイッチトランジスタ21のゲート21gが共通の走査線Xに導通し、保持トランジスタ22のゲート22gが共通の走査線Xに導通している。
サブピクセルPの平面レイアウトについて図3を用いて説明する。図3は、サブピクセルPの電極を主に示した平面図である。なお、図3においては、図面を見やすくするために、有機EL素子20のサブピクセル電極20a及び対向電極20cの図示を省略する。
図3に示すように、平面視して、スイッチトランジスタ21が信号線Yに沿うように配置され、保持トランジスタ22が走査線Xに沿うように配置され、駆動トランジスタ23が隣の信号線Yに沿うように配置されている。
ディスプレイパネル1全体を平面視して、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbのスイッチトランジスタ21だけに着目すると、複数のスイッチトランジスタ21がマトリクス状に配列され、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbの保持トランジスタ22だけに着目すると、複数の保持トランジスタ22がマトリクス状に配列され、全てのサブピクセルPr,Pg,Pbの駆動トランジスタ23だけに着目すると、複数の駆動トランジスタ23がマトリクス状に配列されている。
垂直方向に沿った赤サブピクセルPrの列、緑サブピクセルPgの列、青サブピクセルPbの列それぞれにおいて、垂直方向に沿って配列された複数の保持トランジスタ22が共通の共通配線91によって覆われている。また、垂直方向に沿った赤サブピクセルPrの列、緑サブピクセルPgの列、青サブピクセルPbの列それぞれにおいて、垂直方向に沿って配列された複数の駆動トランジスタ23が共通の共通配線91によって覆われている。なお、保持トランジスタ22の全体が共通配線91に覆われていても良いし、共通配線91の幅が狭くなることで保持トランジスタ22の一部が共通配線91に覆われていても良い。
〔ディスプレイパネルの層構造〕
ディスプレイパネル1の層構造について図4〜図6を用いて説明する。ここで、図4は、図3に示された切断線IV−IVに沿った面の矢視断面図であり、図5は、図3に示された切断線V−Vに沿った面の矢視断面図であり、図6は、図3に示された切断線VI−VIに沿った面の矢視断面図である。なお、図3では、1ドットのサブピクセルPを図示するが、図4〜図6では、水平方向に隣り合う2ドットのサブピクセルPを図示する。
このディスプレイパネル1は、光透過性を有する絶縁基板2に対して種々の層を積層したものである。絶縁基板2は可撓性のシート状に設けられているか、又は剛性の板状に設けられている。
トランジスタ21〜23の層構造について説明する。図4に示すように、スイッチトランジスタ21は、絶縁基板2上に形成されたゲート21gと、ゲート21g上に形成されたゲート絶縁膜31を挟んでゲート21gに対向した半導体膜21cと、半導体膜21cの中央部上に形成されたチャネル保護膜21pと、半導体膜21cの両端部上において互いに離間するよう形成され、チャネル保護膜21pに一部重なった不純物半導体膜21a,21bと、不純物半導体膜21a上に形成されたドレイン21dと、不純物半導体膜21b上に形成されたソース21sと、から構成されている。なお、ドレイン21d及びソース21sは一層構造であっても良いし、二層以上の積層構造であっても良い。
駆動トランジスタ23は、絶縁基板2上に形成されたゲート23gと、ゲート23g上に形成されたゲート絶縁膜31を挟んでゲート23gに対向した半導体膜23cと、半導体膜23cの中央部上に形成されたチャネル保護膜23pと、半導体膜23cの両端部上において互いに離間するよう形成され、チャネル保護膜23pに一部重なった不純物半導体膜23a,23bと、不純物半導体膜23a上に形成されたドレイン23dと、不純物半導体膜23b上に形成されたソース23sと、から構成されている。図3に示すように平面視した場合、駆動トランジスタ23が櫛歯状に設けられていることで、駆動トランジスタ23のチャネル幅が広くなっている。ドレイン23d及びソース23sは一層構造であっても良いし、二層以上の積層構造であっても良い。
チャネル長方向に平行な面の保持トランジスタ22の断面図については省略するが、チャネル幅方向に平行な図5の断面図においては、保持トランジスタ22のゲート22g、半導体膜22c及びチャネル保護膜23pが示されている。保持トランジスタ22は、駆動トランジスタ23と同様の層構造となっている。また、何れのサブピクセルPr,Pg,Pbでも、スイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23が同様の層構造になっている。
次に、キャパシタ24の層構造について説明する。図4に示すように、キャパシタ24は、絶縁基板2上に形成された下層電極24Aと、ゲート絶縁膜31を挟んで下層電極24Aに対向した上層電極24Bと、から構成されている。何れのサブピクセルPr,Pg,Pbでもキャパシタ24は同様の層構造になっている。
次に、図4〜図6を用いて、トランジスタ21〜23及びキャパシタ24の各層と信号線Y、走査線X及び供給線Zとの関係について説明する。
全てのサブピクセルPのスイッチトランジスタ21のゲート21g、保持トランジスタ22のゲート22g、駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24A並びに全ての信号線Yは、絶縁基板2上にべた一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法・エッチング法によってパターニングすることで形成されたものである。以下では、スイッチトランジスタ21のゲート21g、保持トランジスタ22のゲート22g、駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24A並びに信号線Yの元となる導電性膜をゲートレイヤーという。
ゲート絶縁膜31は、全てのサブピクセルPのスイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22、駆動トランジスタ23及びキャパシタ24に共通した膜であり、面内にべた一面に成膜されている。従って、ゲート絶縁膜31は、スイッチトランジスタ21のゲート21g、保持トランジスタ22のゲート22g、駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24A並びに信号線Yを被覆している。
全てのサブピクセルPのスイッチトランジスタ21のドレイン21d・ソース21s、保持トランジスタ22のドレイン22d・ソース22s、駆動トランジスタ23のドレイン23d・ソース23s及びキャパシタ24の上層電極24B並びに全ての走査線X及び供給線Zは、ゲート絶縁膜31上にべた一面に成膜された導電性膜をフォトリソグラフィー法・エッチング法によってパターニングすることで形成されたものである。以下では、スイッチトランジスタ21のドレイン21d・ソース21s、保持トランジスタ22のドレイン22d・ソース22s、駆動トランジスタ23のドレイン23d・ソース23s及びキャパシタ24の上層電極24B並びに走査線X及び供給線Zの元となる導電性膜をドレインレイヤーという。
図1、図3に示すように、1ドットのサブピクセルPにつき1つのコンタクトホール92がゲート絶縁膜31に形成され、スイッチトランジスタ21のゲート21g及び保持トランジスタ22のゲート22gがコンタクトホール92を介して走査線Xに導通している。1ドットのサブピクセルPにつき1つのコンタクトホール94がゲート絶縁膜31に形成され、スイッチトランジスタ21のソース21sがコンタクトホール94を介して信号線Yに導通している。1ドットのサブピクセルPにつき1つのコンタクトホール93がゲート絶縁膜31に形成され、保持トランジスタ22のソース22sが駆動トランジスタ23のゲート23g及びキャパシタ24の下層電極24Aに導通している。
図4〜図6に示すように、全てのサブピクセルPのスイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23並びに全ての走査線X及び供給線Zは、べた一面に成膜された窒化シリコン又は酸化シリコン等の保護絶縁膜32によって被覆されている。なお、保護絶縁膜32は、供給線Zに重なる箇所で矩形状に分断されている。
保護絶縁膜32には平坦化膜33が積層されており、スイッチトランジスタ21、保持トランジスタ22、駆動トランジスタ23、走査線X及び供給線Zによる凹凸が平坦化膜33によって解消されている。つまり、平坦化膜33の表面が平坦となっている。平坦化膜33は、ポリイミド等の感光性絶縁樹脂を硬化させたものであり、絶縁性を有する。この平坦化膜33は、供給線Zに重なる箇所で矩形状に分断されている。絶縁基板2から平坦化膜33までの積層構造をトランジスタアレイ基板50という。本実施形態では、トランジスタアレイ基板50の表層は保護絶縁膜32及び平坦化膜33からなる積層型絶縁膜となっている。平坦化膜33を設けずに、保護絶縁膜32をトランジスタアレイ基板50の表層としても良いし、保護絶縁膜32を設けずに、平坦化膜33をトランジスタアレイ基板50の表層としても良いし、保護絶縁膜32及び平坦化膜33の上層に更に別の絶縁膜を成膜しても良い。
このディスプレイパネル1をボトムエミッション型として用いる場合、すなわち、絶縁基板2を表示面として用いる場合には、ゲート絶縁膜31、保護絶縁膜32及び平坦化膜33には透明な材料を用いる。
保護絶縁膜32及び平坦化膜33の供給線Zに重なる箇所には、水平方向に沿って長尺な溝が凹設され、これら溝によって保護絶縁膜32及び平坦化膜33が矩形状に分断されている。溝には給電配線90がそれぞれ埋設されており、溝内において給電配線90が供給線Zの延在方向に沿って積層されている。以上により、給電配線90が供給線Zにそれぞれ導通している。このため、給電配線90はサブピクセル電極20aよりも下層に位置している。
給電配線90は供給線Zを下地として電解メッキ法により形成されたものであるので、供給線Zよりも十分に厚い。給電配線90は、銅、アルミ、金、ニッケルのうちの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
平坦化膜33の表面、即ちトランジスタアレイ基板50の表面上には、複数のサブピクセル電極20aがマトリクス状に配列されている。これらサブピクセル電極20aは、平坦化膜33上にべた一面に成膜された透明導電性膜をフォトリソグラフィー法・エッチング法によってパターニングしたものである。
サブピクセル電極20aは、有機EL素子20のアノードとして機能する電極である。即ち、サブピクセル電極20aの仕事関数が比較的高く、後述する有機EL層20bへ正孔を効率よく注入するものが好ましい。サブピクセル電極20aは、ディスプレイパネル1がボトムエミッションの場合、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム、酸化インジウム(In23)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)又はカドミウム−錫酸化物(CTO)のいずれかのような透明導電性膜からなる。
このようにディスプレイパネル1をボトムエミッション型として用いる場合、サブピクセル電極20aが可視光に対して透過性を有している。一方、このディスプレイパネル1をトップエミッション型として用いる場合、すなわち、絶縁基板2の反対側を表示面として用いる場合には、サブピクセル電極20aと平坦化膜33との間に、導電性且つ可視光反射性の高い反射膜を成膜するか、サブピクセル電極20a自体を反射性電極とすれば良い。
なお、図6に示すように、サブピクセル電極20aのもととなる透明導電性膜をエッチングすることで、サブピクセル電極20aがパターニングされるが、給電配線90上にも透明導電性膜の一部51が残留する。
図3に示すように、1ドットのサブピクセルPにつき3つのコンタクトホール88が平坦化膜33及び保護絶縁膜32に形成されている。コンタクトホール88を介して、サブピクセル電極20aが、キャパシタ24の上層電極24B、スイッチトランジスタ21のドレイン21d及び駆動トランジスタ23のソース23sに導通している。
図4〜図6に示すように、平坦化膜33の表面、即ちトランジスタアレイ基板50の表面上には、窒化シリコン、酸化シリコン、その他の絶縁材からなるメッシュ状の絶縁膜52がパターニングされている。具体的には、絶縁膜52は、サブピクセル電極20aの間を埋めるようメッシュ状(格子状)にパターニングされている。サブピクセル電極20aの一部の外周部が絶縁膜52によって覆われているが、サブピクセル電極20aの大部分(中央部)は絶縁膜52によって覆われていない。透明導電性膜の残留した部分51及び給電配線90は、絶縁膜52によって被覆されている。
水平方向に隣り合うサブピクセル電極20aの間であって絶縁膜52上には、共通配線91が積層されている。共通配線91は、水平方向に隣り合うサブピクセル電極20aの間において垂直方向に延在しており、サブピクセル電極20aは、隣り合う共通配線91の間で共通配線91に沿って配列されている。共通配線91は、メッキ法により形成されたものであるので、対向電極20cやトランジスタ21〜23の各電極よりも十分に厚い。このため有機EL素子20の有機EL層20bからの発光を十分に遮光する。上述したように、保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23の上方に共通配線91が位置し、共通配線91が保護絶縁膜32、平坦化膜33及び絶縁膜52を挟んで保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23を被覆している。つまり、平面視して、共通配線91の縁よりも内側に保持トランジスタ22及び駆動トランジスタ23が配置されている。
共通配線91の表面には、撥水性・撥油性を有した撥液性導電層55が成膜されている。撥液性導電層55は、次の化学式(1)に示されたトリアジルトリチオールのチオール基(−SH)の水素原子(H)が還元離脱し、硫黄原子(S)が共通配線91の表面に酸化吸着したものである。
Figure 2006098663
撥液性導電層55は単分子層である。つまり、撥液性導電層55は、トリアジルトリチオール分子が共通配線91の表面に規則正しく並んだ分子一層からなる膜であるから、非常に低抵抗であって導電性を有する。なお、撥水性・撥油性を顕著にするためにトリアジルトリチオールに代えて、トリアジルトリチオールの1又は2のチオール基がフッ化アルキル基に置換されたものでも良い。
サブピクセル電極20a上には、有機EL素子20の有機EL層20bが成膜されている。有機EL層20bは広義の発光層であり、有機EL層20bには、有機化合物である発光材料(蛍光体)が含有されている。有機EL層20bは、サブピクセル電極20aから順に正孔輸送層、狭義の発光層の順に積層した二層構造である。正孔輸送層は、導電性高分子であるPEDOT(ポリチオフェン)及びドーパントであるPSS(ポリスチレンスルホン酸)からなり、狭義の発光層は、ポリフルオレン系発光材料からなる。
赤サブピクセルPrの場合には、有機EL層20bが赤色に発光し、緑サブピクセルPgの場合には、有機EL層20bが緑色に発光し、青サブピクセルPbの場合には、有機EL層20bが青色に発光する。
有機EL層20bはサブピクセル電極20aごとに独立して設けられ、平面視した場合、複数の有機EL層20bがマトリクス状に配列されている。なお、赤サブピクセルPrが垂直方向に沿って一列に配列されているので、垂直方向に沿って一列に配列された複数のサブピクセル電極20aが、垂直方向に沿って帯状に長尺な共通の赤色発光の有機EL層20bによって被覆されていても良い。隣りにおいて垂直方向に配列された複数のサブピクセル電極20aが、垂直方向に沿って帯状に長尺な共通の緑色発光の有機EL層20bによって被覆されていても良いし、反対隣りにおいて垂直方向に配列された複数のサブピクセル電極20aが垂直方向に沿って帯状に長尺な共通の青色発光の有機EL層20bによって被覆されていても良い。
有機EL層20bは、撥液性導電層55の形成後に湿式塗布法(例えば、インクジェット法)によって成膜される。この場合、有機EL層20bとなる有機化合物を含有する有機化合物含有液をサブピクセル電極20aに塗布するが、塗布時におけるの有機化合物含有液の液面は、絶縁膜52の頭頂部よりも高い。しかし水平方向に隣り合うサブピクセル電極20a間には、頭頂部が絶縁膜52の頭頂部よりも十分高い共通配線91が設けられているので、有機化合物含有液が共通配線91を乗り越えて隣のサブピクセル電極20aに漏れることがない。従って、有機EL層20bを湿式塗布法によって色ごとに塗り分けることができる。
更に、撥液性導電層55の撥水性・撥油性によって、サブピクセル電極20aに塗布された有機化合物含有液がサブピクセル電極20aの周囲で厚くならないので、有機EL層20bを均一な膜厚で成膜することができる。
なお、有機EL層20bは、二層構造の他に、サブピクセル電極20aから順に正孔輸送層、狭義の発光層、電子輸送層となる三層構造であっても良いし、狭義の発光層からなる一層構造であっても良いし、これらの層構造において適切な層間に電子或いは正孔の注入層が介在した積層構造であっても良いし、その他の積層構造であっても良い。
有機EL層20b上には、有機EL素子20のカソードとして機能する対向電極20cが成膜されている。対向電極20cは、全てのサブピクセルPに共通して形成された共通電極であり、べた一面に成膜されている。給電配線90が絶縁膜52によって被覆されているから、対向電極20cに対して給電配線90が絶縁されている。一方、共通配線91が撥液性導電層55によって被覆されているから、対向電極20cに対して共通配線91が電気的に導通している。
対向電極20cは、サブピクセル電極20aよりも仕事関数の低い材料で形成されており、例えば、マグネシウム、カルシウム、リチウム、バリウム、インジウム、希土類金属の少なくとも一種を含む単体又は合金で形成されていることが好ましい。また、対向電極20cは、上記各種材料の層が積層された積層構造となっていても良いし、以上の各種材料の層に加えてシート抵抗を低くするために酸化されにくい金属層が堆積した積層構造となっていても良く、具体的には、有機EL層20bと接する界面側に設けられた低仕事関数の高純度のバリウム層と、バリウム層を被覆するように設けられたアルミニウム層との積層構造や、下層にリチウム層、上層にアルミニウム層が設けられた積層構造が挙げられる。またトップエミッション構造の場合、対向電極20cを上述のような低仕事関数の薄膜とその上にITO等の透明導電膜を積層した透明電極としてもよい。
対向電極20c上には封止絶縁膜56が対向電極20c全体を被覆するよう成膜されている。封止絶縁膜56は、対向電極20cの劣化を防止するために設けられている無機膜又は有機膜である。
なお、従来のトップエミッション型構造のディスプレイパネルは、この対向電極20cに相当する対向電極の少なくとも一部を金属酸化物のように抵抗値が高い透明電極を用いることになるが、このような材料は十分に厚くしなければシート抵抗が十分に低くならないので、厚くすることによって必然的に光透過率が下がってしまい、逆に対向電極を薄くすると、大画面になるほど面内で均一の電位になりにくく表示特性が低くなってしまっていた。
しかしながら、本実施形態では、十分な厚さのために低抵抗な複数の共通配線91を設けているので、対向電極20cと合わせて複数の有機EL素子20のカソード電極全体のシート抵抗値を下げ、十分且つ面内で均一に大電流を流すことが可能となる。さらにこのような構造では、共通配線91がカソード電極としてのシート抵抗を下げているので、対向電極20cを薄膜にして透過率を向上したりすることが可能である。
そして、薄膜トランジスタ21〜23の電極のもととなる導電層以外の厚い導電層から給電配線90を形成し、給電配線90をそれぞれ供給線Zに電気的に接続するように設けているので、薄膜トランジスタ21〜23の電極のもととなる導電層のみで形成された供給線Zでの電圧降下による複数の有機EL素子20に後述する書込電流や駆動電流が所定の大きさに達するまでの遅延を防止し、良好に駆動することが可能となる。
〔ディスプレイパネルの駆動方法〕
ディスプレイパネル1を駆動するための構造は、図7のようになっている。走査線X1〜Xmがそれぞれ接続された選択ドライバ111が絶縁基板2の第一の周縁部に配置され、互いに電気的に絶縁された給電配線90,90,…(供給線Z1〜Zm)が接続された給電ドライバ112が絶縁基板2の第一の周縁部と対向する周縁部である第二周縁部に配置されている。
このディスプレイパネル1をアクティブマトリクス方式で駆動するには、次のようになる。すなわち、図8に示すように、走査線X1〜Xmに接続された選択ドライバ111によって、走査線X1から走査線Xmへの順(走査線Xmの次は走査線X1)にハイレベルのシフトパルスを順次出力することにより走査線X1〜Xmを順次選択する。また、選択期間に各給電配線90を介して供給線Z1〜Zmにそれぞれ接続された駆動トランジスタ23に書込電流を流すための書込給電電圧VLを印加し、発光期間に駆動トランジスタ23を介して有機EL素子20に駆動電流を流すための駆動給電電圧VHを印加する給電ドライバ112が各給電配線90に接続されている。この給電ドライバ112によって、選択ドライバ111と同期するよう、供給線Z1から供給線Zmへの順(供給線Zmの次は供給線Z1)にローレベル(有機EL素子20の対向電極の電圧より低レベル)の書込給電電圧VLを順次出力することにより供給線Z1〜Zmを順次選択する。また、選択ドライバ111が各走査線X1〜Xmを選択している時に、データドライバが引抜電流である書込電流(電流信号)を所定の行の駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を介して全信号線Y1〜Ynに流す。なお、対向電極20c及び共通配線91群は引き回し配線95及び配線端子Tcによって外部と接続され、一定のコモン電位Vcom(例えば、接地=0ボルト)に保たれている。
各選択期間において、データドライバ側の電位は、給電配線90,90,…及び供給線Z1〜Zmに出力された書込給電電圧VL以下で且つこの書込給電電圧VLはコモン電位Vcom以下に設定されている。したがってこの時、有機EL素子20から信号線Y1〜Ynに流れることはないので図2に示すように、データドライバによって階調に応じた電流値の書込電流(引抜電流)が矢印Aの通り、信号線Y1〜Ynに流れ、サブピクセルPi,jにおいては給電配線90及び供給線Ziから駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間、スイッチトランジスタ21のソース−ドレイン間を介して信号線Yjに向かった書込電流(引抜電流)が流れる。このように駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を流れる電流の電流値は、データドライバによって一義的に制御され、データドライバは、外部から入力された階調に応じて書込電流(引抜電流)の電流値を設定する。書込電流(引抜電流)が流れている間、i行目のPi,1〜Pi,nの各駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧は、それぞれ信号線Y1〜Ynに流れる書込電流(引抜電流)の電流値、つまり駆動トランジスタ23のVg−Ids特性の経時変化にかかわらず駆動トランジスタ23のドレイン23d−ソース23s間を流れる書込電流(引抜電流)の電流値に見合うように強制的に設定され、この電圧のレベルに従った大きさの電荷がキャパシタ24にチャージされて、書込電流(引抜電流)の電流値が駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧のレベルに変換される。その後の発光期間では、走査線Xiがローレベルになり、スイッチトランジスタ21及び保持トランジスタ22がオフ状態となるが、オフ状態の保持トランジスタ22によってキャパシタ24の電極24A側の電荷が閉じ込められてフローティング状態になり、駆動トランジスタ23のソース23sの電圧が選択期間から発光期間に移行する際に変調しても、駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電位差がそのまま維持される。この発光期間では、供給線Zi及びそれに接続された給電配線90の電位が駆動給電電圧VHとなり、有機EL素子20の対向電極20cの電位Vcomより高くなることによって、供給線Zi及びそれに接続された給電配線90から駆動トランジスタ23を介して有機EL素子20に駆動電流が矢印Bの方向に流れ、有機EL素子20が発光する。駆動電流の電流値は駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧に依存するため、発光期間における駆動電流の電流値は、選択期間における書込電流(引抜電流)の電流値に等しくなる。
一方、ディスプレイパネル1の別の駆動方法で駆動するための構造は、図9に示すようになっている。図9に示すように、走査線X1〜Xmがそれぞれ接続された選択ドライバ111が絶縁基板2の第一の周縁部に配置され、給電配線90,90,……が互いに電気的に接続されるよう給電配線90,90,……と一体的に形成された引き回し配線109が絶縁基板2の第一の周縁部と対向する周縁部である第二周縁部に配置されている。引き回し配線109は、第一周縁部及び第二周縁部と直交する第三の周縁部及び第四の周縁部のそれぞれに位置する端子部109a及び端子部109bの両方からクロック信号が入力されている。
ディスプレイパネル1の別のアクティブマトリクス駆動方法は次のようになる。すなわち、図10に示すように、外部の発振回路が端子部109a及び端子部109bから引き回し配線109を介して給電配線90,90,…及び供給線Z1〜Zmに対してクロック信号を出力する。また、選択ドライバ111によって走査線X1から走査線Xmへの順(走査線Xmの次は走査線X1)にハイレベルのシフトパルスを順次出力することにより走査線X1〜Xmを順次選択するが、選択ドライバ111が走査線X1〜Xmの何れか1つがハイレベルつまりオンレベルのシフトパルスを出力している時には発振回路のクロック信号がローレベルになる。また、選択ドライバ111が各走査線X1〜Xmを選択している時に、データドライバが書込電流である引抜電流(電流信号)を駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を介して全信号線Y1〜Ynに流す。なお、対向電極20c及び給電配線90の一定のコモン電位Vcom(例えば、接地=0ボルト)に保たれている。
走査線Xiの選択期間においては、i行目の走査線Xiにシフトパルスが出力されているから、スイッチトランジスタ21及び保持トランジスタ22がオン状態となる。各選択期間において、データドライバ側の電位は、給電配線90,90,…及び供給線Z1〜Zmに出力されたクロック信号のローレベル以下で且つこのクロック信号のローレベルはコモン電位Vcom以下に設定されている。したがってこの時、有機EL素子20から信号線Y1〜Ynに流れることはないので図2に示すように、データドライバによって階調に応じた電流値の書込電流(引抜電流)が矢印Aの通り、信号線Y1〜Ynに流れ、サブピクセルPi,jにおいては給電配線90及び供給線Ziから駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間、スイッチトランジスタ21のソース−ドレイン間を介して信号線Yjに向かった書込電流(引抜電流)が流れる。このように駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を流れる電流の電流値は、データドライバによって一義的に制御され、データドライバは、外部から入力された階調に応じて書込電流(引抜電流)の電流値を設定する。書込電流(引抜電流)が流れている間、i行目のPi,1〜Pi,nの各駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧は、それぞれ信号線Y1〜Ynに流れる書込電流(引抜電流)の電流値、つまり駆動トランジスタ23のVg−Ids特性の経時変化にかかわらず駆動トランジスタ23のドレイン23d−ソース23s間を流れる書込電流(引抜電流)の電流値に見合うように強制的に設定され、この電圧のレベルに従った大きさの電荷がキャパシタ24にチャージされて、書込電流(引抜電流)の電流値が駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧のレベルに変換される。その後の発光期間では、走査線Xiがローレベルになり、スイッチトランジスタ21及び保持トランジスタ22がオフ状態となるが、オフ状態の保持トランジスタ22によってキャパシタ24の電極24A側の電荷が閉じ込められてフローティング状態になり、駆動トランジスタ23のソース23sの電圧が選択期間から発光期間に移行する際に変調しても、駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電位差がそのまま維持される。この発光期間のうち、いずれの行の選択期間でもない間、つまり、クロック信号が給電配線90及び供給線Ziの電位が有機EL素子20の対向電極20c及び給電配線90の電位Vcomより高いハイレベルの間、より高電位の給電配線90及び供給線Ziから駆動トランジスタ23のソース−ドレイン間を介して有機EL素子20に駆動電流が矢印Bの方向に流れ、有機EL素子20が発光する。駆動電流の電流値は駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間の電圧に依存するため、発光期間における駆動電流の電流値は、選択期間における書込電流(引抜電流)の電流値に等しくなる。また発光期間において、いずれかの行の選択期間の間、つまりクロック信号がローレベルである時は、給電配線90及び供給線Ziの電位が対向電極20c及び給電配線90の電位Vcom以下であるので、有機EL素子20に駆動電流は流れず発光しない。
何れの駆動方法においても、スイッチトランジスタ21は、駆動トランジスタ23のソース23sと信号線Yとの間の電流のオン(選択期間)・オフ(発光期間)を行うものとして機能する。また、保持トランジスタ22は、選択期間に駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間に電流が流れることができる状態にし、発光期間に駆動トランジスタ23のゲート23g−ソース23s間に印加した電圧を保持するものとして機能する。そして、駆動トランジスタ23は、発光期間中に供給線Z及び給電配線90がハイレベルになった時に、階調に応じた大きさの電流を有機EL素子20に流して有機EL素子20を駆動するものとして機能する。
以上のように、給電配線90に流れる電流の大きさは一列の供給線Ziに接続されたn個の有機EL素子20に流れる駆動電流の大きさの和になるので、VGA以上の画素数で動画駆動するための選択期間に設定した場合、給電配線90の寄生容量が増大してしまい、薄膜トランジスタのゲート電極又はソース、ドレイン電極のような薄膜からなる配線では一行の供給線Zに接続されているn個の有機EL素子20に書込電流を流すには抵抗が高すぎるが、本実施形態では、サブピクセルP1,1〜Pm,nの薄膜トランジスタのゲート電極やソース、ドレイン電極とは異なる導電層によって給電配線90を各供給線Zにそれぞれ接続するように構成しているので給電配線90による電圧降下は小さくなり、短い選択期間であっても遅延なく十分に書込電流を流すことができる。そして、給電配線90を厚くすることで給電配線90を低抵抗化したので、給電配線90の幅を狭くすることができ且つ給電配線90を供給線Zに重ね合わせているため、ボトムエミッションの場合、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
同様に、発光期間に共通配線91に流れる電流の大きさは、選択期間に給電配線90に流れる書込電流の大きさと同じであるが、サブピクセルP1,1〜Pm,nの薄膜トランジスタのゲート電極やソース、ドレイン電極とは異なる導電層を共通配線91に用いているので共通配線91を十分な厚さにすることができるため、共通配線91を低抵抗化することができ、さらに対向電極20c自体が薄膜化してより高抵抗になっても対向電極20cの電圧を面内で一様にすることができる。従って、仮に全てのサブピクセル電極20aに同じ電圧を印加した場合でも、どの有機EL層20bの発光強度もほぼ等しくなり、面内の発光強度を一様することができる。また、ディスプレイパネル1をトップエミッション型として用いた場合、対向電極20cをより薄膜化ことが可能なので、有機EL層20bを発した光が対向電極20cを透過中に減衰し難くなる。更に、平面視して水平方向に隣り合うサブピクセル電極20aの間に共通配線91が設けられているため、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
更に、駆動トランジスタ23、保持トランジスタ22が遮光性を有するが、平面視して駆動トランジスタ23、保持トランジスタ22が遮光性の共通配線91に重なっているため、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
そして、第k列の共通配線91(2≦k≦n+1)が第(k−1)列のサブピクセルPのトランジスタ22,23を平面視して覆っているので、つまり、トランジスタ22、23のソース−ドレイン間に有機EL層20bが平面視して重ならないようにしたので、有機EL層20bからの光が、トランジスタ22、23のソース−ドレイン間からトランジスタ22、23の半導体膜22c、23cに入射されにくくなり、トランジスタ22c、23cの光入射によるトランジスタの変調を抑えることができる。特に駆動トランジスタ23は、有機EL素子20に駆動電流を流すトランジスタであるため、光入射によって正確な輝度階調が阻害される恐れがあるので、本実施形態における構造によって正確な輝度階調を表現することができる。
〔給電配線及び共通配線の幅、断面積及び抵抗率〕
以下、ディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91の幅、断面積及び抵抗率を定義する。ここで、ディスプレイパネル1のサブピクセル数をWXGA(768×1366)としたときに、給電配線90及び共通配線91の望ましい幅、断面積を定義する。図11は、各サブピクセルの駆動トランジスタ23及び有機EL素子20の電流−電圧特性を示すグラフである。
図11において、縦軸は1つの駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間を流れる書込電流の大きさ又は1つの有機EL素子20のアノード−カソード間を流れる駆動電流の大きさを表し、横軸は1つの駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間の電圧(同時に1つの駆動トランジスタ23のゲート23g−ドレイン23d間の電圧)のレベルを表す。図中、実線Ids maxは、最高輝度階調(最も明るい表示)のときの書込電流及び駆動電流であり、一点鎖線Ids midは、最高輝度階調と最低輝度階調との間の中間輝度階調のときの書込電流及び駆動電流であり、二点鎖線Vpoは駆動トランジスタ23の不飽和領域(線形領域)と飽和領域との閾値つまりピンチオフ電圧であり、三点鎖線Vdsは駆動トランジスタ23のソース23s−ドレイン23d間を流れる書込電流であり、破線Ielは有機EL素子20のアノード−カソード間を流れる駆動電流である。
ここで電圧VP1は、最高輝度階調時の駆動トランジスタ23のピンチオフ電圧であり、電圧VP2は、駆動トランジスタ23が最高輝度階調の書込電流が流れるときのソース−ドレイン間電圧であり、電圧VELmax(電圧VP4−電圧VP3)は有機EL素子20が最高輝度階調の書込電流と大きさが等しい最高輝度階調の駆動電流で発光するときのアノード−カソード間の電圧である。電圧VP2’は、駆動トランジスタ23が中間輝度階調の書込電流が流れるときのソース−ドレイン間電圧であり、電圧(電圧VP4’−電圧VP3’)は有機EL素子20が中間輝度階調の書込電流と大きさが等しい中間輝度階調の駆動電流で発光するときのアノード−カソード間電圧である。
駆動トランジスタ23及び有機EL素子20はいずれも飽和領域で駆動させるために、(給電配線90の発光期間時の電圧VH)から(共通配線91の発光期間時の電圧Vcom)を減じた値VXは下記の式(1)を満たす。
VX=Vpo+Vth+Vm+VEL ……(1)
Vth(最高輝度時の場合VP2−VP1に等しい)は駆動トランジスタ23の閾値電圧であり、VEL(最高輝度時の場合VELmaxに等しい)は有機EL素子20のアノード−カソード間電圧であり、Vmは、階調に応じて変位する許容電圧である。
図から明らかなように、電圧VXのうち、輝度階調が高くなる程、トランジスタ23のソース−ドレイン間に要する電圧(Vpo+Vth)が高くなるとともに有機EL素子20のアノード−カソード間に要する電圧VELが高くなる。したがって、許容電圧Vmは、輝度階調が高くなるほど低くなり、最小許容電圧VmminはVP3−VP2となる。
有機EL素子20は低分子EL材料及び高分子EL材料にかかわらず一般的に経時劣化し、高抵抗化する。10000時間後のアノード−カソード間電圧は初期時の1.4倍程度になることが確認されている。つまり、電圧VELは、同じ輝度階調時でも時間が経つ程高くなる。このため、駆動初期時の許容電圧Vmが高い程長期間にわたって動作が安定するので、電圧VELが8V以上、より望ましくは13V以上となるように電圧VXを設定している。
この許容電圧Vmには、有機EL素子20の高抵抗化ばかりでなく、さらに、給電配線90による電圧降下の分も含まれる。
給電配線90の配線抵抗のために電圧降下が大きいとディスプレイパネル1の消費電力が著しく増大してしまうため、給電配線90の電圧降下は1V以下に設定することが特に好ましい。
行方向の一つのサブピクセルPの長さであるサブピクセル幅Wpと、行方向のサブピクセル数(1366)と、を考慮した結果、ディスプレイパネル1のパネルサイズが32インチ、40インチの場合、給電配線90の全長はそれぞれ706.7mm、895.2mmとなる。ここで、給電配線90の線幅WL及び共通配線91の線幅WLが広くなると、構造上有機EL層20bの面積が小さくなり、さらに他の配線との重なり寄生容量を発生してさらなる電圧降下をもたらすため、給電配線90の幅WL及び共通配線91の線幅WLはそれぞれサブピクセル幅Wpの5分の1以下に抑えることが望ましい。このようなことを考慮すると、ディスプレイパネル1のパネルサイズが32インチ、40インチの場合、幅WLはそれぞれ34μm以内、44μm以内となる。また給電配線90及び共通配線91の最大膜厚Hmaxはアスペクト比を考慮すると、トランジスタ21〜23の最小加工寸法4μmの1.5倍、つまり6μmとなる。したがって給電配線90及び共通配線91の最大断面積Smaxは32インチ、40インチで、それぞれ204μm2、264μm2となる。
このような32インチのディスプレイパネル1について、最大電流が流れるように全点灯したときの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの最大電圧降下を1V以下にするためには図12に示すように、給電配線90及び共通配線91のそれぞれの配線抵抗率ρ/断面積Sは4.7Ω/cm以下に設定される必要がある。図13に32インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積と電流密度の相関関係を表す。なお、上述した給電配線90及び共通配線91の最大断面積Smax時に許容される抵抗率は、32インチで9.6μΩcm、40インチで6.4μΩcmとなる。
そして、40インチのディスプレイパネル1について、最大電流が流れるように全点灯したときの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの最大電圧降下を1V以下にするためには図14に示すように、給電配線90及び共通配線91のそれぞれの配線抵抗率ρ/断面積Sは2.4Ω/cm以下に設定される必要がある。図15に40インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積と電流密度の相関関係を表す。
給電配線90及び共通配線91の故障により動作しなくなる故障寿命MTFは、下記の式(2)を満たす。
MTF=A exp(Ea/KbT)/ρJ2 ……(2)
Eaは活性化エネルギー、KbT=8.617×10―5eV、ρは給電配線90及び共通配線91の抵抗率、Jは電流密度である。
給電配線90及び共通配線91の故障寿命MTFは抵抗率の増大やエレクトロマイグレーションに律速する。給電配線90及び共通配線91をAl系(Al単体或いはAlTiやAlNd等の合金)に設定し、MTFが10000時間、85℃の動作温度で試算すると、電流密度Jは2.1×104A/cm2以下にする必要がある。同様に給電配線90及び共通配線91をCuに設定すると、2.8×106A/cm2以下にする必要がある。なおAl合金内のAl以外の材料はAlよりも低い抵抗率であることを前提としている。
これらのことを考慮して、32インチのディスプレイパネル1では、全点灯状態で10000時間に給電配線90及び共通配線91が故障しないようなAl系の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図12から、57μm2以上必要になり、同様にCuの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図13から、0.43μm2以上必要になる。
そして40インチのディスプレイパネル1では、全点灯状態で10000時間に給電配線90及び共通配線91が故障しないようなAl系の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図14から、92μm2以上必要になり、同様にCuの給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積Sは、図15から、0.69μm2以上必要になる。
Al系の給電配線90及び共通配線91では、Al系の抵抗率が4.00μΩcmとすると、32インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが4.7Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは85.1μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは34μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは2.50μmとなる。
またAl系の給電配線90及び共通配線91の40インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが2.4Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは167μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは44μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは3.80μmとなる。
Cuの給電配線90及び共通配線91では、Cuの抵抗率が2.10μΩcmとすると、32インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが4.7Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは44.7μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは34μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは1.31μmとなる。
またCuの給電配線90及び共通配線91の40インチのディスプレイパネル1では上述のように配線抵抗率ρ/断面積Sが2.4Ω/cm以下なので、最小断面積Sminは87.5μm2となる。このとき上述のように給電配線90及び共通配線91の配線幅WLは44μm以内なので給電配線90及び共通配線91の最小膜厚Hminは1.99μmとなる。
以上のことから、ディスプレイパネル1を正常且つ消費電力を低く動作させるには、給電配線90及び共通配線91での電圧降下を1V以下にした方が好ましく、このような条件にするには、給電配線90及び共通配線91がAl系の32インチのパネルでは、膜厚Hが2.50μm〜6μm、幅WLが14.1μm〜34.0μm、抵抗率が4.0μΩcm〜9.6μΩcmとなり、給電配線90及び共通配線91がAl系の40インチのパネルでは、給電配線90及び共通配線91がAl系の場合、膜厚Hが3.80μm〜6μm、幅WLが27.8μm〜44.0μm、抵抗率が4.0μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
総じてAl系の給電配線90及び共通配線91の場合、膜厚Hが2.50μm〜6μm、幅WLが14.1μm〜44μm、抵抗率が4.0μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
同様に、給電配線90及び共通配線91がCuの32インチのパネルでは、膜厚Hが1.31μm〜6μm、幅WLが7.45μm〜34μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなり、給電配線90及び共通配線91がCuの40インチのパネルでは、給電配線90及び共通配線91がCu系の場合、膜厚Hが1.99μm〜6μm、幅WLが14.6μm〜44.0μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
総じてCuの給電配線90及び共通配線91の場合、膜厚Hが1.31μm〜6μm、幅WLが7.45μm〜44μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
したがって、給電配線90及び共通配線91としてAl系材料又はCuを適用した場合、ディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91は、膜厚Hが1.31μm〜6μm、幅WLが7.45μm〜44μm、抵抗率が2.1μΩcm〜9.6μΩcmとなる。
以上のように、対向電極20cの表面に設けられた共通配線91がトランジスタ21〜23の電極とは別層で形成されているから、共通配線91を厚膜にすることができ、共通配線91を低抵抗化することができる。そして、低抵抗な共通配線91が対向電極20cに導通しているから、対向電極20c自体が薄膜化してより高抵抗になっても対向電極20cの電圧を面内で一様にすることができる。従って、仮に全てのサブピクセル電極20aに同じ電位を印加した場合でも、どの有機EL層20bの発光強度もほぼ等しくなり、面内の発光強度を一様することができる。
また、ディスプレイパネル1をトップエミッション型として用いた場合、対向電極20cをより薄膜化することが可能なので、有機EL層20bを発した光が対向電極20cを透過中に減衰し難くなる。更に、平面視して水平方向に隣り合うサブピクセル電極20aの間に共通配線91が設けられているため、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
また、平坦化膜33及び保護絶縁膜32の溝に埋設された給電配線90がトランジスタ21〜23の電極とは別層で形成されているから、給電配線90を厚膜にすることができ、給電配線90を低抵抗化することができる。低抵抗な給電配線90が薄膜の供給線Zにそれぞれ積層されているから、供給線Zの電圧降下を抑えることができ、更には供給線Z及び給電配線90の信号遅延を抑えることができる。例えば、仮に給電配線90がない場合にディスプレイパネル1を大画面化したときには、供給線Zの電圧降下によって面内の発光強度のムラが発生したり、発光しない有機EL素子20が存在したりするおそれがある。しかしながら、本実施形態では、低抵抗な給電配線90が供給線Zに導通しているから、面内の発光強度のムラを抑えることができ、更に発光しない有機EL素子20をなくすことができる。
更に、給電配線90を厚くすることで給電配線90を低抵抗化したので、給電配線90の幅を狭くすることができる。更に、平面視して垂直方向に隣り合うサブピクセル電極20aの間に幅の狭い給電配線90が設けられているから、画素開口率の減少を最小限に抑えることができる。
また、共通配線91の表面に撥液性導電層55が成膜されているから、有機EL層20bを湿式塗布法によって色ごとに塗り分けることができる。
〔変形例1〕
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
上記実施形態では、共通配線91によってトランジスタ22,23が覆われていたが、図16〜図21に示されたディスプレイパネル1A示すように、(n+1)本の各共通配線91Aの幅を共通配線91の幅よりも広くすることによって第k列の共通配線91A(2≦k≦n)が第(k−1)列のサブピクセルPのトランジスタ22,23に加えて第k列のサブピクセルPのスイッチトランジスタ21及び第k列の信号線Ykを覆っても良い。また第1列の共通配線91Aは、第1列のサブピクセルPのスイッチトランジスタ21及び第1列の信号線Ykを覆っており、第(n+1)列の共通配線91Aは、第n列のサブピクセルPのトランジスタ22,23を覆っている。このようにすることによって、トランジスタ21〜23のソース−ドレイン間に有機EL層20bが平面視して重ならないようにしたので、有機EL層20bからの光が、トランジスタ21〜23のソース−ドレイン間からトランジスタ21〜23の半導体膜21c〜23cに入射されにくくなり、トランジスタ21〜23の光入射によるトランジスタの変調を抑えることができる。ここで図16は、水平方向に連続する赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbの略平面図であり、図17は、そのうちの1ドットのサブピクセルPを図示し、図18は、図17に示された切断線XVIII−XVIIIに沿った面の矢視断面図であり、図19は、図17に示された切断線XIX−XIXに沿った面の矢視断面図である。また図20は、本変形例におけるディスプレイパネル1の配線構造を示した略平面図であり、図21は、本変形例における他のディスプレイパネル1の配線構造を示した略平面図である。なお、図20のディスプレイパネル1は、図の第一のディスプレイパネル1と同様に図8に示す波形チャートによって動作され、図21のディスプレイパネル1は、図の第二のディスプレイパネル1と同様に図10に示す波形チャートによって動作される。これにより、共通配線91Aの縁よりも内側に隣りのトランジスタ21〜23及び隣の信号線Yが配置される。なお、ディスプレイパネル1Aについては、上記実施形態のディスプレイパネル1と同様の構成要素に同様の符号を付してその説明を省略する。
〔変形例2〕
上記各実施形態では、トランジスタ21〜23がNチャネル型の電界効果トランジスタとして説明を行った。トランジスタ21〜23がPチャネル型の電界効果トランジスタであっても良い。その場合、図2の回路構成では、トランジスタ21〜23のソース21s,22s,23sとトランジスタ21〜23のドレイン21d,22d,23dの関係が逆になる。例えば、駆動トランジスタ23がPチャネル型の電界効果トランジスタの場合には、駆動トランジスタ23のドレイン23dが有機EL素子20のサブピクセル電極20aに導通し、ソース23sが供給線Zに導通する。
〔変形例3〕
また、上記各実施形態では、1ドットのサブピクセルPにつき3つのトランジスタ21〜23が設けられているが、1ドットのサブピクセルPにつき1又は複数のトランジスタが設けられ、これらトランジスタを用いてアクティブ駆動することができるディスプレイパネルであれば、本発明を適用することができる。
〔変形例4〕
また、上記各実施形態では、信号線Yがゲートレイヤーからパターニングされたものであるが、信号線Yがドレインレイヤーからパターニングされたものでも良い。この場合、走査線X及び供給線Zがゲートレイヤーからパターニングされたものとなり、信号線Yが走査線X及び供給線Zよりも上層になる。
〔変形例5〕
また、上記実施形態では、垂直方向の列毎に、赤サブピクセルPrの有機EL層20b、緑サブピクセルPgの有機EL層20b、青サブピクセルPbの有機EL層20bの順に繰り返し配列したが、必ずしもこの順に配列しなくてもよい。
〔変形例6〕
また、上記各実施形態では、対向電極20cを有機EL素子20のカソードとし、サブピクセル電極20aを有機EL素子20のアノードとしたが、対向電極20cを有機EL素子20のアノードとし、サブピクセル電極20aを有機EL素子20のカソードとしてもよい。
〔変形例7〕
また上記各実施形態では、保持トランジスタ22のドレイン22dは、供給線Zに接続されていたが、これに限らず、保持トランジスタ22のドレイン22dは駆動トランジスタ23のドレイン23dと導通せずに走査線Xに接続されていてもよい。
なお、整合性のある限り、上記変形例を複数組み合わせても差し支えない。
ディスプレイパネル1の画素3を示した平面図である。 ディスプレイパネル1のサブピクセルPの等価回路図である。 サブピクセルPの電極を示した平面図である。 図3に示された切断線IV−IVに沿った断面の矢視断面図である。 図3に示された破断線V−Vに沿った断面の矢視断面図である。 図3に示された破断線VI−VIに沿った断面の矢視断面図である。 ディスプレイパネルの配線構造を示した略平面図である。 図7に示すディスプレイパネル1の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。 他のディスプレイパネルの配線構造を示した略平面図である。 図9に示すディスプレイパネル1の駆動方法を説明するためのタイミングチャートである。 各サブピクセルの駆動トランジスタ23及び有機EL素子20の電流−電圧特性を示すグラフである。 32インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの最大電圧降下と配線抵抗率ρ/断面積Sの相関を示すグラフである。 32インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積と電流密度の相関を示すグラフである。 40インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの最大電圧降下と配線抵抗率ρ/断面積Sの相関を示すグラフである。 40インチのディスプレイパネル1の給電配線90及び共通配線91のそれぞれの断面積と電流密度の相関を示すグラフである。 ディスプレイパネル1の水平方向に連続する赤サブピクセルPr、緑サブピクセルPg、青サブピクセルPbで構成された画素3の略平面図である。 図16のサブピクセルPの電極を示した平面図である。 図17に示された切断線XVIII−XVIIIに沿った面の矢視断面図である。 図17に示された切断線XIX−XIXに沿った面の矢視断面図である。 変形例におけるディスプレイパネルの配線構造を示した略平面図である。 変形例における他のディスプレイパネルの配線構造を示した略平面図である。
符号の説明
1、1A ディスプレイパネル
20a サブピクセル電極
20b 有機EL層
20c 対向電極
21 スイッチトランジスタ
22 保持トランジスタ
23 駆動トランジスタ
50 トランジスタアレイ基板
91、91A 共通配線
Pr 赤サブピクセル
Pg 緑サブピクセル
Pb 青サブピクセル

Claims (5)

  1. サブピクセルごとに設けられたトランジスタを絶縁膜によって被覆してなるトランジスタアレイ基板と、
    前記絶縁膜を介して前記トランジスタにおけるソース−ドレイン間を被覆した複数の共通配線と、
    前記各共通配線の間において前記トランジスタアレイ基板の表面に配列され、サブピクセルごとに設けられた複数のサブピクセル電極と、
    前記各サブピクセル電極上に成膜された発光層と、
    前記発光層を被覆するとともに前記共通配線に接続された対向電極と、
    を備えることを特徴とするディスプレイパネル。
  2. ソース、ドレインの一方がサブピクセル電極に接続された駆動トランジスタを前記トランジスタとしてサブピクセルごとに設けたことを特徴とする請求項1記載のディスプレイパネル。
  3. 発光期間に前記駆動トランジスタのソース−ゲート間の電圧を保持する保持トランジスタを前記トランジスタとしてサブピクセルごとに設けたことを特徴とする請求項2に記載のディスプレイパネル。
  4. 前記駆動トランジスタのソース−ドレイン間に書込電流を流すスイッチトランジスタを前記トランジスタとしてサブピクセルごとに設けたことを特徴とする請求項3に記載のディスプレイパネル。
  5. 前記駆動トランジスタのソース、ドレインの他方と接続された給電配線を更に有することを特徴とする請求項2に記載のディスプレイパネル。
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