従来、この種の熱交換器は、コルゲート加工を応用した直交流型構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
以下、その熱交換器について、図15を参照しながら説明する。
図に示すように、熱交換ブロック101は塩化リチウムなどの吸湿剤を含む親水性高分子で処理された加工紙等の伝熱板102と波形の間隔板103とを貼り合わせたものであり、この熱交換ブロック101を交互に90度ずらしながら複数枚積層して熱交換器104を形成している。
上記構成において、一次気流Aと二次気流Bを流通すると、伝熱板102を介して一次気流Aと二次気流Bの間で熱交換する。
また、この種の熱交換器にはコルゲート加工を応用して対向流型構造にすることにより熱交換効率の向上を図っているものもある(例えば、特許文献2参照)。
以下、その熱交換器について図16、図17、図18および図19を参照しながら説明する。
図16に示すように、波形フィン板105を構成するクラフト紙106に、回転関係にあり、かつ合同の対になる直角三角形の孔107の組を打ち抜く。その後、コルゲート加工によって連続波形に成形して伝熱板108に接着することにより、図17に示すような通風路109を有する長尺の段ボール状の熱交換ブロック110が形成される。図18に示すように、相隣る上下の熱交換ブロック110の直角三角形の孔107が対称になり、かつ通風路109に直交する辺の大部分が重なるように熱交換ブロック110を積層接着することにより、直方体の熱交換素子111を得る。さらに熱交換素子111は通風路109と直交する方向に、通風路109と平行な三角形の孔にかかるまで切り落とすことにより、気流が通風路109を流入および吐出することができる流入口112および吐出口113を形成する。図19の熱交換器114は、通風路109と直交する熱交換素子111の断面にセメント状物質115を塗り、または濃厚な樹脂溶液で塗膜を形成することにより、コルゲートの孔を塞ぐ。
上記構成において、一次気流Aと二次気流Bを熱交換器114の通風路109に流通すると、流入口112および吐出口113近傍では一次気流Aと二次気流Bとが伝熱板108を介して直交するように熱交換し、中央部では一次気流Aと二次気流Bとが伝熱板108を介して対向するように熱交換する構造のために、同等伝熱面積を有する直交または斜交する通風路のみで構成される熱交換器よりも熱交換効率を向上することができる。
また、この種の熱交換器には寒冷地や浴室、温水プールなどの結露しやすい環境においても使用できるように、伝熱板の材質を耐湿化しているものもある(例えば、特許文献3参照)。
以下、その熱交換器の伝熱板について図20を参照しながら説明する。
図に示すように、熱交換器116(図示せず)の伝熱板117は特定透気度を有するように緻密性に形成した不織布などの多孔質基材118の上に非水溶性の親水性高分子119を塗布して複合透湿膜120を成形する。
伝熱板117の材質は多孔質基材118を不織布とし、水蒸気透過膜を非水溶性の親水性高分子119にすることによって耐湿化を図り、結露を繰り返す環境においても熱交換器の形状変化を少なくすることができる。
また、この種の熱交換器には結露しやすい環境においても変形せず、長期にわたり性能が保全され、潜熱交換効率が向上するように伝熱板を複合透湿膜にしたものもある(例えば、特許文献4参照)。
以下、その熱交換器の伝熱板について図21を参照しながら説明する。
図に示すように、非水溶性で通気性の大きい繊維性多孔質シート121と、水蒸気を透過させ得る非水溶性の親水性高分子薄膜122との間に、繊維性多孔質シート121の孔径より小さい孔径の細孔を持つ非水溶性の多孔質膜123を介在させた複合透湿膜124を伝熱板125とし、波形の間隔板126(図示せず)の頂点部に接着剤を塗布して伝熱板125を貼り合わせて熱交換ブロック127(図示せず)を成形する。次に熱交換ブロック127の波形の頂点部に接着剤を塗布して、熱交換ブロック127を交互に90度ずらしながら複数枚積層接着して熱交換器128(図示せず)を形成する。
熱交換器128の伝熱板125は、透湿性気体遮蔽物の主体となる非水溶性の親水性高分子薄膜122の薄膜を多孔質膜123を介して通気度の大きい繊維性多孔質シート121に形成するため、薄膜をピンホールの生成や剥離を回避しつつ十分な薄さにすることができ、気体移行率を小さくすることができると共に、潜熱交換効率を向上することができる。また、伝熱板125は非水溶性の材料で構成されているので、結露を繰り返すような環境においても変形を伴わず、しかも長期にわたり安定した性能を維持することができる。
また、この種の熱交換器には前記熱交換器128の効果に加え、更に量産性と熱交換器の基本的性能を向上するように伝熱板および間隔板を複合膜にしたものもある(例えば、特許文献5参照)。
以下、その熱交換器の熱交換ブロックについて図22を参照しながら説明する。
図に示すように、間隔板129は空気遮蔽性を有する薄膜130を重合した多孔質材131に熱により軟化して接着性を発揮する接着層132を重合した構成とし、伝熱板133は多孔質材131に水蒸気を選択的に透過する非水溶性の親水性高分子薄膜134を重合し、更にこれら多孔質材131及び親水性高分子薄膜134よりも厚い通気性を有する基布135を重合した構成とし、間隔板129と伝熱板133とを接着層132にて結合することにより熱交換ブロック136を成形する。次に熱交換ブロック136の波形の頂点部に接着剤を塗布して、熱交換ブロック136を交互に90度ずらしながら複数枚積層接着して熱交換器137(図示せず)を形成する。
熱交換器137は前記熱交換器128の効果に加え、更に間隔板129と伝熱板133との結合を熱により軟化して接着性を発揮する接着層132により行うため、初期接着力の発現が早いヒートシール加工による製造が可能となり、高速且つ連続的に熱交換ブロック136を接着し得る。また、熱交換ブロック136同士の接着は波形の間隔板129の頂部に接着剤を塗布して行うが、この作業工程において、この接着剤が間隔板129の多孔質材131に進入し易く、この進入した接着剤がアンカー効果を発揮するため、熱交換器137の使用状態では、熱交換ブロック136同士の結合力が強固となり、間隔板129と伝熱板133とが離れづらくする。また、間隔板129の空気遮蔽性を有する薄膜130が気体の外部への移行を阻止するため、空気漏れを防止する。また、多孔質材131は切断性が良いことに加え、熱交換ブロック136同士が強固に接着されるため、熱交換ブロック136を積層した熱交換器137を切断して目的とする寸法の熱交換器を製造することが容易となる。
特公昭47−19990号公報
特許第1257721号公報
特公平4−81115号公報
特許第2639303号公報
特許第3460358号公報
このような従来の熱交換器104では、間隔板103が波形であるためにその板厚によって、伝熱板102にて形成される通風路の有効面積が小さくなり通風抵抗が大きくなるという課題があり、通風抵抗を低減することが要求されている。
また、コルゲート加工を応用した熱交換器104、116、128、137は通風路の形状が直線的で、外形が6面体の直交流型または斜交流型などであり、熱交換器の熱交換効率や圧力損失などの必要性能または必要寸法に応じて、通風路を曲線、S字など様々な形状にすることや熱交換器の外形を八面体や円柱などにすることが困難なため、熱交換器の形状を自在かつ容易に作れないという課題があり、熱交換器の形状を自在かつ容易に作れることが要求されている。
また、熱交換器114はコルゲート加工を応用して対向流型構造にすることにより熱交換効率の向上を図っているが、対向流構造にするために、クラフト紙106に直角三角形の孔107の組を打ち抜く工程や、流入口112および吐出口113を形成するために、熱交換素子111の断面を通風路109と平行な三角形の孔にかかるまで切り落とす工程や、熱交換素子111のコルゲートの孔を塞ぐために、熱交換素子111の断面にセメント状物質115を塗る工程など、加工工程が多く量産性が低いという課題があり、量産性を向上することが要求されている。
また、熱交換器116の伝熱板117は透気度の高い不織布などの多孔質基材118に非水溶性の親水性高分子119の複合透湿膜120を形成しているために、非水溶性の親水性高分子119の膜厚は厚くなり、透湿性能が低下することによって潜熱交換効率が低下する。逆に膜厚を薄くすると、多孔質基材118と非水溶性の親水性高分子119の複合透湿膜120の結合力が低下して、複合透湿膜120は剥離しやすいうえ、ピンホールもできやすく、気流の漏れを起こしやすいなど熱交換器の基本性能が劣化するという課題があり、結露を繰り返すような環境においても、基本性能を保持することが要求されている。
また、熱交換器128は、伝熱板125と波形の間隔板126の頂点部に接着剤を塗布したものとを貼り合わせた熱交換ブロック127から構成されているために、伝熱板125に対する間隔板126の接触面積が多く、伝熱板125は間隔板126に塗布した接着剤により水蒸気が透過できる有効面積が減少する。また熱交換ブロック127の波形の頂点部に接着剤を塗布して、熱交換ブロック127同士を積層接着して熱交換器128を形成するために、水蒸気が透過できる伝熱板125の有効面積は更に減少するので潜熱交換効率が低下するという課題があり、潜熱交換効率を向上することが要求されている。
また、熱交換器137は間隔板129と伝熱板133との結合を熱により軟化して接着性を発揮する接着層132により行うため、初期接着力の発現が早いヒートシール加工による製造が可能となり、熱交換ブロック136は間隔板129の頂点部のみを伝熱板133と結合することができ、前記熱交換器128の熱交換ブロック127より水蒸気を透過できる有効面積の減少は少ない。しかし、熱交換ブロック136同士の接着は波形の間隔板129の頂部に水溶性の接着剤を塗布して行うため、乾燥が遅く、流動性の高い水溶性の接着剤は間隔板129の凸状頂点部から伝熱板133の伝熱面に染み出し、水蒸気が透過できる伝熱板133の有効面積の減少によって潜熱交換効率が低下するという課題があり、潜熱交換効率を向上することが要求されている。
また熱交換器116、128、137は伝熱板117、125、133および間隔板129が複合材料で構成されていることと、伝熱板と間隔板を接着剤を用いて接着しているために、熱交換器を廃棄する場合、材料を分別する必要があり、リサイクル化が困難であるという課題があり、熱交換器の単一材料化によるリサイクル性の向上が要求されている。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、結露を繰り返すような環境においても、基本性能を保持することができ、また通風抵抗、顕熱交換効率、潜熱交換効率等の熱交換器の基本的性能を向上することができ、また気流の漏れを防止することができ、また熱交換器の形状を自在かつ容易に作ることができ、また量産性を向上することができ、またリサイクル性を向上することのできる熱交換器を提供することを目的としている。
本発明の熱交換器は上記目的を達成するために、伝熱性と透湿性を有する伝熱板と樹脂を一体成形することにより、伝熱面と気流の通風路とこの通風路の両端に気流の流入口および吐出口を備えた単位素子が形成され、この単位素子を複数積層して、一次気流Aと二次気流Bとが前記通風路に流通することにより、前記伝熱面を介して熱交換し、前記通風路を流通する一次気流Aと二次気流Bとが混ざらないように分離できる位置に前記流入口および前記吐出口を設けた熱交換器において、前記伝熱板を伝熱性と透湿性を有する非水溶性の透湿樹脂膜で構成し、前記樹脂を非水溶性としたものである。
この手段により結露を繰り返すような環境においても、基本性能を保持することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、単位素子は熱交換器の端面から気流の漏れを遮蔽する遮蔽リブと伝熱板の間隔を保持する間隔リブを備え、前記遮蔽リブおよび前記間隔リブを樹脂で構成したものである。
この手段により通風抵抗、潜熱交換効率等の熱交換器の基本的性能を向上することができ、また気流の漏れを防止することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、単位素子は伝熱板の表裏に遮蔽リブ(a、b)と間隔リブ(a、b)と気流の通風路(a、b)とこの通風路(a、b)の両端に流入口(a、b)および吐出口(a、b)をそれぞれ有し、前記伝熱板の表裏の前記遮蔽リブ(a、b)および前記間隔リブ(a、b)が前記伝熱板を間に挟むように樹脂にて一体成形して得られ、前記単位素子の表面は、前記流入口aおよび前記吐出口aを設け、前記流入口aおよび前記吐出口a以外の前記伝熱板外縁に気流を遮蔽する遮蔽リブaを設け、この遮蔽リブaの内側に通風路aを形成するための複数本の間隔リブaを設けた構成とし、前記単位素子の裏面は、前記流入口bおよび前記吐出口bを設け、前記流入口bおよび前記吐出口b以外の前記伝熱板外縁に気流を遮蔽する遮蔽リブbを設け、この遮蔽リブbの内側に通風路bを形成するための複数本の間隔リブbを設けた構成とし、前記単位素子と、前記伝熱板と同素材の仕切板とを交互に積層したものである。
この手段により量産性を向上することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、単位素子cと単位素子dとを交互に積層した熱交換器において、隣合う前記単位素子cの遮蔽リブcと前記単位素子dの遮蔽リブdおよび前記単位素子cの間隔リブcと前記単位素子dの間隔リブdとが、互に重なり合うようにしたものである。
この手段により気流の漏れを防止することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、伝熱板と樹脂を一体成形する手段として、射出成形を用いたものである。
この手段により熱交換器の形状を自在かつ容易に作ることができ、また熱交換器の基本的性能の潜熱交換効率を向上することができ、また量産性を向上することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、伝熱板と樹脂を同じ素材または同系列の素材にしたものである。
この手段によりリサイクル性を向上することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板と樹脂を一体成形したものである。
この手段により熱交換器の基本的性能の潜熱交換効率を向上することができ、またリサイクル性を向上することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、透湿樹脂膜は非水溶性の多孔質樹脂膜と気体遮蔽性を有する非水溶性の親水性透湿樹脂膜を備え、前記多孔質樹脂膜の片面に、前記親水性透湿樹脂膜を重合した2層構造の透湿樹脂膜としたものである。
この手段により結露を繰り返すような環境においても、基本性能を保持することができ、また熱交換器の基本的性能となる潜熱交換効率を向上することができ、また気流の漏れを防止することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、透湿樹脂膜の多孔質樹脂膜の面に、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材を重合した3層構造の複合透湿樹脂膜としたものである。
この手段により結露を繰り返すような環境においても、基本性能を保持することができ、また熱交換器の基本的性能となる潜熱交換効率を向上することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、透湿樹脂膜の親水性透湿樹脂膜の面に、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材を重合した3層構造の複合透湿樹脂膜としたものである。
この手段により熱交換器の基本的性能となる潜熱交換効率を向上することができ、また気流の漏れを防止することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、透湿樹脂膜と多孔質樹脂基材をヒートシールにより重合したものである。
この手段により結露を繰り返すような環境においても、基本性能を保持することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面を介して直交また斜交するように流通したものである。
この手段により熱交換器の基本的性能となる通風抵抗を低減することのできる熱交換器が得られる。
また他の手段は、流入口および吐出口近傍では一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面を介して直交また斜交するように流通し、中央部では一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面を介して対向するように流通したものである。
この手段により顕熱交換効率、潜熱交換効率等の熱交換器の基本的性能を向上することのできる熱交換器が得られる。
本発明によれば結露を繰り返すような環境においても、基本性能を保持することができるという効果のある熱交換器を提供できる。
また、通風抵抗、顕熱交換効率、潜熱交換効率等の熱交換器の基本的性能を向上することができるという効果のある熱交換器を提供できる。
また、気流の漏れを防止することができるという効果のある熱交換器を提供できる。
また、熱交換器の形状を自在かつ容易に作ることができるという効果のある熱交換器を提供できる。
また、量産性を向上することができるという効果のある熱交換器を提供できる。
また、リサイクル性を向上することができるという効果のある熱交換器を提供できる。
本発明の請求項1記載の発明は、伝熱性と透湿性を有する伝熱板と樹脂を一体成形することにより、伝熱面と気流の通風路とこの通風路の両端に気流の流入口および吐出口を備えた単位素子が形成され、この単位素子を複数積層して、一次気流Aと二次気流Bとが前記通風路に流通することにより、前記伝熱面を介して熱交換し、前記通風路を流通する一次気流Aと二次気流Bとが混ざらないように分離できる位置に前記流入口および前記吐出口を設けた熱交換器において、前記伝熱板を伝熱性と透湿性を有する非水溶性の透湿樹脂膜で構成し、前記樹脂を非水溶性としたものであり、熱交換器を構成する伝熱板、樹脂および単位素子は、非水溶性の透湿樹脂膜および非水溶性の樹脂で構成されているために、結露を繰り返すような環境にもいても、形状変化が少なく性能劣化も少ないので、多湿環境でも基本性能を保持することができるという作用を有する。
また、単位素子は熱交換器の端面から気流の漏れを遮蔽する遮蔽リブと伝熱板の間隔を保持する間隔リブを備え、前記遮蔽リブおよび前記間隔リブを樹脂で構成しものであり、熱交換器の間隔リブは、コルゲート加工を応用した熱交換器の波形状の間隔板より広い間隔で伝熱板上に配することができるので、伝熱板に対する間隔リブの面積比率を小さくすることができるために通風路の有効開口面積が大きくなり、熱交換効率を変えずに通風抵抗を低減することができる。また間隔リブは、伝熱板に対する間隔リブの面積比率を小さくすることができるため、水蒸気が透過できる伝熱面の有効面積が大きくなり、潜熱交換効率を向上することができる。また単位素子に備えた遮蔽リブは、熱交換器の端面において、熱交換器の通風路を流通する一次気流Aおよび二次気流Bの漏れを遮蔽するために、気流の漏れを防止することができる。
また、単位素子は伝熱板の表裏に遮蔽リブ(a、b)と間隔リブ(a、b)と気流の通風路(a、b)とこの通風路(a、b)の両端に流入口(a、b)および吐出口(a、b)をそれぞれ有し、前記伝熱板の表裏の前記遮蔽リブ(a、b)および前記間隔リブ(a、b)が前記伝熱板を間に挟むように樹脂にて一体成形して得られ、前記単位素子の表面は、前記流入口aおよび前記吐出口aを設け、前記流入口aおよび前記吐出口a以外の前記伝熱板外縁に気流を遮蔽する遮蔽リブaを設け、この遮蔽リブaの内側に通風路aを形成するための複数本の間隔リブaを設けた構成とし、前記単位素子の裏面は、前記流入口bおよび前記吐出口bを設け、前記流入口bおよび前記吐出口b以外の前記伝熱板外縁に気流を遮蔽する遮蔽リブbを設け、この遮蔽リブbの内側に通風路bを形成するための複数本の間隔リブbを設けた構成とし、前記単位素子と、前記伝熱板と同素材の仕切板とを交互に積層したものであり、熱交換器は伝熱板の表裏に樹脂にて遮蔽リブと間隔リブを一体に成形した単位素子と、前記伝熱板と同素材の仕切板とを交互に積層した構成であり、単位素子は一回の成形で2段分成形できるために量産性を向上することができる。
また、単位素子cと単位素子dとを交互に積層した熱交換器において、隣合う前記単位素子cの遮蔽リブcと前記単位素子dの遮蔽リブdおよび前記単位素子cの間隔リブcと前記単位素子dの間隔リブdとが、互に重なり合うようにしたものであり、単位素子は伝熱板の表裏に樹脂にて遮蔽リブと間隔リブを挟み込むように一体に成形するため、伝熱板と単位素子の遮蔽リブおよび間隔リブで構成された一次気流Aと二次気流Bの通風路は独立するように遮蔽されるために、単位素子は気流の漏れを防止することができ、更に遮蔽性の高いそれぞれの単位素子を、遮蔽リブおよび間隔リブとが互に重なり合うように積層した熱交換器は気流の漏れを防止することができる。
また、伝熱板と樹脂を一体成形する手段として、射出成形を用いたものであり、射出成形は溶融した樹脂を金型に流し込み、溶融した樹脂が冷却することにより樹脂成形品を得る工法のため、金型交換のみで自由自在の形状を容易に得ることができるので、熱交換器の熱交換効率や圧力損失などの必要性能または必要寸法に応じて、通風路を直線、曲線、S字など様々な形状にすることや熱交換器の外形を八面体や円柱などにすることや熱交換器の形状は複雑だが熱交換効率の高い対向流型構造にすることなどができ、熱交換器の形状を自在かつ容易に作ることができる。また金型内に伝熱板を挿入してから射出成形するインサート射出成形を用いると、一回の成形で伝熱板と樹脂が一体成形されるため加工工程が少なくなり、量産性を向上することができ、また接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板と樹脂を一体成形することができるので、コルゲート加工を応用した熱交換器のように波形状の間隔板の凸状頂点部に塗布した接着剤が頂点部から染み出し、水蒸気が透過できる伝熱板の有効面積が減少することがなく、水蒸気が透過できる伝熱面の有効面積が大きくなり、潜熱交換効率を向上することができる。
また、伝熱板と樹脂を同じ素材または同系列の素材にしたものであり、熱交換器を構成する伝熱板、樹脂および単位素子は、同じ素材の樹脂または同系列の素材の樹脂で構成されるため、熱交換器を廃棄する場合、熱交換器を粉々に粉砕して樹脂原料に混ぜることによりリサイクルができ、リサイクル性を向上することができる。
また、接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板と樹脂を一体成形したものであり、接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板と樹脂を一体成形することにより、コルゲート加工を応用した熱交換器のように波形状の間隔板の凸状頂点部に塗布した接着剤が頂点部から染み出し、水蒸気が透過できる伝熱板の有効面積が減少することがなく、水蒸気が透過できる伝熱面の有効面積が大きくなり、潜熱交換効率を向上することができる。また接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板と樹脂を一体成形することにより、熱交換器は単一の材料で構成されるので、熱交換器を廃棄する場合、材料を分別する必要がなく、リサイクル性を向上することができる。
また、透湿樹脂膜は非水溶性の多孔質樹脂膜と気体遮蔽性を有する非水溶性の親水性透湿樹脂膜を備え、前記多孔質樹脂膜の片面に、前記親水性透湿樹脂膜を重合した2層構造の透湿樹脂膜としたものであり、伝熱板は透湿樹脂膜の骨組みを非水溶性の多孔質樹脂膜が担い、この骨組みに気体遮蔽性と透湿性を有する非水溶性の親水性透湿樹脂膜を重合したことにより親水性透湿樹脂膜を薄くすることができ、気体移行が少なく水蒸気のみを選択的に、且つ透過抵抗を小さくすることができるので、気流の漏れを防止することができると伴に、潜熱交換効率を向上することができる。また多孔質樹脂膜は細孔を多数有するために、親水性透湿樹脂膜が細孔に入り込むように重合することができるので、2層構造の透湿樹脂膜はアンカー効果により重合強度を向上することができ、剥離がなくなることで透湿樹脂膜の基本性能を長期に保持することができ、更に透湿樹脂膜を親水性透湿樹脂膜のみで構成すると、結露を繰り返すような環境では吸湿による連続的な膨潤により、親水性透湿樹脂膜は加水分解が促進され、性能劣化が早まるが、多孔質樹脂膜の骨組みに親水性透湿樹脂膜を重合することにより、吸湿による膨潤を抑えることができ、結露を繰り返すような環境にもいても、基本性能を保持することができる。
また、透湿樹脂膜の多孔質樹脂膜の面に、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材を重合した3層構造の複合透湿樹脂膜としたものであり、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材は伝熱板としての強度を保持する役目を担い、気体遮蔽および温度と湿度を熱交換する機能を果たす多孔質樹脂膜および親水性透湿樹脂膜で構成した透湿樹脂膜は更に薄膜化することができ、水蒸気の透過抵抗を小さくすることができるので、潜熱交換効率を向上することができる。また多孔質樹脂膜は細孔を多数有するために、多孔質樹脂基材が細孔に入り込むように重合することができるので、3層構造の複合透湿樹脂膜はアンカー効果により重合強度を向上することができ、剥離がなくなることで複合透湿樹脂膜の基本性能を長期に保持することができ、結露を繰り返すような環境にもいても、基本性能を保持することができる。
また、透湿樹脂膜の親水性透湿樹脂膜の面に、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材を重合した3層構造の複合透湿樹脂膜としたものであり、3層構造の複合透湿樹脂膜の片面は多孔質樹脂膜、他面は多孔質樹脂基材で構成されるため、伝熱板と一体成形する樹脂は多孔質に入り込むアンカー効果により伝熱板と樹脂の密着性が増し、伝熱板と樹脂で構成された一次気流Aと二次気流Bの通風路は独立するように遮蔽されるために、気流の漏れを防止することができ、また接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板と樹脂を一体成形することができるので、コルゲート加工を応用した熱交換器のように波形状の間隔板の凸状頂点部に塗布した接着剤が頂点部から染み出し、水蒸気が透過できる伝熱板の有効面積が減少することがなく、水蒸気が透過できる伝熱面の有効面積が大きくなり、潜熱交換効率を向上することができる。
また、透湿樹脂膜と多孔質樹脂基材をヒートシールにより重合したものであり、透湿樹脂膜および多孔質樹脂基材は樹脂で構成されているため、熱によって溶融し、圧力によりお互いが接着重合される強固な物理結合で複合透湿樹脂膜はシールされるため、水分によってそれぞれの膜が剥離することがないので、結露を繰り返すような環境にもいても、基本性能を保持することができる。
また、一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面を介して直交また斜交するように流通したものであり、二種の気流が伝熱面を介して直交また斜交するような構造の熱交換器は、通風路を真直ぐにすることができるので通風抵抗を低減することができ、更に、この熱交換器の間隔リブは、コルゲート加工を応用した熱交換器の波形状の間隔板より広い間隔で伝熱板上に配することができるので、伝熱板に対する間隔リブの面積比率を小さくすることができるために通風路の有効開口面積が大きくなり、熱交換効率を変えずに通風抵抗を低減することができる。
また、流入口および吐出口近傍では一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面を介して直交また斜交するように流通し、中央部では一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面を介して対向するように流通したものであり、このような二種の気流が流通する構造の熱交換器は、流入口および吐出口近傍では通風路aを流通する一次気流Aと通風路bを流通する二次気流Bが直交また斜交するように熱交換し、中央部では通風路aを流通する一次気流Aと通風路bを流通する二次気流Bが対向するように熱交換する構造のために、同等伝熱面積を有する直交または斜交する通風路のみで構成される熱交換器よりも熱交換効率を向上することができる。
(実施の形態1)
図1は熱交換器の概略斜視図、図2は単位素子の概略斜視図、図3は熱交換器の概略分解斜視図、図4は仕切板および伝熱板の概略平面図、図5は熱交換器の概略量産工程図である。
図1、図2および図3に示すように、熱交換器1aは単位素子2aと仕切板3aを交互に積層することにより構成され、単位素子2aと仕切板3aにより伝熱面4aと、伝熱面4aの表裏に気流の通風路5a、5bとが形成され、通風路5aを流通する一次気流Aおよび通風路5bを流通する二次気流Bは伝熱面4aを介して熱交換を行う。
熱交換器1aは、一辺が120mmの正方形で厚みが4mmの単位素子2aと一辺が120mmの正方形の仕切板3aを交互に積層して、積層高さ380mmとする。
図2の単位素子2aは、伝熱板6aの表面に伝熱面4a、通風路5a、遮蔽リブ7a、間隔リブ8a、気流の流入口9aおよび吐出口10aを備え、伝熱板6aの裏面に伝熱面4a、通風路5b、遮蔽リブ7b、間隔リブ8b、気流の流入口9bおよび吐出口10bを備え、伝熱板6aの表裏の遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bが伝熱板6aを間に挟むように、非水溶性の樹脂にて一体成形して得られる。遮蔽リブ7aは伝熱板6aの表面の向かい合う一組の両端に、凸高さ2mm、幅5mmに形成され、間隔リブ8aは遮蔽リブ7aと平行に高さ2mm、幅1mmに所定間隔で6本形成される。伝熱面4aと通風路5aは伝熱板6aと遮蔽リブ7aと間隔リブ8aにより形成され、気流の流入口9aおよび吐出口10aは通風路5aの両端に形成される。遮蔽リブ7bは遮蔽リブ7aと直交する伝熱板6aの裏面の両端に、凸高さ2mm、幅5mmに形成され、間隔リブ8bは遮蔽リブ7bと平行に凸高さ2mm、幅1mmに所定間隔で6本形成される。伝熱面4aと通風路5bは伝熱板6aと遮蔽リブ7bと間隔リブ8bにより形成され、気流の流入口9bおよび吐出口10bは通風路5bの両端に形成される。
遮蔽リブ7a、7bは熱交換器1aの通風路5aを流通する一次気流Aおよび通風路5bを流通する二次気流Bが熱交換器1aの端面から気流が漏れないように遮蔽する働きと、単位素子2aと仕切板3aを交互に積層した時に、伝熱面4aを一定の間隔に保持する働きがある。
なお遮蔽リブ7a、7bは熱交換器1aの伝熱面4aを一定容積内で広く取るために、方形の対向する一対の外周縁部に備える構成としたが、成形加工や成形後の切断性などの量産性を配慮して適宜決定する。
間隔リブ8a、8bは単位素子2aと仕切板3aを交互に積層した時に、伝熱面4aを一定の間隔に保持する働きと、伝熱板6aと遮蔽リブ7a、7bと間隔リブ8a、8bとで通風路5a、5bを形成する働きがある。本実施の形態では、遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bの凸高さを2mmとしたので、伝熱面4aは2mm毎に積層される。
仕切板3aおよび伝熱板6aは、厚さが0.2〜0.1mm、好ましくは0.1〜0.01mmの伝熱性と透湿性を有する非水溶性の透湿樹脂膜11aで構成される。透湿樹脂膜11aとしては、PP、PE、PET、PTFE、エーテル系ポリウレタンなどを素材とし、非水溶性に処理した多孔質樹脂シート、またはエーテル系のポリウレタン系樹脂、エーテル系のポリエステル系樹脂などを素材とし、非水溶性に処理した無孔質樹脂シートである。
図4の仕切板3aおよび伝熱板6aは、平面形状が方形をなし、エーテル系のポリエステル系樹脂を素材とした厚さ0.05mmの非水溶性に処理した無孔質樹脂シートの透湿樹脂膜11aで構成される。
伝熱板6aは非水溶性の樹脂と一体成形することにより単位素子2aが形成されるため、伝熱板6aの透湿樹脂膜11aと樹脂は同じ素材または同系列の樹脂素材にすることが好ましく、更に熱可塑性樹脂にすることが好ましい。即ち、熱交換器1aは単一材料または同系列の樹脂材料で構成されることにより、熱交換器1aを廃棄する場合、熱交換器1aを粉々に粉砕して樹脂原料に混ぜることによりリサイクルができ、リサイクル性を向上することができる。また伝熱板6aおよび樹脂を熱可塑性樹脂にすることにより、熱接着することが容易に行えるため、加工工程が少なくなり、量産性を向上することができ、更に接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板6aと樹脂を一体成形することができるので、コルゲート加工を応用した熱交換器のように波形状の間隔板の凸状頂点部に塗布した接着剤が頂点部から染み出し、水蒸気が透過できる伝熱板の有効面積が減少することがなく、水蒸気が透過できる伝熱面の有効面積が大きくなり、潜熱交換効率を向上することができる。
図5に熱交換器1aの製造工程を示す。切断工程12は伝熱板6aを所定の大きさに切断する。
次の成形工程13は伝熱板6aを射出成形機に挿入して樹脂にて一体成形するインサート射出成形工法で単位素子2aが得られる。この樹脂としては非水溶性の熱可塑性樹脂を適用し、樹脂の種類としては、ポリエステル系、ポリスチレン系のABS、AS、PS、またはポリオレフィン系のPP、PEなどが用いられる。特に透湿樹脂膜11aと同じ素材または同系列の樹脂素材であるPP、PE、PET、ウレタンなどが好ましい。実施の形態1では、透湿樹脂膜11aはポリエステル系樹脂を用いているため、射出成形機に用いる樹脂は同系列素材のポリエステル系樹脂を用いる。
次の切断工程12aは仕切板3aを所定の大きさに切断する。
次の接着工程14は単位素子2aの上面に仕切板3aを置き、更に上から圧力をかけながら接着手段を用いて単位素子2aと仕切板3aをプレス接着する。接着手段としては、加熱したヒーターブロックを用いた熱溶着、または超音波振動を用いた超音波接着などが挙げられる。単位素子2aは熱可塑性樹脂で構成されているために、加熱したヒーターブロックまたは超音波振動などを単位素子2aの樹脂表面に接触させると樹脂表面が溶融し、樹脂の表面温度が下がると上面に置かれた仕切板3aとプレス接着される。仕切板3aと接着させる単位素子2aの場所は、遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bまたは遮蔽リブ7a、7bであり、単位素子2aの遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bと仕切板3aとが重なることにより構成される通風路5a、5bは、接着手段により単位素子2aの遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bまたは遮蔽リブ7a、7bと仕切板3aが接着されることにより、一次気流Aと二次気流Bの通風路5a、5bがそれぞれ独立するように遮蔽されるため、気流の漏れを防止することができる。
次の積層工程15は単位素子2aと仕切板3aを接着手段により接着したものを一段ごとに積層することにより熱交換器1aを得る。単位素子2aと仕切板3aを接着手段により接着したものを一段ごとに積層する際、接着工程14で単位素子2aと仕切板3aを接着していない面の単位素子2aに、加熱したヒーターブロックを用いた熱溶着または超音波振動を用いた超音波接着などの接着手段を用いて樹脂表面を溶融させてから積層することにより、単位素子2aと仕切板3aのそれぞれが接着固定化された熱交換器1aが得られる。
上記構成により、熱交換器1aの通風路5aに一次気流Aおよび通風路5bに二次気流Bを通風すると、一次気流Aと二次気流Bはそれぞれが直交するように伝熱面4aを介して温度と湿度を熱交換する。
熱交換器1aを構成する仕切板3a、伝熱板6aおよび単位素子2aの部材は、仕切板3aおよび伝熱板6aが非水溶性の透湿樹脂膜11aで構成され、単位素子2aが非水溶性の伝熱板6aおよび非水溶性の樹脂で構成されているために、結露を繰り返すような環境にもいても、形状変化が少なく性能劣化も少ないので、多湿環境でも基本性能を保持することができる。
また直交流型の熱交換器1aは通風路5a、5bを真直ぐにすることができるので通風抵抗を低減することができ、また間隔リブ8a、8bは、コルゲート加工を応用した熱交換器の波形状の間隔板より広い間隔で伝熱板6a上に配することができるので、伝熱板6aに対する間隔リブ8a、8bの面積比率を小さくすることができるために通風路5a、5bの有効開口面積が大きくできることが伴って、熱交換効率を変えずに通風抵抗を低減することができる。
また間隔リブ8a、8bは、コルゲート加工を応用した熱交換器の波形状の間隔板より広い間隔で伝熱板6a上に配することができるので、伝熱板6aに対する間隔リブ8a、8bの面積比率を小さくすることができるため、水蒸気が透過できる伝熱面4aの有効面積が大きくなり、潜熱交換効率を向上することができ、更に接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板6aと樹脂を一体成形することにより単位素子2aを形成するため、コルゲート加工を応用した熱交換器のように波形状の間隔板の凸状頂点部に塗布した接着剤が頂点部から染み出し、水蒸気が透過できる伝熱板6aの有効面積が減少することがなく、水蒸気が透過できる伝熱面4aの有効面積が大きくなることが伴って、潜熱交換効率を向上することができる。
また単位素子2aに備えた遮蔽リブ7a、7bは、熱交換器1aの端面において、熱交換器1aの通風路5a、5bを流通する一次気流Aおよび二次気流Bの漏れを遮蔽するために、気流の漏れを防止することができる。
また熱交換器1aを構成する仕切板3a、伝熱板6aおよび単位素子2aの部材は、同じ素材の樹脂または同系列の素材の樹脂で構成されるため、熱交換器1aを廃棄する場合、熱交換器1aを粉々に粉砕して樹脂原料に混ぜることによりリサイクルができ、リサイクル性を向上することができる。また接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板6aと樹脂を一体成形することにより、熱交換器1aは単一の材料で構成されるので、熱交換器1aを廃棄する場合、材料を分別する必要がなく、リサイクル性を更に向上することができる。
また伝熱板6aおよび単位素子2aの部材は、同じ素材の樹脂または同系列の素材の樹脂で構成されるため、金型内に伝熱板6aを挿入してから射出成形するインサート射出成形を用いることにより、一回の成形で伝熱板6aと樹脂が一体に成形接着された単位素子2aが形成されるので加工工程が少なくなり、量産性を向上することができる。
また熱交換器1aは伝熱板6aの表裏に樹脂にて遮蔽リブ7a、7bと間隔リブ8a、8bを一体に成形した単位素子2aと、伝熱板6aと同素材の仕切板2aとを交互に積層した構成であり、単位素子2aは一回の成形で2段分成形できるため、更に量産性を向上することができる。
なお、本実施の形態では、単位素子2aは伝熱板6aの表裏に伝熱面4a、通風路5a、5b、遮蔽リブ7a、7b、間隔リブ8a、8b、流入口9a,9bおよび吐出口10a、10bを備え、伝熱板6aの表裏の遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bが伝熱板6aを間に挟むように樹脂にて一体成形し、この単位素子2aと仕切板3aを交互に積層した六面体の熱交換器1aを用いて説明したが、伝熱板を間に挟むように樹脂にて一体成形することにより、伝熱面と2つの気流がそれぞれ独立して流通できる通風路と前記通風路を流通する気流が混ざらないように分離できる位置に流入口および吐出口を備え、前記通風路に一次気流Aおよび二次気流Bを流通することにより、伝熱面を介して熱交換を行う構造であれば、その他の形状の熱交換器および成形工法を用いても同様の作用効果を得ることができる。
また、単位素子2aは伝熱板6aの表裏に伝熱面4a、通風路5a、5b、遮蔽リブ7a、7b、間隔リブ8a、8b、流入口9a,9bおよび吐出口10a、10bを備え、伝熱板6aの表裏の遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bが伝熱板6aを間に挟むように樹脂にて一体成形するように説明したが、伝熱板6aを中心に半分に切った形状を単位素子1aaとして、単位素子1aaを交互に積層した熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
また、一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面4aを介して直交するような構造の熱交換器で説明したが、一次気流Aと二次気流Bとが伝熱面4aを介して斜交するような構造の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。
また、積層工程15では、単位素子2aと仕切板3aを接着工程14の接着手段により接着したものを、加熱したヒーターブロックを用いた熱溶着または超音波振動を用いた超音波接着などの接着手段を用いて樹脂表面を溶融させてから積層することにより、単位素子2aと仕切板3aのそれぞれが接着固定化された熱交換器1aで説明したが、単位素子2aの遮蔽リブ7aと遮蔽リブ7bとが交差する部分に貫通穴を設け、単位素子2aと仕切板3aを複数積層した状態で、貫通穴に棒芯を通し、棒芯の上下をカシメることにより、単位素子2aと仕切板3aが固定化されるように構成した熱交換器1aを用いても同様の作用効果を得ることができる。
(実施の形態2)
図6は伝熱板の概略断面図である。
実施の形態1と同一部分は同一番号とし、同一の作用効果を有するものとし、詳細な説明は省略する。
伝熱板6bは非水溶性の多孔質樹脂膜16の片面に、気体遮蔽性を有する非水溶性の親水性透湿樹脂膜17を重合した2層構造の透湿樹脂膜11bで構成される。多孔質樹脂膜16としては、PP、PE、PET、PTFEなどを素材とした多孔質樹脂シートである。特に多孔質樹脂膜16として、孔径が小さく、非常に空隙率を大きくでき、膜厚を薄くできるPTFEが好ましい。気体遮蔽性を有する非水溶性の親水性透湿樹脂膜17としては、エーテル系のポリウレタン系樹脂、エーテル系のポリエステル系樹脂などを素材とする。
図6に示した伝熱板6bは、PTFEを素材とした厚さ0.02mmの多孔質樹脂膜16の片面に、エーテル系のポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂を厚さ0.01mmに薄く形成した親水性透湿樹脂膜17を重合した2層構造の透湿樹脂膜11bである。この明細書における重合とは、膜と膜をつなぎ合わせること。すなわち多孔質樹脂膜16と親水性透湿樹脂膜17をヒートシールやラミネートなどの加工による構造的な密着状態のことである。
上記構成により、伝熱板6bは透湿樹脂膜11bの骨組みを非水溶性の多孔質樹脂膜16が担い、この骨組みに気体遮蔽性と透湿性を有する非水溶性の親水性透湿樹脂膜17を重合したことにより親水性透湿樹脂膜17を薄くすることができ、気体移行が少なく水蒸気のみを選択的に、且つ透過抵抗を小さくすることができるので、気流の漏れを防止することができると伴に、更に潜熱交換効率を向上することができる。
また多孔質樹脂膜16は細孔を多数有するために、親水性透湿樹脂膜17が細孔に入り込むように重合することができるので、2層構造の透湿樹脂膜11bはアンカー効果により重合強度を向上することができ、剥離がなくなることで透湿樹脂膜11bの基本性能を長期に保持することができ、更に透湿樹脂膜11bを親水性透湿樹脂膜17のみで構成すると、結露を繰り返すような環境では吸湿による連続的な膨潤により、親水性透湿樹脂膜17は加水分解が促進され、性能劣化が早まるが、多孔質樹脂膜16の骨組みに親水性透湿樹脂膜17を重合することにより、吸湿による膨潤を抑えることができ、結露を繰り返すような環境にもいても、基本性能を保持することができる。
またPTFEは多孔質樹脂膜16の孔径を小さく、多数にすることができるため空隙率を大きくすることができるので、多孔質樹脂膜16と重合した親水性透湿樹脂膜17の有効透湿面積は広くなり潜熱交換効率を向上することができる。
またPTFEは多孔質樹脂膜16の膜厚を薄くすることができるので、温度と湿度を熱交換する機能を果たす透湿樹脂膜11bを薄膜化することができ、水蒸気の透過抵抗が小さくなり潜熱交換効率を更に向上することができる。
なお、本実施の形態では、伝熱板6bの多孔質樹脂膜16の素材としてPTFEを用い、親水性透湿樹脂膜17の素材としてエーテル系のポリウレタン系樹脂またはポリエステル系樹脂を用いた2層構造の透湿樹脂膜11bで説明したが、多孔質樹脂膜16をポリエステル系樹脂の素材とし、親水性透湿樹脂膜17をエーテル系のポリエステル系樹脂の素材とした同系列の樹脂素材で構成された2層構造の透湿樹脂膜11bとしても良い。即ち、熱交換器1aを構成する伝熱板6bおよび単位素子2aの部材は、同じ素材のポリエステル系樹脂で構成されるため、熱交換器1aを廃棄する場合、熱交換器1aを粉々に粉砕して樹脂原料に混ぜることによりリサイクルができ、リサイクル性を向上することができる。また接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板6bと樹脂を一体成形することにより、熱交換器1aは単一の材料で構成されるので、熱交換器1aを廃棄する場合、材料を分別する必要がなく、リサイクル性を更に向上することができる。また伝熱板6bおよび単位素子2aの部材は、同じ素材の樹脂で構成されるため、金型内に伝熱板6bを挿入してから射出成形するインサート射出成形を用いることにより、一回の成形で伝熱板6bと樹脂が一体に成形接着された単位素子2aが形成されるので加工工程が少なくなり、量産性を向上することができる。
(実施の形態3)
図7は伝熱板6cの概略断面図、図8は伝熱板6dの概略断面図である。
実施の形態1および2と同一部分は同一番号とし、同一の作用効果を有するものとし、詳細な説明は省略する。
通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材18としては、PETなどのポリエステル系樹脂、PP、PEなどのポリオレフィン系樹脂などを素材とした熱可塑性樹脂の不織布を用いる。不織布の坪量は10〜100g/m2、好ましくは15〜40g/m2である。不織布の
厚みは基材としての強度を満たす程度に極力薄いことが好ましい。
図7に示した伝熱板6cは、透湿樹脂膜11bの多孔質樹脂膜16の面に、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材18を重合した3層構造の複合透湿樹脂膜19aである。多孔質樹脂基材18は、坪量30g/m2、厚さ0.1mmのPETの不織布を用い、透湿樹脂
膜11bと多孔質樹脂基材18の重合はヒートシール加工を用いて成形する。多孔質樹脂基材18の不織布は多孔質樹脂基材18のPTFEの細孔に入り込むように重合することができるので、アンカー効果により重合強度を向上することができ、剥離がなくなることで基本性能を長期に保持することができる。
図8に示した伝熱板6dは、透湿樹脂膜11bの親水性透湿樹脂膜17の面に、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材18を重合した3層構造の複合透湿樹脂膜19bである。多孔質樹脂基材18は、坪量30g/m2、厚さ0.1mmのPETを素材とした不織布を用い、透湿樹脂膜11bと多孔質樹脂基材18の重合はヒートシール加工を用いて成形する。不織布で構成される通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材18は目が荒いため、温度と湿度を熱交換する影響はほとんどなく、伝熱板6c、6dとしての強度を保つことが目的である。従って、3層構造の複合透湿樹脂膜19a、19bとした伝熱板6c、6dは、熱交換する機能を果たす透湿樹脂膜11bを薄膜化することができ、熱交換効率を向上することができる。
上記構成により、通気性の非水溶性の多孔質樹脂基材18は伝熱板6c、6dとしての強度を保持する役目を担い、気体遮蔽および温度と湿度を熱交換する機能を果たす多孔質樹脂膜16および親水性透湿樹脂膜17で構成した透湿樹脂膜11bは更に薄膜化することができ、水蒸気の透過抵抗を小さくすることができるので、伝熱板6c、6dは潜熱交換効率を向上することができる。
また伝熱板6cは、多孔質樹脂基材18が細孔を多数有する多孔質樹脂膜16の細孔に入り込むように重合することができるので、3層構造の複合透湿樹脂膜19aはアンカー効果により重合強度を向上することができ、剥離がなくなることで3層構造の複合透湿樹脂膜19aの基本性能を長期に保持することができ、結露を繰り返すような環境にもいても、基本性能を保持することができる。
また伝熱板6dは、3層構造の複合透湿樹脂膜19bの片面は多孔質樹脂膜16、他面は多孔質樹脂基材18で構成されるため、伝熱板6dと樹脂を一体成形することにより単位素子2aを形成する際、樹脂は多孔質に入り込むアンカー効果により伝熱板6dと樹脂の密着性が増し、伝熱板6dと樹脂で構成された一次気流Aと二次気流Bの通風路5a、5bは独立するように遮蔽されるために、気流の漏れを防止することができ、また接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板6dと樹脂を一体成形することができるので、コルゲート加工を応用した熱交換器のように波形状の間隔板の凸状頂点部に塗布した接着剤が頂点部から染み出し、水蒸気が透過できる伝熱板6dの有効面積が減少することがなく、水蒸気が透過できる伝熱面4aの有効面積が大きくなり、潜熱交換効率を向上することができる。
また伝熱板6c、6dは樹脂で構成された透湿樹脂膜11bおよび多孔質樹脂基材18をヒートシール加工により重合しているために、熱によって溶融し、圧力によりお互いが接着重合される強固な物理結合で複合透湿樹脂膜19a、19bがシールされ、水分によってそれぞれの膜が剥離することがないので、結露を繰り返すような環境にもいても、基本性能を保持することができる。
また伝熱板6c、6dは多孔質樹脂膜16をポリエステル系樹脂の素材とし、親水性透湿樹脂膜17をエーテル系のポリエステル系樹脂の素材とし、多孔質樹脂基材18をPETなどのポリエステル系樹脂とした同系列の樹脂素材で構成された3層構造の複合透湿樹脂膜19a、19bとしても良い。即ち、熱交換器1aを構成する伝熱板6c、6dおよび単位素子2aの部材は、同じ素材のポリエステル系樹脂で構成されるため、熱交換器1aを廃棄する場合、熱交換器1aを粉々に粉砕して樹脂原料に混ぜることによりリサイクルができ、リサイクル性を向上することができる。また接着剤などの第三物質を介さず、伝熱板6c、6dと樹脂を一体成形することにより、熱交換器1aは単一の材料で構成されるので、熱交換器1aを廃棄する場合、材料を分別する必要がなく、リサイクル性を更に向上することができる。また伝熱板6c、6dおよび単位素子2aの部材は、同じ素材の樹脂で構成されるため、金型内に伝熱板6c、6dを挿入してから射出成形するインサート射出成形を用いることにより、一回の成形で伝熱板6c、6dと樹脂が一体に成形接着された単位素子2aが形成されるので加工工程が少なくなり、量産性を向上することができる。
(実施の形態4)
図9は熱交換器の概略斜視図、図10は単位素子の概略斜視図、図11は熱交換器の概略分解斜視図である。
実施の形態1、2および3と同一部分は同一番号とし、同一の作用効果を有するものとし、詳細な説明は省略する。
図9の熱交換器1bは、図10に示した単位素子2bを、図11のように交互に90度ずらしながら複数枚積層接着して形成する。
単位素子2bは単位素子2aと同じ構成であり、遮蔽リブ7aは凸高さ1mm、幅5mmに形成され、間隔リブ8aは遮蔽リブ7aと平行に凸高さ1mm、幅1mmに所定間隔で6本形成され、遮蔽リブ7bは凸高さ1mm、幅5mmに形成され、間隔リブ8bは遮蔽リブ7bと平行に凸高さ1mm、幅1mmに所定間隔で6本形成される。
図11に示すように、それぞれの単位素子2bを交互に90度ずらしながら複数枚積層接着する熱交換器1bにおいて、隣合う単位素子2bの遮蔽リブ7aと遮蔽リブ7bおよび間隔リブ8aと間隔リブ8bとが、互に重なり合うようにしたものである。凸高さ1mmの遮蔽リブ7aおよび遮蔽リブ7bが互に重なり合い、また凸高さ1mmの間隔リブ8aおよび間隔リブ8bが互に重なり合うことで、通風路5a、5bの開口高さは2mmとなり、伝熱面4aは2mm毎に積層される。
伝熱板6aとしては、非水溶性の透湿樹脂膜11a、2層構造の透湿樹脂膜11b、3層構造の複合透湿樹脂膜19a、19bなど、何れを用いても良い。
上記構成により、単位素子2bは伝熱板6aの表裏に樹脂にて遮蔽リブ7a、7bと間隔リブ8a、8bを挟み込むように一体に成形するため、伝熱板6aと単位素子2bの遮蔽リブ7a、7bおよび間隔リブ8a、8bで構成された一次気流Aと二次気流Bの通風路5a、5bは独立するように遮蔽されるために、単位素子2bは気流の漏れを防止することができ、更に遮蔽性の高いそれぞれの単位素子2bを、遮蔽リブ7aと遮蔽リブ7bおよび間隔リブ8aと間隔リブ8bとが互に重なり合うように積層した熱交換器1bは気流の漏れを防止することができる。
(実施の形態5)
図12は熱交換器の概略斜視図、図13は単位素子の概略斜視図、図14は熱交換器の概略分解斜視図である。
実施の形態1、2、3および4と同一部分は同一番号とし、同一の作用効果を有するものとし、詳細な説明は省略する。
図12、図13および図14に示すように、熱交換器1cは単位素子2cと仕切板3bを交互に積層することにより構成され、単位素子2cと仕切板3bにより伝熱面4bと、伝熱面4bの表裏に気流の通風路5c、5dとが形成され、通風路5cを流通する一次気流Aおよび通風路5dを流通する二次気流Bは伝熱面4bを介して熱交換を行い、それぞれの通風路5c、5dの流入口9c、9dおよび吐出口10c、10d部分ではお互いが直交または斜交して流れ、中央部分ではお互いが対向する方向に流れる対向流型である。
仕切板3bおよび伝熱板6eは、平面形状が六角形をなし、非水溶性の透湿樹脂膜11a、2層構造の透湿樹脂膜11b、3層構造の複合透湿樹脂膜19a、19bなど、何れを用いても良い。
図13の単位素子2cは、伝熱板6eの表面に伝熱面4b、通風路5c、遮蔽リブ7c、遮蔽リブ7d、間隔リブ8c、気流の流入口9cおよび吐出口10cを備え、伝熱板6eの裏面に伝熱面4b、通風路5d、遮蔽リブ7e、遮蔽リブ7f、間隔リブ8d、気流の流入口9dおよび吐出口10dを備え、伝熱板6eの表裏の遮蔽リブ7c、7d、7e、7fおよび間隔リブ8c、8dが伝熱板6eを間に挟むように樹脂にて一体成形して得られる。間隔リブ8cは伝熱板6eの表面に、凸高さ2mm、幅1mmに略S字状で平行に8本備え、間隔リブ8cにより略S字状の通風路5cおよび伝熱面4bが形成され、通風路5cの両端に気流の流入口9cおよび吐出口10cが形成される。遮蔽リブ7cは伝熱板6e表面の外周縁部のうち対向流となる通風路5c部分と平行をなす一対の外周縁部に、凸高さ2mm、幅5mmに形成され、遮蔽リブ7dは伝熱板6e表面の外周縁部のうち遮蔽リブ7cと流入口9cと吐出口10c以外に、凸高さ2mm、幅5mmに形成される。間隔リブ8dは伝熱板6bの裏面に気流の流入口9dおよび吐出口10d近傍では間隔リブ8cと直交または斜交し、中央部では平行に、凸高さ2mm、幅1mmに略S字状で平行に8本備え、間隔リブ8dにより略S字状の通風路5dおよび伝熱面4bが形成され、通風路5dの両端に気流の流入口9dおよび吐出口10dが形成される。遮蔽リブ7eは伝熱板6e裏面の外周縁部のうち対向流となる通風路5d部分と平行をなす一対の外周縁部に、凸高さ2mm、幅5mmに形成され、遮蔽リブ7fは伝熱板6e裏面の外周縁部のうち遮蔽リブ7eと流入口9dと吐出口10d以外に、凸高さ2mm、幅5mmに形成される。
この明細書における流入口および吐出口近傍とは、通風路5cを流通する一次気流Aおよび通風路5dを流通する二次気流Bが混ざらないように分離する部分のことであり、中央部とは、前記近傍以外の部分である。
上記構成により、熱交換器1cは流入口9c、9dおよび吐出口10c、10d近傍では、通風路5cを流通する一次気流Aと通風路5dを流通する二次気流Bが直交また斜交するように熱交換し、中央部では通風路5cを流通する一次気流Aと通風路5dを流通する二次気流Bが対向するように熱交換する構造のために、同等伝熱面積を有する直交または斜交する通風路のみで構成される熱交換器よりも熱交換効率を向上することができる。
また射出成形は溶融した樹脂を金型に流し込み、溶融した樹脂が冷却することにより樹脂成形品を得る工法のため、金型交換のみで自由自在の形状を容易に得ることができる。熱交換器1cは金型内に伝熱板6eを挿入してから射出成形するインサート射出成形を用いることにより、一回の成形で伝熱板6eと樹脂が一体に成形接着され、更に通風路5c、5dを略S字状の形状にした六角形の単位素子2cが形成される。この単位素子2cと仕切板3bを交互に積層することにより、熱交換器1cは八面体の対向流型構造を形成することができる。伝熱板と樹脂を一体成形する手段として、射出成形を用いたことにより、金型交換のみで自由自在の形状を容易に得ることができるので、熱交換器の熱交換効率や圧力損失などの必要性能または必要寸法に応じて、通風路を直線、曲線、S字など様々な形状にすることや熱交換器の外形を八面体や円柱などにすることや熱交換器の形状は複雑だが熱交換効率の高い対向流型構造にすることなどができ、熱交換器の形状を自在かつ容易に作ることができる。
なお、本実施の形態では、伝熱板6eと樹脂を一体成形して得られた単位素子2cと仕切板3bとを交互に積層した八面体の熱交換器1cを用いて説明したが、2つの気流がそれぞれ独立して通風路を流れ、流入口および吐出口近傍では直交または斜交するように流れ、中央部では対向するように流れ、伝熱面を介して熱交換が行える対向流型熱交換器であれば、その他の形状の熱交換器を用いても同様の作用効果を得ることができる。