JP2006096846A - ポリビニルアルコール系含水ゲル、その製造方法、それを用いた吸着分離剤及び吸着分離方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】側鎖に1,2−ジオール成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と耐水化剤(B)とを反応させてなる。
【選択図】なし
Description
このPVA系含水ゲルの製造法としては、PVA水溶液の凍結乾燥や、繰り返し凍結・融解によって生成する微結晶部分を架橋点とする方法や、PVA水溶液とホウ素化合物との錯体形成を利用する方法、などが知られており、さらに、強度および耐水性に優れた含水ゲル成形物を得る方法として、PVAと高分子多糖類との混合水溶液を、カチオン化合物と接触させて球状に成形した後、アセタール化する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
すなわち、PVA系含水ゲルを用いた有機物溶存水溶液からの有機物分離・除去の処理効率向上のために、相転移前後の有機物吸着量の変化が大きいPVA系含水ゲルが望まれるところである。
かかる側鎖に1,2−ジオール成分を含有するPVA系樹脂(A)は、一般式(1)で表される1,2−ジオール構造単位を含有するPVA系樹脂(A)であることが好ましく、かかる耐水化剤(B)はアルデヒド化合物または硼素化合物であることが好ましい。
[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子又はアルキル基を示し、R4は単結合またはアルキル基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基を示し、nは0又は正の整数を示す]
また、本発明のPVA系含水ゲルは、農園芸用保水材、保冷剤、硝子体・人口関節などの生体材料、コンタクトレンズ・ドラッグデリバリーシステム・創傷被覆材などの医療材料、分離膜(ベンゼン/ヘキサンの様な共沸組成溶剤の分離、天然の抗酸化剤の単離)、微生物担体などにも適用が可能である。
上記一般式(1)において、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又はアルキル基である。該アルキル基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。かかるアルキル基は必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。また、R4は、単結合またはアルキル基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基を示し、nは0又は正の整数を示す。
[ただし、R1、R2、R3はそれぞれ独立した水素又はアルキル基である。]
[ただし、R1、R2、R3、R5、R6はそれぞれ独立した水素又はアルキル基である。]
[但し、R1、R2、R3はそれぞれ独立して水素又はアルキル基であり、R4は単結合またはアルキル基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基であり、R7およびR8は、それぞれ独立して水素またはR9−CO−(式中、R9は、アルキル基である)である。]
以下、かかる(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の方法について説明する。
本発明で用いられるビニルエステル系モノマーとしては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが、経済的にみて中でも酢酸ビニルが好ましく用いられる。
重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用されるが、ビニルエチレンカーボネートがポリビニルエステル系ポリマーの分子鎖中に均一に分布させられる点から滴下重合が好ましく、特にはHANNA法〔反応性比:r(ビニルエチレンカーボネート)=5.4、r(酢酸ビニル)=0.85〕に基づく重合方法が好ましい。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜3(重量比)程度の範囲から選択される。
また、共重合反応の反応温度は40℃〜200℃、さらには40〜180℃、特には40℃〜72℃の範囲程度とすることが好ましい。
ケン化に当たっては、該共重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解し、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
また、ケン化反応の反応温度は特に限定されないが、10〜60℃が好ましく、より好ましくは20〜50℃である。
かくして側鎖に1,2−ジオール成分を有したPVA系樹脂が得られる。
また、一定圧力下(常圧〜100kg/cm2)で且つ高温下(50〜200℃)でビニルエステル部分をケン化することなく、脱炭酸を行うことも可能であり、かかる場合、脱炭酸を行った後、上記ケン化を行うこともできる。
本発明で用いられる2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとしては、上記一般式(3)で示される構造のものであれば特に限定されず、上記一般式(3)において、R1、R2、R3は上記一般式(1)と同様のものが挙げられ、R5、R6はそれぞれ独立して水素又はアルキル基であり、該アルキル基としては特に限定されないが、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。かかるアルキル基は必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい。中でも入手の容易さ、良好な共重合性を有する点で、R1、R2、R3が水素で、R5、R6がメチル基である2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソランが好適である。
ケン化に当たっては、上記(i)の方法と同様に行われる。
また、上記ケン化が酸触媒を用いて行われる場合は、通常、ケン化後に特別な処理を施すことなく、上記ケン化条件下で該ケン化とともに脱ケタール化が行われ、1,2−ジオール成分に変換される。
本発明で用いられる上記一般式(4)で示される化合物において、R1、R2、R3は上記一般式(1)と同様のものが挙げられ、R4は単結合またはアルキル基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキレン基であり、R7およびR8は、それぞれ独立して水素またはR9−CO−(式中、R9は、アルキル基、好ましくはメチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基またはオクチル基であり、かかるアルキル基は必要に応じて、ハロゲン基、水酸基、エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の置換基を有していてもよい)である。
式(4)で示される化合物としては、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジアシロキシ−1−ヘキセンなどが挙げられる。なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱いにおいて優れるという点で、R1、R2、R3が水素、R4が単結合、R7、R8がR9−CO−でありR9がアルキル基である3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましく、そのなかでも特にR9がメチル基である3,4−ジアセトキシ−1−ブテンがより好ましい。
なお、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、イーストマンケミカル社やアクロス社の製品を市場から入手することができる。
ケン化に当たっては、上記(i)の方法と同様に行われる。
かかるケン化触媒の使用量については、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び式(4)で示される化合物の合計量1モルに対して0.1〜30ミリモル、好ましくは2〜17ミリモルの割合で使用される。
ビニルエステル系モノマーと式(4)で示される化合物との共重合体をケン化して得られる側鎖に1,2−ジオール成分を含有するPVA系樹脂(A)は、ケン化時にビニルエステル系モノマーのエステル部分と式(4)で示される化合物のアシロキシ部分を同時に水酸基に変換することによって製造されるので、ビニルエチレンカーボネートを使用するときの欠点である炭酸ジメチル等の副生成物が発生しないという特徴を有する。
上記(i)の方法において、ビニルエチレンカーボネートに代えてグリセリンモノアリルエーテルを用いることにより得ることができるが、重合時のモノマー成分の仕込方法としては、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等の方法が採用されることが好ましく、滴下重合も行うことは可能である。
本発明においては、グリセリンモノアリルエーテルの含有量は特に限定されないが、0.1〜20モル%とすることが上記(i)と同様の理由により好ましく、より好ましくは0.5〜 15モル%、特に好ましくは1〜 10モル%である。
また、重合触媒の使用量については、アゾビスイソブチロチトリルや過酸化アセチルを用いる場合、ビニルエステル系モノマーに対して0.05〜0.7モル%とすることが好ましく、特には0.1〜0.5モル%とすることが好ましい。なお、共重合モノマーとしてグリセリンモノアリルエーテルを用いた場合には、当然のことながら脱炭酸することなく1,2−ジオール成分を含有したPVA系樹脂(A)を得ることができる。
本発明で用いられる耐水化剤(B)としては、水溶性であるPVA系樹脂(A)を架橋させることで耐水性を付与しうる化合物であれば特に限定されず、例えば、アルデヒド化合物、硼素化合物、グリシジル化合物、メチロール化合物、多価金属化合物などが挙げられるが、特にアルデヒド化合物、硼素化合物が低コストであり、得られるゲルの強度が高いなどの点で好ましく、さらには水溶性化合物であることがより好ましい。
本発明のPVA系含水ゲルの製造方法は特に限定されず、(イ)側鎖に1,2−ジオール成分を含有するPVA系樹脂(A)と耐水化剤(B)を含有する水溶液を所望の型に注型、ゲル化・耐水化させる方法や、(ロ)PVA系樹脂(A)を含有する水溶液を凍結、融解を繰り返すことでゲル化させ、その後耐水化剤(B)と反応させて耐水性を付与する方法、(ハ)PVA系樹脂(A)を含有する水溶液を、耐水化剤(B)を含有する水溶液に接触させてゲル化させると同時に耐水性を付与する方法、(ニ)PVA系樹脂(A)と水溶性ポリカルボン酸塩(C)を含有する混合水溶液を、多価金属イオン(D)を含有する水溶液に接触させ、ゲル状成形物とした後、耐水化剤(B)によってPVA系樹脂(A)を架橋させ、耐水性を付与する方法などが挙げられるが、連続的に所望の形の含水ゲルが得られる点から、(ニ)の方法が好ましく用いられる。
PVA系含水ゲルを製造するにあたっては、まずかかるPVA系樹脂(A)と水溶性ポリカルボン酸塩(C)の混合水溶液を調製するのであるが、かかる混合水溶液における両者の混合割合は特に制限されないが、(C/A)が1/100〜100/100(重量比)であることが好ましく、更には2/100〜50/100、特には3/100〜30/100であることが好ましい。かかる混合割合(C/A)において、水溶性ポリカルボン酸塩(C)の配合量が100/100を超えるとゲルの強度が低下したり、逆に水溶性ポリカルボン酸塩(C)の配合量が1/100よりも少ないと、ゲルの成形性が低下したり、ゲル強度が低下したりして好ましくない。
また、かかる混合水溶液を多価金属イオン(D)含有水溶液に接触させる際の温度には、特に制限は無いが、通常10〜50℃程度である。
なお、例中「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1300g、メタノール190g、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン60.5g(2.28モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.06モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、67℃で重合を開始したと同時に3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの5.4%メタノール溶液を均一に滴下仕込みを行い、重合率85.3%までに116ml仕込んだ。
酢酸ビニルの重合率が85.3%となった時点で、重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシー1−ブテンの合計量1モルに対して9ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、粒子状となった時点で、濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A1)を得た。
得られたPVA系樹脂(A1)の1H−NMR(内部標準物質:テトラメチルシラン、溶媒:d6−DMSO)スペクトルの帰属は以下の通り。
1.2〜1.5ppm:メチレンプロトン、1.8ppm:メチンプロトン(変性種に起因)、3.5ppm:1級メチロールのメチレンプロトン、3.82〜3.84ppm:メチンプロトン、4.13〜4.6ppm:水酸基、4.25ppm:ジオール水酸基
製造例1において、ケン化の途中でサンプルを抜き取ることによりPVA系樹脂(A2)〔部分ケン化物(ケン化度88.0モル%)を得た。該PVA系樹脂(A2)の1H−NMRスペクトルの帰属は以下の通り。
1.36〜1.8ppm:メチレンプロトン、1.93〜1.95ppm:メチルプロトン、3.5ppm:1級メチロールのメチレンプロトン、3.8ppm:メチンプロトン、4.15〜4.57ppm:水酸基、4.3ppm:ジオールの水酸基
製造例1において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの仕込み量を15モル%とし、重合終了時点を酢酸ビニルの重合率が70%となった時点とし、ケン化時の水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液の添加量を共重合体中の酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシー1−ブテンの合計量1モルに対して11ミリモルとした以外は製造例1と同様に行ってPVA系樹脂(A3)を得た。
製造例1と同様の手法を用い、メタノールの配合量を変更して、鹸化度99.4モル%、平均重合度500、4%水溶液粘度6.0mPa・s(20℃)、1,2−ジオール構造単位の含有量3.3モル%のPVA系樹脂(A4)を得た。
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1300g、メタノール190g、ビニルエチレンカーボネート(R1、R2、R3はいずれも水素である。)40.1g(2.28モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.06モル%(対仕込み酢酸ビニルモノマー)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、67℃で重合を開始したと同時にビニルエチレンカーボネートの10.17%メタノール溶液の仕込みをHANNA法に従って開始し、重合率85.3%までに116ml仕込んだ。
尚、ビニルエチレンカーボネートは、酢酸ビニルと均一に重合するように、HANNAの式[ビニルエチレンカーボネートの反応性比(r)=5.4、酢酸ビニルの反応性比(r)=0.85]から求めた量を重合速度に合わせて仕込んだ。
酢酸ビニルの重合率が85.3%となった時点で、重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度30%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル1モルに対して9ミリモルとなる割合で加えてケン化及び脱炭酸を行った。ケン化及び脱炭酸が進行すると共にケン化物が析出し、遂には粒子状となった。生成したPVA系樹脂(A5)を濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的物を得た。
[1H−NMR]
1.376〜1.538ppm:メチレンプロトン、3.528ppm:1級メチロールのメチレンプロトン、3.849ppm:メチンプロトン、4.139〜4.668ppm:水酸基
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000g、メタノール100g、2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン(R1、R2、R3はいずれも水素、R4、R5はいずれもメチル基である。)14.9g(1モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.045モル%(対仕込み酢酸ビニル)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ、68℃で重合を開始した。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度30%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル1モルに対して9ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、遂には粒子状となった。かかるケン化物を3Nの塩酸(水/メタノール=1/1の混合溶媒)中に分散させ、60℃で脱ケタール化を行い、生成したPVA系樹脂(A6)を濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、目的物を得た。
[1H−NMR]
1.25ppm:メチルプロトン(ジメチルケタール体のメチル)、1.31〜1.33ppm:メチルプロトン(ジメチルケタール体のメチル)、1.38〜1.66ppm:メチレンプロトン、1.87〜1.99ppm:メチルプロトン、3.84〜3.91ppm:メチンプロトン、4.14〜4.55ppm:水酸基
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1300g、メタノール520g、グリセリンモノアリルエーテル39.9g(2モル%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.07モル%(対仕込み酢酸ビニルモノマー)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ重合を行った。重合開始2時間後に重合開始剤を0.05モル%、5.1時間後に0.05モル%、6時間後に0.05モル%追加仕込みを行った。なお、グリセリンモノアリルエーテルの連鎖移動定数は0.017である。酢酸ビニルの重合率が70%となった時点で、重合を終了し、続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル1モルに対して9ミリモルとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、遂には粒子状となった。かかるケン化物を濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A7)を得た。
[1H−NMR]
1.363〜1.508ppm:メチレンプロトン、1.8〜2.0ppm:残アセチル基のメチルプロトン、3.826ppm:メチンプロトン、3.98〜4ppm:1,2−ジオール由来の水酸基、4.140〜4.568ppm:水酸基
製造例1において3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを仕込まないで、酢酸ビニルのみを重合S/M=0.5、S:メタノール、M:酢酸ビニル)し、ケン化を行った以外は同様に行い、PVA系樹脂(A8)を得た。得られたPVA系樹脂(A8)のケン化度は、残存酢酸ビニル単位の加水分解に要するアルカリ消費量で分析を行ったところ、99.5モル%であり、重合度は、JIS K 6726に準じて分析を行ったところ、1200であった。又、該PVA系樹脂(A8)の4%水溶液の粘度は、ヘプラー粘度計により測定したところ、15mPa・s(20℃)であった。
PVA系樹脂(A1)を2%、アルギン酸ナトリウム(C)を0.2%含有する水溶液を、塩化カルシウム(D)の3%水溶液中に、口径2mmのスポイト先端より滴下し、球状のゲル状成形物を得た。かかるゲル状成形物をホルムアルデヒド(B)を4%、硫酸を 7%、硫酸ナトリウムを13%含有する60℃に調整した水溶液中に投入し、攪拌しながら1時間反応させた。球状ゲルを濾別、洗液が中性になるまでイオン交換水で洗浄し、直径4mmのPVA系含水ゲルを得た。
得られたPVA系含水ゲルを用いて、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
化学工学論文集、第27巻、第6号、p.786〜791(2001年)記載の方法に基づき、恒温槽中、1℃に保った水中に得られたPVA系含水ゲルを置き、昇温させながら各温度におけるPVA系含水ゲルの体積を求め、かかるゲルの体積収縮が完了する温度をもって相転移温度とした。
化学工学論文集、第27巻、第6号、p.786〜791(2001年)記載の方法に基づき、乾燥重量で約0.23gのPVA系含水ゲルを、かかるPVA系含水ゲルの相転移温度より高温である55℃に調整した恒温槽中の1,2−ジクロロエタン水溶液(濃度200ppm、100cm3)中に投入、振盪速度150spmで1時間振盪した後、水溶液中の1,2−ジクロロエタンの濃度をキャピラリーガスクロマトグラム(GC−17A、島津製作所製)にて求め、前後の物質収支から、PVA系含水ゲル1g当たりの1,2−ジクロロエタンの吸着量q55(mmol/g−gel)を求めた。
かかる操作をPVA系含水ゲルの相転移温度より低温である25℃でも行い、25℃における1,2−ジクロロエタンの吸着量q25(mmol/g−gel)を求め、さらに、相転移温度前後の吸着量の差dq(mmol/g−gel)を下記(5)式より求めた。
dq=q55−q25 (5)
実施例1において、PVA系樹脂(A)として製造例2〜7によるPVA系樹脂(A2〜A7)を用いた以外は同様にしてPVA系含水ゲルを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、アルギン酸ナトリウム(C)に代えてポリアクリル酸ナトリウム(C)を用いた以外は実施例1と同様にしてPVA系含水ゲルを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、塩化カルシウム(D)水溶液に代えて塩化マグネシウム水溶液(D)を用いた以外は実施例1と同様にしてPVA系含水ゲルを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、耐水化剤(B)として硼酸1%および塩化カルシウムを3%含有する水溶液を用いた以外は実施例1と同様にしてPVA系含水ゲルを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、PVA系樹脂(A)として製造例8によるPVA系樹脂(A8)を用いた以外は同様にしてPVA系含水ゲルを得て、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
また、本発明のPVA系含水ゲルは、農園芸用保水材、保冷剤、硝子体・人口関節などの生体材料、コンタクトレンズ・ドラッグデリバリーシステム・創傷被覆材などの医療材料、分離膜(ベンゼン/ヘキサンの様な共沸組成溶剤の分離、天然の抗酸化剤の単離)、微生物担体などにも有用である。
Claims (10)
- 側鎖に1,2−ジオール成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と耐水化剤(B)とを反応させて得られることを特徴とするポリビニルアルコール系含水ゲル。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)中の1,2−ジオール構造単位の含有量が0.1〜20モル%であることを特徴とする請求項1または2記載のポリビニルアルコール系含水ゲル。
- 耐水化剤(B)がアルデヒド化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系含水ゲル。
- 耐水化剤(B)が硼素化合物であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリビニルアルコール系含水ゲル。
- 請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系含水ゲルを製造するにあたり、側鎖に1,2ジオール成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)を含む水溶液、またはゲル状成形物に、耐水化剤(B)を反応させることを特徴とするポリビニルアルコール系含水ゲルの製造方法。
- ゲル状成形物が、側鎖に1,2−ジオール成分を含有するポリビニルアルコール系樹脂(A)と水溶性ポリカルボン酸塩(C)を含有する混合水溶液を、多価金属イオン(D)を含有する水溶液に接触させて得られたゲル状成形物であることを特徴とする、請求項6記載のポリビニルアルコール系含水ゲルの製造方法。
- 水溶性ポリカルボン酸塩(C)が、アルギン酸塩であることを特徴とする請求項7記載のポリビニルアルコール系含水ゲルの製造方法。
- 請求項1〜5いずれか記載のポリビニルアルコール系含水ゲルからなることを特徴とする吸着分離剤。
- 請求項9記載の吸着分離剤に、その相転移温度より高い温度領域で吸着対象物を吸着させて分離することを特徴とする吸着分離方法。
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