JP2006096822A - コーティング剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 側鎖に1,2−ジオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、蛍光増白剤(B)及び無機顔料(C)を含有してなることを特徴とするコーティング剤組成物。
【選択図】なし
Description
〔1〕 側鎖に1,2−ジオール基を有するPVA系樹脂(A)、蛍光増白剤(B)及び無機顔料(C)を含有してなることを特徴とするコーティング剤組成物。
〔2〕 PVA系樹脂(A)が、側鎖に1,2−ジオール基を0.2〜20mol%有することを特徴とする上記〔1〕記載のコーティング剤組成物。
〔3〕 PVA系樹脂(A)1重量部に対して、蛍光増白剤(B)を0.1〜5重量部含有することを特徴とする上記〔1〕又は〔2〕記載のコーティング剤組成物。
〔4〕 PVA系樹脂(A)1重量部に対して、無機顔料(C)を40〜400重量部含有することを特徴とする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
〔5〕 PVA系樹脂(A)の鹸化度が、90〜100mol%であることを特徴とする上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
〔6〕 PVA系樹脂(A)の重合度が、1200以下であることを特徴とする上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
〔7〕 PVA系樹脂(A)が、一般式(1)
〔8〕 無機顔料(C)が、少なくとも炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、シリカのいずれか1種以上であることを特徴とする上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
〔9〕 さらに、PVA系樹脂(A)1重量部に対して、ラテックス系バインダー(D)を1〜20重量部含有することを特徴とする上記〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
〔10〕 紙のコーティング用途に用いることを特徴とする上記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
本発明に用いるPVA系樹脂(A)は、PVA系樹脂の側鎖に1,2−ジオール成分を含有している限り、特に限定されないが、好ましくは下記一般式(1)で示される1,2−ジオール構造単位を含有するものが挙げられる。
なお、化合物(ii)は、有機合成化学の分野で公知の方法により製造することができる。
重合時のモノマー成分の仕込み方法としては特に制限されず、一括仕込み、分割仕込み、連続仕込み等任意の方法が採用されるが、化合物(ii)がポリビニルエステル系ポリマーの分子鎖中に均一に分布させられる点や、架橋剤との反応性が向上する、ポリビニルアルコールの融点が降下する等の物性面での点から滴下重合が好ましく、特にはHANNA法(反応性比:r(VEC)=5.4、r(VAc)=0.85)に基づく重合方法が好ましい。
溶媒の使用量は、目的とする共重合体(i−ii)の重合度に合わせて、溶媒の連鎖移動定数を考慮して適宜選択すればよく、例えば、溶媒がメタノールの時は、S(溶媒)/M(モノマー)=0.01〜10(重量比)、好ましくは0.05〜3(重量比)程度の範囲から選択される。
また、共重合反応の反応温度は40℃〜沸点(使用する溶媒による)程度とすることが好ましい。
鹸化に当たっては、該共重合体(i−ii)をアルコール又は含水アルコールに溶解し、アルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるが、メタノールが特に好ましく用いられる。アルコール中の共重合体(i−ii)の濃度は系の粘度により適宜選択されるが、通常は10〜60重量%の範囲から選ばれる。鹸化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、リチウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、硫酸、塩酸、硝酸、メタスルフォン酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等の酸触媒が挙げられる。
また、鹸化反応の反応温度は特に限定されないが、10〜150℃が好ましく、さらには10〜60℃、特には20〜50℃が好ましい。
かくして側鎖に1,2−ジオール基を有するPVA系樹脂が得られる。
また、一定圧力下(常圧〜100Kg/cm2)で且つ高温下(50〜200℃)でビニルエステル部分を鹸化することなく、脱炭酸を行うことも可能であり、かかる場合、脱炭酸を行った後、上記鹸化を行うこともできる。
なお、化合物(iii)は、有機合成化学の分野で公知の方法により製造することができる。
鹸化に当たっては、上記(I)の方法と同様に行われる。
また、上記鹸化が酸触媒を用いて行われる場合は、通常、鹸化後に特別な処理を施すことなく、上記鹸化条件下で該鹸化とともに脱ケタール化が行われ、1,2−ジオール成分に変換される。
かくして側鎖に1,2−ジオール基を有するPVA系樹脂(A)が得られる。
なお、化合物(iv)は、有機合成化学の分野で公知の方法により製造することができる。
化合物(v)としては、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−1−ブテン、3−アシロキシ−4−ヒドロキシ−1−ブテン、4−アシロキシ−3−ヒドロキシ−1−ブテン、3,4−ジアシロキシ−2−メチル−1−ブテン、4,5−ジヒドロキシ−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−1−ペンテン、4,5−ジヒドロキシ−3−メチル−1−ペンテン、4,5−ジアシロキシ−3−メチル−1−ペンテン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセン、5,6−ジヒドロキシ−1−ヘキセンなどが挙げられる。なかでも、共重合反応性および工業的な取り扱いにおいて優れるという点で、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンが好ましく、3,4−ジアシロキシ−1−ブテンのなかでも3,4−ジアセトキシ−1−ブテンがより好ましい。
なお、化合物(v)は、有機合成化学の分野で公知の方法により製造することができる。また、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンは、イーストマンケミカル社やアクロス社の製品を市場から入手することができる。
かかる鹸化触媒の使用量については、鹸化方法、目標とする鹸化度等により適宜選択されるが、アルカリ触媒を使用する場合は通常、ビニルエステル系モノマー及び化合物(v)の合計量1molに対して0.1〜30mmol、好ましくは2〜17mmolが適当である。
また、鹸化反応の反応温度は特に限定されないが、10〜60℃が好ましく、より好ましくは20〜50℃である。
なお、ここでいう1,2−ジオール基量は、実施例で示すように1H−NMRで測定して算出される値である。
なお、ここでいう総固形分は、コーティング剤組成物中に存在する全ての固形分をいい、上記の各成分ばかりでなく、以下の添加剤に由来する固形分をも合わせたものである。
尚、以下の例中、「%」、「部」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
[PVA系樹脂(A)]
製造例1:PVA系樹脂(A1)
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000g、メタノール
1500g、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン100g(5mol%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.7mol%(対仕込み酢酸ビニルモノマー)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ重合を行った。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン300ppm(対仕込み酢酸ビニルモノマー)を仕込み、重合を終了した。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル及び3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの合計量1molに対して14mmolとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、遂には粒子状となった。生成したPVAを濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A1)を得た。
1.2〜1.5ppm:メチレンプロトン、1.8ppm:メチンプロトン(変性種に起因)、3.5ppm:1級メチロールのメチレンプロトン、3.82〜3.84ppm:メチンプロトン、4.13〜4.6ppm:水酸基、4.25ppm:ジオール水酸基
製造例1において、3,4−ジアセトキシ−1−ブテンの仕込み量を4g(0.2mol%)とした以外は製造例1と同様の方法によりPVA系樹脂(A2)を得た。
得られた樹脂について製造例1と同様に分析したところ、鹸化度は99mol%、重合度は450、1,2−ジオール基の導入量は0.2mol%であった。
製造例1において、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液の添加量を12mmolとした以外は製造例1と同様の方法によりPVA系樹脂(A3)を得た。
得られた樹脂について製造例1と同様に分析したところ、鹸化度は90mol%、重合度は450、1,2−ジオール基の導入量は5mol%であった。
製造例1において、メタノールの仕込み量を250gとした以外は製造例1と同様の方法によりPVA系樹脂(A4)を得た。
得られた樹脂について製造例1と同様に分析したところ、鹸化度は99mol%、重合度は1200、1,2−ジオール基の導入量は5mol%であった。
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000g、メタノール
1400g、ビニルエチレンカーボネート73.3g(5mol%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.5mol%(対仕込み酢酸ビニルモノマー)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ重合を行った。酢酸ビニルの重合率が95%となった時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン300ppm(対仕込み酢酸ビニルモノマー)を仕込み、重合を終了した。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル及びビニルエチレンカーボネートの合計量1molに対して14mmolとなる割合で加えてケン化および脱炭酸を行った。ケン化および脱炭酸が進行すると共にケン化物が析出し、遂には粒子状となった。生成したPVAを濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A5)を得た。
[1H−NMR]
1.376〜1.538ppm:メチレンプロトン、3.528ppm:1級メチロールのメチレンプロトン、3.849ppm:メチンプロトン、4.139〜4.668ppm:水酸基
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000g、メタノール
130g、2,2−ジメチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン69.8g(5mol%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.65mol%(対仕込み酢酸ビニルモノマー)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ重合を行った。酢酸ビニルの重合率が70%となった時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン300ppm(対仕込み酢酸ビニルモノマー)を仕込み、重合を終了した。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル1molに対して15mmolとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、遂には粒子状となった。かかるケン化物を3Nの塩酸(水/メタノール=1/1の混合溶媒)中に分散させ、60℃で脱ケタール化を行い、生成したPVAを濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A6)を得た。
[1H−NMR]
1.25ppm:メチルプロトン(ジメチルケタール体のメチル)、1.31〜1.33ppm:メチルプロトン(ジメチルケタール体のメチル)、1.38〜1.66ppm:メチレンプロトン、1.87〜1.99ppm:メチルプロトン、3.84〜3.91ppm:メチンプロトン、4.14〜4.55ppm:水酸基
還流冷却器、滴下漏斗、撹拌機を備えた反応缶に、酢酸ビニル1000g、メタノール300g、グリセリンモノアリルエーテル76.7g(5mol%)を仕込み、アゾビスイソブチロニトリルを0.5mol%(対仕込み酢酸ビニルモノマー)投入し、撹拌しながら窒素気流下で温度を上昇させ重合を行った。酢酸ビニルの重合率が90%となった時点で、重合禁止剤としてm−ジニトロベンゼン300ppm(対仕込み酢酸ビニルモノマー)を仕込み、重合を終了した。続いて、メタノール蒸気を吹き込む方法により未反応の酢酸ビニルモノマーを系外に除去し共重合体のメタノール溶液を得た。
次いで、該溶液をメタノールで希釈して濃度40%に調整してニーダーに仕込み、溶液温度を40℃に保ちながら、水酸化ナトリウムの2%メタノール溶液を共重合体中の酢酸ビニル1molに対して15mmolとなる割合で加えてケン化を行った。ケン化が進行すると共にケン化物が析出し、遂には粒子状となった。生成したPVAを濾別し、メタノールでよく洗浄して熱風乾燥機中で乾燥し、PVA系樹脂(A7)を得た。
[1H−NMR]
1.363〜1.508ppm:メチレンプロトン、1.8〜2.0ppm:残アセチル基のメチルプロトン、3.826ppm:メチンプロトン、3.98〜4ppm:1,2−ジオール由来の水酸基、4.140〜4.568ppm:水酸基
製造例1において3,4−ジアセトキシ−1−ブテンを仕込まないで、酢酸ビニルのみを重合S/M=1.9(S:メタノール、M:酢酸ビニル)し、ケン化を行った以外は同様に行い、PVA系樹脂(A8)を得た。
得られたPVA系樹脂(A8)の鹸化度は98mol%、重合度は450であった。
・スチルベン系化合物[商品名 ホワイテックス:住友化学社製]
・クマリン系化合物[商品名 カルコフルオル−RWP:BASF社製]
・ビフェニル系化合物[商品名 チノパールCBS−X:チバガイギー社製]
・炭酸カルシウム(CaCO3)[商品名 FMT−90:ファイマテック社製]
・シリカ[商品名 ファインシールX37B:トクヤマ社製]
・カオリン[商品名 HT−GAS:エンゲルハート社製]
・酸化チタン(TiO2)[商品名 TA−300:富士チタン社製]
・スチレン/ブタジエン系ラテックス(SBR)[商品名 スマーテックスSN−307:日本エイアンドエル社製]
・スチレン/アクリル系ラテックス(St−AC)[商品名 モビニール880:クラリアント社製]]
以下の組成で各成分を総固形分が50%となるように水に分散させ、各コーティング剤組成物を製造した。なお、各実施例及び比較例で使用したPVA系樹脂(A)、蛍光増白剤(B)、無機顔料(C)及びラテックス系バインダー(D)を表1に示す。
[組成]
PVA系樹脂(A) 1部
蛍光増白剤(B) 4部
無機顔料(C) 100部
ラテックス系バインダー(D) (樹脂分50%) 9部
カルボキシメチルセルロース 0.5部
ポリカルボン酸(分散剤) 0.5部
各コーティング剤組成物の粘度を、高剪断回転式粘度計(エス・エム・テー社製)を用い高シェア(8800rpm)で20℃にて測定した。
色差計(日本電色社製「Σ80スペクトロメーター」)でUVフィルターを使用して、コーティング紙の蛍光増白度を測定した。
グロスメーター(日本電色社工業製「VG−1D」)を用いて、コーティング紙の75°表面光沢度(%)を測定した。
Claims (10)
- 側鎖に1,2−ジオール基を有するポリビニルアルコール系樹脂(A)、蛍光増白剤(B)及び無機顔料(C)を含有してなることを特徴とするコーティング剤組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)が、側鎖に1,2−ジオール基を0.2〜20mol%有することを特徴とする請求項1記載のコーティング剤組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)1重量部に対して、蛍光増白剤(B)を0.1〜5重量部含有することを特徴とする請求項1又は2記載のコーティング剤組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)1重量部に対して、無機顔料(C)を40〜400重量部含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)の鹸化度が、90〜100mol%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
- ポリビニルアルコール系樹脂(A)の重合度が、1200以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
- 無機顔料(C)が、少なくとも炭酸カルシウム、酸化チタン、カオリン、シリカのいずれか1種以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
- さらに、ポリビニルアルコール系樹脂(A)1重量部に対して、ラテックス系バインダー(D)を1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
- 紙のコーティング用途に用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のコーティング剤組成物。
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