JP5207097B2 - 填料改質剤、填料スラリー及び製紙方法 - Google Patents

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Description

この発明は、填料改質剤、填料スラリー及び製紙方法に関し、更に詳しくは、従来使用されている填料が混合されてパルプスラリーを形成する以前に、填料と填料改質剤とを混合して成る填料スラリーを予め調製しておき、その填料スラリーが混合されて成るパルプスラリーを抄紙することにより、紙力、サイズ度を維持したまま、優れた不透明度向上効果を示し、更には、印刷後のインクの裏抜けを抑制した紙を製造することのできる填料改質剤、この填料改質剤を含有する填料スラリー及びこの填料スラリーを使用する製紙方法に関する。
近年の原木供給事情の悪化や環境保全の立場から、少ないパルプ量で、従来の品質を維持した紙が求められている。しかし、単にパルプ量を減らしただけでは、紙が薄くなって、不透明度が低下してしまう。特に新聞用紙、書籍用紙等に代表される印刷用紙においては、印刷後の不透明度、いわゆる印刷面と反対の面より印刷が透けて見える裏抜けが問題となり、さらには近年の紙の低坪量化、高品質化に伴い、不透明度、裏抜けに対する要求が高くなっている。
不透明度を向上させる、あるいは裏抜けの抑制には、填料を多く添加する方法が一般的であるが、紙の強度が低下するため、填料の添加量には限界があった。このような背景のもと、填料に添加剤を予め加えた後に、パルプへ添加することで、填料のパルプへの定着改善や、強度低下を抑制する方法が検討されている。この添加剤として具体的には、カチオン化澱粉やカチオン化グアーガムを用いる方法、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドのホモポリマーやジアリルジメチルアンモニウムクロライドと(メタ)アクリルアミドとのコポリマーを用いる方法などが知られている(特許文献1〜3参照)。
しかしながら、これらの方法によって得られる効果、特に不透明度、裏抜けに関しては、満足されるレベルではなく、更なる向上が求められている。さらには、ガラス転移温度が30℃以下の重合体を填料表面に付着させた填料が記載され(特許文献4参照)ているが、不透明度、裏抜けに関しては、満足されるレベルではないという問題がある。またアクリル系ラッテクスを用いる方法(特許文献5参照)も記載されているが、紙の不透明度を維持しながら紙力と剛度の低下を抑制することが目的であり、不透明度を向上させる効果としては、不十分であった。なお、填料改質剤として、いわゆる脂肪酸アミド−エピクロロヒドリン樹脂が知られている(例えば、特許文献6参照)が、不透明度、裏抜けとしての効果、は不十分であった。
特開平10−60794号公報 特開2006−118092号公報 特開2006−118093号公報 特開平7−238491号公報 特開2004−100119号公報 特開2003−166195号公報
この発明は、従来から使用されている填料が直接に添加されることにより調製されたパルプスラリーで抄紙するのではなく、前記填料と填料改質剤とを混合することにより填料スラリーを予め調製しておき、そのようにして得られる填料スラリーを用いて調製されたパルプスラリーで抄紙すると、紙力、サイズ度を維持したまま、優れた不透明度向上効果を示し、更には印刷後のインクの裏抜けを抑制させることができる紙を製造し得ることを基礎にして完成された。この発明は、填料を直接に添加して調製されて成るパルプスラリーを用いて抄紙された紙と同様の紙力、サイズ度を維持したまま、前記のようにして抄紙された紙よりも優れた不透明度向上効果を示し、更には印刷後のインクの裏抜けを抑制させることができる填料に改質することのできる填料改質剤、これを含有する填料スラリー、及びこれらを使用する製紙方法を提供することを課題とする。
この発明者らは、特定の疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物と従来から通常に使用されている填料とを、その填料を混合してパルプスラリーを調製する以前に、混合して填料スラリーを調製し、その填料スラリーを使用して得られるパルプスラリーを抄紙すると、優れた不透明向上効果を示し、更には印刷後の印刷面の裏抜けが抑制される紙を製造し得ることを見出し、この発明を完成するに至った。
すなわち、前記課題を解決するための手段は、
(1)疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物の水溶液であり、前記疎水性ビニルモノマー(A)がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び炭素数8〜20のオレフィンより成る群から選ばれる少なくとも一種であり、前記アニオン性ビニルモノマー(B)がカルボキシル基含有ビニルモノマー(b1)であり、前記疎水性ビニルモノマー(A)と前記カルボキシル基含有ビニルモノマー(b1)との重量比が(A):(b1)=(30〜90):(10〜70)であり、パルプスラリー調製用の填料スラリーに填料と共に含まれる填料スラリー成分であることを特徴とする填料改質剤であり、
(2)前記共重合体のアルカリ中和物が、スチレン−マレイン酸系共重合体のアルカリ中和物、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物、オレフィン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ中和物であることを特徴とする前記(1)記載の填料改質剤であり、
(3)前記(1)又は(2)に記載の填料改質剤を含有することを特徴とする填料スラリーであり、
(4)前記(3)に記載の填料スラリーが混合されて成るパルプスラリーを用いて抄紙することを特徴とする製紙方法である。

この発明に係る填料改質剤は、疎水性ビニルモノマー(A)とアニオン性ビニルモノマー(B)とを共重合して成る共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物を含有し、しかも填料と予め混合してなる填料スラリーの形態で使用されるので、この填料改質剤で改質された填料を含有する填料スラリーを用いて調製されたパルプスラリーで抄紙された紙に、優れた不透明度向上効果を付与すると共に、印刷後のインクの裏抜けを抑制させる効果を付与することができるという優れた効果を発現させることができる。また、この発明に係る填料スラリーは、従来から使用されている填料を直接に添加して調製されるパルプスラリーでは実現することのできない技術的効果として、優れた不透明度向上効果を有すると共に、印刷後のインクの裏抜けを抑制した紙を抄紙することのできるパルプスラリーを調製することができる。この発明に係る製紙方法によると、前記填料改質剤及び填料スラリーを使用することにより、優れた不透明度向上効果を有すると共に、印刷後のインクの裏抜けを抑制した紙を製造することができる。
この発明に係る填料改質剤は、疎水性ビニルモノマー(A)とアニオン性ビニルモノマー(B)を共重合し、あるいは共重合後に、アルカリ中和をすることによって得ることができる。
前記、疎水性モノマー(A)としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼンなどのスチレン化合物、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ジイソブチレン、並びにブテン、イソブテン、及びプロピレン等の多量体からなる炭素数8〜20の末端オレフィン型、内部オレフィン型、及び直鎖もしくは分岐鎖を有するオレフィン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、及び環状アルキル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル(アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを示す。以下同様。)、マレイン酸及びフマル酸のジアルキルジエステル、炭素数5〜10のターシャリーアルキルカルボン酸及びプロピオン酸などのカルボン酸ビニルエステル、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、並びにメチルビニルエーテルが挙げられる。これら各種の疎水性モノマーは、その一種を単独で使用することができ、またその二種以上を併用することもできる。
前記アニオン性ビニルモノマー(B)としては、カルボキシル基含有ビニルモノマー及びスルフォン基含有ビニルモノマー等を挙げることができる。前記カルボキシル基含有ビニルモノマーとしては、無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、及びフマル酸等を挙げることができる。スルフォン基含有ビニルモノマーとしては、ビニルスルフォン酸、スチレンスルフォン酸、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等又はそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム塩等が挙げられ、これらの一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
なお、この発明の効果を損なわない限り、他の共重合可能なビニルモノマー、例えば塩化ビニル、塩化ビニリデン、(メタ)アクリルアミド及びその誘導体モノマー類、ビニルピロリドン、アリルアルコール、アクリロニトリル、その他の各種ビニルモノマーを共重合することは何ら差し支えない。
この発明における疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物の水溶液は、スチレン−マレイン酸系共重合体のアルカリ中和物、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物、及びオレフィン−無水マレイン酸共重合体並びにそれらの部分エステル又は部分アミドなどの誘導体のアルカリ中和物などが好ましい。
疎水性ビニルモノマー(A)とアニオン性ビニルモノマー(B)との重量比は、通常の場合、疎水性ビニルモノマー(A)が30〜90%、アニオン性ビニルモノマー(B)が10〜70%であるのが好ましい。アニオン性ビニルモノマー(B)の重量比が10%未満であると、水に溶解しきれない場合があり、不透明度向上効果に劣る場合がある。アニオン性ビニルモノマー(B)の重量比が70%を越えると、疎水性ビニルモノマー(A)とアニオン性ビニルモノマー(B)との共重合体に発泡が形成され易くなって問題となる場合もあり、また不透明度向上効果に劣る場合がある。
前記スチレン−マレイン酸系共重合体のアルカリ中和物としては、スチレンと無水マレイン酸との共重合体のアルカリ中和物又はスチレンとマレイン酸エステルの共重合体のアルカリ中和物を挙げることができる。前記マレイン酸エステルとしては、無水マレイン酸と炭素数1〜30の直鎖又は分岐アルキルアルコール又はアルキルフェニルアルコールとから誘導される半エステルを挙げることができる。前記スチレン−マレイン酸系共重合体のアルカリ中和物は、必要な物性に応じて、その一種又は二種以上を併用することができる。
又、前記スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物は、スチレンと、アクリル酸、及び/又はメタアクリル酸とを共重合することにより得られる共重合体をアルカリ中和することにより得ることができる。
又、前記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物は、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸とを共重合することにより得られる共重合体をアルカリ中和することにより得ることができる。
又、前記オレフィン−無水マレイン酸共重合体は、エチレン、ジイソブチレン、α−オレフィンと無水マレイン酸とを共重合することにより得ることができる。なお、この共重合体の部分アルコールエステル、又は前記共重合体の部分アミドも、オレフィン−無水マレイン酸共重合体として使用することができる。
この発明における疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物の水溶液は、常法に従って、溶液重合、バルク重合法、乳化重合法などにより製造することができ、なかでも溶液重合法が好ましい。
前記水溶液の製造方法として、例えば疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)を低級アルコール系有機溶剤、例えばメチルアルコール、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールあるいは油性有機溶剤、例えばベンゼン、トルエン及びキシレン中にて、又はこれらの低級アルコール系有機溶剤と水との混合液中にて、さらには水中において、ラジカル重合触媒を使用して60〜120℃で1〜10時間重合させ、重合終了後に有機溶剤を留去し、アルカリ物質、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びアンモニアで水溶化することで得ることが出来る。なお、この場合、疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)は実質的に全て共重合して共重合体が生成している。
この発明における疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の重合で使用するラジカル重合触媒としては、例えば過硫酸塩、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過酸化物、例えばターシャリーブチルハイドロパーオキシド、これら過硫酸塩又は過酸化物と還元剤の組合せによるレドックス系重合触媒、あるいはアゾ系触媒、例えば2, 2' −アゾビスイソブチロニトリル、及び2,2'ーアゾビス-2- メチルプロピオナミジンジヒドロクロリドを挙げることができる。また必要に応じて公知の連鎖移動剤を適宜併用しても差し支えない。
この発明における疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の共重合体のアルカリ中和を得るために使用するアルカリ物質は、実質的にアニオン性高分子化合物を水溶液化できるものでよく、特に限定するものではないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及びアンモニアが好ましい。得られた共重合体の不透明度向上効果の観点から、前記アルカリ物質を共重合体の酸価に対して中和度50〜100モル%が好ましく、さらに好ましくは90〜100モル%である。中和度が50%以下の場合、水に溶解しきれない場合があり、不透明度向上効果に劣る場合がある。
この発明における疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物の分子量は、2,000〜200,000程度、好ましくは5,000〜100,000である。分子量が低いと充分な不透明度向上効果が得られない。分子量200,000を越えると粘度が高くなり作業性が悪くなる。
この発明に係る填料改質剤は、前記疎水性モノマー(A)とこれと共重合可能なアニオン性ビニルモノマー(B)とを共重合させて得られる共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物そのものであってもよく、またこの発明の目的を阻害しない限り、前記共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物と他の添加剤及び/又は溶剤とを含有しても良い。
他の添加剤としては分散剤、消泡剤、及び防腐剤などを挙げることができる。
溶媒としては例えば水、イソプロピルアルコール等のアルコール類、グリコール類、及びセロソルブ類などの水溶性溶剤等を挙げることができる。
この発明に係る填料改質剤と填料との接触は、パルプスラリー内で行わずに、パルプスラリーを調製する以前に行う必要がある。この発明に係る填料改質剤と填料とその他のパルプスラリー形成成分とを混合してパルプスラリーを調製しても、十分な効果が得られないからである。この発明に係る填料改質剤と填料との接触は、填料スラリーの調製という形で行うことができる。
この発明に係る填料スラリーの調製は、公知の任意の手段によりすることができ、湿潤あるいは乾燥のいずれかの雰囲気において填料と填料改質剤とを混合することにより行うことができ、例えば、填料を含む水を溶媒としたスラリーと填料改質剤とを混合することを挙げることができる。
前記填料としては一般的に使用されているものであれば良く、特に制限はないが例えば、粉砕した天然の石灰石、沈降性炭酸カルシウム(PCC)、クレー、焼成クレー、カオリン、タルク、シリカ、沈降性シリカ、アルミノ珪酸塩、二酸化チタン、ホワイトカーボンなどが挙げられ、特に好ましくは、沈降性炭酸カルシウム(PCC)、タルク、ホワイトカーボンを挙げることができる。
この発明に係る填料スラリーにおける填料改質剤の填料に対する混合比率は、特に制限はないが、好ましくは、一般的な填料に対して填料改質剤を固形分換算で0.02〜5%、更に好ましくは0.1〜3%が好ましい。填料改質剤の量が0.02%よりも少ない場合には、不透明度向上効果が得られるものの実用的ではない場合があり、また、5%よりも多い場合には、使用する填料によっては過度の凝集を引き起こし、一方、紙の地合いが悪化することがあり、填料改質剤を増量したことに見合う不透明度向上効果を期待することができない場合がある。
この発明の填料スラリーは、前記のようにこの発明の填料改質剤と前記填料とを混合することにより得ることができる。
この発明の製紙方法は、前記のようにして得られるこの発明の填料スラリーとパルプスラリーを形成する他の成分とを混合して得られるパルプスラリーを抄紙する方法である。
この発明の製紙方法に使用されるパルプスラリーは、パルプを含有し、前記パルプが水溶媒で分散されることによりスラリー状になった形態を有する。この発明におけるパルプスラリーは、硫酸アルミニウムを用いる酸性系、または、硫酸アルミニウムを全く用いないかあるいは少量用いる中性系のいずれのパルプスラリーであっても良い。
前記パルプとしては、クラフトパルプ、及びサルファイトパルプの晒並びに未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ、及びサーモメカニカルパルプ等の晒並びに未晒高収率パルプ、新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙及び脱墨古紙等の古紙パルプを挙げることができ、これらの一種又は二種以上を使用することができる。また、パルプスラリーにはパルプ以外の種々の添加剤も必要に応じて用いることができる。
前記種々の添加剤としては、この発明の填料改質剤で改良された改質填料以外の填料、サイズ剤、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、紙厚向上剤、歩留り向上剤、及び濾水性向上剤等を挙げることができ、各々の紙種に要求される物性に応じて各種の添加剤が適宜に選択され、使用される。
前記填料としては、クレー、タルク、及び炭酸カルシウム等が挙げられ、これらは単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。サイズ剤としては、ステアリン酸ナトリウムのような脂肪酸石鹸のサイズ剤、ロジン、強化ロジン、及びロジンエステル系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸の水性エマルション、2−オキセタノンの水性エマルション、パラフィンワックスの水性エマルション、カルボン酸と多価アミンとの反応により得られるカチオン性サイズ剤及び脂肪族オキシ酸と脂肪族アミン又は脂肪族アルコールとの反応物の水性エマルション、カチオン性スチレン系サイズ剤等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
乾燥紙力向上剤としては、アニオン性ポリアクリルアミド、カチオン性ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カチオン化澱粉、及び両性澱粉等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用しても良い。湿潤紙力向上剤としては、ポリアミド・エピクロルヒドリン樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、及び尿素・ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いてもよく、アニオン性ポリアクリルアミドを併用しても良い。紙厚向上剤としては、脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物、脂肪酸、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミド、脂肪酸とポリアルキレンポリアミンとのアミドのエピクロロヒドリン付加物、長鎖アルキル基を有するイミダゾリン系化合物、カチオン系界面活性剤等が挙げられ、これらは単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。歩留り向上剤としては、アニオン性、カチオン性、又は両性の高分子量ポリアクリルアミド、シリカゾルとカチオン化澱粉の併用、及びベントナイトとカチオン性高分子量ポリアクリルアミドの併用等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。濾水性向上剤としては、ポリエチレンイミン、カチオン性又は両性又はアニオン性ポリアクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。また、サイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、カレンダーなどで、澱粉、ポリビニルアルコール及びアクリルアミド系ポリマー等の表面紙力向上剤、染料、コーティングカラー、表面サイズ剤、並びに防滑剤などを必要に応じて塗布しても良い。これらは単独で用いても良く、二種以上を併用しても良い。
この発明において、填料改質剤と共に填料スラリーの形態で添加された填料のパルプスラリーにおける含有量は、この発明の目的を達成することができる限り特に制限はなく、製造しようとする紙質に応じて適宜選択することができる。パルプスラリー中に含まれる填料の含有量は、パルプスラリー乾燥重量に対して通常0.5〜40%であり、好ましくは1〜30%である。パルプスラリーにおける填料の含有量が0.5%未満では不透明度向上効果があるもののそれが現れにくく、40%を越えると紙力、サイズ効果等の紙質へ悪影響を及ぼす可能性がある。
前記、パルプスラリーのpHは3〜8であることが好ましく、特にpH6〜8であることが好ましい。
この発明の填料スラリーを添加してパルプスラリーを形成する場合に、従来のパルプスラリーを調製する手順において填料の添加の代わりに填料スラリーが添加されることができ、より具体的には、パルプの水性分散液に又はファンポンプ部の白水中に填料スラリーを添加することができる。
この発明の製紙方法によって得られる紙としては、特に制限されないが、各種の紙、及び板紙が挙げられる。紙の種類としては、PPC用紙、インクジェット印刷用紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、熱転写紙、感熱記録原紙、感圧記録原紙等の記録用紙、印画紙及びその原紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙等のコート原紙、クラフト紙、純白ロール紙等の包装用紙、ティシュペーパー、トイレットペーパー、タオルペーパー、キッチンペーパーなどの家庭用薄葉紙、その他壁紙原紙、ノート用紙、書籍用紙、各種印刷用紙、新聞用紙等の各種紙(洋紙)、マニラボール、白ボール、チップボール等の紙器用板紙、ライナー、石膏ボード原紙等の板紙が挙げられる。
以下、この発明の実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、この発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、各例中、%は特記しない限りすべて質量%である。
(実施例1)(填料改質剤の製造例)
攪拌器、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、水100g、95%イソプロピルアルコール75gを加え、攪拌しながら加熱し、温度を80℃にまで上昇させた。これに、スチレン45g及びアクリル酸55gを混合した単量体混合液と、過硫酸カリウム5gを水120gに溶解した重合開始剤溶液との全量を3時間かけて滴下させ、その後に2時間熟成させて反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に48%水酸化カリウム水溶液89.2g(アクリル酸に対して100モル%)を加え、水で希釈し、スチレンとアクリル酸との共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性スチレン−アクリル酸共重合体の共重合体水溶液1を得た。共重合体中のモノマー構成比は重量比でスチレン/アクリル酸=45/55であった。これを填料改質剤1とした。
比較例17)(填料改質剤の製造)
前記実施例1におけるモノマー組成をスチレン/アクリル酸=45/55から、スチレン/アクリル酸=92/8と変えたこと以外は実施例1と同様にしてスチレン/アクリル酸共重合体の共重合体水溶液2を得た。共重合体中のモノマー構成比は重量比でスチレン/アクリル酸=92/8であった。これを填料改質剤2とした。
比較例18)(填料改質剤の製造)
前記実施例1におけるモノマー組成をスチレン/アクリル酸=45/55から、スチレン/アクリル酸=25/75と変えたこと以外は実施例1と同様にしてスチレン/アクリル酸共重合体の共重合体水溶液3を得た。共重合体中のモノマー構成比は重量比でスチレン/アクリル酸=25/75であった。これを填料改質剤3とした。
(実施例4)(填料改質剤の製造)
前記実施例1におけるモノマー組成をスチレン/アクリル酸=45/55から、スチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸=50/20/30と変えたこと以外は実施例1と同様にしてスチレン−メタクリル酸メチル−アクリル酸共重合体の共重合体水溶液4を得た。共重合体中のモノマー構成比は重量比でスチレン/メタクリル酸メチル/アクリル酸=50/20/30であった。これを填料改質剤4とした。
(実施例5)(填料改質剤の製造)
攪拌器、温度計、還流冷却管及び窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、トルエン44g、ジイソブチレン50g、無水マレイン酸50g及び2,2'−アゾビスイソブチロニトリル3.3gを加え、攪拌しながら加熱し、温度を80℃にまで上昇させた。その後3時間保持し反応を完結させた。その後、48%水酸化カリウム水溶液82g(無水マレイン酸に対して50モル%)、水251gを加え、トルエンを留去した。その後48%水酸化カリウム水溶液を無水マレイン酸に対して合計で100モル%となるように加え、水で希釈し、共重合体の濃度が20%になるように調製し、水溶性共重合体であるジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の共重合体水溶液5を得た。共重合体中のモノマー構成比は重量比でジイソブチレン/無水マレイン酸=50/50であった。これを填料改質剤5とした。
(実施例6)(填料改質剤の製造)
前記実施例5におけるモノマー組成をジイソブチレン/無水マレイン酸=50/50から、炭素数12のα−オレフィン/ジイソブチレン/無水マレイン酸=40/20/40と変えたこと以外は実施例5と同様にしてα−オレフィン−ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体の共重合体水溶液6を得た。共重合体中のモノマー構成比は重量比でα−オレフィン/ジイソブチレン/無水マレイン酸=40/20/40であった。これを填料改質剤6とした。
(実施例7)(填料改質剤の製造)
前記実施例5におけるモノマー組成をジイソブチレン/無水マレイン酸=50/50から、スチレン/無水マレイン酸=50/50と変えたこと以外は実施例5と同様にしてスチレン−無水マレイン酸共重合体の共重合体水溶液7を得た。共重合中のモノマー構成比は重量比でスチレン/無水マレイン酸=50/50であった。これを填料改質剤7とした。
(比較例1)(比較例用填料改質剤の製造)(特許文献6の実施例に相当する)
温度計、冷却器、撹拌機、及び窒素導入管を備えた5リットル四つ口丸底フラスコに、テトラエチレンペンタミン1000g(5.28モル)を仕込み、130℃に昇温した後、ステアリン酸/パルミチン酸混合物(混合重量比65:35)3011g(10.96モル)を徐々に加えた。170℃にまで昇温し、生成する水を除去しながら5時間反応させ、ワックス状のアミド系化合物を得た。このアミド化合物50.0g(残存アミノ基量0.16モル)とイソプロピルアルコール(以下、IPAと略記する)5.5gと水290.4gとを温度計、還流冷却器、撹拌機、及び滴下ロートを備えた1000mLの四つ口フラスコに仕込み(固形分50%)、80℃にまで昇温した後、1時間攪拌した。アミド化合物が、サスペンジョンとなったことを確認した後、50℃まで冷却し、エピクロロヒドリン14.8g(0.16モル)を加え、50℃にて30分反応させた後、次いで、80℃にて4時間反応させた後、冷却して固形分15%のアミド系樹脂を得、これを填料改質剤8とした。
(実施例8)(填料スラリーの調製)
填料改質剤として実施例1で得られた填料改質剤1(固形分20%)1.0gを沈降性炭酸カルシウムスラリー(奥多摩工業(株)製TP121の水分散液。固形分20%。以下、単に「沈降性炭酸カルシウムスラリー」と略することがある。)200gに添加し、均一に攪拌することにより、実施例1で得られた填料改質剤1にて処理した填料スラリーを得た(填料改質剤1:沈降性炭酸カルシウム=0.5:100(質量比))。この填料スラリーを填料スラリー1とした。
(実施例11〜14、比較例19、20)(填料スラリーの調製)
前記実施例8にて使用した填料改質剤1を表1に記載の填料改質剤2〜7に代えたこと以外は実施例8と同様にして填料改質剤により処理した填料スラリーを得た。この填料スラリーを填料スラリー2〜7とした。
Figure 0005207097
(実施例15)(填料スラリーの調製)
填料改質剤として実施例1で得られた填料改質剤1(固形分20%)0.18gを沈降性炭酸カルシウムスラリー(固形分20%)200gに添加し、均一に攪拌することにより、実施例1で得られた填料改質剤1にて処理した填料スラリーを得た(填料改質剤1:沈降性炭酸カルシウム=0.09:100(質量比))。この填料を填料スラリー8とした。
(実施例16)(填料スラリーの調製)
填料改質剤として実施例1で得られた填料改質剤1(固形分20%)8.0gを沈降性炭酸カルシウムスラリー(固形分20%)200gに添加し、均一に攪拌することにより、実施例1で得られた填料改質剤1にて処理した填料スラリーを得た(填料改質剤1:沈降性炭酸カルシウム=4:100(質量比))。この填料を填料スラリー9とした。
(比較例2)(填料スラリーの調製)
前記実施例8にて使用した填料改質剤1を填料改質剤8に代えたこと以外は実施例8と同様にして填料改質剤8により処理した填料スラリーを得た。この填料スラリーを填料スラリー10とした。
(比較例3)(特許文献2の実施例に相当する)
前記実施例8にて使用した填料改質剤1をジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体:日東紡績株式会社製のPAS−H−10Lに代えたこと以外は実施例8と同様にして填料改質剤により処理した填料スラリーを得た。この填料スラリーを填料スラリー11とした。
(実施例17)(填料スラリーの調製)
前記実施例8にて使用した沈降性炭酸カルシウムをタルクに代えたこと以外は実施例8と同様にして填料改質剤により処理した填料スラリーを得た。この填料スラリーを填料スラリー12とした。
(実施例18)(填料スラリーの調製)
前記実施例8にて使用した沈降性炭酸カルシウムをホワイトカーボンに代えたこと以外は実施例8と同様にして填料改質剤により処理した填料スラリーを得た。この填料スラリーを填料スラリー13とした。
(実施例19)(抄紙操作)
広葉樹晒亜硫酸塩パルプ(以下において、LBKPと略することがある。)を、カナディアン・スタンダード・フリーネス400 に調整した濃度2.4%のパルプスラリーに、硫酸バンドをパルプに対して0.5%加えた後、カチオン性澱粉(日本NSC(株)製、CATO304)をパルプに対して0.5%添加し、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC(株)製AD1604)を0.2%添加した。攪拌した後、pH7.5に調整した水道水を用いてパルプ濃度を0.6%に調整し、次いで実施例8の填料スラリー(填料スラリー1)をパルプに対して20%になるように添加してパルプスラリーを調製した後、角型シートマシンにて抄紙して、坪量40g/mの手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度、内部結合強度、ステキヒトサイズ度を下記方法により測定した。測定結果を表2に示した。なお、前記薬品の添加率はパルプ絶乾重量に対する固形分重量比である。
紙中灰分量:JIS P8251 灰分試験方法(525℃燃焼法)
不透明度:JIS P8149 不透明度試験方法
印刷後不透明度:JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.45 新聞用紙−印刷後不透明度試験方法
内部結合強度…JAPAN −TAPPI 紙パルプ試験法No. 18−2 紙及び板紙−内部結合強さ試験方法−第2部:インターナルボンドテスタ法サイズ度…JIS P 8122 紙のステキヒトサイズ度試験方法
(実施例22〜27、比較例4〜5、21、22)(抄紙操作)
前記実施例19の填料スラリー1を填料スラリー2〜9(実施例11〜16、比較例19、20で調製された填料スラリー)、填料スラリー10〜11(比較例2〜3で調製された填料スラリー)に代えたこと以外は実施例19と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度、内部結合強度、ステキヒトサイズ度の測定を行った。実施例22〜27、比較例21、22についての測定結果を表2に、比較例4〜5についての測定結果を表3に示した。
(比較例6)
前記実施例19における填料スラリー1を、填料改質剤1による処理をしていない沈降性炭酸カルシウムに代えたこと以外は実施例19と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度、内部結合強度、ステキヒトサイズ度の測定を行った。測定結果を表3に示した。
(比較例7)
前記比較例6における沈降性炭酸カルシウムのパルプに対する添加量を20%から、21%に代えたこと以外は比較例6と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、比較例6と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度、内部結合強度、ステキヒトサイズ度の測定を行った。測定結果を表3に示した。
(比較例8)(抄紙操作)
LBKPを、カナディアン・スタンダード・フリーネス400に調整した濃度2.4%のパルプスラリーに、硫酸バンドをパルプに対して0.5%加えた後、カチオン性澱粉(日本NSC(株)製、CATO304)をパルプに対して0.5%添加し、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC(株)製AD1604)を0.2%添加した。攪拌した後、pH7.5に調整した水道水を用いてパルプ濃度を0.6%に調整し、次いで実施例1における共重合体水溶液1の水溶液をパルプに対して固形分換算で0.1%添加し、その後、填料改質剤による処理をしていない沈降性炭酸カルシウムスラリー(固形分30%)をパルプに対して20%添加した後、角型シートマシンにて抄紙して、坪量40g/mの手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度、内部結合強度、ステキヒトサイズ度の測定を行った。測定結果を表3に示した。なお、前記薬品の添加率はパルプ絶乾重量に対する固形分重量比である。
(比較例9〜12)
前記比較例8において実施例1の共重合体水溶液1を比較例17、18、実施例4、5の共重合体水溶液2〜5に代えたこと以外は比較例8と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度、内部結合強度、ステキヒトサイズ度の測定を行った。測定結果を表3に示した。
(実施例28)(抄紙操作)
LBKPを、カナディアン・スタンダード・フリーネス400に調整した濃度2.4%のパルプスラリーに、硫酸バンドをパルプに対して0.5%加えた後、カチオン性澱粉(日本NSC(株)製、CATO304)をパルプに対して0.5%添加し、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC(株)製AD1604)を0.2%添加した。攪拌した後、pH7.5に調整した水道水を用いてパルプ濃度を0.6%に調整し、次いで実施例17の填料スラリー12をパルプに対して10%添加した後、角型シートマシンにて抄紙して、坪量40g/mの手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度の測定を行った。測定結果を表4に示した。なお、前記薬品の添加率はパルプ絶乾重量に対する固形分重量比である。
(実施例29)(抄紙操作)
前記実施例28の填料スラリー12を填料スラリー13(実施例18で調製された填料スラリー)に代えたこと以外は実施例25と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度の測定を行った。測定結果を表4に示した。
(比較例13,14)
前記実施例28における填料スラリー12を、填料改質剤5による処理をしていないタルクに代えたこと(比較例13)以外は実施例28と同様にして、前記実施例29における填料スラリー13を、填料改質剤6による処理をしていないホワイトカーボンに代えたこと(比較例14)以外は実施例29と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度の測定を行った。測定結果を表4に示した。
(実施例30)(抄紙操作)
LBKPを、カナディアン・スタンダード・フリーネス400に調整した濃度2.4%のパルプスラリーに、硫酸バンドをパルプに対して0.5%加えた後、カチオン性澱粉(日本NSC(株)製、CATO304)をパルプに対して0.5%添加し、アルキルケテンダイマー系サイズ剤(星光PMC(株)製AD1604)を0.2%添加した。攪拌した後、pH7.5に調整した水道水を用いてパルプ濃度を0.6%に調整し、次いで実施例8の填料スラリー1をパルプに対して15%添加し、さらに実施例17の填料スラリー12をパルプに対して5%になるように添加してパルプスラリーを調製した後、角型シートマシンにて抄紙して、坪量 40g/mの手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度の測定を行った。測定結果を表4に示した。なお、前記薬品の添加率はパルプ絶乾重量に対する固形分重量比である。
(実施例31)(抄紙操作)
前記実施例30の填料スラリー12を填料スラリー13(実施例18で調製された填料スラリー)に代えたこと以外は実施例30と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度の測定を行った。測定結果を表4に示した。
(比較例15,16)
前記実施例30における填料スラリー12を、填料改質剤5による処理をしていないタルク及び填料スラリー1を填料改質剤1による処理をしていない沈降性炭酸カルシウムに代えたこと(比較例15)以外は実施例30と同様にして、前記実施例31における填料スラリー13を填料改質剤5による処理をしていないタルク及び填料スラリー1を填料改質剤1による処理をしていない沈降性炭酸カルシウムに代えたこと(比較例16)以外は実施例31と同様にして手抄き紙を得た。得られた手抄き紙を23℃、RH50%の条件下に24時間調湿した後、実施例19と同様にして紙中灰分量、不透明度、印刷後不透明度の測定を行った。測定結果を表4に示した。
Figure 0005207097
Figure 0005207097
(*1)実施例19〜23、比較例21、22は、填料改質剤1〜5で処理した沈降性炭酸カルシウムを含有する填料スラリーを添加することによりパルプスラリーを調製したのに対して、比較例8〜12においては、沈降性炭酸カルシウムと共重合体水溶液1〜5(填料改質剤1〜5と共重合体しては同じ)とを予め混合して填料スラリーを調整することなく、沈降性炭酸カルシウムと共重合体水溶液1〜5とを別々に添加してパルプスラリーを調製した。
Figure 0005207097
表2〜4に示される結果から明らかなように、この発明の填料改質剤は、従来の填料を改質することにより紙力、サイズ度を維持したまま、不透明度、印刷後不透明度向上効果を奏することができる。

Claims (4)

  1. 疎水性ビニルモノマー(A)及びアニオン性ビニルモノマー(B)の共重合体及び/又はその共重合体のアルカリ中和物の水溶液であり、
    前記疎水性ビニルモノマー(A)がスチレン、(メタ)アクリル酸エステル及び炭素数8〜20のオレフィンより成る群から選ばれる少なくとも一種であり、前記アニオン性ビニルモノマー(B)がカルボキシル基含有ビニルモノマー(b1)であり、前記疎水性ビニルモノマー(A)と前記カルボキシル基含有ビニルモノマー(b1)との重量比が(A):(b1)=(30〜90):(10〜70)であり、
    パルプスラリー調製用の填料スラリーに填料と共に含まれる填料スラリー成分であることを特徴とする填料改質剤。
  2. 前記共重合体のアルカリ中和物が、スチレン−マレイン酸系共重合体のアルカリ中和物、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ中和物、オレフィン−無水マレイン酸共重合体のアルカリ中和物であることを特徴とする請求項1に記載の填料改質剤。
  3. 前記請求項1又は2に記載の填料改質剤を含有することを特徴とする填料スラリー。
  4. 前記請求項3に記載の填料スラリーが混合されて成るパルプスラリーを用いて抄紙することを特徴とする製紙方法。
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