JP2006094793A - ペットフード及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】呈味が良く猫・犬等のペットの嗜好を満足させ食欲を増進させ、またカルシウムの含有量が多くリン,亜鉛等のミネラル、骨髄の脂肪やエキス等の栄養分も含み栄養的にも優れるとともに安全性に優れ、さらに鶏肉や豚肉等を生産するときに生じた小骨や鶏がら,牛骨,豚骨等の畜骨、魚をおろして身を取り除いたあとに残る魚のアラ等の食品廃棄物の有効活用を図ることのできるペットフードを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のペットフードは、焙乾又は燻乾された魚のアラ及び/又は畜骨の粉砕物と、畜肉及び/又は魚肉と、を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、魚のアラや畜骨を利用したペットフード及びその製造方法に関するものである。
従来より、鶏肉や豚肉等を生産するときに生じた小骨や鶏がら,牛骨,豚骨等の畜骨、魚をおろして身を取り除いたあとに残る魚のアラは、一部はスープやブイヨンの加工原料や汁のだし取りに利用されているが、大半のものは利用されずに廃棄されている。
また、一部のものは、カルシウムの強化及び歯の健康増進のため、牛骨、豚骨等の動物骨を乾燥した後に粉砕した骨粉や骨片を混合した犬、猫用のペットフードとして用いられている。
従来の技術としては、例えば(特許文献1)に「動物骨の粉末と粗ゼラチンとを含む凝固物と、肉練り生地と、を混合し所定形状の生製品に形成し、加熱処理した後乾燥するカルシウム強化ペットフード」が開示されている。
特許第2721862号公報
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、動物骨の粉末と粗ゼラチンとを含む凝固物を製造する必要があり、凝固物の製造のために厳格な温度条件での加熱等の加工を要し生産性に欠けるとともに、凝固物はゴムのような歯応えをもつもので、旨味が少なく嗜好性に欠けるという課題を有していた。
(2)動物骨の粉末と粗ゼラチンとを含む凝固物を含有するペットフードは、カルシウム含量は高いが、必須アミノ酸や炭水化物、各種ビタミン等の含有量が少なく栄養バランスに欠けるという課題を有していた。
本発明は上記従来の課題を解決するもので、嗜好性が高くペットの食欲を増進させ、またカルシウムの含有量が多くリン,亜鉛等のミネラルも含み栄養的にも優れるとともに安全性に優れ、さらに食品廃棄物の有効活用を図ることのできるペットフードを提供することを目的とする。
また、本発明は、生産性に優れ、またドライタイプ、セミモイストタイプ等の種々の形態のペットフードが製造可能なペットフードの製造方法を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために本発明のペットフード及びその製造方法は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のペットフードは、焙乾又は燻乾された魚のアラ及び/又は畜骨の粉砕物と、畜肉及び/又は魚肉と、を含有した構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)カルシウムの含有量が多くリン,亜鉛等のミネラルも含む魚のアラや畜骨の粉砕物を含有しているので、栄養的に優れる。
(2)魚のアラや畜骨といった食品廃棄物を用いているため、食品廃棄物を有効に利用できる。
(3)焙乾又は燻乾された魚のアラや畜骨の粉砕物を含有しているので、呈味が良く、猫・犬等のペットの嗜好を満足させ食欲を増進させるとともに顎の強化を図ることができる。
(4)魚のアラや畜骨の粉砕物を含有しているので、骨髄の脂肪やエキス等の栄養分に優れる。
ここで、魚のアラとしては、魚をおろして身を取り除いた後に残る頭,かま,中骨等が用いられ、主として練り製品の原料となるすり身を製造する際に残渣として生じるものである。魚は、イワシ,タラ,スケトウタラ,メルルーサ,ホキ,サケ等を用いることができるが、これに限られるものではない。
魚のアラの中骨には脂肪の多い魚肉が多量に付着しているため、この魚肉も一緒に粉砕して用いたり、畜肉に加えたりすることで、ペットフードの呈味成分を増加させ嗜好性を向上させることができる。
畜骨としては、鶏肉やダチョウ肉等の鳥肉を生産するときに生じた頭部及び足以外の骨で、頸骨から背骨や肋骨が一体となった部分であるガラ、ももや足の小骨等の鳥骨が用いられる。また、牛、馬、豚、羊等の家畜から食肉を生産したときに生じた大腿骨、上腕骨、肋骨等の骨を用いることができる。畜骨には肉が付着していなくてもよいが、多少付着している方が好ましい。呈味成分や嗜好性を増加させ食欲を増加させることができるからである。特に、軟らかな雛骨や軟骨が好適に用いられる。雛骨は軟らかく食し易く、また軟骨は弾力性のある独特の食感が得られるからである。
鳥骨のなかでは、ガラが好適に用いられる。ガラは、小さな骨が集合しているため食し易い大きさに容易に粉砕できるとともに、軟骨等に呈味成分が多く含まれているからである。
焙乾としては、煮熟したアラや畜骨を放冷し焙乾炉内で堅木等を燃やして乾燥させるものが用いられる。
燻乾としては、木材等の燻材を燃焼あるいは燻して煙を発生させアラや畜骨に付着させるものが用いられる。塩漬けや各種調味漬け等の前処理を行うこともできる。燻煙中のタール等の成分が魚のアラや畜骨の表面に付着し、一部は内部に浸透するので、独特の風味が得られ呈味成分を増やし食欲を増進させるとともに、細菌の発生を抑え殺菌作用が付与され、さらに油脂の酸化を防止し品質が低下するのを防止でき貯蔵性を付与できる。
燻材としては、ナラ、カシ、カエデ、クヌギ、ヒバ、サクラ等の種々の木材、緑茶葉等の茶葉、柑橘類やブドウ等の果実の果皮の1種又は複数種を用いることができる。
燻材として用いる茶葉は、茶を煎じた後の食品廃棄物としての茶葉(茶殻)を用いると、食品廃棄物の有効利用を図ることができ好ましい。また、果皮も食品廃棄物の有効利用を図ることができるので好ましい。
畜骨や魚のアラは、焙乾や燻乾によって、水分量が40%以下好ましくは20%以下になるまで乾燥させるのが好適である。腐敗を防止するためである。水分量が20%より多くなるにつれ微生物が発育し易くなり早期に品質低下がみられるとともに腐敗し易くなる傾向がみられ、特に40%より多くなると、この傾向が著しいため好ましくない。
魚のアラや畜骨の粉砕物は、チョッパー、カッター、衝撃式粉砕機等、通常食品産業で利用される粉砕機を用いて製造することができる。魚のアラや畜骨を熱水処理や加圧蒸煮、冷凍処理等した後に粉砕することもできる。粉砕し易くするためである。
また、粉砕物を温風乾燥や凍結乾燥等によって乾燥処理したものを用いることもできる。乾燥処理することによって、粉砕物の保存性を高めることができるので好適に用いられる。
粉砕物の大きさとしては、0.1〜10mm好ましくは0.5〜5mmより好ましくは0.5〜2mmのものが好適に用いられる。粉砕物の大きさが0.5mmより小さくなるにつれ粉砕効率が低下し生産性が低下する傾向がみられ、大きさが2mmより大きくなるにつれ胃腸等を傷つけ易くなる傾向が現れる。5mmより大きくなるにつれ子犬等には大きすぎて食し難くなる傾向が現れる。特に、0.1mmより小さくなるか10mmより大きくなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
なお、畜骨として鳥、牛、豚等の軟骨を用いる場合は、粉砕物の大きさは1〜15mm好ましくは2〜10mmのものが好適に用いられる。粉砕物の大きさが2mmより小さくなるにつれ軟骨の弾力性のある食感が得られなくなる傾向がみられ、10mmより大きくなるにつれ粒々して違和感が生じ嗜好性が低下する傾向がみられる。特に、1mmより小さくなるか15mmより大きくなると、これらの傾向が著しくなるため、いずれも好ましくない。
畜肉としては、牛、馬、豚、羊、鶏、ダチョウ、七面鳥等の獣鳥類の肉が1種以上用いられる。
牛肉、豚肉、鶏肉の場合は、原料が豊富であり量産性に優れ好ましい。
畜肉としてダチョウ肉を用いると、以下の作用が得られ好ましい。
(1)ダチョウ肉は牛肉と同等のタンパク質と、牛肉以上の鉄分を含有しており、また脂肪が少ないためカロリーが低くコレステロールも低いため、低カロリーの魚のアラや畜骨の粉砕物を含有させることにより、高タンパク低カロリーでかつ鉄分の含有量が多い健康的なペットフードを提供できる。
(2)赤身が多く脂肪が少ないダチョウ肉を魚のアラや畜骨の骨髄が含有する脂肪で補うことができ、呈味を高め嗜好性を高めることができる。魚のアラや畜骨はコラーゲン等のタンパク質、リン等のミネラルに加え、脂肪、呈味成分が含まれているからである。
(3)ダチョウ肉は生肉を食することができる程細菌数が少なく、またダチョウは環境適応力が高いため全国で飼育できるとともに病気にも強く、また屠畜まで12ヶ月程度で飼育効率が高いため、病気に対する耐性を高めるため飼育中のダチョウに大量の薬剤を与えなくても効率良く食肉の生産ができるので薬害が少なく安全性に優れる。
畜肉としては、部分肉や屑肉を挽肉機で細かくしたものが用いられる。特に屑肉を用いると、一体の家畜から低コストで多量の畜肉を生産することができるとともに屑肉の有効利用を図ることができ好適である。
魚肉としては、魚のアラの中骨に付着していた魚肉の他、イワシ,タラ,スケトウタラ,メルルーサ,ホキ,サケ等の魚肉を用いることができるが、これに限られるものではない。
ペットフードには、用途に応じて調味料等を加えることができる。また、畜肉と粉砕物とを結着し易くするために小麦粉,コーンスターチ,タピオカ澱粉等の澱粉を加えることもできる。
澱粉の含有量としては、畜肉と粉砕物の総量に対して3〜30重量%が好適に用いられる。澱粉の含有量が3重量%より少なくなるにつれ、畜肉と粉砕物とが結着し難く成形性に欠け成形体の製造が困難になる傾向がみられ、30重量%より多くなるにつれ畜肉や粉砕物の旨味が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
ペットフードに加えられる調味料としては、味噌、醤油、塩のいずれか1種以上が用いられる。調味料の香りや塩気により、食欲を増進させることができる。
醤油や塩の添加割合としては、ペットフードの全量に対し0.001〜5重量%好ましくは0.01〜3重量%が好適である。添加割合が0.01重量%より少なくなるにつれ塩気が感じられ難く体調の悪いペットの食欲を増進させ難くなる傾向がみられ、3重量%より多くなるにつれ味付けが濃くなりペットが好まなくなり高血圧等の健康上の害も生じる傾向がみられる。特に、0.001重量%より少なくなるか5重量%より多くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
味噌の添加割合としては、ペットフードの全量に対し0.1〜20重量%好ましくは1〜10重量%が好適である。添加割合が1重量%より少なくなるにつれ塩気が感じられ難く体調の悪いペットの食欲を増進させ難くなる傾向がみられ、10重量%より多くなるにつれ味付けが濃くなりペットが好まなくなり高血圧等の健康上の害も生じる傾向がみられる。特に、0.1重量%より少なくなるか20重量%より多くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
味噌、醤油、塩の他、調味料として、ペットの種類によっても異なるが、かつおだし、昆布だし、しいたけだし、砂糖、胡麻、みりん風調味料、アミノ酸調味料の内1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
また、ペットフードには、ミカン,カボス等の柑橘類やブドウ等の果実の果皮、果実の種、サツマイモ等の野菜類の皮の1種又は複数種を加えることもできる。これにより、香りを付与することができるともに、柑橘類や野菜類の果皮に含まれるビタミンC等やブドウ等の果皮や種に含まれるポリフェノール等を加えることができ、栄養価を高めることができる。また、食品工場等で大量に発生する食品廃棄物としての果皮や種を有効に利用でき、省資源性に優れる。
果皮等は乾燥させた後、粉砕して粉状にしてペットフードに加えることができる。
乾燥させた果皮等の含有量としては、畜肉と粉砕物の総量に対して1〜5重量%好ましくは2〜4重量%が好適に用いられる。果皮等の含有量が2重量%より少なくなるにつれ、果皮等の添加によるポリフェノール等の強化効果がみられなくなる傾向がみられ、4重量%より多くなるにつれ畜肉や粉砕物の旨味が低下する傾向がみられる。特に、1重量%より少なくなるか5重量部より多くなると、この傾向が著しいため好ましくない。
また、ペットフードには、ビタミンD類を加えるのが好ましい。カルシウムの吸収性を高めるからである。
ペットフードは、成形体又は粒状の乾燥物にすることによりドライタイプ、セミモイストタイプ、ウェットタイプ等、種々の形態にして用いることができる。
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のペットフードであって、前記粉砕物100重量部と、前記畜肉5〜500重量部好ましくは10〜200重量部と、を含有した構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)粉砕物100重量部と畜肉5〜500重量部とを含有しているので、畜肉の旨味と弾力に粉砕物の歯応えを加え嗜好性を高めることができるとともに、タンパク質、鉄分、脂肪、カルシウムの栄養素のバランスを整えることができる。
ここで、粉砕物100重量部に対する畜肉の含有量が10重量部より少なくなるにつれ、弾力が少なく噛み応えがなくテクスチャーに欠け肉の旨味も感じられなくなる傾向がみられ、200重量部より多くなるにつれ、弾力は増すが粉砕物の歯応えが感じられなくなる傾向がみられる。特に、5重量部より少なくなるか500重量部より多くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
なお、粉砕物の重量は、焙乾又は燻乾後の魚のアラや畜骨の重量をいう。
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のペットフードであって、前記粉砕物100重量部に対し、糠を2〜100重量部好ましくは5〜80重量部含有した構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)粉砕物100重量部に対し糠を2〜100重量部含有しているので、肉の旨味はそのままにして糠が有する無機質やビタミン等によって栄養を強化することができる。
(2)精穀や製粉等によって大量に発生するがあまり活用されておらず大半のものが廃棄されている糠の利用拡大を図ることができ、廃棄物を有効に利用することができる。
ここで、糠としては、米糠,小麦ふすま,麦糠等の穀類の精穀や製粉等により除かれた外皮が用いられる。なかでも米糠が好適に用いられる。玄米を精白する際に大量に発生し、脂肪、タンパク質、無機質、ビタミンB群等を多量に含み、栄養価が高いからである。
糠は、焙焼したものを用いるのが好ましい。糠中のタンパク質、脂肪、糖質等から熱反応によって、独特の味、香りが形成されるため旨味を増すことができるからである。
なお、粉砕物100重量部に対する糠の含有量が5重量部より少なくなるにつれ、糠の栄養を付与し難くなる傾向がみられ、80重量部より多くなるにつれ、ざらざらして食感が低下するとともに肉の旨味が少なくなり嗜好性が低下する傾向がみられる。特に、2重量部より少なくなるか100重量部より多くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載のペットフードであって、前記粉砕物100重量部に対し、おからを5〜100重量部好ましくは10〜70重量部含有した構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)粉砕物100重量部に対しおからを5〜100重量部含有しているので、おからが有する炭水化物、タンパク質によって栄養バランスを整えることができるとともに、おからが有する食物繊維によって肥満、糖尿病、高血圧等の疾病の予防が期待できる。
(2)おからが有する食物繊維によって、便通をよくするとともに糞便臭気を抑制させることができる。
(3)豆腐製造時の豆乳の絞り粕であり大量に発生するがあまり活用されておらず大半のものが廃棄されているおからの利用拡大を図ることができ、廃棄物を有効に利用することができる。
ここで、粉砕物100重量部に対するおからの含有量が10重量部より少なくなるにつれ、おからが有する旨味や栄養、食物繊維の効果を付与し難くなる傾向がみられ、70重量部より多くなるにつれ、パサパサして食感が低下するとともに嗜好性が低下する傾向がみられる。特に、5重量部より少なくなるか100重量部より多くなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載のペットフードであって、前記糠及び/又は前記おからが、スープで煮込まれ下味が付けられた構成を有している。
この構成により、請求項3又は4で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)糠やおからがスープで煮込まれ下味が付けられているので、スープが有するビタミン等の栄養分と旨味とを付与することができ、栄養価を高めるとともに嗜好性を高め、ペットの食欲を増進させることができる。下味が付いていない糠等の含有量が増加するにつれペットの食欲が低下することがわかったからである。
ここで、スープとしては、獣鳥,魚介類の骨、屑肉の1種以上と野菜類とを含有したスープ原料を水で煮て得られたものが用いられる。スープ原料に各種香辛料を加えることもできる。また、獣鳥,魚介類の骨として、焙乾又は燻乾が施されたものを用いると、呈味を良くすることができるため好適である。
また、スープで煮込んで糠やおからに下味を付ける際には、各種調味料を加えることができる。
なお、糠やおからをスープで煮込む際に、米、ジャガイモ等の野菜類の1種以上を一緒に煮込み、スープを米や野菜類に吸収させ、スープを吸収した糠等及び米、野菜類の1種以上とを粉砕して粉状にし、これを粉砕物及び畜肉に加えるのが好ましい。糠等だけでなく、米等がスープの旨味や栄養分を吸収するため、畜肉等に多くの旨味や炭水化物・各種ビタミン類を付与することができるとともに、米や野菜類の旨味も加えることができるからである。
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の内いずれか1に記載のペットフードであって、前記粉砕物100重量部に対し、茶葉を1〜5重量部含有した構成を有している。
この構成により、請求項1乃至5の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)粉砕物100重量部に対し茶葉を1〜5重量部含有しているので、茶葉が有するカテキン類やカテキン類の酸化重合体が畜肉等の酸化による変敗を防止し、また抗菌性、抗がん性、抗アレルギー性、脱臭性を付与することができる。
(2)茶葉が有するビタミンCによって、栄養価を高めるとともに栄養バランスを高めることができる。
(3)茶葉が有する食物繊維によって、便通をよくするとともに糞便臭気を抑制させることができる。
ここで、茶葉としては、紅茶等の発酵茶用の茶葉、ウーロン茶や包種茶等の半発酵茶用の茶葉、プアール茶等の後発酵茶用の茶葉、緑茶等の不発酵茶用の茶葉等が用いられる。
茶葉は、茶を煎じた後の食品廃棄物としての茶葉を用いると、食品廃棄物の有効利用を図ることができ好ましい。
茶葉は、乾燥させたものを平均粒径0.1〜0.5mmに粉砕して用いるのが好ましい。食感を低下させないようにするとともに消化吸収を良くするためである。茶葉の平均粒径が0.1mmより小さくなるにつれ茶葉を粉砕する際の効率が低く生産性が低下する傾向がみられ、0.5mmより大きくなるにつれ食感が低下するとともに消化吸収性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
なお、粉砕物100重量部に対する茶葉の含有量が1重量部より少なくなるにつれ、茶葉が有する抗酸化性、抗菌性等の効果を付与し難くなる傾向がみられ、5重量部より多くなるにつれ、パサパサして食感が低下するとともに嗜好性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
本発明の請求項7に記載のペットフードの製造方法は、魚のアラ及び/又は畜骨を焙乾又は燻乾する乾燥処理工程と、前記乾燥処理工程で焙乾又は燻乾された前記魚のアラ及び/又は畜骨を圧力120〜210kPa、温度105〜120℃の条件下で加圧蒸煮した後、粉砕して粉砕物を得る粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粉砕物に畜肉及び/又は魚肉を加え混練して混練物を得る混練工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)魚のアラや畜骨に乾燥処理を行う乾燥処理工程と、粉砕工程で得られた粉砕物に畜肉や魚肉を加え混練して混練物を得る混練工程と、を備えているので、ドライタイプ、セミモイストタイプ等の種々の形態のペットフードを製造できる。
(2)魚のアラや畜骨を圧力120〜210kPa、温度105〜120℃の条件下で加圧蒸煮する粉砕工程を備えているので、魚のアラや畜骨のタンパク質を変性させ、中型以上の硬骨魚類の魚のアラや畜骨であっても軟化させて粉砕し易くすることができ生産性に優れるとともに骨の違和感をなくし食べ易くできる。
(3)温度105〜120℃の条件下で加圧蒸煮するので、殺菌ができ衛生性に優れる。
(4)加圧蒸煮することで魚のアラや畜骨のタンパク質を変性させるので、粉砕物が変質するのを抑制でき保存性を高めることができるとともに、ペットフードの弾性が低下し食感が低下するのを防止できる。
(5)加圧蒸煮することで骨の髄質から旨味成分が溶け出し、コラーゲン,ムコ多糖類,アミノ酸,カルシウム,鉄,亜鉛等のミネラルを含むマローを短時間で得ることができ、旨味を増し栄養価を高めることができる。
ここで、加圧蒸煮の圧力が120kPaより低く温度が105℃より低くなるにつれ、短時間で十分に軟化できなくなる傾向がみられ、圧力が210kPaより高く温度が120℃より高くなるにつれ堅牢な加圧容器等が必要になるとともに省エネルギー性に欠けるため、いずれも好ましくない。
加圧蒸煮の処理時間としては、畜骨や魚のアラを十分に軟化できる20〜60分が好適である。処理時間が20分より短くなるにつれ、十分に軟化できなくなる傾向がみられ、60分より長くなるにつれ、処理時間が長くなり生産性が低下する傾向がみられるため、いずれも好ましくない。
畜骨や魚のアラは加圧蒸煮されることによって、乾燥処理後の魚のアラや畜骨の75〜10%好ましくは60〜20%に脱脂されているのが好ましい。畜骨や魚のアラの脂質が、乾燥処理後の魚のアラや畜骨の60%を超えるにつれ脂肪分が多すぎ、畜肉と混練した際に油っぽくベタベタした食感になり、特に子犬等では下痢症状が現れる傾向がみられ、20%未満に脱脂するにつれ栄養価を低下させるとともに嗜好性を低下させる傾向がみられる。特に、75%より多くなるか10%より少なくなると、これらの傾向が著しいため、いずれも好ましくない。
乾燥処理工程の以前に、畜骨や魚のアラを血抜き洗浄する血抜き洗浄工程を行うこともできる。これは、特に畜骨を用いる場合、汚物や土、血液等が付着している場合に効果的である。処理方法は、5〜30分間、水や熱水、次亜塩素酸ソーダ,二酸化塩素の希釈水溶液等に浸漬処理して洗浄、血抜きを行うものであり、保存性や品質を高めることができる。冷凍骨の場合は、希薄次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素等の溶液中で解凍、血抜きを行いながら水洗してもよい。
畜骨や魚のアラを加圧蒸煮した後、冷却処理を行うのが好ましい。加圧蒸煮によって変質された畜骨や魚のアラの組織が冷却されることによって粉砕され易くなり、また油脂分を固化させることができるので髄質から溶け出したマローが流出してしまうのを防止できるからである。
冷却処理方法としては、加圧蒸煮後に減圧下で水分を蒸発させ、その蒸発潜熱により冷却する真空乾燥法、加圧蒸煮後に除冷し、次いで−5〜0℃の冷蔵室で冷却する冷蔵法、油脂分の溶出を防止する急速冷却法等を用いることができる。
混練工程において得られた混練物は、缶詰等に充填したり、所定の形状に成形したり、粒状の乾燥物にすることによりドライタイプ、セミモイストタイプ、ウェットタイプ等、種々の形態のペットフードとして用いることができる。
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のペットフードの製造方法であって、前記混練工程において、糠,おから,茶葉の1種以上を所定量加え混練する構成を有している。
この構成により、請求項7で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)混練工程において糠やおから等を所定量加え混練するので、畜肉等の水分や油分等を糠やおからに吸収させて混練物のべた付きを抑え、混練し易くして生産性を高めることができる。
(2)糠やおから等が有する炭水化物やビタミン類等によって栄養バランスのとれたペットフードを製造することができる。
ここで、糠は請求項3、おからは請求項4、茶葉は請求項6で説明したものと同様なので、説明を省略する。また、糠やおからは、請求項5で説明したのと同様に、スープで煮込み下味を付けたものを混練することもできる。
本発明の請求項9に記載の発明は、請求項7又は8に記載のペットフードの製造方法であって、前記混練工程で得られた混練物を所定形状に成形し成形体を得る成形工程と、前記成形工程で得られた成形体を焙乾又は燻乾する焙乾・燻乾工程と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項7又は8で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)成形体を焙乾又は燻乾する焙乾・燻乾工程を備えているので、燻煙中のタール等の成分が成形体の表面に付着し、一部は内部に浸透し、独特の風味が得られ呈味成分を増やすとともに、細菌の発生を抑え殺菌作用が付与され、さらに油脂の酸化を防止し品質が低下するのを防止でき貯蔵性を高めることができる。
ここで、焙乾・燻乾工程の焙乾や燻乾、燻材としては、請求項1で説明したのと同様なので、説明を省略する。
なお、成形体に各種調味漬け等の前処理を行うこともできる。
以上のように、本発明のペットフード及びその製造方法によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1の発明によれば、
(1)栄養的に優れるとともに豊富なカルシウムによって骨粗しょう症等の予防にも好適なペットフードを提供することができる。
(2)魚のアラや畜骨といった食品廃棄物を用いているため、食品廃棄物を有効に利用できるペットフードを提供することができる。
(3)猫・犬等のペットの嗜好を満足させ食欲を増進させるとともに顎の強化を図ることができ、飼料としても最適なペットフードを提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)畜肉の旨味と弾力に粉砕物の歯応えを加え嗜好性を高めることができるとともに、タンパク質、鉄分、脂肪、カルシウムの栄養素のバランスに優れたペットフードを提供することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)肉の旨味はそのままにして糠が有する無機質やビタミン等によって栄養を強化できるペットフードを提供することができる。
(2)精穀や製粉等によって大量に発生するがあまり活用されておらず大半のものが廃棄されている糠の利用拡大を図ることができ、廃棄物を有効に利用することができ省資源性に優れたペットフードを提供することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)肉の旨味はそのままにして、おからが有する炭水化物、タンパク質によって栄養バランスを整えることができるとともに、おからが有する食物繊維によって肥満、糖尿病、高血圧等の疾病の予防が期待できるペットフードを提供することができる。
(2)おからが有する食物繊維によって、便通をよくするとともに糞便臭気を抑制させることができるペットフードを提供することができる。
(3)豆腐製造時の豆乳の絞り粕であり大量に発生するがあまり活用されておらず大半のものが廃棄されているおからの利用拡大を図ることができ、廃棄物を有効に利用することができ省資源性に優れたペットフードを提供することができる。
請求項5の発明によれば、請求項3又は4の効果に加え、
(1)スープが有するビタミン等の栄養分と旨味とを付与することができ、栄養価を高めるとともに嗜好性を高め、ペットの食欲を増進させるペットフードを提供することができる。
請求項6の発明によれば、請求項1乃至5の内いずれか1の効果に加え、
(1)茶葉が有するカテキン類やカテキン類の酸化重合体が畜肉等の酸化による変敗を防止し、また抗菌性、抗がん性、抗アレルギー性、脱臭性に優れたペットフードを提供することができる。
(2)茶葉が有するビタミンCによって、栄養価が高く栄養バランスに優れたペットフードを提供することができる。
(3)茶葉が有する食物繊維によって、便通をよくするとともに糞便臭気を抑制させることができるペットフードを提供することができる。
請求項7の発明によれば、
(1)ドライタイプ、セミモイストタイプ等の種々の形態のペットフードを製造できるペットフードの製造方法を提供することができる。
(2)魚のアラや畜骨のタンパク質を変性させ、中型以上の硬骨魚類の魚のアラや畜骨であっても軟化させて粉砕し易くすることができ生産性に優れ、骨の違和感をなくし食べ易いペットフードを提供できるペットフードの製造方法を提供することができる。
(3)殺菌ができ衛生性に優れたペットフードの製造方法を提供することができる。
(4)加圧蒸煮することで魚のアラや畜骨のタンパク質を変性させるので、粉砕物が変質するのを抑制でき保存性を高めることができるとともに、ペットフードの弾性が低下し食感が低下するのを防止できるペットフードの製造方法を提供することができる。
(5)加圧蒸煮することで骨の髄質から旨味成分が溶け出し、コラーゲン,ムコ多糖類,アミノ酸,カルシウム,鉄,亜鉛等のミネラルを含むマローを短時間で得ることができ、旨味を増し栄養価を高めることができるペットフードの製造方法を提供することができる。
請求項8の発明によれば、請求項7の効果に加え、
(1)畜肉等の水分や油分等を糠やおからに吸収させて混練物のべた付きを抑え、混練し易くして生産性に優れたペットフードの製造方法を提供することができる。
(2)糠やおからが有する炭水化物やビタミン類等によって栄養バランスのとれたペットフードを製造できるペットフードの製造方法を提供することができる。
請求項9の発明によれば、請求項7又は8の効果に加え、
(1)独特の風味が得られ呈味成分を増やすとともに、細菌の発生を抑え殺菌作用が付与され、さらに油脂の酸化を防止し品質が低下するのを防止でき貯蔵性を高めることができ、保存料等の食品添加物の使用量を低減させることができるペットフードの製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
約15%濃度の食塩水にアジのアラを1時間浸漬し、水切り後、60〜80℃の温度で約2時間、ナラ等を燻した燻煙をかけ燻乾した魚のアラを得た(乾燥処理工程)。
乾燥処理後のアジのアラと水100gとを圧力容器に入れ、圧力210kPa、温度120℃の条件下で30分間加圧蒸煮した。冷却処理の後、圧力容器からアラを取り出し、フードプロセッサを用いてアラを粉砕し、大きさが0.5〜2mmの粉砕物を得た(粉砕工程)。
次に、家畜のダチョウの屑肉から挽肉機を用いて挽肉100gを得、粉砕物と混練して混練物を得た(混練工程)。
この混練物に醤油を加え調味した後、小判型に成形しフライパンで両面焼いて実施例1のペットフードを得た。
(実施例2)
乾燥処理工程において、アジのアラ200gを煮熟し放冷した後、蒸篭に並べ焙乾炉内でナラ,クヌギ等の堅木を燃やして約1時間乾燥し、焙乾された魚のアラを得た以外は、実施例1と同様にして、実施例2のペットフードを得た。
(実施例3)
解体直後の畜骨の鶏がら200gを準備し、血抜き洗浄工程で流水中に浸漬し洗浄を行った。次いで、約15%濃度の食塩水に1時間浸漬し、水切り後、60〜80℃の温度で約2時間燻煙をかけ燻乾した鶏がらを得た(乾燥処理工程)。乾燥処理後の鶏がらと水100gとを圧力容器に入れ、圧力210kPa、温度120℃の条件下で40分間加圧蒸煮した。脱脂率を測定したところ、骨髄等の脂肪分は、乾燥処理後の鶏がらの20〜40%に脱脂されていた。
次いで、この鶏がらを室温以下で冷蔵庫で急速冷却した後、フードプロセッサを用いて鶏がらを粉砕し、大きさが0.5〜2mmの粉砕物を得た(粉砕工程)。冷却処理後の鶏がらは、骨髄が凝固しており流出せずに粉砕できた。
次に、挽肉機を用いて畜肉としてのダチョウの屑肉から挽肉100gを得、粉砕物と混練して混練物を得た(混練工程)。
この混練物を醤油で調味した後、小判型に成形しフライパンで両面焼いて実施例3のペットフードを得た。
次に、得られたペットフードについて組成分析を行った。その結果を(表1)に示す。
Figure 2006094793
(表1)から明らかなように、本実施例のペットフードは、粗脂肪の含有率が4〜9%と極めて低いことがわかった。また、粗タンパク質やリン、カルシウムの含有率が高く、獣医からも高い評価を得た。
(実施例4)
実施例1で得られた混練物300gに炒った米糠15gを加え混練した(混練工程)。
この混練物を醤油で調味した後、その300gを小判型に成形しフライパンで両面焼いて実施例4のペットフードを得た。
(実施例5)
実施例3で得られた混練物300gにおから15gを加え混練した(混練工程)。
この混練物を醤油で調味した後、その300gを小判型に成形しフライパンで両面焼いて実施例5のペットフードを得た。
(実施例6)
牛の骨、屑肉と人参,ハーブ等の野菜類とを含有したスープ原料と水とを弱火で約4時間煮て、灰汁をすくい取り濾したスープに、おからを加えて煮込み、おからに下味を付けた。
このおからを乾燥した後、乾燥後のおから15gを実施例3の混練工程後の混練物300gに加えて混練した。
この混練物を醤油で調味した後、その300gを小判型に成形しフライパンで両面焼いて実施例6のペットフードを得た。
(実施例7)
実施例5の混練工程で得られた315gの混練物の内300gを、小判型に成形し成形体を得た(成形工程)。この成形体に60〜80℃の温度で約2時間、ナラ等を燻した燻煙をかけ(焙乾・燻乾工程)、実施例7のペットフードを得た。
(比較例1)
実施例1と同様の畜肉としてのダチョウ挽肉300gに醤油を加えて調味したものをよく練った後、小判型に成形しフライパンで両面焼いて比較例1のペットフードを得た。
(比較例2)
アジのアラ200gと水100gとを圧力容器に入れ、圧力210kPa、温度120℃の条件下で30分間加圧蒸煮した。その後、圧力容器からアラを取り出し、フードプロセッサを用いてアラを粉砕し、大きさが0.5〜2mmの粉砕物を得た。
次に、挽肉機を用いてダチョウの屑肉から挽肉100gを得、粉砕物と混練して混練物を得た。
この混練物に醤油を加え調味した後、小判型に成形しフライパンで両面焼いて比較例2のペットフードを得た。
比較例2のペットフードは、乾燥処理工程を有していない点で、実施例1と異なる。
(ペットの飼料としての評価)
2〜3歳の小型犬10頭に実施例1〜7、比較例1〜2のペットフードを空腹時に与え、完全に食べ尽くすまでの時間を測定し、その平均時間を求めた。
その平均時間を(表2)に示す。
Figure 2006094793
(表2)から明らかなように、実施例1〜7のペットフードは、比較例1〜2と比較して、犬が短時間で食べ尽くしたことから、ペットの嗜好を充たし著しく食欲をそそるものであることがわかった。本実施例のペットフードは、アラや鶏がらの骨髄から流出した脂質分が旨味を増すためペットの嗜好を充たし、さらに骨髄をそのまま利用しているので栄養的にも優れているとの獣医の評価も得た。
また、実施例5と実施例6とを比較して、おからに下味を付けた実施例6のペットフードを食べ尽くした時間が、実施例5のペットフードを食べ尽くした時間より短いことから、おからに下味を付けることにより嗜好性が高まり、ペットの食欲を旺盛にできることが明らかになった。
また、魚のアラや鶏がら等の畜骨の天然の旨味を利用しているため、醤油等で簡単な味付けをしただけでも、嗜好性の高いペットが好むペットフードが得られることがわかった。
実施例5と実施例7とを比較して、焙乾・燻乾工程を加えた実施例7のペットフードを食べ尽くした時間が、実施例5のペットフードを食べ尽くした時間より短いことから、焙乾・燻乾工程を加えることにより、嗜好性を高められることが明らかになった。
さらに、畜肉としてダチョウ挽肉以外の牛の挽肉、豚の挽肉、鶏の挽肉を用いてペットフードを製造したところ、本実施例と同様に、いずれもペットに嗜好されるものであることがわかった。
また、混練工程において、乾燥したブドウの果皮を粉砕して粉状にしたものを畜肉と粉砕物の総量に対し4重量%混合した以外は、実施例3と同様にしたペットフードも作成した。このペットフードを上述の実施例と同様に犬に与えたところ、実施例3と同様に短時間で食べ尽くした。この結果から、果皮を加えることで、ペットの食欲を満足させるだけでなく、果皮に含まれるポリフェノール等の栄養素も取得させられることが明らかになった。この傾向は、ブドウの果皮だけでなく、ミカン,カボス等の柑橘類の果皮、サツマイモ等の野菜の皮、果実の種を加えた場合も同様であった。
また、混練工程において、緑茶を抽出した茶葉(茶殻)を乾燥したものを平均粒径0.2mmに粉砕した茶殻粉末を、粉砕物100重量部に対し4重量%混合した以外は、実施例3と同様にしたペットフードも作成した。このペットフードを上述の実施例と同様に犬に与えたところ、実施例3と同様に短時間で食べ尽くした。この結果から、茶葉を加えることで、ペットの食欲を満足させるだけでなく、茶葉による抗アレルギー性、脱臭性等を付与でき、茶葉の食物繊維によって便通を良くするとともに糞便臭気を抑制できることが明らかになった。この傾向は、緑茶だけでなく、紅茶、ウーロン茶等でも同様であった。
本発明は、魚のアラや畜骨を利用したペットフード及びその製造方法に関し、嗜好性が高くペットの食欲を増進させ、またカルシウムの含有量が多くリン,亜鉛等のミネラルも含み栄養的にも優れるとともに安全性に優れ、さらに食品廃棄物の有効活用を図ることのできるペットフードを提供することができ、また、生産性に優れ、またドライタイプ、セミモイストタイプ等の種々の形態のペットフードが得られるペットフードの製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. 焙乾又は燻乾された魚のアラ及び/又は畜骨の粉砕物と、畜肉及び/又は魚肉と、を含有していることを特徴とするペットフード。
  2. 前記粉砕物100重量部と、前記畜肉5〜500重量部好ましくは10〜200重量部と、を含有していることを特徴とする請求項1に記載のペットフード。
  3. 前記粉砕物100重量部に対し、糠を2〜100重量部好ましくは5〜80重量部含有していることを特徴とする請求項1又は2に記載のペットフード。
  4. 前記粉砕物100重量部に対し、おからを5〜100重量部好ましくは10〜70重量部含有していることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載のペットフード。
  5. 前記糠及び/又は前記おからが、スープで煮込まれ下味が付けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載のペットフード。
  6. 前記粉砕物100重量部に対し、茶葉を1〜5重量部含有していることを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1に記載のペットフード。
  7. 魚のアラ及び/又は畜骨を焙乾又は燻乾する乾燥処理工程と、前記乾燥処理工程で焙乾又は燻乾された前記魚のアラ及び/又は畜骨を圧力120〜210kPa、温度105〜120℃の条件下で加圧蒸煮した後、粉砕して粉砕物を得る粉砕工程と、前記粉砕工程で得られた粉砕物に畜肉及び/又は魚肉を加え混練して混練物を得る混練工程と、を備えていることを特徴とするペットフードの製造方法。
  8. 前記混練工程において、糠,おから,茶葉の1種以上を所定量加え混練することを特徴とする請求項7に記載のペットフードの製造方法。
  9. 前記混練工程で得られた混練物を所定形状に成形し成形体を得る成形工程と、前記成形工程で得られた成形体を焙乾又は燻乾する焙乾・燻乾工程と、を備えていることを特徴とする請求項7又は8に記載のペットフードの製造方法。
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