JP2006083091A - トレハロース型二糖類及びその誘導体の製造方法並びに新規トレハロース型二糖類誘導体 - Google Patents

トレハロース型二糖類及びその誘導体の製造方法並びに新規トレハロース型二糖類誘導体 Download PDF

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【課題】本発明では、トレハロース型二糖類及びその誘導体を得ること及びその製造方法を構築すること並びに前記新規トレハロース型二糖類誘導体を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】本発明者らは、新たな糖供与体の脱離基と活性化剤の組み合わせを見いだした。その新規グリコシル化法を用いることにより立体配置を制御したトレハロース型二糖類及びその誘導体を得、その製造方法を構築した。また新規なトレハロース型二糖類誘導体を得た。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラクトース誘導体とグルコース誘導体とから、グリコシル化反応を行い、Gal(α1−β1)Glc骨格を持つトレハロース型二糖類若しくはその誘導体を製造する方法、また前記製造方法を用いることによって得られた新規のトレハロース型二糖類誘導体に関するものである。
トレハロースは、二糖類の一つであって、2分子のD−グルコースがその還元性基同士で結合した構造を有する。そのため酵素による加水分解に対する耐性が強く、人体において代謝を受けにくい。また、紫外線による分解からDNAを保護したり、特定の悪臭を消す等の性質を有することが明らかにされている。上記性質を持つため、薬品や化粧品の原材料としての、今後の展開が望まれている。
一方、近年病原性微生物が生産するタンパク質毒素(志賀毒素、コレラ毒素など)やウイルス(インフルエンザウイルス、SARSウイルスなど)による感染症が大きな社会問題となっている。これらのタンパク質毒素や病原細菌及び病原ウイルスは、ホスト細胞の表面に発現している糖鎖と特異的な相互作用をおこす。それにより、細胞の表面に付着し、細胞内に侵入することが知られている。このことは糖鎖が毒素の感染を予防する薬剤や捕捉剤として機能し得ることを示唆している。つまりこの菌や毒素が認識する糖鎖の構造を模倣して化合物を設計することで、菌や毒素と細胞表層の糖鎖レセプターとの結合を競争的に阻害し、感染を防ぐという考え方である。
しかしながら、天然に存在している糖を模倣して合成したオリゴ糖鎖は、消化液中に含まれる糖加水分解酵素による分解を受けやすいため、糖鎖をベースとする薬剤の開発はされていない。
病原性大腸菌O−157:H−7が生産する志賀毒素(Stx−I、Stx−II)は、グロ
ボ系糖脂質であるGb2やGb3がその化学構造中に有するα(1−4)ガラクト二糖構造を認識することで、細胞内への侵入することが報告されている。このため、単純な構造を有し且つ高い親和性を持つ人工のStxリガンドの開発を目的として、グロボ系糖脂質の化学修飾に関する研究が数多く行われている。それらの研究では、脂質部分の改変やクラスターモデルの構築に焦点が置かれている。現在までグロボ系糖脂質類自体の開発においてα(1−4)ガラクト二糖構造を改変した例は、本発明者らの報告以外見あたらない。例えば本発明者らの出願にかかる特許文献1には、2分子のグルコースが結合された構造のトレハロースを出発物質とし、その一方のグルコース部における4位の水酸基を反転して、アキシャル型配置にすることにより、ガラクトース構造を導入したガラクト型トレハロース若しくはその誘導体を製造する方法が示されている。合成したガラクト型トレハロースは、志賀毒素と結合したことを見いだした。
特開2003−73391号公報
上記のように菌や毒素が認識する糖鎖の構造(例えばグロボ系糖鎖)を模倣して化合物を設計することが注目されている。特に、本発明者らは、長年にわたって蓄積された研究結果に基づき、Gal(α1−β1)Glc骨格を持つトレハロース型二糖類について、高いタンパク質毒素との相互作用や、高い生理作用の発現などが期待できることを予測した。しかし、Gal(α1−β1)Glc骨格を持つ立体配座が適切なトレハロース型二糖類及びその誘導体は、化学的に合成することが困難であった。
そこで本発明では、簡便な方法で、立体配座が適切なGal(α1−β1)Glc骨格を持つトレハロース型二糖類及びその誘導体を製造する方法を提供することを解決すべき課題とする。
また、新規化合物であるGal(α1−β1)Glc骨格を持つトレハロース型二糖類誘導体を提供することも解決すべき課題とする。
本発明者らは、新規グリコシル化法を用いることにより、立体配置を制御したトレハロース型二糖類及びその誘導体を得られることを見いだした。
グリコシル化反応は、アノマー位に脱離基を有する糖(糖供与体)と遊離の水酸基を持つ糖(糖受容体)との縮合を行うことである。通常糖鎖の合成では、グリコシル化により得られた新たな糖のアノマー位の保護基を除去し、脱離基を導入して糖供与体とした後、次の糖受容体と縮合を行うか、又は、新たな糖の水酸基の保護基を除去して糖受容体とし、次の糖供与体と縮合を行う。これらの工程を繰り返し行うことによって、糖鎖を伸張する。
またone−potグリコシル化は、糖供与体あるいは糖受容体の反応性の違いを利用し、糖供与体の脱離基と活性化剤の組み合わせを複数用いることにより、一つの反応容器内で連続的にグリコシド結合を形成させる反応である。
本発明者らは、one−potグリコシル化法を検討した。そこで新たな糖供与体の脱離基と活性化剤の組み合わせを見いだし、新規グリコシル化法を開発した。本発明者らの発明したその新規グリコシル化法を用いることにより通常要求される厳密な無水条件を必要とせず、活性化剤として重金属やハロゲン含有有機溶媒を用いず、活性種を精製することなく、グリコシル化法を行うことが出来る。
本発明は、新規グリコシル化法を用いることにより、一つの反応容器内で連続して製造することも出来る。
(第1手段)
すなわち上記第1課題を解決する本発明のトレハロース型二糖類及びその誘導体の製造方法は、下記一般式(1)にて表されるガラクトース誘導体と活性化剤とN,N−ジメチルホルムアミドとを混合する活性化工程と、前記混合物に下記一般式(2)にて表されるグルコース誘導体を添加してグリコシル化反応を行い下記一般式(3)にて表されるトレハロース型二糖類誘導体を形成するグリコシル化工程とを有することを特徴とする。
Figure 2006083091
(一般式(1)から(3)におけるX、YはOH基を保護する保護基であり、それぞれ独立して選択される。Bnはベンジル基である。)
従来のグリコシル化法を用いた反応で、二糖を合成しようとすると、糖供与体側の立体配置及び糖受容体の立体配置は、それぞれα型と、β型との混合物となっている。従って、合成された二糖は、4種類の立体異性体の混合物となる。これらの異性体は、極性がほとんど同じであるため、シリカゲルカラムなどによる常用する分離方法では分離困難であった。
新グリコシル化法を用いると、活性化工程において活性化剤、N,N−ジメチルホルムアミド及びガラクトース誘導体のグリコシド結合が平衡状態を生じる。その平衡状態に達した系中にグルコース誘導体を加えてグリコシル化工程に供する。この平衡状態においてガラクトース誘導体は、α型グリコシド結合のガラクトース誘導体がβ型に比べ存在比は高い。しかしα型に比べ、β型グリコシド結合のガラクトース誘導体の方が不安定であり、反応性が高い。そこで次のグリコシル化工程では、このβ型に対し、グルコースの水酸基が攻撃する。この反応はSN2的に進むため、生成物においてβ型からα型に反転が起こり、生成物のガラクトース側のグリコシド結合がα型に制御される。従って得られる二糖類の立体異性体は、グルコース骨格側のグリコシド結合が示すα型(一般式(4))及びβ型(一般式(3))の2種類であり、本発明の製造方法によると、それらの混合物として得ることができる。
Yが保護基のままの一般式(3)又は(4)で表されるα型又はβ型グリコシド結合のトレハロース型二糖類誘導体(即ち、α,α型又はα,β型)の混合物は、極性や結晶性にさほど差が無いので分離が困難である。しかしα,α型又はα,β型の混合物のまま保護基Yを脱保護基反応を行い水酸基にすると、α,α型とα,β型の結晶性に差が生じ、再結晶でα,β型トレハロース型二糖類誘導体のみを単離することが出来る。
Figure 2006083091
(一般式(4)におけるX、YはOH基を保護する保護基であり、それぞれ独立して選択される。Bnはベンジル基である。)
従来、Gal(α1−α1)Glc骨格を持つトレハロース型二糖類及びその誘導体は、化学的、又酵素的に合成する方法が確立されている。本発明では今まで合成出来なかったGal(α1−β1)Glc骨格を持つトレハロース型二糖類及びその誘導体を合成できる。
(第2手段)
また上記第2課題を解決する本発明のトレハロース型二糖類及びその誘導体は、下記一般式(5)にて表される。
Figure 2006083091
(一般式(5)におけるAは、アミノ基、ハロゲン、カルボキシル基、−N3、並びにペプチド鎖、ビニル重合体を介して結合した高分子化合物から選択される。)
志賀毒素(Stx−I、Stx−II)は、グロボ系糖脂質であるGb2やGb3がその化学
構造中に有するα(1−4)ガラクト二糖構造グロボ系糖鎖を認識する。本発明のトレハロース型二糖類又はその誘導体は、前記構造を模倣して設計されたものであり、菌や毒素と細胞表層の糖鎖レセプターとの結合を競争的に阻害し、感染を防ぐ医薬品組成物として利用できる可能性がある。
これまで化学的に合成が困難であった、菌や毒素が認識する糖鎖(例えばグロボ系糖鎖)の構造模倣化合物を化学合成できた。具体的には本発明では、新規グリコシル化法を用い、トレハロース型二糖類及びその誘導体を得た。またその製造方法を構築した。また、新規トレハロース型二糖類誘導体を提供できた。
(第1実施形態)
本発明のトレハロース型二糖類及びその誘導体の製造方法は、上記一般式(1)にて表されるガラクトース誘導体と活性化剤とN,N−ジメチルホルムアミドとを混合する活性化工程と、前記混合物に上記一般式(2)にて表されるグルコース誘導体を添加してグリコシル化反応を行い上記一般式(3)にて表されるトレハロース型二糖類誘導体を形成するグリコシル化工程とを有する。
前記ガラクトース誘導体を、ガラクトースの1位と6位の水酸基以外の水酸基に常法に従って保護基であるベンジル基を導入し、また6位の水酸基に常法に従って適当な保護基を導入し、作製する。例えば、下記の方法が挙げられる。なお下記の方法に限定されるものではない。はじめにD−ガラクトースにTMSCl(トリメチルクロロシラン)とメタノールを用い、1位の水酸基にメチル基を導入する。次いでDMF、NaH、BnBr(ベンジルブロミド)を用い、2、3、4及び6位の水酸基にベンジル基を導入する。更に無水酢酸と硫酸を用いて、1位と6位の基をアセチル基に変える。最後にTHFとベンジルアミンを用いて、1位の基を水酸基に戻す。これで1位に水酸基、6位にアセチル基を持ち、それ以外の水酸基にベンジル基を導入したガラクトース誘導体を得ることが出来る。
前記ガラクトース誘導体の6位を保護する基(上記一般式(1)におけるX)は、水酸基を除くあらゆる官能基を用いることが出来る。例えばX=OAc基、OBn基、OTMS基、OTBDMS基、OMs基、N3基等である。(Acはアセチル基、TMSはトリメチルシリル基、TBDMSはt−ブチルジメチルシリル基、Msはメシル基、N3はアジド基である)中でもX=OAc基、OBn基、OTMS基が好ましく、特にX=OBn基が好ましい。以上のように常用される保護基のほかに、糖、アミノ酸及びペプチド等も考えられる。ただしこれらの化合物の水酸基やアミノ基等は保護され、反応に関与しないようにすることが必須である。
前記グルコース誘導体を、グルコースの1位と6位の水酸基以外の水酸基に常法に従って保護基であるベンジル基を導入し、また6位の水酸基に常法に従って適当な保護基を導入し、作製する。例えば、下記の方法が挙げられる。なお下記の方法に限定されるものではない。はじめにα−メチル−D−グルコシドにDMF、NaH、BnBrを用い、2、3、4及び6位の水酸基にベンジル基を導入する。更に無水酢酸と硫酸を用いて、1位と6位の基をアセチル基に変える。最後にTHFとベンジルアミンを用いて、1位の基を水酸基に戻す。これで1位に水酸基、6位にアセチル基を持ち、それ以外の水酸基にベンジル基を導入したグルコース誘導体を得る。
前記グルコース誘導体の6位を保護する基(上記一般式(2)におけるY)は、水酸基を除くあらゆる官能基を用いることが出来る。例えばY=OAc基、OBn基、OTMS基、OTBDMS基、OMs基、N3基等である。中でもY=OAc基、OBn基、OTMS基が好ましく、特にY=OAc基が好ましい。以上のように常用される保護基のほかに、糖、アミノ酸及びペプチド等も考えられる。ただしこれらの化合物の水酸基やアミノ基等は保護され、反応に関与しないようにすることが必須である。
特に前記ガラクトース誘導体のXと前記グルコース誘導体のYとは、異なる基が望ましい。上記一般式(5)を得る反応を行う場合、同じ基を用いると、反応がうまくいかないことがある。特にX=OBn、Y=OAcの組み合わせが望ましい。
前記活性化剤は、PPh3(トリフェニルホスフィン)又は高分子に固定化されたPPh3(トリフェニルホスフィン)と、Cn(2n+2-m)Brm (n=1〜3の整数、m=1〜(2n+2)の整数)とである。特にトリフェニルホスフィン及び四臭化炭素の組み合わせが好ましい。高分子に固定化されたトリフェニルホスフィンとは、トリフェニルホスフィンを高分子担体に固定化したものである。PPh3は、活性化反応後PPh3=O(フォスフィンキサイド)となって結晶化しやすくなるので、高分子担体に固定化されたPPh3が、反応混合物との分離や再利用が容易な点で好ましい。
活性化工程において活性化剤及びN,N−ジメチルホルムアミドの存在下で、ガラクトース誘導体の活性化された1位の立体がα型とβ型の平衡状態を生じる。その平衡状態に達した系中に受容体としてのグルコース誘導体を加えてグリコシル化工程に供する。この平衡状態は、活性化されたガラクトース誘導体と、N,N−ジメチルホルムアミド及び活性化剤であるハライドイオンとの接触を介して起こる。α型にハライドとしてBr置換されたガラクトース誘導体、α型にイミデート(−OCH=N+H(CH32)置換されたガラクトース誘導体及びβ型にBr置換されたガラクトース誘導体の平衡状態である。ガラクトース誘導体は、α型グリコシド結合のガラクトース誘導体がβ型に比べ存在比は高い。しかしα型に比べ、β型グリコシド結合のガラクトース誘導体の方が不安定であり、反応性が高い。そこで次のグリコシル化工程では、このβ型に対し、グルコース誘導体の水酸基が攻撃する。この反応はSN2的に進むため、生成物においてβ型からα型に反転が起こり、生成物のガラクトース側のグリコシド結合がα型に制御される。従って得られるトレハロース型二糖類誘導体は、ガラクトース誘導体のグリコシド結合はα型のみで、グルコース誘導体の結合はα型とβ型とが混在する二糖類である。
N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いる場合、ベンゼン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系の溶媒又はそれらの水素原子の一部乃至全部をハロゲンにて置換したハロゲン系溶媒と一緒に用いても良い。DMFは、従来のグリコシル化法には用いられない。本発明のグリコシル化反応においては、DMFは反応の活性化剤の役割を合わせ持つ。更にDMFは溶媒としても使用できる。DMFを用いることによって反応時間が大幅に短縮される。他の溶媒を用いては反応時間が長くなり、最終的に反応は完結しないこともある。
活性化工程は、前記ガラクトース誘導体と前記活性化剤とDMFとを混合し、反応させる。例えば室温で3時間の条件を採用することが出来る。前記ガラクトース誘導体の1位の水酸基がα位にブロミド化される。
ブロミド化されたガラクトース誘導体は、DMFと反応し、更に活性の高いo−グリコシド中間体と平衡状態となる。
グリコシル化工程は、活性化工程後、前記混合物に前記グルコース誘導体を加え、反応させる。例えば室温で約48時間の条件を採用することも出来る。α,α−型、α,β−型のトレハロース型二糖類誘導体の混合物が得られる。上記一般式(3)に示した化合物は、α,β−型のトレハロース型二糖類誘導体である。
一般式(3)又は(4)で表されるα型又はβ型グリコシド結合のトレハロース型二糖類誘導体(即ち、α,α型又はα,β型)の混合物は、Yが保護基のままなので極性や結晶性にさほど差が無く分離が困難である。しかしα,α型又はα,β型の混合物のまま脱保護基反応を行い保護基Yを脱離させて水酸基にすると、α,α型とα,β型の結晶性に差が生じ、α,β型トレハロース型二糖類誘導体のみを再結晶で単離することが出来る。
(第2実施形態)
その他の本発明のトレハロース型二糖類及びその誘導体は、上記一般式(5)にて表される。(Aは、アミノ基、ハロゲン、カルボキシル基、−N3、並びにペプチド鎖、ビニル重合体を介して結合した高分子化合物から選択される。)
上記一般式(5)で表されるトレハロース型二糖類及びその誘導体は、第1実施形態で得られた上記一般式(3)で表されるトレハロース型二糖類誘導体のYを常法に従ってAに置換し、A以外の保護基を常法に従って水酸基に置換することによって得られる。
この物質は、α,β−型のトレハロース型二糖類誘導体である。これまで化学法、酵素法を用いても合成できなかった、新規化合物である。
更に上記一般式(5)で表される有機残基を持つトレハロース型二糖類誘導体をモノマーとして用い、それを単独重合若しくは他の不飽和モノマーと共重合せしめて得られる重合体を作成できる。
ここで、志賀毒素(Stx−I、Stx−II)は、グロボ系糖脂質であるGb2やGb3
その化学構造中に有するα(1−4)ガラクト二糖構造グロボ系糖鎖を認識する。本発明のトレハロース型二糖類及びその誘導体は、前記構造を模倣して設計されたものであり、菌や毒素と細胞表層の糖鎖レセプターとの結合を競争的に阻害し、感染を防ぐ医薬品組成物として利用できる可能性がある。
次に実施例をあげて本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
まず、(A)保護基を導入した一般式(1)に示される前記ガラクトース誘導体を作製する。(糖供与体(ドナー)の合成)次いで(B)保護基を導入した一般式(2)で示される前記グルコース誘導体を作製する。(糖受容体(アクセプター)の合成)さらに(C)前記ガラクトース誘導体と前記活性化剤とDMFを混合し、室温で3時間ほど反応させる。その後前記グルコース誘導体を上記反応物と混合し、室温で反応させ、トレハロース二糖類誘導体を合成する。(活性化工程及びグリコシル化工程)最後に(D)得られたトレハロース二糖類誘導体の保護基Yの除去を行い、再結晶させる。(保護基Y除去及び再結晶)またその後必要に応じ、(E)官能基を導入することができる。以下の操作によって具体的に示す。
表1にガラクトース誘導体の保護基X、グルコース誘導体の保護基Y及び使用した溶媒の種類、またグリコシル化工程の反応時間、収率(ガラクトース誘導体の消費量で表す)及びグルコース誘導体側の立体配置について記載した。
図1にガラクトース誘導体の合成するための反応式を、図2にグルコース誘導体の合成するための反応式を示す。さらに図3に、トレハロース二糖類誘導体の保護基Yの除去、再結晶工程及び新たな官能基を導入するための反応式を示す。各化合物の下に示した番号で各化合物を表す。
なおα,βの構造の同定法は、1HNMR法を用いた。一般式(3)又は(4)で表されるα型又はβ型グリコシド結合のトレハロース型二糖類誘導体(即ちα,α型又はα,β型)の混合物をカラムで精製した段階で、1HNMR法を用いて構造と、α,α型とα,β型の生成比を求めた。
Figure 2006083091
(A)糖共与体(ドナー)の合成 (図1における化合物4及び5の合成)
D−ガラクトース(10.0g,56mmol)をメタノール(50mL)に溶かし、トリメチルクロロシラン(TMSCL,25mL)を加え室温で約10時間攪拌した。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC、クロロホルム:メタノール=1:1)で確認した。
反応溶液に、トルエン:メタノール=10:1溶液を加えて、共沸させた。3回目からメタノールの割合を増やし、合計5回共沸させた。真空乾燥し白色結晶である化合物1を得た。収量は、11.7g(60mmol)、収率は99%以上であった。
化合物1(10.8g,56mmol)をDMFに溶かし、氷浴で6当量のNaH(13.3g,333mmol)を加え、30分攪拌した。反応溶液に6当量のベンジルブロミド(40.8mL)を加え室温で約17時間攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、氷浴中でメタノール(41mL)を加え、未反応のベンジルブロミドを分解するため3日間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し、メタノールを除いた後、酢酸エチルを加え目的物を抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、水で2回、食塩水で2回洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて、一晩乾燥させた。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→6:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して無色透明なシロップ状の化合物2を得た。収量は、21.7g(39.1mmol)、収率は70%であった。
化合物2(21.7g,39.1mmol)を無水酢酸(300mL)に溶かし、氷浴で冷やしながら硫酸(10mol%,0.213mL)を加え約4時間室温で攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、氷浴中で粉末炭酸水素ナトリウムとメタノール(300mL)を加え、未反応の試薬を分解させるために2日間放置した。反応溶液に酢酸エチルと飽和食塩水を加え振り、目的物を有機層に抽出した。有機層が中性になるまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→3:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して無色透明なシロップ状の化合物3を得た。収量は、7.5g(14.1mmol)、収率は35%であった。
化合物3(7.5g、14.1mmol)をTHF(70mL)に溶かし、1.2当量のベンジルアミン(1.85mL)を加えて室温で約1週間攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、反応溶液に0.5M塩酸と酢酸エチルとを加え目的物を抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で各2回洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して白色固体である化合物4を得た。収量は、4.6g(9.3mmol)、収率は66%であった。
化合物2(5.7g,10.2mmol)を80%酢酸(73mL)、1M塩酸(23mL)に溶かし、時々塩酸を加えながら95℃〜100℃で約48時間還流した。反応後、水とクロロホルムを加え目的物を抽出した。クロロホルム層を、炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で2回洗浄した。その後硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して白色固体である化合物5を得た。収量は、3.05g(5.65mmol)、収率は55%であった。
(B)糖受容体(アクセプター)の合成 (図2における化合物8,10及び11の合成)
市販のα−メチル−D−グルコシド(10.8g,55.5mmol)をDMF(400mL)に溶かし、氷浴で6当量のNaH(13.3g,333.4mmol)を加え、30分攪拌した。反応溶液に6当量のベンジルブロミド(41mL)を加え室温で約3時間攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、氷浴中でメタノール(42mL)を加え、未反応のベンジルブロミドを分解するため5日間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し、メタノールを除いた後、酢酸エチルを加え目的物を抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムを加えて、一晩乾燥させた。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=10:1→6:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して無色透明なシロップ状の化合物6を得た。収量は、23.8g(43.0mmol)、収率は78%であった。
化合物6(23.8g,43.0mmol)を無水酢酸(300mL)に溶かし、氷浴で冷やしながら硫酸(10mol%,0.234mL)を加え約4時間室温で攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、氷浴中で粉末炭酸水素ナトリウムとメタノール(300mL)を加え、未反応の試薬を分解させるために3日間放置した。反応溶液に酢酸エチルと飽和食塩水とを加え振り、目的物を有機層に抽出した。有機層が中性になるまで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、水で2回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで一晩乾燥した。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→3:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して無色透明なシロップ状の化合物7を得た。収量は、17.1g(31.9mmol)、収率は74%であった。
化合物7(5.0g)をTHF(40mL)に溶かし、1.2当量のベンジルアミン(1.22mL)を加えて室温で約1週間攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、反応溶液に0.5M塩酸と酢酸エチルとを加え目的物を抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して白色固体である化合物8を得た。収量は、3.80g(7.6mmol)、収率は82%であった。
化合物7(5.1g、9.5mmol)をメタノール(40mL)に溶かし、2当量のK2CO3(2.6g)を加えて室温で約2時間攪拌した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、反応溶液に0.5M塩酸と酢酸エチルとを加え目的物を抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で各2回洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。硫酸マグネシウムをガラスフィルターで除去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1→1:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、真空乾燥して白色固体である化合物9を得た。収量は、3.80g(8.2mmol)、収率は86%であった。
化合物9(277mg、0.61mmol)をDMFに溶かし、PPh3とCBr4とをそれぞれ3当量加え、室温で攪拌した。23時間後、トルエン:酢酸エチル=8:1の溶液を加えて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムを加えて乾燥した。その後順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=15:1→5:1)で精製した。溶液を減圧濃縮後、粘性を持った茶色い溶液である化合物10を得た。収量は、162mg(0.32mmol)、収率は51%であった。
化合物6(6.9g,12.4mmol)を80%酢酸(134mL)、1M塩酸(44mL)に溶かし、時々塩酸を加えながら95℃〜100℃で約24時間還流した。反応後、水とクロロホルムを加え目的物を抽出した。クロロホルム層を、炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水とで2回、洗浄した。その後硫酸マグネシウムで乾燥した。乾燥後、エーテル−ヘキサンで再結晶させることで白色結晶である化合物11を得た。収量は、3.17g(5.85mmol)、収率は47%であった。
(C)トレハロース二糖類誘導体の合成。(活性化工程及びグリコシル化工程)
糖共与体(ドナー)をDMFに溶かし、PPh3とCBr4とをそれぞれ3モル当量加え、室温で攪拌する。3時間後、糖受容体(アクセプター)を3当量加える。反応終了後、トルエン:酢酸エチル=8:1の溶液を加えて抽出する。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、水で1回洗浄する。硫酸マグネシウムを加えて乾燥させる。その後順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製する。
(D)得られたトレハロース二糖類誘導体の保護基Yの除去及び再結晶。(図3における化合物13の合成)
(C)の手法で合成したグリコシル化生成物12のα,α−型とα,β−型の混合物(1.39g)をメタノール(4.6mL)とCH2Cl2(9.2mL)に溶かし、目的物の1当量のK2CO3(185mg)を加え室温で攪拌した。約2時間後イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、陽イオン交換樹脂(R)アンバーリスト)を加え中和し、濾過した。ヘキサン−酢酸エチルで再結晶し、白色結晶である化合物13を得た。収量は786mg(0.81mmol)であった。
(E)官能基の導入(図3における化合物18、19の合成)
化合物13(786mg、0.81mmol)をCH2Cl2(5.4ml)に溶かし、Et3N(100μL)を加え、氷浴中でMsCl(188μL、3当量)を滴下した。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、室温に戻し、氷水を加えて過剰の試薬を分解した。クロロホルムを加え目的物を抽出し、有機層を0,5M塩酸で2回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、水で1回洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、濃縮し、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=8:1)で精製した。真空乾燥して。薄黄色の固体である化合物14を得た。収量は839mg(0.80mmol)、収率は99%であった。
化合物14(839mg、0.80mmol)をDMF(16mL)に溶かし、75℃に温めた中にNaN3(260mg、5当量)を加え,約5時間反応させた。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、冷却した。トルエン:酢酸エチル=8:1の溶液を加えて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、濃縮、真空乾燥した。無色のシロップ状の化合物15が得られた。収量は827mg(0.83mmol)、収率は99%以上であった。
化合物15(200mg、0.20mmol)をCH2Cl2(5ml)、メタノール(0.7ml)に溶かし、トリフェニルホスフィン(53mg、1当量)を加えた。約24時間反応させた。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、反応溶液をそのまま濃縮、真空乾燥し、化合物16を得た。収量は240mg(Ph3P=Oを含む)であった。
化合物16(240mg)をCH2Cl2(10ml)に溶かし、Et3N(250μL、10当量)を加え、0℃に冷やしながらアセチルクロリド(14.3μL、1当量)を滴下した。反応途中でアセチルクロリド(0.5当量)を追加し、約9時間反応させた。TLC(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で反応終了を確認後、クロロホルムで抽出した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、濃縮し、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=3:1)で精製した。真空乾燥し、無色シロップ状の化合物17を得た。収量は172.4mg(0.17mmol)、収率は85%であった。
化合物17(133mg、0.13mmol)をメタノール(20mL)中に分散させ、35%濃度の塩酸を1滴加えた中に、Pd(OH)2/Cを加え水素添加した。反応終了をTLC(酢酸エチル:酢酸:メタノール:水=4:3:3:1)で確認後、濾過し目的物をトルエンで共沸した。濃縮し、真空乾燥し化合物18を得た。収量は78mg(0.20mmol)、収率は99%以上であった。
化合物15(205mg、0.21mmol)をメタノール(20mL)中に分散させ、35%濃度の塩酸を1滴加えた中に、Pd(OH)2/Cを加え水素添加した。反応終了をTLC(酢酸エチル:酢酸:メタノール:水=4:3:3:1)で確認後、濾過し目的物をトルエンで共沸した。濃縮し、真空乾燥し化合物19を得た。収量は70.2mg(0.21mmol)、収率は99%以上であった。
<実施例1>
ドナーとなる化合物4とアクセプターとなる化合物8を上記手法で合成した。
ドナーとなる化合物4をDMFに溶かし、PPh3とCBr4をそれぞれ3モル当量加え、室温で攪拌した。3時間後、アクセプターとなる化合物8を3当量加えた。14時間の反応終了後、トルエン:酢酸エチル=8:1の溶液を加えて抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、飽和食塩水で2回、水で1回洗浄した。硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。グリコシル化生成物であるα,α型及びα,β型トレハロース型二糖類誘導体を得た。
上記誘導体のα,α−型とα,β−型の混合物(1.39g)をメタノール(4.6mL)とCH2Cl2(9.2mL)に溶かし、目的物の1当量のK2CO3(185mg)を加え室温で攪拌した。約2時間後イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、陽イオン交換樹脂(R)アンバーリスト)を加え中和し、濾過した。
上記反応混合物を室温で少量の酢酸エチルに溶かし、そこにヘキサンを加えると白色結晶が析出した。これを濾過し、結晶とろ液に分離した。得られた結晶からα,β型、ろ液からα,α型及び少量のα,β型トレハロース型二糖類誘導体を得た。グルコース誘導体側の立体配置はα型とβ型との比がモル比で26:74であった。収率はドナーの消費量から求め、収率は90%以上であった。
<実施例2>
ドナーとなる化合物を化合物4に代えて化合物5を用いたこと、グリコシル化工程の反応時間を14時間から2日間としたこと以外は、実施例1と同様にして、α,α型及びα,β型トレハロース型二糖類誘導体である化合物12を得た。グルコース誘導体側の立体配置はα型とβ型との比がモル比で30:70であった。収率は90%以上であった。
<実施例3>
アクセプターとなる化合物を化合物8に代えて化合物11を用いたこと、グリコシル化工程の反応時間を14時間から2日間としたこと以外は、実施例1と同様にして、α,β型及びα,α型トレハロース型二糖類誘導体を得た。グルコース誘導体側の立体配置はα型とβ型との比がモル比で23:77であった。収率は80%であった。
実施例1〜3において、グルコース誘導体側はα型に比べβ型の方が生成量が多かった。この理由は、グルコース誘導体は反応溶液中でα型とβ型との存在比はほぼ等しいが、1位の水酸基においてβ型の水酸基の方が反応性が大きいため、グルコース誘導体側がβ型である二糖が優先的に出来たと考えられる。
<比較例1>
活性化剤DMFに代えて二塩化メタン及びTMU(テトラメチルウレア)を用いたこと、グリコシル化工程の反応時間を14時間から85時間としたこと以外は、実施例1と同様にして、α,β型及びα,α型トレハロース型二糖類誘導体を得た。反応速度が遅いので、反応を85時間で中断し、そのため収率は60%となった。反応を中断したため、グルコース誘導体側のα型とβ型の比は、確認していない。
DMFは反応の活性化剤の役割を合わせ持つ。DMFが入っていなかったので反応速度が遅くなったと考えられる。
<比較例2>
アクセプターとなる化合物を化合物8に代えて化合物10を用いたこと、グリコシル化工程の反応時間を14時間から2日間としたこと以外は、実施例1と同様にしたが、目的とするα,β型及びα,α型トレハロース型二糖類誘導体を得られなかった。ドナーの消費量は70%であったが、目的物が全く得られなかったので、収率は0%である。
化合物8の保護基Yはアセチル基、化合物10の保護基は、ブロモ基である。目的物が得られなかった理由として、ブロモ基の求電子性のため、グルコース誘導体の1位の水酸基の電子密度が下がり求核性が低下した、また立体的に大きなブロモ基による立体障害のため、反応に与らなかった等が考えられる。
<比較例3>
アクセプターとなる化合物を化合物8に代えて化合物10を用いたこと、グリコシル化工程反応時間を14時間から2日間としたこと、DMF中にモレキュラーシーブスを用いたこと以外は、実施例1と同様にしたが、目的とするα,β型及びα,α型トレハロース型二糖類誘導体を得られなかった。ドナーの消費量は70%であったが、目的物が全く得られなかったので、収率は0%である。
目的物が得られなかった理由としては上記比較例2と同様のことが考えられる。また比較例3では、DMF中にモレキュラーシーブスを脱水剤として用いたが反応は進行しなかったので水による影響ではないと考えられる。
<実施例4>(一般式(5)においてAがNH2基である化合物)
実施例2で得られたα,β型トレハロース型二糖類誘導体(化合物12)を用いて、上記方法により化合物13、化合物14を経て、化合物15を得た。その後化合物15を用いて上記方法により化合物19を得た。収量は70.2mg(0.21mmol)、収率は99%以上であった。
化合物19は、一般式(5)においてグルコース誘導体側の6位にアミノ基を導入した新規トレハロース型二糖類誘導体である。この誘導体は、アミノ基と水酸基の反応性の違いに基づいてアミノ基のみに他の化合物を導入することが出来る。したがってこの誘導体をモノマーとして用い、それを単独重合若しくは他の不飽和モノマーと共重合させ、重合体を得ることができる。
ガラクトース誘導体の合成するための反応式を示す。 グルコース誘導体の合成するための反応式を示す。 トレハロース二糖類誘導体の保護基Yの除去、再結晶工程及び新たな官能基を導入するための反応式を示す。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)にて表されるガラクトース誘導体と活性化剤とN,N−ジメチルホルムアミドとを混合する活性化工程と、
    前記混合物に下記一般式(2)にて表されるグルコース誘導体を添加してグリコシル化反応を行い下記一般式(3)にて表されるトレハロース型二糖類誘導体を形成するグリコシル化工程と、
    を有することを特徴とするトレハロース型二糖類又はその誘導体の製造方法。
    Figure 2006083091
    (一般式(1)から(3)におけるX、YはOH基を保護する保護基であり、それぞれ独立して選択される。Bnはベンジル基である。)
  2. 前記グリコシル化工程後、得られた前記一般式(3)に記載のトレハロース型二糖類誘導体と下記一般式(4)に記載のトレハロース型二糖類誘導体との混合物における、前記Xを−OBn基に前記Yを水酸基にした後、前記Xが−OBn基で前記Yが水酸基である前記一般式(3)記載のトレハロース型二糖類誘導体を再結晶により分離する再結晶工程を有する請求項1に記載のトレハロース型二糖類又はその誘導体の製造方法。
    Figure 2006083091
    (一般式(4)におけるX、YはOH基を保護する保護基であり、それぞれ独立して選択される。Bnはベンジル基である。)
  3. 前記一般式(3)のX、Yにて表される保護基及びベンジル基を加水分解により除去する保護基除去工程を有する請求項1又は2に記載のトレハロース型二糖類又はその誘導体の製造方法。
  4. 前記活性化剤は、トリフェニルホスフィン又は高分子に固定化されたトリフェニルホスフィンと、Cn(2n+2-m)Brm (n=1〜3の整数、m=1〜(2n+2)の整数)とを含む請求項1〜3いずれかに記載のトレハロース型二糖類又はその誘導体の製造方法。
  5. 前記Xがベンジル基、前記Yがアセチル基である請求項1〜4のいずれかに記載のトレハロース型二糖類又はその誘導体の製造方法。
  6. 前記Xがベンジル基、前記Yがアセチル基であり、前記活性化剤はトリフェニルホスフィン及び四臭化炭素である請求項1〜3のいずれかに記載のトレハロース型二糖類又はその誘導体の製造方法。
  7. 下記一般式(5)にて表されるトレハロース型二糖類誘導体。
    Figure 2006083091
    (一般式(5)におけるAは、アミノ基、ハロゲン、カルボキシル基、−N3、並びにペプチド鎖、ビニル重合体を介して結合した高分子化合物から選択される。)
  8. 前記Aは水酸基である請求項7に記載のトレハロース型二糖類。
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