JP3542143B2 - オリゴ糖の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、薬理活性を有する、もしくはそれらの薬理活性の作用機序等の解明等のために用いられるオリゴ糖の合成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
糖質類は生体の構成単位やエネルギー源として従来より重要な位置を占めてきたが、近年の分離分析技術の急速な進歩により、細胞間の情報伝達といったより高度な生物学的現象に深く関与していることが明らかになってきた。しかしそれらの機能と糖質類の構造との間の分子レベルでの詳細な解明は緒に就いたばかりである(「蛋白核酸酵素」1992年8月増刊号、vol.37,No. 11,1992共立出版)。
【0003】
一般に上記のような生理現象にかかわる所謂「生理活性」な糖質類は、生体内での賦存量が極微量であり、有機合成的な手段によりこれらを大量かつ容易に供給することが現在の大きな課題の一つである。
このような観点から、近年新しいグリコシル結合の生成反応の開発を中心として糖質類の合成反応に関する数多くの報告がなされているが、いまだ多くの問題点を残している(H.Paulsen, Angewandte Chemie International Edition in English, 21, 155 (1982)) 。
【0004】
一般に、糖質類の合成反応を行う場合1つの反応に対して数工程の後処理工程が必要とされる。糖質類の場合、骨格中に数多くの酸素官能基を有しているために水溶性が高く、高極性の水酸基を保護している場合においても反応試剤として用いた無機塩類などを除くための水洗工程において基質が溶解し、実質の反応収率の低下を招くことがしばしば見られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような後処理工程を簡略化し、生産効率の向上、装置の簡略化が可能なオリゴ糖の合成法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、各種グリコシル結合形成反応に着目して鋭意研究したところ、少なくとも2箇所のグリコシル結合を効率よく形成しうる2種以上のグリコシル化反応用の活性化基とその活性剤との組み合わせを選ぶことにより2種以上の反応系が同一反応混合物中で実施できることを見い出し本発明に到った。
【0007】
従って、本発明は、糖単位間で少なくとも2箇所のグリコシル結合を形成するオリゴ糖の製造方法を提供する。本発明の製造方法は、次の少なくとも2種の反応工程を含んでなる。
工程の1つは、下記式(I)
【0008】
【化5】
Figure 0003542143
【0009】
(上式中、Xはグリコシル化反応活性化剤Aにより活性化されて反応中間体を与える活性化基であり、Yは保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基であり、pは0または1〜6のいずれかの整数であり、そしてピラノース骨格内の結合手をもたない炭素原子は水素原子以外に保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基を有する)で表される糖誘導体を、活性化剤Aの存在下で、下記式(II)
【0010】
【化6】
Figure 0003542143
【0011】
(上式中、Xはグリコシル化反応活性化剤Aにより活性化されて反応中間体を与える活性化基であり、Rは反応活性化剤Aにより活性化された式(I)の誘導体との反応点であって、水素原子またはトリアルキル置換硅素基であり、qは0または1〜6のいずれかの整数であり、そしてピラノース骨格内の結合手をもたない炭素原子は水素原子以外に保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基を有する)で表される糖誘体と反応させて式(I)のXの結合位置と式(II)のRが結合した酸素原子との間にグリコシル結合を形成する工程である。
【0012】
もう1つの工程は、上記式(II)で示される糖誘導体またはそれに由来する糖部分を、活性化剤Aの存在下で下記式(III)
【0013】
【化7】
Figure 0003542143
【0014】
(上式中、Xはグリコシル化反応活性化剤AおよびAに不活性化な活性化基であり、Rは反応活性化剤Aにより活性化された式(II)の誘導体部分との反応点であって、水素またはトリアルキル置換硅素であり、γは0または1〜6のいずれかの整数であり、そしてピラノース骨格内の結合手をもたない炭素原子は水素原子以外に保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基を有する)で表される糖誘導体を反応させて式(II)のXの結合位置と式(III)のRが結合した酸素原子との間にグリコシル結合を形成する工程である。
【0015】
これらの工程は、同一の反応混合物中で同時にかまたは順次実施することができる。こうして本発明によれば、新たなグリコシル結合を少なくとも2箇所もつ下記式(IV)で表されるオリゴ糖が製造できる。
【0016】
【化8】
Figure 0003542143
【0017】
上式中、Y,X,p,qおよびγ、ならびにピラノース骨格の他の置換基は上記に定義した意味を有し、記号*はそれぞれ対応する番号が付された結合に連続する。
なお、上記活性基X,XおよびXと活性化剤AおよびAとの間の組み合わせは、AはXに対して活性であるがXおよびXには不活性であり、そしてAはXに対して活性であるがXおよびXには不活性となるように選ばれ、同一反応混合物中で他の組み合わせに係る反応に悪影響を及ぼさないものであれば、当該技術分野で使用されているどのような組み合わせであってもよい。
【0018】
【具体的な態様】
本発明で使用する糖誘導類は、それぞれ、ピラノース骨格を有する単糖類またはオリゴ糖のいずれであってもよく、それ自体既知の糖類の水酸基を常用の水酸基保護法により選択的に保護して調製できる。上記の反応に供されるピラノース骨格を有する単糖類またはオリゴ糖としては、グルコースおよびガラクトースなどの単糖類、ならびこれらの糖2個以上から構成されるオリゴ糖類、例えば、マルトース、ラクトースおよびセロビオースなどの2糖類、その他のデンプン、デキストリンまたはセルロースなどの加水分解物から調製される他のオリゴ糖類を挙げることができる。従って、これらのアノメリック位の配置はαまたはβ型のいずれであってもよく、またオリゴ糖の糖単位間の結合様式は1→4,1→6または、まれに1→3もしくは1→2であってもよい。これらの中でα−グルコース型と呼ばれる骨格を有するものが都合よく使用でき、オリゴ糖にあっては、結合様式として1→4結合を有するものが広く使用できる。
【0019】
水酸基の選択的保護は、アノメリック位(1位)水酸基または上記反応点(好ましくは、4位または6位)の水酸基と他の水酸基を個別に保護できるいずれか既知の保護法(または脱離工程を含んでもよい)によって行うことができる。上記他の水酸基の保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基、置換ベンゾイル基、ベンジル基、置換ベンジル基、ピバロイル基、アリルオキシカルボニル基、アセトナイド基などか挙げられ、常法により反応させて保護基を導入することができる。
【0020】
本発明における原料の糖誘導体中の、活性基X,X,Xとしては、ハロゲン基、チオフェニル基、イミデート基、アリルオキシ基などが挙げられ、活性化剤A,Aとしては、銀塩類、水銀塩類、トリフルオロメタンスルホン酸−N−ヨウドスクシンイミドなどが挙げられ、そしてR,Rとしては水素元子、トリアルキル置換硅素基などが挙げられるが、上記のような条件を満たす組み合わせを選択することが重要である。
【0021】
本発明における代表的なX,X,X,A,A,R,Rの組み合わせとしては、それぞれ、例えば、
(i)X;臭素、X;チオフェニル基、X;メトキシ基、A;トリフルオロメタンスルホン酸銀、A;N−ヨウドスクシンイミド、R;水素原子、R;水素原子
(ii)X;臭素、X;フッ素、X;メトキシ基、A;トリフルオロメタンスルホン酸銀、A;トリフルオロメタンスルホン酸トリメチル硅素、R;水素原子、R;トリメチル硅素基、
などが適している。
【0022】
また、反応に用いられる溶媒は、通常のグリコシル化において用いられる、ニトロメタン、トルエン、ジクロロメタン、テトロヒドロフラン(THF)等、もしくはこれらの溶媒を組み合わせた混合溶媒を用いることもできる。
本発明の反応は、式(I)で表される糖誘導体と、式(II)で表される糖誘導体とを、通常のグリコシル化において用いられる、ニトロメタン、トルエン、ジクロロメタン、テトロヒドロフラン(THF)等、の溶媒に溶解し、これに式(I)中Xのみを活性化するグリコシル化反応活性化剤Aを添加して行う。上記反応工程を−20〜0℃で2〜24時間反応を行なった後、式(III)で表されるピラノース骨格を有し、反応点以外の骨格中に存在する水酸基を選択的に保護した単糖もしくはオリゴ糖と、式(II)のXのみを活性化するグリコシル化反応活性化剤Aを添加し、20〜80℃で2〜24時間反応させる。出発糖誘導体原料および反応活性化剤を選ぶことに、これらの反応は、
を同時に行うこともできる。
【0023】
以下、上記試薬の組み合わせの一例をもとにして本発明の反応の工程について、反応条件、試薬等をさらに説明する。
原料となる式(I)のブロム化糖は、対応する単糖もしくはオリゴ糖のアセチル化体、もしくはベンゾイル化体のアノメリック位を臭化水素含有酢酸などによりブロム化することにより得ることができる。
【0024】
式(II)のチオグルコシル化糖は、対応する単糖もしくはオリゴ糖のアセチル化体のアノメリック位を、チオフェノール−塩化錫を用いてチオフェニル化した後、保護基を部分選択的に開裂することにより得ることができる。
また、式(III)のメチルグルコシル化糖は、対応する単糖、もしくはオリゴ糖のメチルグルコシル化糖の保護基を部分選択的に開裂することにより得ることができる。
【0025】
式(I)のブロム化糖および式(II)のチオグルコシル化糖を、塩化メチレン−トルエンの混合溶媒中、臭素基のみを活性化可能な活性化剤Aの銀トリフラートにより、−20〜0℃で2〜4時間グルコシル化反応を行なった後、式(III)のメチルグルコシル化糖およびN−ヨウドスクシンイミドを加え、反応器中で発生するトリフルオロメタンスルホン酸との反応によりチオフェニル基を活性化する。20〜80℃で2〜24時間反応の後、トリエチルアミン等の有機塩基で反応を停止させた後、遊離した塩類等をろ過により取り除き溶媒を減圧留去することにより粗生成物を得ることができる。
【0026】
得られた粗生成物は、必要により再結晶、もしくはシリカゲルカラムクロマトグラフィー等により精製する。
【0027】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
メチル2,3,4−トリアセチル−6−ο− 2,3,4−トリアセチル−6−O−(2,3,4,6−テトラパラメチルベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル −α−D−グルコピラノシドの合成
2,3,4,6−テトラパラメチルベンゾイル−β−D−グルコピラノシルブロマイド(1a,114mg、式(I)中、X=α置換臭素基、p=O,Y=パラメチルベンゾイル)とフェニル−2,3,4,−トリアセチル−6−ヒドロキシ−β−D−チオグルコピラノシド(2a,51mg、式(II)中、X=β置換フェニルチオ基、q=O,R=水素原子)を活性化したモレキュラーシーブスMS4A共存下でジクロロメタンに溶解し、活性化剤Aとしてトルエンに溶解した銀トリフラート(114mg)を−20〜−10℃で滴下した。約2時間反応後、薄層クロマトグラフィーで2aの消失を確認した後、ジクロロメタンに溶解したメチル−2,3,4−トリアセチル−6−ヒドロキシ−α−D−グルコピラノシド(3a,45mg、式(III)中、X=α置換メトキシ基、γ=O,R=水素原子)と活性化剤AのN−ヨウドスクシンイミド(260mg)を反応液中に添加し、反応温度を0℃〜室温に上昇させた。
【0028】
室温で12〜18時間攪拌し反応させた後、トリエチルアミン(3ml)を加えて反応を終了させ、反応液をろ過、溶媒を減圧留去することにより粗生成物を得た。
得られた粗生成物を、ヘキサン−酢酸エチルを溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離・精製し、白色結晶(133mg、収率83%)を得た。
【0029】
H−NMRスペクトル(ppm)δ
GX−500 CDCl/TMS
1.95,1.96,1.99,2.01,2.04,2.07(each s,each 3H,Ac)
2.28,2.34,2.38,2.41(each s,each 3H,−CCH
3.13(dd,H−6′b,J5′,6′b=4.12,J6′a,6′b=11.00)
3.39(s,3H,−OCH3)
3.64〜3.71(m,3H,H−5,H−5′,H−6)
3.77(dd,H−6′a,J5′6′a=1.72,J6′a,6′b=11.00)
3.89(d,H−6a,J6a,6b=11.00)
4.13(m,H−5a)
4.39(d,H−1′,J1′,2′=7.79)
4.52(dd,H−6″b,J5″,6″b=5.04,J6″a,6″b=11.92)
4.67(dd,H−6″a,J5″a,6″a=2.97,J6″a,6″b=11.92)
4.80(dd,H−4′,J3′,4′=J4′,5′=9.17)
4.91(dd,H−2,J1,2=3.20,J2,3=9.63)
4.94(dd,H−1″,J1″,2″=8.24)
4.91(dd,H−2′,J1′,2′=7.79,J2′,3′=9.17)
4.92(d,H−1,J1,2=3.20)
4.95(dd,H−4,J3,4=J4,5=9.63)
5.10(dd,H−3′,J2′,3′=J3′,4′=9.17)
5.42(dd,H−3,J2,3=J3,4=9.63)
5.45(dd,H−2″,J1″,2″=8.24,J2″,3″=9.62)
5.61(dd,H−4″,J3″,4″=J4″,5″=9.62)
5.86(dd,H−3″,J2″,3″=J3″,4″=9.62)
7.05〜7.26,7.69〜7.92(each m,16H,アロマティック−H)
実施例2
メチル2−ベンゾイル−3− 2,3,4−トリアセチル−6−O−(2,3,4,6−テトラパラメチルベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル −4,6−Ο−ベンジリデン−α−D−グルコピラノシド(4b)の合成
式(III)の化合物を下記のように変えた他は、実施例1と同様の方法に従い、上記オリゴ糖を合成した。
【0030】
すなわち、式(I)の1a 113mg、式(II)の2a 52mg、活性化剤A 銀トリフラート 111mg、活性化剤A N−ヨウドスクシンイミド 278mg、および式(III)の化合物として実施例1の3aに代ってメチル2−ベンゾイル−3ヒドロキシ−4,6−Ο−ベンジリデン−a−D−グルコピラノシド(3b,51mg)を用い4bの白色結晶134mg(収率79%)を得た。
【0031】
H−NMRスペクトル(ppm)δ
GX−500 CDCl/TMS
1.96,1.97,2.04,(each s,each 3H,Ac)
2.28,2.34,2.39,2.42(each s,each 3H,−CCH
2.91(dd,H−4,J3,4=J4,5=9.16)
3.42(s,3H,−OCH3)
3.49(dd,H−6′a,J5′,6′a=2.75,J6′a,6′b=13.29)
3.56(dd,H−4′,J3′,4′=J4′,5′=9.16)
3.65(dd,H−3,J3,4=J4,5=9.16)
3.74(dd,H−6′b,J5′,6′b=5.14,J6′a,6′b=13.29)
3.81〜3.85(m,2H)
3.98(dd,H−2′,J2′,3′=J3′,4′=9.16)
4.60〜4.68(m,4H)
4.85〜4.91(m,2H)
5.00(dd,H−3′,J2′,3′=J3′,4′=9.16)
5.15(dd,H−2,J1,2=3.66,J2,3=9.16)
5.23(d,H−1,J1,2=3.66)
5.27(d,H−1″,J1″,2″=8.25)
5.41(dd,H−2″,J1″,2″=8.25,J2″,3″=10.08)
5.50(dd,H−4″,J3″,4″=J4″,5″=10.08)
5.72(s,ベンジリデン−H)
5.77(dd,H−3″,J2″,3″=J3″,4″=10.08)
6.99〜7.64,7.81〜8.13(each m,21H,アロマティック−H)
比較例
メチル2,3,4−トリアセチル−6−O− 2,3,4−トリアセチル−6−O−(2,3,4,6−テトラパラメチルベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル −α−D−グルコピラノシド(4a)を通常の方法に従い段階的に合成した。
(1)第1段階目の合成として1a(201mg)と2a(103mg)を、活性化したモレキュラーシーブスMS4A共存下ジクロロメタンに溶解し、トルエンに溶解した銀トリフラート(179mg)、2,4,6−コリジン(31mg)を−20〜−10℃で滴下した(アクタケミカスカンジナビア、B33巻、166頁、1979年、参照)。
【0032】
−10℃で3時間反応を行なった後、反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和、ジクロロメタンで抽出、硫酸マグネシウムを用いて乾燥、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。粗生成物をベンゼン−酢酸エチルを溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、フェニル2,3,4−トリアセチル−6−O−(2,3,4,6−テトラパラメチルベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−β−D−チオグルコピラノシドの白色結晶228mg(収率87%)を得た。
【0033】
H−NMRスペクトル(ppm)δ
GX−500 CDCl/TMS
1.93,1.95,2.05(each s,each 3H,Ac)
2.29,2.34,2.39,2.41(each s,each 3H,−CCH
3.65(m,H−5)
3.74〜3.78(m,H−6a,H−6b)
4.00(m,H−5′)
4.41(dd,H−6′a,J5′,6′a=5.50,J6′a,6′b=12.37)
4.58(dd,H−6′b,J5′,6′b=2.74,J6′a,6′b=12.37)
4.60(d,H−1,J1,2=9.62)
4.72(dd,H−4,J3,4=J4,5=9.62)
4.83(dd,H−2,J1,2=J2,3=9.62)
4.87(d,H−1′,J1′,2′=7.79)
5.10(dd,H−3,J2,3=J3,4=9.62)
5.44(dd,H−2′,J1′,2′=7.79,J2′,3′=9.62)
5.56(dd,H−4′,J3′,4′=J4′,5′=9.62)
5.78(dd,H−3′,J2′,3′=J3′,4′=9.62)
7.07〜7.45,7.71〜7.93(each m,21H,アロマティック−H)
(2)第2段階目の合成として、上記反応で得られたフェニル2,3,4−トリアセチル−6−O−(2,3,4,6−テトラパラメチルベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−β−D−チオグルコピラノシド90mg,3aの化合物35mgおよびN−ヨウドスクシンイミド73mgを活性化したモレキュラーシーブスMS4A共存下ジクロロメタンに溶解し、トリフルオロメタンスルホン酸0.1mlをジクロロメタン2mlで希釈した溶液0.05mlを滴下、室温で約20分反応させる(ジャーナルオブアメリカンケミカルソサイエティーソサイエティー、105巻、2430頁、1983年、参照)。反応溶液を10%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和・洗浄、ジクロロメタンで抽出後、抽出液を硫酸マグネシウムを用いて乾燥、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。粗生成物をヘキサン−酢酸エチルを溶出液とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、4aを71mg(収率66%)得た。
【0034】
(1),(2)での通算収率は57%であった。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、薬理活性、及びそれに関連する有用なオリゴ糖を簡略な工程で高い生産性により合成することができる。

Claims (1)

  1. 糖単位間で少なくとも2箇所のグリコシル結合を形成するオリゴ糖の製造方法であって、
    (a)下記式(I)
    Figure 0003542143
    (上式中、X はグリコシル化反応活性化剤であるトリフルオロメタンスルホン酸銀 により活性化されて反応中間体を与える活性化基臭素であり、Yは保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基であり、pは0または1〜6のいずれかの整数であり、そしてピラノース骨格内の結合手をもたない炭素原子は水素原子以外に保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基を有する)で表される糖誘導体を、活性化剤トリフルオロメタンスルホン酸銀 の存在下で、下記式(II)
    Figure 0003542143
    (上式中、X はグリコシル化反応活性化剤A により活性化されて反応中間体を与える活性化基チオフェニル基またはフッ素であり、ここで該グリコシル化反応活性化剤A はX がチオフェニル基の場合はN−ヨウドスクシンイミドであり、X がフッ素の場合はトリフルオロメタンスルホン酸トリメチル硅素であり は反応活性化剤A により活性化された式(I)の誘導体との反応点であって水素原子であり、qは0または1〜6のいずれかの整数であり、そしてピラノース骨格内の結合手をもたない炭素原子は水素原子以外に保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基を有する)で表される糖誘体と反応させて式(I)のX の結合位置と式(II)のR が結合した酸素原子との間にグリコシル結合を形成する工程、ならびに
    (b)工程(a)と同時にまたはその後に、活性化剤A の存在下で、下記式(III)
    Figure 0003542143
    (上式中、X はグリコシル化反応活性化剤A およびA に不活性な活性化基メトキシ基であり、R は反応活性化剤A により活性化された式(II)の誘導体部分との反応点であって、反応活性化剤A がN−ヨウドスクシンイミドであるときは水素原子であり、反応活性化剤A がトリフルオロメタンスルホン酸トリメチル硅素であるときはトリメチル硅素基または水素原子であり、γは0または1〜6のいずれかの整数であり、そしてピラノース骨格内の結合手をもたない炭素原子は水素原子以外に保護された水酸基または保護されたヒドロキシメチル基を有する)で表される糖誘導体を反応させて式(II)のX の結合位置と式(III)のR が結合した酸素原子との間にグリコシル結合を形成する工程を含んでなり、
    工程(a)と(b)がそれぞれ生成物を単離することなく共通の反応混合物中で実施され、下記式(IV)
    Figure 0003542143
    (上式中、Y,X ,p,qおよびγ、ならびにピラノース骨格の他の置換基は上記に定義した意味を有し、記*はそれぞれ対応する番号が付された結合に連続する)で表されるオリゴ糖を生成する、ことを特徴とするオリゴ糖の製造方法。
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