JP2006076961A - 免疫増強組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数種の乳酸菌と酵母を原料乳中で共生培養して得られる発酵乳を有効成分として含有する免疫増強組成物、特に、IgM産生促進剤およびIFN-γ産生促進剤。
Description
本発明組成物の有効成分とする発酵乳は、原料である乳に乳酸菌等を作用させて、その乳蛋白を分解させて得られるものであって、IgM産生促進作用及びIFN-γ産生促進作用を奏する生理活性ペプチドを含むものである。その製法は、得られる発酵乳がかかる生理活性ペプチドを含む限り、特に限定されるものではない。
・ラクトコッカス ラクティス サブスピーシーズ ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、
・ラクトコッカス ラクティス サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、
・ストレプトコッカス ラクティス サブスピーシーズ ジアセチラクティス(Streptococcus lactis subsp. diacetylactis)、
・ストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus thermophillus)、
・ロイコノストック クレモリス(Leuconostoc cremoris)、
・ラクトバチラス デルブレッキイ サブスピーシーズ ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、
・ラクトバチラス デルブレッキイ サブスピーシーズ ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、
・ラクトバチラスアシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、
・ラクトバチラス カゼイ(Lactobacillus casei)、
・ラクトバチラス ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、
・ビヒドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)、
・サッカロマイセス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)。
本発明組成物は、上記発酵乳(発酵カード、発酵液、それらの粉末及び錠剤)をその必須成分として含有することが重要である。上記発酵乳はそれ自体、本発明組成物の有効成分としてのIgM産生促進作用及びIFN-γ産生促進作用を奏する生理活性物質と共に、発酵乳の原料とする乳及びこれに作用させる乳酸菌等に由来する蛋白質、脂質、菌体自体を構成する成分などを含有し、また発酵の結果生じる代謝産物を含有している。この代謝産物には、例えばジアセチル、アセトイン、クエン酸等の香気成分、ナイアシン等の抗菌成分、アミノ酸、乳酸等の有機酸が含まれる。従って、発酵乳は、それ単独で、本発明免疫増強組成物として有用である。特にこのものは優れた風味、味等を有しているため、飲食品形態で、上記生理活性或いはこれに基づく各種疾患の治療効果などを要求される患者に、有利に適用することができる。
参考例1
ラクトコッカス・ラクティス・サブスピーシス・ラクティス(Lc. lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシス・クレモリス(Lc. lactis subsp. cremoris)、ストレプトコッカス・ラクチス・サブスピーシス・ジアセチラクチス(Str. lactis subsp. diacetylactis)及びロイコノストック・クレモリス(Leu. cremoris)を各々個別的に約25%濃度以下の牛乳(脱脂乳)に接種し、各菌の最適温度による恒温環境下で48時間を限度として培養した。各菌が個別的に牛乳中で増殖し、その産生乳酸により酸度約0.9%の発酵乳が生成された。
本試験での乳酸菌とは、中温で好気的にBCP加プレートカウント寒天培地に発育する酸生成菌をいう。
1平板に30-300個の集落が得られるような希釈度を選択し、同一段階希釈の試料に対し滅菌ペトリ皿2枚以上を用意し、滅菌ピペットでそれぞれの希釈液1mLずつ正確にとり、これに予め加熱溶解して約50℃に保持したポテトデキストロース寒天培地(使用前に滅菌した10%酒石酸でpH3.5に調整する)約15mLを加えて静かに混和し、冷却凝固させる。培養は25℃で5-7日間行う。培養した後、発生した集落を計測し、その平均集落数に希釈倍数を乗じ酵母菌数とする。
乳酸酸度:中和滴定法、
pH:ガラス電極法、
蛋白質:セミミクロケルダール法、
脂質:レーゼ・ゴットリーブ法、
大腸菌群:デスオキシコレート寒天培地法。
(1) 供試発酵乳液の調製
参考例1で調製した発酵乳4の発酵乳液を、100,000×g、30分間、4℃で遠心分離を行い、上清を回収した。このもののpHは約4であった。次いで得られた上清を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(NaPB)(pH=7.4)で透析して供試液1を調製した。
(2) 供試抗体産生細胞とその培養
供試細胞としてヒト末梢血リンパ球(PBL)を、Murakamiの報告した方法により健康なドナーの末梢血から調製した(Murakami, H., et al., Cytotechnology, 24, 177-182 (1997))。この調製は、ドナー末梢血を生理食塩リン酸緩衝液(PBS)で等倍希釈後、リンパ球分離培地(Nycomed, Pharma, Oslo, Norway)で室温下、30分間遠心分離し、ERDF培地で3回洗浄することにより実施した。得られたPBLは単球、線維芽細胞などの付着細胞を除去するために、1日、牛胎児血清(FCS)を10%添加したERDFで前培養した。前培養後、PBLをITES-ERDF培地に接種した。
(3) 産生IgMの測定
上記(1)で調製した供試液を種々の濃度で添加したITES-ERDF培地に、上記(2)で調製したPBLを1×106細胞/mL接種し、4日間培養(37℃、湿潤、5%炭酸ガスインキュベータ内)し、各培養培地中に分泌、蓄積されるIgM量を、Sugaharaらの報告した抗ヒトIgM抗体(Biosource International)を用いたELISA法に従って測定した(Sugahara, T., et al., Bioscience, Biotechnology and Biochemistry, 58, 2212-2214 (1994) )。各測定は、同一試験を3回繰り返して行い、測定値はmeans±SDにて表示した。
(4) 結果
4日間培養後のIgM産生量を調べた結果を図1(横軸:蛋白濃度(μg/mL)、縦軸:IgM産生量(ng/mL)に示す(白丸)。なお、図1にはコントロールとして供試液無添加のITES-ERDF培地を用いて上記と同様にしてPBL細胞を培養した時の培地中のIgM測定値を黒丸にて表示する。
(1) IFN-γの測定
実施例1において使用したヒトPBLを用いて、発酵乳の添加が該細胞のIFN-γ産生に対してどのような影響を及ぼすかを試験した。この試験は、種々の濃度の供試液1を添加したITES-ERDF培地に、更にリポポリサッカライド(LPS、シグマ社製)5.0μg/mLを添加した培地を利用して、実施例1と同様にして、ヒトPBLの1×106細胞/mLを5日間培養し、培地中に分泌、蓄積されるIFN-γ量を、ELISA法をベースとするサイトカイン測定キット(Biosouurce International 社製)を用いて測定した。比較のため、上記供試液1に代えてα-ラクトアルブミン(α-LA、シグマ社製)の所定濃度(200μg/mLまたは400μg/mL)を用いて同様の操作を繰り返した。各測定は同一サンプルについて3回実施し、測定値はmeans±SDにて求めた。
(2) 結果
得られた結果(IFN-γ産生量測定試験の結果)を図5(横軸:コントロール、α-ラクトアルブミンおよび供試液1、α-ラクトアルブミン及び供試液1の各数値は、各蛋白濃度(μg/mL)を示す)、縦軸:IFN-γ産生量(pg/mL))に示す。図5中、星印は、コントロールに対する有意差を示す。
(1) ゲル濾過
実施例1の(1)に記載の発酵乳(供試液1)について、Superdex75ゲル濾過カラムを用いてゲル濾過を行い、各フラクションについて280nmにおける吸光度を求めると共に、各フラクションをそれぞれ回収し、IgM産生量を前記実施例1と同様にして求め、IgM産生促進活性の認められたフラクション(ゲル濾過の結果を示す図7(縦軸:280nmにおける吸光度、横軸:溶出液量(mL))中、斜線を付して囲ったフラクション部分、そのIgM産生促進活性は、コントロールの1.6±0.6ng/mLに対して約2倍の3.2±0.3ng/mLである)について、以下の通り、SDS-PAGEを実施した。
<ゲル濾過条件>
使用機器:ファルマシアFPLCシステム
カラム:ファルマシアSuperdex75 HR 10/30カラム
展開溶媒:PBS
流速:1mL/min
条件
(2) SDS-PAGE
レメリーらの方法(Laemmli,U.K., et al., Nature, 227, 680 (1970))に従って、15%ポリアクリルアミドスラブゲルを用いて、回収したフラクションのSDS-PAGEを実施した。蛋白質はクマシーブリリアントブルーR-250(ICN Biomedicals社製)にて染色した。分子量マーカーとしては、アマシャム(Amersham Bioscience)社製マーカー(phosphorylase b: 94.0kDa, bovine serum albmin: 67.0kDa, ovalbumin: 43.0kDa, carbonic anhydrase: 30.0kDa, soybean trypsin inhibitor: 20.1kDa及びα-lactalbumin: 14.4kDa)を用いた。
実施例1の(1)に記載の発酵乳液(供試液1)を、20℃、37℃、50℃、65℃、80℃及び100℃のそれぞれの温度条件下に30分間維持し、室温に戻した後、実施例1と同様にして、それらのそれぞれのIgM産生促進作用を測定した。
図8に示される結果から、発酵乳のIgM産生促進作用(活性)は、熱的に安定しており、65℃の熱処理によっても低下しないばかりか、むしろ2.5倍に促進される。なお、この活性は、別途に行った試験の結果、トリプシン処理によって完全に失活した。
脱脂乳を殺菌後、これに参考例1で調製したスタータ1、2及び3の所定量を接種し、表1に記載の発酵乳4の場合と同様にして、2週間培養して発酵乳(熟成複合発酵乳カード)を製造した。
得られた液を真空凍結乾燥(真空凍結乾燥機使用、凍結乾燥条件:真空度=0.5torr以下、乾燥時間:24時間)後、粉砕して、凍結乾燥粉末を得た。
無脂乳固形分:蛋白質×2.82
ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄):原子吸光法、
リン:吸光光度法、
ビタミン:高速液体クロマトグラフ法、
コレステロール:ガスクロマトグラフ法
実施例5と同様にして、脱脂乳に複合乳酸菌を作用させて得られた発酵乳(熟成複合発酵乳カード)を均質化後、得られた均質液に砂糖及び香料の適当量を添加し、調製物を殺菌して、乳酸発酵飲料(希釈して飲料とされる濃縮品)を調製した。
実施例5と同様にして、脱脂乳に複合乳酸菌を作用させて得られた発酵乳(熟成複合発酵乳カード)をpH調整後、殺菌し、得られた発酵乳に、ヨーグルトミックス(生乳、乳製品および安定化剤を含む)を適量添加し、調製物を、実施例5と同様にして均質化および殺菌し、乳酸菌スタータを接種して、ハードヨーグルトを調製した。
Claims (9)
- 発酵乳を有効成分として含有することを特徴とする免疫増強組成物。
- 発酵乳が、複数種の乳酸菌と酵母を原料乳中で共生培養して得られるものである請求項1に記載の免疫増強組成物。
- IgM産生促進剤である請求項1または2に記載の免疫増強組成物。
- IFN-γ産生促進剤である請求項1または2に記載の免疫増強組成物。
- 発酵乳が、複数種の乳酸菌を個別的に原料乳に接種し、この接種したものを各菌の生育最適温度環境下で各々個別的に適当時間培養後、得られた各培養菌液を個別的に適当量採取し、酵母と共に一括して乳に接種したものを異なる温度環境下で適当時間培養したる後、各温度別に得られた各スタータを夫々所定の割合で乳に添加し恒温環境下で一定時間培養後、得られた発酵カードから抽出される発酵液である、請求項1に記載の免疫増強組成物。
- 発酵乳が、ラクトコッカス ラクティス サブスピーシーズ ラクティス(Lactococcus lactis subsp. lactis)、ラクトコッカス ラクティス サブスピーシーズ クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ストレプトコッカス ラクティス サブスピーシーズ ジアセチラクティス(Streptococcus lactis subsp. diacetylactis)、ストレプトコッカス サーモフィラス(Streptococcus thermophillus)、ロイコノストック クレモリス(Leuconostoc cremoris)、ラクトバチラス デルブレッキイ サブスピーシーズブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチラス デルブレッキイ サブスピーシーズ ラクティス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)、ラクトバチラス アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチラス カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチラス ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)、ビヒドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)及びサッカロマイセス セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)からなる乳酸菌及び酵母を用いて脱脂乳を2週間培養して得られる培養産物の遠心分離上清である請求項1に記載の免疫増強組成物。
- 発酵乳が、乳蛋白質の分解産物である19kDa蛋白質を含むものである請求項1に記載の免疫増強組成物。
- 食品形態である請求項1-7のいずれかに記載の組成物。
- 医薬品形態である請求項1-7のいずれかに記載の組成物。
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