JP2001302523A - Ldl酸化抑制飲食品及び医薬品 - Google Patents

Ldl酸化抑制飲食品及び医薬品

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】LDL酸化抑制能の高いラクトバチルス・
デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス O
LL 1162株(FERM P-17836)及び/又はストレプ
トコッカス・サーモフィラス、該乳酸菌含有物、その処
理物の少なくともひとつを含有してなるLDL酸化抑制
飲食品または医薬品。 【効果】該乳酸菌を用いて製造した発酵乳等飲食品また
は医薬品は、生体内LDL酸化抑制能にすぐれ、動脈硬
化症等の予防、保健、又は治療の効果が期待できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体内で血中低密度リ
ポタンパク質(以下、LDLという。)の酸化を防止す
る作用を有する飲食品及び医薬品に関する。即ち、本飲
食品又は医薬品を摂取することによって動脈硬化症との
因果関係が深いと考えられているLDLの酸化が抑制さ
れ、動脈硬化症の予防効果が期待される。
【0002】
【従来の技術】近年、動脈硬化症の発症に関して、動脈
の血管表皮細胞下に酸化されたLDLが泡沫化されるこ
とが主要因であると考えられている。そのため、動脈硬
化症の発症の予防として、LDLの酸化を抑制する飲食
品又は医薬品を摂取することが重要と考えられる。
【0003】従来、抗酸化剤としてビタミンC、ビタミ
ンE等のラジカル消去剤、カタラーゼ、ペルオキシダー
ゼ等の酵素剤が知られているが、直接的に生体内でLD
Lの酸化を抑制するのは脂溶性であるビタミンEのみで
ある。しかし、ビタミンEの過剰摂取は副作用の問題等
が指摘され、生体内酸化防止に関しては特定の抗酸化剤
に頼るのではなく、飲食品又は医薬品として多種多様な
抗酸化成分を摂取することが望まれている。
【0004】乳酸菌の抗酸化活性に関しての報告として
は、乳酸菌の菌体が有効成分である抗酸化剤、即ち乳酸
桿菌の菌体及び/または菌体親水性溶媒抽出物を有効成
分とする生体内過酸化脂質抑制剤(特開平4−2640
34)、ストレプトコッカス・ラクチス・リスターの菌
体消化物から成る乳酸菌調製物(特開平3−4768)
が報告されているが、LDLの酸化を抑制する作用につ
いては動物実験での作用のみが知られている(97年度
日本農芸化学会大会要旨集)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、動脈硬
化症の予防の面から、生体内でのLDLの酸化を抑制す
ることが希求されている現状に鑑み、安全性、経口摂取
等の面から再度乳酸菌に着目し、乳酸菌を用いるLDL
の酸化抑制システムを新たに開発することとした。すな
わち、本発明が解決しようとする課題は、生体内のLD
L酸化抑制を目的に、既にLDL酸化抑制能を有するこ
とが知られているいラクトバチルス・デルブルッキー・
サブスピーシーズ・ブルガリカスの菌株の中からさらに
LDL酸化抑制能の高い菌株を選定すること、さらにそ
の他の乳酸菌種の中ならLDL酸化抑制能の高い菌株を
選定すること、該乳酸菌を用いて安価で日常的な摂取が
可能な飲食品及び医薬品を新たに提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記した課題
を解決するためになされたものであって、発明者らは、
まず、動物実験でLDLの酸化抑制効果が知られている
ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・
ブルガリカスの発酵乳について、その抗酸化活性を試験
管レベルで調べた。LDLの酸化抑制に関しては、ビタ
ミンEのように脂溶性物質が特に効果的であると考え、
菌体除去した発酵液(乳清)からエーテル抽出した脂溶
性画分の抗酸化作用を試験管レベルで調べた。
【0007】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリカスの数菌株を試験した結果、そ
の抗酸化作用は菌株による差が大きいこと、供試菌株の
中では、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピー
シーズ・ブルガリカス OLL 1162株(FERM P-1783
6)が最も強い抗酸化活性を有していることを見出した。
ついで、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピー
シーズ・ブルガリカス OLL 1162株(FERM P-1783
6)の発酵乳の乳清のエーテル抽出物について、ヒトのL
DLに対する抗酸化作用を試験管レベルで調べ、その強
い抗酸化作用を確認した。さらに、1162株(FERM P-
17836)の発酵乳を用いて経口投与による動物実験を行い
LDLの酸化抑制効果を確認し、本発明を完成するに至
った。
【0008】すなわち、本発明は、LDL酸化抑制能の
高いラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシー
ズ・ブルガリカス OLL 1162株(FERM P-1783
6)、該乳酸菌含有物、その処理物の少なくともひとつ
を含有してなるLDL酸化抑制飲食品又は医薬品に関す
るものである。
【0009】さらに、本効果を有する乳酸菌として、ラ
クトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブ
ルガリカスと共にヨーグルトのスターターとして知られ
るストレプトコッカス・サーモフィラスを用いて発酵さ
せた発酵乳についても、ラクトバチルス・デルブルッキ
ー・サブスピーシーズ・ブルガリカスと同様にLDLに
対する抗酸化作用を試験管レベルで調べた。その結果、
これまでにLDLの酸化抑制作用が知られていなかった
ストレプトコッカス・サーモフィラスの発酵乳について
も、そのエーテル抽出物にLDL酸化抑制作用を見出
し、ついに本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、さらに本発明は、抗LDL酸化
抑制能の高いストレプトコッカス・サーモフィラス、該
乳酸菌含有物、その処理物の少なくともひとつを含有し
てなるLDL酸化抑制飲食品又は医薬品に関するものあ
る。
【0011】また、さらに本発明は、LDL酸化抑制能
の高いラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシ
ーズ・ブルガリカス OLL 1162株(FERM P-1783
6)及びLDL酸化抑制能の高いストレプトコッカス・
サーモフィラス、該乳酸菌含有物、その処理物の少なく
ともひとつを含有してなるLDL酸化抑制飲食品又は医
薬品に関するものである。
【0012】乳酸菌含有物としては、乳酸菌懸濁液;乳
酸菌培養物(菌体、培養上清物、培地成分を含む);乳
酸菌培養物から固形分を除去した乳酸菌培養液;乳酸菌
飲料、酸乳、ヨーグルト等乳酸菌発酵した乳酸菌発酵
乳;等が挙げられる
【0013】処理物としては、乳酸菌、乳酸菌含有物、
発酵乳の濃縮物、ペースト化物、乾燥物(噴霧乾燥物、
凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物等)、液状物、
希釈物等が挙げられる。また、高度の処理物として、乳
培地で発酵した発酵乳の乳清のエーテル抽出画分が挙げ
られる。
【0014】本発明に係る飲食品は、乳酸菌、含有物、
処理物の少なくともひとつを有効成分として含有してな
るものであって健康食品としても有用である。本発明に
係る医薬品は、乳酸菌、含有物、処理物の少なくともひ
とつを有効成分として含有してなるものである。
【0015】有効成分の飲食品への配合量は、任意でよ
いが、使用目的(予防、保健、又は治療)に応じて適宜
定めればよくよく、通常、0.001〜10%の範囲が
適当である。しかしながら、長期間に亘って保健上ない
し健康維持の目的で摂取する場合には、上記範囲よりも
多量に使用しても一向にさしつかえない。
【0016】飲食品には、有効成分をそのまま使用した
り、他の食品ないし食品成分と併用したりして適宜に常
法に従って使用できる。有効成分を用いる本発明に係る
飲食品は、固体状(粉末、顆粒状その他)、ペースト
状、液状ないし懸濁状のいずれでもよく、例えば、甘味
料、酸味料、ビタミン剤その他ドリンク剤製造に常用さ
れる各種成分を用いて、健康ドリンクに製品化すること
ができる。
【0017】本発明において、例えば、ラクトバチルス
・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス
OLL 1162株(FERM P-17836)及びストレプトコッ
カス・サーモフィラス OLS 3059株(FERM P-154
87)のヨーグルト(プレーンヨーグルト、デザートヨー
グルト、ドリンクヨーグルト、フローズンヨーグルト)
を中心とした発酵乳、乳酸菌飲料、粉末食品、顆粒状食
品、ペースト状食品等として摂取することが好適であ
る。
【0018】有効成分の医薬品への配合量は、任意でよ
いが、使用目的(予防、保健、又は治療)、患者の年
齢、投与方法,等に応じて適宜定めればよく、通常、
0.001〜10%の範囲が適当である。しかしなが
ら、長期間に亘って保健上ないし健康維持の目的で摂取
する場合には、上記範囲よりも少量であってもよいし、
また本有効成分は、安全性について問題がないので、上
記範囲よりも多量に使用しても一向にさしつかえない。
現にマウスを用いた10日間の急性毒性試験の結果、5
000mg/kg/日の経口投与でも死亡例は認められ
なかった。
【0019】医薬品には、有効成分をそのまま使用した
り、賦形剤等と混合使用することができる。本有効成分
を用いる本発明に係る医薬品は、固体状(粉末、顆粒状
その他)、ペースト状、液状ないし懸濁状のいずれでも
よい。
【0020】医薬品において、本有効成分は、種々の形
態で投与される。その投与形態としては例えば錠剤、カ
プセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与
をあげることができる。これらの各種製剤は、常法に従
って主薬に賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味剤、
懸濁剤、コーティング剤などの医薬の製剤技術分野にお
いて通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化するこ
とができる。その使用量は症状、年齢、体重、投与方法
および剤形等により異なるが、通常は、成人に対して、
1日当たり、経口投与の場合には1〜1000g程度投
与すればよい。
【0021】本発明において、医薬品、例えば、抗動脈
硬化剤、LDL酸化抑制剤として乳酸菌製剤(散剤、顆
粒剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等)単独で投与す
ることが可能であるが、ビタミンE、ビタミンC等の過
酸化脂質抑制剤、抗酸化剤、その他の薬剤とともに投与
してもよい。
【0022】
【試験例1】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピージーズ・ブルガリカス数菌株を用いて、既知のラク
トバチルス・デルブルッキー・サブスピージーズ・ブル
ガリカス2038株に比して、発酵乳中の乳清のエーテ
ル抽出物の抗酸化活性の強い菌株を選択した。
【0023】(1)試験試料の調製 脱脂粉乳10%溶液を培地として、ラクトバチルス・デ
ルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカスを接種
して37℃で24時間培養した。培養後、培養液を遠心
分離して得られた乳清40mlからエーテル40mlを
用いてエーテル抽出を2回行い、エーテル抽出物を濃縮
した後、50%メタノール溶液4mlとして試験試料と
した。試験菌株としては9株のラクトバチルス・デルブ
ルッキー・サブスピーシーズを用いた。
【0024】(2)発酵乳の抗酸化作用の測定 ウサギの血液から赤血球膜を調製し、蛋白質濃度を3m
g/mlとして試験に用いた。抗酸化試験は、赤血球膜
溶液0.85mlと試験試料0.1mlを混合後、24
mMのt−ブチルヒドロペルオキシド0.05mlを添
加し、37℃で30分間保温した。保温後、トリクロロ
酢酸(2M)−塩酸(1.7M)溶液1mlと0.67
%チオバルビツール酸(TBA)溶液2mlを添加して
沸騰水中で15分間反応させた。反応後、吸光度(A5
35)を測定し、TBARS値として示した。
【0025】(3)ラクトバチルス・デルブルッキー・
サブスピーシーズ・ブルガリカスの抗酸化作用の測定結
果 各ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ
・ブルガリカスの菌株の抗酸化作用を図1に示す。A5
35で示したTBARS値は図1に示すように菌株によ
る差が大きかった。即ち、同じラクトバチルス・デルブ
ルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカスの菌株でも
菌株による抗酸化作用の差が大きいことが示された。特
に本発明に係るラクトバチルス・デルブルッキー・サブ
スピーシーズ・ブルガリカス OLL 1162株(FERM
P-17836)は、既知のラクトバチルス・デルブルッキー・
サブスピーシーズ・ブルガリカス2038株の2.5倍
以上の強い抗酸化活性を有していた。
【0026】
【試験例2】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリカス OLL1162株(FERM P-1
7836)及びストレプトコッカス・サーモフィラス OLS
3059株(FERM P-154876)の発酵乳の乳清のエーテル
抽出物によるLDLの酸化抑制試験をした。
【0027】(1)試験試料の調製 脱脂粉乳10%溶液を培地として、ラクトバチルス・デ
ルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス OL
L 1162株(FERM P-17836)、もしくはストレプト・
コッカス・サーモフィラス OLS 3059株(FERM P-
15487)を接種して37℃で24時間培養した。培養後、
培養液を遠心分離して得られた上清40mlからエーテ
ル40mlを用いてエーテル抽出を2回行い、エーテル
抽出物を濃縮した後、50%メタノール溶液4mlとし
て試験試料とした。
【0028】(2)LDLの調製 ヒトの血液40mlにEDTA40mgを加え、超遠心
分離法によってLDLを調製した。調製したLDLはSe
phadex G-25でゲル濾過して脱EDTA処理し、Lowry法
で蛋白質濃度を測定した。その後、リン酸緩衝液(10
mM、pH7.4)を添加して蛋白質濃度0.5mg/
mlのLDL溶液として試験に用いた。
【0029】(3)銅イオンによるLDLの酸化反応の
測定 調製したLDL溶液6ml、0.02mg/ml硫酸銅
溶液6ml、50mMリン酸緩衝液(pH7.4)6m
l、蒸留水3.6ml、試験試料2.4mlを混合した
後、10分毎に酸化によって生じる共役ジエンの吸収波
長A234値を測定した。
【0030】(4)発酵乳のLDL酸化抑制効果の測定
結果 測定結果を図1に示す。図1に示すように脱脂粉乳培地
に比べると、ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリカス OLL 1162株(FERM P-
17836)とストレプト・コッカス・サーモフィラス OL
S 3059株(FERM P-15487)の発酵物のエーテル抽出
物はA234の値の上昇が遅れて開始する。即ち、これ
ら発酵乳の乳清のエーテル抽出物はLDLの酸化で生じ
る共役ジエンの生成を遅らせた。このことから、ラクト
バチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガ
リカスとストレプト・コッカス・サーモフィラスのLD
Lに対する直接的な抗酸化作用が認められた。
【0031】
【試験例3】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリカス OLL1162株(FERM P-1
7836)より調製した発酵乳をラットに投与しLDL抗酸
化作用を測定した。
【0032】(1)試験方法 ラットに酸化油をラットの飼料に混ぜて投与すると、ラ
ットの血中LDLが酸化される。そこで、ラットの飼料
中に酸化油とラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリカス OLS 1162株(FERM P-
17836)の発酵物を混ぜて投与することで、酸化油による
LDLの酸化に対する発酵物の効果を調べた。
【0033】(2)試験試料の調製 脱脂粉乳10%溶液を培地として、ラクトバチルス・デ
ルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス OL
L 1162株(FERM P-17836)を接種して37℃で24
時間培養した。培養後、得られた発酵乳は凍結乾燥によ
って乾燥し、粉末化(発酵粉末)してラットの飼料調製
に用いた。酸化油は大豆油を60℃で9日間保温して酸
化油(POV:91)を作成した。ラットの飼料はAI
N93Gを基準にして作成した。新鮮大豆油もしくは酸
化油は飼料に13%添加し、1162株の発酵粉末もし
くはスキムミルクは飼料に10%添加して作成した。即
ち、新鮮油−脱脂粉乳、酸化油−脱脂粉乳、新鮮油−発
酵粉末、酸化油−発酵粉末の4種類の飼料を調製した。
【0034】(3)飼料投与およびLDLの調製 F344ラットに3週間、調製した飼料を投与した。投
与終了後、ラットから採血してLDLを超遠心分離法で
調製した。LDLはTBA法でA535を測定してマロ
ンジアルデヒド量に換算したTBARS値を求めるとと
もに、Lowry法で蛋白質濃度を測定し、蛋白質1mgあた
りのTBARS値をLDLの酸化度として示した。
【0035】(4)発酵乳の抗酸化作用の測定結果 結果を図3に示す。酸化油−脱脂粉乳飼料を摂取したラ
ットに比べて、酸化油−ラクトバチルス・デルブルッキ
ー・サブスピーシーズ・ブルガリカス OLL1162
株(FERM P-17836)発酵粉末を摂取したラットのLDLの
酸化度が低下した。即ち、酸化油を摂取することによっ
てLDLが酸化されるが、その酸化は発酵粉末を摂取す
ることによって抑制されることが確かめられた。
【0036】
【実施例1】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリカス OLL1162株(FERM P-1
7836)とストレプト・コッカス・サーモフィラス OLS
3059株(FERM P-15487)を用いてプレーンヨーグル
トの調製を行った。すなわち、ラクトバチルス・デルブ
ルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス OLL1
162株、ストレプト・コッカス・サーモフィラス O
LS 3059株をそれぞれ10%脱脂粉乳培地に1%
宛て接種し、37℃で15時間培養してバルクスタータ
ーを調製した。95℃で5分間加熱処理したヨーグルト
ミックス(SNF:9.5%、FAT:3.0%)に、ラクト
バチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガ
リカス OLL 1162株及びとストレプト・コッカス
・サーモフィラス OLS 3059株のスターターを各
1%接種して、43℃で4時間発酵させ、ついで冷却し
製品化した。
【0037】
【実施例2】脱脂乳を80〜85℃で20〜30分間殺
菌した後、ホモゲナイズし、冷却した。これにスタータ
ーとしてラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピー
シーズ・ブルガリカス OLL 1162株(FERM P-1783
6)の純培養物を2〜5%加え、37〜40℃で16時間
発酵させ、乳酸含量2%の酸乳(脱脂乳培地における培
養物)を得た。ついで、生じたカードを砕きながら、5
℃に冷却し、これを酸乳とした。別に、しょ糖15%の
ほかに適量の酸味料、香料、色素を含有する糖液を調合
し、ホモゲナイズし、70〜80℃で20〜30分間殺
菌した後、5℃に冷却し、糖液とした。このようにして
得た酸乳35に対して糖液65の割合で混合して酸乳飲
料を得た。
【0038】
【実施例3】ストレプト・コッカス・サーモフィラス
OLS 3059株(FERM P-15487)を10%脱脂粉乳培
地に1%接種し、37℃で15時間培養した培養物を凍
結乾燥した。この凍結乾燥物にビタミンC40gまたは
ビタミンCとクエン酸の等量混合物40g、グラニュー
糖100g、コーンスターチと乳糖の等量混合物60g
を加えて十分に混合した。混合物を袋に詰め、1袋1.
5gのステック状栄養健康食品を150袋製造した。
【0039】
【実施例4】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブス
ピーシーズ・ブルガリカス OLL1162株(FERM P-1
7836)を10%脱脂粉乳培地に1%接種し、37℃、1
8時間静置培養を行った。培養終了後、7,000rpm、
15分間遠心分離を行い、菌体を除いた上清を得た。こ
の上清にグルタミン酸ソーダ1%(重量)を添加しpH
7に調整後、固形分40%に濃縮しついで凍結乾燥を行
った。得られた凍結乾燥物を60メッシュのフルイで粉
体化し、凍結乾燥菌末を得た。第13改正日本薬局方解
説書製剤総則「散剤」の規定に準拠し、この凍結乾燥菌
末1gにラクトース(日局)40g、バレイショデンプ
ン(日局)60gを加えて均一に混合し、散剤を製造し
た。
【0040】
【実施例5】次の配合によLDL酸化抑制剤を製造し
た。(1)ストレプト・コッカス・サーモフィラス O
LS 3059株(FERM P-15487)の脱脂粉乳培地におけ
る培養物の凍結乾燥物50g、(2)ラクトース90
g、(3)コースターチ29g、(4)ステアリン酸マ
グネシウム1g。先ず、(1)、(2)、(3)(但し
17g)を混合し、(3)(但し7g)から調製したペ
ーストとともに顆粒化した。得られた顆粒に(3)(但
し5g)と(4)を加えてよく混合し、この混合物を圧
縮錠剤機により圧縮して、1錠あたり有効成分を40m
g含有する錠剤100個を製造した。
【0041】
【実施例6】脱脂粉乳10%溶液を培地として、ラクト
バチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガ
リカス OLL 1162株(FERM P-17836)を接種して3
7℃で24時間培養した。培養後、培養液を遠心分離し
て得られた乳清400mlを40mlに濃縮し、これに
エーテル40mlを用いてエーテル抽出を2回行い、エ
ーテル抽出物4.5gを得た。エーテル抽出物4.5g
を大豆油10gに溶解した後、脱脂粉乳10%(重
量)、グルタミン酸ソーダ1%(重量)を含む分散媒3
00gと混合し、pH7に調整後、凍結乾燥を行った。
得られた凍結乾燥物を60メッシュのフルイで粉体化
し、凍結乾燥菌末を得た。第13改正日本薬局方解説書
製剤総則「散剤」の規定に準拠し、この凍結乾燥菌末1
gにラクトース(日局)40g、バレイショデンプン
(日局)60gを加えて均一に混合し、散剤を製造し
た。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、生体内LDLの酸化抑
制、さらに動脈硬化症の予防、治療を副作用を伴うこと
なく効率的に実施できる。本発明に係る組成物は、安全
性には全く問題がなく乳製品その他の各種飲食品または
医薬品の形態に自由に調製することができるので、健常
者はもとより、老齢者、病弱者、病後の人等も長期間に
亘って摂取することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種のラクトバチルス・デルブルッキー・サブ
スピーシーズ・ブルガリカスで発酵した発酵乳の乳清の
エーテル抽出物が有する抗酸化活性の強さを示す。
【図2】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピー
シーズ・ブルガリカス OLL1162株(FERM P-1783
6)とストレプトコッカス・サーモフィラス OLS 30
59株(FERM P-15487)の発酵乳の乳清のエーテル抽出物
のLDL酸化抑制作用の強さを示す。
【図3】ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピー
シーズ・ブルガリカスOLL1162株(FERM P-17836)
の発酵乳のラットへの投与によるLDL酸化抑制作用を
示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A23L 2/38 A61P 3/06 A61P 3/06 9/10 9/10 C12N 1/20 A C12N 1/20 C (C12N 1/20 A //(C12N 1/20 C12R 1:225) C12R 1:225) (C12N 1/20 A (C12N 1/20 C12R 1:46) C12R 1:46) A23L 2/00 F (72)発明者 鈴木 英毅 神奈川県小田原市成田540 明治乳業株式 会社食品機能研究所内 Fターム(参考) 4B001 AC06 AC31 BC04 BC14 BC99 EC05 4B017 LC03 LK21 LL09 LP01 LP02 LP03 LP05 4B018 LB08 MD86 ME06 MF01 MF06 MF13 4B065 AA30X AA49X BD10 BD16 CA41 CA44 4C087 AA01 AA02 BC56 BC61 ZA45 ZC33

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】LDL酸化抑制能の高いラクトバチルス・
    デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス O
    LL 1162株(FERM P-17836)及び/又はストレプ
    トコッカス・サーモフィラス、該乳酸菌含有物、その処
    理物の少なくともひとつを含有してなること、を特徴と
    するLDL酸化抑制飲食品。
  2. 【請求項2】ストレプトコッカス・サーモフィラスが、
    ストレプトコッカス・サーモフィラス OLS 3059
    株(FERM P-15487)であること、を特徴とする請求項1に
    記載の飲食品
  3. 【請求項3】乳酸菌含有物が、乳酸菌懸濁液、乳酸菌培
    養物、乳酸菌培養液、乳酸菌発酵乳から選ばれた少なく
    ともひとつであること、を特徴とする請求項1又は2に
    記載の飲食品。
  4. 【請求項4】処理物が、濃縮物、ペースト化物、乾燥物
    (噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物
    から選ばれる少なくともひとつ)、液状物、希釈物から
    選ばれる少なくともひとつであること、を特徴とする請
    求項1〜3に記載の飲食品。
  5. 【請求項5】処理物が、該乳酸菌株を乳培地で発酵した
    発酵乳の乳清のエーテル抽出画分であること、を特徴と
    する請求項1〜3に記載の飲食品。
  6. 【請求項6】LDL酸化抑制能の高いラクトバチルス・
    デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリカス O
    LL 1162株(FERM P-17836)及び/又はストレプ
    トコッカス・サーモフィラス、該乳酸菌含有物、その処
    理物の少なくともひとつを含有してなること、を特徴と
    するLDL酸化抑制医薬品。
  7. 【請求項7】ストレプトコッカス・サーモフィラスが、
    ストレプトコッカス・サーモフィラス OLS 3059
    株(FERM P-15487)であること、を特徴とする請求項6に
    記載の医薬品
  8. 【請求項8】乳酸菌含有物が、乳酸菌懸濁液、乳酸菌培
    養物、乳酸菌培養液、乳酸菌発酵乳から選ばれた少なく
    ともひとつであること、を特徴とする請求項6又は7に
    記載の医薬品。
  9. 【請求項9】処理物が、濃縮物、ペースト化物、乾燥物
    (噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物
    から選ばれる少なくともひとつ)、液状物、希釈物から
    選ばれる少なくともひとつであること、特徴とする請求
    項6〜8に記載の医薬品。
  10. 【請求項10】処理物が、該乳酸菌株を乳培地で発酵し
    た発酵乳の乳清のエーテル抽出画分であること、を特徴
    とする請求項6〜8に記載の医薬品。
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