JPWO2018174125A1 - 脂質代謝改善用組成物 - Google Patents

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Abstract

ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を含む脂質代謝改善用組成物に関する。係る脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む脂質代謝改善用食品、医薬品、及び飼料を摂取することにより、脂質代謝が改善され結果的に体重が減少する。

Description

本発明は、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む食品、医薬品、及び飼料に関する。また、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含むメタボリックシンドロームを改善する組成物に関する。
脂肪肝は、肝臓に中性脂肪が過剰に沈着し、肝障害をきたす疾患の総称であり、アルコールの過剰摂取、肥満、糖尿病、薬物など様々な要因により発症することが知られている。また、近年、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病などによる非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が急増しており、成人の30%が罹患しているといわれている(非特許文献1)。
肝臓に脂肪が蓄積する原因は、脂肪組織に蓄積した脂肪の肝臓への流入が主であるとされる。しかし、NAFLD患者では、肝臓における脂肪合成の亢進も大きな原因であり、肝臓に蓄積した脂肪の25%に達する。
この脂肪合成の亢進には、アセチルーCoAカルボキシラーゼ(ACC)、脂肪酸合成酵素(FAS)、ステアリル−CoA不飽和化酵素1(SCD1)等の脂肪酸合成関連遺伝子や、これら脂肪酸合成関連遺伝子の発現を制御している転写因子であるSREBP−1cが関与している。肥満やメタボリックシンドロームによりインスリン抵抗性が惹起されると、SREBP−1cが誘導され、脂肪酸合成関連遺伝子の発現が亢進するために、肝臓での脂肪蓄積をきたす。
特許文献1は、ラクトバチルス・ラムノーサスGG株(ATCC53103)により少なくとも乳清蛋白質と脱脂乳とを含有する培養基を培養した培養物(a)、ラクトバチルス・カゼイTMC0409株(FERM P−17047)により前記の培養基を培養した培養物(b)、ストレプトコッカス・サーモフィラスTMC1543株(FERM P−17046)により前記の培養基を培養した培養物(c)とカルシウム製剤とを含む混合物から成り、乳固形分中のカルシウムの割合が1.5重量%以上であることを特徴とする、体脂肪蓄積抑制及び抗肥満効果を有する機能性飲食品を開示している。
特許文献2は、肝組織に肝細胞の風船様腫大を伴う脂肪性肝炎を認め、肝硬変や肝がんになるリスクが高い症例であるNonalcoholic steatohepatitis(NASH)に対する予防治療剤として、乳酸菌を1×1010/g含有する高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW(body weight)、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与して肝障害を誘導した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する乳酸菌を有効成分とするNASH予防治療剤を開示している。
ところで、近年の食習慣や生活習慣の変化に伴い、先進諸国を中心として、肥満、特に、内臓脂肪型肥満に、高血糖、高血圧、脂質異常症のうち2つ以上の症状が一個人に集積した状態であるメタボリックシンドロームの患者数が増加しており、大きな社会問題となっている。
肥満は脂肪細胞が肥大化することが主な原因とされているが、脂肪細胞には異なる役割を有する白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞の2種類の細胞があることが知られている(非特許文献2)。
白色脂肪細胞は、細胞内にトリグリセリドの形で脂肪を蓄積し、エネルギーを貯蔵する。したがって、白色脂肪細胞に過剰に脂肪が蓄積し、肥大化すると肥満となる。肥大化した白色脂肪細胞は、MCP1(Monocyte chemotactic protein 1)などの炎症性サイトカインを分泌して、慢性的な炎症状態からインスリン抵抗性を惹起させ、糖尿病を含む生活習慣病が発症する原因になると考えられている。
一方、褐色脂肪細胞は、白色脂肪細胞と同様に細胞内に脂肪を蓄積するものの、そのミトコンドリア膜上に存在するUCP1(uncoupling protein 1)の働きにより、脂肪を燃焼して熱を産生することでエネルギーを消費する。
つまり、生体内では、白色脂肪細胞によるエネルギーの貯蔵と褐色脂肪細胞の熱産生によるエネルギーの消費により、全身のエネルギーや体脂肪のバランスが調整されている。
また、最近の研究で、様々な環境要因等により白色脂肪組織中の白色脂肪前駆細胞から分化誘導される「誘導型」の褐色脂肪細胞が存在することが分かってきた(非特許文献2)。
特許文献3は、肥満やメタボリックシンドロームを改善及び予防することのできる幹細胞から褐色脂肪細胞への分化促進剤を提供することを課題とし、カテキン類を有効成分として含有する幹細胞から褐色脂肪細胞への分化促進剤、該分化促進剤を含有する医薬品、医薬部外品、化粧品及び飲食品を解決手段として開示している。
特許文献4は、筋肉を増強もしくは増加させ、またはメタボリックシンドロームを改善させ、QOLを改善するための組成物を提供することを目的とし、トリテルペンとポリフェノール類、好ましくはオレアノール酸とオレウロペインを含む組成物、該組成物を含む医薬組成物および食品等を解決手段として開示している。
特開2010−57465号公報 特開2014−24776号公報 特開2014−65672号公報 特開2016−199536号公報
Eguchi Y.et.al.,J.Gastroenterol、2012、47:586−595 Kajimura S. et. al.、Cell Metab., 2010、11:257−262
しかしながら、特許文献1の乳酸菌培養物は、前記(a)〜(c)の3種類の乳酸菌の培養物の混合物であり、いずれの乳酸菌に体脂肪蓄積抑制および抗肥満効果があるのかは不明であった。また、特許文献2は、試験対象の乳酸菌としてストレプトコッカス・サーモフィルスを挙げているが、四塩化炭素で誘導した肝障害に対する効果を検証したものであり、脂質代謝改善効果については何ら記載されていなかった。即ち、乳酸菌を用いた、脂質代謝を改善する手段は、特許文献1にも特許文献2にも報告されていなかった。
そのため、乳酸菌を用いた、脂質代謝を改善する手段が求められていた。
本発明の第一の課題は、脂質代謝を改善する新たな解決手段として、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を有効成分とする脂質代謝改善用組成物、及び該組成物を含む脂質代謝改善用食品、医薬品、及び飼料を提供することにある。
一方、非特許文献2には、白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞について開示されているが、乳酸菌を用いた、脂肪細胞の代謝を改善する方法は報告されていなかった。また特許文献3、4には、メタボリックシンドロームを改善及び予防する方法が開示されているが、乳酸菌を用いた方法は報告されていなかった。
そのため、乳酸菌を用いた、脂肪細胞の代謝を改善する方法やメタボリックシンドロームを改善及び予防が求められていた。
本発明の第二の課題は、新たな脂肪細胞の代謝を改善する組成物及び係る組成物を含む脂肪細胞の代謝を改善する食品、医薬品、及び飼料を提供することにある。また、本発明の第二の課題は、新たなメタボリックシンドロームを改善する組成物、及び係る組成物を含むメタボリックシンドロームを改善する食品、医薬品、及び飼料を提供することにある。
上記第一の課題を解決するため、本発明者らは、生体における脂質代謝を改善する組成物について鋭意検討を行った結果、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌にこれらの改善作用があることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、第一の発明は以下の内容に関する。
(A1)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を有効成分とする脂質代謝改善用組成物。
(A2)前記ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)SBT1
277(FERM BP−03234)、SBT1063(NITE P−02398)のいずれかである(A1)に記載の脂質代謝改善用組成物。
(A3)前記脂質代謝が肝臓における脂質代謝である(A1)又は(A2)に記載の脂質代謝改善用組成物。
(A4)(A1)から(A3)のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物を含む脂質代謝改善用食品。
(A5)(A1)から(A3)のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物を含む脂質代謝改善用医薬品。
(A6)(A1)から(A3)のいずれかに記載の脂質代謝改善用組成物を含む脂質代謝改善用飼料。
(A7)ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する新規乳酸菌であるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)SBT−1063(NITE P−02398)。
上記第二の課題を解決するため、本発明者らは、生体における過剰な脂肪の蓄積や肥満を抑制する組成物、メタボリックシンドロームを改善する組成物について鋭意検討を行った結果、ストレプトコッカス・サーモフィルスにこれらの改善作用があることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、第二の発明は以下の内容に関する。
(B1)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を有効成分とする白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化促進用組成物。
(B2)前記ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)SBT1277(FERM BP−03234)である(B1)に記載の組成物。
(B3)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を有効成分とする褐色脂肪細胞の活性化用組成物。
(B4)前記ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)SBT1277(FERM BP−03234)である(B3)に記載の組成物。
(B5)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を有効成分とするメタボリックシンドローム改善用組成物。
(B6)前記ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)SBT1277(FERM BP−03234)である(B5)に記載のメタボリックシンドローム改善用組成物。
(B7)(B1)又は(B2)に記載の組成物を含む白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化促進用食品。
(B8)(B1)又は(B2)に記載の組成物を含む白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化促進用医薬品。
(B9)(B1)又は(B2)に記載の組成物を含む白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化促進用飼料。
(B10)(B3)又は(B4)に記載の組成物を含む褐色脂肪細胞の活性化用食品。
(B11)(B3)又は(B4)に記載の組成物を含む褐色脂肪細胞の活性化用医薬品。
(B12)(B3)又は(B4)に記載の組成物を含む褐色脂肪細胞の活性化用飼料。
(B13)(B5)又は(B6)に記載の組成物を含むメタボリックシンドローム改善用食品。
(B14)(B5)又は(B6)に記載の組成物を含むメタボリックシンドローム改善用医薬品。
(B15)(B5)又は(B6)に記載の組成物を含むメタボリックシンドローム改善用飼料。
さらに、第二の課題には、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)に属する乳酸菌を有効成分とする脂肪酸合成抑制剤、コレステロール合成抑制剤、糖新生抑制剤又は脂肪組織炎症抑制剤の構成も含まれる。
第一の発明は、脂質代謝を改善する新たな解決手段として、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む脂質代謝改善用食品、医薬品、及び飼料を提供するものである。
したがって、本発明の上記組成物、食品、医薬品、飼料の摂取により手軽にかつ安全な方法で脂質代謝の改善が期待できる。
第二の発明は、生体における過剰な脂肪の蓄積や肥満を抑制する新たな解決手段として、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む脂質代謝改善用組成物であって、白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化促進、褐色脂肪細胞の活性化などの脂肪細胞の代謝を改善する脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む食品、医薬品、及び飼料を提供するものである。
また、第二の発明は、メタボリックシンドロームを改善する新たな解決手段として、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含むメタボリックシンドロームを改善する組成物及び係る組成物を含むメタボリックシンドロームを改善する食品、医薬品、及び飼料を提供するものである。
したがって、第二の発明の上記組成物、食品、医薬品、飼料の摂取により手軽にかつ安全な方法で脂肪細胞の代謝の改善及びメタボリックシンドロームの改善が期待できる。
[A:第一の発明]
本発明者等は、脂肪組織への脂肪の蓄積を抑制する以外に、肝臓における脂肪の合成を抑制することによっても、肝臓への脂肪の蓄積を防ぐことが可能であると着想した。そして、鋭意研究を続けた結果、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌が、肝臓への脂肪の蓄積を防ぐことを知見した。第一の発明は、上記知見に基づくものである。
(有効成分)
本発明は、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む脂質代謝改善用組成物及びそれを含む食品、医薬品、及び飼料に関するものであるが、本発明に用いるストレプトコッカス・サーモフィルスは16SリボソームRNA遺伝子配列解析等の一般的な分類方法によりStreptococcus属thermophilus種に分類される乳酸菌であればどのようなものでも用いることができる。
本発明では、特に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)SBT1277(FERM BP−3234)、SBT1063(NITE P−02398)、SBT1021A(FERM P−10658)、SBT10137(FERM P−19531)、SBT0104(FERM P−9442)、SBT0113(FERM P−9443)、SBT0144(FERM P−16638)、SBT1035(FERM P−16945)、ATCC19258を用いることが好ましく、このうちSBT1063(NITE P−02398)、SBT1277(FERM BP−03234)が特に好ましい。
括弧内にFERMまたはNITEで始まる番号が記載されている菌株は、それぞれ後述する寄託機関より入手することができ、ATCC19258はアメリカの微生物分譲機関であるアメリカンタイプカルチャーコレクションより購入できる。
本発明に用いるストレプトコッカス・サーモフィルスは生菌体、死菌体、菌体培養物、これらの菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分のいずれでもよく、これらのうちの1種類以上を用いることができる。
(ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物の調製)
本発明の有効成分であるストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む組成物は、乳酸菌の培養物を調製するための常法に従って得ることができる。培養には、乳培地又は乳成分を含む培地、これを含まない半合成培地など種々の培地を用いることができる。
乳酸菌の培養物は、滅菌処理した上記培地にストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を接種し、20℃〜45℃程度で5時間〜数日間培養することにより得られる。培養の温度や期間は用いるストレプトコッカス・サーモフィルスの菌株や所望の菌数に応じて適宜調整すればよい。
培養により得られたストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む培養物は、そのまま本発明の有効成分であるストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む組成物として用いることができる。また、前記培養物を遠心分離、膜濃縮、乾燥、凍結乾燥などの処理に供して得られる組成物を用いることもできる。
ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物の調製法の一態様として、0.5%酵母エキス(アサヒビール社製)添加の11.55%脱脂乳培地を、115℃、20分間の条件で滅菌処理し室温まで冷却した後ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−03234)を接種し、37℃で16時間培養し、得られた培養物を凍結乾燥、乳鉢で粉砕する工程を含む調製法が例示できる。
(有効成分の摂取量)
本発明の有効成分であるストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌の摂取量(1日あたりの菌数)は、ストレプトコッカス・サーモフィルスが生菌の場合は、5×108以上であればよく、1×1010以上がさらに好ましく、1×1011以上が最も好ましい。
ストレプトコッカス・サーモフィルスが死菌の場合は、上記の生菌と同等の菌数に相当する量であればよい。生菌と死菌の両方を含む場合は、生菌と死菌の合計が、上記の生菌と同等の菌数に相当する量であればよい。
菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分の場合は、成人1日あたりの摂取量が、0.1mg以上5000mg以下であればよく、100mg以上2500mg以下が好ましく、500mg以上1000mg以下が最も好ましい。
(有効性)
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む食品、医薬品、及び飼料は、上記の摂取量を摂取することにより、肝臓における脂肪酸合成関連遺伝子の発現を減少させ、肝臓におけるトリグリセリド及び総脂質の蓄積や、血漿トリグリセリド濃度を減少させ、さらに体重を減少させることができる。
上述の脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む食品、医薬品、及び飼料を摂取することにより、血液中のコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)のバランスが崩れることで起こるとされる脂質異常症の予防や改善が期待される。さらには、脂質異常症が原因で生じる疾患(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変、肝癌)や動脈硬化性疾患(例えば、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤、腎梗塞、閉塞性動脈硬化症)の予防や改善が期待される。
(有効性の評価)
本発明の、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む食品、医薬品、及び飼料の脂質代謝に対する効果は、実施例Aに記載したin vitro、又はin vivoの試験により評価することができる。
(ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物を添加した食品、医薬品、飼料)
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物はあらゆる食品に配合することができ、上記の有効成分の摂取量を考慮のうえ該組成物の配合量を調整し、それ以外は各食品の定法によって製造すればよい。
食品の例としては、チーズ、発酵乳、乳製品乳酸菌飲料、乳酸菌飲料、バター、マーガリンなどの乳製品、乳飲料、果汁飲料、清涼飲料などの飲料、ゼリー、キャンディー、プリン、マヨネーズなどの卵加工品、バターケーキなどの菓子・パン類、さらには、各種粉乳の他、乳幼児食品、栄養組成物などを例示することができる。
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物はあらゆる医薬品に配合することができ、上記の有効成分の摂取量を考慮のうえ該組成物の配合量を調整し、それ以外は所望の医薬品の定法によって製造すればよい。
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物はあらゆる飼料に配合することができ、上記の有効成分の摂取量を考慮のうえ該組成物の配合量を調整し、それ以外は所望の飼料の定法によって製造すればよい。
[実施例A]
以下に実施例A、試験例Aを示し、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例A1〕ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物の調製
ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−03234)を115℃、20分間の滅菌処理をした、0.5%酵母エキス(アサヒビール社製)添加の11.55%脱脂乳培地にて37℃、16時間の培養を3代以上行って賦活させた。これを同培地に3%接種し、37℃で16時間培養した。得られた培養物を凍結乾燥後、乳鉢で粉砕し、粉末状のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物を得た。
上記の組成物中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は3.6×109cfu/gであった。
〔試験例A1〕肝細胞における脂肪酸合成関連遺伝子発現に対する各種乳酸菌の影響肝細胞における脂肪酸合成関連遺伝子発現に対する各種乳酸菌の影響を調べた。
1.試験方法
1−1.細胞の培養方法
株化肝癌細胞であるHepG2細胞を12ウェルプレートに播種し、10%FBS含有DMEM培地でコンフルーエントになるまで培養した。FBS非含有DMEM培地でさらに1晩培養した後に、脱脂乳培地(終濃度5mg/mL)、又は下記(1)〜(5)の乳酸菌の脱脂乳培養物(いずれも終濃度5mg/mL)を、それぞれ添加したFBS非含有DMEM培地に交換して2日間培養した。ここでJCMで始まる番号の菌株は理化学研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室より購入することができる。また、ATCCで始まる番号の菌株はアメリカの微生物分譲機関であるアメリカンタイプカルチャーコレクションより購入することができる。
<乳酸菌>
(1)ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)(JCM1131)
(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)(JCM1217)
(3)ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)(JCM1120)
(4)ラクトバチルス・デルブルッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)(ATCC11842)
(5)ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)(ATCC19258)
1−2.遺伝子発現の解析
その後、培養後の細胞からセパゾール RNA I SuperG 試薬(ナカライテスク社製)を用いて全RNAを抽出した。逆転写反応はReverTra Ace qPCR
RT Master Mix(東洋紡社製)を用いた。得られたcDNAを使用して、THUNDERBIRD qPCR Mix(東洋紡社製)でリアルタイムPCRを行い、脂肪酸合成関連遺伝子(SREBP−1c、FAS、SCD1)の発現量を定量した。
なお、遺伝子発現量を評価するための内部標準として、Cyplophilin遺伝子の発現量を使用し、解析には以下のプライマーを用いた。
SREBP1c−F;TCGCGGAGCCATGGATT(配列表配列番号1)
SREBP1c−R;GCCAGGGAAGTCACTGTCTTG(配列表配列番号2)
FAS−F;GCAAATTCGACCTTTCTCAGAAC(配列表配列番号3)
FAS−R;GGACCCCGTGGAATGTCA(配列表配列番号4)
SCD1−F;TGTGGAGCCACCGCTCTTAC(配列表配列番号5)
SCD1−R;ACGAGCCCATTCATAGACATCA(配列表配列番号6)
Cyclophilin−F;GCGTCTCCTTTGAGCTGTTTG(配列表配列番号7)
Cyclophilin−R;ATCCTTTCTCTCCAGTGCTCAGA(配列表配列番号8)
2.試験結果
結果を表A1に示す。ストレプトコッカス・サーモフィルスの脱脂乳培養物は、肝細胞における脂肪酸合成関連遺伝子の発現を有意に減少させた。一方、ラクトバチルス・ガセリ、ビフィドバクテリウム・ロンガム、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ブルガリクスの脱脂乳培養物は、脂肪酸合成関連遺伝子の発現をほとんど変化させなかった。
Figure 2018174125
〔試験例A2〕肝細胞における脂肪酸合成関連遺伝子の発現に対するストレプトコッカス・サーモフィルスの影響
肝細胞における脂肪酸合成関連遺伝子の発現に対するストレプトコッカス・サーモフィルスの影響を調べた。
1.試験方法
試験例A1と同様にHepG2細胞を12ウェルプレートに播種して培養後、脱脂乳培地
(終濃度1mg/mL)、又はストレプトコッカス・サーモフィルスATCC 19258、又はSBT1277(FERM BP−3234)、又はSBT1063(NITE P−02398)の脱脂乳培養物(いずれも終濃度0.1、0.5、1mg/mL)を添加したFBS非含有DMEM培地に交換して2日間培養した。その後、試験例A1と同様にRNAを精製し、脂肪酸合成関連遺伝子(SREBP−1c、FAS)の発現量を定量した。
2.試験結果
結果を表A2に示す。ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277及びSBT1063は、ストレプトコッカス・サーモフィルスATCC 19258では差のみられない1mg/mL以下の濃度においても、肝細胞における脂肪酸合成関連遺伝子の発現を減少させた。
Figure 2018174125
〔試験例A3〕肝細胞におけるトリグリセリドの蓄積に対するストレプトコッカス・サーモフィルスの影響
肝細胞におけるトリグリセリドの蓄積に対するストレプトコッカス・サーモフィルスの影響を調べた。
1.試験方法
試験例A1と同様にHepG2細胞を12ウェルプレートに播種して培養後、脱脂乳培地(終濃度0.2mg/mL)、又はストレプトコッカス・サーモフィルスATCC19258、又はSBT1277、又はSBT1063の脱脂乳培養物(いずれも終濃度0.5mg/mL)を添加したFBS非含有DMEM培地に交換して2日間培養した。細胞を抽出バッファー(50mM Tris−HCl、pH7.5,0.1% Triton X−100)中で破砕後、遠心分離し、上清のトリグリセリド濃度をトリグリセライド E テストワコー(和光純薬工業社製)を用いて測定した。また、タンパク質濃度を、BCAタンパク質アッセイ(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を用いて測定した。
2.試験結果
結果を表A3に示す。いずれのストレプトコッカス・サーモフィルスもコントロールに比べて有意に細胞へのトリグリセリドの蓄積を減少させたが、その効果は、ストレプトコッカス・サーモフィルスATCC 19258と比べて、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277とSBT1063の方が高く、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277が最も効果が高かった。
Figure 2018174125
〔試験例A4〕ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−03234)の脂質代謝改善効果
マウスを用いて、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−3234)の脂質代謝改善効果を調べた。
1.試験方法
1−1.飼育方法
5週齢の雄性C57BL6/JJclマウスを1週間馴化した後、平均体重に差がないように20匹ずつ、2つの群に分けて下記条件で8週間飼育した。
(1)コントロール群
AIN76飼料をベースに、20%の脱脂乳培地及び20%の脂肪を含むように調製した高脂肪食を摂取させた。
(2)サーモフィルス群
コントロール群飼料の脱脂乳培地の代わりに、実施例A1で作製したストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277脱脂乳培養物を20%含むように調製した高脂肪食を摂取させた。
1−2.測定方法
(1)体重、血漿トリグリセリド濃度
体重を測定後、血液を採取し、肝臓を摘出した。血液から調製した血漿を用いてトリグリセリド濃度を測定した。なお、測定には、トリグリセライド E−テストワコーを使用した。
(2)遺伝子発現の解析
肝臓からRNAを抽出し、試験例A2と同様の方法で脂肪酸合成関連遺伝子の発現量を解析した。
(3)肝臓脂質濃度
肝臓からクロロホルム/メタノールで脂質を抽出し、総脂質濃度及びトリグリセリド濃度を測定した。なお、総脂質濃度は、抽出後の脂質重量を秤量することにより測定し、トリグリセリド濃度は、抽出した脂質をイソプロパノールに溶解後、トリグリセライド E−テストワコーを使用して測定した。また、それぞれの測定値を、抽出に用いた肝臓の重量で除することにより肝臓1gあたりの濃度を算出した。
2.試験結果
(1)体重、肝臓重量、血漿トリグリセリド濃度
結果を表A4に示す。サーモフィルス群は、コントロール群と比べて体重が有意に減少した。また、血漿トリグリセリド濃度も有意に減少した。
Figure 2018174125
(2)脂肪酸合成関連遺伝子の発現
結果を表A5に示す。サーモフィルス群は、コントロール群と比べて肝臓における脂肪酸合成関連遺伝子の発現量が有意に減少した。
Figure 2018174125
(3)肝臓脂質濃度
結果を表A6に示す。サーモフィルス群は、コントロール群と比べて、肝臓の総脂質やトリグリセリド濃度が減少傾向を示した。
Figure 2018174125
これらの結果から、ストレプトコッカス・サーモフィルスは、血中の中性脂肪を低下させ、肝臓への脂肪の蓄積を抑制することにより代謝を改善し、さらに体重を減少させることが分かった。
〔実施例A2〕脂質代謝改善用組成物の製造
ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277のM17培地(OXOID社製)培養物を、4℃、7000rpmで15分間遠心分離した後、滅菌水による洗浄と遠心分離を3回繰り返して行い、洗浄菌体を得た。この洗浄菌体を凍結乾燥処理して菌体粉末とした。これはそのまま脂質代謝改善用組成物として用いることができる。
なお、上記の組成物中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は1.6×1011cfu/gであった。
〔実施例A3〕脂質代謝改善用医薬品の製造
実施例A2で調製した菌体粉末1部に脱脂粉乳4部を混合し、この混合粉末を打錠機により1gずつ常法により打錠して、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の菌体200mgを含む錠剤を調製した。
〔実施例A4〕脂質代謝改善用発酵乳の製造
10%還元脱脂乳培地を115℃で15分間滅菌した後、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を接種し、37℃で16時間培養し、脱脂乳培養物を調製した。100℃にて10分間殺菌した発酵ミックス(16%脱脂粉乳+3%グルコース)に接種し、39℃で10時間発酵させて脂質代謝改善用発酵乳を得た。
上記の発酵乳中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は1.8×109cfu/gであった。
〔実施例A5〕脂質代謝改善用乳酸菌飲料の製造
10%還元脱脂乳培地で培養したストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を95℃で90分殺菌した発酵ミックス(16%脱脂粉乳+3%グルコース)10gに3%となるように添加し、35℃で20時間培養した。この培養物10gを異性化糖40gと混合し(BRIX 15%)、脂質代謝改善用乳酸菌飲料を得た。
上記した乳酸菌飲料中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は4×108cfu/gであった。
〔実施例A6〕脂質代謝改善用組成物の製造
還元脱脂乳培地(13重量%脱脂粉乳、0.5%酵母エキス)を95℃で30分間殺菌した後、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を接種し、37℃で16時間培養し、得られた培養物を5000rpmで20分間遠心して、沈殿物を除いた培養上清を得た。これはそのまま脂質代謝改善用組成物として用いることができる。
〔実施例A7〕脂質代謝改善用健康食品の製造
実施例A1で得られたストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の培養物粉末50gに、ビタミンCとクエン酸の等量混合物40g、グラニュー糖100g、コーンスターチと乳糖の等量混合物60gを加えて混合した。混合物をスティック状袋に詰め、脂質代謝改善用健康食品を得た。
〔実施例A8〕脂質代謝改善用飼料の製造
大豆粕12kg、脱脂粉乳14kg、大豆油4kg、コーン油2kg、パーム油23.2kg、トウモロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg、ふすま2kg、ビタミン混合物5kg、セルロース2.8kg、ミネラル混合物2kgを配合し、120℃、4分間殺菌して、実施例A1で得られたストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の培養物粉末10kgを配合して、脂質代謝改善用飼料を製造した。
〔実施例A9〕脂質代謝改善用チーズの製造
原料乳を加熱殺菌(75℃、15秒間)した後、30℃まで冷却し、0.01%塩化カルシウムを添加した。さらに、市販乳酸菌スターター(LDスターター、クリスチャン・ハンセン社)0.7%及びストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277培養物を1%添加し、さらにレンネット0.003%を添加して、乳を凝固させた。このようにして得られた凝乳をカッティングし、pHが6.2〜6.1となるまで撹拌してホエーを排出して、カード粒を得た。そして、このカード粒を型詰めして圧搾し、さらに加塩して、10℃で熟成させ、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を含むゴーダチーズタイプの脂質代謝改善用硬質ナチュラルチーズを製造した。
[B:第二の発明]
本発明者等は、脂肪細胞における代謝を改善し、白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化を促進したり、褐色脂肪細胞を活性化したりすることで、熱産生によるエネルギー消費を亢進して、生体における過剰な脂肪の蓄積や肥満を抑制し、メタボリックシンドローム等を予防または改善することを着想した。そして、鋭意研究を続けた結果、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌が、白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化を促進したり、褐色脂肪細胞を活性化することを知見した。第二の発明は、上記知見に基づくものである。
(有効成分)
本発明は、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化を促進する脂質代謝改善用組成物、褐色脂肪細胞の活性化用組成物、メタボリックシンドローム代謝改善用組成物、及びそれらを含む食品、医薬品、及び飼料に関するものである。
本発明に用いるストレプトコッカス・サーモフィルスは16SリボソームRNA遺伝子配列解析等の一般的な分類方法によりStreptococcus属thermophilus種に分類される乳酸菌であればどのようなものでも用いることができる。
本発明では、特に、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)SBT1277(FERM BP−3234)、SBT1063(NITE P−02398)、SBT1021A(FERM P−10658)、SBT10137(FERM P−19531)、SBT0104(FERM P−9442)、SBT0113(FERM P−9443)、SBT0144(FERM P−16638)、SBT1035(FERM P−16945)、ATCC 19258を用いることが好ましく、このうちSBT1277(FERM BP−3234)が特に好ましい。
括弧内にFERMまたはNITEで始まる番号が記載されている菌株は、それぞれ後述する寄託機関より入手することができ、ATCC19258はアメリカの微生物分譲機関であるアメリカンタイプカルチャーコレクションより購入できる。
本発明に用いるストレプトコッカス・サーモフィルスは生菌体、死菌体、菌体培養物、これらの菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分のいずれでもよく、これらのうちの1種類以上を用いることができる。
(ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物の調製)
本発明の有効成分であるストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む組成物は、乳酸菌の培養物を調製するための常法に従って得ることができる。
培養には、乳培地又は乳成分を含む培地、これを含まない半合成培地など種々の培地を用いることができる。
乳酸菌の培養物は、滅菌処理した上記培地にストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を接種し、20℃〜45℃程度で5時間〜数日間培養することにより得ることができる。培養の温度や期間は用いるストレプトコッカス・サーモフィルスの菌株や所望の菌数に応じて適宜調整すればよい。
培養により得られたストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む培養物は、そのまま本発明の有効成分であるストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む組成物として用いることができる。また、前記培養物を遠心分離、膜濃縮、乾燥、凍結乾燥などの処理に供して得られる組成物を用いることもできる。
ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物の調製法の一態様として、0.5%酵母エキス(アサヒビール社製)添加の11.55%脱脂乳培地を、115℃、20分間の条件で滅菌処理し室温まで冷却した後、ストレプトコッカス・サーモフィルスを接種し、37℃で16時間培養し、得られた培養物を凍結乾燥し、乳鉢で粉砕する工程を含む調製法が例示できる。
(有効成分の摂取量)
本発明の有効成分であるストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌の摂取量(1日あたりの菌数)は、ストレプトコッカス・サーモフィルスが生菌の場合は、5×108以上であればよく、1×1010以上がさらに好ましく、1×1011以上が最も好ましい。
ストレプトコッカス・サーモフィルスが死菌の場合は、上記の生菌と同等の菌数に相当する量であればよい。生菌と死菌の両方を含む場合は、生菌と死菌の合計が、上記の生菌と同等の菌数に相当する量であればよい。
菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分の場合は、成人1日あたりの摂取量が、0.1mg以上5000mg以下であればよく、100mg以上2500mg以下が好ましく、500mg以上1000mg以下が最も好ましい。
(有効性)
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を含む組成物及び係る組成物を含む食品、医薬品、及び飼料は、上記の摂取量で摂取することにより、白色脂肪前駆細胞が褐色脂肪細胞へと分化し、褐色脂肪細胞が活性化し、さらに皮下脂肪及び内臓脂肪が減少し、体重が減少する。
さらに、本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を有効成分とする組成物、及び該組成物を含む食品、医薬品、及び飼料は、上記の摂取量で摂取することにより、脂肪酸合成関連遺伝子の発現が抑制され、コレステロール合成関連遺伝子の発現が抑制され、糖新生関連遺伝子の発現が抑制されることによってメタボリックシンドロームが改善する。

上述の脂質代謝改善用組成物及び係る組成物を含む食品、医薬品、及び飼料を摂取することにより、血液中のコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)のバランスが崩れることで起こるとされる脂質異常症の予防や改善が期待される。さらには、脂質異常症が原因で生じる疾患(例えば、インスリン抵抗性、糖尿病、非アルコール性脂肪性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変、肝癌)や動脈硬化性疾患(例えば、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、大動脈瘤、腎梗塞、閉塞性動脈硬化症)の予防や改善が期待される。
(有効性の評価)
本発明の、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を有効成分とする組成物、及び該組成物を含む食品、医薬品、及び飼料の脂肪細胞の代謝に対する改善効果は、実施例Bに記載したin vivoの試験により評価することができる。
(ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物を添加した食品、医薬品、飼料)
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物はあらゆる食品に配合することができ、上記の有効成分の摂取量を考慮して該組成物の配合量を調整し、それ以外は各食品の定法によって製造すればよい。
食品の例として、チーズ、発酵乳、乳製品乳酸菌飲料、乳酸菌飲料、バター、マーガリンなどの乳製品、乳飲料、果汁飲料、清涼飲料などの飲料、ゼリー、キャンディー、プリン、マヨネーズなどの卵加工品、バターケーキなどの菓子・パン類、さらには、各種粉乳の他、乳幼児食品、栄養組成物などを例示することができる。
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物はあらゆる医薬品に配合することができ、上記の有効成分の摂取量を考慮して該組成物の配合量を調整し、それ以外は所望の医薬品の定法にしたがって製造すればよい。
本発明のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物はあらゆる飼料に配合することができ、上記の有効成分の摂取量を考慮して該組成物の配合量を調整し、それ以外は所望の飼料の定法にしたがって製造すればよい。
[実施例B]
以下に実施例B、試験例Bを示し、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例B1:ストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物の調製)
ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−03234)を115℃、20分間の滅菌処理をした、0.5%酵母エキス(アサヒビール社製)添加の11.55%脱脂乳培地にて37℃、16時間の培養を3代以上行って賦活させた。これを同培地に3%接種し、37℃で16時間培養した。得られた培養物を凍結乾燥後、乳鉢で粉砕し、粉末状のストレプトコッカス・サーモフィルスを含む組成物を得た。
上記の組成物中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は3.6×109cfu/gであった。
〔試験例B1〕
マウスを用いて、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)の代謝改善効果を調べた。
1.試験方法
1−1.飼育方法
5週齢の雄性C57BL6/JJclマウスを1週間馴化した後、平均体重に差がないように20匹ずつ、2つの群に分けて下記条件で8週間飼育した。
(1)コントロール群
AIN76飼料に20%の脱脂乳培地及び、20%の脂肪を含むように調製した高脂肪食を摂取させた。
(2)サーモフィルス群
コントロール群飼料の脱脂乳培地の代わりに、実施例B1で作製したストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を含む組成物(脱脂乳培養物)を20%含むように調製した高脂肪食を摂取させた
1−2.測定方法
(1)体重、各組織の重量、血漿パラメーター
体重を測定後、血液や、肝臓、鼠径部脂肪組織、精巣周囲脂肪組織、腸間膜脂肪組織、肩甲骨間褐色脂肪組織を採取した。
血液から調製した血漿を用いてトリグリセリド濃度およびインスリン濃度を測定した。尚、トリグリセリド濃度の測定には、トリグリセライド E−テストワコーを使用し、インスリンの測定には、超高感度マウスインスリン測定キット(森永生科学研究所製)を使用した。
(2)肝臓総脂質、肝臓トリグリセリド濃度
肝臓からクロロホルム/メタノールで脂質を抽出し、総脂質濃度及びトリグリセリド濃度を測定した。なお、総脂質濃度は、抽出後の脂質重量を秤量することにより測定し、トリグリセリド濃度は、抽出した脂質をイソプロパノールに溶解後、トリグリセライド E−テストワコーを使用して測定した。また、それぞれの測定値を、抽出に用いた肝臓の重量で除することにより肝臓1gあたりの濃度を算出した。
(3)遺伝子発現の解析
各組織からセパゾール RNA I SuperG 試薬(ナカライテスク社製)を用いて全RNAを抽出した。逆転写反応にはReverTra Ace qPCR RT Master Mix(東洋紡社製)を用いた。得られたcDNAを使用して、THUNDERBIRD qPCR Mix(東洋紡社製)でリアルタイムPCRを行い、遺伝子の発現量を解析した。
肝臓では、脂肪酸合成関連遺伝子(SREBP−1c、FAS,SCD1)、及びコレステロール合成関連遺伝子(SREBP−2)、及び糖新生関連遺伝子(G6Pase)の発現を、鼠径部脂肪組織と肩甲骨間褐色脂肪組織では、褐色脂肪細胞活性化のマーカーであるUCP1遺伝子の発現を解析した。
また、すべての脂肪組織(鼠径部脂肪組織、精巣周囲脂肪組織、腸間膜脂肪組織、肩甲骨間褐色脂肪組織)において、炎症のマーカーであるMCP1遺伝子の発現量を解析した。
内部標準として36B4遺伝子を用い、各遺伝子発現量の解析には以下のプライマーを用いた。
SREBP1c−F;TCGCGGAGCCATGGATT (配列表配列番号1)
SREBP1c−R;GCCAGGGAAGTCACTGTCTTG ((配列表配列番号2)
FAS−F;GCAAATTCGACCTTTCTCAGAAC(配列表配列番号3)
FAS−R;GGACCCCGTGGAATGTCA(配列表配列番号4)
SCD1−F;TGTGGAGCCACCGCTCTTAC(配列表配列番号5)
SCD1−R;ACGAGCCCATTCATAGACATCA(配列表配列番号6)
G6Pase−F:TCGGAGACTGGTTCAACCTC(配列表配列番号7)
G6Pase−R:TCACAGGTGACAGGGAACTG(配列表配列番号8)
SREBP2−F:AAGTGACCGAGAGTCCCTTG(配列表配列番号9)
SREBP2−R:ACGTTGAGACTGCTCCACAG(配列表配列番号10)
UCP1−F:CCAAAGTCCGCCTTCAGA(配列表配列番号11)
UCP1−R:GGCAATCCTTCTGTTTTTGC(配列表配列番号12)
MCP1−F:CCACTCACCTGCTGCTACTCAT(配列表配列番号13)
MCP1−R:TGGTGATCCTCTTGTAGCTCTCC(配列表配列番号14)
36B4−F:GGCCCTGCACTCTCGCTTTC(配列表配列番号15)
36B4−R:TGCCAGGACGCGCTTGT(配列表配列番号16)
2.試験結果
(1)体重、各組織の重量、血漿パラメーター
結果を表B1に示す。サーモフィルス群では、コントロール群と比べて体重が有意に低下した。
また、肝臓と肩甲骨間褐色脂肪組織の重量も有意に減少し、皮下脂肪に相当する鼠径部脂肪組織及び、内臓脂肪に相当する精巣周囲脂肪組織や腸間膜脂肪組織の重量が減少傾向を示した。更に、血漿トリグリセリド濃度も有意に減少した。
Figure 2018174125
(2)肝臓脂質
結果を表B2に示す。サーモフィルス群では、コントロール群に比べて肝臓の総脂質やトリグリセリド濃度が減少傾向を示した。
Figure 2018174125
これらの結果から、ストレプトコッカス・サーモフィルスは、皮下脂肪や内臓脂肪の蓄積を抑制して肥満を防止するとともに、血中の中性脂肪を低下させ、肝臓への脂肪の蓄積を抑制することにより代謝を改善することが分かった。
(3)代謝改善メカニズム
(i)肝臓における脂肪酸合成関連遺伝子及び、コレステロール合成関連遺伝子及び、糖新生関連遺伝子の発現
結果を表B3に示す。サーモフィルス群では、コントロール群に比べて肝臓における脂肪酸合成関連遺伝子及び、コレステロール合成関連遺伝子及び、糖新生関連遺伝子何れの発現も有意に減少した。
Figure 2018174125
(ii)UCP1遺伝子の発現
結果を表B4に示す。サーモフィルス群ではコントロール群に比べ、肩甲骨間褐色脂肪組織において、褐色脂肪細胞活性化のマーカーであるUCP1遺伝子の発現が有意に増加した。したがって、サーモフィルス群では肩甲骨間褐色脂肪組織の細胞当たりのUCP1遺伝子の発現が増加し、脂肪の燃焼が促進されたため、表B1に示したように、肩甲骨間褐色脂肪組の重量がコントロール群と比べて減少したと考えられた。また、白色脂肪組織である鼠径部脂肪組織において、褐色脂肪細胞活性化のマーカーであるUCP1遺伝子の発現が顕著に増加したことから、白色脂肪前駆細胞の一部が褐色脂肪細胞へと分化していることが示された。
Figure 2018174125
(iii)MCP1遺伝子の発現
結果を表B5に示す。サーモフィルス群はコントロール群に比べて脂肪組織における炎症のマーカーであるMCP1遺伝子の発現が有意に減少した。
Figure 2018174125
これらのことから、ストレプトコッカス・サーモフィルスは、白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化を促進するとともに、褐色脂肪組織の活性化も促進する。また肝臓における脂肪酸合成関連遺伝子や、コレステロール合成関連遺伝子、糖新生関連遺伝子の発現を抑制し、さらに脂肪組織の炎症を抑制することによってメタボリックシンドロームを改善することが分かった。
〔実施例B2〕脂肪細胞の代謝改善用組成物の製造
ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277のM17培地(OXOID社製)培養物を、4℃、7000rpmで15分間遠心分離した後、滅菌水による洗浄と遠心分離を3回繰り返して行い、洗浄菌体を得た。この洗浄菌体を凍結乾燥処理して菌体粉末とした。これはそのまま脂肪細胞の代謝改善用組成物として用いることができる。
なお、上記の組成物中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は1.6×1011cfu/gであった。
〔実施例B3〕脂肪細胞の代謝改善用医薬品の製造
実施例B2で調製した菌体粉末1部に脱脂粉乳4部を混合し、この混合粉末を打錠機により1gずつ常法により打錠して、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の菌体200mgを含む錠剤を調製した。
〔実施例B4〕脂肪細胞の代謝改善用発酵乳の製造
10%還元脱脂乳培地を115℃で15分間滅菌した後、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を接種し、37℃で16時間培養し、脱脂乳培養物を調製した。その脱脂乳培養物を100℃にて10分間殺菌した発酵ミックス(16%脱脂粉乳+3%グルコース)に接種し、39℃で10時間発酵させて脂肪細胞の代謝改善用発酵乳を得た。
なお、上記の発酵乳中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は1.8×109cfu/gであった。
〔実施例B5〕脂肪細胞の代謝改善用乳酸菌飲料の製造
10%還元脱脂乳培地で培養したストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を95℃で90分殺菌した発酵ミックス(16%脱脂粉乳+3%グルコース)10gに3%となるように添加し、35℃で20時間培養した。この培養物10gを異性化糖40gと混合し(BRIX 15%)、脂肪細胞の代謝改善用乳酸菌飲料を得た。
なお、上記した乳酸菌飲料中のストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の生菌数は4×108cfu/gであった。
〔実施例B6〕脂肪細胞の代謝改善用組成物の製造
還元脱脂乳培地(13重量%脱脂粉乳、0.5%酵母エキス)を95℃で30分間殺菌した後、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を接種し、37℃で16時間培養し、得られた培養物を5000rpmで20分間遠心して、沈殿物を除いた培養上清を得た。これはそのまま脂肪細胞の代謝改善用組成物として用いることができる。
〔実施例B7〕脂肪細胞の代謝改善用健康食品の製造
実施例B1で得られたストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の培養物粉末50gに、ビタミンCとクエン酸の等量混合物40g、グラニュー糖100g、コーンスターチと乳糖の等量混合物60gを加えて混合した。混合物をスティック状袋に詰め、脂肪細胞の代謝改善用健康食品を得た。
〔実施例B8〕脂肪細胞の代謝改善用飼料の製造
大豆粕12kg、脱脂粉乳14kg、大豆油4kg、コーン油2kg、パーム油23.2kg、トウモロコシ澱粉14kg、小麦粉9kg、ふすま2kg、ビタミン混合物5kg、セルロース2.8kg、ミネラル混合物2kgを配合し、120℃、4分間殺菌して、 実施例B1で得られたストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277の培養物粉末10kgを配合して、脂肪細胞の代謝改善用飼料を製造した。
〔実施例B9〕脂肪細胞の代謝改善用硬質ナチュラルチーズの製造
原料乳を加熱殺菌(75℃、15秒間)した後、30℃まで冷却し、0.01%の塩化カルシウムを添加した。さらに、市販乳酸菌スターター(LDスターター、クリスチャン・ハンセン社)を0.7%及びストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を1%添加し、さらにレンネット0.003%を添加して、乳を凝固させた。このようにして得られた凝乳をカッティングし、pHが6.2〜6.1となるまで撹拌してホエーを排出して、カード粒を得た。そして、このカード粒を型詰めして圧搾し、さらに加塩して、10℃で熟成させ、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277を含むゴーダチーズタイプの脂肪細胞の代謝改善用硬質ナチュラルチーズを製造した。
第一の発明は、脂質代謝を改善する新たな解決手段として、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を有効成分とする脂質代謝改善用組成物、及び該組成物を含む脂質代謝改善用食品、医薬品、及び飼料を提供するものである。
したがって、本発明の上記組成物、食品、医薬品、飼料の摂取により手軽にかつ安全な方法で脂質代謝の改善が期待できる。
第二の発明は、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を有効成分とする、白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化促進、褐色脂肪細胞の活性化などの脂肪細胞の代謝改善用組成物、及び該組成物を含む脂肪細胞の代謝改善用食品、医薬品、及び飼料、ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌を有効成分とするメタボリックシンドローム改善用組成物、及び該組成物を含むメタボリックシンドローム改善用食品、医薬品、及び飼料を提供するものである。
本発明によれば上記組成物、食品、医薬品、飼料の摂取により手軽にかつ安全な方法で脂肪細胞の代謝の改善及びメタボリックシンドロームの改善が期待できる。
(受託番号)
FERM BP−3234
FERM P−9442
FERM P−9443
FERM P−10658
FERM P−16638
FERM P−19531
NITE P−02398
[寄託生物材料への言及]
(1)SBT1277
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8(郵便番号292−0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成1年12月11日(原寄託日)
平成3年1月22日(原寄託によりブタペスト条約に基づく寄託への移管日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM BP−3234
(2)SBT0104
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8(郵便番号292−0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
昭和62年6月30日(原寄託日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM P−9442
(3)SBT0113
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8(郵便番号292−0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
昭和62年6月30日(原寄託日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM P−9443
(4)SBT1021A
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8(郵便番号292−0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成1年4月13日(原寄託日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM P−10658
(5)SBT0144
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8(郵便番号292−0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成10年2月17日(原寄託日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM P−16638
(6)SBT10137
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8(郵便番号292−0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成15年9月25日(原寄託日)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
FERM P−19531
(7)SBT1063
イ 当該生物材料を寄託した寄託機関の名称及び住所
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2丁目5番地8(郵便番号292−0818)
ロ イの寄託機関に生物材料を寄託した日付
平成28年12月27日(原寄託日)
(なお、原寄託日後、原寄託に基づくブタペスト条約に基づく寄託への移管申請をし、生存確認試験の完了後に、受領・受託番号を通知する書面を受領した。受領・受託番号は、ABP−02398である。)
ハ イの寄託機関が寄託について付した受託番号
NITE P−02398

Claims (16)

  1. ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を含む脂質代謝改善用組成物。
  2. 前記ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−3234)、SBT1063(NITE P−02398)のいずれかである請求項1に記載の脂質代謝改善用組成物。
  3. 前記脂質代謝が肝臓における脂質代謝である請求項1又は請求項2に記載の脂質代謝改善用組成物。
  4. 請求項3に記載の脂質代謝改善用組成物を含む脂質代謝改善用食品。
  5. 請求項1から請求項3に記載の脂質代謝改善用組成物を含む脂質代謝改善用医薬品。
  6. 請求項3に記載の脂質代謝改善用組成物を含む脂質代謝改善用飼料。
  7. ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する新規乳酸菌であるストレプトコッカス・サーモフィルスSBT−1063(NITE P−02398)。
  8. 脂質代謝改善用組成物であって、
    ストレプトコッカス・サーモフィルスにする乳酸菌の培養物及び/又は菌体を含み、
    白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化を促進する脂質代謝改善用組成物。
  9. 前記ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−3234)である請求項8に記載の脂質代謝改善用組成物。
  10. ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を含む褐色脂肪細胞の活性化用組成物。
  11. 前記ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−3234)である請求項10に記載の褐色脂肪細胞の活性化用組成物。
  12. ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌の培養物及び/又は菌体を含むメタボリックシンドローム改善用組成物。
  13. 前記ストレプトコッカス・サーモフィルスに属する乳酸菌が、ストレプトコッカス・サーモフィルスSBT1277(FERM BP−3234)である請求項12に記載のメタボリックシンドローム改善用組成物。
  14. 請求項8又は9に記載の脂質代謝改善用組成物を含む白色脂肪前駆細胞から褐色脂肪細胞への分化促進用食品、医薬品又は飼料。
  15. 請求項10又は11に記載の褐色脂肪細胞の活性化用組成物を含む褐色脂肪細胞の活性化用食品、医薬品又は飼料。
  16. 請求項12又は13に記載のメタボリックシンドローム改善用組成物を含むメタボリックシンドローム改善用食品、医薬品又は飼料。
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