JP6339526B2 - 筋肉の分解抑制剤 - Google Patents

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本発明は筋肉の分解抑制に関し、特にAtrogin-1の発現によって引き起こされる筋肉の分解の抑制に関する。
ヒトなどにおける筋肉の分解としては例えば加齢によるものが公知となっている。具体的には、加齢に伴う骨格筋の減少は30歳ごろから始まり、60歳を超えるとその減少率が高くなることが知られている。この骨格筋量および筋力の一定以上の低下をサルコペニアと呼び、60代では約10%、75歳以上の後期高齢者では実に35%がサルコペニアと判定されている。サルコペニアは、生活の質(QOL)の低下や、転倒による骨折、入院、寝たきり等のリスクを増加させるだけでなく、急性疾患や外科手術後の予後の悪化リスクにも関与している。
この加齢による骨格筋の減少は、筋肉分解の促進が主な原因とされている。
具体的に説明すると、骨格筋は合成と分解のバランスにより形成され、このうち、骨格筋の合成は運動や栄養の摂取により促進される。一方、骨格筋の分解は老化、不活動(ベットレスト、ギブス固定)、栄養飢餓、疾病等により促進される。
例えば、生体の老化やストレスにより体内に産生される炎症性サイトカイン(IL-6)、腫瘍壊死因子-α(tumor necrosis factor-α:TNF-α)および糖質コルチコイド等が増加する。これらは筋分解を促進することが知られている。
高齢者はこれらのサイトカインやホルモンの分泌が老化等により過多状態となっている場合が多く、その結果、骨格筋の分解が促進されている。
ここで、高齢者におけるQOLの低下を抑制可能である技術として、特許文献1に開示される技術が提案されている。特許文献1は、筋肉量および活動量増加を支援する身体活動促進剤に関し、乳酸菌の1種であるラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gaseri)を有効成分としている。
特開2013-47192号公報
特許文献1に開示される身体活動促進剤はこれを摂取することにより筋肉量を増加させるものである一方、筋肉の分解を抑制するものではない。
本発明は、筋肉の分解を抑制可能である新規な技術を提供することを目的とする。
サルコペニアの予防・改善には運動や栄養摂取による筋肉の合成促進が着目されているが、内部環境から進行する筋肉の分解の原因を改善することで効率的なサルコペニアの予防が可能となる。
骨格筋の分解はタンパク分解酵素によって生じ、なかでもユビキチン−プロテアソーム系が亢進されることが知られている。また、これに関する2つの筋特異的ユビキチンリガーゼ遺伝子[MAFbx(muscle atrophy F-box)/Atrogin-1 とMuRF1(muscle ring finger 1)]が知られている。
グルココルチコイド、低栄養、IL-6、TNF-αおよび不活動により、これら筋特異的ユビキチンリガーゼ遺伝子が亢進され、その結果、骨格筋が分解される。よって、これらの遺伝子はサルコペニアの指標となっている。
本発明者は鋭意研究の結果、ラクトバチルス・カルバタス CP2998株またはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株を摂取することによりAtrogin-1の発現が抑制され、骨格筋の分解が抑制されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] ラクトバチルス・カルバタスあるいはラクトバチルス・アミロボラスである乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、筋肉の分解抑制剤。
[2] ラクトバチルス・カルバタス CP2998株(受託番号:NITE P-02033)あるいはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株(受託番号:FERM BP-10532)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、[1]に記載の筋肉の分解抑制剤。
[3] 前記抽出物がクロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、水またはこれらの混合溶媒を用いて抽出された抽出物である[1]または[2]に記載の筋肉の分解抑制剤。
[4] 筋肉の分解がAtrogin-1の発現に由来する[1]から[3]のいずれか1つに記載の筋肉の分解抑制剤。
[5] ラクトバチルス・カルバタス CP2998株(受託番号:NITE P-02033)あるいはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株(受託番号:FERM BP-10532)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、Atrogin-1の発現抑制剤。
[6] ラクトバチルス・カルバタス CP2998株(受託番号:NITE P-02033)あるいはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株(受託番号:FERM BP-10532)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を摂取させることを含む、筋肉の分解を抑制する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
本発明によれば、筋肉の分解を抑制可能である新規な技術を提供できる。
試験例1に係り、各乳酸菌とAtrogin-1/GAPDHとの関係を示すグラフである。 試験例2に係り、各乳酸菌と腓腹筋重量との関係を示すグラフである。 試験例3に係り、ラクトバチルス・カルバタス CP2998株の抽出物とAtrogin-1/GAPDHとの関係を示すグラフである。 試験例4に係り、ラクトバチルス・カルバタス CP2998株とMyogeninの発現量との関係を示すグラフである。
以下、本発明の1つの実施形態について詳述する。
本実施形態は筋肉の分解抑制剤(以下、単に分解抑制剤ともいう)に関し、ラクトバチルス・カルバタスあるいはラクトバチルス・アミロボラスである乳酸菌株、乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する。好ましくは、本実施形態の分解抑制剤は、ラクトバチルス・カルバタス CP2998株(以下、単にCP2998株ともいう)あるいはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株(以下、単にCP1750株ともいう)である乳酸菌株、当該乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する。
上記好ましい本実施形態の分解抑制剤についてより具体的に説明すると、当該分解抑制剤は、CP2998株、CP1750株、またはその混合物である乳酸菌株、当該乳酸菌株の処理物、および当該乳酸菌株および/またはその処理物の抽出物のうち少なくともいずれかを含有する。
なお、以下においては、ラクトバチルス・カルバタス、その処理物、それらの抽出物と、ラクトバチルス・アミロボラス、その処理物、およびそれらの抽出物とを総称し、本実施形態に係る乳酸菌等ともいう。
ラクトバチルス・カルバタス CP2998株は乳酸菌の1種であり、受託番号:NITE P-02033として2015年4月15日に特許微生物寄託センターに寄託されている。また、ラクトバチルス・アミロボラス CP1750株もまた乳酸菌の1種であり、受託番号:FERM BP-10532として2006年2月20日に特許生物寄託センターに国際寄託されている。CP1750株は国際公開第2006/093313号に記載されている。
本実施形態に係る乳酸菌株を培養する培地は、当該乳酸菌株が生育し得る培地であれば、特に限定されるものではなく、乳酸菌の培養において一般的に用いられる培地やその改変培地等から適宜選択して用いることができる。
また、本実施形態に係る乳酸菌株を培養する培地に含有される炭素源や窒素源についても、特に限定されない。例えば、炭素源としては、通常の微生物の培養に利用されるグルコース、蔗糖、乳糖、糖蜜等からなる群より選択される1又は2種以上を用いることができる。また、窒素源としては、ペプトン、カゼイン、カゼイン分解物、ホエー、ホエー分解物等からなる群より選択される1種類又は2種類以上を用いることができる。
また、その他の栄養素の供給源として、コーンスティプリカー(CSL)、酵母エキス、肉エキス、肝臓エキス、トマトジュース等からなる群より選択される1又は2種以上を用いるようにしてもよい。
さらに、本実施形態に係る乳酸菌株を培養するための培地は、L-システイン等の還元剤等;ビタミン、核酸関連物質、酢酸塩やクエン酸塩、脂肪酸エステル、特に好ましくはツイーン80等の生育促進因子;リン酸塩等の緩衝能を付与し得る化合物等が、適宜添加されてもよい。
本実施形態に係る乳酸菌株の培養に用いることのできる培地として、例えば、MRS培地等の合成培地や、野菜や果物等の搾汁等、牛乳、豆乳、還元脱脂粉乳培地等の発酵乳の製造に一般的に用いられる培地等が挙げられる。
本実施形態に係る乳酸菌株の培養法は、例えば静置培養あるいはpHを一定にコントロールした中和培養等で行うことができるが、菌が良好に生育する条件であれば特に培養法に制限はない。例えば菌体は、乳酸菌培養の常法に従って培養され、得られた培養物から遠心分離等の集菌手段によって得ることができる。
本実施形態においては、上述のとおり、乳酸菌株自体、当該乳酸菌株について何らかの処理を行うことで得られる処理物、または乳酸菌株および/またはその処理物の抽出物が分解抑制剤に含有される。これらのうちいずれか1つが本実施形態の分解抑制剤に含有される態様であってもよいほか、これらのうち1つまたは2つ以上が組み合わされて本実施形態の分解抑制剤に含有されていてもよい。
乳酸菌株としては生菌体、湿潤菌、乾燥菌等が適宜使用可能である。
処理物として、例えば、乳酸菌、乳酸菌含有物、本実施形態に係る乳酸菌株を含む発酵乳の濃縮物、ペースト化物、乾燥物、液状物、希釈物、破砕物等が挙げられる。乾燥物としては、噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、およびドラム乾燥物から選ばれる少なくともひとつとすることができる。また、本実施形態に係る乳酸菌株の処理物は、死菌体であってもよい。死菌体は通常、菌体を加熱することにより得ることができる。加熱条件は菌体が死滅する条件であれば特に限定されないが、一般的には105℃、30分程度の加熱で十分な結果を得ることができる。加熱処理の方法も特に限定されず、例えば加熱殺菌処理、放射線殺菌処理、または破砕処理等を挙げることができる。
抽出物としては、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、水、またはこれらの混合溶媒を用いて抽出された本実施形態に係る乳酸菌株および/またはその処理物の抽出物が挙げられる。
本実施形態の分解抑制剤の形態(剤型)については特に限定されず、医薬品、医薬部外品または飲食品などとして製造することができる。
医薬品、医薬部外品または飲食品とする場合、本実施形態に係る乳酸菌株等と例えば賦型剤、結合剤、安定剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、懸濁剤、コーティング剤、その他の任意の成分とを適宜混合して製剤化することもできる。剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤等が可能であり、これらを経口的に投与することが望ましい。
または、特に限定されないが、飲食品としての態様で製造される場合、通常の飲食品のほか、特定保健用食品等の特別用途食品や栄養機能食品などであってもよい。飲食品の具体例としては、例えば、栄養補助食品(サプリメント)、牛乳、加工乳、乳飲料、清涼飲料、発酵乳、ヨーグルト、チーズ、パン、ビスケット、クラッカー、ピッツァクラスト、アイスクリーム、キャンディ、グミ、ガム、調製粉乳、流動食、病者用食品、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、飼料等を挙げることができる。
本実施形態の分解抑制剤の一日あたりの摂取量についても特に限定されず、例えば、成人の場合、本実施形態に係る乳酸菌株等を、菌体または菌体処理物の処理前の重量として0.001〜4g、好ましくは0.01〜2g摂取できるように配合量等を調整すればよい。本実施形態の筋肉の分解抑制剤における本実施形態に係る乳酸菌株等の含有割合も特に限定されず、製造の容易性や好ましい一日の投与量等に合わせて適宜調節すればよい。
以上、本実施形態によれば、筋肉の分解を抑制可能である新規な技術を提供できる。
すなわち、本実施形態に係る乳酸菌株等を、摂取の態様は特に限定されないが、例えば上述の当該乳酸菌株等を含む医薬品、医薬部外品、食品などの態様で摂取することにより、筋肉の分解を抑制することができる。具体的には、筋肉の分解に関与する筋特異的ユビキチンリガーゼ遺伝子Atrogin-1の発現を抑制することができる。そのため、個人差はあるが、例えば加齢などによる筋肉の分解を抑制して筋肉量の低下を抑える効果が期待できる。また、本実施形態に係る乳酸菌株は乳酸菌の1種であるため比較的安価に大量供給が可能であり、かつ、極めて安全性が高い。
以下、実施例によって本実施形態の分解抑制剤をより具体的に説明する。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
[乳酸菌懸濁液の調製]
各乳酸菌は、グリセロールストックから一白金耳程度をMRS寒天培地(Difco)に塗沫し、嫌気条件下で、30℃24〜48時間培養した。寒天上に発育したコロニーを釣菌し、MRS液体培地(Difco)に懸濁し、30℃24時間培養した。その後、乳酸菌培養液から遠心にて菌体を回収した。回収した菌体に蒸留水を加えて再度遠心し、上清を取り除き菌体を洗浄した。得られた乳酸菌菌体を105℃20分加熱し、その後凍結乾燥器にて乾燥死菌体を作成した。得られた乾燥死菌体である乳酸菌菌体を水または溶媒に懸濁したものを乳酸菌懸濁液とした。
[試験例1]Atrogin-1発現抑制評価
In vitro試験としてマウス横紋細胞であるC2C12細胞(DSファーマバイオメディカル)を用いた。C2C12細胞は10%ウシ胎児血清、1%Penicillin-Streptomaycin含有、低グルコース含有ダルベッコ改良イーグル培地(シグマ)社に1.9×104個/mlになるように懸濁し、12ウエルプレートに1mlずつ加えた後、37℃、5%CO2条件下で、2〜3日おきに培地を交換しながら72時間、80%コンフルエントまで培養した。
次に培地を2%ウマ血清、1%Penicillin-Streptomaycin含有低グルコース含有ダルベッコ改良培地に交換し、2〜3日おきに培地を交換しながら、4日間培養し、C2C12細胞を分化させた。その後、1%Penicillin-Streptomaycin含有低グルコースダルベッコ改良培地を添加した。その培地に、乳酸菌懸濁液を、100mg/mlの濃度になるように添加するとともに、骨格筋においてAtorogin-1の発現を上昇させることが知られているデキサメタゾンを50mMになるように培地に添加した。その後、RNeasy Plus Mini(QIAGEN)を用いて、細胞のRNAを回収した。RNAは100ng/mlになるように滅菌蒸留水を用いて希釈し、High Capacity cDNA Reverse Transcription Kit (Applied Biosytems)を用いて、cDNAを作成した。さらに7500Fast (Applied Biosystems)を用いてのGAPDHおよび Atorogin-1の発現量測定を行い、Atrogin-1/GAPDHの値を求めた。測定にはFast SYBR Green Master Mix (Applied Biosystems)を用いた。また、プライマーとして、Atrogin-1の発現はAtrogin-1F、5' ATCCCAGCACACGACAACAC 3'およびAtrogin-1R、5' CGGCAACTGCATCTCTTC 3'を、GAPDHの発現はGAPDH F 5' ATGGCCTTCCGTGTTCCTAC 3'およびGAPDH R、5' TGCCTGCTTCACCACCTTC 3'を用いた。デキサメタゾンを指標としてN=3で測定を実施した。
結果を図1に示す。乳酸菌10株について評価した結果、ラクトバチルス・アミロボラスNo1株、CP1750株、およびラクトバチルス・カルバタスCP2998株が高い活性を示した。
[試験例2] ラットを用いた筋肉分解抑制試験
7週齢オスSDラットを1週間慣化させ、次いで体重が均一になるように群わけを行った。各郡は1群8匹とした。乳酸菌投与群には1g/kgの投与割合で各乳酸菌懸濁液を経口投与した。また、陽性コントロールとしてロイシンを1g/kg経口投与した群も設定した。デキサメタゾン(メサドロン注:小林化工株式会社)は600mg/kgを皮下投与した。乳酸菌懸濁液の経口投与を一週間行った後に、乳酸菌懸濁液およびデキサメタゾンを2日間投与し、3日目に剖検し、腓腹筋を抽出し筋肉量の測定を行った。
結果を図2に示す。腓腹筋重量は、コントロールと比較し、デキサメタゾン投与群において有意に低下した。ロイシン投与群は、デキサメタゾン投与群に比べて回復傾向が見られた。乳酸菌投与群では、CP1750株およびCP2998株投与群が、ロイシンと同様に腓腹筋の回復傾向が認められた。
[試験例3]抽出物によるAtrogin-1発現抑制
CP2998株を用いて、菌体の抽出物の各画分のAtrogin-1発現抑制効果を比較した。
CP2998株菌体0.5gに5mlの蒸留水(DW)を加え、よく懸濁した後に、6,000rpm、10分遠心した。その後、菌体が入らないように上清をのみを回収し、凍結乾燥しDW画分を得た。
また、CP2998株菌体0.5gに5mlの蒸留水(DW)を加え、よく懸濁した後に、クロロホルム:メタノール(1:2)を15ml加えさらに懸濁した。その後、DWおよびクロロホルムをそれぞれ5mlずつ加え、よく懸濁した。6,000rpm、10分間遠心し、下層のクロロホルム層を回収した。得られたクロロホルム層は、減圧乾固し、固形分を回収した(クロロホルム画分)。固形分に10mg/mlになるように1%BSA(Sigma)を添加し、試験例1と同様の細胞試験に供した。上層のDW:メタノール層も回収し、減圧乾固により固形分を回収した(DW:メタノール画分)。10mg/mlになるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解し、同じく試験例1と同様の細胞試験に供した。
対照群として終濃度100ng/mlのIGF-1(TAKARA)およびPBSを添加し、それぞれ37℃16時間インキュベーションを行った。
結果を図3に示す。図3においてはPBSを1としたときの値を示している。クロロホルム画分、DW:メタノール画分、DW画分ともにAtrogin-1の発現抑制効果が見られた。その中でも、クロロホルム画分は特に活性が高いことが確認された。
[試験例4]Myogenin発現量促進評価
骨格筋の分化の指標として知られているMyogeninの発現量の比較を実施した。すなわちC2C12細胞は10%ウシ胎児血清、1%Penicillin-Streptomaycin含有、低グルコース含有ダルベッコ改良イーグル培地を用いて80%コンフルエントまで培養した後に、2%ウマ血清、1%Penicillin-Streptomaycin含有低グルコース含有ダルベッコ改良培地に交換した。さらに、CP2998株の乳酸菌懸濁液およびロイシンを終濃度10mg/mlになるように添加し、4日間培養した。その後、RNAを抽出し、Real time PCRを用いて、Miyata らの方法(Miyata et al. Journal of Physical Therapy Science, 21(1): 81-84 2009)に準拠しMyogeninの遺伝子発現量を測定した。
結果を図4に示す。ロイシンによるMyogeninの発現量はPBSよりも高いのに対して、CP2998株によるMyogeninの発現量はPBSよりも低かった。このことからCP2998株は骨格筋の合成促進作用を有しておらず、かつロイシンとはC2C12細胞への影響が異なることが明らかとなった。

Claims (8)

  1. ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)あるいはラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、筋肉の分解抑制剤。
  2. ラクトバチルス・カルバタス CP2998株(受託番号:NITE P-02033)あるいはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株(受託番号:FERM BP-10532)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、請求項1に記載の筋肉の分解抑制剤。
  3. 前記抽出物がクロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、メタノール、エタノール、水またはこれらの混合溶媒を用いて抽出された抽出物である請求項1または2に記載の筋肉の分解抑制剤。
  4. 筋肉の分解がAtrogin-1の発現に由来する請求項1から3のいずれか1つに記載の筋肉の分解抑制剤。
  5. ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)あるいはラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、Atrogin-1の発現抑制剤。
  6. ラクトバチルス・カルバタスCP2998株(受託番号:NITE P-02033)あるいはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株(受託番号:FERM BP-10532)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を含有する、請求項5に記載のAtrogin-1の発現抑制剤。
  7. ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatus)あるいはラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を摂取させることを含む、筋肉の分解を抑制する方法(但し、ヒトに対する医療行為を除く)。
  8. ラクトバチルス・カルバタスCP2998株(受託番号:NITE P-02033)あるいはラクトバチルス・アミロボラス CP1750株(受託番号:FERM BP-10532)である乳酸菌株、前記乳酸菌株の処理物、またはそれらの抽出物を摂取させることを含む、請求項7に記載の筋肉の分解を抑制する方法。
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