JP6061530B2 - Nash予防治療剤 - Google Patents

Nash予防治療剤 Download PDF

Info

Publication number
JP6061530B2
JP6061530B2 JP2012164992A JP2012164992A JP6061530B2 JP 6061530 B2 JP6061530 B2 JP 6061530B2 JP 2012164992 A JP2012164992 A JP 2012164992A JP 2012164992 A JP2012164992 A JP 2012164992A JP 6061530 B2 JP6061530 B2 JP 6061530B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lactic acid
acid bacteria
yit
weeks
fat diet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012164992A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014024776A (ja
Inventor
憲広 久保田
憲広 久保田
将一 角
将一 角
百合子 永田
百合子 永田
狩野 光芳
光芳 狩野
幸司 宮崎
幸司 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yakult Honsha Co Ltd
Original Assignee
Yakult Honsha Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yakult Honsha Co Ltd filed Critical Yakult Honsha Co Ltd
Priority to JP2012164992A priority Critical patent/JP6061530B2/ja
Publication of JP2014024776A publication Critical patent/JP2014024776A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6061530B2 publication Critical patent/JP6061530B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防治療剤に関する。
近年、肥満の人で飲酒習慣がないにも関わらず、脂肪肝から肝硬変や肝がんになる患者が増えている。脂肪性肝疾患のうち、明らかな飲酒歴がないのにも関わらず、アルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害を認める症例をNonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)といい、そのうち肝組織で肝細胞の風船様腫大を伴う脂肪性肝炎を認める症例を特にNonalcoholic steatohepatitis(NASH)と呼んでいる。当該NASHは、肝硬変や肝がんになるリスクが高いことから、この予防、治療手段の開発が望まれている。
NASHの治療効果を奏する乳酸菌として、ストレプトコッカス・サーモフィラス・エス・エス・ピー・サリヴァリウス(CD8株)(DSM14667)が知られている(特許文献1)。
特表2005−512590号公報
しかしながら、前記乳酸菌ストレプトコッカス・サーモフィラス・エス・エス・ピー・サリヴァリウス(CD8株)は、ヒトに対して、1日あたり1兆8000億の菌を4カ月間投与した時に、投与前に比べて血清中のALT(アラニントランスアミナーゼ)の値を約50%低下するものであり、その効果は低いものであった。そして肝臓の小葉内炎症の低減や線維化の改善については何ら記載されていない。
従って、本発明の課題は、日常的に安全に摂取することが可能で、NASH予防治療効果も高いNASH予防治療剤を提供することにある。
そこで本発明者は、まず、ヒトのNASH特有の病態を呈するモデル動物を作製すべく種々検討したところ、全く意外にも、高脂肪食を摂取させて肥満にさせるとともに、肝障害を誘発する薬剤(以下、肝障害剤という)を4回以上投与することにより、大滴性脂肪肝であり、肝臓の小葉内の中心静脈周囲に炎症があり、肝細胞が風船様に腫大しているという、ヒトのNASH特有の病態を有するモデル動物が作製できること、さらに当該モデル動物を用いれば被験物質のNASH予防治療効果が評価でき、NASH予防治療剤がスクリーニングできることを見出した。そして、当該NASHモデル動物を用いて種々の成分を用いてスクリーニングを行い、乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW(body weight)、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する乳酸菌が、NASH特有の症状等を改善する作用を有し、NASH予防治療剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明は、乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW(body weight)、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する乳酸菌を有効成分とするNASH予防治療剤を提供するものである。
本発明のNASH予防治療剤は、乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する乳酸菌を有効成分としており、NASH特有の症状を顕著に改善し、NASH予防治療効果が高いという点で有用である。またさらに、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)の値が40%以上低下するものであるという点でも、効果が高く有用である。
菌体試験群の肝臓における病理組織学的変化を示す図である。A、B:通常食群(正常肝)、C、D:コントロール群(NASH)、E、F:L.plantarum群(小葉内炎症が軽微に抑制された所見)、G、H:L.salivarius群(小葉内炎症が軽微に抑制された所見)。A−H:×20。A、C、E、G:HE染色、B、D、F、H:M−T染色。
本発明のNASH予防治療剤は、乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する乳酸菌を有効成分とするものである。より詳細には、後記表2に記載の菌末含有高脂肪食(菌末含有高脂肪食あたりの菌数:菌末含有高脂肪食1g中の菌数は以下の式で求める:培養液中の培養終了時の生菌数/凍結乾燥で製造された菌末量(g)×菌末含有高脂肪食1g中の菌末の重量(g)。L.Crispatus:2.47×1012/1.754×0.0005=7.04×108/g、B.Bifidum:2.74×1012/1.55×0.0005=8.84×108/g、L.Plantarum:7.36×1012/2.737×0.0005=1.34×109/g、L.Salivarius:2.4×1012/2.995×0.0005=4.01×108/g、S.thermophilus:4.6×1011/2.444×0.0005=9.41×107/g)を12週間自由摂取させ(マウス1匹あたりの飼料の平均摂取重量 L.Crispatus:2.4g/日、B.Bifidum:2.4g/日、L.Plantarum:2.4g/日、L.Salivarius:2.4g/日、S.thermophilus:2.6g/日)、菌末含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与する。四塩化炭素を最終投与してから24時間後に血液を採取し、血清中のALT値をトランスアミナーゼCII テストワコー(和光純薬)を用いて測定する。そのALT値が、乳酸菌非投与のマウス(表2に記載の高脂肪食を12週間投与し、前記と同様に四塩化炭素を8回投与したマウス)に比べて65%以上低下する乳酸菌である。この乳酸菌非投与群のマウス1匹あたりの飼料の平均摂取量は、2.5g/日である。この時にマウスが摂取した乳酸菌の菌数は、いずれの菌種でも1×1010/g×3g×7×12=2.52×1012よりも少ないものであるが、これよりも少ない菌数で、乳酸菌非投与のマウスに比べてALTが65%以上低下する場合は、乳酸菌を1×1010/g含有する高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際にも、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下するものである。また、前記ALTと同様の測定方法によりASTを測定した時に、乳酸菌非投与のマウスに比べて、血清中のASTの値が40%以上低下する乳酸菌を用いることがより好ましい。
このような性質を有する乳酸菌であれば、その種類は特に制限されるものではなく、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・デルブルッキィーサブスピーシーズ.ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp.bulgaricus)、ラクトバチルス・デルブルッキィーサブスピーシーズ.デルブルッキィー(Lactobacillus delbrueckii subsp.delbrueckii)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス・サリバリウス(Streptococcus salivarius)等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチスサブスピーシーズ.ラクチス(Lactococcus lactis subsp.lactis)、ラクトコッカス・ラクチスサブスピーシーズ.クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)、ラクトコッカス・ラフィノラクチス(Lactococcus raffinolactis)等のラクトコッカス属細菌、エンテロコッカス・フェカーリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)等のエンテロコッカス属細菌、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・アドレスセンチィス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・カテヌラータム(Bifidobacterium catenulatum)、ビフィドバクテリウム・シュードカテヌラータム(Bifidobacterium pseudocatenulatum)、ビフィドバクテリウム・アングラータム(Bifidobacterium angulatum)、ヒトの腸内から分離される由来を持つビフィドバクテリウム・ガリカム(Bifidobacterium gallicum)、食品に利用されているビフィドバクテリウム・ラクチス(Bifidobacterium lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス(Bifidobacterium animalis)等の乳酸菌が挙げられる。これらの中でも特に、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・サリバリウス、ストレプトコッカス・サーモフィルスからなる群から選ばれる1種以上が好ましく、さらにビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347(FERM BP−10613)、ラクトバチルス・プランタラム YIT 0132(FERM BP−11349)、ラクトバチルス・サリバリウス YIT 0432(FERM P−22129)、ストレプトコッカス・サーモフィルス YIT2001(FERM BP−7538)からなる群から選ばれる1種以上が好ましい。また、これらの菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(NITE-IPOD)(〒305−8566茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に寄託されている。なお、特表2005−512590号公報に記載のストレプトコッカス・サーモフィラス・エス・エス・ピー・サリヴァリウス(CD8株)(DSM14667)は、現在の分類では、ストレプトコッカス・サリバリウスに分類されるべきものであり、ストレプトコッカス・サーモフィルスとは別種の菌である。
なお、乳酸菌の使用形態は、例えば、細菌菌体(生菌)及び当該細菌菌体の処理物から選ばれる1以上を挙げることができる。当該処理物としては、常法の処理による処理物であれば特に限定されず、例えば、加熱菌体(死菌体)、その凍結乾燥物、それらを含有する培養物、細菌の超音波等による破砕液、細菌の酵素処理液、それらを濾過や遠心分離等の固液分離手段によって分離した固体残渣等;細胞壁を酵素若しくは機械的手段により除去した処理液、当該処理液の濃縮物、それらの希釈物、それらの乾燥物等;細菌を界面活性剤等によって溶解した後、エタノール等によって沈殿させて得られる核酸含有画分;前記細菌の超音波等による破砕液や細胞の酵素処理液等に対し、例えば各種クロマトグラフィーによる分離などの分離・精製処理を行ったもの等が挙げられる。
前記死菌体は、例えば、加熱処理、抗生物質等の薬物による処理、ホルマリン等の化学物質による処理、紫外線による処理、γ線等の放射線による処理により得ることができる。後述のように、乳酸菌の培養終了時の生菌数を一定量含有するものであれば、生菌・死菌・その他の菌体処理物を問わず、有効性が期待できる。
本発明において、「NASH予防治療」とは、NASHを予防及び/又は治療することをいい、本発明に用いる乳酸菌は、後記実施例に示すように、乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下するものであり、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上低下するものである。また、好ましくは血清中ASTが40%以上低下し、より好ましくは50%以上低下し、さらに好ましくは80%以上低下するものである。また、好ましくはNASH特有の症状である小葉内の炎症、線維化が改善し、優れたNASH予防治療作用を有するものである。また、本発明に用いる乳酸菌は、小葉内の抗炎症剤、抗線維化剤として用いることもできる。
本発明のNASH予防治療剤を医薬品として使用する場合において、経口投与製剤の剤型としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、糖衣錠、丸剤、細粒剤、散剤、粉剤、徐放性製剤、懸濁液、エマルジョン剤、シロップ剤、乳剤、凍結乾燥剤、液剤、エリキシル剤、経口ゼリー剤等が挙げられる。
また、医薬品として使用する場合の製剤は、常法によって製造でき、本発明の乳酸菌を単独で使用してもよく、薬学的に許容される担体と組み合わせて使用してもよい。当該薬学的に許容される担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料、希釈剤、殺菌剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定化剤、吸収助剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、湿潤剤、増粘剤、光沢剤、活性増強剤、抗炎症剤、等張化剤、無痛化剤、矯臭剤等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、デンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ゼラチン、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール等が挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート80等が挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、タルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
流動性促進剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等が挙げられる。
希釈剤としては、例えば、注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、オリーブ油、ゴマ油、ラッカセイ油、ダイズ油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
また、本発明のNASH予防治療剤は、上記のような医薬品として用いるだけでなく、飲食品、医薬部外品、ペットフード等として用いることもできる。
この場合には、上記乳酸菌をそのまま、又は種々の栄養成分を加えて、上記飲食品等に含有せしめればよい。この飲食品は、NASHの予防・治療に有用な保健用食品又は食品素材として利用でき、これらの飲食品等又はその容器には、前記の効果を有する旨の表示を付してもよい。具体的に本発明のNASH予防治療剤を飲食品に配合する場合は、飲食品として使用可能な添加剤を適宜使用し、慣用の手段を用いて食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペースト等に成形してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージ等の食肉加工品、かまぼこ、ちくわ等の水産加工品;パン、菓子、バター、粉乳、発酵飲食品に添加して使用し、又は水、果汁、牛乳、清涼飲料、茶飲料等の飲料に添加して使用してもよい。
さらに飲食品としては、有効成分である乳酸菌を含有する発酵乳、乳酸菌飲料、発酵豆乳、発酵果汁、発酵植物液等の発酵製品が好適に用いられる。これら発酵飲食品の製造は常法に従って製造することができる。例えば発酵乳は、殺菌した乳培地に乳酸菌を接種培養し、これを均質化処理して発酵乳ベースを得る。次いで別途調製したシロップ溶液を添加混合し、ホモゲナイザー等で均質化し、さらにフレーバーを添加して最終製品とすることができる。このようにして得られる発酵乳は、プレーンタイプ、ソフトタイプ、フルーツフレーバータイプ、固形状、液状等のいずれの形態の製品とすることもできる。
また、本発明のNASH予防治療剤の有効成分である乳酸菌を使用する際の投与量に厳格な制限はない。対象者や適用疾患等の様々な使用態様によって得られる効果が異なるため、適宜投与量を設定することが望ましいが、NASH予防治療作用の点で、乳酸菌の菌数を、1×109以上を1日量として含有する量が好ましく、5×109〜2×1012を1日量として含有する量がより好ましく、1×1010〜1×1012を1日量として含有する量がさらに好ましい。なお、本発明における菌数は乳酸菌培養終了時の生菌数に基づいて算出する。
次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。
実施例1
(1)試験群および試験スケジュール
以下の実験は、C57BL/6N系統、7週齢のマウスを用いて行った。通常食群は、一般的な飼育飼料であるAIN93Gを12週間摂取させた試験群である。コントロール群にはNASH発症のため、12週間の高脂肪食摂取と9〜12週目にかけて四塩化炭素(初回:0.05ml/kg BW、2回目以降:0.1ml/kg BW)を週2回、合計8回皮下投与した。各乳酸菌投与群には、コントロール群の高脂肪食をベースとして各凍結乾燥菌末を0.05%混餌した飼料を摂取させた(飼料中の菌数:菌末は培養液を凍結乾燥して製造した。飼料1g中の菌数は以下の式で求める:培養液中の培養終了時の生菌数/凍結乾燥で製造された菌末量(g)×飼料1g中の菌末の重量(g)。L.Crispatus:2.47×1012/1.754×0.0005=7.04×108/g、B.Bifidum:2.74×1012/1.55×0.0005=8.84×108/g、L.Plantarum:7.36×1012/2.737×0.0005=1.34×109/g、L.Salivarius:2.4×1012/2.995×0.0005=4.01×108/g、S.thermophilus:4.6×1011/2.444×0.0005=9.41×107/g)。四塩化炭素の投与方法および投与タイミングはコントロール群と同じである。AIN93G、高脂肪食および乳酸菌菌末を含有した高脂肪食の組成は表2に記載した。各試験ともに飼料および飲料水は自由に摂取させた(マウス1匹あたりの飼料の平均摂取重量 通常食:2.4g/日、コントロール:2.5g/日、L.Crispatus:2.4g/日、B.Bifidum:2.4g/日、L.Plantarum:2.4g/日、L.Salivarius:2.4g/日、S.thermophilus:2.6g/日)。
四塩化炭素を最終投与してから24時間後に剖検を行ない、血液および臓器を採取した。血液から血清を調製しAST、ALTの測定に用いた。また採取した肝臓は、病理組織解析用として10%中性緩衝ホルマリン溶液に浸漬し保存した。
(2)血清中のAST、ALT値の測定
血清中のAST、ALT値はトランスアミナーゼCII テストワコー(和光純薬)を用いて測定した。操作はマニュアルに従って行なった。
(3)病理組織解析
各試験群、3〜4個体の肝臓を病理組織解析に用いた。ホルマリン溶液にて固定した肝臓を常法により切り出し、パラフィン包埋後、パラフィンブロックを約4μmの厚さに薄切し、Hematoxylin−Eosin(HE)染色を施して、光学顕微鏡にて観察した。さらにコラーゲン線維を証明するためにパラフィン切片にMasson’s trichrome(MT)染色を実施した。
病理組織の診断項目として小葉内炎症、線維化を調べた。
病態のグレーディングは、肝臓切片の全視野を観察して、病態が認められない:−(陰性)、病態が全視野の20%以下:±(極軽度)、病態が全視野の20〜50%:+(軽度)、病態が全視野の50〜80%:++(中程度)、病態が全視野の80%以上:+++(重度)とした。
(4)結果
(a)血清中のAST、ALT値の測定
血清中のAST値を測定したところ、L.plantarum、L.salivarius群では有意な低下が認められた(L. plantarum p=0.026、 L.sarivarius p=0.021)。B.bifidum群では低下の傾向が認められた(p=0.07)。S.thermophilus群でも低下の傾向が認められた。また血清中のALT値を測定したところ、B.bifidum、L.plantarum、L.salivarius群では有意な低下が認められた(B.bifidum p=0.031、 L. plantarum p=0.012、L. sarivarius p=0.008)。S.thermophilus群では低下の傾向が認められた(p=0.054)。しかし、L.crispatus群については、AST、ALTともに顕著な低下は認められなかった。ASTの結果を表3に示す。ALTの結果を表4に示す。


(b)病理組織解析
肝臓の病理組織解析を行ない、菌体投与が肝臓におよぼす影響を調べた。その結果、B.bifidum群、L.plantarum群、L.salivarius群の一部の個体では小葉内炎症がコントロール群に比べて軽微であった。また、L.plantarum群、S.thermophilusの一部の個体では、線維化がコントロール群に比べて軽微であった。結果を図1、表5に示す。
マウス1匹が一日あたりに摂取する菌数は、B.Bifidum:2.12×109、L.Plantarum:3.2×109、L.Salivarius:9.62×108、S.thermophilus:2.45×108である。使用したマウスの体重は約37gであるから、マウス摂取量は、B.Bifidum:5.73×1010/kgBW/日、L.Plantarum:8.65×1010/kgBW/日、L.Salivarius:2.6×1010/kgBW/日、S.thermophilus:6.62×109/kgBW/日である。アメリカ食品医薬品局(FDA)のガイダンスに従い、マウス摂取量をヒト摂取量に換算すると(計算方法:ヒト投与量(/kgBW/日)=マウス投与量(/kgBW/日)×3(マウス体表面換算係数)/37(ヒト体表面換算係数))、ヒト摂取量は、B.Bifidum:4.65×109/kgBW/日、L.Plantarum:7.01×109/kgBW/日、L.Salivarius:2.11×109/kgBW/日、S.thermophilus:5.37×108/kgBW/日である。ヒトの体重を70kgとすると、マウスと同様の効果を奏するために、ヒト1人が一日に摂取すべき菌数は、B.Bifidum:3.26×1011、L.Plantarum:4.91×1011、L.Salivarius:1.48×1011、S.thermophilus:3.76×1010である。これはいずれも特表2005−512590号公報に記載の1兆8000億(1.8×1012)よりも少ない。したがって、本願発明の乳酸菌は、特表2005−512590号公報に記載の乳酸菌よりも少ない菌数で、より高い効果を奏するという有利な点をもつものである。
以上の結果から、NASHモデル動物を用いて、NASH予防治療剤のスクリーニングができ、前記の乳酸菌がNASH予防治療剤として有用であることが示された。

Claims (5)

  1. ビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347、ラクトバチルス・プランタラム YIT 0132、ラクトバチルス・サリバリウス YIT 0432およびストレプトコッカス・サーモフィラス YIT 2001からなる群から選ばれる1種以上の乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW(body weight)、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する前記乳酸菌を有効成分とするNASH予防治療剤。
  2. 当該乳酸菌が、さらに、乳酸菌非投与のマウスに比べて、血清中ASTの値が40%以上低下するものである請求項1記載のNASH予防治療剤。
  3. ビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347、ラクトバチルス・プランタラム YIT 0132、ラクトバチルス・サリバリウス YIT 0432およびストレプトコッカス・サーモフィラス YIT 2001からなる群から選ばれる1種以上の乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW(body weight)、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する前記乳酸菌を有効成分とするNASH予防治療用飲食品。
  4. ビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347、ラクトバチルス・プランタラム YIT 0132、ラクトバチルス・サリバリウス YIT 0432およびストレプトコッカス・サーモフィラス YIT 2001からなる群から選ばれる1種以上の乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW(body weight)、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する前記乳酸菌を有効成分とするNASH予防治療用発酵飲食品。
  5. ビフィドバクテリウム・ビフィダム YIT 10347、ラクトバチルス・プランタラム YIT 0132、ラクトバチルス・サリバリウス YIT 0432およびストレプトコッカス・サーモフィラス YIT 2001からなる群から選ばれる1種以上の乳酸菌を1×1010/g含有する乳酸菌含有高脂肪食をマウスに12週間、1日当たりの摂取量が3gとなるように摂取させ、前記乳酸菌含有高脂肪食の投与開始から数えて9週目〜12週目に四塩化炭素(初回:0.05ml/kgBW(body weight)、2回目以降:0.1ml/kgBW)を週2回、合計8回皮下投与した際に、乳酸菌非投与のマウスに比べて血清中ALTの値が65%以上低下する前記乳酸菌を有効成分とするNASH予防治療用飲食品組成物。
JP2012164992A 2012-07-25 2012-07-25 Nash予防治療剤 Active JP6061530B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012164992A JP6061530B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 Nash予防治療剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012164992A JP6061530B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 Nash予防治療剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014024776A JP2014024776A (ja) 2014-02-06
JP6061530B2 true JP6061530B2 (ja) 2017-01-18

Family

ID=50198767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012164992A Active JP6061530B2 (ja) 2012-07-25 2012-07-25 Nash予防治療剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6061530B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016080448A1 (ja) * 2014-11-19 2016-05-26 株式会社ヤクルト本社 セリアック病予防治療剤
JP2017066086A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 雪印メグミルク株式会社 デオキシコール酸低減剤
EP3596223B1 (en) * 2017-03-15 2023-06-07 Société des Produits Nestlé S.A. Branched alpha glucans

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ITRM20010763A1 (it) * 2001-12-21 2003-06-21 Simone Claudio De Nuovo ceppo di batterio lattico e composizioni commestibili, farmaci e prodotti veterinari che lo contengono.
KR101307864B1 (ko) * 2005-07-21 2013-09-12 가부시키가이샤 야쿠르트 혼샤 신규 비피도박테리움속 세균 및 그의 이용
JP4939822B2 (ja) * 2006-03-14 2012-05-30 株式会社ヤクルト本社 Ldl酸化抵抗性改善剤
MX2012010770A (es) * 2010-03-19 2012-10-15 Yakult Honsha Kk Novedosa lactobacillus clasificada como lactobacillus plantarum y su uso.

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014024776A (ja) 2014-02-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US9468657B2 (en) Lactic acid bacterium agent for improving lipid metabolism
JP5903380B2 (ja) 経口用皮膚性状改善剤
JP5688376B2 (ja) 経口用のdna損傷修復促進剤及びエラスターゼ活性抑制剤
KR20060135016A (ko) 유카 추출물, 퀼라야 추출물 및 유산균을 포함하는 조성물및 상기 조성물을 함유하는 음식물
US20200261516A1 (en) Composition for Increasing Muscle Mass
WO2013015331A1 (ja) Nashモデル動物
JP5019961B2 (ja) インターロイキン10産生促進剤
JP2012036158A (ja) 中性脂肪低減剤
JP6061530B2 (ja) Nash予防治療剤
US9301984B2 (en) Lactobacillus reuteri GMNL-263 composition for controlling body weight and its use thereof
JP2020164493A (ja) 筋肉炎症抑制用組成物及び腸管炎症抑制用組成物
JP6491422B2 (ja) 免疫疾患予防剤
JP5209294B2 (ja) インターロイキン12産生促進剤
JP2023033532A (ja) 骨格筋遅筋化用組成物
JPWO2018174125A1 (ja) 脂質代謝改善用組成物
JP2018118915A (ja) 非アルコール性肝障害抑制剤
JP2012126700A (ja) 胃腸機能亢進剤
AU2015201076B2 (en) Lipid metabolism-improving agent
JP5815105B2 (ja) 中性脂肪低減剤
TW202335676A (zh) 腸管免疫賦活劑及IgA產生促進劑
JP5851242B2 (ja) チオレドキシン誘導活性を有する乳酸菌ならびにチオレドキシンを介する生体傷害の予防および/または改善用の飲食品および医薬品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160105

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160307

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160829

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161018

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161213

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6061530

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151