JP2012012321A - 血中可溶性細胞間接着因子濃度上昇抑制剤 - Google Patents

血中可溶性細胞間接着因子濃度上昇抑制剤 Download PDF

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Abstract

【課題】
血中可溶性細胞間接着因子(sICAM−1)濃度の上昇を抑制することで、動脈硬化に有効な医薬品や食品を提供することを課題とする。
【解決手段】
血中可溶性細胞間接着因子(sICAM−1)の濃度上昇を抑制する因子を食品素材から探索し、その効果をラクトバチルス乳酸菌、ビフィドバクテリウム乳酸菌から見出し、該乳酸菌を培養して得られる培養物及び/または菌体を有効成分とする血中sICAM−1濃度上昇抑制剤を得た。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ラクトバチルス乳酸菌、ビフィドバクテリウム乳酸菌を培養して得られる培養物及び/または菌体を有効成分とする血中可溶性細胞間接着因子濃度上昇抑制剤に関する。
我が国において、心疾患、脳血管疾患は癌と並んで死因の大きな割合を示している。心疾患や脳血管疾患は、動脈硬化により誘発されることが分かっており、動脈硬化の危険因子としては、高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病、喫煙などが挙げられる。それらの危険因子により、フリーラジカル、酸化LDL(Low Density Lipoprotein)コレステロール、炎症性サイトカイン(TNFα)などが生成し、危険因子毎の個別の経路によるアテローム(粥状)プラークが発生し、動脈硬化が静かに進行する。最終的にはプラークが増加・融合してアテローム硬化性プラークによる血流減少やプラークの破綻による血栓形成により心血管障害が発生し、共通の出口である動脈硬化性疾患が発症すると考えられている。
アテロームプラーク発生の過程は、フリーラジカルによる血管内皮細胞の障害や、TNFαにより血管内皮細胞に細胞間接着因子(intercellular adhesion molecule 1:以下ICAM-1)などが発現し、血液中の白血球の一種である単球が内皮細胞に接着する。さらにこの単球は内皮細胞の間から内膜に潜り込み、マクロファージに分化する。マクロファージは酸化した脂質を取り込み、泡沫細胞を経て、時間の経過とともに次第に粥状物質(アテロームプラーク)となる。また酸化された脂質に反応して種々の増殖因子が内皮細胞、マクロファージ、平滑筋細胞などから分泌され、中膜の血管平滑筋が遊走・増殖、コラーゲンなどの増加により、全体として内膜が厚く、硬くなりアテローム(粥状)硬化性プラークとなることが知られている。
一方、1980年代の中頃より、動脈硬化の発症に、酸化変性を受けた脂質、特に酸化LDLコレステロールが重要な役割を果たすことが注目されてきた。動物実験をはじめとして多くの酸化予防試験が実施され、カロテノイド(特許文献1、特許文献2)、ポリフェノール(特許文献3、特許文献4)、大豆蛋白質(特許文献5)、アスタキサンチン(特許文献6)、N−メチルニコチンアミド(特許文献7)、乳酸菌(特許文献8、特許文献9)等を有効成分とするLDLの酸化抑制に関する先行技術がある。
しかしながら血中コレステロール濃度と動脈硬化症が相関しないこと(非特許文献1、非特許文献2)、およびアンジオテンシンI変換酵素阻害剤(エナラプリル)を投与しても動脈硬化抑制作用は見られないこと(非特許文献3)などが報告されており、アテローム性動脈硬化は血中コレステロールおよびLDLコレステロールなどの脂質の蓄積によってのみ発生するわけでない。
ところで、細胞間接着因子(ICAM-1)は内皮細胞の表面で発現される細胞接着物質群の代表的なタンパク質である。通常、これは非常に低い水準に発現されているが、TNFαのようなサイトカイン類の炎症媒介物質によって刺激を受けると、発現量が急速に増加し、免疫応答初期で作用していると考えられている。細胞表面に発現しているICAM-1は切断され可溶性ICAM-1(soluble ICAM-1:以下sICAM-1)として血液内に分泌される。動脈硬化患者では血中sICAM-1濃度が上昇し(非特許文献4)、また高脂肪の飼料を摂取したマウスの血中sICAM-1濃度が上昇する(非特許文献5)ことが報告されている。高脂肪食の過剰摂取は、動脈硬化の危険因子である高血圧、高脂血症、肥満、糖尿病の原因の一つである。血中sICAM-1濃度を減少させ、動脈硬化予防効果があるものとしてはエイコサペンタエン酸(EPA)が報告されている(非特許文献6)。
特表2004−520373号公報 特開2010−006816号公報 特開2005−124540号公報 特表2009−510118号公報 特表2002−530347号公報 特開平10−155459号公報 特開2010−506900号公報 特開2001−302523号公報 特開2007−246408号公報
食の科学 257, 20-25 (1999) Atherosclerosis, 151, 501-508 (2000) International Journal of Cardiology, 81, 107-115 (2001) Pharmacological Report, 61, 22-32 (2009) American Journal of Physiology. Cell Physiology, 291, C1232-C1239 (2006) Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology, 2173-2139 (2008)
本発明は、血中sICAM-1濃度の上昇を抑制することで、動脈硬化に有効な医薬品や食品を提供することを課題とする。
本発明者らは、酸化LDLコレステロールを取り込み、泡沫細胞になるマクロファージの分化前にあたる単球を内皮細胞への接着させないこと、すなわちICAM-1を抑制することは、動脈硬化の予防に有効であると考え、血中sICAM-1の濃度上昇を抑制する因子を食品素材から鋭意探索した結果、ラクトバチルス属乳酸菌およびビフィドバクテリウム属乳酸菌体にその効果を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)ラクトバチルス属もしくはビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌を培養して得られる培養物及び/または菌体を有効成分とする血中の可溶性細胞間接着因子(soluble intercellular adhesion molecule 1:sICAM-1)濃度上昇抑制剤。
(2)前記ラクトバチルス属に属する乳酸菌はラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)もしくはラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌であり、前記ビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)に属する乳酸菌であることを特徴とする(1)に記載の血中sICAM-1濃度上昇抑制剤。
(3)前記ラクトバチルス属に属する乳酸菌はラクトバチルス・ガセリSBT2055(FERM P-15535)もしくはラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)、前記ビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌はビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928(FERM P-10657)であることを特徴とする(1)に記載の血中sICAM-1濃度上昇抑制剤。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載の剤を有効成分として含む動脈硬化予防剤。
(5)(1)〜(3)のいずれかに記載の血中sICAM-1濃度上昇抑制剤を添加した飲食品。
本発明により、血中sICAM-1濃度を抑制することで動脈硬化の予防に有効な乳酸菌を含有する医薬品や食品が得られる。
乳酸菌培養物摂取0週及び4週の血清中sICAM-1濃度比較結果 発酵乳摂取0週及び4週の血清中sICAM-1濃度比較結果
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明における乳酸菌としては、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)乳酸菌及びビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium sp.)乳酸菌、その中でも特にラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)に属する乳酸菌が挙げられる。これらの菌体は、乳酸菌培養の常法に従って培養し、得られた培養物から遠心分離などの集菌手段によって分離されたものをそのまま本発明の有効成分として用いることができる。また、純粋に分離された菌体だけでなく、培養物、懸濁物、その他の菌体含有物や、菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分も用いることができる。さらに、製剤化に際しては賦型剤、安定剤、矯味剤などを適宜混合して濃縮、凍結乾燥するほか、加熱乾燥して死菌体にしてもよい。これらの乾燥物、濃縮物、ペースト状物も含有される。該乳酸菌菌体の血中sICAM-1濃度上昇抑制作用を妨げない範囲で、賦型剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、矯味矯臭剤、懸濁剤、コーティング剤、その他の任意の薬剤を混合して製剤化することもできる。剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤等が可能であり、これらを経口的に投与することが望ましい。
また、本発明は、ラクトバチルス属(Lactobacillus sp.)の乳酸菌及びビフィドバクテリウム属(Bifidocacterium sp.)の乳酸菌、その中でも特にラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)もしくはビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)の培養物、あるいはその菌体自体であっても良い。培養物の形態としてはヨーグルトやチーズ等の発酵食品が好適である。
これらの菌体や培養物は、どのような飲食品に配合しても良く、飲食品の製造工程中に原料に添加しても良い。飲食品の例として、乳飲料、発酵乳、果汁飲料、ゼリー、キャンディー、乳製品、マヨネーズ等の卵加工品、バターケーキ等の菓子・パン類等の食品を挙げることができる。さらには、各種粉乳の他、乳幼児食品、栄養組成物等に配合することも可能である。
また、本発明の乳酸菌を配合して、動脈硬化予防剤あるいは飲食品に含有させて使用する場合、乳酸菌の含有割合は特に限定されず、製造の容易性や好ましい一日投与量に合わせて適宜調節すればよい。例えば剤型が液体の場合には、1×105cells/ml〜1×1010cells/mlとすることが好ましく、固体の場合には1×105cells/g〜1×1010cells/gとすることが好ましい。
本発明の血中可溶性細胞間接着因子濃度上昇抑制効果を発揮させるためには、成人の場合、乳酸菌体重量で1〜1,000mg 摂取することが望ましい。乳酸菌体は、古来、発酵乳やチーズの製造に用いられており、摂取しても安全性に問題はない。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら限定されるものではない。
(乳酸菌脱脂乳培養物の調製1)
還元脱脂乳培地(13重量%脱脂粉乳、0.5重量%酵母エキス含有)を95℃で30分間殺菌した後、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)SBT2928(FERM P-10657)菌体をそれぞれ接種し、37℃で16時間培養し、得られた培養物を凍結乾燥してラクトバチルス・ガセリSBT2055株培養物粉末、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株培養物粉末、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928株培養物粉末を得た。
(乳酸菌脱脂乳培養物の調製2)
ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)SBT2928(FERM P-10657)の対照株としてそれぞれの基準株であるラクトバチルス・ガセリJCM1131株、ラクトバチルス・ヘルベティカスJCM1120株、ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株を用いた。これらの基準株は独立行政法人理化学研究所の公開菌株である。還元脱脂乳培地(13重量%脱脂粉乳、0.5重量%酵母エキス含有)を95℃で30分間殺菌した後、ラクトバチルス・ガセリJCM1131株、ラクトバチルス・ヘルベティカスJCM1120、ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株をそれぞれ接種し、37℃で16時間培養し、得られた培養物を凍結乾燥してラクトバチルス・ガセリJCM1131株培養物粉末、ラクトバチルス・ヘルベティカスJCM1120株培養物粉末、ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株培養物粉末を得た。
[比較例1]
(乳酸菌脱脂乳培養物の調製3)
他の乳酸菌としてロイコノストック・メセンテロイデスの基準株であるLeuconostoc mesenteroides subsp. mesenteroides JCM6124T株を用いた。この基準株は独立行政法人理化学研究所の公開菌株である。還元脱脂乳培地(13重量%脱脂粉乳、0.5重量%酵母エキス含有)を95℃で30分間殺菌した後、ロイコノストック・メセンテロイデスJCM6124T株を接種し、37℃で16時間培養し、得られた培養物を凍結乾燥してロイコノストック・メセンテロイデスJCM6124T株培養物粉末を得た。
[試験例1]
実施例1、2および比較例1で得られたラクトバチルス・ガセリSBT2055株培養物粉末(LG SBT2055)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株培養物粉末(LH SBT2171)、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928株培養物粉末(BL SBT2928)、ラクトバチルス・ガセリJCM1131株培養物粉末(LG JCM1131)、ラクトバチルス・ヘルベティカスJCM1120株培養物粉末(LH JCM1120)、ビフィドバクテリウム・ロンガムJCM1217株培養粉末(BL JCM1217)、ロイコノストック・メセンテロイデスJCM6124T株培養粉末(LM JCM6124)を用い、表1に示すAIN-76(American Insutitute of Nutrition:米国国立栄養研究所によって1977年に発表されたマウス・ラットを用いた栄養研究のための標準精製飼料組成)に準拠した高脂肪配合にて、A〜Gの試料を調製した。また、95℃で30分間殺菌した還元脱脂乳培地を凍結乾燥して、コントロール粉末を作成し、AIN-76に準拠した表1に示す配合にてコントロール食を調製した。
4週齢SD系雄ラット80匹に、[0018]で調製したコントロール食を自由に摂取させて1週間飼育した後、10匹ずつ8群に分けた。この時、エーテル麻酔下にて頸静脈から採血し、群分け前の血清中のsICAM-1濃度を測定した(摂取0週)。1群は引き続きコントロール食を、他の7群にはそれぞれ[0018]で調製したA〜Gの試料を自由に摂取させて4週間飼育した後、エーテル麻酔下で頸静脈採血を行った(摂取4週)。採取した血液は13000rpm、4℃、10分で遠心分離し、上澄から血清を得た。血清中のsICAM-1はQuantikine(R)(R&D Systems, Inc.)を用いて測定した。
各群の血清中のsICAM-1濃度を図1に示す。摂取4週後のコントロール食摂取群のsICAM-1濃度に対して、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)をそれぞれ含むA〜F試料摂取群では有意に血清中のsICAM-1濃度が低くなった。また、コントロール食摂取群の血清中のsICAM-1濃度は摂取前(0週)に比べて摂取後(4週)で有意に上昇していたが、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)をそれぞれ含むA〜F試料摂取群では摂取後(4週)の血清中のsICAM-1濃度の上昇が抑えられていた。特に、A試料、B試料およびC試料摂取群で血清中のsICAM-1濃度上昇抑制作用が顕著であった。しかしながら、G試料摂取群では血清中のsICAM-1濃度上昇は抑制されなかった。
これらの結果から、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)乳酸菌脱脂乳培養物は血清中のsICAM-1濃度の上昇を抑制することが明らかとなった
(発酵乳の調製)
ラクトバチルス・ガセリSBT2055株菌体、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株菌体、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928株菌体を各々MRS液体培地(Difco社)にて培養した。対数増殖期にある各培養液を、0.3%の酵母エキスを添加した10%還元脱脂乳(115℃、20分滅菌)に1%接種し、各々マザーカルチャーを作製した。これに10%の還元脱脂乳を添加して、100℃にて10分間加熱したヨーグルトミックスに2.5%添加して調製した。37℃で発酵を行い、乳酸酸度0.85に到達した時点で冷却し、発酵を終了させた。得られた発酵乳を凍結乾燥してラクトバチルス・ガセリSBT2055株発酵乳粉末、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株発酵乳粉末、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928株発酵乳粉末を得た。
[試験例2]
実施例3で調製したラクトバチルス・ガセリSBT2055株発酵乳粉末(LG SBT2055)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株発酵乳粉末(LH SBT2171)、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928株発酵乳粉末(BL SBT2928)を用い、表2に示すAIN-76に準拠した高脂肪配合にてa〜cの試料を調製した。また、100℃で10分間加熱したヨーグルトミックスを凍結乾燥してコントロール粉末を作成し、AIN-76に準拠した表2に示す配合にてコントロール食を調製した。
4週齢SD系雄ラット40匹に、[0024]で調製したコントロール食を自由に摂取させて1週間飼育した後、10匹ずつ4群に分けた。この時、エーテル麻酔下にて頸静脈から採血し、血清中のsICAM-1濃度を測定した(摂取0週)。1群は引き続きコントロール食を、他の3群にはそれぞれ[0024]で調製したa〜c飼料を自由に摂取させて4週間飼育した後、エーテル麻酔下で頸静脈採血を行った(摂取4週)。採取した血液は13000rpm、4℃、10分で遠心分離し、上澄から血清を得た。血清中のsICAM-1はQuantikine(R)(R&D Systems, Inc.)を用いて測定した。
各群の血清中のsICAM-1濃度を図2に示す。コントロール群の血清中のsICAM-1濃度は摂取前(0週)に比べて摂取後(4週)で有意に上昇していた。一方、a〜c試料摂取群では0週と比べて4週における血清中のsICAM-1濃度は有意差がなかった。これらの結果から、LG SBT2055株、LH SBT2171株およびBL SBT2928株を含有する発酵乳は、脂肪負荷による血清中のsICAM-1濃度の上昇を抑制することが明らかとなった。
(錠剤の製造)
ラクトバチルス・ガセリSBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928(FERM P-10657)の液体培養物を、4℃、7000rpmで15分間遠心分離した後、滅菌水による洗浄と遠心分離を3回繰り返して行い、洗浄菌体を得た。この洗浄菌体を凍結乾燥処理して菌体粉末を得た。この菌体粉末1部に脱脂粉乳4部を混合し、この混合粉末を打錠機により1gずつ常法により打錠して、本発明のラクトバチルス・ガセリSBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928(FERM P-10657)の菌体200mgを含む錠剤をそれぞれ調製した。
(散剤の製造)
ラクトバチルス・ガセリSBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928(FERM P-10657)をMRS液体培地(Difco社)5Lに摂取後、37℃、18時間静置培養を行った。培養終了後、7000rpmで15分間遠心分離を行い、培養液の1/50量の濃縮菌体を得た。次いで、この濃縮菌体を、脱脂粉乳10重量%、グルタミン酸ソーダ1重量%を含む分散媒と同量混合し、pH7に調整後、凍結乾燥を行った。得られた凍結乾燥物を60メッシュのふるいで整粒化し、凍結乾燥菌末を製造した。第13改正日本薬局方解説書製剤総則「散剤」の規定に準拠し、この凍結乾燥菌末1gにラクトース(日局)400g、バレイショデンプン(日局)600gを加えて均一に混合し、散剤を得た。
(カプセル剤の製造)
表3に示した配合により原料を混合し、造粒により顆粒状とした後、空カプセルに10mgずつ充填して、カプセル剤を製造した。
(スティック状健康食品の製造)
実施例1で得られたラクトバチルス・ガセリSBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928(FERM P-10657)の培養物粉末30gに、ビタミンCとクエン酸の等量混合物40g、グラニュー糖100g、コーンスターチと乳糖の等量混合物60gを加えて混合した。混合物をスティック状袋に詰め、スティック健康食品を製造した。
(ナチュラルチーズの製造)
脂肪率を調整した原料乳を75℃で15秒間プレート加熱殺菌を行った後、30℃まで冷却し、0.01重量%塩化カルシウムを添加した。次に、これらの原料乳に市販の乳酸菌スターター(クリスチャン・ハンセン社製)0.7重量%及びラクトバチルス・ガセリSBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928(FERM P-10657)1重量%を各々添加し、レンネット0.003重量%を添加して乳を凝固させた後、カッティングしてpHが6.2〜6.1となるまで撹拌し、ホエーを排出し、カード粒を得た。さらに、このカード粒を型詰めして圧搾し、さらに加塩して、ナチュラルチーズを製造した。
(飲料の製造)
表4に示した配合により原料を混合し、容器に充填した後、加熱殺菌して、果汁飲料を製造した。

(低脂肪硬質ナチュラルチーズの製造)
チーズ中の脂肪率が12〜30重量%となるように調整した原料乳を使用して、数種類の低脂肪硬質ナチュラルチーズを製造した。すなわち、脂肪率を調整した原料乳を75℃で15秒間のプレート加熱殺菌を行った後、30℃まで冷却し、0.01重量%塩化カルシウムを添加した。次に、これらの原料乳に市販の乳酸菌スターター(クリスチャン・ハンセン社製)0.7重量%及びラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)・SBT2055(FERM P-15535)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)・SBT2171(FERM P-14381)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)・SBT2928(FERM P-10657)1重量%を各々添加し、レンネット0.003重量%を添加して乳を凝固させた後、カッティングしてpHが6.2〜6.1となるまで撹拌し、ホエーを排出し、カード粒を得た。さらに、このカード粒を型詰めして圧搾し、さらに加塩して、ゴーダタイプ低脂肪硬質ナチュラルチーズを製造した。
(ドリンクヨーグルトの製造)
実施例3の凍結乾燥前に得られる各々の発酵乳43kgにグラニュー糖4kg、水3kg、ペクチン0.15kgを加えた後に均質化して、各々のドリンクヨーグルト50kgを得た。

Claims (5)

  1. ラクトバチルス属もしくはビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌を培養して得られる培養物及び/または菌体を有効成分とする血中の可溶性細胞間接着因子(soluble intercellular adhesion molecule 1:sICAM-1)濃度上昇抑制剤。
  2. 前記ラクトバチルス属に属する乳酸菌はラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)もしくはラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌であり、前記ビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌はビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)に属する乳酸菌であることを特徴とする請求項1に記載の血中sICAM-1濃度上昇抑制剤。
  3. 前記ラクトバチルス属に属する乳酸菌はラクトバチルス・ガセリSBT2055(FERM P-15535)もしくはラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)、前記ビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌はビフィドバクテリウム・ロンガムSBT2928(FERM P-10657)であることを特徴とする請求項1に記載の血中sICAM-1濃度上昇抑制剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の剤を有効成分として含む動脈硬化予防剤。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の血中sICAM-1濃度上昇抑制剤を添加した飲食品。
JP2010149441A 2010-06-30 2010-06-30 血中可溶性細胞間接着因子濃度上昇抑制剤 Pending JP2012012321A (ja)

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