本発明は、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い組成物と、これを用いた飲食物及び発酵乳に関し、特に、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳に関する。
皮膚の改善や治療等を目的とした組成物や飲食品に、乳酸菌やその培養物を含有したものがある。これら組成物や飲食品に関する先行技術として、特定の乳酸菌を用いたアトピー性皮膚炎の抑制剤及び食品(特許文献1)、特定の乳酸菌の培養物を用いた皮膚改善効果を有する保湿剤、及び肌荒れや乾燥肌の予防・治療に有効であり、肌(皮膚)に「つや」や「はり」を与える化粧料組成物(特許文献2)、特定の乳酸菌やその培養物を皮膚(肌)の免疫系のバランスを保つために使用すること及び乳酸菌やその培養物を含有した食品等(特許文献3)、コラーゲンペプチドやセラミドと乳酸菌を組み合わせて用いることにより、肌(皮膚)の改善に加え、便通改善、疲労回復、肩こりの軽減等も併せて期待できる美容食品(特許文献4)等がある。
前記した通り、乳酸菌やその培養物に、皮膚改善効果や治療効果があることを見いだし、それを産業上で応用することが従来から期待されていることは事実である。幾つかの具体的な研究が行われており、実際に製品化されたものも存在すると考えられる。
しかしながら、従来までの研究では、乳酸菌と皮膚(肌)との関係、あるいは乳酸菌にコラーゲンペプチドやセラミド等を添加した組成物と皮膚(肌)との関係について検討が不十分であった。そのため、乳酸菌や発酵乳による皮膚改善効果等について科学的な根拠が乏しい状態であった。
また、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌では、発酵乳を製造する際に、カードを形成しなかったり、カードを形成するまでの時間が大幅に長くなったりしていた。この場合には、皮膚改善効果等を持つが、発酵乳の製造特性が悪い乳酸菌と、カードを形成するための製造特性が良い乳酸菌とを別に管理したり、発酵時間が長くなることで、製造時間の全体が長くなったりしていた。このとき、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌は生菌ではなく、死菌であったり、耐熱性の高い、限られた菌体であったりした。つまり、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌は、発酵乳の工業的な大量生産(商業的な生産)等には適していなかった。
例えば、皮膚改善効果等を持つと言われている従来までの乳酸菌を用いて発酵乳を製造しようとすると、概略で次の様な製造工程を必要とする。すなわち、(1)皮膚改善効果等を持つ乳酸菌を単独で培養する。(2)状況に応じて遠心分離法や膜分離法により、その乳酸菌(培養菌体)を所定の濃度まで濃縮する、又は、乳酸菌の保存性を高めるために、培養液を加熱殺菌したり、乾燥したりする。(3)カードを形成する別の乳酸菌と、その濃縮された培養菌体、又は加熱殺菌や乾燥されたものとを発酵前の調合乳へ添加し、混合培養する。
これらの製造工程は管理が複雑であり、製造費用も製造時間も増大し、雑菌が混入する可能性も高い。また、嗜好性に優れた風味の良い発酵乳を得ることも難しい。
特開2000−095697号公報
特開2003−081808号公報
特表2004−510740号公報
特開2004−254632号公報
本発明は、上記従来技術の課題点を鑑みてなされたもので、天然物由来で安全性が高く、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い組成物、皮膚改善及び/又は治療の用途に適した組成物と、当該組成物を用いた、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い飲食品及び発酵乳、特に、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、発酵乳の調製に用いる乳酸菌から皮膚改善効果や治療効果が高いものを選抜する目的で、in vitro 試験を行うことにより、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)に特別、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願の請求項1に係る発明は、皮膚改善及び/又は治療に用いられるサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)の用途である。
また、請求項2に係る発明は、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物を含有してなる皮膚改善用及び/又は治療用の組成物である。
請求項3に係る発明は、請求項2記載の皮膚改善用及び/又は治療用の組成物において、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物を更に含有してなる皮膚改善用及び/又は治療用の組成物である。
請求項4に係る発明は、前記の請求項2に記載の組成物を含有する飲食品である。
請求項5に係る発明は、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)を用いて調製した皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳である。
請求項6に係る発明は、コラーゲンペプチド及び/又はセラミドを含有することを特徴とする請求項5に記載の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳である。
請求項7に係る発明は、原料乳を調製した後、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、容器へ充填し、発酵させて、カードを形成させた後に冷蔵することを特徴とする請求項5又は6記載の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳を製造する方法である。
請求項8に係る発明は、原料乳を調製した後、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、発酵させて、カードを形成させた後に、カードを破砕し、容器へ充填し、冷蔵することを特徴とする請求項5又は6記載の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳を製造する方法である。
請求項9に係る発明は、原料乳を調製した後に、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、発酵させて、カードを形成させた後に、カードを破砕し、冷却し、容器へ充填し、冷蔵することを特徴とする請求項5又は6記載の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳を製造する方法である。
なお、本発明において「皮膚改善効果及び/又は治療効果」とは、皮膚や肌のつや、はり、くすみ、しみ、たるみ、毛穴の目立ち、キメ、しわ、乾燥具合、べたつき、透明感、赤み、ファンデーションのノリ、むくみ、くまの目立ち、皮疹、保湿、色素沈着のうち、少なくとも1つ以上の状態について改善の効果があるものをいい、「皮膚改善及び/又は治療」とは、皮膚や肌のつや、はり、くすみ、しみ、たるみ、毛穴の目立ち、キメ、しわ、乾燥具合、べたつき、透明感、赤み、ファンデーションのノリ、むくみ、くまの目立ち、皮疹、保湿、色素沈着のうち、少なくとも1つ以上の状態について改善することをいう。また、「皮膚改善及び/治療」には、アトピー性皮膚炎を始め、各種アレルギー性皮膚炎による肌症状の改善や発症抑制も含む。また「皮膚改善用及び/又は治療用」とは、前記の皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させることを目的として用いられることをいい、特に、前記の皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させる用途に適していることをいう。
本発明において「ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)」は、発酵乳の調製において、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)と組み合わせて、スターターに用いることで、カードを形成する能力を持つ乳酸菌を全て含むものであり、例えば、明治乳業株式会社製のプレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、ソフトヨーグルトから単離して得られる乳酸菌がある。
本発明においてサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受領番号:FERM P-15487(識別のための表示: Streptococcus thermophilus OLS3059、寄託日(受領日):平成 8年 2月 29日)で寄託されているものである。
また、本発明においてブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受領番号:FERM P-17227(識別のための表示: Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1、寄託日(受領日):平成 11年 2月 19日)で寄託されているものである。
本発明は皮膚改善及び/又は治療に用いられるサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)の用途を提供することができる。
本発明によれば、天然物由来で安全性が高く、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い組成物、皮膚改善及び/又は治療の用途に適した組成物と、当該組成物を用いた、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い飲食品及び発酵乳、特に、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳を提供することができる。
本発明によれば、整腸(便通)改善効果及び/又は治療効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い発酵乳とその製造方法を提供することができる。
蒸留水投与群、Lactobacillus rhamnosus ATCC 53103 投与群、Streptococcus thermophilus OLS3059 投与群及び皮膚炎非惹起群における試験期間中の皮膚炎発症スコアの推移(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、*P < 0.05、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
蒸留水投与群、Lactobacillus rhamnosus ATCC 53103 投与群、Streptococcus thermophilus OLS3059 投与群及び皮膚炎非惹起群における15日後(day 15)の血清中の総IgE 濃度(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
蒸留水投与群、Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1 投与群及びStreptococcus thermophilus OLS3059 投与群における試験期間中の皮膚炎発症スコアの推移(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、*P < 0.05、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
蒸留水投与群、Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1 投与群及びStreptococcus thermophilus OLS3059 投与群における15日後(day 15)の血清中の総IgE 濃度(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1とStreptococcus thermophilus OLS3059で調製した発酵物の投与群、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus MEP1705601とStreptococcus thermophilus MEP1705601で調製した発酵物の投与群、未発酵物の投与群及び皮膚炎非惹起かつ未発酵物の投与群における試験期間中の皮膚炎発症スコアの推移(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、*P < 0.05、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者の総皮疹数の観察結果を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者及び医師による有用性の評価結果を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「1以上」改善された」被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「2以上」改善された」被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「3以上」改善された」被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「1以上」改善された」被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「2以上」改善された」被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「3以上」改善された」被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
本願発明は、皮膚改善及び/又は治療に用いられるサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)の用途を提案するものである。すなわち、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、発酵乳の調製に用いる乳酸菌から皮膚改善効果や治療効果が高いものを選抜する目的で、in vitro 試験を行うことにより、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)に特別、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いとの知見を得て、本発明を完成したものである。
次に、本発明の組成物は、皮膚改善用及び/又は治療用の組成物であって、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物を含有するものである。この本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の組成物は、天然物由来であるので安全性が高く、更に、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適したものである。
本発明者らが、発酵乳の調製に用いる、カードを形成する能を持った、製造特性の良い乳酸菌から皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いものを選抜するため、in vitro 試験を行ったところ、前述したように、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)に特別、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いとの知見を得た。
前記本発明のサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物を含有してなる皮膚改善用及び/又は治療用の組成物は、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物を更に含有しているものとすることができる。
発明者等の実験によれば、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物と、菌体外に粘性多糖類を生産するブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)とを組み合わせた場合にも、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適したものであることが認められた。
なお、サーモフィルス菌 OLS3059は、例えば、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)に使用されている。
前記のサーモフィルス菌 OLS3059及び/又はその培養物、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物とは、いずれも、乳酸菌を単離・精製した菌体の他に、菌体を含む培養物、菌体の抽出物、培養物の上清、これらの濃縮液、濃縮物、乾燥物、さらに必要に応じて希釈液、希釈物等であり、培養液、培養物を処理して得られる全ての状態のものが含まれる。
前記のサーモフィルス菌 OLS3059は、生菌及び死菌の何れでも、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、皮膚改善及び/又は治療に用いることができる。また、ブルガリア菌OLL1073R-1も、生菌及び死菌の何れでも用いることができる。さらに、サーモフィルス菌 OLS3059も、ブルガリア菌OLL1073R-1も、菌体の培養法、抽出法、分離法、濃縮法、乾燥法、希釈法等は特に限定されない。菌体を培養するための培地には通常、脱脂乳、ホエー、カゼイン等の牛乳蛋白質、糖類、酵母エキス等を含んでおり、培養方法には一般的な各種好気的あるいは嫌気的な方法を適宜、用いることができる。培養温度には例えば、35〜45℃を設定し、培養中には水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて、培地のpHを中性から酸性、例えばpHが5〜6程度となるように維持する中和培養法を用いることもできる。このような中和培養法の他に、回分培養法等の任意の培養方法を用いることができ、培養した後には、必要に応じて培養物やその上清を、濃縮、乾燥、希釈等することもできる。さらに、遠心分離法や膜分離法を用いて、培養物の上清と菌体を分離し、菌体を濃縮した状態で、回収することもできる。そして、菌体に超音波処理や酵素処理等を行い、菌体内の成分を抽出したり、培養物やその上清、菌体やその抽出物等を乾燥することもできる。これらは本発明の前記組成物の有効成分として用いることができる。
本発明の組成物は、任意の成分を添加し、常法に従い、皮膚外用剤として用いることができる。例えば、通常の化粧料、医薬品部外、医薬品等に用いられる各種成分、油剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、顔料、pH調整剤、抗酸化剤、香料等を適宜、配合し、クリーム、乳液、化粧料、ファンデーション、ローション、シャンプー等、その目的に応じて任意に用いることができる。
本発明の飲食品は、前述した本発明の組成物を含有するものである。かかる本発明の飲食品は、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適したものである。
前述した本発明の組成物は、食用として実績のある乳酸菌を有効成分としているため、安全性については全く問題がなく、飲食品、医薬品として、経口的及び/又は非経口的に投与できる。
この場合に、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)の菌体を単独でも用いることができるし、あるいは通常の食餌成分に混合して用いることもできる。また、サーモフィルス菌 OLS3059とブルガリア菌OLL1073R-1の菌体とをそれぞれ単独でも用いることができるし、あるいはこれらを組み合わせたものを通常の食餌成分に混合して用いることもできる。更に、サーモフィルス菌 OLS3059、あるいはサーモフィルス菌 OLS3059とブルガリア菌OLL1073R-1とを組み合わせたものを経口投与剤及び/又は非経口投与剤の製造において用いられている、通常の各種補助剤等と混合して製剤化することもできる。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)、あるいはサーモフィルス菌 OLS3059とブルガリア菌OLL1073R-1とを組み合わせたものを通常の食餌成分や、経口投与剤及び/又は非経口投与剤の製造において用いられている通常の各種補助剤等に混合して用いる場合、サーモフィルス菌 OLS3059の添加量(配合量)は、本発明の飲食品を摂取する者の年齢、体重、投与方法等を考慮して適宜、定めることができるが、109(10の9乗) cfu/日以上、好ましくは1010(10の10乗) cfu/日以上である。
本発明の飲食品としては、前述した本発明の組成物を含有する飲料(ドリンク)、錠剤(タブレット)等の他に、ビスケット、パン、スポンジケーキ、発酵乳、ヨーグルト、チーズ、バター、マーガリン、クリーム、ゼリー等がある。本発明の飲食品の使用形態、使用方法としては、前述した飲食品に、直接、本発明の組成物を添加する形態、方法がある。また、これにより得られた本発明の飲食品であるヨーグルト、チーズ、バター等を、さらに飲食品に添加する形態、方法もある。
そして、本発明の飲食品は、皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させることを目的として、通常の飲食品の他に、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品等に用いることができる。
さらに、本発明の飲食品は、皮膚改善効果及び/又は治療効果を有するため、皮膚改善及び/又は治療のために用いられる旨の表示を付した飲食品とすることもできる。なお、表示方法としては、飲食品のパッケージへの表示の他に、パンフレットへの掲載や宣伝等も含まれる。
本発明の組成物及び飲食品を医薬品として用いる場合には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の使用形態、使用方法を採用することができる。この場合、主剤の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等に、通常の補助剤を用いて常法に従い、製剤化することができる。
本発明の発酵乳は、皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳であって、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)を用いて調製したものである。
かかる本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、発酵乳の調製に用いる、カードを形成する能を持った、製造特性の良い乳酸菌の中から選抜された皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)を用いて調整されているので、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い。すなわち、前記本発明の発酵乳は、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適している。
更に、前記のようなサーモフィルス菌 OLS3059を、ブルガリア菌と組み合わせて、乳酸菌を調整する、例えば、これらを組み合わせてスターターとして用いることで、比較的、短時間でカードを形成することができる。
前記本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳において、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)には、例えば、明治乳業株式会社製のプレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、ソフトヨーグルトから単離して得られる乳酸菌を用いることができる。これらブルガリア菌とサーモフィルス菌との組合せにより調製される本発明の発酵乳は、嗜好性に優れ、風味が良く、舌触りが滑らかであり、製品の輸送時にカードが崩れにくく、カードが丈夫であるといった特徴がある。
前述したブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)を用いて調製した本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、コラーゲンペプチド及び/又はセラミドを含有するものとすることができる。
実施例に後記する通り、コラーゲンペプチドやセラミドを含有する本発明の前述した発酵乳と、含有していない本発明の前述した発酵乳を比較したところ、コラーゲンペプチドやセラミドを含有する発酵乳において、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い傾向が得られた。すなわち、前述したようにブルガリア菌及びサーモフィルス菌 OLS3059を用いて調製しただけの本発明の発酵乳に比較し、コラーゲンペプチド及び/又はセラミドを混合して使用することで、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高くなった。これは、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い乳酸菌(サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))とコラーゲンペプチド及び/又はセラミドとを混合したことによる相乗効果と考えられる。
このような皮膚改善効果及び/又は治療効果の相乗効果という観点から、本発明の発酵乳には、コラーゲンペプチド及び/又はセラミドの他に、スフィンゴミエリン、イソフラボン、コンドロイチン、ヒアルロン酸等、飲食品、医薬品に用いる各種新陳代謝の改善効果を持つ有用成分を添加することも好ましい。
以上の本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳について、皮膚改善効果及び/又は治療効果に影響する因子を見いだすため、ヒト試験により、さらに詳細な検討を進めたところ、以上の本発明の発酵乳は、発酵乳の代表的な作用とされる整腸改善効果の高かったヒトに対して皮膚改善効果及び/又は治療効果も高いとの知見を得た。
具体的には、コラーゲンペプチドやセラミドを含有する本発明の前述した皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳と、含有していない本発明の前述した皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳とを用いて、整腸改善効果の程度と、皮膚改善効果の程度を比較することにより、前記した通りの知見を得た。
すなわち、本発明の前述した皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、整腸(便通)改善効果及び/又は治療効果の高かったヒトに対して、前記皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いことを特徴としている。
以上の本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳を製造する本発明の発酵乳製造方法は、原料乳を調製した後、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、容器へ充填し、発酵させて、カードを形成させた後に冷蔵する、あるいは、原料乳を調製した後、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、発酵させて、カードを形成させた後に、カードを破砕し、容器へ充填し、冷蔵する、原料乳を調製した後に、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、発酵させて、カードを形成させた後に、カードを破砕し、冷却し、容器へ充填し、冷蔵するものである。
ここで、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加するまでに行う原料乳の調製は、従来一般の発酵乳製造工程と同じく、原料乳を調製し、均質化や殺菌・冷却などの処理を行って原料乳を調製するものである。
このように、前述した本発明の発酵乳を製造する本発明の製造方法においては、発酵乳の調製に用いる、カードを形成する能を持った、製造特性の良い乳酸菌の中から選抜された皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)と、ブルガリア菌とを組み合わせて、スターターとしている。
そのため、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌での問題点(課題点)が解決されている。従来は、皮膚改善効果等を持つが、発酵乳の製造特性が悪い乳酸菌と、カードを形成するための製造特性が良い乳酸菌とを別に管理したり、発酵時間が長くなることで、製造時間の全体が長くなったりといった問題が起こっていた。つまり、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌は、発酵乳の工業的な大量生産(商業的な生産)等には適していなかった。
しかし、本発明の発酵乳の製造方法は、前記した問題点を解決しているため、商業的な生産に適用できる。工程数が複雑でないことが商業的な生産には重要である。
前述した本発明の発酵乳の製造方法で、原料乳を調製する工程における均質化は、殺菌前と殺菌後のいずれか、あるいは双方において行うことができる。
また、前述したように、発酵させてからの冷却は、カードを形成させた後、カードを破砕した後、容器へ充填した後の何れでも良い。
さらに、カードを破砕した後に、果肉、野菜、各種ソース、及び/又は各種添加剤を添加・混合することもできる。
本発明の発酵乳の製造方法において発酵時間は、通常の発酵乳の製造に用いることができる程度である、8時間以内、好ましくは6あるいは5時間以内、より好ましくは4時間以内である。
また、本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、風味が極めて優れているため、常用することができ、無理なく継続的に摂取ができる。これにより、皮膚改善効果や治療効果を、より高めることができる。
以下、本発明に関して好ましい実施例を挙げて説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
(アトピー性皮膚炎抑制効果の in vivo 試験による検証)
マウス雌 NC/Ngaの4週齢(日本エスエルシー(株)製)を訓化飼育した後に、4群に分けた。すなわち、蒸留水投与群(n=10)、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)投与群(n=10)、皮膚炎非惹起群(n=7)及び、OLS3059投与群との比較対照に、Lactobacillus rhamnosus ATCC 53103(以下、ATCC 53103とも称す。)投与群(n=10)に群分けし、飼料(商品名:CRF-1、オリエンタル酵母工業(株)製)及び蒸留水を自由摂取させた。ここで、ATCC 53103はアトピー性皮膚炎に効果があることが知られている乳酸菌である。
皮膚炎非惹起群を除いた3群は試験期間中、蒸留水あるいは各種乳酸菌をゾンデにより経口投与した。そして、後記する方法に従い、皮膚炎の惹起を試験開始の7日後(day 0)から連日で行った。すなわち、蒸留水投与群は試験期間(1日目(day -7)〜21日後(day 14))に亘り、連日で蒸留水を胃内に経口投与(1 mg/日/マウス)し、各種乳酸菌の投与群も同様にして、連日で乳酸菌の水懸濁液を胃内に経口投与(1 mg/日/マウス)した。各種乳酸菌の懸濁液は、加熱処理(温度 75℃、60分間)した菌体の凍結乾燥物を蒸留水に懸濁して作成した。各種乳酸菌の懸濁液について菌体濃度は、ATCC 53103が7.13×108(10の8乗)cfu/g、OLS3059が8.56×107(10の7乗)cfu/gであった。
試験開始の7日後(day 0)より皮膚炎を惹起し、発症推移をスコア化した。また、皮膚炎惹起開始の15日後(day 15)に血清を採取し、IgE濃度をELISA法により測定した。IgE濃度はPharmingen社製の抗体を用いてPharmingen社が推奨するプロトコールの一部を改変して測定した。
ダニ破砕物液の調製は以下の方法で行った。すなわち、ヤケヒョウヒダニの全虫体(Mite-Dp、エル・エス・エル社製)を無水エーテルで脱脂した後に、蒸留水を添加して超音波破砕処理した。ついで、水溶性画分を遠心分離処理し、凍結乾燥した後に、タンパク質濃度で4.5 mg/ml(BSA 換算、BioRAD 社のDC protein assay で測定した。)に蒸留水で調製した。
皮膚炎惹起試験は海野らの方法(海野哲史 他、アレルギー 50:1152-1162、2001)を改変して行った。皮膚炎惹起部位(頭部、耳介部及び頸部)の毛をバリカンで刈った後に、SDS水溶液(4%)を全マウスの皮膚炎惹起部位に、刷毛で20 回、塗布した。塗布量は20回で約60μlに相当する。SDS 水溶液が乾燥した後に、皮膚炎惹起群には、ダニ破砕物液を、皮膚炎非惹起群には、蒸留水を同様にして各々20回、塗布した。前記した操作を1日に1セットで毎日繰り返すことにより、皮膚炎を惹起させ、試験開始の7日後(day 0)から試験終了日まで連日で繰り返した。
IgEの測定は以下の方法で行った。すなわち、96 ウェルプレートに1次抗体用の抗IgE抗体(Pharmingen社製)を2μg/ml で添加し、温度 37℃で1時間、静置した。Tween 20/PBS(PBS−Tween、0.05%)で洗浄した後に、BSA/PBS(1%) を添加し、室温で30分間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、血清試料及び標準曲線作成用のIgE(Pharmingen社製)を添加し、室温で30分間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、2次抗体用のビオチン−抗IgE 抗体(Pharmingen社製)を0.5μg/mlで添加し、室温で1時間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、ストレプトアビジン−HRP(Pharmingen社製)を添加し、室温で30分間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、TMB+Substrate Chromogen(DAKO社製)を添加し、発色反応を開始した。発色反応の後に、硫酸(1N)を添加し、吸光度(450 nm)をマイクロプレートリーダーで測定し、血清中のIgE濃度を算出した。
皮膚炎発症スコアの推移を図1に示した。スコア化は、[1] 乾皮・痂皮形成、[2] 発赤・出血、[3] 組織脱落・擦り傷、[4] 浮腫、[5] 掻痒行動の5 項目について、「0.無症状」、「1.軽度」、「2.中程度」、「3.重度」の4段階で行い、各マウスにおける各スコアの合計を算出し、評価した。皮膚炎惹起開始の13日後(day 13)の発症スコアについて、OLS3059投与群は蒸留水投与群と比較して有意に低かった。一方、ATCC 53103投与群は蒸留水投与群と比較して大差がなかった。
総IgE濃度を図2に示した。皮膚炎惹起開始の15日後(day 15)の血清中の総IgEについて、OLS3059投与群は蒸留水投与群と比較してIgE濃度が有意に低かった。一方、ATCC 53103投与群は蒸留水投与群と比較してIgE濃度が幾らか低かったが、有意差は認められなかった。ATCC 53103はアトピー性皮膚炎に効果があることが知られている乳酸菌であるが、OLS3059は、そのATCC 53103よりもアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果が高かった。
(アトピー性皮膚炎抑制効果の in vivo 試験による検証)
マウス雌 NC/Ngaの4週齢(日本エスエルシー(株)製)を訓化飼育した後に3群に分けた。すなわち、蒸留水投与群(n=4)、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1、以下、OLL1073R-1とも称す。)投与群(n=6)、及びサーモフィルス菌OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059。ブルガリアヨーグルトLB81(明治乳業(株)製)より単離した。)投与群(n=5)に群分けし、飼料(商品名:CRF-1、オリエンタル酵母工業(株)製)及び蒸留水を自由摂取させた。皮膚炎の惹起期間を30日間とした他は、実施例1と同様の実験条件とした。
皮膚炎発症スコアの推移を図3に示した。皮膚炎惹起開始の13日後(day 13)の発症スコアについて、OLL1073R-1投与群とOLS3059投与群は蒸留水投与群と比較して有意に低かった。
総IgE濃度を図4に示した。血清中の総IgEについて、OLL1073R-1投与群とOLS3059投与群は蒸留水投与群と比較してIgE濃度が有意に低かった。本発明のOLS3059はアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果があることが認められた。また、OLL1073R-1についてもアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果があることが認められたが、IgE濃度は本発明のOLS3059の方が低かった。
(アトピー性皮膚炎抑制効果の in vivo 試験による検証)
アトピー性皮膚炎の発症に対して本発明のOLS3059と遜色のない抑制効果を発揮することが実施例2で確認されたOLL1073R-1と、本発明のOLS3059とを組み合わせて使用した場合におけるアトピー性皮膚炎の発症に対する抑制効果を検討した。
本発明のOLS3059とOLL1073R-1との組み合わせと比較する対象として、両方ともブルガリアヨーグルト(明治乳業(株)製)から単離されるLactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus MEP1705601とStreptococcus thermophilus MEP1705601との組み合わせを採用した。
マウス雌 NC/Ngaの4週齢(日本エスエルシー(株)製)を訓化飼育した後に4群に分けた。
すなわち、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1とStreptococcus thermophilus OLS3059で調製した発酵物の投与群(以下、OLL1073R-1 + OLS3059投与群とも称す。)(n=8)、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus MEP1705601とStreptococcus thermophilus MEP1705601で調製した発酵物の投与群(以下、LB MEP1705601 + ST MEP1705601投与群とも称す。)(n=9)、未発酵物の投与群(n=9)及び皮膚炎非惹起かつ未発酵物の投与群(以下、非惹起群とも称す。)(n=4)に群分けした。発酵物、未発酵物の摂取量は、いずれも100 mg/mouse/dayとし、試験終了日まで連日で経口投与した。
発酵物の菌数は、OLL1073R-1で1×109 cfu/g、OLS3059で3×109 cfu/g、LB MEP1705601で8.6×108 cfu/g、ST MEP1705601で2.1×109 cfu/gである。
発酵物と未発酵物は凍結乾燥した後に、投与する時に蒸留水で懸濁して調製した。皮膚炎の惹起期間を29日間とした他は、実施例1と同様の実験条件とした。
皮膚炎発症スコアの推移を図5に示した。皮膚炎惹起開始の14日後(day 14)の発症スコアについて、OLL1073R-1 + OLS3059投与群は、LB MEP1705601 + ST MEP1705601投与群や未発酵物の投与群と比較して低かった。
また、皮膚炎惹起開始の14日後(day 14)以降では、OLL1073R-1 + OLS3059投与群はLB MEP1705601 + ST MEP1705601投与群や未発酵物の投与群と比較して有意に低かった。
アトピー性皮膚炎の発症に対して本発明のOLS3059と遜色のない抑制効果を発揮することが実施例2で確認されたOLL1073R-1と、本発明のOLS3059とを組み合わせて使用するとアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果があることが認められた。
(発酵乳の製造例1)
生乳 50.0 kg、脱脂粉乳 5.0 kg、砂糖 8.0 kg、コラーゲンペプチド(商品名:ニッピペプタイド、ニッピコラーゲン化粧品社製) 1.0 kg、セラミド含有こんにゃく芋エキス 0.1 kg(商品名:こんにゃくセラミド、ユニチカ(株)製)、香料 0.1 kg、水 33.8 kgを温度 65℃で混合溶解し、調合乳を作成した。この調合乳を温度 65℃で均質化処理(圧力 100 kg/cm2)した後に、温度 95℃で2分間、殺菌処理し、直ちに温度 43〜45℃に冷却した。この殺菌した調合乳に、乳酸菌スターター 2.0 kgを添加し、容器に充填した後に、温度 43℃で4時間、発酵させ、発酵乳(セットタイプのヨーグルト)を得た。ここで、乳酸菌スターターには、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus 2038、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業(株)製)より単離した。)と、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の等量培養液を用いた。
(発酵乳飲料の製造例1)
生乳 23.0 kg、脱脂粉乳 12.1 kg、水 62.9 kgを温度 70℃で混合溶解し、調合乳を作成した。この調合乳を温度 65℃で均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 95℃で10分間、殺菌処理し、直ちに温度 40〜45℃に冷却した。この殺菌した調合乳に、乳酸菌スターター 2.0 kgを添加し、温度 40〜45℃で5時間、発酵させ、発酵乳を得た。
ここで、乳酸菌スターターには、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus 2038、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業(株)製)より単離した。)と、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の等量培養液を用いた。
この発酵乳のカードを機械的に破壊するため、均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 5℃に冷却し、調合発酵乳を得た。一方、ペクチン 3.0 kg、砂糖 2.0 kg、甘味料 0.02 kg、香料 0.1 kg、水 34.0 kgを温度 65℃で混合溶解し、温度 130℃で2秒間、殺菌処理した後に、直ちに温度 5℃に冷却し、糖液を作成した。
調合発酵乳と糖液を所定の濃度で混合して、発酵乳飲料(ドリンクタイプのヨーグルト)を得た。
(発酵乳飲料の製造例2)
生乳 23.0 kg、脱脂粉乳 12.1 kg、水 62.9 kgを温度 70℃で混合溶解し、調合乳を作成した。この調合乳を温度 65℃で均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 95℃で10分間、殺菌処理し、直ちに温度 40〜45℃に冷却した。この殺菌した調合乳に、乳酸菌スターター 2.0 kgを添加し、温度 40〜45℃で5時間、発酵させ、発酵乳を得た。
ここで、乳酸菌スターターには、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus 2038、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業(株)製)より単離した。)と、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の等量培養液を用いた。
この発酵乳のカードを機械的に破壊するため、均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 5℃に冷却し、調合発酵乳を得た。一方、ペクチン 3.0 kg、砂糖 2.0 kg、甘味料 0.02 kg、コラーゲンペプチド(商品名:コラーゲンペプチド5200、新田ゼラチン社製) 1.0 kg、セラミド含有コーンエキス(商品名:コーンセラミドME1-R、辻製油(株)製) 0.03 kg、香料 0.1 kg、水 34.0 kgを温度 65℃で混合溶解し、温度 130℃で2秒間、殺菌処理した後に、直ちに温度 5℃に冷却し、糖液を作成した。
調合発酵乳と糖液を所定の濃度で混合して、発酵乳飲料(ドリンクタイプのヨーグルト)を得た。
(乳飲料の製造例)
生乳 1000 mLに、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の凍結乾燥粉末 1 gを添加し、調合乳を作成した。この調合乳を均質化処理した後に、温度 130℃で3秒間、殺菌処理し、直ちに温度 10℃以下に冷却した。この殺菌した調合乳を容器に充填し、乳飲料を得た。
(皮膚(肌)改善効果のヒト試験による検証)
前記した実施例4の発酵乳(Streptococcus thermophilus OLS3059、菌体濃度 85×107(10の7乗)cfu/g、コラーゲンペプチド1000 mg/90 g、セラミド300 μg/90 g)を試験食とし、摂取量 90 g/回、摂取頻度 2回/日(朝と夜の1回ずつ)として28日間でヒト試験を行った。女性31名(平均年齢31.8歳)を被験者とした。
開始日(試験食摂取前)と終了日(28日目)に、被験者の皮膚(肌)の弾力性とキメ密度の評価・観察を行い、加えて医師による皮疹の観察を行った。なお、肌の弾力性は頬の左右から一方を選択し、1箇所を2回、測定した(商品名:CUTOMETER SEM575、Courage+Khazaka製)。肌のキメ密度は肌荒れ部位を選択し、1箇所を測定した(商品名:Visual Imager VI-20 株式会社インフォワード製)。総皮疹数は皮疹を数えて評価した。
開始日(試験食摂取前)と終了日(28日目)に、被験者本人へのアンケート調査を実施した。アンケートの内容を表1に示した。表1に示した通り、[1] つや、[2] はり、[3] くすみ、[4] しみ、[5] たるみ、[6] 毛穴、[7] キメ、[8] しわ(額)、[9] しわ(口元)、[10] しわ(目元)、[11] 乾燥具合、[12] べたつき、[13] 透明感、[14] 赤み、[15] ファンデーションのノリ、[16] むくみ、[17] 便秘、[18] くまの18項目について、5段階で評価した。そして、終了日に、被験者本人と医師が試験食の有用性を評価した。
実施例5の試験食を摂取した際の皮膚(肌)の弾力性を評価した結果を図6に示した。実施例5の試験食を摂取することにより、肌の弾力性は有意に増加し、肌のはりが改善された。実施例5の試験食を摂取した際の肌のキメ密度を評価した結果を図7に示した。実施例5の試験食を摂取することにより、肌のキメ密度は有意に増加し、肌のキメが改善された。実施例5の試験食を摂取した際の総皮疹数を評価した結果を図8に示した。実施例5の試験食を摂取することにより、総皮疹数は有意に減少し、肌荒れが改善された。
被験者本人へのアンケート調査の結果を表2に示した。試験食を摂取することにより、被験者の肌状態、便秘が改善されることが確認された。被験者本人と医師が試験食の有用性を評価した結果を図9に示した。試験食を摂取することが肌に有用であることが被験者本人あるいは医師により認められた。サーモフィルス菌OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)ののすぐれた皮膚改善効果及び/又は治療効果が実証され、サーモフィルス菌OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)が、皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させる用途に適していることが確認された。
(整腸改善効果と皮膚改善効果との関係のヒト試験による検証)
前記した実施例5の発酵乳(Streptococcus thermophilus OLS3059、菌体濃度 50×107(10の7乗)cfu/g)及び実施例6の発酵乳(Streptococcus thermophilus OLS3059、菌体濃度 50×107(10の7乗)cfu/g、コラーゲンペプチド1000 mg/120 ml、セラミド300 μg/120 ml)を試験食とし、摂取量 120 ml/回、摂取頻度 2回/日(朝と夜の1回ずつ)として28日間でヒト試験を行った。実施例5の発酵乳飲料では、女性28名(平均年齢31.1歳)を、実施例6の発酵乳飲料では、女性28名(平均年齢30.3歳)を被験者とした。
実施例8と同様にして、被験者本人へのアンケート調査を実施した。アンケートの内容は表1に示した通りである。被験者本人へのアンケート調査の結果を表3及び表4に示した。試験食を摂取することにより、被験者の肌状態、便秘が改善されることが確認された。表1の[1] つや、[2] はり、[7] キメ、[11] 乾燥具合、[15] ファンデーションのノリ、[17] 便秘の6項目について、実施例6の試験食(コラーゲンペプチドとセラミドを含む。)で、実施例5の試験食よりも特に優れた効果があった。
整腸(便通)スコアの推移を表4に示した。スコア化は、「1.便秘ではない」、「2.あまり便秘ではない」、「3.どいらともいえない」、「4.やや便秘である」、「5.便秘である」の5段階で行い、各被験者における試験食の摂取前と摂取後の差を算出し、評価した。例えば、試験食の摂取前に「5.便秘である」であった被験者が、摂取後に「3.どいらともいえない」となった場合には、「整腸が「2以上」改善された」と解析した。
実施例5及び6の試験食を摂取した際の皮膚(肌)の弾力性を評価した結果を図10〜12に示した。図10は「整腸が「1以上」改善された」被験者、図11は「整腸が「2以上」改善された」被験者、図12は「整腸が「3以上」改善された」被験者の肌の弾力性を評価した結果である。整腸(便通)改善効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果が高いことが実証された。この傾向は、実施例6の試験食(コラーゲンペプチドとセラミドを含む。)で、実施例5の試験食よりも特に優れた効果があった。実施例5及び6の試験食を摂取することにより、肌の弾力性は増加し、肌のはりが改善された。
実施例5及び6の試験食を摂取した際の肌のキメ密度を評価した結果を図13〜15に示した。図13は「整腸が「1以上」改善された」被験者、図14は「整腸が「2以上」改善された」被験者、図15は「整腸が「3以上」改善された」被験者の肌のキメ密度を評価した結果である。整腸(便通)改善効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果が高いことが実証された。この傾向は、実施例4の試験食(コラーゲンペプチドとセラミドを含む。)で、実施例5の試験食よりも特に優れた効果があった。実施例5及び6の試験食を摂取することにより、肌のキメ密度は増加し、肌のキメが改善された。
本発明によれば、天然物由来で安全性が高く、さらに皮膚(肌)改善効果及び/又は治療効果が高く、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳を提供することができる。さらに、整腸改善効果及び/又は治療効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いことを特徴とする発酵乳を提供することができる。
本発明は、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い組成物と、これを用いた飲食物及び発酵乳に関し、特に、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳に関する。
皮膚の改善や治療等を目的とした組成物や飲食品に、乳酸菌やその培養物を含有したものがある。これら組成物や飲食品に関する先行技術として、特定の乳酸菌を用いたアトピー性皮膚炎の抑制剤及び食品(特許文献1)、特定の乳酸菌の培養物を用いた皮膚改善効果を有する保湿剤、及び肌荒れや乾燥肌の予防・治療に有効であり、肌(皮膚)に「つや」や「はり」を与える化粧料組成物(特許文献2)、特定の乳酸菌やその培養物を皮膚(肌)の免疫系のバランスを保つために使用すること及び乳酸菌やその培養物を含有した食品等(特許文献3)、コラーゲンペプチドやセラミドと乳酸菌を組み合わせて用いることにより、肌(皮膚)の改善に加え、便通改善、疲労回復、肩こりの軽減等も併せて期待できる美容食品(特許文献4)等がある。
前記した通り、乳酸菌やその培養物に、皮膚改善効果や治療効果があることを見いだし、それを産業上で応用することが従来から期待されていることは事実である。幾つかの具体的な研究が行われており、実際に製品化されたものも存在すると考えられる。
しかしながら、従来までの研究では、乳酸菌と皮膚(肌)との関係、あるいは乳酸菌にコラーゲンペプチドやセラミド等を添加した組成物と皮膚(肌)との関係について検討が不十分であった。そのため、乳酸菌や発酵乳による皮膚改善効果等について科学的な根拠が乏しい状態であった。
また、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌では、発酵乳を製造する際に、カードを形成しなかったり、カードを形成するまでの時間が大幅に長くなったりしていた。この場合には、皮膚改善効果等を持つが、発酵乳の製造特性が悪い乳酸菌と、カードを形成するための製造特性が良い乳酸菌とを別に管理したり、発酵時間が長くなることで、製造時間の全体が長くなったりしていた。このとき、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌は生菌ではなく、死菌であったり、耐熱性の高い、限られた菌体であったりした。つまり、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌は、発酵乳の工業的な大量生産(商業的な生産)等には適していなかった。
例えば、皮膚改善効果等を持つと言われている従来までの乳酸菌を用いて発酵乳を製造しようとすると、概略で次の様な製造工程を必要とする。すなわち、(1)皮膚改善効果等を持つ乳酸菌を単独で培養する。(2)状況に応じて遠心分離法や膜分離法により、その乳酸菌(培養菌体)を所定の濃度まで濃縮する、又は、乳酸菌の保存性を高めるために、培養液を加熱殺菌したり、乾燥したりする。(3)カードを形成する別の乳酸菌と、その濃縮された培養菌体、又は加熱殺菌や乾燥されたものとを発酵前の調合乳へ添加し、混合培養する。
これらの製造工程は管理が複雑であり、製造費用も製造時間も増大し、雑菌が混入する可能性も高い。また、嗜好性に優れた風味の良い発酵乳を得ることも難しい。
特開2000−095697号公報
特開2003−081808号公報
特表2004−510740号公報
特開2004−254632号公報
本発明は、上記従来技術の課題点を鑑みてなされたもので、天然物由来で安全性が高く、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い組成物、皮膚改善及び/又は治療の用途に適した組成物と、当該組成物を用いた、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い飲食品及び発酵乳、特に、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、発酵乳の調製に用いる乳酸菌から皮膚改善効果や治療効果が高いものを選抜する目的で、in vitro 試験を行うことにより、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)に特別、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願の請求項1に係る発明は、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物を有効成分として含有してなる皮膚改善剤である。
また、請求項2に係る発明は、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物を有効成分として含有してなる皮膚改善剤である。
請求項3に係る発明は、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS 3059)及び/又はその培養物、並びにブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbruec kii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物を有効成分として含有し てなる皮膚改善剤である。
請求項4に係る発明は、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS 3059)の配合量が、1日の摂取量に対し、10の9乗cfu以上である、請求項1又は請 求項3記載の皮膚改善剤である。
請求項5に係る発明は、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS 3059)の配合濃度が、85×10 7 cfu/g以上であり、かつ、1食当たりの単位包装 形態からなり、該単位中に、コラーゲンペプチドを1000mg以上、及びセラミドを3 00μg以上含有する、請求項1又は請求項3記載の皮膚改善剤である。
請求項6に係る発明は、食品に配合することを目的とした、請求項1から5のいずれか 一項に記載の皮膚改善剤である。
請求項7に係る発明は、食品に配合して発酵させることを目的とした、請求項1から5 のいずれか一項に記載の皮膚改善剤である。
請求項8に係る発明は、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS 3059)及び/又はその培養物を有効成分として含有してなる組成物を摂取させ、皮膚の乾 皮・痂皮形成、発赤・出血、組織脱落・擦り傷、浮腫、掻痒のうち、いずれか1項目以上 を改善する方法(ただし、ヒトに対する医療行為を除く)である。
請求項9に係る発明は、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspe cies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物を有効成分として含有してなる組成 物を摂取させ、皮膚の乾皮・痂皮形成、発赤・出血、組織脱落・擦り傷、浮腫、掻痒のう ち、いずれか1項目以上を改善する方法(ただし、ヒトに対する医療行為を除く)である。
請求項10に係る発明は、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus O LS3059)及び/又はその培養物、並びにブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbru eckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物を有効成分として含有 してなる組成物を摂取させ、皮膚の乾皮・痂皮形成、発赤・出血、組織脱落・擦り傷、浮 腫、掻痒のうち、いずれか1項目以上を改善する方法(ただし、ヒトに対する医療行為を 除く)である。
請求項11に係る発明は、組成物中のサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus ther mophilus OLS3059)の配合量が、1日の摂取量に対し、10の9乗cfu以上である、請 求項8から10のいずれか一項に記載の方法である。
請求項12に係る発明は、組成物中のサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus ther mophilus OLS3059)の配合濃度が、85×10 7 cfu/g以上であり、かつ、該組成物 が、1食当たりの単位包装形態からなり、該単位中に、コラーゲンペプチドを1000m g以上、及びセラミドを300μg以上含有する組成物である、請求項8から10のいず れか一項に記載の方法である。
なお、本発明において「皮膚改善効果及び/又は治療効果」とは、皮膚や肌のつや、はり、くすみ、しみ、たるみ、毛穴の目立ち、キメ、しわ、乾燥具合、べたつき、透明感、赤み、ファンデーションのノリ、むくみ、くまの目立ち、皮疹、保湿、色素沈着のうち、少なくとも1つ以上の状態について改善の効果があるものをいい、「皮膚改善及び/又は治療」とは、皮膚や肌のつや、はり、くすみ、しみ、たるみ、毛穴の目立ち、キメ、しわ、乾燥具合、べたつき、透明感、赤み、ファンデーションのノリ、むくみ、くまの目立ち、皮疹、保湿、色素沈着のうち、少なくとも1つ以上の状態について改善することをいう。また、「皮膚改善及び/治療」には、アトピー性皮膚炎を始め、各種アレルギー性皮膚炎による肌症状の改善や発症抑制も含む。また「皮膚改善用及び/又は治療用」とは、前記の皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させることを目的として用いられることをいい、特に、前記の皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させる用途に適していることをいう。
本発明において「ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)」は、発酵乳の調製において、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)と組み合わせて、スターターに用いることで、カードを形成する能力を持つ乳酸菌を全て含むものであり、例えば、明治乳業株式会社製のプレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、ソフトヨーグルトから単離して得られる乳酸菌がある。
本発明においてサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受領番号:FERM P-15487(識別のための表示: Streptococcus thermophilus OLS3059、寄託日(受領日):平成
8年 2月 29日)で寄託されているものである。
また、本発明においてブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受領番号:FERM P-17227(識別のための表示: Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1、寄託日(受領日):平成 11年 2月 19日)で寄託されているものである。
本発明は皮膚改善及び/又は治療に用いられるサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)の用途を提供することができる。
本発明によれば、天然物由来で安全性が高く、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い組成物、皮膚改善及び/又は治療の用途に適した組成物と、当該組成物を用いた、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い飲食品及び発酵乳、特に、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳を提供することができる。
本発明によれば、整腸(便通)改善効果及び/又は治療効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い発酵乳とその製造方法を提供することができる。
蒸留水投与群、Lactobacillus rhamnosus ATCC 53103 投与群、Streptococcus thermophilus OLS3059 投与群及び皮膚炎非惹起群における試験期間中の皮膚炎発症スコアの推移(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、*P < 0.05、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
蒸留水投与群、Lactobacillus rhamnosus ATCC 53103 投与群、Streptococcus thermophilus OLS3059 投与群及び皮膚炎非惹起群における15日後(day 15)の血清中の総IgE 濃度(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
蒸留水投与群、Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1 投与群及びStreptococcus thermophilus OLS3059 投与群における試験期間中の皮膚炎発症スコアの推移(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、*P < 0.05、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
蒸留水投与群、Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1 投与群及びStreptococcus thermophilus OLS3059 投与群における15日後(day 15)の血清中の総IgE 濃度(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
Lactobacillus bulgaricus OLL1073R-1とStreptococcus thermophilus OLS3059で調製した発酵物の投与群、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus MEP1705601とStreptococcus thermophilus MEP1705601で調製した発酵物の投与群、未発酵物の投与群及び皮膚炎非惹起かつ未発酵物の投与群における試験期間中の皮膚炎発症スコアの推移(平均±標準偏差で表記した。**P < 0.01、*P < 0.05、Dunnett の多重比較)を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者の総皮疹数の観察結果を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、被験者及び医師による有用性の評価結果を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「1以上」改善された」被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「2以上」改善された」被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「3以上」改善された」被験者の皮膚(肌)の弾力性を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「1以上」改善された」被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「2以上」改善された」被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)で調製した発酵乳を試験食とした、「整腸が「3以上」改善された」被験者の皮膚(肌)のキメ密度を示したグラフである。
本願発明は、皮膚改善及び/又は治療に用いられるサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)の用途を提案するものである。すなわち、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、発酵乳の調製に用いる乳酸菌から皮膚改善効果や治療効果が高いものを選抜する目的で、in vitro 試験を行うことにより、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)に特別、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いとの知見を得て、本発明を完成したものである。
次に、本発明の組成物は、皮膚改善用及び/又は治療用の組成物であって、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物を含有するものである。この本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の組成物は、天然物由来であるので安全性が高く、更に、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適したものである。
本発明者らが、発酵乳の調製に用いる、カードを形成する能を持った、製造特性の良い乳酸菌から皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いものを選抜するため、in vitro 試験を行ったところ、前述したように、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)に特別、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いとの知見を得た。
前記本発明のサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物を含有してなる皮膚改善用及び/又は治療用の組成物は、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物を更に含有しているものとすることができる。
発明者等の実験によれば、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)及び/又はその培養物と、菌体外に粘性多糖類を生産するブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)とを組み合わせた場合にも、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適したものであることが認められた。
なお、サーモフィルス菌 OLS3059は、例えば、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)に使用されている。
前記のサーモフィルス菌 OLS3059及び/又はその培養物、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)及び/又はその培養物とは、いずれも、乳酸菌を単離・精製した菌体の他に、菌体を含む培養物、菌体の抽出物、培養物の上清、これらの濃縮液、濃縮物、乾燥物、さらに必要に応じて希釈液、希釈物等であり、培養液、培養物を処理して得られる全ての状態のものが含まれる。
前記のサーモフィルス菌 OLS3059は、生菌及び死菌の何れでも、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、皮膚改善及び/又は治療に用いることができる。また、ブルガリア菌OLL1073R-1も、生菌及び死菌の何れでも用いることができる。さらに、サーモフィルス菌
OLS3059も、ブルガリア菌OLL1073R-1も、菌体の培養法、抽出法、分離法、濃縮法、乾燥法、希釈法等は特に限定されない。菌体を培養するための培地には通常、脱脂乳、ホエー、カゼイン等の牛乳蛋白質、糖類、酵母エキス等を含んでおり、培養方法には一般的な各種好気的あるいは嫌気的な方法を適宜、用いることができる。培養温度には例えば、35〜45℃を設定し、培養中には水酸化ナトリウム等のアルカリを用いて、培地のpHを中性から酸性、例えばpHが5〜6程度となるように維持する中和培養法を用いることもできる。このような中和培養法の他に、回分培養法等の任意の培養方法を用いることができ、培養した後には、必要に応じて培養物やその上清を、濃縮、乾燥、希釈等することもできる。さらに、遠心分離法や膜分離法を用いて、培養物の上清と菌体を分離し、菌体を濃縮した状態で、回収することもできる。そして、菌体に超音波処理や酵素処理等を行い、菌体内の成分を抽出したり、培養物やその上清、菌体やその抽出物等を乾燥することもできる。これらは本発明の前記組成物の有効成分として用いることができる。
本発明の組成物は、任意の成分を添加し、常法に従い、皮膚外用剤として用いることができる。例えば、通常の化粧料、医薬品部外、医薬品等に用いられる各種成分、油剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、顔料、pH調整剤、抗酸化剤、香料等を適宜、配合し、クリーム、乳液、化粧料、ファンデーション、ローション、シャンプー等、その目的に応じて任意に用いることができる。
本発明の飲食品は、前述した本発明の組成物を含有するものである。かかる本発明の飲食品は、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適したものである。
前述した本発明の組成物は、食用として実績のある乳酸菌を有効成分としているため、安全性については全く問題がなく、飲食品、医薬品として、経口的及び/又は非経口的に投与できる。
この場合に、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)の菌体を単独でも用いることができるし、あるいは通常の食餌成分に混合して用いることもできる。また、サーモフィルス菌 OLS3059とブルガリア菌OLL1073R-1の菌体とをそれぞれ単独でも用いることができるし、あるいはこれらを組み合わせたものを通常の食餌成分に混合して用いることもできる。更に、サーモフィルス菌 OLS3059、あるいはサーモフィルス菌 OLS3059とブルガリア菌OLL1073R-1とを組み合わせたものを経口投与剤及び/又は非経口投与剤の製造において用いられている、通常の各種補助剤等と混合して製剤化することもできる。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)、あるいはサーモフィルス菌 OLS3059とブルガリア菌OLL1073R-1とを組み合わせたものを通常の食餌成分や、経口投与剤及び/又は非経口投与剤の製造において用いられている通常の各種補助剤等に混合して用いる場合、サーモフィルス菌 OLS3059の添加量(配合量)は、本発明の飲食品を摂取する者の年齢、体重、投与方法等を考慮して適宜、定めることができるが、109(10の9乗) cfu/日以上、好ましくは1010(10の10乗) cfu/日以上である。
本発明の飲食品としては、前述した本発明の組成物を含有する飲料(ドリンク)、錠剤(タブレット)等の他に、ビスケット、パン、スポンジケーキ、発酵乳、ヨーグルト、チーズ、バター、マーガリン、クリーム、ゼリー等がある。本発明の飲食品の使用形態、使用方法としては、前述した飲食品に、直接、本発明の組成物を添加する形態、方法がある。また、これにより得られた本発明の飲食品であるヨーグルト、チーズ、バター等を、さらに飲食品に添加する形態、方法もある。
そして、本発明の飲食品は、皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させることを目的として、通常の飲食品の他に、特定保健用食品、栄養機能食品、健康食品等に用いることができる。
さらに、本発明の飲食品は、皮膚改善効果及び/又は治療効果を有するため、皮膚改善及び/又は治療のために用いられる旨の表示を付した飲食品とすることもできる。なお、表示方法としては、飲食品のパッケージへの表示の他に、パンフレットへの掲載や宣伝等も含まれる。
本発明の組成物及び飲食品を医薬品として用いる場合には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等の使用形態、使用方法を採用することができる。この場合、主剤の賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤、矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等に、通常の補助剤を用いて常法に従い、製剤化することができる。
本発明の発酵乳は、皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳であって、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)を用いて調製したものである。
かかる本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、発酵乳の調製に用いる、カードを形成する能を持った、製造特性の良い乳酸菌の中から選抜された皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)を用いて調整されているので、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い。すなわち、前記本発明の発酵乳は、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高く、これらの用途に適している。
更に、前記のようなサーモフィルス菌 OLS3059を、ブルガリア菌と組み合わせて、乳酸菌を調整する、例えば、これらを組み合わせてスターターとして用いることで、比較的、短時間でカードを形成することができる。
前記本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳において、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)には、例えば、明治乳業株式会社製のプレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、ソフトヨーグルトから単離して得られる乳酸菌を用いることができる。これらブルガリア菌とサーモフィルス菌との組合せにより調製される本発明の発酵乳は、嗜好性に優れ、風味が良く、舌触りが滑らかであり、製品の輸送時にカードが崩れにくく、カードが丈夫であるといった特徴がある。
前述したブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)を用いて調製した本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、コラーゲンペプチド及び/又はセラミドを含有するものとすることができる。
実施例に後記する通り、コラーゲンペプチドやセラミドを含有する本発明の前述した発酵乳と、含有していない本発明の前述した発酵乳を比較したところ、コラーゲンペプチドやセラミドを含有する発酵乳において、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い傾向が得られた。すなわち、前述したようにブルガリア菌及びサーモフィルス菌 OLS3059を用いて調製しただけの本発明の発酵乳に比較し、コラーゲンペプチド及び/又はセラミドを混合して使用することで、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高くなった。これは、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高い乳酸菌(サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))とコラーゲンペプチド及び/又はセラミドとを混合したことによる相乗効果と考えられる。
このような皮膚改善効果及び/又は治療効果の相乗効果という観点から、本発明の発酵乳には、コラーゲンペプチド及び/又はセラミドの他に、スフィンゴミエリン、イソフラボン、コンドロイチン、ヒアルロン酸等、飲食品、医薬品に用いる各種新陳代謝の改善効果を持つ有用成分を添加することも好ましい。
以上の本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳について、皮膚改善効果及び/又は治療効果に影響する因子を見いだすため、ヒト試験により、さらに詳細な検討を進めたところ、以上の本発明の発酵乳は、発酵乳の代表的な作用とされる整腸改善効果の高かったヒトに対して皮膚改善効果及び/又は治療効果も高いとの知見を得た。
具体的には、コラーゲンペプチドやセラミドを含有する本発明の前述した皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳と、含有していない本発明の前述した皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳とを用いて、整腸改善効果の程度と、皮膚改善効果の程度を比較することにより、前記した通りの知見を得た。
すなわち、本発明の前述した皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、整腸(便通)改善効果及び/又は治療効果の高かったヒトに対して、前記皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いことを特徴としている。
以上の本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳を製造する本発明の発酵乳製造方法は、原料乳を調製した後、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、容器へ充填し、発酵させて、カードを形成させた後に冷蔵する、あるいは、原料乳を調製した後、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies
bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、発酵させて、カードを形成させた後に、カードを破砕し、容器へ充填し、冷蔵する、原料乳を調製した後に、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加し、発酵させて、カードを形成させた後に、カードを破砕し、冷却し、容器へ充填し、冷蔵するものである。
ここで、ブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)及びサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)をスターターとして添加するまでに行う原料乳の調製は、従来一般の発酵乳製造工程と同じく、原料乳を調製し、均質化や殺菌・冷却などの処理を行って原料乳を調製するものである。
このように、前述した本発明の発酵乳を製造する本発明の製造方法においては、発酵乳の調製に用いる、カードを形成する能を持った、製造特性の良い乳酸菌の中から選抜された皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いサーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)と、ブルガリア菌とを組み合わせて、スターターとしている。
そのため、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌での問題点(課題点)が解決されている。従来は、皮膚改善効果等を持つが、発酵乳の製造特性が悪い乳酸菌と、カードを形成するための製造特性が良い乳酸菌とを別に管理したり、発酵時間が長くなることで、製造時間の全体が長くなったりといった問題が起こっていた。つまり、皮膚改善効果等を持つ従来までの乳酸菌は、発酵乳の工業的な大量生産(商業的な生産)等には適していなかった。
しかし、本発明の発酵乳の製造方法は、前記した問題点を解決しているため、商業的な生産に適用できる。工程数が複雑でないことが商業的な生産には重要である。
前述した本発明の発酵乳の製造方法で、原料乳を調製する工程における均質化は、殺菌前と殺菌後のいずれか、あるいは双方において行うことができる。
また、前述したように、発酵させてからの冷却は、カードを形成させた後、カードを破砕した後、容器へ充填した後の何れでも良い。
さらに、カードを破砕した後に、果肉、野菜、各種ソース、及び/又は各種添加剤を添加・混合することもできる。
本発明の発酵乳の製造方法において発酵時間は、通常の発酵乳の製造に用いることができる程度である、8時間以内、好ましくは6あるいは5時間以内、より好ましくは4時間以内である。
また、本発明の皮膚改善用及び/又は治療用の発酵乳は、風味が極めて優れているため、常用することができ、無理なく継続的に摂取ができる。これにより、皮膚改善効果や治療効果を、より高めることができる。
以下、本発明に関して好ましい実施例を挙げて説明するが、本発明は、これにより限定されるものではない。
(アトピー性皮膚炎抑制効果の in vivo 試験による検証)
マウス雌 NC/Ngaの4週齢(日本エスエルシー(株)製)を訓化飼育した後に、4群に分けた。すなわち、蒸留水投与群(n=10)、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)投与群(n=10)、皮膚炎非惹起群(n=7)及び、OLS3059投与群との比較対照に、Lactobacillus rhamnosus ATCC 53103(以下、ATCC 53103とも称す。)投与群(n=10)に群分けし、飼料(商品名:CRF-1、オリエンタル酵母工業(株)製)及び蒸留水を自由摂取させた。ここで、ATCC 53103はアトピー性皮膚炎に効果があることが知られている乳酸菌である。
皮膚炎非惹起群を除いた3群は試験期間中、蒸留水あるいは各種乳酸菌をゾンデにより経口投与した。そして、後記する方法に従い、皮膚炎の惹起を試験開始の7日後(day 0)から連日で行った。すなわち、蒸留水投与群は試験期間(1日目(day -7)〜21日後(day
14))に亘り、連日で蒸留水を胃内に経口投与(1 mg/日/マウス)し、各種乳酸菌の投与群も同様にして、連日で乳酸菌の水懸濁液を胃内に経口投与(1 mg/日/マウス)した。各種乳酸菌の懸濁液は、加熱処理(温度 75℃、60分間)した菌体の凍結乾燥物を蒸留水に懸濁して作成した。各種乳酸菌の懸濁液について菌体濃度は、ATCC 53103が7.13×108(10の8乗)cfu/g、OLS3059が8.56×107(10の7乗)cfu/gであった。
試験開始の7日後(day 0)より皮膚炎を惹起し、発症推移をスコア化した。また、皮膚炎惹起開始の15日後(day 15)に血清を採取し、IgE濃度をELISA法により測定した。IgE濃度はPharmingen社製の抗体を用いてPharmingen社が推奨するプロトコールの一部を改変して測定した。
ダニ破砕物液の調製は以下の方法で行った。すなわち、ヤケヒョウヒダニの全虫体(Mite-Dp、エル・エス・エル社製)を無水エーテルで脱脂した後に、蒸留水を添加して超音波破砕処理した。ついで、水溶性画分を遠心分離処理し、凍結乾燥した後に、タンパク質濃度で4.5 mg/ml(BSA 換算、BioRAD 社のDC protein assay で測定した。)に蒸留水で調製した。
皮膚炎惹起試験は海野らの方法(海野哲史 他、アレルギー 50:1152-1162、2001)を改変して行った。皮膚炎惹起部位(頭部、耳介部及び頸部)の毛をバリカンで刈った後に、SDS水溶液(4%)を全マウスの皮膚炎惹起部位に、刷毛で20 回、塗布した。塗布量は20回で約60μlに相当する。SDS 水溶液が乾燥した後に、皮膚炎惹起群には、ダニ破砕物液を、皮膚炎非惹起群には、蒸留水を同様にして各々20回、塗布した。前記した操作を1日に1セットで毎日繰り返すことにより、皮膚炎を惹起させ、試験開始の7日後(day 0)から試験終了日まで連日で繰り返した。
IgEの測定は以下の方法で行った。すなわち、96 ウェルプレートに1次抗体用の抗IgE抗体(Pharmingen社製)を2μg/ml で添加し、温度 37℃で1時間、静置した。Tween 20/PBS(PBS−Tween、0.05%)で洗浄した後に、BSA/PBS(1%) を添加し、室温で30分間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、血清試料及び標準曲線作成用のIgE(Pharmingen社製)を添加し、室温で30分間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、2次抗体用のビオチン−抗IgE 抗体(Pharmingen社製)を0.5μg/mlで添加し、室温で1時間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、ストレプトアビジン−HRP(Pharmingen社製)を添加し、室温で30分間、静置した。PBS−Tweenで洗浄した後に、TMB+Substrate Chromogen(DAKO社製)を添加し、発色反応を開始した。発色反応の後に、硫酸(1N)を添加し、吸光度(450 nm)をマイクロプレートリーダーで測定し、血清中のIgE濃度を算出した。
皮膚炎発症スコアの推移を図1に示した。スコア化は、[1] 乾皮・痂皮形成、[2] 発赤・出血、[3] 組織脱落・擦り傷、[4] 浮腫、[5] 掻痒行動の5 項目について、「0.無症状」、「1.軽度」、「2.中程度」、「3.重度」の4段階で行い、各マウスにおける各スコアの合計を算出し、評価した。皮膚炎惹起開始の13日後(day 13)の発症スコアについて、OLS3059投与群は蒸留水投与群と比較して有意に低かった。一方、ATCC 53103投与群は蒸留水投与群と比較して大差がなかった。
総IgE濃度を図2に示した。皮膚炎惹起開始の15日後(day 15)の血清中の総IgEについて、OLS3059投与群は蒸留水投与群と比較してIgE濃度が有意に低かった。一方、ATCC 53103投与群は蒸留水投与群と比較してIgE濃度が幾らか低かったが、有意差は認められなかった。ATCC 53103はアトピー性皮膚炎に効果があることが知られている乳酸菌であるが、OLS3059は、そのATCC 53103よりもアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果が高かった。
(アトピー性皮膚炎抑制効果の in vivo 試験による検証)
マウス雌 NC/Ngaの4週齢(日本エスエルシー(株)製)を訓化飼育した後に3群に分けた。すなわち、蒸留水投与群(n=4)、ブルガリア菌OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1、以下、OLL1073R-1とも称す。)投与群(n=6)、及びサーモフィルス菌OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059。ブルガリアヨーグルトLB81(明治乳業(株)製)より単離した。)投与群(n=5)に群分けし、飼料(商品名:CRF-1、オリエンタル酵母工業(株)製)及び蒸留水を自由摂取させた。皮膚炎の惹起期間を30日間とした他は、実施例1と同様の実験条件とした。
皮膚炎発症スコアの推移を図3に示した。皮膚炎惹起開始の13日後(day 13)の発症スコアについて、OLL1073R-1投与群とOLS3059投与群は蒸留水投与群と比較して有意に低かった。
総IgE濃度を図4に示した。血清中の総IgEについて、OLL1073R-1投与群とOLS3059投与群は蒸留水投与群と比較してIgE濃度が有意に低かった。本発明のOLS3059はアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果があることが認められた。また、OLL1073R-1についてもアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果があることが認められたが、IgE濃度は本発明のOLS3059の方が低かった。
(アトピー性皮膚炎抑制効果の in vivo 試験による検証)
アトピー性皮膚炎の発症に対して本発明のOLS3059と遜色のない抑制効果を発揮することが実施例2で確認されたOLL1073R-1と、本発明のOLS3059とを組み合わせて使用した場合におけるアトピー性皮膚炎の発症に対する抑制効果を検討した。
本発明のOLS3059とOLL1073R-1との組み合わせと比較する対象として、両方ともブルガリアヨーグルト(明治乳業(株)製)から単離されるLactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus MEP1705601とStreptococcus thermophilus MEP1705601との組み合わせを採用した。
マウス雌 NC/Ngaの4週齢(日本エスエルシー(株)製)を訓化飼育した後に4群に分けた。
すなわち、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1とStreptococcus thermophilus OLS3059で調製した発酵物の投与群(以下、OLL1073R-1 + OLS3059投与群とも称す。)(n=8)、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus MEP1705601とStreptococcus thermophilus MEP1705601で調製した発酵物の投与群(以下、LB MEP1705601 + ST MEP1705601投与群とも称す。)(n=9)、未発酵物の投与群(n=9)及び皮膚炎非惹起かつ未発酵物の投与群(以下、非惹起群とも称す。)(n=4)に群分けした。発酵物、未発酵物の摂取量は、いずれも100 mg/mouse/dayとし、試験終了日まで連日で経口投与した。
発酵物の菌数は、OLL1073R-1で1×109 cfu/g、OLS3059で3×109 cfu/g、LB MEP1705601で8.6×108 cfu/g、ST MEP1705601で2.1×109 cfu/gである。
発酵物と未発酵物は凍結乾燥した後に、投与する時に蒸留水で懸濁して調製した。皮膚炎の惹起期間を29日間とした他は、実施例1と同様の実験条件とした。
皮膚炎発症スコアの推移を図5に示した。皮膚炎惹起開始の14日後(day 14)の発症スコアについて、OLL1073R-1 + OLS3059投与群は、LB MEP1705601 + ST MEP1705601投与群や未発酵物の投与群と比較して低かった。
また、皮膚炎惹起開始の14日後(day 14)以降では、OLL1073R-1 + OLS3059投与群はLB MEP1705601 + ST MEP1705601投与群や未発酵物の投与群と比較して有意に低かった。
アトピー性皮膚炎の発症に対して本発明のOLS3059と遜色のない抑制効果を発揮することが実施例2で確認されたOLL1073R-1と、本発明のOLS3059とを組み合わせて使用するとアトピー性皮膚炎の発症に対して抑制効果があることが認められた。
(発酵乳の製造例1)
生乳 50.0 kg、脱脂粉乳 5.0 kg、砂糖 8.0 kg、コラーゲンペプチド(商品名:ニッピペプタイド、ニッピコラーゲン化粧品社製) 1.0 kg、セラミド含有こんにゃく芋エキス 0.1 kg(商品名:こんにゃくセラミド、ユニチカ(株)製)、香料 0.1 kg、水 33.8 kgを温度 65℃で混合溶解し、調合乳を作成した。この調合乳を温度 65℃で均質化処理(圧力
100 kg/cm2)した後に、温度 95℃で2分間、殺菌処理し、直ちに温度 43〜45℃に冷却した。この殺菌した調合乳に、乳酸菌スターター 2.0 kgを添加し、容器に充填した後に、温度 43℃で4時間、発酵させ、発酵乳(セットタイプのヨーグルト)を得た。ここで、乳酸菌スターターには、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus 2038、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業(株)製)より単離した。)と、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の等量培養液を用いた。
(発酵乳飲料の製造例1)
生乳 23.0 kg、脱脂粉乳 12.1 kg、水 62.9 kgを温度 70℃で混合溶解し、調合乳を作成した。この調合乳を温度 65℃で均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 95℃で10分間、殺菌処理し、直ちに温度 40〜45℃に冷却した。この殺菌した調合乳に、乳酸菌スターター 2.0 kgを添加し、温度 40〜45℃で5時間、発酵させ、発酵乳を得た。
ここで、乳酸菌スターターには、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus 2038、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業(株)製)より単離した。)と、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の等量培養液を用いた。
この発酵乳のカードを機械的に破壊するため、均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 5℃に冷却し、調合発酵乳を得た。一方、ペクチン 3.0 kg、砂糖 2.0 kg、甘味料 0.02 kg、香料 0.1 kg、水 34.0 kgを温度 65℃で混合溶解し、温度 130℃で2秒間、殺菌処理した後に、直ちに温度 5℃に冷却し、糖液を作成した。
調合発酵乳と糖液を所定の濃度で混合して、発酵乳飲料(ドリンクタイプのヨーグルト)を得た。
(発酵乳飲料の製造例2)
生乳 23.0 kg、脱脂粉乳 12.1 kg、水 62.9 kgを温度 70℃で混合溶解し、調合乳を作成した。この調合乳を温度 65℃で均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 95℃で10分間、殺菌処理し、直ちに温度 40〜45℃に冷却した。この殺菌した調合乳に、乳酸菌スターター 2.0 kgを添加し、温度 40〜45℃で5時間、発酵させ、発酵乳を得た。
ここで、乳酸菌スターターには、ブルガリア菌(Lactobacillus bulgaricus 2038、ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業(株)製)より単離した。)と、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の等量培養液を用いた。
この発酵乳のカードを機械的に破壊するため、均質化処理(圧力 150 kg/cm2)した後に、温度 5℃に冷却し、調合発酵乳を得た。一方、ペクチン 3.0 kg、砂糖 2.0 kg、甘味料 0.02 kg、コラーゲンペプチド(商品名:コラーゲンペプチド5200、新田ゼラチン社製) 1.0 kg、セラミド含有コーンエキス(商品名:コーンセラミドME1-R、辻製油(株)製)
0.03 kg、香料 0.1 kg、水 34.0 kgを温度 65℃で混合溶解し、温度 130℃で2秒間、殺菌処理した後に、直ちに温度 5℃に冷却し、糖液を作成した。
調合発酵乳と糖液を所定の濃度で混合して、発酵乳飲料(ドリンクタイプのヨーグルト)を得た。
(乳飲料の製造例)
生乳 1000 mLに、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059))(以下、OLS3059とも称す。ブルガリアヨーグルトLB81((登録商標)明治乳業株式会社製)より単離した。)の凍結乾燥粉末 1 gを添加し、調合乳を作成した。この調合乳を均質化処理した後に、温度 130℃で3秒間、殺菌処理し、直ちに温度 10℃以下に冷却した。この殺菌した調合乳を容器に充填し、乳飲料を得た。
(皮膚(肌)改善効果のヒト試験による検証)
前記した実施例4の発酵乳(Streptococcus thermophilus OLS3059、菌体濃度 85×107(10の7乗)cfu/g、コラーゲンペプチド1000 mg/90 g、セラミド300 μg/90 g)を試験食とし、摂取量 90 g/回、摂取頻度 2回/日(朝と夜の1回ずつ)として28日間でヒト試験を行った。女性31名(平均年齢31.8歳)を被験者とした。
開始日(試験食摂取前)と終了日(28日目)に、被験者の皮膚(肌)の弾力性とキメ密度の評価・観察を行い、加えて医師による皮疹の観察を行った。なお、肌の弾力性は頬の左右から一方を選択し、1箇所を2回、測定した(商品名:CUTOMETER SEM575、Courage+Khazaka製)。肌のキメ密度は肌荒れ部位を選択し、1箇所を測定した(商品名:Visual Imager VI-20 株式会社インフォワード製)。総皮疹数は皮疹を数えて評価した。
開始日(試験食摂取前)と終了日(28日目)に、被験者本人へのアンケート調査を実施した。アンケートの内容を表1に示した。表1に示した通り、[1] つや、[2] はり、[3] くすみ、[4] しみ、[5] たるみ、[6] 毛穴、[7] キメ、[8] しわ(額)、[9] しわ(口元)、[10] しわ(目元)、[11] 乾燥具合、[12] べたつき、[13] 透明感、[14] 赤み、[15] ファンデーションのノリ、[16] むくみ、[17] 便秘、[18] くまの18項目について、5段階で評価した。そして、終了日に、被験者本人と医師が試験食の有用性を評価した。
実施例5の試験食を摂取した際の皮膚(肌)の弾力性を評価した結果を図6に示した。実施例5の試験食を摂取することにより、肌の弾力性は有意に増加し、肌のはりが改善された。実施例5の試験食を摂取した際の肌のキメ密度を評価した結果を図7に示した。実施例5の試験食を摂取することにより、肌のキメ密度は有意に増加し、肌のキメが改善された。実施例5の試験食を摂取した際の総皮疹数を評価した結果を図8に示した。実施例5の試験食を摂取することにより、総皮疹数は有意に減少し、肌荒れが改善された。
被験者本人へのアンケート調査の結果を表2に示した。試験食を摂取することにより、被験者の肌状態、便秘が改善されることが確認された。被験者本人と医師が試験食の有用性を評価した結果を図9に示した。試験食を摂取することが肌に有用であることが被験者本人あるいは医師により認められた。サーモフィルス菌OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)ののすぐれた皮膚改善効果及び/又は治療効果が実証され、サーモフィルス菌OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)が、皮膚改善効果及び/又は治療効果を発揮させる用途に適していることが確認された。
(整腸改善効果と皮膚改善効果との関係のヒト試験による検証)
前記した実施例5の発酵乳(Streptococcus thermophilus OLS3059、菌体濃度 50×107(10の7乗)cfu/g)及び実施例6の発酵乳(Streptococcus thermophilus OLS3059、菌体濃度 50×107(10の7乗)cfu/g、コラーゲンペプチド1000 mg/120 ml、セラミド300 μg/120 ml)を試験食とし、摂取量 120 ml/回、摂取頻度 2回/日(朝と夜の1回ずつ)として28日間でヒト試験を行った。実施例5の発酵乳飲料では、女性28名(平均年齢31.1歳)を、実施例6の発酵乳飲料では、女性28名(平均年齢30.3歳)を被験者とした。
実施例8と同様にして、被験者本人へのアンケート調査を実施した。アンケートの内容は表1に示した通りである。被験者本人へのアンケート調査の結果を表3及び表4に示した。試験食を摂取することにより、被験者の肌状態、便秘が改善されることが確認された。表1の[1] つや、[2] はり、[7] キメ、[11] 乾燥具合、[15] ファンデーションのノリ、[17] 便秘の6項目について、実施例6の試験食(コラーゲンペプチドとセラミドを含む。)で、実施例5の試験食よりも特に優れた効果があった。
整腸(便通)スコアの推移を表4に示した。スコア化は、「1.便秘ではない」、「2.あまり便秘ではない」、「3.どいらともいえない」、「4.やや便秘である」、「5.便秘である」の5段階で行い、各被験者における試験食の摂取前と摂取後の差を算出し、評価した。例えば、試験食の摂取前に「5.便秘である」であった被験者が、摂取後に「3.どいらともいえない」となった場合には、「整腸が「2以上」改善された」と解析した。
実施例5及び6の試験食を摂取した際の皮膚(肌)の弾力性を評価した結果を図10〜12に示した。図10は「整腸が「1以上」改善された」被験者、図11は「整腸が「2以上」改善された」被験者、図12は「整腸が「3以上」改善された」被験者の肌の弾力性を評価した結果である。整腸(便通)改善効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果が高いことが実証された。この傾向は、実施例6の試験食(コラーゲンペプチドとセラミドを含む。)で、実施例5の試験食よりも特に優れた効果があった。実施例5及び6の試験食を摂取することにより、肌の弾力性は増加し、肌のはりが改善された。
実施例5及び6の試験食を摂取した際の肌のキメ密度を評価した結果を図13〜15に示した。図13は「整腸が「1以上」改善された」被験者、図14は「整腸が「2以上」改善された」被験者、図15は「整腸が「3以上」改善された」被験者の肌のキメ密度を評価した結果である。整腸(便通)改善効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果が高いことが実証された。この傾向は、実施例4の試験食(コラーゲンペプチドとセラミドを含む。)で、実施例5の試験食よりも特に優れた効果があった。実施例5及び6の試験食を摂取することにより、肌のキメ密度は増加し、肌のキメが改善された。
本発明によれば、天然物由来で安全性が高く、さらに皮膚(肌)改善効果及び/又は治療効果が高く、製造特性が良い乳酸菌を含有する組成物及び発酵乳を提供することができる。さらに、整腸改善効果及び/又は治療効果の高かったヒトに対して、皮膚改善効果及び/又は治療効果が高いことを特徴とする発酵乳を提供することができる。