JP5954828B2 - 皮膚状態の改善用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、プロピオン酸菌の培養物を含む皮膚状態の改善用組成物に関する。また、本発明は、DHNA(1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸;1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid)、ACNQ(2-アミノ-3-カルボキシ-1,4-ナフトキノン;2-amino-3-carboxy-1,4-naphthoquinone)、またはこれらの類似体を含む皮膚状態の改善用組成物に関する。
プロフェック(Profec;明治製、商品名;『Profec』は株式会社明治の登録商標)は、エメンタールチーズから分離したプロピオン酸菌(Propionibacterium freudenreichii ET-3株)による乳清発酵物であり、主な腸内細菌の中で特にビフィズス菌の増殖促進作用を持つ成分を含む素材として開発された(非特許文献1)。その後の研究で、Profec中に含まれるビフィズス菌増殖促進作用を持つ主な関与成分として、DHNA(1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid)が同定された。Profecをヒトが摂取することにより、個々人の腸内に持つビフィズス菌が増えて、整腸効果が発揮されることが明らかとなり(非特許文献2)、「おなか活力タブレット」(明治製、商品名;『おなか活力』は株式会社明治の登録商標)、「おなか活力ミルク」(明治製、『おなか活力』は株式会社明治の登録商標)等が商品化され、特定保健用食品として認可も受けている。また、DHNAを大腸炎モデル動物に投与することにより、腸炎の改善効果・予防効果が発揮されることも明らかとなっている(非特許文献3)。一方で、ヨーグルトの摂取による美肌効果について、ヒト試験を中心に検討が重ねられており、整腸効果と肌状態の改善効果が良く相関することが確認されている(非特許文献4)。また、便秘者と非便秘者を比較する調査試験において、腸内環境と肌状態が関係している可能性が確認されている(非特許文献5)。
WO 2008/078387
Bioscience Microflora Vol.18(2), 73-80, 1999 Bioscience Microflora Vol.21(2), 115-120, 2002 Gut 55, 681-688, 2005 腸内細菌学会雑誌22:1-5,2008 第106回日本皮膚科学会総会抄録、p629、2007
本発明の課題は、プロピオン酸菌の培養物を含む皮膚状態の改善用組成物を提供することである。そして、本発明の課題は特に、皮膚状態の改善効果を持つプロピオン酸菌の培養物を含む組成物を提供することである。
これまで、本発明者らは、ヨーグルトの摂取による美肌効果について、ヒト試験を中心に検討を重ねてきた。その中で、本発明者らは、整腸効果と肌状態の改善効果が良く相関することを確認した。また、便秘者と非便秘者を比較する調査試験において、腸内環境と肌状態が関係している可能性を確認した。
そこで、本発明者らは、整腸作用が認められているProfecの摂取が肌状態を改善するか否かの検討を試みた。その結果から、本発明者らは、プラセボ群と比較してProfec摂取群において、角層水分量とキメスコアが有意に改善することを見出した。また、Profecの有効成分であるDHNAに、シミの原因となるメラニンの生成を抑制する作用があることを確認した。すなわち、本発明は、以下の組成物並びにその用途に関する。
〔1〕以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、皮膚状態の改善用組成物;
(a)プロピオン酸菌の培養物、
(b)DHNAまたはその類似体、および
(c)ACNQまたはその類似体。
〔2〕プロピオン酸菌がプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)である〔1〕に記載の組成物。
〔3〕乳発酵成分を付加的に配合する、〔1〕または〔2〕に記載の組成物。
〔4〕乳発酵成分が、乳をLactobacillus属に属する乳酸菌およびStreptococcus属に属する乳酸菌のいずれか、または両方で発酵させた乳、またはその混合物である、〔3〕に記載の組成物。
〔5〕プロピオン酸菌の培養物が殺菌されている〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の組成物。
〔6〕DHNAまたはACNQの類似体が、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール、および2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノンからなる群より選択される、〔1〕に記載の組成物。
〔7〕皮膚状態の改善が、キメ密度の改善、角層水分量の増加、色素沈着の減少からなる群より選択される、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の組成物。
〔8〕乳児用調製粉乳、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、保健機能食品、病者用食品、乳製品または発酵乳である〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の組成物。
〔9〕皮膚状態の改善組成物を製造するための〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の組成物の使用。
〔10〕以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、皮膚における色素形成阻害剤;
(a)プロピオン酸菌の培養物、
(b)DHNAまたはその類似体、および
(c)ACNQまたはその類似体。
〔11〕以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を動物に経口投与する工程を含む皮膚状態の改善方法;
(a)プロピオン酸菌の培養物、
(b)DHNAまたはその類似体、および
(c)ACNQまたはその類似体。
〔12〕錠剤(タブレット)に成型された、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の組成物。
〔13〕錠剤(タブレット)に成型された、〔10〕に記載の色素形成阻害剤。
本発明の組成物は、皮膚の状態を改善する作用、とりわけ皮膚におけるメラニンの生成を阻害する作用を有する。また、角層水分量やキメスコアを有意に改善する作用を有する。
本発明の組成物は、既に食品等としてヒトに投与されていた成分を配合して製造することができる。したがって、本発明の組成物は、高度な安全性が既に保証されており、継続的に摂取することができる。すなわち、本発明の組成物により、皮膚状態の継続的な改善を期待することができる。
本発明の組成物は、その好ましい態様において、既に一般食品や流動食等として広く摂取されている成分の組み合わせによって提供される。したがって、本発明の組成物をヨーグルト等の食品として継続的に摂取することで、皮膚におけるメラニンの生成が阻害された状態を継続できる。
試験食の摂取前後における、角層水分量の群内の経時的な比較を示すグラフである。縦軸は角質水分量(arbitrary unit ; AU)を示す。横軸はそれぞれ、試験食A(プラセボ)摂取群、試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群、試験食C(Profec 含有ヨーグルト飲料)摂取群である。縦軸はコルネオメーターで測定した静電容量から算出された角質水分量を、横軸は試験食A〜Cの摂取期間(週)を示す。図中、*は危険率p<0.05の有意差を示す。 試験食の摂取前後における、キメスコアの群内の経時的な比較を示すグラフである。縦軸はキメスコアを示す。横軸はそれぞれ、試験食A(プラセボ)摂取群、試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群、試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群である。縦軸は「ロボスキンアナライザー」(商品名)で測定したキメスコアを、横軸は試験食A〜Cの摂取期間(週)を示す。図中、*は危険率p<0.05の有意差を示す。 試験食の摂取前後における、排便回数の群内の経時的な比較を示すグラフである。縦軸は1週間における平均排便回数を示す。横軸はそれぞれ、試験食A(プラセボ)摂取群、試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群、試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群である。図中、*は危険率p<0.05の有意差を示す。 角層中のIL-1ra/IL-1α比率を示すグラフである。IL-1ra/IL-1α比率は、試験食に関わらず、その摂取前後で差異が認められなかった。図中、縦軸は各群のIL-1ra/IL-1α比率を示す。 角層中のIL-8を示すグラフである。図中、縦軸は角層のタンパク質の1μgあたりのIL-8の含有量(pg)を示す。角層中のIL-8は、試験食A(プラセボ)摂取群において、その摂取前後で有意に増加した。試験食A(プラセボ)摂取群以外の群では、その摂取前後でIL-8の濃度に変化は認められなかった。 DHNAおよびACNQのメラニンの産生抑制効果を示すグラフである。図中、縦軸は細胞培養物中のメラニンの生成量(405nmにおける吸光度)を、横軸は各試験化合物を示す。DHNAおよびACNQはいずれも、メラニンの産生抑制効果が強いことが示唆された。
本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、皮膚状態の改善用組成物、あるいは皮膚における色素形成阻害剤を提供する。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
本発明の皮膚状態の改善用組成物、あるいは皮膚における色素形成阻害剤は、プロピオン酸菌の培養物を含む。プロピオン酸菌とは、プロピオニバクテリウム属(Propionibacterium)に属するグラム陽性の嫌気性細菌で、糖類から無酸素的にプロピオン酸を生成する微生物を言う。具体的には、次のような微生物の培養物を本発明の組成物に加えることができる。すなわち、プロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)、プロピオニバクテリウム・トエニー(P. thoenii)、プロピオニバクテリウム・アシディプロピオニシ(P. acidipropionici)、プロピオニバクテリウム・ジェンセニー(P. jensenii)等である。これらのプロピオン酸菌は、チーズの製造に利用される微生物である。その他、次の微生物もプロピオン酸菌として示すことができる。すなわち、プロピオニバクテリウム・アビダム(P. avidum)、プロピオニバクテリウム・アクネス(P. acnes)、プロピオニバクテリウム・リンホフィラム(P. lymphophilum)、プロピオニバクテリウム・グラニュロサム(P. granulosam)である。
これらの微生物を自然界や発酵乳から単離する方法は公知である。プロピオン酸菌は、スイスチーズの製造等に利用されている微生物を利用することもできる。本発明におけるプロピオン酸菌の培養物は、以上のようなプロピオン酸菌を適当な培養条件で培養したものを指す。プロピオン酸菌の培養方法は公知である。プロピオン酸菌の培養にあたり、WO03/016544A1等に記載された条件を応用することができる。たとえば、プロピオン酸菌を培養する培地として、脱脂粉乳や脱脂粉乳のタンパク質分解処理物に、ビール酵母エキス等を添加した組成が知られている。適当な培地にプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)を接種して、プロピオン酸菌が増殖できる条件下で培養すれば、プロピオン酸菌の培養物を得ることができる。
プロピオン酸菌を高濃度に培養する方法として、ホエイの加工品として、ホエイタンパク質濃縮物(Whey Protein Concentrate : 以下、WPCと言うこともある)、または、その酵素分解物に、ミネラルと単糖を添加した培地により、プロピオン酸菌を培養する方法がある(日本公開特許平10-304871号公報)。たとえば、WPCを含む培地でPropionibacterium freudenreichiiを培養して得ることができる培養物は、本発明におけるプロピオン酸菌の培養物として好ましい。あるいは、プロピオン酸菌の効率的な培養法として、ビフィズス菌とプロピオン酸菌を異なる培養槽で培養液を循環させながら培養する方法がある(日本公開特許平8-66178号公報)。これらの培養方法によって得ることができるプロピオン酸菌の培養物を、本発明の組成物に配合することもできる。
前記した通り、培地の主成分に、ホエイタンパク質源として、ホエイの加工品を使用することで、プロピオン酸菌を高密度で培養することができる。そして、培地の成分に、ホエイの加工品の他には、ミネラル、単糖の混合物を使用することができる。ここで、ホエイの加工品として、次のような成分を例示することができる。すなわち、ホエイ粉、ホエイやホエイ粉のプロテアーゼ処理物である。このとき、培地の糖濃度を削減するために、ホエイの加工品として、WPCおよび/またはホエイタンパク質分離物(Whey Protein Isolate : 以下、WPIと言うこともある)を使用することもできる。これらの成分を培地に加え、これに適量の糖質と不足するミネラルを添加して、培地の組成をプロピオン酸菌の培養用に調整することができる。
ここで、ホエイ(乳清)とは、たとえば、牛乳から、脂肪、カゼイン、脂溶性ビタミン等を除去した際に残留する水溶性成分である。ホエイには一般的に、ナチュラルチーズやレンネットカゼインを製造した際に副産物として得られる、チーズホエイやレンネットホエイ(またはスイート(甘性)ホエイとも言う)、脱脂乳から酸カゼインやクワルクを製造した際に副産物として得られるカゼインホエイ、クワルクホエイ(またはアシッド(酸)ホエイとも言う)がある。ホエイの主成分には、タンパク質(β−ラクトグロブリン、α−ラクトアルブミン等)、乳糖、水溶性ビタミン、塩類(ミネラル)があり、それぞれの特徴は、ホエイの成分としての研究よりも、牛乳の成分としての研究から明らかにされている。
ホエイの加工品には、前記したものも含めて、ホエイを濃縮処理した濃縮ホエイ、ホエイを乾燥処理したホエイ粉(ホエイパウダー)、ホエイの主要なタンパク質等を限外濾過(Ultrafiltration : UF)法等で濃縮処理した後に乾燥処理したホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイから精密濾過(Microfiltration : MF)法や遠心分離法等で脂肪を除去してからUF法で濃縮処理した後に乾燥処理した脱脂WPC(低脂肪・高タンパク質)、ホエイの主要なタンパク質等をイオン交換樹脂法やゲル濾過法等で選択的に分画処理した後に乾燥処理したホエイタンパク質分離物(WPI)、ナノ濾過(Nanofiltration : NF)法や電気透析法等で脱塩処理した後に乾燥処理した脱塩ホエイ、ホエイ由来のミネラル成分を沈殿処理してから遠心分離法等で濃縮処理したミネラル濃縮ホエイ等を挙げられる。これらのうち、乳タンパク質を乾燥重量として(固形分の)15%〜80%で含むWPCは、タンパク質濃縮ホエイパウダーとして、平成10年3月30日に、乳等省令の一部改正により、乳製品に定義された(濃縮ホエイ、ホエイパウダー、WPC、ホエイタンパク質濃縮パウダーについて、乳等省令に規定する製造工程を経たものであれば、脱塩工程の有無に拘わらない)。
前記した通り、WPCはホエイの主要なタンパク質等を限外濾過法等で濃縮処理した後に乾燥処理して得られるものである。一般的に、固形分の約25%以上がホエイタンパク質であるものの総称である。ホエイから乳糖や塩類等を低減し、ホエイタンパク質を相対的に増強して、固形分の約25%〜約80%に調整することで得られる。このとき、特に乳タンパク質を乾燥重量として15%〜80%で含むWPCは、乳等省令により、タンパク質濃縮ホエイパウダーと定義されている。
ホエイタンパク質濃縮物(WPC)の標準的な製造方法は、以下の通りである。
(1)ホエイを膜分離した後に、濃縮する段階。または
(2)ホエイを膜分離した後に、濃縮、乾燥する段階。
なお、濃縮処理には、一般的な装置や方法を用いることができ、たとえば、真空蒸発缶(エバポレーター)、真空釜、薄膜垂直上昇管状型濃縮機、薄膜垂直下降管状型濃縮機、プレート型濃縮機等により減圧下で加熱する方法を用いることができる。そして、乾燥処理にも、一般的な装置や方法を用いることができ、たとえば、噴霧乾燥(スプレードライヤー)法、ドラム乾燥法、凍結真空乾燥(フリーズドライヤー)法、真空(減圧)乾燥法等を用いることができる。
前記した通り、WPIはホエイの主要なタンパク質等をイオン交換樹脂法や電気透析法等で濃縮処理した後に乾燥処理して得られるものである。一般的に、固形分の約85%〜約95%がホエイタンパク質であるものの総称である。ホエイから乳糖や塩類等を低減し、ホエイタンパク質を相対的に増強して、固形分の約90%(85%〜95%)に調整することで得られる。
ホエイタンパク質分離物(WPI)の標準的な製造方法は、以下の通りである。
(1)ホエイを膜分離またはイオン交換樹脂処理または電気透析処理した後に、濃縮する段階。または
(2)ホエイを膜分離またはイオン交換樹脂処理または電気透析処理した後に、濃縮、乾燥する段階。
なお、濃縮処理には、一般的な装置や方法を用いることができ、たとえば、真空蒸発缶(エバポレーター)、真空釜、薄膜垂直上昇管状型濃縮機、薄膜垂直下降管状型濃縮機、プレート型濃縮機等により減圧下で加熱する方法を用いることができる。そして、乾燥処理にも、一般的な装置や方法を用いることができ、たとえば、噴霧乾燥(スプレードライヤー)法、ドラム乾燥法、凍結真空乾燥(フリーズドライヤー)法、真空(減圧)乾燥法等を用いることができる。
本発明において、プロピオン酸菌の培養に好適な培地として、以下のような組成を例示することができる。すなわち、タンパク質の含量として1%〜5%、好ましくは1.5%〜4%が良い。また、糖質の含量として1%〜4%、好ましくは1.5%〜3%がよい。このような含量が得られるよう、ホエイやホエイの加工品等、または、それらのプロテアーゼ処理物の添加量(配合量)を調節する。また、糖質には乳糖ではなく、グルコースや乳糖をラクターゼで処理した単糖が好ましい。なお、本明細書に示す数値はいずれも、重量比(W/W%)であり、%(パーセンテージ)で組成を表すときには、特に言わない限り、重量比(W/W%)である。
培地のコストを下げ、かつ食用あるいは経口投与に適した培養物を得るために、糖質およびミネラルの供給源として、乳清ミネラルのラクターゼ処理液を使用することができる。具体的には、WPCまたはWPIをタンパク源、乳清ミネラルを糖質源とミネラル源とすることができる。両者の最適化率の混合物を培地の原料として利用すれば、ホエイ粉を培地の原料とする場合よりも、さらに高濃度でプロピオン酸菌を培養することができる。プロピオン酸菌を培養するための詳しい培地の調製方法を以下に示す。すなわち、WPCまたはWPI(ウシ)を還元した後に、プロテアーゼでタンパク質を分解する。プロテアーゼは麹菌に由来するエンド&エキソ型であり、プロテアーゼの使用量は分解するタンパク質に対して3%とする。プロテアーゼの反応は、温度を50℃、pHを7として進行し、pHが低下しなくなるまで3時間〜5時間で継続的に攪拌する。乳清ミネラルには、ラクターゼを使用し、乳糖を分解する。ラクターゼの使用量は分解する糖質に対して2%〜8%とする。ラクターゼの反応は、温度を50℃〜60℃(好適には55℃)、pHを5〜6として進行し、乳糖を完全に分解するまで継続的に攪拌する。
上述した通り、最終的な培地の組成として、タンパク質の濃度が1%〜5%(好適には1.5%〜4%)、糖質の濃度が1%〜4%(好適には1.5%〜3%)となるよう、これらWPCまたはWPIのプロテアーゼ処理物と、乳清ミネラルのラクターゼ処理物の2液を混合する。最後に、酵母エキス、硫酸ナトリウム、アスパラギン等のプロピオン酸菌の培養に常用される成分を培地の組成として配合してから、pHを5〜8(好適には5.5〜7.5)に調整して、培地の調製を終了する。
プロピオン酸菌の培養工程は、以下に従う。すなわち、培地の温度を20℃〜40℃に調整し、培養の開始直後の生菌数が107〜108cfu/mlとなるよう、スターターを接種して、3日間〜4日間で培養する。pHは炭酸カリウム水溶液により5.5〜7.5に保つ。培養の途中にグルコースを追加で添加することもできる。このようにして得られた培養物に含有されるプロピオン酸菌の濃度は従来の約5倍に達する。
以上のような培養条件は、特にチーズ用のプロピオン酸菌の培養に好適である。チーズ用のプロピオン酸菌として、Propionibacterium freudenreichii以外に、Propionibacterium acidipropionici、Propionibacterium jensenii、Propionibacterium thoenii等を用いることができる。より具体的には、プロピオン酸菌として、次の菌株を得ることができる培養物を、本発明に用いることができる。すなわち、Propionibacterium freudenreichii ATCC 6207、P. freudenreichii ATCC 8262、P. freudenreichii IFO 12424、P. freudenreichii IFO 12426、P. freudenreichii IFO 12391、P. freudenreichii ET-3(FERM BP-8115)である。これらのプロピオン酸菌は、単独で培養することもできるし、複数の菌株を混合して培養することもできる。あるいは、複数の微生物を単独で培養した後に、それらの得られた培養物を混合することもできる。このようにして得られた培養物は、そのまま直接で飲食に供することができる。あるいは、これを粉末化処理または液状化処理して、機能性の原料として取扱いの容易な形態に加工処理することもできる。つまり、上記のプロピオン酸菌の培養によって得られる培養物は、そのまま直接で、または加工した後に、本発明の組成物に配合することができる。
さらに、当業者であれば、これら公知の方法を最適化するために、培地の組成や培養条件を適宜調節することができる。たとえば、培地の組成では、窒素源として、カゼイン、WPC、WPI等の他に、各種のアミノ酸やその塩を追加で添加し、プロピオン酸菌の増殖能や皮膚状態の改善効果を最適化して高めることができる。また、培地の組成のみならず、培養条件では、培養の雰囲気における酸素の濃度、温度、圧力等を調節し、プロピオン酸菌の増殖能や皮膚状態の改善効果を最適化して高めることもできる。
本発明のプロピオン酸菌の培養物は、皮膚状態の改善効果を維持する限り、その分画成分を用いることもできる。したがって、プロピオン酸菌の培養物には、たとえば、プロピオン酸菌の培養物そのもの、培養上清、菌体そのもの、それらの抽出物、それらの乾燥物、あるいは、それらの希釈物等を含む。ここで、たとえば、プロピオン酸菌の培養物の分画成分の皮膚状態の改善を促進する作用が、由来が同じプロピオン酸菌の培養物(分画前)と比較して、たとえば30%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であるときには、プロピオン酸菌の培養物そのものの皮膚状態の改善効果が維持されたと言うことができる。
本発明のプロピオン酸菌の培養物は、培養が終了した後に殺菌して、本発明の組成物に配合することができる。あるいは、乳発酵成分等と配合した後に、その組成物(混合物)を殺菌することもできる。たとえば、牛乳の場合には、乳等省令に殺菌方法等が定められており、一般に次のような加熱殺菌処理が行われている。すなわち、低温長時間殺菌、高温短時間殺菌、超高温(瞬間)殺菌である。
本発明のプロピオン酸菌の培養物、あるいは、それを含む組成物には、牛乳の場合と同等な殺菌方法、あるいは加熱殺菌処理を適用することができる。これらの加熱殺菌処理は、回分式(バッチ単位)で行うこともできるし、連続式で行うこともできる。このとき、それぞれの加熱殺菌処理により処理温度や処理時間は異なるが、好ましくは60℃〜150℃で、0.1秒〜1時間の範囲、より好ましくは70℃〜150℃で、0.5秒〜45分の範囲、さらに好ましくは80℃〜150℃で、1秒〜30分の範囲等から上述の殺菌方法に応じて選択される。プロピオン酸菌の培養物を殺菌するにあたっては、処理液の溶存酸素量は低減された状態に保たれることが望ましい。そこで、加熱殺菌処理において、必要に応じて、不活性ガスの雰囲気に継続して保たれることが好ましい。不活性ガスとして、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス、炭酸ガス等を挙げられるが、特に窒素ガスは空気中に大量に存在して、コストが比較的に低く、しかも安全性が確認されており、飲食品の風味・品質に影響を与えないことから、不活性ガスとして望ましい。あるいは、加熱殺菌処理において、必要に応じて、真空(減圧)状態の雰囲気に保たれることが好ましい。真空状態として、たとえば、減圧脱気処理等を挙げられる。
本発明者らは、プロピオン酸菌の培養物の殺菌物において、皮膚状態の改善効果が維持されていることを確認した。つまり、本発明において、プロピオン酸菌の培養物の皮膚状態の改善効果は、その培養物の殺菌後にも維持される。通常では、乳酸菌が宿主に与える影響は、生菌の作用に依存する。したがって、プロピオン酸菌の培養物の殺菌前だけでなく殺菌後にも有益な作用(有用な機能)が見出されたことは、予想を越える知見であった。プロバイオティクスやプレバイオティクスが腸内環境を改善して、免疫を賦活することは数多く報告されている。一般にプロバイオティクスとは、生きた状態で宿主の腸内に導入されることによって、宿主にとって有益な作用をもたらすような微生物を言う。プロバイオティクスに対して、プレバイオティクスとは、もともと腸内に生息していた微生物に作用することで、宿主にとって有益な作用を与えるような物質を言う。たとえば、特にヒト試験で美肌効果を持つプロバイオティクスとして、数種の乳酸菌が報告されている。しかしながら、これらの乳酸菌は生菌として作用するプロバイオティクスであるため、その製造や品質の管理が容易ではなかった。さらに、一般に生菌製剤では保存性に限界があり、たとえば、生菌製剤を製造した後に、低温で保存しても、長期間に亘って耐えられないことが多かった。
乳酸菌の生菌のようなプロバイオティクスに対して、本発明のプロピオン酸菌の培養物はプレバイオティクスとしても機能する。このとき、本発明のプロピオン酸菌の培養物の殺菌物(プレバイオティクス)では、微生物(プロピオン酸菌)の活動が停止されており、その品質が変化しない。したがって、本発明のプロピオン酸菌の培養物のようなプレバイオティクスでは、皮膚状態の改善効果を安定的に維持することができる。すなわち、本発明のプロピオン酸菌の培養物、あるいは、それを含む組成物は死菌としても作用するプレバイオティクスであるため、その製造や品質の管理が容易である。さらに、本発明に基づく製剤等では、長期間に亘って常温で保存することができる。また、一般に経口投与によって、乳酸菌による効果を期待する場合には、その生菌による作用に依存することが多く、胃酸の影響を考慮しなければならない。胃酸の影響によって、乳酸菌の生菌が減少し、十分な数量の生菌を腸内に送達することができなくなるためである。一方、本発明では、プロピオン酸菌の培養物による皮膚状態の改善効果は、その生菌による作用に依存しない。そのため、本発明では、経口投与によっても、胃酸の影響を考慮せずに、十分な皮膚状態の改善効果を達成することができる。
また、乳酸菌または乳酸菌の培養物では、一般に腸内菌叢の改善による整腸効果と美肌効果が必ず相関することが知られている。つまり、乳酸菌の場合には、整腸効果に依存して、皮膚状態の改善効果が発揮される。そして、同じくプロピオン酸菌の場合にも、整腸効果に依存して、皮膚状態の改善効果が発揮されることが明らかにされている。ただし、本発明のプロピオン酸菌の培養物の場合には、整腸効果と独立して、美肌効果が発揮されることも明らかにしている。すなわち、本発明の組成物あるいは色素形成阻害剤は、プロピオン酸菌の培養物を用いることによって、整腸効果を作用機序とする美肌効果に加えて、整腸効果に依存しない美肌効果を期待することができる。
本発明のプロピオン酸菌の培養物あるいは殺菌物は、粉末状あるいは液状に加工することができる。たとえば、本発明の培養物あるいは殺菌物に適当な賦形剤を添加して、固形分濃度を30%〜40%とした後に、乾燥させて粉末化することができる。ここで、賦形剤には公知のものを使用することができ、たとえば、脱脂粉乳、ホエイ粉、生デンプン、デキストリン等と、この他にも必要に応じて、WPC、WPI、加工デンプン等を使用することができる。そして、乾燥にも公知の方法を使用することができ、たとえば、本発明の培養物あるいは殺菌物を、そのまま噴霧乾燥する方法を使用することができるし、あるいは、本発明の培養物あるいは殺菌物と、賦形剤の還元液を混合して、固形分濃度が30%〜40%となるまで濃縮した後に、噴霧乾燥する方法を使用することもできる。本発明の培養物あるいは殺菌物の乾燥物(粉末等)は、包材や容器へ充填するときに脱酸素処理(窒素の封入や脱酸素剤の添加等)することにより、安定的に長期間で保存することができる。また、食品に使いやすいように倍散(trituration)した製剤(0.2%倍散末)に加工することもできる。なお、加工デンプンとして具体的には、デキストリンの他に、ソリューブルスターチ、ブリティシュガム、酸化デンプン、デンプンエステル、デンプンエーテル等を使用することができる。
プロピオン酸菌の培養物は一般に乳酸菌の増殖促進作用を持つことが知られている。このような作用を有するプロピオン酸菌の培養物、あるいは、その加工品は「ビフィズス菌増殖促進物質」(Bifidogenic Growth Stimulator : BGS)と呼ばれている。このBGSは皮膚状態の改善効果を有する限り、本発明のプロピオン酸菌の培養物として利用することができる。
本発明のプロピオン酸菌の培養物として、プロピオン酸菌による乳清発酵物が好ましい。たとえば、BGSを産生するPropionibacterium freudenreichii ET-3株をホエイ粉還元液(10%)で発酵させて得られたプロピオン酸菌の培養物を、本発明の組成物に有効成分として含有させることができる。ここで、BGSを含むプロピオン酸菌の培養物は「Profec」と呼ばれ、特定保健用食品の関与成分として認可されている。この「Profec」を含有する組成物として、B.G.S.powder(明治製、商品名)、おなか活力タブレット(明治製、商品名;『おなか活力』は株式会社明治の登録商標)が市販されている。したがって、「B.G.S.powder」または「おなか活力タブレット」を、本発明の組成物として利用することもできる。なお、プロピオン酸菌の乳清発酵物には、優れた整腸効果を期待できることが公知である。しかしながら、プロピオン酸菌の培養物が、皮膚状態の改善効果を示すことは知られていなかった。
特にProfecに含有されているBGSには、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフトエ酸;1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid (DHNA)と、2-アミノ-3-カルボキシ-1,4-ナフトキノン;2-amino-3-carboxy-1,4-naphthoquinone (ACNQ)等がある。このうちDHNAは微生物におけるビタミンK2(menaquinone)の生合成中間体である。これらDHNAやACNQはビフィズス菌のエネルギー代謝過程で生成したNADHを効率的に再酸化することにより、ビフィズス菌の増殖を促進する。したがって、プロピオン酸菌の培養物として、以下の成分(i)および(ii)のいずれか、または両方を利用することもできる。すなわち、本発明は、
(i) 1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid (DHNA)またはその類似体、および
(ii) 2-amino-3-carboxy-1,4-naphthoquinone (ACNQ)またはその類似体
のいずれか、または両方を含む皮膚状態の改善用組成物を提供する。
DHNAやACNQの製造方法は既に確立されており、当業者であれば公知の文献等に基づき、容易に合成や取得することができる。たとえば、DHNAでは、特開2007-284449に記載の方法にしたがって合成することができるが、これに限定されない。また、ACNQでは、特開平7-289273、特許3265193号、特開2003-89683、特許4072430号、特許3532226号等の記載の方法にしたがって合成することができるが、これらに限定されない。
また、本発明は、DHNAの類似体、ACNQの類似体のいずれか、または両方を含む皮膚状態の改善用組成物に関する。DHNAやACNQの類似体として、以下の化合物を挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、1, 4−ナフトキノン、2−メチル−1, 4−ナフトキノン、4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール、2−アミノ−3−クロロ−1, 4−ナフトキノンである。これらの類似体も、発酵乳の製造に用いられる微生物の培養物に産生されることが知られている(特開平7-289273)。したがって、その培養物、あるいは、その分画成分を配合することによって、これらの類似体をそのままで、本発明の組成物に利用することができる。あるいは、これらの類似体をDHNAやACNQと共に精製して、本発明の組成物に利用することもできる。
本発明において、上記の成分(i)および/または(ii)を含む皮膚状態の改善用組成物の投与量は、プロピオン酸菌の培養物に含まれるDHNA量を指標とすると、通常では成人に対して、プロピオン酸菌の培養物に含まれるDHNA量として0.01μg/kg〜100mg/kgの範囲が一般的である。ただし、これ以下の用量で十分な場合もあるし、逆に、これ以上の用量を必要とする場合もある。そして、1日に2〜4回等に分割して投与することもできる。なお、具体的な投与量は、年齢や体重等の患者の状態、投与経路、実際に期待される改善効果の程度等を考慮して設定することができる。このとき、本発明において好ましい投与経路は経口投与である。
Profecはヒトの腸内のビフィズス菌(ビフィドバクテリウム:Bifidobacterium)を特異的に増やすことから、特定保健用食品の関与成分として認可されている(依田伸生 : ILSI、No.80、5-13(2004))。現在では、Profecを含む組成物として、「B.G.S.powder」や「おなか活力タブレット」が市販されている。したがって、本発明の組成物等において入手に困難性はないと言える。しかしながら、動物にProfecを与えることで、皮膚における色素の形成が阻害されることは知られていなかった。すなわち、本発明は、
(i)1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid (DHNA)またはその類似体、および
(ii)2-amino-3-carboxy-1,4-naphthoquinone (ACNQ)またはその類似体
のいずれか、または両方を含む、皮膚における色素形成阻害剤を提供する。あるいは、本発明は、前記の成分(i)および(ii)のいずれか、または両方を含む、動物の皮膚における色素の形成を阻害するための医薬組成物に関する。このとき、本発明において好ましい動物はヒトである。
本発明の組成物に1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid (DHNA)を配合する場合には、その組成物の溶存酸素量は低減された状態に保たれることが望ましい。溶存酸素によって、DHNAが分解されて、その保存中にDHNAの濃度が低下するためである。なお、DHNAを含む組成物の溶存酸素量を低減させる方法は公知である(WO2004/85364)。具体的には、本発明の組成物が液状の場合には、その液体の組成物を、酸素を含まない気体でバブリングすることによって、溶存酸素を酸素以外の気体で置換することができる。このとき、酸素を含まない気体として、窒素ガスが好ましい。また、その液体の組成物を、減圧脱気処理等することによって、溶存酸素を除去することができる。一方、抗酸化能を持つ化合物をDHNAと共に配合することによって、溶存酸素量を低く抑えることができる。抗酸化能を持つ化合物には、公知の抗酸化剤を利用することができる。具体的には、次亜硫酸、アスコルビン酸(ビタミンC)、エリソルビン酸、カロチン、トコフェロール、抗酸化作用を有するポリフェノール類等を挙げられる。
ポリフェノール類として、合成品の他に、天然物に由来するポリフェノールを利用することもできる。たとえば、茶類、ぶどう、レモン、コーヒー、むらさき芋、大豆等に由来するポリフェノールが公知である。これらのポリフェノールを多く含む果実類や野菜類、種子類、植物の葉等の搾汁液、あるいはそれらの抽出物をポリフェノールとして、本発明の組成物に配合することができる。また、たとえば、水や有機溶媒による抽出によって、ポリフェノール抽出物を得ることができる。これら天然のポリフェノールを含有する製品の濃縮物や精製物、乾燥物をポリフェノールとして、本発明の組成物に配合することもできる。
抗酸化剤の添加量は、抗酸化剤の種類に応じて、通常に抗酸化の用途で使用する添加量と同等もしくはそれ以上に設定することで、溶存酸素量を低減させることができる。たとえば、不活性ガスでバブリングせず、抗酸化剤としてアスコルビン酸を単独で、本発明の組成物に添加し、DHNAの安定性を確実に期待する場合には、その組成物の100gに対して1g以上で添加することになる。一方、一般に抗酸化剤の添加量は、たとえば1μg〜2g、好ましくは150μg〜1.5g、より好ましくは1mg〜1g程度に設定することができる。このとき、抗酸化剤はDHNAを本発明の組成物に配合する前にも後にも同時にも添加することができる。
本発明のプロピオン酸菌の培養物は、本発明の組成物の全体に対して、たとえば0.001%〜20%、好ましくは0.01%〜15%、より好ましくは0.05%〜10%の割合で配合することができる。本発明の組成物は、液状、ペースト状、あるいは乾燥させて、粉末状、固形状等の任意の剤型とすることができる。本発明の組成物は、プロピオン酸菌の培養物に、経口投与に適した成分、あるいは薬学的に許容される担体等を配合して調製することができる。より具体的には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等に製剤化することができる。あるいは乳発酵成分にプロピオン酸菌の培養物を分散させた状態で供給することもできる。これらの各種製剤は、主剤に賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤、溶剤、等張化剤等の医薬品の製剤技術分野において通常に使用し得る既知の補助剤を適用しながら、常法にしたがって製剤化することができる。また、カルシウム等のミネラルを適当量で配合することができる。さらに、ビタミン、ミネラル、有機酸(短鎖脂肪酸等の脂肪酸類を含む)、糖類、アミノ酸、ペプチド類等を適当量で配合することもできる。
本発明の組成物には、乳発酵成分を付加的に配合することができる。本発明において乳発酵成分とは、動物の乳を微生物あるいは酵素の作用で発酵させた乳加工品を言う。そして、本発明において動物の乳とは、牛乳、水牛乳、ヤギ乳、羊乳、馬乳等を言う。特に牛乳(ウシの乳)は容易に多量で入手できるので、経済的に有利である。本発明の乳発酵成分は、動物の生体から採取された乳そのもののみならず、その分画成分や加工品等から調製することもできる。ここで、乳の分画成分あるいは加工品として、脱脂乳、部分脱脂乳、還元全脂乳、還元脱脂乳、還元部分脱脂乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、部分脱脂濃縮乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、カゼイン、ホエイ、還元ホエイ、濃縮ホエイ、ホエイ粉、WPC、WPI、クリーム、バター、バターミルク、バターミルク粉等を挙げることができる。これら乳に由来する分画成分あるいは加工品を原料乳と呼ぶことがある。原料乳は単独で、あるいは異なる原料乳と混合して、乳発酵成分の原料に使用することができる。
本発明において乳発酵成分は、乳に微生物を添加して発酵させた培養物として得ることができる。この微生物の培養物は、プロピオン酸菌と配合したときに、皮膚状態の改善効果を発揮する限り、その分画成分を本発明の乳発酵成分として利用することができる。乳の発酵を目的として使用する微生物は、一般にスターターと呼ばれ、その微生物には、乳酸菌あるいはビフィズス菌が好ましい。具体的には、次のような属に属する乳酸菌あるいはビフィズス菌をスターターとして、乳発酵成分を得ることができる。すなわち、Lactobacillus属、Streptococcus属、Enterococcus属、Lactococcus属、Leuconostoc属、Pediococcus属、Bifidobacterium属等である。より具体的には、次のような微生物によって、乳発酵成分を得ることが好ましい。すなわち、乳酸菌として、Streptococcus lactis、Streptococcus cremoris、Streptococcus diacetylactis、Enterococcus faecium、Enterococcus faecalis、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus brevis、Lactobacillus casei、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Lactis、Lactobacillus gasseri、Lactobacillus mucosae、Lactobacillus murinus、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus oris、Lactobacillus reuteri、Lactobacillus rhamnosus 等、ビフィズス菌として、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium bifidum、Bifidobacterium breve 等である。
ここで、本発明のブルガリア菌(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus)とは、サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)と組み合わせてスターターに使用することで、発酵乳(乳発酵成分)のカードを形成する能力を持つ乳酸菌の全部を含み、たとえば、株式会社明治製のプレーンヨーグルト、ハードヨーグルト、ソフトヨーグルトから分離(単離)して得られる乳酸菌等が挙げられるがこれらに限定されない。
サーモフィルス菌 OLS3059(Streptococcus thermophilus OLS3059)は、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号:FERM BP-10740(識別のための表示: Streptococcus thermophilus OLS3059、寄託日(受託日):平成18年11月29日)で寄託されているものである。
また、ブルガリア菌は、たとえば、独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに受託番号:FERM BP-10741(識別のための表示: Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1、寄託日(受託日):平成18年11月29日)で寄託されている、ブルガリア菌 OLL1073R-1(Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1)である。
これらの微生物を、自然界や発酵乳から分離する方法は公知である。あるいは、セルバンク等の分譲により、既に分離(単離)されている微生物を入手することもできる。一方、乳発酵成分を得るためのスターターの一部は市販されている。そして、これら市販のスターターにより調製された乳発酵成分も、本発明の組成物に配合する等して利用することができる。なお、実際に調製される発酵乳(乳発酵成分)のpHや物理的な性状等の違いによって、複数の製品が市販されている。ここで、発酵乳の物理的な性状とは、硬さ(tension)や口当たり(smoothness)等を言う。市販のスターターは、プロピオン酸菌の培養物と共に投与したときに、皮膚状態を改善する限り、特に皮膚における色素の形成を阻害する限り、本発明における乳発酵成分を得るためのスターターとして利用することができる。
本発明の乳発酵成分を得るために、次のような微生物をスターターとして、原料乳に接種することができる。すなわち、ラクトバチルス・ブルガリカス(L. bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)、ラクトバチルス・ラクティス(L. lactis)等である。一般に発酵乳の調製において原料乳には、これらの乳酸菌以外の乳酸菌や酵母から1種または2種以上を選んだものを添加することもある。しかしながら、いずれにせよ、本発明では、コーデックス規格でヨーグルトスターターとして規格化されているラクトバチルス・ブルガリカス(L. bulgaricus)およびストレプトコッカス・サーモフィルス(S. thermophilus)の混合スターターを使用することが好ましい。なお、微生物を付加的に使用するときには、最終的に目的とする発酵乳の発酵温度や発酵時間等を勘案して、これらの混合スターターに、微生物を追加して混入させることもできる。これらの混合スターターに付加的に使用する微生物として、ラクトバチルス・ガッセリ(L. gasseri)および/またはビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)等を例示することができる。
本発明の混合スターターとして、原料乳に接種する微生物を、セルバンク等に寄託されている微生物から選択することもできる。このとき、本発明の混合スターターに利用することができる望ましい菌株例は次の通りである。すなわち、微生物の混合培養物からなるスターターのうち、ブルガリア菌として、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus JCM 1002T、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1(FERM BP-10741)、Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1255(NITE BP-76)サーモフィルス菌として、Streptococcus thermophilus ATCC 19258、Streptococcus thermophilus OLS3059(FERM BP-10740)、Streptococcus thermophilus OLS3294(NITE P-77)である。
本発明の乳発酵成分として、前記した微生物の発酵によって得ることができるチーズ、ヨーグルト、発酵乳、乳清(ホエイ)発酵物等を挙げられ、さらに、たとえば、発酵乳(ヨーグルト)から水分(ホエイ)を減少させたもの(たとえば、日本特許第3,179,555号)を挙げられる。ところで、発酵乳(ヨーグルト)に由来するタンパク質では、アミノ酸スコアが100であり、発酵によりタンパク質の消化吸収性が高められており、その栄養価は高いと言われている。そこで、本発明では、これら乳発酵成分のうち、ヨーグルト(発酵乳)が特に望ましい。厚生労働省の食品衛生法「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」によると、「発酵乳」とは「乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させ、のり状又は液状にしたもの又はこれらを凍結したもの」と定義されている。さらに、その成分として8%以上の無脂乳固形分を含み、生きた乳酸菌又は酵母を1,000万個/ml以上かつ大腸菌を検出しないと定義している。
一方、国際規格では、「ヨーグルトと称される製品は、Lactobacillus bulgaricus(ラクトバチルス・ブルガリカス)、Streptococcus salivarius subsp. Thermophilus(ストレプトコッカス・サリバリウス・サブスピーシーズ・サーモフィラス)の両方の菌の乳酸発酵作用により乳および脱脂粉乳等の乳製品から作られるもので、最終製品中には前述の2つの菌が多量に生存しているもの」と定義されている。
本発明においてヨーグルトには、これらの両方の定義によって特定されるものを含む。また、本発明において、ヨーグルトには、食べるヨーグルト(固形状、糊状)、飲むヨーグルト(液状)、フローズンヨーグルト(凍結状)、粉体ヨーグルト(粉末状)等のいずれをも含む。これらヨーグルトの製造方法は、当業者にとって公知である。ヨーグルトの製造方法の一例を示せば、前記したLactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1 と Streptococcus thermophilus OLS3059を使用して、混合スターターを調製する工程、その混合スターターを原料乳に接種して培養する工程、冷却する工程、フレーバーリングする工程、包材や容器に充填する工程等を経ることとなる。
本発明者らは、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を摂取したヒトにおいて、皮膚状態が改善されること、特に色素の形成が阻害されることを見出した。すなわち、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む組成物であって、動物に経口投与されるように用いられる組成物を提供する。あるいは、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む色素形成阻害剤を提供する。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
本発明の組成物、あるいは色素形成阻害剤は、好ましい態様において、乳発酵成分を付加的に配合する(含む)ことができる。
また、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を動物に経口投与する工程を含む、皮膚状態の改善方法に関する。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
本発明の組成物が投与される対象は、哺乳動物である。そして、哺乳動物として好ましくはヒトである。
そして、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分の、皮膚における色素形成阻害剤の製造における使用に関する。あるいは、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分の、皮膚における色素形成阻害における使用に関する。加えて、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分と薬学的に許容される担体を配合する工程を含む、皮膚における色素形成阻害剤の製造方法に関する。
さらに、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分の、皮膚状態の改善用組成物の製造における使用に関する。あるいは、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分の、皮膚状態の改善における使用に関する。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
あるいは、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、皮膚状態を改善するための医薬組成物を提供する。さらに、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分の、皮膚状態を改善するための医薬組成物の製造における使用に関する。そして、本発明の医薬組成物は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分の薬学的な有効量を含む。本発明の医薬組成物は、経口投与に好適な担体を配合することができる。本発明の医薬組成物は、皮膚状態の改善を目的として、食品を兼ねて投与することができる。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
あるいは、本発明は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を動物に投与する工程を含む皮膚状態の改善方法を提供する。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
本発明において「皮膚状態の改善」とは、皮膚や肌のつや、はり、くすみ、色素沈着(しみ)、たるみ、毛穴の目立ち、キメ、しわ、乾燥具合(角層水分量)、べたつき、透明感、赤み、ファンデーションののり、むくみ、くまの目立ち、皮疹、保湿、および色素沈着からなる群より選択される少なくとも1つの状態が改善されることを言う。また、本発明において「皮膚状態の改善」には、アトピー性皮膚炎を始め、各種アレルギー性皮膚炎による肌症状の改善や発症抑制等も含む。本発明の「皮膚状態の改善」の好ましい事例として、キメ密度(キメスコア)の改善、角層水分量の増加、色素沈着の減少を挙げられるが、これらに限定されない。
皮膚の表面形態を表す指標として、キメがある。皮膚を観察すると、網目状に細かい溝が走っており、溝に囲まれた部分は三角形、菱形あるいは四角形になっている。この溝のことを皮溝と言い、皮溝に囲まれた部分を皮丘と言う。一般にキメの細かい(キメ密度の高い)肌と言った場合には、皮溝は狭く浅くなっており、皮丘は規則正しい形状となっている。逆に、皮溝が広く深いほど、皮丘が目立ち、さらに、皮丘が不揃いの形状になってくると、皮膚の表面の触感は、ざらついたものとなり、キメの粗い(キメ密度の低い)肌となる(美容のヒフ科学 改訂8版 安田利顕 著、漆畑修 改訂 南山堂 2002、第一章 美しい皮膚、p6)。正常なターンオーバーが維持され、角質細胞が規則正しく終末分化(角化)を迎えることにより、角化細胞の形状は均一になり、保水力の高い健康な角層が形成される。これをキメが整うと言い、キメの改善とは、キメが細かくなること、キメ密度(キメスコア)が高くなること、キメが整うこと等を言う。
キメ密度の改善は当業者にとって周知の方法によって判定することができる(Fragrance J., vol35(2), (2007)、アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線、株式会社 エヌ・ティー・エス(2006))。たとえば、次の方法によって、キメ密度を測定することができる。
・シリコンラバー等の印象剤を用いて、皮膚表面のレプリカを取り、CCDカメラで、そのレプリカ画像を写し、画像解析から表面形状を定量化する方法(レプリカ画像解析法)。
・レーザー光を用いて、レプリカ表面の凹凸を精度良く三次元で計測する方法(レプリカ三次元計測法)。
・ビデオマイクロスコープやダイレクトスキンアナライザーを用いて、皮膚表面画像を撮影し、それを画像解析する方法(ビデオマイクロスコープを用いた皮膚表面形状画像解析法)。
・格子状のパターンを皮膚に投影し、その画像の歪みから皮膚の三次元情報を得る方法(レプリカを介さない三次元直接計測法)。
本発明では、本発明の組成物を使用しない場合と比較して、キメ密度が高くなったら、キメ密度が改善されたと評価(判定)することができる。あるいは、本発明の組成物を投与する前と投与した後においてキメ密度を比較して、キメ密度が高くなっても、キメ密度が改善されたと評価することができる。
キメスコアとは、全顔画像撮影・画像解析システムのロボスキンアナライザー(株式会社 インフォワード)により測定される、キメを相対的に評価する数値である。理想のキメ(キメモデル)の場合に、キメスコアを100として、0〜100の数値で表現される。より具体的には、マイクロスコープで撮影した皮膚のモノクロ画像における、暗部を皮溝、明部を皮丘とし、それぞれ暗部と明部を強調処理して二値化した結果として、正三角形(一辺 : 0.4mm)のキメモデルと判断できる面積を、マイクロスコープで撮影した皮膚の一定面積の100に対して、その面積比で相対的に示した数値である。顔面の撮影位置(撮影範囲)等におけるマイクロスコープの画像撮影、モノクロ画像の強調処理またはキメモデルの判断等の画像処理および画像解析は、ロボスキンアナライザーの装置およびソフトウェアーにより、一定の条件で制御されて行われる。
本発明では、本発明の組成物を使用しない場合と比較して、キメスコアが高くなったら、キメスコア(キメ)が改善されたと評価(判定)することができる。あるいは、本発明の組成物を投与する前と投与した後においてキメスコアを比較して、キメスコアが高くなっても、キメスコア(キメ)が改善されたと評価することができる。なお、キメスコアの改善はキメ密度の改善とも言え、つまり、キメの改善を意味している。
角層は皮膚の最外層に位置し、表皮角化細胞が角化した、扁平な角層細胞が重なった層である。肌の滑らかさは角層の水分量と深く関係し、滑らかな状態の良い普通肌の場合には、角層の水分量は15%〜20%と言われている。角層水分量はコルネオメーター等の画像解析システムを用いる等、当業者に周知の方法によって測定することができる(アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線、株式会社 エヌ・ティー・エス (2006))。たとえば、次の方法によって、角層水分量を測定することができる。
・高周波電流を用いて皮膚の電気伝導度や電気容量を測定する方法。
・皮膚の誘電緩和から測定する方法。
・赤外線スペクトルを用いる方法。
・光音響による測定法。
・磁気共鳴断層法。
・ラマン分光法。
色素沈着(シミ)の原因として、メラニンの生成が知られている。メラニンは通常では皮膚に存在し、紫外線の影響から身体を保護すると言う重要な役割を担う医学上並びに美容上で重要な因子である。メラニンは皮膚組織中の色素細胞内において、チロシナーゼの作用により、チロシンがドーパに変化し、次いでドーパキノンに変化して、5, 6-ジヒドロキシインドール等を経て合成されると考えられている。したがって、チロシナーゼ活性を阻害することにより、メラニンの生成を抑制することができる。チロシナーゼ活性を阻害する物質は、本発明の皮膚状態の改善用組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤として有用である。チロシナーゼ活性の阻害活性は、たとえば、ドーパの酸化物であり、黒色物質のメラニンの生成の中間体であるドーパキノンあるいはドーパクローム等の生成度を指標に測定することができる。ドーパクロームの生成度は、たとえば、吸光度(475nm)の変化から測定することができる。このような測定方法において、吸光度が低い場合には、チロシナーゼ活性が阻害されたと評価することができる。
メラニンが過剰に合成された場合には、黒色を呈する。一方、メラニンの皮膚上における不均一な分布は、シミやソバカス等を形成する。このようなシミやソバカス等の色素沈着は、紫外線の照射によって増悪する。この紫外線の照射によって誘導される色素細胞内におけるメラニンの生成の促進には、サイトカイン、ケモカイン、細胞増殖因子、ホルモン等の情報伝達物質を挙げられる。さらに具体的には、たとえば、プロスタグランジン、メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、エンドセリン、Stem cell factor(SCF)、ACTH、IL-1、IL-8、TNF-α等が関わっている。メラニンの産生は、たとえば、マウスB16メラノーマ細胞を用いて検出することができる。具体的には、マウスB16メラノーマ細胞(たとえば、理研、RCB1283)を培養し、これにメラニンの生成を促進あるいは阻害する物質(たとえば、本発明の組成物)を添加して十分に撹拌する。暗所で37℃にてインキュベーションし、上澄みを取り、吸光度を測定する。その測定の結果、対象の物質を添加する前と比較して、吸光度が増加した場合には、メラニンの生成が促進されたと評価することができる。逆に、吸光度が減少した場合には、メラニンの生成が阻害されたと評価することができる。
本発明では、色素沈着の減少は上述のような方法により、チロシナーゼの阻害活性やメラニンの産生抑制活性を測定することにより確認することができる。あるいは、より直接的に、色素沈着の有無や数量(個数、面積、濃淡の評価)を測定することもできる。このような方法として、たとえば、ロボスキンアナライザー等の画像解析システムを用いる方法等は、当業者にとって周知である(現場レベルでの皮膚測定・評価 〜トラブル事例・対策〜 サイエンス&テクノロジー株式会社 (2007) 、アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線、株式会社 エヌ・ティー・エス (2006))。
画像解析による色素沈着の評価において、カラー画像(RGB)に存在する色の3要素のうち、特に「BLUE(青)」の信号成分に、色素沈着の部分を強く確認することができる。したがって、このBLUE信号を用いて作成されたモノクロ画像における濃淡と形状的な特徴(個数、面積)により、色素沈着を定義することができる。たとえば「色素沈着 小」は、モノクロ画像中において、周辺部位に比較して「やや暗い部分」と「暗い部分」として検出できる部分のうち、面積が0.6mm2〜1.2mm2の連続した領域とすることができる。あるいは、たとえば「色素沈着 大」は、モノクロ画像中において、周辺部位に比較して「やや暗い部分」と「暗い部分」として検出できる部分のうち、面積が1.2mm2以上の連続した領域とすることができる。また、「赤み」を指標とすることにより、たとえば、にきびや紅斑等を検出することもできる。
本発明の組成物は、医薬品、飲食品、皮膚化粧料等の形態で利用することができる。たとえば、医薬品として直接で投与することにより、皮膚状態を改善することができる。本発明の組成物を医薬品として用いる場合には、プロピオン酸菌の培養物を種々の状態で含むことができる。たとえば、プロピオン酸菌の懸濁液、プロピオン酸菌の培養物(菌体、培養上清液(培地成分を含む))、プロピオン酸菌の発酵物等の状態で含むことができる。
本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤は、プロピオン酸菌の培養物をそのまま含むことができる。あるいは、プロピオン酸菌の培養物を何らかで処理した、プロピオン酸菌の処理物として含むこともできる。本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤に用いるプロピオン酸菌の処理物として、たとえば、プロピオン酸菌の菌体そのもの、プロピオン酸菌の含有物、発酵乳の濃縮物、ペースト化物、乾燥物(噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物から選ばれる少なくとも1つ)、液状物、希釈物、破砕物等を挙げられる。また、プロピオン酸菌として、生菌体、湿潤菌、乾燥菌等を適宜使用することができる。そして、プロピオン酸菌として、それぞれを殺菌処理等(加熱殺菌処理、放射線殺菌処理、破砕処理等)した死菌体でも適宜使用することができる。さらに、乳幼児用の調製粉乳(いわゆる、粉ミルク等)の生物学的な規格の有る医薬品および/または飲食品にも、本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤を添加することもできる。また、医薬品および/または飲食品として通常で用いる形態以外の形態によって、様々な医薬品および/または飲食品に応用できる。
本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤は単独で、あるいは医薬品や食品に通常で用いる他の成分と混合して、経口投与することができる。このとき、特に他の皮膚状態の改善効果の有る化合物や微生物等と併用すると、ヒトおよび動物における皮膚状態の改善にとって有効である。本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤を含む医薬品または飲食品の1日あたりの摂取量は、年齢、症状、体重、用途等によって異なるため、特に限定されないが、あえて挙げるなら、0.01〜10000mg/kg体重を摂取することができ、好ましくは0.1〜1000mg/kg体重を摂取することができる。
一方、皮膚状態の改善効果を期待して、特定保健用食品等の特別用途食品や栄養機能食品、乳児用調製粉乳、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、保健機能食品、病者用食品、乳製品、発酵乳等として摂取することもできる。さらに、液状、ペースト状、粉末、固形状等の形態を問わず、各種の飲食品に配合することで、飲食品として摂取することもできる。飲食品として、牛乳、清涼飲料、粉末飲料、発酵乳、乳酸菌飲料、酸性飲料、ヨーグルト、チーズ、パン、ビスケット、クラッカー、ピッツァクラスト、調製粉乳、流動食、病者用食品、栄養食品、冷凍食品、食品組成物、加工食品、その他の市販食品等を例示することができる。本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤を、酸性の医薬品や飲食品の形態とした場合には、そのpHは2.0〜6.0、好ましくは3.0〜5.0に設定することができる。
本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤を動物へ連続的に投与する場合には、栄養剤、飲食品、食餌等として経口投与することもできる。本発明の組成物あるいは皮膚における色素形成阻害剤を、栄養剤、飲食品、食餌等として投与するときには、乳発酵成分とプロピオン酸菌の培養物に加えて、栄養素を付加的に配合することにより、その栄養学的な組成を調整することができる。本発明の付加的な栄養素には、水、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、短鎖脂肪酸、有機塩基、果汁、フレーバー類等を使用することができる。これらの栄養素には、たとえば、次のような成分を利用することができる。
タンパク質:(動物性タンパク質や植物性タンパク質、あるいはそれらの分解物)、全脂粉乳、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、カゼイン、ホエイ、ホエイ粉、ホエイタンパク質、ホエイタンパク質濃縮物(WPC)、ホエイタンパク質分離物(WPI)、α−カゼイン、β−カゼイン、κ−カゼイン、β−ラクトグロブリン、α-ラクトアルブミン、ラクトフェリン、大豆タンパク質、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等
乳由来の脂質や糖類等:バター、乳清ミネラル、クリーム、非タンパク態窒素、シアル酸、リン脂質、乳糖等の各種乳由来成分等
ペプチドやアミノ酸類:カゼインホスホペプチド、コラーゲンペプチド等の各種ペプチド、リジン、アルギニン等の各種アミノ酸
糖類:加工澱粉(デキストリン(マルトデキストリン、難消化デキストリン等)、可溶性澱粉、ブリティッシュスターチ、酸化澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル等)、食物繊維、醗酵グルコサミン、還元麦芽糖、プルラン等
ビタミン類:ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸、エルソルビン酸等
ミネラル類:カルシウム、リン、カリウム、塩素、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレン、クロム、モリブデン等
有機酸類:リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸等
短鎖脂肪酸類:酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸等
脂肪酸エステル:グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等
これらの付加的な栄養素には、化学的に合成した成分や、天然物に由来する成分の、いずれをも用いることができる。そして、最終的に目的とする成分を含む食品を原材料として配合することもできる。これらの成分は、最終的に目的とする栄養剤の組成に合わせて、少なくとも1種あるいは2種以上を組み合わせて配合することができる。その組成物の形態は、固体でも液体でも構わないし、ゲル状あるいは半固形状等に調製することもできる。したがって、それらの栄養剤は、機能性食品として経口投与することもできる。
実際、後述の実施例に示したように、本発明の組成物は、プロピオン酸菌の培養物を含む組成物として摂取することによって、皮膚状態を改善した。したがって、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を配合した機能性食品、あるいは医薬としての組成を有する組成物は、本発明における好ましい態様の1つである。すなわち本発明は、機能性食品、あるいは薬学的に許容される担体に、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を配合する工程を含む、皮膚状態を改善する機能性食品あるいは医薬組成物の製造方法に関する。あるいは本発明は、機能性食品に以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を配合する工程を含む、皮膚状態の改善能を機能性食品に付与する方法を提供する。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
さらに本発明は、以下の栄養素を含む、皮膚状態改善用組成物を提供する。すなわち、
プロピオン酸菌の培養物
乳発酵成分
糖類
等である。
上記組成において、プロピオン酸菌の培養物は、たとえば
(i) 1,4-dihydroxy-2-naphthoic acid(DHNA)またはその類似体、および
(ii)2-amino-3-carboxy-1,4-naphthoquinone(ACNQ)またはその類似体のいずれか、または両方であることができる。また上記組成中の乳発酵成分がタンパク質を含むときには、タンパク質としてさらに付加的に由来の異なるタンパク質を配合することもできる。たとえば、乳発酵成分に加えて、乳成分を配合することができる。本発明の組成物を構成する各成分は、機能性食品として投与する対象の体格、年齢、性別等の諸条件に応じて適宜調整することができる。より具体的には、一般的な組成として次のような組成(100mLまたは100gあたり)を示すことができる。
すなわち、プロピオン酸菌の培養物として 1mg〜22g、通常10mg〜17g、好ましくは10mg〜11g、またはDHNA量で0.01μg〜15mg、通常0.5μg〜10mg、好ましくは0.5μg〜0.1mg配合することができる。加えて、乳発酵成分を0.01g〜100g、通常10g〜90g、好ましくは30g〜80g、より好ましくは50g〜70g配合することができる。
本発明においては、乳発酵成分を加えることによって、組成物の風味や食感等の嗜好性を改良することができる。嗜好性を改良するときには、本発明における組成物の大部分を乳発酵成分とするのが望ましい。したがって、たとえば上に例示したプロピオン酸菌の培養物添加量に加えて、乳発酵成分を配合することによって本発明における組成物とすることができる。具体的には、プロピオン酸菌の培養物1mg〜22g、通常10mg〜17g、好ましくは10mg〜11g、またはDHNA量で0.01μg〜15mg、通常0.5μg〜10mg、好ましくは0.5μg〜0.1mgに加え、1g〜100g、通常30g〜100g、好ましくは50g〜100g、より好ましくは60g〜100gの乳発酵成分を配合することができる。また糖類を0.1g〜20g、通常0.3g〜15g、好ましくは0.6g〜10g配合することもできる。
上述の組成において、DHNAを含むプロピオン酸菌の培養物を配合するときは、当該培養物の量を、DHNA換算で、上記の組成となるように配合することもできる。
本発明の組成物には、ビタミン類、ペプチド類、ミネラル類、有機酸または短鎖脂肪酸、脂肪酸エステルおよび有機塩基からなる群から選択される少なくとも1つの栄養素を付加的に配合することもできる。あるいは、食味や美観の改善等を目的として、香料、甘味料、酸味料、あるいは着色料等を配合することもできる。さらに、皮膚状態の改善作用を有することが知られている公知の成分を付加的に配合することもできる。たとえばコエンザイムQ10やその誘導体は、経口投与によって皮膚状態を改善すると言われている。これらの成分を配合する場合の組成は、機能性食品あるいは医薬組成物として投与する対象の体格、年齢、性別等の諸条件に応じて適宜調整することができる。より具体的には、一般的な組成として次のような組成(100mLまたは100gあたり)を示すことができる。
ビタミン類:0〜20g、通常0〜10g、好ましくは0〜1200mg
ミネラル類:0〜5g、通常0〜3g、好ましくは0〜2g
有機酸あるいは短鎖脂肪酸:0〜5g、通常0〜3g、好ましくは0〜2g
脂肪酸エステル:0〜10g、通常0〜5g、好ましくは0〜3g。
すなわち本発明は上記栄養素を上記の組成で配合する工程を含む、皮膚状態を改善するための機能性食品あるいは医薬組成物の製造方法を提供する。本発明によって製造された機能性食品あるいは医薬組成物には、それを摂取することによって、対象における皮膚状態の改善が促進されることを表示することができる。
本発明の機能性食品あるいは医薬組成物に配合するためのビタミン類として、次のビタミン類を示すことができる。これらビタミン類は、薬学的に許容される塩を配合することもできる。すなわち、
ビタミンA、
ビタミンB1等のビタミンB群、
ビタミンC(アスコルビン酸)やそのナトリウム塩(アスコルビン酸ナトリウム)
等である。
また本発明の機能性食品、あるいは医薬組成物に配合するための糖類は、多糖類あるいは単糖類から選択することができる。また、水溶性糖類のみならず、不溶性糖類を配合することもできる。より具体的には、以下の糖類からなる群から選択される少なくとも1つの糖類あるいはその誘導体を配合することができる。
単糖類としては、たとえばブドウ糖(グルコース)、マンノース、キシロース等があり、二糖類としては、ショ糖(スクロース、砂糖)、ラクトース(乳糖)、マルトース、トレハロース、パラチノース(イソマルツロース)等があり、オリゴ糖としては、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖等があり、多糖類としては、澱粉、デキストリン等がある。また、糖アルコール等としては、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、ラクチトール、還元パラチノース等が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を、たとえば薬学的に許容される担体と配合することによって調製することができる。
(a)プロピオン酸菌の培養物
(b)DHNAまたはその類似体
(c)ACNQまたはその類似体
さらに付加的な成分を配合する場合には、上述した糖類等を担体として、均質に混合して調製する。通常、乳発酵成分とプロピオン酸菌培養物由来のタンパク質が組成物中の糖類の約1%以上の割合となるように、たとえば約30%以上の割合となるように、好ましくは、該組成物中の糖類の70%以上の割合となるように、より好ましくは約100%の割合となるように調製することができる。本発明の組成物を医薬組成物として調製する場合は、1mLあたり0.1〜3kcalとなるように、好ましくは0.7〜2kcalとなるように調整することが望ましい。また混合の際に、ビタミン類やミネラル類、さらに食物繊維からなる付加的な成分の少なくとも1つ以上を添加することもできる。食物繊維は水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられ、両者のいずれを用いることもできる。具体的には、水溶性食物繊維としては、たとえば以下のような成分を示すことができる。すなわち、ペクチン(プロトペクチン、ペクチニン酸、ペクチン酸)、アラビアガム、グァーガム加水分解物、グルコマンナン、ガラクトマンナン、サイリウム、コーンファイバー、アルギン酸、アルギン酸分解物、カラギーナン等である。
本発明の機能性食品あるいは医薬組成物は、液状、半固形状、あるいは乾燥状態で供給することができる。半固形状には、ヨーグルトのようなペースト状のものや、ゲルが含まれる。たとえばペクチン等の増粘剤を配合することによって、ペースト状の組成物とすることができる。あるいは、ゼラチンや寒天で固化させると、ゲル状の組成物を得ることができる。さらに、組成物を乾燥させて、粉末状やタブレットに加工することもできる。乾燥状態の組成物は、そのまま、あるいは水や牛乳等に分散、あるいは溶解させて摂取することもできる。粉末やタブレット状の組成物を、そのまま摂取することもできる。また、グミキャンディー、錠菓等の菓子に含有させて摂取することもできる。
さらに、本発明の組成物は化粧料の形態で利用することもできる。本発明に係る化粧料は、本発明のプロピオン酸菌培養物および/またはその処理物を有効成分として0.01〜10%、好ましくは0.05〜5%(乾燥重量として)配合し、これに常用される化粧用基剤を加えて常法に従い、固体、半固体または液体の形態に製剤化して、一般化粧料、皮膚化粧料とすることができる。
本発明に係る化粧料には、通常の化粧料、皮膚外用剤、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種任意成分(油剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤、乳化剤、顔料、pH調整剤、薬効成分、紫外線吸収剤、香料等)を適宜配合することができる。そして、常法にしたがって、本発明に係る化粧料を製造することができる。
また本発明に係る化粧料は、一般化粧料、皮膚化粧料に限定されるものではなく、医薬部外品、外用医薬品等であることができる。その剤型も、クリーム、乳液、ファンデーション、パック、ローション状、ゲル状、溶液状、スティック状等、その目的に応じて任意に選択することができる。美白、抗炎症、抗酸化、適度の吸湿、保湿を目的とする化粧料として用いる場合、必要量を適宜数回、適用すればよい。
本発明に係る皮膚化粧料は、化粧水、クリーム、乳液、パックその他全ての皮膚化粧料とすることができる。本発明に係る皮膚化粧料には、常法にしたがって皮膚化粧料に常用される基剤、助剤等に有効成分(既述した乳清ミネラル)を適量、たとえば0.001%〜15%、好ましくは0.01%〜10%配合することができる。該有効成分は、食品由来のものである故、本来、毒性に問題はない。本発明に係る皮膚化粧料は皮膚に外用するものであるので、安全性は特に重要である。
本発明に係る皮膚化粧料のうち、化粧水の調製は次のように行うことができる。たとえば、精製水にグリセリン、プロピレングリコール、クエン酸等の保湿剤、pH調整剤等を溶解する。また、界面活性剤、防腐剤、香料等をアルコールに溶解する。両者を混合して可溶化することにより、一般の化粧水を製造することができる。化粧水には、水相部に本発明の有効成分(プロピオン酸菌の培養物等)を0.01%〜10%で含むことができる。
クリームは次のように調製することができる。たとえば、水相部と油相部を調製し、得られた水相部と油相部をそれぞれ加熱して混合、撹拌し、乳化することにより調製することができる。水相部は、精製水に親水性成分を添加することにより調製することができる。親水性成分としては、たとえばグリセリン、ソルビット等の保湿剤が挙げられるが、これらに限定されない。また、油相部は、固形油分、液状油分、油性成分を混合することにより調製することができる。固形油分としては以下が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、ミツロウ、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、高級脂肪酸等である。液状油分としては以下が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、スクワラン、流動パラフィン、各種エステル油油性成分等である。一般のクリームでは、水相部に有効成分(プロピオン酸菌の培養物等)を0.01〜10%で含むことができる。
乳液は次のように調製することができる。たとえば、水相部と油相部を調製し、乳化を行い、これに増粘剤を加えることにより調製することができる。水相部は、精製水にグリセリン、1,3-ブチレングリコ−ル等の保湿剤を加え加熱混合することにより調製することができる。一方、油相部は、固形油分や半固形油分、液状油分に防腐剤、界面活性剤等の油性成分を添加することにより調製することができる。
固形油分としては、ミツロウ、パラフィン等が挙げられるこれらに限定されない。半固形油分としては、ワセリン、ラノリン等が挙げられるこれらに限定されない。液状油分としては、スクワラン、流動パラフィン、各種エステル油等が挙げられるこれらに限定されない。増粘剤としては、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロース等が挙げられるこれらに限定されない。一般の乳液の製造においては、水相部に本発明の有効成分を0.01%〜10%になるように加えて乳液とする。
パックは次のように調製することができる。たとえば、精製水に保湿剤、皮膜剤等を加えて膨潤させ、これに必要があればカオリン、タルク、酸化チタン等の粉末を加える。さらに、香料、防腐剤等を溶解したエタノールを加えてペースト状となるまで混練する。
保湿剤としては、グリセリン、ソルビット等が挙げられるが、これらに限定されない。皮膜剤としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されない。一般のパックの製造においては、本発明の有効成分を0.01%〜10%になるように加えてパックとする。
また、本発明においては、必要ある場合は、防腐剤を添加することもできる。一般的に化粧料の防腐剤として利用されている防腐剤は、本発明の化粧料にも配合することができる。具体的には、防腐剤として、たとえば以下のものを挙げることができる。すなわち、パラオキシ安息香酸エステル、フェノニップ(パラベンのフェノキシエタノール溶液)、フェノキシエタノール、フェノール、レゾルシン、ヒノキチオール、安息香酸またはその塩、サリチル酸またはその塩、ソルビン酸またはその塩、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、フェノール類、酸類、ハロゲン化ビスフェノール類、アミド類、4級アンモニウム化合物、界面活性剤等化粧品業界において常用される各種殺菌剤等である。
パラオキシ安息香酸エステルはパラベンとも称される。パラベンとしては以下が挙げられるが、これらに限定されない。すなわち、メチルパラベン、 エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン等である。
また本発明においては、上述のように得られた化粧水をそのまま使用することができる。また、その処理物を使用することもできる。処理物としては、(減圧)濃縮物、ペースト化物、乾燥物(スプレードライ、フリーズドライ等)、希釈物等が挙げられる。あるいは、当該化粧水やその処理物を化粧料の原料配合成分として各種化粧料に添加配合することもできる。
本発明の組成物あるいは色素形成阻害剤は、好ましい態様において、錠剤(タブレット)の形態とすることができる。すなわち本発明は、タブレットに成型された皮膚状態の改善用組成物に関する。あるいは本発明は、タブレットに成型された皮膚における色素形成阻害剤に関する。タブレットは一般的に、有効成分または有効成分に賦形剤等を加えたものを圧縮成型等の方法により一定の形に製した固形化したものを指す。タブレットの成型方法は当業者に周知であり、たとえば公知の打錠装置を用いて成型することができる。本発明のタブレットはチュアブルとすることもノンチュアブルとすることもできるが、ノンチュアブルが好ましい。
タブレットの寸法や重量は、その摂取形態に応じて適宜設計することができる。一例として、水や飲料で咀嚼することなく嚥下する場合、たとえば直径10mm以下とすることができるが、これに限定されない。あるいは、咀嚼することにより風味を楽しむ錠菓とする場合、直径は25mm以下とすることができるが、これに限定されない。タブレットの寸法はたとえば1mm以上25mm以下とし、好ましくは直径5mm〜15mmが良い。また重量については、たとえば10〜5000mg、好ましくは100〜1000mgが良い。
タブレットの硬度は、その摂取形態に応じて適宜設計することができ、2Kgf以上5kgf以下が好ましい。2kgf未満の場合には、結着力が少なく、錠剤の形を保つことができない。また、5kgfを越える場合には、食する場合に胃内での崩壊性が悪くなる。
本発明のタブレットは、有効成分であるプロピオン酸菌培養物の他に、賦形剤、流動化剤、タンパク質、脂質、糖類、ペプチドやアミノ酸類、ビタミン類、エステル、果汁、色素、香料等を含むことができる。これらの物質の配合量は、たとえば、プロピオン酸菌培養物の200重量部に対して、次の値を挙げることができるが、これに限定されない。
ペプチドやアミノ酸類:たとえば、500〜200000重量部、好ましくは、500〜1000重量部
糖類:たとえば、0.1〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部
エステル:たとえば、0.1〜100重量部、好ましくは1.0〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部
果汁:たとえば、0.01〜500重量部、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜50重量部
色素:たとえば、0.01〜500重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜10重量部
香料:たとえば、0.01〜500重量部、好ましくは0.1〜100重量部、より好ましくは1〜50重量部
タブレットに果汁を添加することにより、タブレットに風味を付与することができる。本発明においては、フルーツ系果汁、ミント系果汁等、当業者に周知の果汁を用いることができる。フルーツ系果汁としては、オレンジ果汁、ミカン果汁、レモン果汁、グレープフルーツ果汁、グレープ果汁、リンゴ果汁、バナナ果汁、洋ナシ果汁、パイナップル果汁、フルーツミックス果汁等を例示することができるが、これらに限定されない。またミント系果汁としては、ペパーミント果汁、スペアミント果汁、ピーチミント果汁、グレープミント果汁、オレンジシトラスミント果汁、りんごミント果汁、ハスカップミント果汁、さくらんぼミント果汁、パイナップルミント果汁等を例示することができるが、これらに限定されない。本発明の果汁は、天然果汁、人工的に合成された果汁のいずれも用いることができる。
また色素としては、
アナトー色素(アナトー、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素)、
ウコン色素(クルクミン、ターメリック色素)、
カラメルI、カラメルII、カラメルIII、カラメルIV(カラメル、カラメル色素)、
イモカロテン、ディナリエラカロテン、ニンジンカロテン等(抽出カロチン、カロチン色素、カロチノイド色素)、
クチナシ青色素、クチナシ赤色素、クチナシ黄色素(クチナシ、クチナシ色素)、
コチニール色素(カルミン酸色素、カルミン酸、コチニール)、
食用タール系色素(食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用青色1号および食用青色2号)、
銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、
ベニコウジ色素、(モナスカス色素、紅麹、モナスカス)
ベニバナ赤色素(カーサマス赤色素)、
ベニバナ黄色素(カーサマス黄色素)
等を例示することができるが、これらに限定されない。
また香料も、当業者に周知のものを用いることができる。たとえば、柑橘系香料(オレンジ、レモン、グレープフルーツ果汁)、フルーツ系香料(パイナップル、ストロベリー、メロン、バナナ等)、ミルク系香料(ミルク、バター、ヨーグルト等)、コーヒー・ココア・チョコレート系香料、茶系香料(紅茶、抹茶、緑茶等)、バニラ香料、ミント系香料(ペパーミント、スペアミント等)、スパイス系香料(しそ、ジンジャー、シナモン、ワサビ等)、ナッツ系香料(ピーナッツ、アーモンド、マロン等)、ミート・魚介系香料(ビーフ、ポーク、チキン、カニ、エビ、カツオ等)、野菜系香料(トマト、コーン、オニオン等)、洋酒系香料(ウィスキー、ブランデー、ワイン、ラム等)、シーズニング系香料(ソース、しょうゆ等)等が挙げられるが、これらに限定されない。また香料の形態としては、水溶性香料、油溶性香料、乳化香料、粉末香料等、当業者に周知の形態とすることができる。
また、流動化剤としては、軽質無水ケイ酸(二酸化ケイ素)が挙げられる。流動化剤の1錠当たりの配合量は、0.5%〜3%であり、好ましくは0.5%〜2.0%である。
また、シェラック等を噴霧して、打錠後の錠剤をコーティングしても良い。
本発明のタブレットに成型された組成物あるいは色素形成阻害剤は、DHNAを安定に含むことができる。本発明の組成物あるいは色素形成阻害剤は、タブレットの形態とすることにより次の効果を得ることができる。すなわち、持ち運びが容易、摂取が容易、一定量の摂取が可能(使用量の適正化、規格化が容易)、散剤等と比較し外見による識別が容易、徐放剤とすることにより持続時間の調整が可能、表面をコーティングすることにより味のマスキングが可能等の効果を期待できる。
なお、本明細書において引用された全ての先行技術文献は、参照として、本明細書に組み入れられる。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕Profec(プロピオン酸菌の培養物)の皮膚機能改善効果および整腸作用に対する効果の評価試験
1.被験者
(選択基準)
慢性的な便秘(排便日数が週平均4日以下)および乾燥皮膚を有する20歳から39歳までの女性。
(除外基準)
(1)妊産婦および授乳中の方
(2)便秘薬を常用している方(便秘のたび服用)
(3)アトピー性皮膚炎の方
(4)重度な心・腎・肝障害、呼吸器疾患、循環器疾患等を有し、組み入れが不適当と考えられる方
(5)牛乳に対するアレルギーのある方
(6)その他、試験担当医師あるいは試験分担医師が不適当と判断した方
(選択者数)
プラセボ食群、試験食2群の計3群
各群32例で計96例
2.試験食に関する情報
(1)試験食
・酸性飲料(プラセボ)(試験食A)
・Profec含有酸性飲料(試験食B)
・Profec含有ヨーグルト飲料(試験食C)
(試験食A)「酸性飲料」(プラセボ)
水にペクチン、乳酸、ヨーグルトフレーバー、ビタミンC、アスパルテームを添加した酸性飲料で、乳成分および乳酸菌は含まない。
(試験食B)「Profec含有酸性飲料」
上記「酸性飲料」にProfec(プロピオン酸菌の培養物)を1%で添加した酸性飲料で、Profec由来以外の乳成分および乳酸菌は含有しない。
(試験食C)「Profec含有ヨーグルト飲料」
ヨーグルトベースミックスに明治乳業株式会社(現;株式会社明治)製「明治ブルガリアヨーグルト」(商品名)より単離した Lactobacillus bulgaricus 2038株ならびに Streptococcus thermophilus 1131株を接種、発酵させヨーグルトを調製した。このヨーグルト(60%)と「酸性飲料」に添加した成分、砂糖を添加し、さらにProfec(プロピオン酸菌の培養物)を1%で添加してヨーグルト飲料を調製した。当該ヨーグルト飲料は乳成分および乳酸菌を含有する。
(Profecの製造方法)
Profec(プロピオン酸菌の培養物)は、乳原料(ホエイ)をエメンタールチーズから分離したプロピオン酸菌(P. freudenreichii ET-3株)で発酵後、殺菌したものである。
(2)保存条件
試験食は10℃以下の冷蔵で保存した。
(3)試験食の摂取量
試験飲料1本(120mL)にDHNA量換算で6.6μg/日となるようProfec(プロピオン酸菌の培養物)を添加して製造した。
(4)摂取頻度
試験食を1日1本(120mL)、4週間摂取した。試験食摂取(朝・昼・夕・食前・食後)は被験者の任意とした。
3.試験方法
(1)試験デザイン
デザイン:二重盲検プラセボコントロール試験
群構成:プラセボ食群、試験食群2群の計3群
各群32例で計96例
(2)被験者の割り付け
試験コントローラーが被験者を3群に割り付けた。その際、試験担当医師が顔面皮膚所見の判定基準に基づいて判定した結果にできる限り偏りが生じないよう留意した。
(3)試験スケジュール
試験食摂取前に、肌検査、採血、便の採取を行った。試験食を4週間摂取し、その後再び肌検査、採血、便の採取を行った。
(4)肌の観察・評価項目
被験者に洗顔後15分間恒温恒湿室(温度20±1℃,湿度42.0±2%)に在室して頂いた後、下記項目について観察・評価した。
1)顔面皮膚所見(全面)
(乾燥、鱗屑、丘疹、面疱、膿疱)
2)顔面肌測定(機器測定:頬部分)
(角層水分量・油分量・経表皮水分蒸散量・弾力性・pH)
3)顔面肌解析(画像解析:全面)
(キメスコア・色素沈着)
4)テープストリッピングによる角層採取(前腕内側部分)
(セラミド量・サイトカインIL-1ra/IL-1α、IL-8、TNF-αの測定)
5)肌状態に関するアンケートの記入(試験食摂取前後)
6)便菌叢解析(ビフィズス菌数、バクテロイデス菌数)
7)便中腐敗産物量(インドール、p-クレゾール、フェノール、スカトール)
肌解析については株式会社インフォワードにて実施した。テープストリッピングによる角層試料のセラミド・サイトカイン量測定、便菌叢解析、便中腐敗産物量測定は明治乳業株式会社(現;株式会社明治)にて実施した。
(5)禁止・制限事項
試験期間中(試験開始日から試験食摂取期間4週間終了まで)は、下記事項を禁止・制限した。
1)美容目的で新たに治療薬を内服することおよび観察部位へ外用薬を使用すること。ただし、試験開始前から行っている場合は継続使用を可とした。
2)美容目的での観察部位へのケミカルピーリング、レーザー治療、光線療法等の治療。
3)新たにサプリメントを摂取すること。
4)試験食以外の乳酸菌を含む食品(ヨーグルト、発酵乳等)およびオリゴ糖を含む食品の摂取。ただし、サプリメント(アミノ酸、ビタミン剤等)を常用している場合は継続使用を可とした。
4.評価方法
摂取前後の変化量(率)における3群間の多重比較検定(Tukey-Kramer法)と摂取前後の群内比較検定を行った。
具体的には、離散データ(スコア、回数、個数で表記されるデータ)については全て「ウィルコクソン符号付順位和検定」を行い、連続データ(測定値)については、各データの正規性検定の結果に基づいて、「対応のあるt検定」あるいは「ウィルコクソン符号付順位和検定」を行った。
(皮膚機能評価)
・角層水分量の変化
・油分量の変化
・経表皮水分蒸散量(Transepidermal Water Loss:TEWL、経表皮水分喪失量とも言う)の変化
・弾力性の変化
・キメスコアの変化
・色素沈着(数・面積)の変化
・pHの変化
・肌状態に関するアンケート調査(摂取前後の変化)
・角層セラミド・サイトカイン(IL-1ra/IL-1α、IL-8、TNF-α)量の変化
(顔面肌測定:機器測定)
・角層水分量: Corneometer CM825(Courage + Khazaka electronic GmbH)
・油分量: Sebumeter SM810(Courage + Khazaka electronic GmbH)
・経表皮水分蒸散量: VapoMeter(Delfin Technologies)
・弾力性: Cutometer MPA580(Courage + Khazaka electronic GmbH)
・pH: Skin PH-meter PH900(Courage + Khazaka electronic GmbH)
(整腸作用評価)
・便の菌叢(ビフィズス菌、バクテロイデス菌)の変化
・便の腐敗産物測定(フェノール・p-クレゾール・インドール・スカトール)
・排便日数の変化(日誌)
5.結果
(1)統計解析対象症例
試験食A摂取群 30名、試験食B摂取群 28名、試験食C摂取群 28名 の計 86症例
解析にあたり除外された症例
a)脱落例
試験職摂取開始前の来院以降一度も検査来院しなかった、あるいは被験者の非協力により脱落した症例を脱落と判断した。また、試験食摂取期間中の未摂取日が全摂取日数の10%(確率)に達した症例を脱落と判断した。本実施例においては、6例(試験食A摂取群:2名、試験食B摂取群:2名、試験食C摂取群:2名)を脱落として解析から除外した。
b)中止例
本実施例では、試験期間中に妊娠が判明した1名(試験食B摂取群)を中止事例とし、解析から除外した。
c)試験結果に影響を及ぼすと考えられる事項があった症例
3例(試験食B摂取群:1名、試験食C摂取群:2名)について腸内フローラに影響を及ぼす可能性のある薬剤の使用があり評価対象から除外した(整腸剤使用:2例、抗生物質使用:1例)。
(2)皮膚測定結果の群内経時比較
皮膚測定結果のそれぞれの測定項目について、群ごとに試験開始時と4週間摂取後の測定結果間で「対応のあるt検定」あるいは「ウィルコクソン符号付順位和検定」を行った。
・試験食A(プラセボ)摂取群
経表皮水分蒸散量、粘弾性、皮膚pHについて有意に改善した。
・試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群
角層水分量、粘弾性、皮膚pHが有意に改善した。
・試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群
角層水分量、粘弾性、皮膚pHが有意に改善した。
各試験食接触前と後における角層水分量の比較結果を図1に示す。試験食B、C摂取群において、接触前と比較し角層水分量が有意に改善した(p<0.05)。これに対し、Profecを含まない試験食A摂取群では、角層水分量の有意な改善は認められなかった。
角層水分量の測定には、キャパシタンス測定法を用いた。Courage + Khazaka electronic GmbHのコルネオメーター(登録商標)により、水の誘電定数がその他の物質の誘電定数と著しく異なることを利用して、主に角層の水分量に応じて異なる静電容量(キャパシタンス)から角層水分量を間接的に算出した。単位は角質水分量(arbitrary unit;AU)で表現される(現場レベルでの皮膚測定・評価〜トラブル事例・対策〜サイエンス&テクノロジー株式会社(2007)第8章)。
(3)皮膚測定結果の群間比較
各群の皮膚測定結果Δ(開始時測定値−4週後測定値)について群間比較を行った。
結果、試験食A(プラセボ)摂取群と比較して、試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群および試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群が、角層水分量において有意に改善した。
(4)画像解析結果の群内経時比較
画像解析結果のそれぞれの項目について、群ごとに試験開始時と4週間摂取後の解析結果の間で「対応のあるt検定」あるいは「ウィルコクソン符号付順位和検定」を行った。
(色素沈着小:0.6〜1.2mm2、大:1.2mm2以上、I〜III:色素濃度I<II<III)
・試験食A(プラセボ)摂取群
色素沈着大II(個数・面積)が有意に悪化した。
・試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群
キメが有意に改善した。
・試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群
キメ、色素沈着大II(個数)、大III(個数)が有意に改善した。
各試験食摂取前と後におけるキメスコアの比較結果を図2に示す。試験食B、C摂取群において、摂取前と比較しキメスコアが有意に改善した(p<0.05)。これに対し、Profecを含まない試験食A摂取群では、キメスコアが悪化した。
キメスコアとは、全顔画像撮影・画像解析システム(ロボスキンアナライザー、株式会社インフォワード製)のモノクロ画像における暗部を皮溝、明部を皮丘とし、明部暗部をそれぞれ強調処理して二値化した結果が、一辺0.4mmの正三角形のキメモデルを100とし、頬部上下2カ所(頬骨をほほ部上に設定)の平均を求めたものである。
(5)画像解析結果の群間比較
各群の画像解析結果Δ(開始時測定値−4週後測定値)について群間比較を行った。
キメについては、試験食A(プラセボ)摂取群に比較して、試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群および試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群において有意に改善した。また、色素沈着大II(個数)、大III(個数)、大II(面積)について、試験食A(プラセボ)摂取群に比較して、試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群において有意に改善した。
(6)アンケート調査結果の群内経時比較
19項目にわたる肌に関するアンケート調査を摂取前後で実施した。各項目ごとにスコア化した結果をもとに、摂取前後で「ウィルコクソン符号付順位和検定」を行った。各群で有意に改善した項目を列挙する。
・試験食A(プラセボ)摂取群
つや、はり、くすみ、たるみ、乾燥、ファンデーションののり、むくみ 計7項目
・試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群
つや、はり、くすみ、しみ、毛穴目立ち、キメ、しわ(口元)、乾燥、べたつき、透明感、ファンデーションののり、くま 計12項目
・試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群
つや、はり、くすみ、たるみ、しわ(額)、しわ(目元)、乾燥、透明感、ファンデーションののり、むくみ 計10項目
(7)アンケート調査結果の群間比較
各群のアンケート調査結果Δ(4週後調査スコア−開始時調査スコア)について群間比較を行った。
結果、べたつきについて、試験食A(プラセボ)摂取群に比較して、試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群が有意に改善した。また、しわ(額)について、試験食A(プラセボ)摂取群に比較して、試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群が有意に改善した。
(8)排便回数の群内経時比較
摂取前2週間の平均排便回数と摂取期間中の平均排便回数を「ウィルコクソン符号付順位和検定」で比較した。
・試験食A(プラセボ)摂取群
排便回数 3.7±1.2 → 4.7±2.3
・試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群
排便回数 3.6±1.2 → 4.3±1.6(有意に改善)
・試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群
排便回数 3.9±1.0 → 5.0±1.9(有意に改善)
各試験食摂取前と後における排便回数の比較結果を図3に示す。試験食B、C摂取群において、摂取前と比較し排便回数が有意に改善した(p<0.05)。これに対し、Profecを含まない試験食A摂取群では、排便回数の有意な改善は認められなかった。
(9)排便回数の群間比較
各群の排便回数変化Δ(摂取前2週間の平均排便回数−摂取期間中の平均排便回数)について群間比較を行った。
結果、3群間に有意な差は見られなかった。
〔実施例2〕角層サイトカインの測定
測定の目的
顔面等の露光部では、衣服に隠れている非露光部に比べ、微弱な炎症状態にあることが知られている。そこで、テープストリッピングにより角層サンプルを採取し、角層中の炎症性サイトカイン(IL-1α、IL-1ra、IL-8、TNF-α)を測定した。特にIL-1ra/IL-1αは露光部、UV照射部位やアトピー性皮膚炎病変部等で増加しているとの報告がある。そのため、これらのサイトカインを皮膚の炎症状態の指標として評価した。IL-8やTNF-αはニキビやシミとの関連が知られている。
測定方法
採取したテープ(PPSテープ2.5×4cm、3枚)を小さく切り、0.1%のTween 20を含むPBS 1.5mLが入ったエッペンチューブ(2mL容)に入れ、超音波処理(on ice)を行った。超音波処理(15分)によりテープから可溶性タンパクがPBS中に溶出される。抽出後、テープを取り出し、遠心(15000xg、1分、4℃)し、上清1mLを得た。上清中のタンパク濃度をMicro BCA protein assayで測定し、サイトカイン(IL-1α、IL-1ra、IL-8、TNF-α)を測定した。IL-1αとIL-1raは比率をとり、IL-8とTNF-αはタンパク量で補正した。
結果
IL-1ra/IL-1α比率は、試験食に関わらず、摂取前後で差が認められなかった(図4)。摂取前に対する摂取後の増加率(摂取後/摂取前)は、試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料:Profec+Yo)摂取群で最も小さかった。角層中のIL-8は試験食A(プラセボ)摂取群において、摂取前後で有意に増加した(図5、p<0.05, ウィルコクソン符号付順位和検定)。試験食A(プラセボ)摂取群以外の群では、摂取前後でIL-8濃度に変化はなかった。IL-8の増加率(摂取後/摂取前)について3群間で群間比較を行ったが、統計学的に有意な差は認められなかった。TNF-αは検出されない人が多く、摂取前後の産生量、増加率のいずれについても、群間比較の結果有意差は認められなかった(データ非掲載)。試験期間中、季節の変化により紫外線が多くなったことが、試験食A(プラセボ)摂取群の角層IL-8の増加に影響した可能性が考えられた。一方、試験食B(Profec含有酸性飲料)摂取群および試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料)摂取群では有意なIL-8の変化は認められなかった。このことから、季節性の変化による炎症を抑制した可能性が示唆された。
〔実施例3〕菌叢解析
測定の目的
試験期間の前後に被験者に提出してもらった糞便サンプル中のBifidobacterium属およびBacteroides属菌の菌数の変動を解析した。より具体的には、Bifidobacterium属菌の菌数の増加、またはBacteroides属菌の菌数の相対的な減少が見られるか否かについて検討した。
材料・方法
糞便を常温で溶解して全体を均一に混合した後、20mg分をチューブに分取し、ASL試薬700μLと混合して暫く静置した。これをtissue lyser(QIAGEN)を用いて2500rpmの条件下15分間激しく振とうした。引き続き、70℃湯浴に10分間浸けた後、15000rpm、10分間遠心した。上清を別のチューブに回収してInhibit EXを入れて即座に1分間ボルテックスし、15000rpm、3分間遠心した。その後、上清を回収してさらに15000rpm、3分間遠心して核酸粗精製液を得た。
この溶液をQIA cube(QIAGEN)にセットし、機械による自動操作によってDNA精製液を抽出し、この液を10倍希釈したものをPCRテンプレートとして使用した。
16S rDNA量の解析にはABI 7300 real-time PCR Systemを用いた。Bifidobacterium属標準試料にはB.longum 基準株(OLB6125)、Bacteroides属標準試料にはB.vulgatus基準株(OLB7086)から抽出したDNA溶液を用い、105cells/gを検出限界として菌数を算出した。
結果
全88名の被験者の試験期間前後の糞便計176サンプルについてBifidobacterium属およびBacteroides属菌の菌数(cfu/g)を解析し、各群に分けて比較した。0週および4週時でのプラセボと各群との差、各群の0週と4週との差について有意差検定を実施した。その結果、Bifidobacterium属およびBacteroides属のいずれにおいても、菌数に有意な差は見られなかった。なお、試験食A(プラセボ)群はn=29、試験食B(Profec含有酸性飲料:profec)群はn=29、試験食C(Profec含有ヨーグルト飲料:profec+yogurt)群はn=30である。
次に、Bifidobacterium属とBacteroides属の菌数比(Bifidobacterium属/Bacteroides属)を比較した。しかし有意な差は見られなかった。
さらに、0週時のBifidobacterium属菌の菌数の多寡によって被験者を層別に分けて解析した。その結果を以下に示した。
i試験開始時の菌数が10 10 cfu/g以下の被験者のみを抽出した場合
Profec摂取群ではBifidobacterium属菌の菌数が増加する傾向が見られた(p=0.058)。
Figure 0005954828
ii試験開始時の菌数が10 10 cfu/g以上の被験者のみを抽出した場合
プラセボ摂取群では有意にBifidobacterium属菌の菌数が減少した(p=0.013)。一方、Profec摂取群では菌数に有意な差は見られなかった。
Figure 0005954828
考察
以上の解析結果より、Profecが、初発ビフィズス菌数が多い人においてはその減少を抑え、初発ビフィズス菌数が比較的少なめの人においてはそれを増加させる効果を有する可能性があることが示唆された。また、初発菌数によって被験者を層別に分けたうえで、それぞれの層について、Bacteroides属の菌数に対するBifidobacterium属菌の菌数の比を解析した。しかしいずれの群においても、それぞれの層の間に有意な差は見られなかった。
以下に、実施例1〜3の実験結果に関して考察する。
1. Profecによる整腸作用
整腸作用の評価において、摂取前後の排便回数を比較すると、プラセボ群では有意な変化は見られなかった。しかしProfec摂取群においては、排便回数の有意な増加が観察され、整腸作用の改善が認められた。また、摂取前に便中のビフィズス菌数が少なかった被験者において、Profec摂取によってビフィズス菌数の増加傾向が認められた。このようにProfec摂取によって、一定の整腸効果が認められた。
2. 季節変化の影響要因(プラセボ摂取群の変動)
本実施例は、2月から4月にかけて実施され、試験期間中に季節は冬から春に移行した。冬から春にかけて、季節が大きく変化(気温・湿度の上昇、紫外線量の増加)するため、角層細胞のターンオーバーに変調をきたすことが多い。一般に女性の間では、春は肌トラブルが多い季節であると認識されている。そのため、本実施例において季節変動が試験結果に与えた影響を、プラセボ摂取群の変化から言及する。
2-1. プラセボ摂取群におけるターンオーバーの遅延
プラセボ飲料の摂取前後の変化で最も顕著な変化が、経表皮水分蒸散量(TEWL)の改善であった。TEWLは体内から蒸発する水分の量を測定することによって、皮膚のバリア機能を評価する指標である。TEWLが高いとはバリアが壊れて水分がたくさん逃げている状態を表し、一般に好ましくない。そのため、この値が減少するとバリア機能が改善したと評価することができる。ただし、この指標のみにより皮膚状態を判断すると、大きな誤りに陥ることがある。
たとえば、加齢によりターンオーバーが低下して角層が厚く貯留すると、見かけ上TEWLが改善する(値が小さくなる)ことがある。このような状態は高齢者に多く見られる。しかし、高齢者の皮膚では角層水分量が低く乾燥状態であることが多い。
また、必ずしもTEWLが高いことが悪い状態と言えない場合もある。赤ちゃんの肌は、TEWLが高い。しかし赤ちゃんの肌では角層水分量が高く非常にうるおっており、美容上ベストな状態と認識されている。このように、TEWLのみにより皮膚状態を一概に判断することはできない。角層水分量等、他のパラメータも含めて、総合的に判断することが重要である(現場レベルでの皮膚測定・評価〜トラブル事例・対策〜サイエンス&テクノロジー株式会社(2007)第24章)。
このような点を考慮した上で、本実施例の結果を検討すると、プラセボ摂取群のTEWL測定値は摂取前の20.5±6.6g/m2・hから、摂取後の18.7±5.9g/m2・hと変化し、統計学的に有意な差が見られた。しかし、プラセボ摂取群では角層水分量は摂取前後で有意に改善しておらず、キメについては悪化傾向を示した(p<0.1)。この結果を総合的に判断すると、プラセボ摂取群において季節変化の影響を受けた可能性、つまり、季節の変化に伴ってターンオーバーの遅延が起こった可能性が推測される。
2-2. プラセボ摂取群における色素沈着の悪化
TEWLの改善の次にプラセボ摂取群で認められた顕著な変化としては、色素沈着の悪化(画像解析)がある。シミは、紫外線によって活性化したメラノサイトがメラニンを作ることによって生じる。画像解析の結果から、プラセボ摂取群では大きくて濃いシミ(大II、III)がさらに大きくなり、その数も増えると言う結果が得られた。さらに、紫外線によってケラチノサイトでの産生量が上がることが知られている炎症性サイトカイン(IL-8)が、プラセボ摂取群の角層中で有意に増加した。これは本実施例を実施した2月〜4月にかけて紫外線量が増加した影響を受けた結果を裏付けるデータと言える。
さらに、プラセボ摂取群でターンオーバーが遅延したことにより、メラニンの排出遅延(排出抑制)が起こった可能性も考えられる。通常メラノサイトによって作られたメラニンはケラチノサイトに蓄積されるため、シミと認識される。プラセボ摂取群ではターンオーバーが遅延したため、ケラチノサイトが剥離する前にメラニンが増殖し、シミが成長した可能性も考えられる。
3. Profecによる肌質改善効果
肌解析(機器測定・画像解析)において、角層水分量とキメスコアが、プラセボ摂取群と比較して、Profec摂取群で有意に改善した。被験者の実感を表すアンケート調査においては、毛穴の目立ち、キメ、シワ、透明感が改善された。これら4項目は女性が最も気にする肌トラブルであり、表現は異なるものの、いずれも角層の正常なターンオーバーの維持と角層水分量の改善によって実感が導かれる項目である。前述の通り、本実施例を実施した期間中の季節変動により、ターンオーバーの遅延が起こった可能性がある。本実施例ではターンオーバーを表す指標を測定していないが、角層水分量とキメスコアの値が改善されていることに加え、それら測定値と密接に関係しているアンケート指標(毛穴の目立ち、キメ、シワ、透明感)においても改善効果が認められていることから、Profecにはターンオーバーの正常化作用がある可能性が示唆される。
以下に、各アンケート項目と角層水分量、キメスコアおよびターンオーバーとの関係について述べる。
3-1. 毛穴の目立ち
毛穴の目立ちとは、「毛穴出口の周囲がすり鉢状にくぼんでおり、そこが影となり毛穴として認識されること」である。毛穴の窪んだ部分の角層はターンオーバーが異常な状態(不全角化状態)であることが知られている(Fragrance J. 35(1):p19, 2007)。このような不全角化状態は皮脂中の不飽和脂肪酸によって誘発される。本実施例では角層のターンオーバーを測定した結果はなく、皮脂量にも変化はなかった。しかし、Profec摂取群で皮膚pHが摂取前のpH6.0から摂取後にpH5.5へと変化したことから、皮脂の組成が変化したことが示唆される。Profecの摂取により、皮脂組成が改善し、毛穴部分の角層のターンオーバーが改善され、その結果毛穴が目立たなくなった可能性が考えられる。
3-2. キメ
皮膚の表面形態を表す指標として、キメがある。皮膚を観察すると、網目状に細かい溝が走っており、溝に囲まれた部分は三角、菱形あるいは四角形になっている。この溝のことを皮溝と言い、皮溝に囲まれた部分を皮丘と言う。一般にキメの細かい肌と言った場合には、皮溝は狭く浅くなっており、皮丘は規則正しい形状となっている。逆に、皮溝が広く深いほど、皮丘が目立つ。さらに、皮丘が不揃いの形状になると、皮膚表面の触感はざらついたものとなり、キメの粗い肌となる。正常なターンオーバーが維持され、角質細胞が正常に終末分化(角化)を迎えることにより、角化細胞の形状は均一になり、保水力の高い健康な角層が形成される。これを、キメが整うと言う。
本実施例においては、キメを表す指標が改善していることに加え、角層水分量が有意に増加している。今回の試験で認められたProfec摂取群におけるキメスコア(画像解析)の改善結果は実感を伴った改善作用といえる。
3-3. シワ
皮膚が乾燥し、角層が厚くなり、角層の剥離が正常に進行しないと浅いシワの原因となる。角層のターンオーバーを調節し、十分に保湿すれば、浅い、細かいシワは消失すると言われている(アンチ・エイジングシリーズ No.2 皮膚の抗老化最前線、株式会社 エヌ・ティー・エス (2006))。そのため、シワは、角層水分量が改善されることに伴い改善された可能性がある。
3-4. 透明感
透明感の高い皮膚はキメが深くかつ細かく整っており、角層水分量が多く、メラニン量、ヘモグロビン量が少ないことが示されている(Fragrance J. 35(2):p18, 2007)。本実施例においては、Profec摂取群で角層水分量とキメスコアの有意な改善効果が認められた。これが透明感の向上へとつながったと考えられる。
4. 色素沈着(シミ)
先述の通り、季節性の変化により、紫外線量が増加した結果、プラセボ摂取群でシミが増加・拡大したと考えられる。一方Profec摂取群ではシミの積極的な改善効果は認められていない。しかし、Profec摂取群では、プラセボ摂取群で認められた顕著なシミの増加・拡大も認められなかった。アンケートのシミの項目においても、Profec摂取による有意なシミの改善効果が示されている。このようなProfecによるシミの成長抑制効果の作用機作として、皮膚の炎症抑制作用とチロシナーゼ活性抑制作用、ターンオーバーの改善(遅延抑制)が考えられる。
本実施例で測定した角層の炎症性サイトカインの測定結果によると、プラセボ摂取群ではIL-8が有意に増加したが、Profec摂取群ではIL-8の産生量は変化しなかった。この結果は先の画像解析結果と良く一致する。Profecは、IL-8の産生を抑制することによってシミの成長(増加・拡大)を抑制したと考えられる。このようなProfecによる炎症抑制効果は、動物実験でも確認されている。また、Profecに含まれるDHNAの作用により、in vitroにおいてチロシナーゼ活性の抑制効果が確認されている。経口摂取したProfec中に含まれるDHNAが血中に移行し、直接メラノサイトに作用した可能性も考えられる。さらにProfec摂取群におけるターンオーバー遅延抑制によって、メラニンが増殖する前にケラチノサイトが剥離し、シミの成長が抑制されたことも一因と考えられる。
プラセボ摂取群では色素沈着が悪化したのに対して、Profec含有酸性飲料摂取群においては、色素沈着の変化はみられなかった。しかし、Profec含有ヨーグルト飲料摂取群においては、色素沈着の個数、面積に摂取前後で有意な改善がみられた。これについては、乳酸菌を含めたヨーグルトの成分が色素沈着の改善に寄与した可能性が示唆された。免疫細胞のマクロファージの活性化が、シミ等の色素沈着の改善に寄与することは知られている。色素沈着の個数、面積の有意な改善は、乳酸菌を含めたヨーグルトに含まれる成分がマクロファージを含めた免疫細胞の活性化によってもたらされた結果である可能性も示唆される。
本実施例は、人の皮膚のターンオーバーの1回にあたる4週間を摂取期間として設定した。食品による皮膚の評価は通常8週間から12週間の摂取期間を設定することから、効果を十分に評価するには摂取期間が短かった可能性も考えられる。それにもかかわらず、以上に述べた効果が見られたことから、Profecの皮膚への改善効果は非常に高いと考えられる。
〔実施例4〕DHNAのメラニン産生抑制効果の評価
目的
一般的にメラニンは、シミのもとになるため、美肌の観点からは疎まれている。そのため、メラニン合成阻害能を有する美白素材を含む化粧品が多数開発されている。ベンゼン環に2個の-OH基がついているハイドロキノンは現在最も強力な美白剤として知られており、「肌の漂白剤」とも言われている。しかし、あまりに強力すぎるために肌が白く脱色されてしまう等の理由から、使用には医師の処方が必要となる。一方アルブチンはハイドロキノン配糖体で、ハイドロキノンほどの効果がないため市販の美白剤に配合されている。株式会社明治製Profecに含まれるDHNAおよびACNQのメラニン産生抑制効果を、チロシナーゼ活性阻害効果とメラノーマ細胞によるメラニン産生抑制効果の観点から調べた。
試薬調製(チロシナーゼ活性阻害試験)
サンプルとしてDMSOに溶解したDHNAとACNQ、また陽性対照としてDMSOに溶解したPTU(フェニルチオ尿素)、0.1M リン酸バッファー(pH6.8)に溶解したコウジ酸(Kojic acid)とアルブチン(Arubutin)を、それぞれ添加前の濃度で2μM〜200mM調製し(ACNQのみ2μM〜20mM)、実験に供した。反応液中の濃度すなわち最終濃度はそれぞれ0.1〜10000μM(ACNQのみ0.1〜1000μM)であり、反応液中のDMSO濃度は5%である。
アッセイ培地調製(メラニン産生試験)
基礎培地として、10%のFCS-EMEM(抗生物質含有)を用いた。サンプル(DHNA、ACNQ)および陽性対照(PTU、Arubutin、Kojic acid)、陰性対照(PBS、DMSO)を含む培地は、それぞれ、最終濃度がDHNAは1nM〜100μM、ACNQは1nM〜10μM、陽性対照は100μM、陰性対照は0.1%になるよう、基礎培地で希釈して調製した。
チロシナーゼ活性阻害効果の評価
(方法)
測定方法はYoshikawaらの方法(Yoshikawa M, Biosci. Biotechnol. Biochem., 69(12): 2368-73, 2005)に若干の変更を加えて行った。また、反応は全て96well plateにてtriplicateで行った。
まず、基質として、2mM L-DOPA 50μLに90μLの0.1M Phosphate buffer(pH6.8)とサンプル10μLをwell内で混合し、37℃で5分間プレインキュベートした。次に0.1M Phosphate buffer(pH6.8)で100 unit/mLに調製したTyrosinase(mushroom由来、Sigma)を50μL加え、37℃で15分間インキュベートした後、吸光度(405nm)を測定した。
(結果)
リン酸バッファーを100としたときの各濃度の活性を評価した。溶媒のDMSO(最終濃度5%)によって活性が2〜3割低下するが、DHNAによって濃度依存的に活性が阻害されることがわかった。DMSOと比較した場合、DHNA の濃度が10μM以上において顕著な効果があると言えた。一方、ACNQは濃度依存的な阻害活性はみられず、DMSOと比較し、チロシナーゼ活性をほとんど阻害していないことがわかった。
チロシナーゼ阻害能を有することが知られている陽性対照のPTU、コウジ酸、アルブチンの結果について述べる。PTUについては、1μM以上の濃度において活性が急激に落ちた。そこで、0.1〜1μMの間で濃度を振りなおし、再測定したところ、この濃度範囲では濃度依存的な阻害活性がみられた。
コウジ酸は、0.1〜100μMの範囲では、陰性対象であるリン酸バッファーと有意差はなかった。DHNAと比較すると、濃度10000μMではコウジ酸の方が高い阻害活性を有するが、濃度100〜1000μMでは、DHNAの方が高いことがわかった。一方、ハイドロキノン配糖体であるアルブチンは、濃度依存的なチロシナーゼ活性の顕著な阻害活性はみられなかった。この結果から、アルブチンよりもDHNAの方が強いチロシナーゼ活性の阻害効果があると言えた。
メラニンの産生抑制効果の評価
(アッセイ方法)
B16株を1.9×105cfu/wellで12well plateに接種し、一晩で培養した。翌日に試料を含む培地(10%のFCS-EMEM)に交換し、3日間培養した。培養の終了日に、PBSで細胞を洗浄し、1N NaOH を500μL/well添加することにより細胞を溶解した。溶解した細胞液を96well plateに1サンプルにつき100μL/well×3wellずつ移し、吸光度(405nm)でメラニン量を測定した(Curto EV, Biochem. Pharmacol., 57: 663-672, 1999, Dooley TP, Skin Pharmacol., 7: 188-200, 1994, Virador VM, Anal. Biochem., 270: 207-219, 1999)。
(結果)
アッセイ結果を図6に示した。DHNAやACNQ等を溶解している溶媒(DMSO)は最終濃度を0.1%に調整しているため、DMSOによるメラニンの産生阻害は見られなかった。DHNAおよびACNQはいずれも、1nMでDMSO(溶媒対象)の6割程度のメラニン量しか産生されておらず、陽性対照の100μMのアルブチンやコウジ酸およびPTUよりもメラニン生成抑制効果が強いことが示唆された。
上記のメラニンの産生抑制効果は、DHNAまたはACNQによる細胞毒性によるものであることが疑われた。そのため、同時に細胞増殖能を測定した。しかしいずれのサンプルについても、基礎培地(Medium)のみの増殖と同等あるいはそれ以上の増殖活性が認められた(データ非掲載)。そのため、DHNAおよびACNQのメラニン産生抑制効果は細胞毒性効果によるものではないことが確認された。
(考察)
DHNAおよびACNQにはメラニンの産生抑制効果が認められた。しかしチロシナーゼ活性に対する作用は両者では異なることがわかった。すなわち、DHNAはチロシナーゼ活性阻害を介する作用機序で、メラニンの産生を抑制するのに対して、ACNQはチロシナーゼ活性阻害を介する以外の作用機序でメラニンの産生を抑制することが、本実施例によって明らかとなった。
〔実施例5〕プロピオン酸菌培養物のタブレットの作製(1)
魚鱗コラーゲンペプチドを721重量部、醗酵グルコサミンを8.1重量部、アルギニンを4.1重量部、還元麦芽糖を32.9重量部、および粉末状のプロピオン酸菌培養物(DHNA:81μg/g)を200重量部として、流動層造粒機(フロイント産業社製)に入れて混合・加熱したところへ、プルランの3.0重量部を温水100重量部に溶解したプルラン水溶液を用意して、そのプルラン水溶液を造粒機内で噴霧して造粒した。その噴霧・造粒が終了した後に、水分が3%になるまで乾燥してから冷却し、14メッシュの篩を通過させ、大きな顆粒を除いた。そして、そこへHLB値が2.1のグリセリン脂肪酸エステルを20重量部、L-アスコルビン酸ナトリウムを10.9重量部で添加して、均一に混合した。その得られた混合粉体を打錠機(畑鐵工所社製)により、硬度が3kgfになるよう圧縮成型し、一粒の重量が0.25g、直径が8mmの円形状の錠剤(タブレット)を製造した。製造した錠剤を23℃で、6ヶ月の経過観察をした結果、98%(確率)以上のDHNAが残存することから、錠剤でも有効成分は安定に存在することを確認した。また、錠剤の水分がゼロの状態での配合表は、下記の通りである。
配合表1
--------------------------------------------------
成分名 配合率(%)
--------------------------------------------------
魚鱗コラーゲンペプチド 72.1
醗酵グルコサミン 0.8
アルギニン 0.4
プロピオン酸菌培養物粉末 20.0
還元麦芽糖 3.3
プルラン 0.3
L−アスコルビン酸ナトリウム 1.1
グリセリン脂肪酸エステル 2.0
--------------------------------------------------
合計 100.0
〔実施例6〕プロピオン酸菌培養物のタブレットの作製(2)
魚鱗コラーゲンペプチドを706重量部、醗酵グルコサミンを8.1重量部、アルギニンを4.1重量部、還元麦芽糖を21.9重量部、および粉末状のプロピオン酸菌培養物(DHNA:81μg/g)を200重量部として、流動層造粒機(フロイント産業社製)に入れて混合・加熱したところへ、プルラン3.0重量部、オレンジ果汁10.9重量部とカロチン色素5.0重量部を温水100重量部に溶解したプルラン溶液を用意して、そのプルラン溶液を造粒機内で噴霧し、造粒した。その噴霧・造粒が終了した後に、水分が3%になるまで乾燥してから冷却し、14メッシュの篩を通過させ、大きな顆粒を除いた。そして、そこへHLB値が2.1のグリセリン脂肪酸エステル20重量部、L-アスコルビン酸ナトリウム10.9重量部と、粉末オレンジ香料10重量部を添加して、均一に混合した。その得られた混合粉体を打錠機(畑鐵工所社製)により、硬度が10kgfになるよう圧縮成型し、一粒の重量が1.0g、直径が15mmの円形状の錠剤(タブレット)を製造した。製造した錠剤を23℃で、6ヶ月の経過観察をした結果、プロピオン酸菌培養物中の98%(確率)以上のDHNAが残存することから、錠剤でも有効成分は安定に存在することを確認した。また、錠剤の水分がゼロの状態での配合表は下記の通りである。
配合表2
--------------------------------------------------
成分名 配合率(%)
--------------------------------------------------
魚鱗コラーゲンペプチド 70.6
醗酵グルコサミン 0.8
アルギニン 0.4
プロピオン酸菌培養物粉末 20.0
還元麦芽糖 2.2
オレンジ果汁 1.1
カロチン色素 0.5
粉末オレンジ香料 1.0
プルラン 0.3
L−アスコルビン酸ナトリウム 1.1
グリセリン脂肪酸エステル 2.0
--------------------------------------------------
合計 100.0
〔実施例7〕プロピオン酸菌培養物のタブレットの作製(3)
魚鱗コラーゲンペプチドを721重量部、醗酵グルコサミンを8.1重量部、アルギニンを4.1重量部、還元麦芽糖を51.0重量部、粉末状のプロピオン酸菌培養物(DHNA:81μg/g)を200重量部、二酸化ケイ素16.0重量部を加えて、V字混合機で均一に混合した。その得られた混合粉体を打錠機(畑鐵工所社製)により、硬度が8.0kgfになるよう圧縮成型し、一粒の重量が0.25g、直径が8mmの円形状の錠剤(タブレット)を製造した。製造した錠剤を23℃で、6ヶ月の経過観察をした結果、プロピオン酸菌培養物中の98%(確率)以上のDHNAが残存することから、錠剤でも有効成分は安定に存在することを確認した。また、錠剤の水分がゼロの状態での配合表は下記の通りである。
配合表3
--------------------------------------------------
成分名 配合率(%)
--------------------------------------------------
魚鱗コラーゲンペプチド 72.1
醗酵グルコサミン 0.8
アルギニン 0.4
プロピオン酸菌培養物粉末 20.0
還元麦芽糖 5.1
二酸化ケイ素 1.6
--------------------------------------------------
合計 100.0
本発明に基づき提供されたプロピオン酸菌の培養物を含む組成物は、経口投与することで、皮膚状態の改善剤、特に色素形成の阻害剤として利用することができる。本発明の組成物は、栄養剤やヨーグルト等の食品に配合して、皮膚状態の改善効果を期待できる経口摂取用の組成物として利用することもできる。本発明の組成物を構成する成分は、長い食経験から安全性や味覚性に優れていることを実証された成分で構成されており、それを長期間に亘って摂取できる。本発明の組成物は、乳発酵成分を付加的に配合することができる。本発明の組成物は、それを摂取することで、皮膚状態の改善効果に加えて整腸効果も期待できる。

Claims (12)

  1. 以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、皮膚の色素沈着の減少用の組成物であって、DHNAまたはACNQの類似体が、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール、および2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノンからなる群より選択される、経口摂取用の組成物;
    (a)プロピオン酸菌の培養物、
    (b)DHNAまたはその類似体、および
    (c)ACNQまたはその類似体。
  2. プロピオン酸菌がプロピオニバクテリウム・フロイデンライヒ(Propionibacterium freudenreichii)である請求項1に記載の組成物。
  3. 乳発酵成分を付加的に配合する、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 乳発酵成分が、乳をLactobacillus属に属する乳酸菌およびStreptococcus属に属する乳酸菌のいずれか、または両方で発酵させた乳、またはその混合物である、請求項3に記載の組成物。
  5. Lactobacillus属に属する乳酸菌が
    Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus JCM 1002T、
    Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1073R-1(FERM BP-10741)、および
    Lactobacillus delbrueckii subspecies bulgaricus OLL1255(NITE BP-76)
    よりなる群より選択される少なくとも1 つであり、
    Streptococcus 属に属する乳酸菌が、
    Streptococcus thermophilus ATCC 19258、
    Streptococcus thermophilus OLS3059(FERM BP-10740)、および
    Streptococcus thermophilus OLS3294(NITE P-77)
    よりなる群より選択される少なくとも1 つである、
    請求項4に記載の組成物。
  6. プロピオン酸菌の培養物が殺菌されている請求項1〜請求項5のいずれかに記載の組成物。
  7. 乳児用調製粉乳、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、保健機能食品、病者用食品、乳製品または発酵乳である請求項1〜請求項のいずれかに記載の組成物。
  8. 抗酸化剤が組成物100gに対して1g以上添加されている、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  9. 錠剤(タブレット)に成型された、請求項1〜のいずれかに記載の組成物。
  10. 以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を含む、皮膚における色素形成阻害剤であって、DHNAまたはACNQの類似体が、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール、および2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノンからなる群より選択される、経口摂取用の色素形成阻害剤;
    (a)プロピオン酸菌の培養物、
    (b)DHNAまたはその類似体、および
    (c)ACNQまたはその類似体。
  11. 皮膚における色素沈着の減少用の組成物であって経口摂取用の組成物の製造における以下(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分の使用であり、DHNAまたはACNQの類似体が、1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、4−アミノ−2−メチル−1−ナフトール、および2−アミノ−3−クロロ−1,4−ナフトキノンからなる群より選択される、使用
    (a)プロピオン酸菌の培養物、
    (b)DHNAまたはその類似体、および
    (c)ACNQまたはその類似体。
  12. 組成物の全体に対して、前記(a)〜(c)よりなる群より選択される少なくとも1つの成分を0.001%〜20%の割合で配合する、請求項11に記載の使用。
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