JP2002212083A - コレステロール低下剤 - Google Patents

コレステロール低下剤

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JP2002212083A
JP2002212083A JP2001008802A JP2001008802A JP2002212083A JP 2002212083 A JP2002212083 A JP 2002212083A JP 2001008802 A JP2001008802 A JP 2001008802A JP 2001008802 A JP2001008802 A JP 2001008802A JP 2002212083 A JP2002212083 A JP 2002212083A
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yeast
cells
diet
reducing agent
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Haruji Sawada
治司 澤田
Yasuto Yoshida
康人 吉田
Kenji Oishi
憲司 大石
Chikei Yokoi
稚恵 横井
Masahiko Ito
雅彦 伊藤
Tsuneichi Watanabe
常一 渡辺
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Yakult Honsha Co Ltd
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Yakult Honsha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 サッカロミセス・セレビシェの菌体を有
効成分とするコレステロール低下剤、該コレステロール
低下剤を含有する飲食品及び医薬組成物。 【効果】 本発明のコレステロール低下剤は、安全性の
高いサッカロミセス・セレビシェの菌体を有効成分と
し、ビール酵母やパン酵母と比較して極めて優れた血中
及び肝臓コレステロール低下作用を有することから、動
脈硬化その他コレステロール蓄積が原因の疾患を予防・
治療するための食品、医薬品又はそれらの素材として有
用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コレステロール低
下剤並びにこれを含有する飲食品及び医薬組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、循環器疾患による死亡率は年々増
加しており、心筋梗塞、脳梗塞等、動脈硬化に起因した
疾患を合わせると、成人の死亡原因中第一位を占めてい
る。動脈硬化の原因には様々なものがあるが、血漿脂
質、特に血漿コレステロール値の上昇が最も重要な危険
因子の一つとされている。
【0003】斯かる血漿コレステロール値の上昇原因と
しては、遺伝的要因と外来性コレステロールの過剰摂取
による場合があるが、近年、卵、バター、肉等の脂肪を
大量に摂取する機会が増え、外来性コレステロールの過
剰摂取による生体内のコレステロール上昇が特に問題と
なっている。食餌性高コレステロール血症の場合、通常
重篤な高コレステロール血症には至らないが、若年期よ
り血管に徐々にコレステロールが蓄積し、成人に至って
動脈硬化を引き起こすことが問題であり、高トリグリセ
ライド血症とあいまって心筋梗塞や脳梗塞を招く要因と
なる。従って、動脈硬化等の循環器疾患を予防するに
は、食餌性コレステロールの摂取を適正範囲に制限した
食生活や食事療法が重要となるが、食事制限は精神的苦
痛を伴うと共に食生活の楽しみを奪うため厳格な実施は
困難であり、その効果には限界があることが多い。
【0004】このような状況の下、幾つかの乳酸菌や酵
母にコレステロール低下作用があり、これらを含む食品
を積極的に摂取することが提案されている。例えば、酵
母については、クロムを補添したビール酵母(1日当た
り9g)を8週間、老人に投与した結果、血清コレステ
ロール値の低下を認めたとの報告〔Ester G. Offenbach
er and F. Xavier Pi-Sunyer, Beneficial effect of c
hromium-rich yeast on glucose tolerance and blood
lipids in elderly subjects. Diabetes, 29, 919, (19
80)〕、赤色酵母(スポロボロミセス・ルベリナス)と
サッカロミセス・ウヴァラムのメタノール抽出物が、コ
レステロール負荷ラットの血清コレステロール値及びト
リグリセライド値をわずかに減少させたとの報告〔長
修司、藤井久雄、白石淳:納豆菌産生多糖類あるいは酵
母のアルコール抽出物がラットの脂質代謝に及ぼす影
響、福岡女子大学家政学部紀要、16, 65,(1984)〕、更
にはサッカロミセス・セレビシェの培養上清がマウスの
血清コレステロールを低下させたという報告〔岸田忠
昭、Saccharomyces cerevisiae 培養物の血清コレステ
ロール低下作用について、栄養と食糧、26, 371, (197
3)、特開昭50−68867号公報〕がある。
【0005】しかし、一方で、クロムを補添していない
ビール酵母を使用した動物試験では血清コレステロール
値の低下効果はなかったこと〔Arne T. Hostmark, Eina
r Eilertsen and Ole Gronnerod, Plasma lipid and li
poprotein responses of rats to starch and sucrose
diets with and without brewer's yeast., J. Nutri.,
109, 1073, (1978)〕や、ウサギの餌に大豆蛋白を混ぜ
て投与すると血清コレステロール値が低下するが、その
大豆蛋白質の50%をビール酵母に置換すると血清コレ
ステロール値が逆に上昇したとの報告〔Jorge De Abreu
and Nancy Millan, Effect of addition of brewer's
yeast to soy protein and casein onplasma cholester
ol levels of rabbits. Archivos Latinoamericanos de
Nutricion., 44, 18, (1994)〕もあり、酵母に関して
は、食品や医薬品に配合した場合に十分なコレステロー
ル低下作用を有するものは見出されていないのが現状で
ある。
【0006】また、生体内のコレステロールは、最終的
には肝臓に取り込まれた後に排出されることから、コレ
ステロール低下作用としては、血漿コレステロールの低
下のみならず、肝臓コレステロールの低下作用を併せ持
つものが望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、強力なコレ
ステロール低下作用を示し、脂肪食を過剰に摂取した場
合でも血中及び肝臓コレステロールの上昇を抑制するコ
レステロール低下剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、斯かる実
情に鑑み、サッカロミセス属の酵母について詳細に検討
した結果、ケフィア由来のサッカロミセス・セレビシェ
の菌体に、副作用がなく安全で、血中及び肝臓中のコレ
ステロールを有効に低下する作用があり、食品若しくは
医薬品又はそれらの素材として有用であることを見出
し、本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明は、サッカロミセス・セレ
ビシェの菌体を有効成分とするコレステロール低下剤並
びにこれを含有する飲食品及び医薬組成物を提供するも
のである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明コレステロール低下剤の有
効成分であるサッカロミセス・セレビシェとは、東欧諸
国やロシア及び中央アジアやコーカサス地方等で古くか
ら愛飲されている発酵乳であるケフィアの製造に使用さ
れるケフィア・グレイン(ケフィア粒)から分離された
サッカロミセス(Saccharmyces)属に属する酵母をい
い、ケフィア粒由来のものでありコレステロール低下作
用を有するものであれば特に限定されるものではない
が、好適には、サッカロミセス・セレビシェ(Saccharm
ycescerevisiae)ATCC48554(IFO072
5)株として寄託されているものが挙げられる。上記の
ようにビール酵母、パン酵母等のサッカロミセス・セレ
ビシェに属する酵母には血清コレステロール低下作用が
あるという報告もなされているが、ケフィア由来のサッ
カロミセス・セレビシェの菌体に、これらの酵母に比べ
て極めて優れたコレステロール低下作用があったことは
全く予想することができなかったことである。以下に、
サッカロミセス・セレビシェATCC48554株の性
状を示すが、その性状は、「ザ イースト(The yeas
t)、第3版 N. J. W. Kreger-van Rij, Elsevier Sci
ence Publishers B. V. Amsterdam, 1984」に記載の同
種微生物とほぼ同様である。
【0011】
【表1】
【0012】
【表2】
【0013】本発明においてはサッカロミセス・セレビ
シェの菌体が用いられるが、当該菌体は、生菌又は加熱
菌体(死菌体)のいずれでもよく、また加熱後凍結乾燥
したものであってもよい。このような菌体を用いれば、
培養上清中に産生される多糖類や低分子物質等の菌体構
成成分を用いる場合に比べて培地からの回収が容易であ
り、またコレステロール低下作用も遙かに優れていると
いう利点がある。従って、簡易且つ経済的に飲食品及び
医薬を製造することができる。
【0014】本発明の菌体は、ケフィア・グレイン(ケ
フィア粒)を生理食塩水中に懸濁分散し、その懸濁液の
一部を生理食塩水にて更に適宜希釈してポテトデキスト
ロース寒天平板培地上に塗沫することによって分離する
ことができる。なお、本菌株は1955年にケフィア・
グレイン(ケフィア粒)から分離した菌株である(ATCC
Catalogue of YEASTS 18版 p73)。
【0015】かくして得られる本発明の菌株は、人類が
長い食経験を通してその安全性を確かめてきた食品菌由
来株であり、ラットに経口投与した場合8g/kgの投与
量でも死亡例は認められず、長期間投与しても安全性に
は問題がない。そして、後記実施例に示すように、サッ
カロミセス・セレビシェの一種であるビール酵母、パン
酵母と比較して極めて優れた血中及び肝臓コレステロー
ル低下作用を有することから、当該生菌若しくはその凍
結乾燥物又は加熱処理等を施した死菌体、更にはそれら
の破砕物は、安全性の高いコレステロール低下剤として
食品、医薬品又はそれらの素材となり得る。
【0016】本発明コレステロール低下剤を医薬組成物
とする場合、上記菌体を常法に従って薬学的に許容され
る担体と共に種々の剤型とすればよい。例えば、経口用
固形製剤を調製する場合には、本発明菌体に賦形剤、必
要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、
矯臭剤等を加えた後、常法により錠剤、被覆錠剤、顆粒
剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。その
ような添加剤としては、当該分野で一般的に使用される
ものでよく、例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩
化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、
カオリン、微結晶セルロース、硅酸等を、結合剤として
は、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブド
ウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等を、崩
壊剤としては乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カ
ンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウ
リル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳
糖等を、滑沢剤としては精製タルク、ステアリン酸塩、
ホウ砂、ポリエチレングリコール等を、矯味剤としては
白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が例示できる。
【0017】経口用液体製剤を調製する場合は、本発明
菌体に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯味剤等を加えて常
法により内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造
することができる。この場合矯味剤としては上記に挙げ
られたものでよく、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム
等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼ
ラチン等が挙げられる。
【0018】また、本発明コレステロール低下剤を飲食
品とする場合は、菌体を種々飲食品に添加せしめること
により製造すればよい。ここで好ましい飲食品として
は、発酵乳、ケフィア、果汁飲料、スープ、せんべい、
クッキー等が例示される。なお飲食品には動物の飼料も
含まれる。また発酵乳等の発酵食品を製造する場合に
は、該菌を用いて発酵を行うことも可能である。
【0019】上記の各製剤中に配合されるべき菌体の量
は、これを適用すべき患者の症状によりあるいはその剤
型等により一定ではないが、一般に製剤中1〜100重
量%とするのが望ましい。
【0020】また、上記製剤又は飲食品の1日当たりの
投与量は、患者の症状、体重、年齢、性別等によって異
なり一概には決定できないが、菌体として通常成人1日
当たり約10mg〜30g、好ましくは約1〜6gとすれ
ば良く、これを1日1回又は2〜4回程度に分け投与す
るのが好ましい。
【0021】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明
する。なお、「%」は「重量%」を示す。
【0022】実施例1 (イ)酵母の調製 ポテトデキストロース寒天スラントで保存しているサッ
カロミセス・セレビシェ ATCC48554株の1白
金耳を、表3に示す培地100mLを含む坂口フラスコ
(500mL)に植菌し、30℃で振とう培養(120sp
m)した。2日後に表4に示す培地7リッターを含む1
0リッター発酵槽に坂口フラスコ2本分を接種して30
℃にて、通気速度0.5vvm、回転速度700rpm、pH
6.0(5Nの水酸化ナトリウムで自動制御)の条件下
で24時間、通気攪拌培養した。培養終了後、冷却遠心
分離機を使用して菌体と上清を分けたのち、菌体を蒸留
水で2度洗浄した。この洗浄菌体を2リッターの三角フ
ラスコに入れ、蒸留水1リッターを加えた後、115℃
にて10分間オートクレーブで加熱した。この加熱菌体
をそのまま凍結乾燥し、ラットの経口投与試料に供し
た。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】
【0025】(ロ)試験飼料の調製 (イ)で製造した酵母菌体を用い、下記表5の組成の飼
料を常法により混合し調製した。各試験飼料ともコレス
テロール0.5%、コール酸ナトリウム0.25%を含
むコレステロール添加食とし、酵母含有飼料には酵母凍
結乾燥菌体5%又は10%となるように添加した。
【0026】
【表5】
【0027】試験方法 コレステロール低下作用 試験飼料 実施例1(ロ)で調製したものを用いた。
【0028】 動物及び飼育方法 a)10%酵母含有飼料投与群 5週齢のWistar系雄ラット(日本クレア製)を、船橋農
場製F−2粉末飼料で7日間予備飼育した後、1群8匹
ずつ群分けし、表5の10%酵母含有飼料を7日間投与
した。ラットは金属製ケージで群飼いし、飼料及び水は
自由に摂取させた。 b)5%酵母含有飼料投与群 5週齢のWistar系雄ラット(日本クレア製)を、船橋農
場製F−2粉末飼料で7日間予備飼育した後、1群8匹
ずつ群分けし、表5の5%酵母含有飼料を14日間投与
した。ラットは金属製ケージで個別飼いし、飼料投与量
は1日当たり15gの制限食とし、水は自由に摂取させ
【0029】 血漿脂質の測定 a)10%酵母含有飼料投与群 投与開始から7日目にネンブタール麻酔下(非絶食)で
腹部大動脈よりカニューレ採血し、血漿コレステロール
濃度及び血漿HDL濃度を測定した。総コレステロール
濃度は日立7170型生化学自動分析機を使用して測定
した。HDLコレステロール濃度は協和メディックス製
デタミナHDLを使用してHDL成分以外のリポ蛋白成
分を沈降させた後、上清のコレステロール濃度を日立7
170型生化学自動分析機を使用して測定した。 b)5%酵母含有飼料投与群 投与開始から7日目に尾静脈から採血し、血漿コレステ
ロール濃度及び血漿HDL濃度を測定した。総コレステ
ロール濃度は日立7170型生化学自動分析機を使用し
て測定した。HDLコレステロール濃度は協和メディッ
クス製デタミナHDLを使用してHDL成分以外のリポ
蛋白成分を沈降させた後、上清のコレステロール濃度を
日立7170型生化学自動分析機を使用して測定した。
【0030】 肝臓脂質の測定 生理食塩水で肝臓を灌流した後、採取した肝臓を凍結乾
燥した。脂質の抽出はFolchらの方法に従い、クロロホ
ルム:メタノール(2:1)で行った。その後、クロロ
ホルム下層を濃縮乾固したのち、エタノールで再度希釈
して各種肝臓脂質成分の測定に供した。肝臓脂質のうち
コレステロール量はデタミナTC555を用いて測定し
た。
【0031】動物試験成績の評価法 統計手法 各動物試験の結果は、F検定により分散の均一性を検定
した後、等分散の場合は対応のないt−検定を、不等分
散の場合はウェルチ検定を行った。t−検定並びにウェ
ルチ検定の有意水準は5%及び1%に設定した。
【0032】 脂質成分の低下率の求め方 <血漿中のコレステロール低下率>血漿コレステロール
低下率100%とは、酵母添加高脂肪食群のラットの血
漿コレステロール値が、普通食(コレステロール非添加
食)群のラットのそれと同じ値にまで血漿コレステロー
ル値が低下したことを示す。また、低下率0%とは酵母
添加高脂肪食群のラットの血漿コレステロール値が、高
脂肪食(コレステロール添加食)群の血漿コレステロー
ル値と変わらないことを示す。
【0033】 動脈硬化指数(Atherosclerotic Inde
x) 動脈硬化指数(AI)は、次式
【0034】AI=(VLDLコレステロール値+LDLコレス
テロール値)/HDLコレステロール値
【0035】で表されるが、血漿脂質の値から具体的に
計算する場合には、血漿総コレステロール値と血漿HD
Lコレステロール値を用いて、次式より求めた。
【0036】AI=(血漿総コレステロール値−血漿HDL
コレステロール値)/血漿HDLコレステロール値
【0037】動脈硬化指数の改善率は、酵母添加高脂肪
食群のAI値と高脂肪食(コレステロール添加食)群及
び普通食(コレステロール非添加食)群のAI値とから
算出した。すなわち、動脈硬化指数改善率100%とは
酵母添加高脂肪食群のAI値が、普通食群のAI値と同
じ値であることを示す。また、動脈硬化指数改善率0%
とは酵母添加高脂肪食群のAI値が、高脂肪食群のAI
値と変わらないことを示す。
【0038】 体重測定 ラットの体重は入荷時に測定し、各群間で有意な体重差
が出ないように群分けして、予備飼育を開始した。ま
た、体重測定は本試験開始時と試験終了時に行った。上
記の試験方法は、以下の予備試験や実施例に使用する。
【0039】予備試験:採血はコレステロール添加食の
投与開始後、0日目、5日目及び8日目に尾静脈から、
また、14日目にはネンブタール麻酔下に腹部大動脈か
ら行った。採血した血液から血漿を分離した後、各脂質
成分を酵素法で測定した。その結果、図1に示すよう
に、コレステロール投与群の血漿コレステロール値は5
日目には最大値近くまで上昇した。その後、14日目ま
で若干の上昇が認められたものの、ほとんど大きな変化
は認められなかった。一方、コレステロール非添加食
(コレステロール添加食からコレステロールとコール酸
ナトリウムを除いたもの)投与群の血漿コレステロール
値は試験期間中も上昇せず、やや漸減する傾向が認めら
れた。
【0040】表6に、コレステロール添加食投与開始後
14日目の血漿脂質の値を示した。コレステロール非添
加食群のコレステロール値が72.5mg/dlであるのに
対して添加食群のそれは325.3mg/dlであり、約
4.5倍上昇しているのがわかる。それに反して、血漿
HDLコレステロール値はそれぞれ45.9mg/dlに対
して31.4mg/dlと有意に低下している。なお、いず
れの群にも体重に有意な差は認められなかった。
【0041】
【表6】
【0042】表7に、コレステロール添加食投与開始後
14日目の肝臓中の脂質含量を示した。コレステロール
添加食群のコレステロール値は非添加食群のそれに比べ
て約20倍高い値を示している。
【0043】
【表7】
【0044】実施例2 <10%酵母添加食投与試験>実施例1に示す方法でジ
ャー培養を行い、各200gの凍結乾燥菌体(115℃
にて10分加熱したもの)を調製した。これをコレステ
ロール添加食に各10%混餌(表5の10%酵母投与
群)して、1群8匹の群飼いで、7日間、自由に摂餌さ
せた。また、酵母として、パン酵母及びビール酵母を用
いる以外は、上記と同様の条件で調製した飼料も試験に
供した。表8に高コレステロール食を投与した対照群の
血漿コレステロール値に比較したときのコレステロール
低下率及び動脈硬化指数の改善率(%)を示した。な
お、いずれの群も体重に有意な変化は認められなかっ
た。
【0045】
【表8】
【0046】コレステロールを添加た高脂肪食を与える
ことにより、対照群では総コレステロール値が増加し、
動脈硬化指数は7.97〜9.62まで上昇したが、同
じ高脂肪食でも本願発明にかかるサッカロミセス・セレ
ビシェ ATCC48554株の菌体を10%添加した
試験群では、上記分析項目のすべてにおいて数値の上昇
が顕著に抑制されているのがわかる。このように本願発
明のサッカロミセス・セレビシェ ATCC48554
株はこれまでにコレステロール低下活性が報告されてい
るビール酵母やパン酵母等のサッカロミセス・セレビシ
ェに比べて極めて高い血漿コレステロール低下率を示
し、動脈硬化指数を劇的に改善した。
【0047】実施例3 <5%酵母添加食投与試験>5週齢のWistar系雄ラット
を用いて実施例2と同様の試験を行った。ただし、試験
群の酵母凍結乾燥菌体をそれぞれ5%混餌(表5の5%
酵母投与群)して、1群8匹の個別飼いで、14日間、
1日15gに食餌を制限し、対照群と食餌量を同一にし
て評価した。血漿脂質の分析結果は表9に示す通りであ
って、高脂肪食を与えることにより対照群では総コレス
テロール値、動脈硬化指数が上昇したが、同じ高脂肪食
でも5%の酵母菌体を添加した試験群では上記分析項目
のすべてにおいて上昇が顕著に抑制された。
【0048】
【表9】
【0049】表10に肝臓脂質の測定結果を示した。肝
臓総コレステロール量は対照群に比べて有意に低下し
た。このように、本願発明のサッカロミセス・セレビシ
ェ ATCC48554株菌体は、その経口投与によっ
て血漿及び肝臓脂質の低下作用を示す優れたコレステロ
ール低下剤となり得る。
【0050】
【表10】
【0051】実施例4 実施例1で得た酵母菌体を使用し、下記の飲食物を製造
した。 1)健康向け食品(錠剤) 次の添加物を含有する組成物を打錠して錠剤とした。
【0052】
【表11】
【0053】2)健康向け飲料 次の処方により健康飲料を製造した。
【0054】
【表12】
【0055】3)果汁飲料 次の処方により健康飲料を製造した。
【0056】
【表13】
【0057】4)発酵乳 次の処方により加熱酵母菌体入り発酵乳を製造した。1
0%の脱脂粉乳と5%のグルコースを滅菌し、ラクトバ
チラス属の細菌又はラクトコッカス属の細菌を接種して
ヨーグルトを製造した。これに実施例1で得た加熱酵母
菌体を0.1〜20%混合し、発酵乳を製造した。
【0058】5)乳酒 次の処方により乳酒を製造した。10%の脱脂粉乳と5
%のグルコースを滅菌し、ラクトバチラス属の細菌又は
ラクトコッカス属の細菌を接種すると同時に実施例1で
得た酵母を接種し、48時間37℃にて静置培養して乳
酒を製造した。
【0059】6)ケフィア様乳製品 無脂乳固形分濃度18%V/Vの還元脱脂乳にラクトコ
ッカス・ラクチス ATCC11454のスターター
0.5%を接種し、30℃で培養を行う。pHが4.45
となったところで培養液を冷却し、その500部に、甘
味料及びアルコール発酵糖源としての糖類及び果汁、安
定剤(ハイメトキシペクチン)等を含有する水溶液50
0部を混合する。このとき添加する糖類のうちサッカロ
ミセス・セレビシェ ATCC48554が発酵可能な
糖は6部である。得られた混合液に、別途調製しておい
たサッカロミセス・セレビシェ ATCC48554の
スターターを1.0%接種し、引き続き30℃で15時
間培養を行う。培養液中のグルコース及びフラクトース
の合計含有量が0.01%以下になったことを確認した
後、5℃以下に冷却し、均質化処理を行ってから密封容
器に充填する。上述のようにして得られたケフィア様乳
製品は、酵母によるアルコール0.3%含有し、このア
ルコールと炭酸ガスによる独特の風味を有する美味なも
のであった。また、この製品を室温で放置しても、二次
的なアルコール発酵による炭酸ガスの発生はほとんど認
められず、製造時の風味を長く維持した。
【0060】7)ケフィア様乳製品 アルコール発酵糖源としての糖類を1.2%含む還元脱
脂乳(無脂乳固形分濃度18%V/V)にラクトコッカス
・ラクチス ATCC11454のスターター0.5%
及びサッカロミセス・セレビシェ ATCC48554
のスターターを1.0%接種し、30℃で24時間培養
を行う。pHが4.1〜4.2になり、かつ培養液中のグ
ルコース及びフラクトースの合計含有量が0.01%以
下になったことを確認したのち冷却し、その500部
に、甘味料及び安定剤(ハイメトキシペクチン)を含有
する水溶液500部を混合する。その後5℃以下に冷却
し、均質化処理をしてから密封容器に充填する。上述の
ようにして得られたケフィア様乳製品は、酵母によるア
ルコールを0.3%含有し、このアルコールと炭酸ガス
とによる独特の風味を有する美味なものであった。ま
た、この製品を室温で放置しても、二次的なアルコール
発酵による炭酸ガスの発生はほとんど認められず、製造
時の風味を長く維持した。
【0061】
【発明の効果】本発明のコレステロール低下剤は、安全
性の高いサッカロミセス・セレビシェの菌体を有効成分
とし、ビール酵母やパン酵母と比較して極めて優れた血
中及び肝臓コレステロール低下作用を有することから、
動脈硬化その他コレステロール蓄積が原因の疾患を予防
・治療するための食品、医薬品又はそれらの素材として
有用である。特に、本発明のコレステロール低下剤をケ
フィアタイプのヨーグルトやその他の発酵乳製品の製造
に使用する等、種々の飲食品に混合して日常的に摂取す
れば、健康増進を図ると共に動脈硬化を予防することが
でき、その有用性は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】コレステロール添加食と無添加食投与群の血漿
コレステロール値を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/16 A23C 9/123 4C087 // A23C 9/123 C12G 3/02 C12G 3/02 (C12N 1/16 G (C12N 1/16 C12R 1:865) C12R 1:865) A23L 2/00 F (72)発明者 大石 憲司 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 横井 稚恵 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 伊藤 雅彦 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 (72)発明者 渡辺 常一 東京都港区東新橋1丁目1番19号 株式会 社ヤクルト本社内 Fターム(参考) 4B001 AC32 BC04 BC14 EC05 4B015 AG13 4B017 LC03 LK21 LP01 LP03 LP05 4B018 LB07 LB08 LE01 LE05 MD81 MD91 ME04 MF01 MF03 MF04 MF06 MF13 4B065 AA80X BA22 BD08 BD10 CA41 CA42 CA44 4C087 AA01 AA02 BC12 NA14 ZC33

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケフィア粒由来のサッカロミセス・セレ
    ビシェの菌体を有効成分とするコレステロール低下剤。
  2. 【請求項2】 サッカロミセス・セレビシェが、サッカ
    ロミセス・セレビシェ ATCC48554株である請
    求項1記載のコレステロール低下剤。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のコレステロール低
    下剤を含有する飲食品。
  4. 【請求項4】 請求項1又は2記載のコレステロール低
    下剤を含有する医薬組成物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007527385A (ja) * 2003-07-04 2007-09-27 ベルゲ・バイオメッド・アクティーゼルスカブ 単細胞タンパク質原料
JP2008228648A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Calpis Co Ltd 乳酒の製造方法

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