JP4851765B2 - 免疫機能調節剤 - Google Patents

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Description

本発明は、ラクトバチルス属乳酸菌の特定の菌株を有効成分とする免疫機能調節剤及び免疫機能調節用飲食品に関する。
免疫とは、細菌やウイルスあるいは体内で発生する腫瘍などから生体を守るためのシステムである。近年、この免疫システムを調節する食品成分が注目されている。このような成分として、乳酸菌、麹カビあるいは酵母などの食用微生物やそれらの細胞壁成分、また、シイタケやアガリクスに代表される担子菌類の多糖類などが知られている。
これら成分の免疫機能調節効果は、生体内の様々な細胞に成分が作用し、腫瘍壊死因子(以下、TNFと略記)、インターロイキン(以下、ILと略記)類、インターフェロン(以下、IFNと略記)類等のサイトカインと総称される物質の産生が活性化、誘導されることにより生じる。誘導されたこれらの物質は、免疫担当細胞に作用し免疫系を活性化する。
サイトカインのうち、TNFは、単球やマクロファージから放出され、細胞増殖作用や抗ウイルス作用を示すことが知られている。
IL類としては、IL 1〜IL 18の存在が知られている。そのうちIL 4はヘルパー2型T細胞から産生され、マスト細胞を活性化してアレルギー反応を増強する因子として、そして液性免疫を促進させる因子として知られている。
IFN類は、産生する細胞の種類によって名称が異なり、IFNα、IFNβ、IFNγの3つが知られている。IFNγは、主としてリンパ球が産生する分子量が約2万の糖蛋白質であって、抗ウイルス作用、マクロファージやナチュラルキラー細胞等の免疫担当細胞の活性化や分化誘導に作用する免疫調節因子として注目されている。そして、細胞性免疫を高める因子として知られている。
免疫担当細胞の機能が異状を来たして引き起こされる病態には、免疫失調、免疫系の種々の異常、膠原病や潰瘍性大腸炎等の自己免疫疾患、アレルギー疾患、動脈硬化、インスリン抵抗性、糖尿病などの代謝性疾患や、多発性硬化症、移植片対宿主症、細菌感染症、ウイルス感染症、ウイルス肝炎、HIV感染などの感染症等があり、免疫担当細胞の機能を調節することは、これら病態の予防、治療、改善、再発防止に非常に有益となりうる。そのため、免疫担当細胞に作用する免疫機能調節剤、さらには免疫担当細胞に作用できるような飲食品が強く望まれていた。具体的には、液性免疫を抑制して抗アレルギー作用を発揮したり、細胞性免疫を促進して免疫賦活作用を発揮するものが考えられる。
これらの例として、乳酸菌の免疫グロブリンE(IgE)抑制作用を応用した抗アレルギー剤に関する発明がある(例えば、特許文献1参照。)。これはマウスから調製した脾臓細胞を培養する際に、各種乳酸菌を培養上清に加えて試験したもので、上清中に産生されるIgE量が抑制されるというものである。これは試験管内の活性であるので、乳酸菌を経口摂取した場合、あるいは発酵乳、チーズなどの発酵物として菌体を摂取した場合のIgE抑制作用と抗アレルギー作用については判っていなかった。乳酸菌の種類は、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ヘルベティカス、ラクトバチルス・ガセリなど20菌種31菌株にも及ぶ多くの菌種が試験されているが、すべての菌種が高い活性を有している訳ではなく、なかでもラクトバチルス・ヘルベティカスの活性は20菌種31菌株中4番目に活性が低く、ラクトバチルス・ヘルベティカスのIgE抑制作用は高いものではないという結果であった。また、ラクトバチルス・ヘルベティカスのIgE産生量は28.56 ng/mlであり、特許文献1で特に好ましいとしているIgE産生量の上限である10ng/mlをはるかに超えている。
また、ラクトバチルス・アシドフィラスとラクトバチルス・ファーメンタムの抗アレルギー作用に関する発明がある(例えば、特許文献2参照。)。この中に同じ属であるラクトバチルス・ヘルベティカスも抗アレルギー作用についての試験がなされているが、活性は見出されていない。
また、ラクトバチルス・ヘルベティカスで発酵させた酸乳ホエーの抗アレルギー作用に関する発明がある(例えば、特許文献3参照。)。これは、牛乳などの原料にラクトバチルス・ヘルベティカスを接種して発酵させたのち、遠心分離などで菌体及び酸凝固したカゼインタンパク質を除去して得た酸乳ホエーに関するものであり、菌体に由来する活性ではなかった。
また、ラクトバチルス・ヘルベティカスを用いた発酵乳を遠心分離した上清に、リンパ球の幼若化を促進するなどの免疫賦活作用があることが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、この作用は上清に限定されており、菌体に関わる免疫賦活作用はなかった。
また、乳酸菌菌体の細胞質画分を含有する免疫賦活組成物に関する発明がある(例えば、特許文献4参照。)。これにはラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ペディオコッカス属、ストレプトコッカス属、ロイコノストック属に関して、それらの細胞画分に活性があることが示唆されている。しかしながら、それらの乳酸菌属のうち菌種が開示されているのはラクトバチルス属としてはラクトバチルス・アシドフィルスの一種に限られ、他の菌種での活性を類推できるものではなかった。
特開平09−002959号公報 特開2004−26729号公報 特開2000−239175号公報 特開平5−252900号公報 イー・ラフィヌールら、Immunomodulatory activity of β-casein permeate medium fermented by lactic acid bacteria ジャーナル・オブ・デアリー・サイエンス、79巻、2112-20ページ、1996年
細菌やウイルスあるいは体内で発生する腫瘍などから生体を守るための免疫システムを調節する飲食品を提供する。免疫システムを調節するといわれている現存の食品成分は、高い活性を有しているとは言えるものはない。
本発明者は免疫機能調節作用を有する食品素材について鋭意研究を重ねた結果、乳酸菌のラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株(FERM P-14381)菌体に他の乳酸菌と比較して顕著に高い活性があることを見出し、本発明を完成させるに至った.
すなわち、オボアルブミンで免疫したマウスの脾臓細胞を培養し、免疫原のオボアルブミンを加えた培地に、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)菌体の添加、無添加を比較した実験系でIFNγ量ならびにIL 4量を測定したところ、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)菌体を添加することにより、IFNγ産生が顕著に促進された。一方、IL 4産生が抑制され、培養上清中のIgE量は顕著に抑制された。
このように、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)菌体が脾臓細胞の機能を調節し、IFNγを増大させ、IL 4とIgEを抑制することを見出し、免疫力低下、アレルギーといった免疫機能の異常を予防、改善する作用を有することが判明した。さらに、ラクトバチルス・ヘルベティカスはある種のナチュラルチーズの熟成過程で優勢になり、熟成チーズの風味形成に影響を及ぼす乳酸菌である。つまり、該乳酸菌を高含有するチーズを食すことで免疫機能を調節することも可能となる。本発明で免疫機能調節作用とは、IFNγを増大させ、IL 4とIgEを抑制することをいう。
したがって、本発明は、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P‐14381)菌体を有効成分とする免疫機能調節剤に関する。
本発明のラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P‐14381)菌体を有効成分とする免疫機能調節剤は、体内におけるIFNγの産生を促進して、免疫力の低下により引き起こされる感染症、腫瘍発生の予防に有用である。またラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P‐14381)菌体を有効成分とする免疫機能調節剤は、体内におけるIL4の産生を抑制して、IgEの産生を抑制することにより、アレルギーの予防、改善に有用である。
本発明は、IFNγの産生を促進し、IL 4の産生を抑制する免疫機能調節作用を有するラクトバチルス・ヘルベティカスの菌株として、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)またはその変異株を用いる。このラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株は新規なラクトバチルス属の菌株として報告されており(特開平7−274949号公報)、FERM P-14381として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。また、新規アミノペプチダーゼを産生することや新規エンドペプチダーゼを産生すること等が報告されている(特開平8−9973号公報、特開平8−298987号公報、特開平9−206074号公報)。また、多糖を産生し、低脂肪硬質ナチュラルチーズの製造に適していることが報告されている(特開平11−155481号公報)。
ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)菌体は、乳酸菌培養の常法に従って培養し、得られた培養物から遠心分離等の集菌手段によって分離されたものをそのまま本発明の有効成分として用いることができる。菌体として純粋に分離された菌体だけでなく、培養物、懸濁物、その他の菌体含有物や、菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分も用いることができる。さらに、製剤化に際しては製剤上許可されている賦形剤、安定剤、矯味剤などを適宜混合して濃縮、凍結乾燥するほか、加熱乾燥して死菌体にしてもよい。これらの乾燥物、濃縮物、ペースト状物も包含される。また、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)菌体の免疫機能調節作用を妨げない範囲で、賦型剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、懸濁剤、コーティング剤、その他の任意の薬剤を混合して製剤化することもできる。剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤等が可能であり、これらを経口的に投与することが望ましい。
本発明の有効成分は、経口的に投与することにより、免疫機能調節作用を達成し得るので、免疫機能調節用飲食品として使用することができる。本発明の免疫機能調節用飲食品の形態は免疫機能調節作用を妨げない範囲でどのようなものでもよく、上記乳酸菌の菌体自体、および上記乳酸菌の菌体を培養して得られた発酵乳、チーズ自体、さらに、これらの菌体、発酵乳、チーズ等を素材として使用し、パンやスナック菓子、ケーキ、プリン等にしてもよく、飲料、発酵乳、麺類、ソーセージ等の飲食品、さらには、各種粉乳の他、乳幼児食品、栄養組成物等に配合することも可能である。
また、本発明の乳酸菌を配合して、免疫機能調節剤あるいは、免疫機能調節用飲食品などの素材又はそれら素材の加工品に含有させて使用する場合、乳酸菌の含有割合は特に限定されず、製造の容易性や好ましい一日投与量等に合わせて適宜調節すればよい。例えば剤型が液体の場合には、1×105cells/ml〜1×1010cells/mlとすることが好ましく、固体の場合には、1×105cells/g〜1×1010cells/gとすることが好ましい。
これらの免疫機能調節剤あるいは、免疫機能調節用飲食品は、免疫機能調節能を有するので、前述した免疫の不調により引き起こされるさまざまな病態の予防、治療、改善、再発防止に非常に有益となりうる。
本発明の免疫機能調節能を発揮させるためには、成人の場合、乳酸菌体重量で1〜1,000mg摂取することが望ましい。乳酸菌体は、古来、発酵乳やチーズの製造に用いられており、本発明の免疫機能調節剤あるいは免疫機能調節用飲食品は安全性に問題はないという特徴がある。
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
MRS培地(DIFCO社)1Lを滅菌し、ラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株の生菌10mgを接種し、37℃で一晩培養した。次いで1700×gで25分間遠心分離し、乳酸菌菌体の沈殿を得た。これに滅菌水を加えて懸濁し、菌体を洗浄するために遠心分離を3回繰り返した。得られた菌体を100℃で30分間加熱してから凍結乾燥して、本発明の免疫機能調節剤であるラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)菌体乾燥物1.0gを得た。
ラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株をヨーグルトミックス(生乳に2%脱脂粉乳を添加し溶解した後、ホモジナイザーで均質化し、100℃、10分加熱した後、41℃まで冷却)に3重量%接種し、100gずつ紙カップに充填後、37℃で6時間培養し、本発明の免疫機能調節用発酵乳を調製した。
実施例2で得られた発酵乳を磨砕し、脱脂粉乳10%を混合し、pH7.0に調整後、凍結乾燥を行った。得られた凍結乾燥物を60メッシュのふるいで粉体化し、本発明の免疫機能調節用ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM P-14381)発酵物散剤を得た。
[試験例1]
(試料の調製)
脾臓細胞の培養時に、乳酸菌を添加した場合の細胞の機能変化を調べるために、IFNγ量、IL4量、IgE量を測定した。
実施例1と同様の手法を用いて、ラクトバチルス・ヘルベティカス (Lactobacillus helveticus) SBT2171(FERM P-14381)株、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei) ATCC 393株ならびにビフィドバクテリウム・アドレッセンティス(Bifidobacterium adolescentis) ATCC 15703株のそれぞれの菌体乾燥物を得た。なお、ラクトバチルス・カゼイ ATCC 393株は、特許文献1の実施例でIgE産生抑制作用のあることが示されている菌株であり、この菌株と本発明のラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株とを比較することで、間接的に特許文献1に記載のラクトバチルス・ヘルベティカスと本発明のラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株との比較が可能である。また、ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス ATCC 15703株は、ヒトの腸内菌の一種であり、発明者らの実験で免疫機能調節作用がほとんど見られなかった菌株であり、陰性コントロールとして使用した。
(マウス脾臓細胞の調製)
BALB/cマウス(日本チャールズ・リバー社)に一匹当たり0.05mgのオボアルブミン(シグマ社)と1mgの水酸化アルミニウムを混合したエマルジョンを、腹腔に投与した。10日後に解剖し、脾臓を摘出し、培養液中で脾臓を磨砕し、リンホプレップ(比重1.077;ナイコメッド社)で密度勾配遠心を行い、脾臓細胞浮遊液を得た。
(乳酸菌を添加した脾臓細胞の培養)
脾臓細胞浮遊液を10%ウシ胎児血清(ギブコ社)、100U/ml結晶ペニシリンGカリウム(ギブコ社)、100μg/ml硫酸ストレプトマイシン(ギブコ社)を含むRPMI1640培地(日水製薬社)を用いて、オボアルブミン(シグマ社)20μgおよびそれぞれの乳酸菌の菌体乾燥物0.04μgと共に、6×105/200μl/ウェルマイクロプレート(96ウェル丸底;Nunc社)で培養した。培養は、5%炭酸ガス、37℃の条件で行なった。乳酸菌の菌体乾燥物を添加しないで、同じ条件で処理したものをブランクとした。
(IFNγの定量)
7日目の培養上清を集め、その中のIFNγ量をマウスIFNγ用ELISAミニキット(KM-IFNG;Endogen社)でサンドウィッチELISA法により測定した。すなわち、一次抗体である抗マウスIFNγ抗体をキットの説明書にしたがって緩衝液に溶解し、96ウェルマイクロプレートに100μlを加え、一夜4℃で吸着させた。次いで、ブロッキングを行なった後、10倍に希釈した培養上清100μlを加え、室温で一晩インキュベートさせた。次いで、二次抗体として希釈したビオチン標識抗IFNγ抗体(KM-IFNG;Endogen社)を加え、室温で60分間インキュベートさせた。さらに、0.05%Tween 20(関東化学社)を含むリン酸緩衝化生理食塩水で400倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(554066;Pharmingen社)を50μl加え、37℃で90分間インキュベートさせた。発色用緩衝液(クエン酸−リン酸緩衝液)100mlにo-フェニレンジアミン(和光純薬工業社)40mg、30%過酸化水素水20μlを加えた基質溶液100μlをウェルに添加して酵素反応を行い、492nmの吸光度を測定した。キット付属のマウスIFNγ標準物質より作成した標準曲線から、培養上清中のIFNγ量(ng/ml)を求めた。その結果を図1に示す。
図1に示されるようにブランク区では1.6±0.9 ng/mlであったのに対し、乳酸菌添加区、とくにラクトバチルス・ヘルベティカス区では35.4±4.6 ng/mlとIFNγ産生量が顕著に増大した。ラクトバチルス・カゼイ区とビフィドバクテリウム・アドレッセンティス区では、IFNγ産生量はそれぞれ9.9±0.9 ng/mlと1.8±0.8 ng/mlであった。
(IL 4の定量)
7日目の培養上清をIFNγと同様に10倍希釈して、IL 4量(ng/ml)を、マウスIL 4用ELISAミニキット(KM-IL 4;Endogen社)でサンドウィッチELISA法により測定した。その結果を図2に示す。
図2に示されるように、IL 4産生量はブランク区では2.5±0.8 ng/mlであったのに対し、ラクトバチルス・ヘルベティカス区では0.55±0.31 ng/mlと産生量が顕著に減少した。IL 4産生が、ラクトバチルス・ヘルベティカス菌体により阻害されていることがわかる。ラクトバチルス・カゼイ区とビフィドバクテリウム・アドレッセンティス区では、それぞれ1.8±0.3 ng/mlと2.2±0.9 ng/mlで、産生量がやや減少した
(IgEの定量)
同条件で脾臓細胞の培養を継続して14日目に培養上清を集め、その中のIgE抗体量をサンドウィッチELISA法により測定した。すなわち、一次抗体であるモノクロナール抗マウスIgE抗体(260753;生化学工業社)を炭酸ナトリウム緩衝液に10μg/mlとなるように溶解し、96ウェルマイクロプレートに50μl加え、一夜4℃で吸着させた。次いで、ブロッキングを行なった後、培養上清50μlを加え、37℃で90分間インキュベートさせた。次いで、二次抗体として0.05%Tween 20を含むリン酸緩衝化生理食塩水で200倍に希釈したビオチン標識抗マウスモノクロナールIgE抗体(280913;生化学工業社)を50μl加え、37℃で90分間インキュベートさせた。さらに、0.05%Tween 20を含むリン酸緩衝化生理食塩水で400倍に希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(554066;Pharmingen社)を50μl加え、37℃で90分間インキュベートさせた。発色用緩衝液(クエン酸−リン酸緩衝液)100mlにo-フェニレンジアミン(和光純薬工業社)40mg、30%過酸化水素水20μlを加えた基質溶液100μlをウェルに添加して酵素反応を行い、492nmの吸光度を測定した。モノクロナールマウスIgE標準液より作成した標準曲線から、培養上清中のIgE抗体量(ng/ml)を求めた。その結果を図3に示す。
図3に示されるように、ブランク区では95±13 ng/mlであったのに対し、ラクトバチルス・ヘルベティカス区では7.2±2.4 ng/mlと産生量が顕著に減少した。ラクトバチルス・カゼイ区とビフィドバクテリウム・アドレッセンティス区では、それぞれ21±4 ng/mlと90±10 ng/mlであった。
なお、特許文献1の実施例においては、本試験例に使用した菌株と同一のラクトバチルス・カゼイATCC 393株と、本発明の菌株とは異なるラクトバチルス・ヘルベティカスATCC 15009株によるマウス脾臓細胞のIgE産生量は、それぞれ10.83ng/ml、28.56ng/mlであり、ラクトバチルス・カゼイATCC 393株のほうがIgE産生抑制作用が強い。一方、本試験例においては、上述したようにラクトバチルス・カゼイ ATCC 393株より本発明のラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株のほうがIgE産生抑制作用が強い。このことは、特許文献1に示されているラクトバチルス・ヘルベティカス ATCC 15009株と比較して本発明のラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株は、IgE産生抑制作用が極めて強いことを示している。
このようにラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)株は脾臓細胞のIFNγ産生を飛躍的に促進し、IL 4産生ならびにIgE産生を飛躍的に抑制することが判明した。
[試験例2]
(マウスでの経口摂取実験)
試験例1の結果、ラクトバチルス・ヘルベティカスが脾臓細胞の機能を調節し、IFNγならびにIL 4のサイトカイン産生量を調節してIgE産生量を顕著に低下させることが判明したが、このサイトカイン産生量の調節ならびにIgE産生量調節がマウス生体内でも立証されるかを確認した。
表1に示す割合でマウス用飼料を調製した。
(末梢血単核球画分の培養)
BALB/cマウス(6週齢、雌性;日本クレア社)を12匹ずつ3群に分け、表1に示した飼料を、それぞれ自由摂取させた。試験開始7日目に、一匹あたり0.05mgのオボアルブミン(シグマ社)と1mgの水酸化アルミニウムを混合したエマルジョンを腹腔に投与した。試験開始21日目に、7日目と同様に、オボアルブミンと水酸化アルミニウムの投与を行った。試験開始後28日目に採血し、リンホプレップ(比重1.077;ナイコメッド社)で密度勾配遠心を行い、末梢血単核球画分を調製した。免疫原であるオボアルブミンを0.1mg/mlになるように培養液中に加えて末梢血単核球画分を培養プレートに培養した。
(IFNγの定量)
3日間培養し、培養上清中のIFNγ量を、マウスIFNγELISAキット(Endogen社)を用いて定量した。IFNγ量の産生量を測定した結果を図4に示す。
図4に示されるように、実験動物飼料であるCE−2粉末のみを与えたC群では2.2±0.8 ng/mlであったのに対し、ラクトバチルス・ヘルベティカス菌体乾燥物を添加したA群では20±3.5 ng/mlとなりIFNγ産生量が顕著に増加した。ラクトバチルス・ヘルベティカス発酵物散剤を添加したB群では23±4.4 ng/mlとなり、いずれも飛躍的に産生量が増大した。
(IL4の定量)
IFNγと同様にIL 4量(ng/ml)を定量した結果を図5に示す。図5に示されるように対照のC群では2.9±0.9 ng/mlであったのに対し、ラクトバチルス・ヘルベティカス菌体乾燥物を添加したA群では1.8±0.3 ng/ml、ラクトバチルス・ヘルベティカス発酵物散剤を添加したB群では1.8±0.3 ng/mlとなり、いずれもIL 4産生量が顕著に減少した。IL 4産生が、ラクトバチルス・ヘルベティカス菌体により阻害されていることがわかる。
(IgEの定量)
各群のマウスの眼窩静脈叢から採血し、血清を分離して血清中のIgE濃度を、試験例1に示したELISA法により測定した。なお、血清は20倍希釈したものを用いた。その結果を図6に示す。
図6に示されるように対照のC群では11.9±3.4μg/mlであったのに対し、ラクトバチルス・ヘルベティカス菌体乾燥物を添加したA群では6.5±2.6μg/ml、ラクトバチルス・ヘルベティカス発酵物散剤を添加したB群では5.1±2.4μg/mlとなり、IgE産生量がいずれも顕著に減少した。
この試験の結果、ラクトバチルス・ヘルベティカスを経口摂取したマウスのサイトカイン産生量が調節され、血清IgEが調節されることが生体内でも確認された。
ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171(FERM P-14381)株を食用可能な合成培地(0.5%酵母エキス、0.1%トリプチケースペプトン添加)に5重量%接種し、38℃で15時間培養後、遠心分離で菌体を回収した。この菌体1gを乳糖5gと混合し、顆粒状に成形して本発明の免疫機能調節用顆粒剤を得た。
実施例2で得られたラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株含有発酵乳20.0%と、バター20.0%、薄力粉20.0%、砂糖20.0%、全卵20.0%、香料少量と混合し、常法により本発明の免疫機能調節用バターケーキを調製した。
第13改正日本薬局方解説書製剤総則「散剤」の規定に準拠し、上記実施例1で得られたラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株の凍結乾燥菌末10gに乳糖(日局)400g、バレイショデンプン(日局)600gを加えて均一に混合し、本発明の免疫機能調節用散剤を製造した。
10%還元脱脂乳溶液を85℃で25分間殺菌した後、ホモジナイズし、冷却した。これにスターターとしてラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株の純培養物を3.5%加え、38℃で16時間発酵させ、乳酸含量2%の酸乳(脱脂乳培地における培養物)を得た。次いで、生じたカードを砕きながら、5℃に冷却し、これを酸乳とした。別に、蔗糖 15%のほかに適量の酸味料、香料、色素を含有する糖液を調合し、ホモジナイズし、80℃で25分間殺菌した後、5℃に冷却し、糖液とした。このようにして得た酸乳30部に対して糖液70部の割合で混合して本発明の免疫機能調節用酸乳飲料を得た。
ビタミンC40gまたはビタミンCとクエン酸の等量混合物40g、グラニュー糖100g、コーンスターチと乳糖の等量混合物60gに、上記実施例1で得られたラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株の凍結乾燥菌末(本発明品A)40gを加えて混合した。混合物を袋に詰め、本発明の免疫機能調節用スティック状栄養健康食品を150袋製造した。
上記実施例1で得られたラクトバチルス・ヘルベティカス SBT2171(FERM P-14381)株の凍結乾燥菌末50g、乳糖140g、シュガーエステル8g、カルボキシメチルセルロース2gを混合し、圧縮錠剤機(Y-5010-Q;富士薬品機械社)により圧縮(条件1〜4ton)して、本発明の免疫機能調節用錠剤200個を製造した。
マウス脾臓細胞培地に乳酸菌を添加した場合のリンパ球のサイトカイン産生作用を調べるために、IFNγ量を測定した結果を示した図である。 マウス脾臓細胞培地に乳酸菌を添加した場合のリンパ球のサイトカイン産生作用を調べるために、IL4量を測定した結果を示した図である。 マウス脾臓細胞培地に乳酸菌を添加した場合のリンパ球の抗体産生作用を調べるために、IgE量を測定した結果を示した図である。 乳酸菌体あるいは乳酸菌発酵物を試料に混合して投与した場合の末梢血リンパ球のサイトカイン産生作用を調べるために、IFNγ量を測定した結果を示した図である。 乳酸菌体あるいは乳酸菌発酵物を試料に混合して投与した場合の末梢血リンパ球のサイトカイン産生作用を調べるために、IL4量を測定した結果を示した図である。 乳酸菌体あるいは乳酸菌発酵物を試料に混合して投与した場合の抗体産生作用を調べるために、血清中IgE量を測定した結果を示した図である。
符号の説明
LC: ラクトバチルス・カゼイ
LH: ラクトバチルス・ヘルベティカス
BA:ビフィドバクテリウム・アドレッセンティス
A: A群(ラクトバチルス・ヘルベティカス菌体乾燥物0.05%投与群)
B: B群(ラクトバチルス・ヘルベティカス発酵物散剤10%投与群)
C: C群(実験動物用飼料のみ投与群)

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  1. ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株(FERM P‐14381)の菌体を有効成分とする免疫機能調節剤。
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