JP2010132579A - 免疫調節機能を有する乳酸菌 - Google Patents

免疫調節機能を有する乳酸菌 Download PDF

Info

Publication number
JP2010132579A
JP2010132579A JP2008307913A JP2008307913A JP2010132579A JP 2010132579 A JP2010132579 A JP 2010132579A JP 2008307913 A JP2008307913 A JP 2008307913A JP 2008307913 A JP2008307913 A JP 2008307913A JP 2010132579 A JP2010132579 A JP 2010132579A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferm
delbrueckii subsp
lactobacillus delbrueckii
strain
lactobacillus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2008307913A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuyuki Seto
泰幸 瀬戸
Toshihide Kamuragi
敏秀 冠木
Mari Miura
真理 三浦
Masayuki Watanabe
正行 渡邊
Koichi Yubihara
浩一 指原
Izumi Yamaguchi
いづみ 山口
Taichi Nishizuka
太一 西塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Breweries Ltd
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Asahi Breweries Ltd
Snow Brand Milk Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Breweries Ltd, Snow Brand Milk Products Co Ltd filed Critical Asahi Breweries Ltd
Priority to JP2008307913A priority Critical patent/JP2010132579A/ja
Publication of JP2010132579A publication Critical patent/JP2010132579A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
  • Fodder In General (AREA)

Abstract

【課題】インターロイキン−12(IL-12)産生を増強し、かつ、細胞性免疫を活性化させることにより、感染性微生物による疾病への抵抗を高めることができる乳酸菌を提供する。
【解決手段】ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)、及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体は、インターロイキン−12(IL-12)産生を増強し、かつ、細胞性免疫を活性化させることにより、感染性微生物による疾病への抵抗を高めることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、免疫調節機能を有することを特徴とする、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体、及び、免疫調節機能を有することを特徴とする、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体に関する。
本発明の免疫調節機能を有するラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)、及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体は、摂取することにより、インターロイキン12(以下、IL-12と略記)産生を増強し、かつ、細胞性免疫を活性化させることにより、感染性微生物による疾病への抵抗を高めることができる。
免疫とは、細菌やウイルスあるいは体内で発生する腫瘍等から生体を守るためのシステムである。細菌、ウイルス等の感染、腫瘍、細胞障害等に対して生体は免疫反応によって対応するが、その免疫応答は、免疫担当細胞間のさまざまな相互作用により調節されている。そして、免疫応答の調節にはリンパ球、マクロファージ等が産生するインターロイキン、腫瘍壊死因子α(TNF-α)等のサイトカインが重要な役割を演じている。
リンパ球、マクロファージ等が産生するサイトカインのなかで、IL-12は、ヘルパーT前駆細胞(Th0)からヘルパーT細胞タイプ1(Th1)への分化誘導やナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性化等の作用を有する。ヘルパーT細胞には、Th1細胞とTh2細胞があり、Th1細胞は、インターロイキン−2(IL-2)、インターフェロン−γ(IFN-γ、IgE抗体の産生を抑制する)、TNF-α、TNF-β、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、IL-3を産生することで、T細胞や単球等の貪食細胞の活性を高め、細菌等の感染に対する抵抗を高める。また、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、がん細胞やウイルス感染細胞等を特異的に殺傷する能力を有する。したがって、IL-12の産生増強により、ウイルス感染への抵抗力増強やがんの予防等が期待できる。これらの作用は、白血球やリンパ球等の免疫細胞が直接病原体を殺傷、貪食するもので、細胞性免疫と呼ばれ、抗体産生による免疫作用(液性免疫)とは区別される。
一方、細胞性免疫と液性免疫はバランス関係にあり、細胞性免疫が活性化すると液性免疫が抑制される現象がみられる。現代の人間は、抗体産生(液性免疫)側にバランスが傾いているといわれ、花粉症、アレルギーの増加の一因とされている。IL-12の増強により、これらの症状の緩和も期待できる。
近年、この免疫システムを調節する食品成分が注目されている。このような成分として、乳酸菌、麹カビあるいは酵母等の食用微生物やそれらの細胞壁成分、また、シイタケやアガリクスに代表される担子菌類の多糖類等が知られている。
免疫システムを調節する乳酸菌に関して、最近様々な研究が進められている。現在までに、ラクトバチルス・デルブリッキを主成分とする免疫賦活剤(特許文献1)、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属等の乳酸菌の菌体を有効成分とするIL-12産生促進剤(特許文献2)、植物由来のラクトバチルス属に属する乳酸菌及び植物由来のロイコノストック属に属する乳酸菌を有効成分とする免疫機能調節剤(特許文献3)、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属及びストレプトコッカス属に属する乳酸菌からなる群より選択された1種類以上の乳酸菌体の破砕物を有効成分とする、インターロイキン-10産生の維持又は促進作用と、IL-12産生の維持又は抑制作用を有するインターロイキン産生調節剤(特許文献4)、免疫調節作用を有するラクトバチルス・ペントーサスを含む組成物(特許文献5)等が開示されている。
特開平7−228536号公報 特開平10−139674号公報 特開2007-70249号公報 特開2007-269737号公報 特表2008−501013号公報
しかし、ラクトバチルス属、ラクトコッカス属等を含む乳酸菌を有効成分とした免疫機能を調節する剤や医薬品等が開示されている一方で、IL-12産生能を増強し、かつ、免疫抑制処理マウス及び通常マウスにおいて白血球貪食活性、NK細胞活性といった細胞性免疫活性を有する菌株は開示されていない。
本発明は、IL-12産生を増強し、かつ、細胞性免疫を活性化させることにより、感染性微生物による疾病への抵抗を高めることができる乳酸菌を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体は、IL-12産生を高め、かつ、細胞性免疫を活性化させることを見出した。
したがって、本発明は、免疫調節機能を有する、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体であり、これら2菌株の死菌体は、IL-12産生を増強し、かつ、細胞性免疫を活性化することを特徴とする。また、本発明はこれら乳酸菌死菌体を配合した免疫調節剤、飲食品及び飼料である。
本発明の免疫調節機能を有することを特徴とする、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体又は、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体を摂取する事により、IL-12産生を高め、かつ、細胞性免疫を活性化させることにより、感染性微生物による疾病への抵抗を高めることが期待できる。また、乳酸菌自体を使用するため、極めて安全性が高いという効果を有する。
本発明における免疫調節機能とは、IL-12の産生を増強させ、細胞性免疫を活性化することにより、病原体の感染に対する抵抗力を高めるものである。
IL-12の産生は、マウス由来マクロファージ様細胞株J774.1細胞に、乳酸菌死菌体溶液を10μg/mlになるように添加した場合、1,800pg/ml以上のIL-12産生量となることが望ましい。
また、細胞性免疫を活性化するとは、免疫抑制処理マウス及び通常マウスにおいて、白血球貪食活性及びNK細胞活性を有することをいう。
本発明者等は、乳製品やヒト由来の数多くの乳酸菌のうち、食品に適用した際に香味や物性も優れている菌株の選定を進め、ラクトバチルス属乳酸菌(Lactobacillus)としてラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクスを選択した。さらに、IL-12産生を高めること、かつ、細胞性免疫を活性化させることの2条件を設定して、これら2条件の活性の高い菌株の選定を進めた結果、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)を選択することができた。
これらの菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに2008年9月4日に寄託されている。受託番号はラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株がFERM P-21665、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株がFERM P-21666である。
ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)を培養する培地には、乳培地又は乳成分を含む培地、これを含まない半合成培地等種々の培地を用いることができる。このような培地としては、脱脂乳を還元して加熱殺菌した還元脱脂乳培地を例示することができる。
これらラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)の培養法は、静置培養あるいはpHを一定にコントロールした中和培養で行うが、菌が良好に生育する条件であれば特に培養法に制限はない。菌体は、乳酸菌培養の常法に従って培養し、得られた培養物から遠心分離等の集菌手段によって分離されたものをそのまま用いることができる。また、死菌体は通常、菌体を加熱することにより得ることができる。加熱条件は菌体が死滅する条件であれば特に限定されないが、一般的には90℃、30分程度の加熱で十分な結果を得ることができる。菌体として純粋に分離された菌体だけでなく、培養物、懸濁物、その他の菌体含有物や、菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分も用いることができる。よって、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体は、培養物あるいはその菌体自体であっても良いし、菌体や培養物自体を配合した飲食品としても良い。
ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体は、どのような飲食品に配合しても良く、飲食品の製造工程中に原料に添加しても良い。飲食品の例として、乳飲料、発酵乳、果汁飲料、ゼリー、キャンディー、乳製品、マヨネーズ等の卵加工品、バターケーキ等の菓子・パン類等を挙げることができる。
また、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体や培養物は、家畜用飼料としてどのような飼料に配合しても良く、飼料の製造工程中に原料に添加しても良い。
本発明の免疫調節剤は、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体を有効成分としたものである。
製剤化に際しては、製剤上許可されている賦形剤、安定剤、矯味剤等を適宜混合して定法どおり製剤化することができる。また、菌体や培養物の作用を妨げない範囲で、賦型剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、懸濁剤、コーティング剤、その他の任意の薬剤を混合して製剤化することもできる。剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤等が可能であり、これらを経口的に投与することが望ましい。
免疫調節作用を発揮させるためには、成人の場合、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体を0.1〜10g、好ましくは0.5〜5g/1日当たりを摂取できるように配合量等を調整すれば良い。乳酸菌の含有割合は特に限定されず、製造の容易性や好ましい一日投与量等に合わせて適宜調節すれば良い。
以下に、実施例及び試験例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
[試験例1]
(マクロファージ様細胞株を使用した乳酸菌株のIL-12産生試験)
方法:マウス由来マクロファージ様細胞株J774.1細胞に、乳酸菌約180株の死菌体溶液を10μg /mlになるように添加し、IL-12産生量を評価した。
結果:供試乳酸菌のIL-12産生量を評価した結果、IL-12産生量の高い上位15菌株を図1に示す。ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT10955株のIL-12産生量が高い結果を示した。
[試験例2]
(免疫抑制処理マウスによる試験)
方法:試験例1でIL-12産生量が高かった上位3株、すなわち、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT10955株を選び、それらの死菌体粉末をそれぞれ、AIN-93G飼料に0.1%混ぜ、7週齢のBALB/cマウスに1週間自由摂取させた。コントロールには死菌体を添加しない、通常のAIN-93G飼料を用いた。その後、dexamethazone(DEX)を1mg/kgの割合で腹腔内投与して免疫抑制処理を行った。18時間後に血液と脾臓を採取し、白血球貪食細胞活性、NK細胞活性を測定して、コントロール群と比較した。
白血球貪食細胞活性はマウスから採血を行い蛍光標識ラテックス粒子取込み法にて白血球中の貪食細胞率をフローサイトメトリー(BD FACSCanto)で解析した。白血球貪食細胞活性は以下の計算式で算出した。

白血球貪食細胞活性(%)={(ラテックス粒子貪食細胞数)/(白血球20000cells)}×100

NK細胞活性の測定には、標的細胞としてマウス胸腺細胞腫(YAC-1細胞)を、エフェクター細胞としてマウスから採取した脾臓細胞を用いた。あらかじめ蛍光色素で染色したYAC-1細胞と脾臓細胞を1:50の割合になるよう96穴平底培養プレートに播き、37℃、5%CO2条件下で4時間混合培養し、その後、回収した細胞浮遊液に死細胞検出用の蛍光色素を添加しフローサイトメトリー(BD FACSCanto;BD Biosciences社製)でYAC-1細胞の死細胞率を測定した。NK細胞活性は以下の計算式で算出した。

NK細胞活性(%)=YAC-1全死細胞率(%)-YAC-1自然死細胞率(%)

結果:免疫抑制処理マウスにおけるラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)、及びラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT10955株の各摂取群について、白血球貪食細胞活性、NK細胞活性の測定結果を図2、3及び表1に示す。ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)摂取群、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)摂取群ともコントロールと比較して白血球貪食細胞活性が上昇する傾向を示し、NK細胞活性は有意に増強された。一方、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT10955株摂取群では白血球貪食細胞活性、NK細胞活性のいずれも上昇を示さなかった。

[試験例3]
(通常マウスによる試験)
方法:ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)、及びコントロールとしてラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)SBT10955株のそれぞれの死菌体粉末をAIN-93G飼料に0.1%混ぜ、7週齢のBALB/cマウスに 1週間自由摂取させた。コントロールには死菌体を添加しない、通常のAIN-93G飼料を用いた。1週間後、免疫抑制処理は行わず血液と脾臓を採取し、白血球貪食細胞活性、NK細胞活性を測定してコントロール群と比較した。白血球貪食細胞活性及びNK細胞活性の測定方法は試験例1と同じである。
結果:通常マウスでの白血球貪食細胞活性、NK細胞活性の測定結果を図4、5及び表2に示す。ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)摂取群ではNK細胞活性が有意に上昇した。ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)摂取群では白血球貪食細胞活性、NK細胞活性ともに有意に上昇した。一方、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri) SBT10955株摂取群では白血球貪食細胞活性、NK活性のいずれも上昇を示さなかった。

以上のことから、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体、及びラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体は、IL-12産生を高め、かつ、細胞性免疫を活性化させることが明らかとなった。
(死菌体粉末の調製1)
MRS培地(Difco社)を121℃で15分間殺菌した後、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)を接種し、37℃で16時間培養した。得られた培養物を4℃、7,000rpmで15分間遠心分離した後、滅菌水に懸濁した。懸濁液を95℃、30分加熱した後、噴霧乾燥してラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)の死菌体粉末を得た。これは、そのまま本発明の免疫調節剤として使用し得る。
(死菌体粉末の調製2)
MRS培地(Difco社)を121℃で15分間殺菌した後、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)を接種し、37℃で16時間培養した。得られた培養物を4℃、7,000rpmで15分間遠心分離した後、滅菌水に懸濁した。懸濁液を95℃、30分加熱した後、噴霧乾燥してラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)の死菌体粉末を得た。これは、そのまま本発明の免疫調節剤として使用し得る。
(スティック状健康食品の製造)
実施例2で得られたラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus) SBT10577株(FERM P-21666)の死菌体粉末30gに、ビタミンCとクエン酸の等量混合物40g、グラニュー糖100g、コーンスターチと乳糖の等量混合物60gを加えて混合した。混合物をスティック状の袋に詰め、本発明の免疫調節機能を有するスティック状健康食品を製造した。
(カプセル剤の製造)
表3に示した配合により原料を混合し、造粒した後、カプセルに充填して本発明の免疫調節機能を有するカプセル剤を製造した。

(錠剤の製造)
ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)の液体培養物を、4℃、7,000rpmで15分間遠心分離した後、滅菌水による洗浄と遠心分離を3回繰り返して行い、洗浄菌体を得た。この洗浄菌体を115℃、15分間加熱した後、凍結乾燥処理して死菌体粉末を得た。この死菌体粉末1部に脱脂粉乳4部を混合し、この混合粉末を打錠機により1gずつ常法により打錠して、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)の死菌体200mgを含む本発明の免疫調節機能を有する錠剤を調製した。
(イヌ飼育用飼料の製造)
表4に示した配合により原料を混合し、本発明の免疫調節機能を有す
るイヌ飼育用飼料を製造した。

乳酸菌のIL-12産生量を評価した結果を示した図である。(試験例1) 白血球貪食細胞活性を測定した結果を示した図である。(試験例2) NK細胞活性を測定した結果を示した図である。(試験例2) 白血球貪食細胞活性を測定した結果を示した図である。(試験例3) NK細胞活性を測定した結果を示した図である。(試験例3)

Claims (7)

  1. 免疫調節機能を有することを特徴とする、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体。
  2. 免疫調節機能を有することを特徴とする、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体。
  3. インターロイキン−12(IL-12)産生を増強し、かつ、細胞性免疫を活性化することを特徴とする、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ラクチス(Lactobacillus delbrueckii subsp. lactis)SBT2083株(FERM P-21665)死菌体。
  4. インターロイキン−12(IL-12)産生を増強し、かつ、細胞性免疫を活性化することを特徴とする、ラクトバチルス・デルブルッキイ・サブスピーシーズ・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)SBT10577株(FERM P-21666)死菌体。
  5. 請求項1乃至4記載のいずれかに記載の乳酸菌死菌体を配合した免疫調節剤。
  6. 請求項1乃至4のいずれかに記載の乳酸菌死菌体を配合した飲食品。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の乳酸菌死菌体を配合した飼料。
JP2008307913A 2008-12-02 2008-12-02 免疫調節機能を有する乳酸菌 Withdrawn JP2010132579A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008307913A JP2010132579A (ja) 2008-12-02 2008-12-02 免疫調節機能を有する乳酸菌

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008307913A JP2010132579A (ja) 2008-12-02 2008-12-02 免疫調節機能を有する乳酸菌

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2010132579A true JP2010132579A (ja) 2010-06-17

Family

ID=42344251

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008307913A Withdrawn JP2010132579A (ja) 2008-12-02 2008-12-02 免疫調節機能を有する乳酸菌

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2010132579A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012063345A1 (ja) * 2010-11-11 2012-05-18 株式会社カザミ 免疫賦活剤及びそれを配合した免疫賦活組成物、並びに免疫賦活方法
JP2013136528A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Buroma Kenkyusho:Kk 抗アレルギー組成物
WO2014088183A1 (ko) * 2012-12-07 2014-06-12 바이오제닉스코리아 주식회사 Il-12 생산유도능을 갖는 유산균 및 그 제조 방법
CN113018308A (zh) * 2019-12-25 2021-06-25 株式会社明治 用于调节免疫平衡的组合物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012063345A1 (ja) * 2010-11-11 2012-05-18 株式会社カザミ 免疫賦活剤及びそれを配合した免疫賦活組成物、並びに免疫賦活方法
JP2013136528A (ja) * 2011-12-28 2013-07-11 Buroma Kenkyusho:Kk 抗アレルギー組成物
WO2014088183A1 (ko) * 2012-12-07 2014-06-12 바이오제닉스코리아 주식회사 Il-12 생산유도능을 갖는 유산균 및 그 제조 방법
CN113018308A (zh) * 2019-12-25 2021-06-25 株式会社明治 用于调节免疫平衡的组合物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI359668B (ja)
JP5273695B2 (ja) ビフィズス菌を有効成分とするアレルギー予防および/または治療剤
JP5261617B2 (ja) 新規乳酸菌、並びに新規乳酸菌を含有する医薬、飲食品、及び飼料
EP3725321A1 (en) Composition containing bacterium belonging to genus bifidobacterium as active ingredient
JP4917025B2 (ja) ラクトバチルス・ペントーサスを含む、免疫調節作用を有する組成物
WO2011114645A1 (ja) 抗アレルギー用組成物
JP2007308419A (ja) 腸管免疫活性化剤及びIgA抗体産生促進剤、並びにこれらが含まれた食品、動物飼料及び医薬品
JPWO2020246585A1 (ja) 栄養組成物
KR101075558B1 (ko) 신규한 락토바실러스 플란타룸 및 이를 포함하는 조성물
JP5019961B2 (ja) インターロイキン10産生促進剤
KR102224072B1 (ko) 면역 조절능력과 혈중콜레스테롤 감소 능력이 모두 뛰어난 비피도박테리엄 롱검 아종 균주 및 이의 용도
JP6821643B2 (ja) 免疫疾患予防剤
JP4515157B2 (ja) 免疫調節作用を有する乳酸菌
JP2010132579A (ja) 免疫調節機能を有する乳酸菌
JP6491422B2 (ja) 免疫疾患予防剤
JP5209294B2 (ja) インターロイキン12産生促進剤
JP5646124B1 (ja) 新規乳酸菌、並びに新規乳酸菌を含有する医薬、飲食品、及び飼料
JP7436358B2 (ja) 母乳成分増強用組成物
JP6761268B2 (ja) Mkp−1誘導剤
JP4851765B2 (ja) 免疫機能調節剤
JP6061842B2 (ja) Qol改善又は持続剤
EP4176889A1 (en) Composition for promoting intestinal tract development, composition for improving pulmonary function and composition for enhancing immune function
JP6705628B2 (ja) 形質細胞様樹状細胞誘導剤
JP6767157B2 (ja) インターフェロンλ誘導剤
JP2023023981A (ja) 生体内のIgAとIFN-γ産生を促進する乳酸菌製剤及び経口組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20110721

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110801

A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20120207