JP6821643B2 - 免疫疾患予防剤 - Google Patents

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Description

本発明は、日常的な摂取が可能であり、安全性に優れ、摂取することで免疫細胞の増殖を抑え、かつ、高いIL-10/IL-12比を誘導する免疫疾患予防剤、およびそのスクリーニング方法に関する。さらに、本発明は、該免疫疾患予防剤を配合する飲食品、栄養組成物、医薬品に関する。
免疫反応は適切に制御されれば外敵に対する防御機能として宿主に有益に働くが、その反応が過剰になると宿主に腸炎やリウマチ、アレルギーといった種々の免疫疾患をもたらす。このような免疫疾患の原因として、炎症性サイトカインの過剰産生が指摘されている。
そのため、炎症性サイトカイン産生を適切に制御することは炎症性サイトカインが原因となる免疫疾患の予防や治療に有効である。また、サイトカインの産生は、通常、免疫細胞の増殖によって引き起こされるため、免疫細胞の増殖を抑制することも、炎症性サイトカインが原因となる免疫疾患の予防や治療に有効であると考えられている。
免疫状態の指標の中で注目されるものとして、抗炎症性サイトカインであるIL-10と炎症性サイトカインであるIL-12の産生比をとったIL-10/IL-12比がある。このIL-10/IL-12比を高めることは、炎症性疾患に対して有効であると考えられている。
免疫細胞の増殖抑制剤として、例えば臓器移植における拒絶反応の抑制剤や関節リウマチの治療薬として用いられているタクロリムス(特許文献1)、IL-10の産生を高めるものとして、肝硬変症や口内炎の治療薬である茵ちん蒿湯(非特許文献1)等が開示されている。しかし、薬物療法は効果が期待できる半面、副作用を考慮に入れる必要が生じる。
乳酸菌は、近年、免疫疾患の予防や治療に用いられてきている。例えば、in vitroで免疫細胞にIL-10/IL-12比を高く産生させる複数の乳酸菌が、in vivoで腸炎を発症させた動物の炎症状態を緩和することが報告されている(非特許文献2)。また、ヒトを対象とした試験において、過敏性腸症候群の患者では血中のリンパ球が産生するIL-10/IL-12比が低いが、Bifidobacterium ingants 35624を摂取することでIL-10/IL-12比が高められ、症状の改善がみられる事が報告されている。(非特許文献3)。
また、非特許文献4にはLactobacillus acidophilus L-92をマウスに強制経口投与することにより、アポトーシスが誘導され、免疫細胞の一種であるT細胞の増殖を抑制することが記載されている。
特許平3-38276
Yamashiki, M.ら、Clinical science, 99(5): 421-431, 2000 Foligne, B.ら、World J Gastroenterol., 13(2): 236-243, 2007 O’Mahony, L.ら、Gastroenterology, 128: 541-551, 2005 Kanzato, H.ら、Immunobiology, 213(5): 399-408, 2008
以上の事から、免疫疾患の予防や治療にはIL-10/IL-12比を高めること及び免疫細胞の増殖を抑制することが有効である事が分かる。しかしながら、これら二つの作用は互いに相反する作用と考えられる。通常、IL-10やIL-12をはじめとしたサイトカイン類の産生が増加する場合には、免疫細胞の活性化が伴うため免疫細胞の増殖が伴う。よって、免疫細胞の増殖が抑制されるとサイトカイン産生は抑制されると考えられる。既存の報告では、免疫細胞に対する増殖抑制、またはIL-10/IL-12産生比の増加等のサイトカイン産生促進作用のいずれか一方が報告されているのみであり、この二つの作用を同時に発現することができる物質、特に乳酸菌については知られていない。
本発明は、日常的な摂取が可能であり、安全性に優れ、なおかつ摂取することで、免疫細胞の増殖を抑え、かつ、高いIL-10/IL-12比を誘導する免疫疾患予防剤及びこの機能を付与した飲食品又は栄養組成物又は医薬品を提供することを課題とする。
更に、摂取することで免疫細胞の増殖を抑え、かつ、高いIL-10/IL-12比を誘導する乳酸菌のスクリーニング方法の提供を課題とする。
本発明は、下記のいずれかの構成からなる発明である。
(1)
ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌を有効成分とする、免疫疾患予防剤。
(2)
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株であることを特徴とする(1)記載の、免疫疾患予防剤。
(3)
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株であることを特徴とする(1)記載の、免疫疾患予防剤。
(4)
(1)乃至(3)のいずれかに記載の免疫疾患予防剤を含むことを特徴とする免疫疾患予防剤用飲食品、免疫疾患予防剤用栄養組成物、又は免疫疾患予防剤用医薬品。
(5)
ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌を有効成分とする、免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加剤。
(6)
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株であることを特徴とする請求項5記載の、免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加剤。
(7)
前記乳酸菌が、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株であることを特徴とする請求項5記載の、免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加剤。
(8)
(5)乃至(7)のいずれかに記載の免疫疾患予防剤を含むことを特徴とする免疫細胞増殖抑制かつIL10/IL12産生比増加剤用飲食品、免疫細胞増殖抑制かつIL10/IL12産生比増加剤用栄養組成物、又は免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加剤用医薬品。
(9)
下記ステップを少なくとも含むことを特徴とする乳酸菌のスクリーニング方法。
(A)免疫細胞から産生されるIL-10産生量/IL-12産生量の比を増加させる乳酸菌をスクリーニングするステップ。
(B)免疫細胞の細胞増殖を抑制する乳酸菌をスクリーニングするステップ。
ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)に属する乳酸菌を有効成分とする免疫疾患予防剤は、免疫細胞の増殖を抑制し、かつ高いIL-10/IL-12比を誘導させることができ、腸炎、関節リウマチ、肝炎などの免疫疾患の予防または治療に有効である。
乳酸菌を添加したマウスの免疫細胞の増殖活性を示した図である。 乳酸菌を添加した、マウスの免疫細胞のIL-10産生量を示した図である。 乳酸菌を添加した、マウスの免疫細胞のIL-12産生量を示した図である。 乳酸菌を添加した、マウスの免疫細胞のIL-10産生量、及びIL-12産生量から算出したIL-10/IL-12産生比を示した図である。 乳酸菌を添加した、マウスの免疫細胞のIL-10産生量、及びIL-12産生量から算出したIL-10/IL-12産生比を示した図である。 乳酸菌を添加した、マウスの免疫細胞の生細胞数を示した図である。
本発明には、免疫細胞の増殖を抑制し、かつ高いIL-10/IL-12比を誘導させる免疫疾患予防作用を有するラクトバチルス・ヘルベティカスの菌株を用いる。ラクトバチルス・ヘルベティカスであれば菌株の種類を問わないが、一例として、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株(FERM BP-5445)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2161株(NITE ABP-01707)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT0621株(FERMP-21883)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT0064株(FERMP-21079)を挙げることが出来る。特に、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2171株は苦味、臭気等を発生することなく、高いたんぱく質分解活性をもつラクトバチルス属の菌株として報告されている(特開平7−274949号公報)。
ラクトバチルス・ヘルベティカスの菌体は、乳酸菌培養の常法に従って培養し、得られた培養物から遠心分離等の集菌手段によって分離されたものをそのまま本発明の有効成分として用いることができる。菌体として純粋に分離された菌体だけでなく、培養物、懸濁物、その他の菌体含有物や、菌体を酵素や物理的手段を用いて処理した細胞質や細胞壁画分も用いることができる。さらに、製剤化に際しては製剤上許可されている賦形剤、安定剤、矯味剤などを適宜混合して濃縮、凍結乾燥するほか、加熱乾燥して死菌体にしてもよい。これらの乾燥物、濃縮物、ペースト状物も包含される。また、ラクトバチルス・ヘルベティカス菌体の免疫疾患予防作用を妨げない範囲で、賦型剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味矯臭剤、懸濁剤、コーティング剤、その他の任意の薬剤を混合して製剤化することもできる。剤形としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、シロップ剤等が可能であり、これらを経口的に投与することが望ましい。
本発明の有効成分は、経口的に投与することにより、免疫疾患予防作用を達成し得るので、免疫疾患予防用飲食品、免疫疾患予防用栄養組成物、及び免疫疾患予防用医薬品として使用することができる。免疫疾患予防用飲食品の形態は免疫疾患予防作用を妨げない範囲でどのようなものでもよく、上記乳酸菌の菌体自体、および上記乳酸菌の菌体を培養して得られた発酵乳、チーズ自体、さらに、これらの菌体、発酵乳、チーズ等を素材として使用し、パンやスナック菓子、ケーキ、プリン等にしてもよく、飲料、発酵乳、麺類、ソーセージ等の飲食品、さらには、各種粉乳の他、乳幼児食品、栄養組成物等に配合することも可能である。
また、本発明の免疫疾患予防剤を配合して、免疫疾患予防剤あるいは、免疫疾患予防用飲食品、免疫疾患予防用栄養組成物、及び免疫疾患予防用医薬品などの素材又はそれら素材の加工品に含有させて使用する場合、乳酸菌の含有割合は特に限定されず、製造の容易性や好ましい一日投与量等に合わせて適宜調節すればよい。例えば剤型が液体の場合には、1×105cells/ml〜1×1010cells/mlとすることが好ましく、固体の場合には、1×105cells/g〜1×1010cells/gとすることが好ましい。
これらの免疫疾患予防剤、免疫疾患予防用飲食品、免疫疾患予防用栄養組成物、及び免疫疾患予防用医薬品は、免疫疾患予防能を有するので、前述した免疫の不調により引き起こされるさまざまな病態の予防、治療、改善、再発防止に非常に有益となりうる。
本発明の免疫疾患予防能を発揮させるためには、成人の場合、乳酸菌体重量で1〜1,000mg摂取することが望ましい。乳酸菌体は、古来、発酵乳やチーズの製造に用いられており、本発明の免疫疾患予防剤、免疫疾患予防用飲食品、免疫疾患予防用栄養組成物、及び免疫疾患予防用医薬品は安全性に問題はないという特徴がある。
本発明のスクリーニング方法は、様々な乳酸菌の中から、免疫細胞の増殖を抑制する乳酸菌をスクリーニングする方法及び様々な乳酸菌の中から高いIL-10/IL-12比を誘導させる乳酸菌をスクリーニングする方法を組み合わせたものである。
以下に、実施例を示し、本発明についてより詳細に説明するが、これらは単に例示するのみであり、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
(免疫細胞増殖活性の測定)
以下に述べるように、in vitroにおいて、表1に示す43種類の乳酸菌をマウスの免疫細胞に添加して培養し、免疫細胞の増殖活性に与える影響を評価し、コントロール(乳酸菌無添加)と比較して、増殖活性を低下させる乳酸菌をスクリーニングした。
(乳酸菌の調製)
試験に用いた乳酸菌株を表1に示した。ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株、Streptococcus thermophilus及びLactobacillusLactobacilluskefiranofaciens、Lactobacillus plantarumを除く)はMRS 培地(Difco Laboratories, Detroit, Mich.)で37℃16時間培養した。Lactobacillus の中でもLactobacillus kefiranofaciensLactobacillus plantarum、及びLactococcus lactis はMRS培地で30℃16時間培養した。Bifidobacteriumは1%グルコースを加えたGAM培地(Nissui Seiyaku Co., Tokyo, Japan)で37℃16時間培養した。Leuconostocは1%グルコースを加えたGAM培地で30℃16時間培養した。
培養液からの菌体サンプルの調整は、常法に従った。具体的には、表1の各乳酸菌株を上記の手順で培養した後に、各乳酸菌培養液から遠心分離によって菌体を回収し、滅菌超純水で洗浄した後、凍結乾燥した。凍結乾燥粉末は滅菌超純水に10 mg/mlの濃度で懸濁した。菌懸濁液を80℃で30分間加熱し、試験サンプルとした。試験に使用するまで凍結保存した。
Figure 0006821643
ssp.; subspecies
Lb.: Lactobacillus, Lc.: Lactococcus, B.: Bifidobacterium, Leu.: Leuconostoc
T: Type strain(基準株)
JCM: JapanCollection of Microorganisms, Saitama, Japan.
ATCC: American type culture collection, Manassas, USA.
NCFB: National Collection for Food Bacteria, Reading, UK.
マウスの免疫細胞の調製
RPMI 1640 medium(Life Technologies, Gaithersburg, MD)に、10%非働化ウシ胎仔血清(エンドトキシン保証品)(Life Technologies)、10 mM HEPES(Life Technologies)、2 mM L-グルタミン(Life Technologies)、100 U/mL ペニシリン(Life Technologies)、100 μg/mL ストレプトマイシン(Life Technologies)及び0.05 mM 2-メルカプトエタノールを添加してRPMI培地を作成した。C57BL/6Jマウス(7〜10週齢、雄性;日本チャールス・リバー社)から、腸間膜リンパ節を摘出し、RPMI培地に添加してすり潰し、70μm-セルストレイナー(BD Biosciences, San Jose, CA)で濾過して、細胞分散液を得た。分散液中の細胞はRPMI培地で2回洗浄した後、RPMI培地に再分散した。
細胞増殖活性測定
調製した細胞を5.0×104cells/ウェルの密度で96ウェルround-bottomed プレート(iwaki, Japan)に播種し、細胞と同数の抗マウスCD3/CD28抗体ビーズ(Life Technologies)及び、各乳酸菌サンプル(終濃度10μg/ml)を加えて200 μlとし、37°C、5% CO2の条件下で3日間培養した。3日間培養後に細胞の増殖活性の上昇に伴い、強く蛍光を発する試薬であるPrestoBlue(R) Cell Viability Reagent (Life Technologies)を製品のプロトコルに従って各ウェルに添加した。さらに7時間培養した後に、培養上清の蛍光強度を測定した。各乳酸菌株を添加した蛍光強度は、細胞に抗マウスCD3/CD28抗体ビーズのみを加えて培養したコントロール群の蛍光強度を100とした相対値で、図1に示した。
図1より、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)の5菌株(SBT2161、SBT0064、SBT0621、SBT2171、JCM1120T)はいずれも蛍光強度がコントロールより低かった。即ち、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)を培養系に加えると免疫細胞の増殖活性は減少する事が分かった。
(IL-10/IL-12産生比の測定(1))
表1の乳酸菌の中から、細胞増殖活性がコントロールと比較し増加したLactobacillus gasseri JCM1131T株、細胞増殖活性がコントロールとほぼ同等であったLactobacillus salivarius ssp. salivariusSBT11459、Lactobacillus plantarum SBT11457、及び、細胞増殖活性が低下したLactobacillus helveticus SBT2171の合計4菌株を選び、IL-10/IL-12産生比の測定に供した。以下に述べるように、 in vitroにおいて、上記4菌株をマウスの免疫細胞に添加して培養し、コントロール(乳酸菌無添加)と比較し、IL-10/IL-12産生比を高める乳酸菌をスクリーニングした。
マウスの免疫細胞の調製
上述の細胞増殖活性測定と同様の手法で調製した。
乳酸菌の調製
試験に用いた乳酸菌株を表2に示した。培養液からの菌体サンプルの調製は、Foligneらの方法に準拠した(非特許文献2)。具体的には、各乳酸菌株をMRS 培地(Difco Laboratories)で37℃16時間培養し、各乳酸菌培養液から遠心分離によって菌体を回収した。PBS(−)で洗浄した後に、1×109cfu/mlの濃度でグリセロールを20%含むPBS(−)に懸濁した。試験に使用するまで、−80℃で凍結保存した。
Figure 0006821643
IL-10/IL-12産生比の測定
2.0×106cells/mlの濃度に調製した細胞を24ウェルプレート(iwaki)に各ウェルに1mlずつ播種し(2.0×106cells/ウェル)、1×109cfu/mlの濃度に調整した乳酸菌サンプルを20μlずつ添加した(2.0×107cfu/ウェル)。コントロール群には、乳酸菌サンプルの代わりに、グリセロール20%を含むPBS(−)を20μl添加した。37°C、5%CO2の条件下で24時間培養し、培養後に細胞を含む全培養液を遠心分離して培養上清を得た。上清中のIL-10産生量を、IL-10測定キットのMouse IL-10 Ready-SET-Go!(eBioscience, San Diego, CA.)を用いて測定し、その数値を図2に示した。同様に、上清中のIL-12産生量を、IL-12測定キットのmouse IL-12 p70(R&D Systems, Minneapolis, MN.)を用いて測定し、その数値を図3に示した。
図2より、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株は免疫細胞からのIL-10産生を強く誘導した。その作用は、非特許文献2において産生量が多いことが報告されているLb. salivarius ssp. salivariusと同程度であり、他の乳酸菌と比べると強いものであった。図3より、IL-12に関しては、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株は他の乳酸菌に比べて産生促進作用が弱く、その産生量は菌体を加えていないコントロール群と同程度であった。これらのIL-10産生量、IL-12産生量から算出したIL-10/IL-12比を図4に示した。図4により、コントロール群も含めた全群の中でラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株が最も高いことが示された。即ち、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)はIL-10/IL-12比を高く誘導する事が分かった。
上記の免疫細胞増殖活性測定及びIL-10/IL-12産生比の測定の結果より、免疫細胞の増殖を抑え、かつ、高いIL-10/IL-12比を誘導する乳酸菌として、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、特にラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株をスクリーニングすることが出来た。
(IL-10/IL-12産生比の測定(2))
表1の乳酸菌の中から、Lactobacillus helveticusに属するラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2161株(NITE ABP-01707)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT0621株(FERMP-21883)、ラクトバチルス・ヘルベティカス BT0064株(FERMP-21079)の合計3菌株を選び、IL-10/IL-12産生比の測定に供した。以下に述べるように、in vitroにおいて、上記4菌株をマウスの免疫細胞に添加して培養し、コントロール(乳酸菌無添加)と比較し、IL-10/IL-12産生比を高める乳酸菌をスクリーニングした。
マウスの免疫細胞の調製
上述のIL-10/IL-12産生比の測定(1)と同様の手法で調製した。
乳酸菌の調製
試験に用いた乳酸菌株を表3に示した。培養液からの菌体サンプルは、上述のIL-10/IL-12産生比の測定(1)と同様の手法で調製した。
Figure 0006821643
IL-10/IL-12産生比の測定
上述のIL-10/IL-12産生比の測定(1)と同様の手法で測定した。IL-10産生量、IL-12産生量から算出したIL-10/IL-12比を図5に示した。
図5より、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2161株(NITE ABP-01707)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT0621株(FERMP-21883)、ラクトバチルス・ヘルベティカスSBT0064株(FERMP-21079)は、菌体を加えていないコントロール群に比べてIL-10/IL-12比を有意に高く誘導した。即ち、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)はIL-10/IL-12比を高く誘導する事が分かった。
上記の免疫細胞増殖活性測定及びIL-10/IL-12産生比の測定の結果より、免疫細胞の増殖を抑え、かつ、高いIL-10/IL-12比を誘導する乳酸菌として、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、特にラクトバチルス・ヘルベティカスSBT2161株(NITE ABP-01707)をスクリーニングすることが出来た。
(細胞毒性測定)
通常、IL-10やIL-12をはじめとしたサイトカイン類の産生が増加する場合には、免疫細胞の活性化が伴うため免疫細胞の増殖が伴う。しかし、上記の結果より、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)はIL-10/IL-12比を高く誘導し、かつ免疫細胞の増殖を抑える事がわかった。その原因を探るために、Lactobacillus gasseriのJCM1131株及び、Lactobacillus helveticusを選択し、in vitroにおいて、細胞毒性を評価した。
マウスの免疫細胞の調製
上述の細胞増殖活性測定と同様の手法で調製した。
乳酸菌の調製
試験に用いた乳酸菌株を表3に示した。各乳酸菌の培養条件、試験サンプルの調製方法は、上述の細胞増殖活性測定と同様である。
Figure 0006821643
細胞毒性測定
調製した細胞を5.0×104cells/ウェルの密度で96ウェルround-bottomed プレート(iwaki)に播種し、各乳酸菌サンプル(終濃度10μg/ml)を加えて200μlとし、37°C、5% CO2の条件下で3日間培養した。3日間培養後にCyQUANT(R) Direct Cell Proliferation Assay kit (Life Technologies)を製品のプロトコルに従って添加し、さらに1時間培養して、蛍光強度を測定した。蛍光強度から算出した生細胞数を図6に示した。
図6より、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株を加えた場合の生細胞数は、乳酸菌を加えなかった場合(control群)と有意差はなかった。つまり、当菌株は抗体ビーズなどの増殖刺激がない場合には細胞の生存に影響を与えない、すなわち、当菌株には明らかな細胞毒性は無いことが示された。従って、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)はIL-10/IL-12比を高く誘導し、かつ免疫細胞の増殖を抑える事が出来る。
(発酵乳の製造)
ラクトバチラス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株を、脱脂乳100gを用いて37℃、12時間培養したものを、新しい同培地3kgに接種し、37℃、12時間培養した。培養終了した発酵乳全量をスターターとして用い、脱脂乳100kgを32℃、20時間発酵させて、免疫疾患予防作用を有するラクトバチラス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus) SBT2171株の発酵乳を得た。ラクトバチラス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171の生菌数は8.2×108個/gであった。
(SBT2171株の菌体粉末錠剤の製造)
実施例1の(0024)で得られた菌体粉末1部に脱脂粉乳4部を混合し、この混合粉末を打錠機により1gずつ常法により打錠して、ラクトバチラス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)SBT2171株の菌体200mgを含む免疫疾患予防作用を有する菌体粉末錠剤を得た。
(カプセル剤の製造)
表5に示した配合により原料を混合し、造粒した後、カプセルに充填して、免疫疾患予防制作用を賦与したカプセル剤を製造した。
Figure 0006821643
(チーズの製造)
チーズ中の脂肪率が12〜30%となるように調整した原料乳を使用して、数種類の低脂肪硬質ナチュラルチーズを製造した。すなわち、脂肪率を調整した原料乳を75℃で15秒間のプレート加熱殺菌を行った後、30℃まで冷却し、0.01%塩化カルシウムを添加した。次に、これらの原料乳に市販の乳酸菌スターター(クリスチャン・ハンセン社製)0.7%及びラクトバチラス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)JCM1120T株(基準株) 1%を添加し、レンネット0.003 %を添加して乳を凝固させた後、カッテングしてpHが6.2〜6.1となるまで撹拌し、ホエーを排出し、カード粒を得た。さらに、このカード粒を型詰めして圧搾し、さらに加塩して、ゴーダチーズタイプの低脂肪硬質ナチュラルチーズを製造した。
従来は免疫細胞の増殖を抑え、IL-10/IL-12比を高めるためには、2種類以上の乳酸菌が必要であったが、本発明のラクトバチラス・ヘルベチカス(Lactobacillus helveticus)により1種類の乳酸菌で上記効果が得られ、免疫細胞の増殖を抑制することによって臓器移植における拒絶反応の抑制や関節リウマチの治療効果とともに、IL-10/IL-12比を高めることによって肝硬変症や口内炎の治療効果も合わせて期待でき、さらにはこれらの効果を併せ持つことで新たな免疫疾患に有効である可能性も期待できる。

Claims (2)

  1. ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)SBT2161株の生菌体を有効成分とする、免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加剤。
  2. 請求項に記載の免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加剤を含むことを特徴とする免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加用飲食品、免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加用栄養組成物、又は免疫細胞増殖抑制かつIL-10/IL-12産生比増加用医薬品。
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