JP2006074187A - 広帯域アンテナ及びこれを有する非接触型情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】広帯域を容易に実現可能であり、非接触型情報記録媒体に用いられて誘電体に貼付された場合であっても、情報の書き込み/読み出し率を向上させる。
【解決手段】 二等辺三角形の形状を有する2つの導体10a,10bが、二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が二等辺三角形の底辺11a,11bのそれぞれに対して垂直となるように、かつ、頂点どうしが空隙を有するように配置され、頂点に給電点20a,20bが設けられてなる広帯域アンテナにおいて、2つの導体10a,10bそれぞれの二等辺三角形の底辺11a,11bを、二等辺三角形の頂点側に凹んだ曲線状とする。
【選択図】図1
【解決手段】 二等辺三角形の形状を有する2つの導体10a,10bが、二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が二等辺三角形の底辺11a,11bのそれぞれに対して垂直となるように、かつ、頂点どうしが空隙を有するように配置され、頂点に給電点20a,20bが設けられてなる広帯域アンテナにおいて、2つの導体10a,10bそれぞれの二等辺三角形の底辺11a,11bを、二等辺三角形の頂点側に凹んだ曲線状とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、広帯域な特性を有する広帯域アンテナ及びこれを有する非接触型情報記録媒体に関する。
昨今、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。また、商品等に貼付されるラベルやタグに情報を記録し、このラベルやタグを用いての商品等の管理も行われている。
このようなカードやラベル、あるいはタグを用いた情報管理においては、カードやラベル、あるいはタグに対して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うことが可能なICが搭載された非接触型ICカードや非接触型ICラベル、あるいは非接触型ICタグがその優れた利便性から急速な普及が進みつつある。
非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能な非接触型ICカードや非接触型ICラベル、非接触型ICタグにおいては、近年、小型化及び通信可能距離を確保するために、2.45GHzの周波数帯を利用して通信を行う微細なICチップが用いられることが多くなってきている。
このような微細なICチップを用いた場合、ICチップに導電性のアンテナを接続することにより、ICチップの通信可能距離を延ばすことができる。
図6は、2.45GHzの周波数帯を利用して通信を行うICチップが搭載された非接触型ICタグの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
本構成例は図6に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材202上に、互いに直列に並ぶように所定の間隔を有して形成された2つの帯状の導体210a,210bからなるアンテナ部210が形成されており、この2つの導体210a,210bに接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ201が搭載されて構成されている。
上記のように構成された非接触型ICタグ200においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波によりアンテナ部210に電流が流れ、この電流がICチップ201に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ201に情報が書き込まれたり、ICチップ201に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
以下に、上述した非接触型ICタグ200の周波数特性について説明する。
図7は、図6に示した非接触型ICタグ200の周波数特性を説明するための図であり、ICチップ201に対する情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数に対する非接触型ICタグ200のリターンロスを示す。
図6に示した非接触型ICタグ200においては、図7に示すように、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数によってリターンロスが変化するため、リターンロスが最も低くなるアンテナ部210における共振点であるピークポイントAにおける周波数を、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faに設定する必要がある。ここで、アンテナ部210においては、その長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材202の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2である場合に、その共振点における周波数がfaとなって共振し、ICチップ201に対する情報の書き込みや読み出しが可能となる。そのため、アンテナ部210における共振点であるピークポイントAにおける周波数が、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとなるように、アンテナ部210の長さを、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材202の比透磁率及び比誘電率とを用いて設定すれば、ICチップ201に対する情報の書き込みや読み出しが可能となる。
ここで、上述したような非接触型ICタグ200が、例えば、書籍等の物品に貼付されて使用された場合、書籍等の物品は誘電体で構成されているため、物品に貼付された非接触型ICタグ200のアンテナ部210の周波数特性が低い周波数方向にシフトすることになる。そのため、アンテナ部210の共振点が、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faに対してずれてしまい、非接触型ICタグ200に対する情報の書き込み及び読み出しができなくなってしまう虞れがある。特に、上述した2.45GHzの周波数帯を利用したICチップ201においては、このような現象が顕著に生じてしまう。
ところで、従来より、二等辺三角形からなる2つの導体が、その頂点が空隙を介して互いに対向するように配置されてなるボウタイアンテナが利用されている。
図8は、一般的なボウタイアンテナを有する非接触型ICタグの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
本例は図8に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材202上に、二等辺三角形の形状を有する2つの導体310a,310bが、二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が二等辺三角形の底辺のそれぞれに対して垂直となるように、かつ、頂点どうしが空隙を有するように配置されてなるアンテナ部310が形成されており、この2つの導体310a,310bに接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ301が搭載されて構成されている。
上記のように構成された非接触型ICタグ300においては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波によりアンテナ部310に電流が流れ、この電流がICチップ301に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ301に情報が書き込まれたり、ICチップ301に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
以下に、上述した非接触型ICタグ300の周波数特性について説明する。
図9は、図8に示した非接触型ICタグ300の周波数特性を説明するための図であり、ICチップ301に対する情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数に対する非接触型ICタグ300のリターンロスを示す。
図8に示した非接触型ICタグ300においては、アンテナ部310における共振点の周波数は、図6に示したものと同様に、アンテナ部310の長さとベース基材302の比
透磁率及び比誘電率とによって設定されるが、本例においては、アンテナ部310の長さが変化するため、それぞれの長さに応じた共振点が存在する。具体的には、図8に示した非接触型ICタグ300について、B−B’間と、C−C’間とではアンテナ部310の長さが異なるため、B−B’間の長さと、C−C’間の長さとのそれぞれに応じた共振点が存在することになる。さらに、アンテナ部310を構成する2つの導体310a,310bがそれぞれ二等辺三角形の形状を有するものであるため、アンテナ部310の長さは、B−B’間からC−C’間に渡って無段階に変化している。
透磁率及び比誘電率とによって設定されるが、本例においては、アンテナ部310の長さが変化するため、それぞれの長さに応じた共振点が存在する。具体的には、図8に示した非接触型ICタグ300について、B−B’間と、C−C’間とではアンテナ部310の長さが異なるため、B−B’間の長さと、C−C’間の長さとのそれぞれに応じた共振点が存在することになる。さらに、アンテナ部310を構成する2つの導体310a,310bがそれぞれ二等辺三角形の形状を有するものであるため、アンテナ部310の長さは、B−B’間からC−C’間に渡って無段階に変化している。
このため、図9に示すように、アンテナ部310においては、B−B’間の長さによる共振点となるピークポイントAと、C−C’間の長さによる共振点となるピークポイントBとが存在し、かつ、このピークポイント間はリターンロスがほぼ一定なものとなる。
これにより、B−B’間の長さによる共振点となるピークポイントAにおける周波数が、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとなるようにB−B’間の長さを設定しておけば、後に、非接触型ICタグ300が、例えば、書籍等の物品に貼付されて使用され、アンテナ部310の周波数特性が低い周波数方向にシフトした場合であっても、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faがピークポイントAとピークポイントBとの間にあれば、非接触型ICタグ300に対する情報の書き込み及び読み出しを行うことができる。
このようなボウダイアンテナにおいては、二等辺三角形の等しい辺が足された長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の下限周波数となり、二等辺三角形の頂点を通って底辺に垂直となる軸線の底辺間の長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の上限周波数となる周波数帯で放射する広帯域なアンテナを実現することができる。
また、このようなボウタイアンテナにおいて、二等辺三角形の等しい辺の形状を曲線状や階段状にすることにより、下限周波数を下げ、それによりさらなる広帯域なアンテナが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2002−135037号公報
しかしながら、上述したようなボウタイアンテナにおいては、二等辺三角形の等しい辺が足された長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の下限周波数となり、二等辺三角形の頂点を通って底辺に垂直となる軸線の底辺間の長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の上限周波数となる周波数帯で放射するものの、この周波数帯で十分であるとは言いがたい。
また、二等辺三角形の等しい辺の形状を曲線状や階段状にすることにより、下限周波数を下げるものにおいては、同じ大きさのボウタイアンテナに対して下限周波数を下げることはできるものの、上限周波数を上げることはできない。ここで、上述したように、アンテナが形成された非接触型情報記録媒体においては、物品等に貼付された場合、アンテナの周波数特性が低い周波数方向にシフトすることになる。そのため、上限周波数が変わらない場合、アンテナの周波数特性が低い周波数方向に大きくシフトした場合に、非接触型情報記録媒体に対する情報の書き込み及び読み出しができなくなってしまう虞れがある。そこで、曲線状や階段状とされた二等辺三角形の辺の長さを下限周波数に合わせ、それにより、実質的に上限周波数を上げることが考えられるが、その場合、元となるボウタイアンテナに対して大きさが異なることになるため、アンテナの大きさを含めて再設計しなければならないという問題点がある。
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、広帯域を容易に実現可能であり、非接触型情報記録媒体に用いられて誘電体に貼付された場合であっても、情報の書き込み/読み出し率を向上させることができる広帯域アンテナ及びこれを有する非接触型情報記録媒体を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、
二等辺三角形の形状を有する2つの導体が、前記二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が前記二等辺三角形の底辺のそれぞれに対して垂直となるように、かつ、前記頂点どうしが空隙を有するように配置され、前記頂点に給電点が設けられてなる広帯域アンテナにおいて、
前記2つの導体それぞれの形状を、前記二等辺三角形の底辺が当該二等辺三角形の頂点側に凹んだ形状としたことを特徴とする。
二等辺三角形の形状を有する2つの導体が、前記二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が前記二等辺三角形の底辺のそれぞれに対して垂直となるように、かつ、前記頂点どうしが空隙を有するように配置され、前記頂点に給電点が設けられてなる広帯域アンテナにおいて、
前記2つの導体それぞれの形状を、前記二等辺三角形の底辺が当該二等辺三角形の頂点側に凹んだ形状としたことを特徴とする。
また、前記2つの導体それぞれの形状を、前記二等辺三角形の底辺が曲線状となる形状としたことを特徴とする。
また、前記広帯域アンテナを有する非接触型情報記録媒体であって、
前記広帯域アンテナがベース基材上に形成され、
前記ベース基材上に、前記2つの導体それぞれの給電点に接続され、前記2つの導体を介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが搭載されてなる。
前記広帯域アンテナがベース基材上に形成され、
前記ベース基材上に、前記2つの導体それぞれの給電点に接続され、前記2つの導体を介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが搭載されてなる。
また、前記2つの導体それぞれの二等辺三角形の等しい辺を足した長さが、前記ICチップに対する情報の書き込み及び読み出しに用いられる周波数と前記ベース基材の透磁率及び誘電率とから求まる波長をλとした場合、λ/2であることを特徴とする。
上記のように構成された本発明においては、2つの導体それぞれの二等辺三角形の等しい辺が足された長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の下限周波数となり、二等辺三角形の頂点を通って、二等辺三角形の底辺が頂点側に凹んだ部分のうち底辺間が最も短くなる部分間の長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の上限周波数となる。
このように、所望の帯域の上限周波数を決めるための導体部分の長さが、二等辺三角形の底辺が直線である場合と比べて短くなっているので、所望の帯域の上限周波数が上がることになり、広帯域なアンテナを容易に実現することができるとともに、この広帯域アンテナが形成された非接触型情報記録媒体が誘電体に貼付され、周波数特性が低い方にシフトした場合であっても、非接触情報記録媒体のICチップに対する情報の書き込み及び読み出しが可能となり、情報の書き込み/読み出し率が向上する。
また、非接触型情報記録媒体のICチップ対する情報の書き込み及び読み出しに用いられる周波数と、広帯域アンテナが形成されたベース基材の透磁率及び誘電率とから求まる波長をλとした場合、2つの導体それぞれの二等辺三角形の等しい辺が足された長さをλ/2とすれば、広帯域アンテナがベース基材に形成された場合においても、2つの導体それぞれの二等辺三角形の等しい辺が足された長さがλ/2となる周波数を所望の帯域の下限周波数に設定することができる。
以上説明したように本発明においては、所望の帯域の上限周波数を決めるための導体部分の長さが、二等辺三角形の底辺が直線である場合と比べて短くなっているため、所望の帯域の上限周波数が上がることになり、広帯域なアンテナを容易に実現することができるとともに、この広帯域アンテナが形成された非接触型情報記録媒体が誘電体に貼付され、周波数特性が低い方にシフトした場合であっても、非接触情報記録媒体のICチップに対する情報の書き込み及び読み出しが可能となり、情報の書き込み/読み出し率を向上させることができる。
また、非接触型情報記録媒体のICチップ対する情報の書き込み及び読み出しに用いられる周波数と、広帯域アンテナが形成されたベース基材の透磁率及び誘電率とから求まる波長をλとした場合、2つの導体それぞれの二等辺三角形の等しい辺が足された長さをλ/2としたものにおいては、広帯域アンテナがベース基材に形成された場合においても、2つの導体それぞれの二等辺三角形の等しい辺が足された長さがλ/2となる周波数を所望の帯域の下限周波数に設定することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の広帯域アンテナの第1の実施の形態を示す図である。
図1は、本発明の広帯域アンテナの第1の実施の形態を示す図である。
本形態は図1に示すように、二等辺三角形の形状を有する2つの導体10a,10bが、二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が二等辺三角形の底辺11a,11bのそれぞれに対して垂直となるように、かつ、頂点どうしが空隙を有するように配置され、さらに、2つの導体10a,10bそれぞれの二等辺三角形の底辺11a,11bが、二等辺三角形の頂点側に凹んだ曲線状となって構成されている。また、2つの導体10a,10bの二等辺三角形の頂点に給電点20a,20bが設けられている。
上記のように構成された広帯域アンテナにおいては、2つの導体10a,10bの二等辺三角形の等しい辺が足された長さ、すなわちB−B’間の長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の下限周波数となり、2つの導体10a,10bの二等辺三角形の頂点を通って、底辺11a,11bが曲線状となった部分間のうちその長さが最も短くなる部分の長さ、すなわちC−C’間の長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の上限周波数となる周波数帯で放射することになり、これにより、広帯域なアンテナが実現される。
図2は、図1に示した広帯域アンテナを有する非接触型ICラベルの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
本例は図2に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材2上に、図1に示した広帯域アンテナからなるアンテナ部10が形成されており、このアンテナ部10を構成する2つの導体10a,10bの給電点20a,20bに接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ1が搭載されて構成されている。
上記のように構成された非接触型ICタグにおいては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波によりアンテナ部10に電流が流れ、この電流がICチップ1に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ1に情報が書き込まれたり、ICチップ1に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
以下に、上述した非接触型ICタグの周波数特性について説明する。
図3は、図2に示した非接触型ICタグの周波数特性を説明するための図であり、ICチップ1に対する情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数に対する非接触型ICタグのリターンロスを示す。
図2に示した非接触型ICタグにおいては、図6に示したものと同様に、アンテナ部10の長さが、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材2の比透磁率及び比誘電率とから求まる波長λの1/2である場合に、アンテナ部10の共振点における周波数がfaとなって共振し、ICチップ1に対する情報の書き込みや読み出しが可能となる。そのため、アンテナ部10における共振点となるピークポイントにおける周波数が、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとなるように、アンテナ部10の長さを、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材2の比透磁率及び比誘電率とを用いて設定すれば、ICチップ1に対する情報の書き込みや読み出しが可能となる。ところが、本例においては、アンテナ部10の長さが変化するため、それぞれの長さに応じた共振点が存在する。具体的には、図2に示した非接触型ICタグについて、B−B’間と、C−C’間とではアンテナ部10の長さが異なるため、B−B’間の長さと、C−C’間の長さとのそれぞれに応じた共振点が存在することになる。さらに、アンテナ部10を構成する2つの導体10a,10bがそれぞれ、二等辺三角形の底辺11a,11bが頂点側に凹んだ曲線状となったものであるため、アンテナ部10の長さは、B−B’間からC−C’間に渡って無段階に変化し、かつ、2つの導体10a,10bがそれぞれ二等辺三角形である場合と比べてアンテナ部10におけるC−C’間の長さが短くなっている。
このため、図3に示すように、アンテナ部10においては、B−B’間の長さによる共振点となるピークポイントAと、C−C’間の長さによる共振点となるピークポイントBとが存在し、かつ、このピークポイント間はリターンロスがほぼ一定なものとなり、その周波数帯が広域なものとなる。また、アンテナ部10におけるC−C’間の長さが、2つの導体10a,10bがそれぞれ二等辺三角形である場合と比べて短くなっていることにより、ピークポイントBが、2つの導体10a,10bがそれぞれ二等辺三角形である場合と比べて高い周波数に移動しており、上限周波数が上がっている。
これにより、B−B’間の長さによる共振点となるピークポイントAにおける周波数が、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとなるように、B−B’間の長さを、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材2の比透磁率及び比誘電率とを用いて設定しておけば、後に、非接触型ICタグが、例えば、書籍等の物品に貼付されて使用され、アンテナ部10の周波数特性が低い周波数方向に大きくシフトした場合であっても、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faがピークポイントAとピークポイントBとの間にあれば、非接触型ICタグに対する情報の書き込み及び読み出しを行うことができる。
(第2の実施の形態)
図4は、本発明の広帯域アンテナの第2の実施の形態を示す図である。
図4は、本発明の広帯域アンテナの第2の実施の形態を示す図である。
本形態は図4に示すように、二等辺三角形の形状を有する2つの導体110a,110bが、二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が二等辺三角形の底辺111a,111bのそれぞれに対して垂直となるように、かつ、頂点どうしが空隙を有するように配置され、さらに、2つの導体110a,110bそれぞれの二等辺三角形の底辺111a,111bが、二等辺三角形の頂点側に凹んだくの字状となって構成されている。また、2つの導体110a,110bの二等辺三角形の頂点に給電点120a,120bが設けられている。
上記のように構成された広帯域アンテナにおいては、2つの導体110a,110bの二等辺三角形の等しい辺が足された長さ、すなわちB−B’間の長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の下限周波数となり、2つの導体110a,110bの二等辺三角形の頂点を通って、底辺111a,111bがくの字状となった部分間のうちその長さが最も短くなる部分の長さ、すなわちC−C’間の長さが1/2波長となる周波数が所望の帯域の上限周波数となる周波数帯で放射することになり、これにより、広帯域なアンテナが実現される。
図5は、図4に示した広帯域アンテナを有する非接触型ICラベルの一例を示す図であり、(a)は上面図、(b)は(a)に示したA−A’断面図である。
本例は図5に示すように、樹脂や紙等からなるベース基材102上に、図4に示した広帯域アンテナからなるアンテナ部110が形成されており、このアンテナ部110を構成する2つの導体110a,110bの給電点120a,120bに接続されるように、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ101が搭載されて構成されている。
上記のように構成された非接触型ICタグにおいては、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電波によりアンテナ部110に電流が流れ、この電流がICチップ101に供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ101に情報が書き込まれたり、ICチップ101に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
上述した非接触型ICタグにおいては、図2に示したものと同様に、B−B’間と、C−C’間とではアンテナ部110の長さが異なるため、B−B’間と、C−C’間とのそれぞれに応じた共振点が存在することになる。さらに、アンテナ部110を構成する2つの導体110a,110bがそれぞれ、二等辺三角形の底辺111a,111bが頂点側に凹んだくの字状となったものであるため、アンテナ部110の長さは、B−B’間からC−C’間に渡って無段階に変化し、かつ、2つの導体110a,110bがそれぞれ二等辺三角形である場合と比べてアンテナ部110におけるC−C’間の長さが短くなっている。
このため、アンテナ部110においては、B−B’間の長さによる共振点となるリターンロスのピークポイントと、C−C’間の長さによる共振点となるリターンロスのピークポイントとが存在し、かつ、このピークポイント間はリターンロスがほぼ一定なものとなり、その周波数帯が広域なものとなる。また、アンテナ部110におけるC−C’間の長さが、2つの導体110a,110bがそれぞれ二等辺三角形である場合と比べて短くなっていることにより、ピークポイントBが、2つの導体110a,110bがそれぞれ二等辺三角形である場合と比べて高い周波数に移動しており、上限周波数が上がっている。
これにより、B−B’間の長さによる共振点となるピークポイントにおける周波数が、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとなるように、B−B’間の長さを、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faとベース基材102の比透磁率及び比誘電率とを用いて設定しておけば、後に、非接触型ICタグが、例えば、書籍等の物品に貼付されて使用され、アンテナ部110の周波数特性が低い周波数方向に大きくシフトした場合であっても、情報の書き込み及び読み出しに用いる周波数faが、B−B’間の長さによる共振点となるリターンロスのピークポイントと、C−C’間の長さによる共振点となるリターンロスのピークポイントとの間にあれば、非接触型ICタグに対する情報の書き込み及び読み出しを行うことができる。
なお、二等辺三角形の底辺の形状においては、上述した2つの実施の形態のように、曲線状やくの字状に限らず、二等辺三角形の頂点側に凹むようなものであれば、その他に例えば、階段状のもの等であってもよい。
また、上述した2つの実施の形態においては、非接触型情報記録媒体として非接触型ICタグを例に挙げて説明したが、本発明は、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが導体10a,10b,110a,110bに接続されてベース基材2,102上に搭載されてなる非接触型情報記録媒体であれば、この他に、非接触型ICタグや非接触型ICカード等も適用することができる。
1,101 ICチップ
2,102 ベース基材
10,110 アンテナ部
10a,10b,110a,110b 導体
11a,11b,111a,111b 底辺
20a,20b,120a,120b 給電点
2,102 ベース基材
10,110 アンテナ部
10a,10b,110a,110b 導体
11a,11b,111a,111b 底辺
20a,20b,120a,120b 給電点
Claims (4)
- 二等辺三角形の形状を有する2つの導体が、前記二等辺三角形の等しい辺がなす頂点どうしを結んだ直線が前記二等辺三角形の底辺のそれぞれに対して垂直となるように、かつ、前記頂点どうしが空隙を有するように配置され、前記頂点に給電点が設けられてなる広帯域アンテナにおいて、
前記2つの導体それぞれの形状を、前記二等辺三角形の底辺が当該二等辺三角形の頂点側に凹んだ形状としたことを特徴とする広帯域アンテナ。 - 請求項1に記載の広帯域アンテナにおいて、
前記2つの導体それぞれの形状を、前記二等辺三角形の底辺が曲線状となる形状としたことを特徴とする広帯域アンテナ。 - 請求項1または請求項2に記載の広帯域アンテナを有する非接触型情報記録媒体であって、
前記広帯域アンテナがベース基材上に形成され、
前記ベース基材上に、前記2つの導体それぞれの給電点に接続され、前記2つの導体を介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが搭載されてなる非接触型情報記録媒体。 - 請求項3に記載の非接触型情報記録媒体において、
前記2つの導体それぞれの二等辺三角形の等しい辺を足した長さが、前記ICチップに対する情報の書き込み及び読み出しに用いられる周波数と前記ベース基材の透磁率及び誘電率とから求まる波長をλとした場合、λ/2であることを特徴とする非接触型情報記録媒体。
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