JP2006070161A - ジョイントシート - Google Patents

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恒夫 五十嵐
Kiyoshi Miyaji
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Abstract

【課題】高強度でかつシール性に優れた、自動車および化学工業などの各種産業機器、装置などの用途に好適なガスケット材を提供する。
【解決手段】(1) 基材繊維、充填材および結合材としてゴム成分を含むジョイントシートであって、該基材繊維として、主たる繰り返し単位が1−オキソトリメチレン単位で構成され、密度が1.280〜1.350g/cm3 であるポリケトン繊維を含むことを特徴とするジョイントシート。(2) 前記ポリケトン繊維の引張強度が5〜30cN/dtex、引張弾性率が100〜1000cN/dtexであることを特徴とするジョイントシート。(3) 前記ポリケトン繊維の配合量がジョイントシート全体の1〜30重量%であることを特徴とするジョイントシート。
【選択図】 なし

Description

本発明は、自動車または化学工業などで用いられる各種産業機械、装置などに利用されているガスケットの基材として用いられるジョイントシートに関する。
石綿の人体に及ぼす有害性の問題から、ガスケットの基材繊維として、石綿を用いない非石綿系ガスケットの開発が進められている。非石綿系ガスケットは、5〜40重量%の基材繊維、5〜20重量%の結合材、40〜70重量%の充填材および1〜5重量%のゴム薬品などの成分からなることが知られている。上記基材繊維としては、岩綿、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ウォラストナイトなどの無機繊維およびポリアクリロニトリル繊維、セルロース繊維、芳香族ポリアミド繊維、芳香族ポリアミド繊維から得られるパルプ、フェノール繊維などの有機繊維が用いられ、これらの繊維は単独または2種以上の繊維が混合して使用される(特許文献1〜3参照)。
中でも、芳香族ポリアミド繊維から得られるパルプ(以下、芳香族ポリアミドパルプという)を基材繊維として使用すると、他基材繊維を用いた場合よりも高強度のジョイントシートが得られることから、芳香族ポリアミドパルプが非石綿系ジョイントシートの主要基材繊維となっている。芳香族ポリアミドパルプを基材繊維として使用した場合に、高強度のジョイントシートが得られる理由としては、芳香族ポリアミドパルプは高度にフィブリル化した構造であるため、結合材との接触面積増大に伴う接着力向上や、アンカー効果による接着力向上が寄与しているものと考えられている。
芳香族ポリアミドパルプは、上記の通りジョイントシートの基材繊維として有効であるが、さらなる高強度を狙ってその配合量を増やすと、フィブリル同士が絡み合って2次凝集を起こすため、結合材であるゴムとの接着が不十分となり剥離が生じ、また低荷重での破断が生じ、強度の向上が得られないという問題があった。また2次凝集に伴う芳香族ポリアミドパルプ分散不良により厚みむらが生ずるため、シール性が低下するという問題があった。従って、実用的には芳香族ポリアミドパルプの配合量は15重量%程度までが限界であった。
以上のように芳香族ポリアミドパルプを基材繊維として使った場合にジョイントシートの高強度化には限界があり、芳香族ポリアミドパルプを基材繊維として用いた場合よりも、高強度でかつ分散性、シール性に優れた非石綿系ジョイントシートの開発が待たれていた。
特許第2789423号公報 特開平9−13006号公報 特開2003−155470号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決し、芳香族ポリアミドパルプを用いた場合に比べて高強度でかつ分散性、シール性が向上したジョイントシートを提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を達成すべく鋭意検討した結果、特定のポリケトン繊維を基材繊維として用いることにより、上記課題を達成できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本願で特許請求される発明は以下の通りである。
(1) 基材繊維、充填材および結合材としてゴム成分を含むジョイントシートであって、該基材繊維として、主たる繰り返し単位が1−オキソトリメチレン単位で構成され、密度が1.280〜1.350g/cm3 であるポリケトン繊維を含むことを特徴とするジョイントシート。
(2)前記ポリケトン繊維の引張強度が5〜30cN/dtex、引張弾性率が100〜1000cN/dtexであることを特徴とする(1)に記載のジョイントシート。
(3)前記ポリケトン繊維の配合量がジョイントシート全体の1〜30重量%であることを特徴とする(1)または(2)に記載のジョイントシート。
本発明のジョイントシートは、基材繊維として特定のポリケトン繊維を用いているため、高強度でかつ分散性、シール性に優れる。ポリケトン繊維は、結合材として使用されるゴムとの接着性に優れるため、ポリケトン繊維の配合量を増やしても剥離や低荷重での破断等の問題は発生せず、芳香族ポリアミドパルプを使った場合に比べて高強度のジョイントシートを得ることができる。またポリケトン繊維は、フィブリル化処理を行なわなくても充分な接着力を発現するため、配合量を増やしても2次凝集が起こらず、2次凝集に起因する厚みむらやシール性不良の問題も発生しない。従って、高強度でかつシール性に優れたジョイントシートを得ることができる。
本発明のジョイントシートは、基材繊維、充填材および結合材としてゴム成分を含み、該基材繊維としてポリケトン繊維が使用される。
本発明に用いられるポリケトン繊維は、主たる繰り返し単位が1−オキソトリメチレンであるポリケトン繊維から構成される。1−オキソトリメチレン単位は、下記式(1)で表され、式中のRは−CH2 CH2 −( エチレン基) である。

−R−C− ・・・(1)


なお、ポリケトン繊維には、全繰り返し単位の5モル%未満で1−オキソトリメチレン以外の繰り返し単位を含有していてもよい。1−オキソトリメチレン以外の繰り返し単位としては、上記式中のRがエチレン基以外の炭素数1〜30の有機基、例えばプロピレン
、ブチレン、1−フェニルエチレン等である繰り返し単位が例示される。またこれらの水素原子の一部または全部が、ハロゲン基、エステル基、アミド基、水酸基、エーテル基で置換されていてもよい。さらにRは2種以上であってもよく、例えばプロピレンと1−フェニルエチレンが混在していてもよい。
ただし、1−オキソトリメチレン以外の繰り返し単位が増えると耐摩耗性、機械特性、耐熱性が低下し易くなるため、高度な耐摩耗性と機械特性および優れた耐熱性を得る点からは、全繰り返し単位の97モル%以上が上記式(1)で示されるポリケトンであることが好ましく、より好ましくは98%以上、最も好ましくは100モル%である。
これらのポリケトン繊維には必要に応じて酸化防止剤、ラジカル抑制剤、他のポリマー、艶消し剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属石鹸等の添加剤を含んでいてもよい。
また、本発明に用いられるポリケトン繊維の密度は、1.280〜1.350g/cm3 、好ましくは1.300〜1.350g/cm3 であることが必要である。1.280g/cm3 未満では繊維中に空隙が存在したり、スキンコア構造が存在するため、強度不足となる。また密度が1.350g/cm3 を超えると繊維の剛性が高くなりすぎて脆くなる。
また、ポリケトン繊維は所定の機械的性質を有することが好ましい。このような機械的性質としては強度、弾性率が挙げられ、強度としては5〜30cN/dtexの範囲が好ましく、より好ましくは10〜30cN/dtex、特に好ましくは15〜30cN/dtexである。また弾性率は100〜1000cN/dtexが好ましく、より好ましくは200〜1000cN/dtex、特に好ましくは300〜1000cN/dtexである。
ポリケトン繊維の単糸繊度には特に制約はないが、太すぎると可撓性が低下して取扱性が困難になり、一方、細すぎると工程上の単糸切れが起こりやすくなり、2次凝集が起こり、分散不良となり易い。従って、ポリケトン繊維の単糸繊度は0.01〜100dtexの範囲が好ましく、より好ましくは0.1〜3dtexの範囲である。ポリケトン繊維の総繊度はジョイントシートの使用環境によって異なるが、一般的な用途では10〜100000dtexの範囲で用いられる。
ポリケトン繊維のジョイントシートの総重量に占める割合は1〜30重量%であることが好ましい。ポリケトン繊維の使用量が1重量%未満では補強効果が得られない場合があり、30重量%を超えると繊維量が多すぎて結合力が弱くなり、剥離や低荷重での破断などの問題が生じ易くなる。
本発明において、基材繊維には、上記ポリケトン繊維に加えて無機繊維、金属繊維、他の耐熱性有機繊維などの一種以上を併用することができる。無機繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、チタン酸カリウム繊維などのセラミック繊維、カーボン繊維などを挙げることができる。また他の耐熱性有機繊維としては耐炎化アクリル繊維などが挙げられる。
本発明に用いられる結合材としてのゴム成分には、二トリルゴム(NBR)、スチレンーブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム(AR)、エチレンープロピレンージエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)などの固形ゴムおよびゴムラテックス等が用いられ、これらは、通常、トルエンに溶解して使用される。結合材としてのゴム成分の配合量は8〜22重量%の範囲が好ましい。
結合材として使用されるゴム材料には、通常、各種のゴム薬品が配合される。ゴム薬品としては、結合材として使用されるゴムの種類に従って公知のゴム薬品が使用でき、例えば、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ステアリン酸、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、スルファンアミド系加硫促進剤、チオ尿素系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバメート系促進剤などが用いられる。
本発明に用いられる充填剤としては、タルク、クレー、硫酸バリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、複合亜鉛華、グラファイト、シリカなどが挙げられ、これらは40〜80重量%の範囲で用いるのが好ましい。
本発明のジョイントシートは、例えば、上記した基材繊維、充填剤およびゴム薬品の混合物に、あらかじめトルエンを加えて溶解させたゴムを加えて混合し、さらに必要に応じてエタノールを加えて混合してジョイントシート用コンパウンドとした後、該ジョイントシート用コンパウンドを熱ロールと冷ロールからなるジョイントシート製造用カレンダーロールに供給し、熱ロール表面に巻き付かせて積層形成させ、加硫させた後、シートを切り出すことにより得ることができる。ただし、この方法は一例であり、これに限定されず種々の方法を採用することができる。
基材繊維の補強効果を、より発現させるにはポリケトン繊維は短繊維の形態で結合材中に配合するのが好ましく、繊維長は1〜6mmの範囲が好ましい。繊維長が1mm未満の場合には繊維が短すぎて補強効果が発現されないことがある。また繊維長が6mmを超えると繊維同士が絡み合ってダマ(繊維塊)ができることがあり、厚みむら、シール性不良となることがある。ポリケトン長繊維を短繊維化する方法には特に限定されないが、切断時にフィブリルが発生しない方法が好ましく、例えば一方向に引き揃えたポリケトン繊維束を水で湿らせた状態でギロチンカッターなどで裁断するのが好ましい。
本発明に使用するポリケトン短繊維はフィブリル化処理を行なわなくても充分な性能を発揮するが、2次凝集やダマ(繊維同士が絡みあってできる塊)が起こらない範囲であればフィブリル化した短繊維を用いてもよい。
本発明に使用するポリケトン繊維の製造法については特に制約はなく、例えば、0〜150℃の温度範囲に相分離温度を有するポリケトン溶液を紡口口金から押し出し、続いて得られた繊維状物から溶媒を除去した後、100〜300℃の範囲で延伸して高性能の繊維を製造することができる。0〜150℃の範囲で相分離温度を有し、かつ相分離温度より高い温度にあるポリケトン溶液を紡口から押出し、相分離温度以下にした凝固浴で凝固すると、吐出したポリケトン溶液は直ちに繊維内部までゲル化し緻密でかつ均質な構造を取ることができる。またこのゲル状繊維から溶剤を除去し、延伸すると、緻密でかつ均質な延伸糸となり、単糸膠着率も低くなり、耐磨耗性、機械特性に非常に優れた、本発明の目的を達成するポリケトン繊維となる。
ポリケトンの溶媒は、無機溶剤であっても、有機溶剤であっても特に制限はないが、亜鉛塩、カルシウム塩、リチウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩の中から選ばれた少なくとも1種の溶液であることが、強度、耐疲労性、加工性の点で好ましい。具体的には、亜鉛塩としては、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等が挙げられ、カルシウム塩としては、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム等が挙げられ、チオシアン酸塩としては、チオシアン酸カルシウム、チオシアン酸バリウム等が挙げられ、リチウム塩としては、臭化リチウム、ヨウ化リチウム等が挙げられ、鉄塩としては、臭化鉄、ヨウ化鉄等が挙げられる。これらの塩のうち、ポリケトンの溶解性、溶媒のコスト、溶液の安定性の点から、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛等のハロゲン化亜鉛、臭化カルシウム、臭化リチウム、臭化鉄から選ばれた少なくとも1種を使用することが好ましい。
また、相分離温度を高くしたり、低くしたりするための制御、溶解性の向上、溶液粘度の低下、ポリケトン溶液の安定性のために、特定の塩を用いることは特に好ましい方法である。ここで、特定の塩には、ハロゲン化塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等の無機塩、酢酸塩、ぎ酸塩、スルホン酸塩等の有機金属塩が挙げられる。もちろん、先に述べた亜鉛塩、カルシウム塩、リチウム塩、チオシアン酸塩、鉄塩を2種類以上混合して用いてもよい。具体例としては、塩化カルシウム、塩化リチウム、チオシアン酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、臭化バリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化バリウム等の金属塩が挙げられ、塩化トリアルキルホスホニウム、臭化トリアルキルホスホニウム等の有機塩を用いてもよい。
塩を溶解する溶媒としては、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドを用いることができる。これらの溶媒は必要に応じて2種以上を混合して使用してもよい。
ポリケトン溶液を構成する塩を含有するポリケトン溶媒中の亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、リチウム塩、鉄塩の中から選ばれた少なくとも1種の塩濃度は、30〜77重量%であることが好ましい。30重量%より低い塩濃度では、紡糸工程において、浴中から引き上げたときの繊維状物がもろく切断しやすくなる傾向がある。また、77重量%より高い塩濃度では凝固浴中でゲル化する速度が遅くなり、凝固浴中から引き上げるときに切断しやすくなる傾向がある。さらに好ましくは40〜77重量%であり、50〜70重量%が最も好ましい。尚、ここでいう塩濃度は、以下の式で定義される値である。
塩濃度(重量%)=塩の重量/(塩の重量+塩を溶解する溶媒の重量)×100
ここで、塩を溶解する溶媒は、上記で説明した水、メタノール等の重量であり、ポリケトンの重量は含まれない。
また亜鉛塩、カルシウム塩、チオシアン酸塩、リチウム塩、鉄塩の中から選ばれた少なくとも1種に塩を併用する場合、その量は溶剤の重量、すなわち溶媒と全塩量の和に対して0.1〜60重量%が好ましく、特に好ましくは1〜40重量%、最も好ましくは1〜30重量%である。
ポリケトン溶液中のポリマー濃度は1〜40重量%であることが好ましい。ポリマー濃度が1重量%未満では濃度が低すぎて、紡糸工程において、ポリマー溶液をゲル化させて繊維状に形成することが困難な場合があり、また繊維の製造コストが高くなる。また40重量%を超えるともはやポリマーが溶剤に溶解しなくなる。溶解性、紡糸のしやすさ、繊維の製造コストの観点から、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは3〜20重量%である。尚、ここでいうポリマー濃度は、以下の式で定義される値である。
ポリマー濃度(重量%)
=〔ポリマーの重量/(ポリマーの重量+ポリケトン溶媒の重量)〕×100
ポリケトン溶媒は金属塩を有する場合、金属塩の総重量と金属塩を溶解する溶媒(水等)を指す。
0〜150℃の温範囲に相分離温度を持つようなポリケトン溶液は、これまで述べたポリケトンのモノマー組成、極限粘度、溶剤として使用する塩の種類、塩を溶かす溶媒、溶解するポリケトンの濃度等を調整することにより達成可能である。例えば、塩濃度を決定する手順は以下のように行う。ポリケトンを溶剤に所定量混合し、実質的に均一で透明なポリケトン溶液となるまで温度を上昇させ攪拌溶解する。その後、1時間に10℃の速度で徐々に冷却し、相分離温度を測定する。このときの相分離温度が目標値より高いときは溶剤の塩濃度を増加させ、低いときは塩濃度を減少させる。このような操作を繰り返すことにより、目標の相分離温度を有するポリケトン溶液が決定される。
例えば、極限粘度が5.0dl/gのポリ(1−オキソトリメチレン)をポリマー濃度が5〜15重量%の条件において、塩が塩化亜鉛と塩化カルシウムで、塩化亜鉛と塩化カルシウムの重量比が45/55〜55/45の水溶液に溶解させる時、相分離温度が0〜150℃の範囲であるポリケトン溶液を得るための塩濃度の範囲は55〜67重量%となり、塩が塩化亜鉛と塩化ナトリウムで、塩化亜鉛と塩化ナトリウムの重量比が75/25〜95/5の時は、相分離温度が0〜150℃の範囲であるポリケトン溶液を得るための塩濃度の範囲は65〜70重量%となる。
以上述べてきたポリケトン溶液の種類、組成のうち、高強度、高弾性率の発現、良好な耐摩耗性を高度に達成できる観点で、最も好ましい組み合わせは以下の4種類である。
その第一は、塩化亜鉛と塩化カルシウムの複合塩からなる水溶液(金属塩の重量比が29/71〜44/56、金属塩水溶液の塩濃度は59〜64重量%)であり、さらに好ましくは、その重量比が32/68〜39/61(塩化亜鉛/塩化カルシウム)で、塩濃度が60〜63重量%である。
その第二は、塩化亜鉛、塩化カルシウム、塩化リチウムの複合塩からなる水溶液である。好ましい組成としては、重量比29/71〜44/56、好ましくは32/68〜41/59で、塩化亜鉛と、塩化カルシウムおよび塩化リチウムの混合物を含有し、この時の塩化カルシウムと塩化リチウムの重量比が49/51〜91/9、好ましくは64/37〜88/18であって、塩化亜鉛、塩化カルシウムと塩化リチウムの合計の塩濃度が58〜64重量%、好ましくは60〜63重量%である。
その第三は、塩化亜鉛、塩化カルシウム、チオシアン酸カルシウムの複合塩からなる水溶液である。好ましい組成としては、重量比29/71〜44/56、好ましくは32/68〜41/59で、塩化亜鉛と、塩化カルシウムおよびチオシアン酸カルシウムの混合物を含有し、この時の塩化カルシウムとチオシアン酸カルシウムの重量比が76/24〜99.5/0.5、好ましくは85/15〜98.5/1.5であって、塩化亜鉛、塩化カルシウムとチオシアン酸カルシウムの合計の塩濃度が58〜64重量%、好ましくは60〜63重量%である。
その第四は、塩化亜鉛とチオシアン酸カルシウムの複合塩からなる水溶液(金属塩の重量比が32/68〜49/51、金属塩水溶液の塩濃度は57〜65重量%)であり、さらに好ましくは、その重量比が35/65〜46/54(塩化亜鉛/チオシアン酸カルシウム)で、塩濃度が60〜63重量%である。
該繊維状物から上記金属塩を除去する方法としては、例えば本発明に用いる溶剤よりもポリケトンに対して溶解性の低い溶剤(凝固溶剤ともいう)に押し出す。このような溶解性の低い溶剤としては、本発明に用いた溶剤より濃度の低い金属塩溶液が好ましく、特に水、酸性水溶液、アルカリ水溶液等を用いることが好ましい。該繊維状物を凝固溶剤に通す場合は、一定速度で引っ張りながら通すことが好ましい。この時の速度としては、特に制限はないが0.001〜1000m/minである。こうして上記金属塩を除去された繊維は、一旦巻き取った後に乾燥してから、または巻き取らずに乾燥させて、または乾燥させながら、または乾燥前に1.1倍以上、好ましくは3倍以上、さらには6倍以上延伸を行って延伸糸を得ることができる。延伸は、延伸のしやすさから0〜300℃、好ましくは150〜300℃の温度で、1段または多段延伸することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、例中の各測定値は下記の方法で測定した。
(1)極限粘度:
極限粘度[η]は次の定義式に基づいて求められる値である。
[η]=lim(T−t)/(t・C) [g/dl]
C→0
定義式中のtおよびTはヘキサフルオロイソプロパノールに溶解したポリケトンの希釈溶液の60℃での粘度管の流過時間である。またCは、上記溶液100ml中のグラム単位による溶質重量値である。
(2)繊維の強度、伸度、弾性率: JIS−L−1013に準じて測定した。
[実施例1]
塩濃度62重量%の塩化カルシウム、塩化亜鉛と塩化リチウムの混合塩(塩化カルシウム/塩化亜鉛/塩化リチウムの重量比は48.4/35.5/16.1)水溶液に、極限粘度5.5dl/gのポリ(1−オキソトリメチレン)を7.5重量%となるように30℃で混合し、1.3kPaまで減圧した。泡の発生が無くなった後減圧のまま密閉し、これを85℃で2時間攪拌することにより均一で透明なポリケトン溶液を得た(相分離温度は47℃である)。得られたポリケトン溶液を20μmのフィルターを通過させた後、直径0.15mmの穴が50個ある紡口口金からプランジャー型押出機を用い、80℃、5m/分の速度で押し出し、エアギャップ長10mmを通過させ、そのまま2℃の水である凝固浴中を通した後、6m/分の速度でネルソンロールを用いて引き上げた。次いでそのネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、さらに1%の塩酸浴を通して6m/分の速度でネルソンロールを用いて引き上げた後、そのネルソンロール上で水を吹きかけて洗浄し、220℃のホットプレート上を通して乾燥後、5.4m/分で巻き取った。この繊維を225℃、240℃、250℃、257℃で徐々に温度を高くしながら4段延伸を行った後、仕上げ油剤を付与して巻き取った。
この繊維の引張強度は22cN/dtex、引張弾性率は450cN/dtex、密度は1.315g/cm3 であり、この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を示さず均質な構造であった。得られたポリケトン繊維をギロチンカッターで3mm長に裁断した。
ジョイントシート用コンパウンドは以下の通り作製した。ミキサーに硫酸バリウム、340g、複合亜鉛華200g、炭酸カルシウム400g、シリカ260g、クレー200gおよびゴム薬品60g(亜鉛華21g、硫黄9g、テトラメチルチウラムジスルフィド18g、ジベンゾチアジルジスルフィド6gおよびジフェニルグアニジン6g)を仕込み、アジデータ回転数200rpm、チョッパー回転数3000rmの条件下で1分間混合した。次にポリケトン短繊維を240gを仕込み、3分間混合後、予めトルエン890gに溶解させたニトリルゴム300gを加え、8分間混合した。さらにエタノール200gを加えて3分間混合し、ジョイントシート用コンパウンドを作製した。
作製したジョイントシート用コンパウンドを熱ロール温度150℃、冷ロール温度15℃のカレンダーロールに供給し、熱ロール表面に巻き付かせて厚さ1.5mmのシートを形成させた後、10分間カレンダーロールを継続運転して加硫させた後、シートを切り出してジョイントシートを得た。得られたジョイントシートの強度をJIS−R3453に準拠した方法に従って求めたところ、引張強さ14.5MPaであった。目視による繊維の分散性も良好であり、ジョイントシートの厚みむらも小さかった。
[実施例2]
極限粘度5.9dl/gのポリ(1−オキソトリメチレン)を、塩化亜鉛65重量%/塩化ナトリウム10重量%含有する水溶液に添加し、80℃で2時間攪拌溶解しポリマー濃度8重量%のドープを得た(相分離温度は観測されない)。得られたドープを80℃に加温し、20μmのフィルターでろ過した後に、紡口径0.10mm、L/D=1、250ホールの紡口より10mmのエアーギャップを通した後に5重量%の塩化亜鉛を含有する18℃の水中に吐出量12.5cc/分の速度で押し出し、凝固させた。凝固糸を引き続き濃度2重量%の硫酸水溶液で洗浄し、さらに30℃の水で洗浄した後、巻き取り速度3.2m/分で巻き取った。得られた糸状物を200℃にて乾燥して未延伸糸を得た。
この未延伸糸を240℃で1段目の延伸を行った後に、引き続き265℃で2段目の延伸を行いトータルで15倍の延伸を行った。延伸時に毛羽・断糸等のトラブルは発生しなかった。
この繊維の引張強度は4cN/dtex、引張弾性率は200cN/dtex、密度は1.290g/cm3 であり、この繊維の断面を光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察したところ、スキンコア構造を有していた。
得られたポリケトン繊維を3mmにカットした後、実施例1と同じ要領でジョイントシートを作製し、物性測定を行った。目視による繊維の分散性は良好であり、ジョイントシートの厚みむらも小さかった。引張強さは12.7MPaで実施例1よりは劣っているが実用上問題ないレベルであった。
[比較例1]
実施例1において、補強繊維を加えなかった以外は実施例1と同様にしてジョイントシートを作製し、物性測定を実施した。引張強さが9.8MPaと低レベルであり、剛性が高くてシール性に劣るものであった。
[比較例2]
実施例1において、補強繊維として芳香族ポリアミドパルプを用いた以外は実施例1と同様にしてジョイントシートを作製し、物性測定を実施した。引張試験中に部分剥離が生じてしまい強度は10.0MPaと低レベルであった。目視観察では2次凝集にともなう繊維塊が見られた。その繊維塊がこぶ状になって浮き出ているため厚みむらも大きく、平坦性、シール性に劣るジョイントシートであった。
本発明のジョイントシートは、引張強さなどの強度が高く、繊維の分散性にも優れていることから、自動車および化学工業などの各種産業機器、装置などのシール性に優れたガスケット材の用途に有効に利用することができる。

Claims (3)

  1. 基材繊維、充填材および結合材としてゴム成分を含むジョイントシートであって、該基材繊維として、主たる繰り返し単位が1−オキソトリメチレン単位で構成され、密度が1.280〜1.350g/cm3 であるポリケトン繊維を含むことを特徴とするジョイントシート。
  2. 前記ポリケトン繊維の引張強度が5〜30cN/dtex、引張弾性率が100〜1000cN/dtexであることを特徴とする請求項1に記載のジョイントシート。
  3. 前記ポリケトン繊維の配合量がジョイントシート全体の1〜30重量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のジョイントシート。
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