JP2006045034A - カーボンナノチューブの複合材料とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アーク放電法によって生成したカーボンナノチューブを粉砕して(粉砕工程31)、粉砕したカーボンナノチューブと活性炭をアセトンに加えて、超音波を用いて混合・分散して複合材料を生成し(混合・分散工程32)、その複合材料をドラフトチャンバー内で乾燥して粉末の複合材料を生成し(乾燥工程33)、その複合材料を加熱して活性炭の一部を燃焼させて除去し、高密度で均一に分散した状態でカーボンナノチューブを露出させる(活性炭除去工程34)。その際カーボンナノ粒子の一部も燃焼して除去される。
【選択図】 図1
Description
そこで従来提案されているカーボンナノチューブの分散の仕方について、3つの例を説明する。
まず図9は、カーボンナノチューブと樟脳(昇華物質)を混合して複合材料を生成する例である(特許文献1参照)。
図9の場合、まず酸処理工程11において、カーボンナノチューブを硝酸溶液中で酸処理して非晶質カーボンを低減して濾過し、水洗いして硝酸を除去する。次に樟脳混合工程12において、酸処理したカーボンナノチューブに樟脳を加え、さらにエタノールを加えて混合し、カーボンナノチューブと樟脳の混合物(複合材料)を生成する。次に昇華工程13において、混合物を150℃に加熱して樟脳を昇華し除去して多孔体を生成する。次に酸化処理工程14において、多孔体を電気炉中で380℃に加熱し酸化処理して非晶質カーボンを低減する。
図10の場合、まず触媒システム生成工程21において、カーボン担体(例えばメソフェーズカーボンマイクロビーズ)をアンモニア水溶液に分散し、硝酸ニッケルを加えて加熱し、濾過し、乾燥して触媒(ニッケル)を担持したカーボン担体(触媒システム)を生成する。次にカーボンナノチューブグラフト工程22において、触媒システムを分散させたエタノールを熱CVD反応容器に入れ、炭化水素(炭素源)を供給しながら不活性ガス中で加熱して、カーボン担体にカーボンを堆積させ、カーボンナノチューブをグラフトする。次に触媒除去工程23において、硝酸を用いて触媒を除去し、酸洗浄工程24において、酸洗浄してカーボンナノチューブとカーボン担体の複合材料を生成する。
まずカーボンナノチューブを溶媒に入れて撹拌し超音波をかけて分散し、その溶媒にカーボンナノホーンを加えて撹拌する。撹拌の後、濾過して溶媒を除去し、カーボンナノチューブとカーボンナノホーンの複合材料を生成する。
本願発明は、これらの問題点に鑑み、アーク放電法等の方法で生成したカーボンナノチューブの塊を解して活性炭等のカーボン材料とともに分散し、その分散状態を保持しているカーボンナノチューブの複合材料を生成すること、及びその複合材料のカーボン材料の一部を燃焼させて除去し、カーボンナノチューブを簡単に露出させるとともに、複合材料に含まれるカーボンナノ粒子を簡単に除去することを目的とする。
請求項2に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法は、カーボンナノチューブと燃焼温度がカーボンナノチューブより低く、吸着性があるカーボン材料とを、溶媒中で混合・分散して混合物を生成し、その混合物を乾燥し、乾燥した混合物の前記カーボン材料の一部を燃焼してカーボンナノチューブを露出させる工程からなることを特徴とする。
請求項3に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法は、カーボンナノチューブと燃焼温度がカーボンナノチューブより低く、吸着性があるカーボン材料とを、溶媒中で混合・分散してペースト状の混合物を生成する工程からなることを特徴とする。
請求項4に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法は、請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法において、前記混合・分散に超音波を用いることを特徴とする。
請求項5に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法は、請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法において、前記カーボン材料は、活性炭又はカーボンブラックであることを特徴とする。
請求項6に記載のカーボンナノチューブの複合材料は、カーボンナノチューブと活性炭又はカーボンブラックとを、溶媒中で超音波を用いて混合・分散し、乾燥して生成したことを特徴とする。
請求項7に記載のカーボンナノチューブの複合材料は、カーボンナノチューブと活性炭又はカーボンブラックとを、溶媒中で超音波を用いて混合・分散して乾燥し、加熱して活性炭又はカーボンブラックの一部を燃焼してカーボンナノチューブを露出させてあることを特徴とする。
本願発明の複合材料の活性炭、カーボンブラック等のカーボン材料は、燃焼させて除去できるから、複合材料が粉末のときに除去することもできるし、ペースト状の複合材料を電子源の基板等に塗布してから除去することもできる。
本願発明の複合材料を構成するカーボンナノチューブと活性炭、カーボンブラック等のカーボン材料は、ともに導電性の材料であるから、複合材料は、ディスプレイ等の電子源の材料に適している。
まず粉砕工程31において、アーク放電法によって生成した粗カーボンナノチューブ(含有率10数%)をすり鉢で粉砕する。粉砕粒の大きさは、特に制限はないが、小さい方が次の混合・分散工程における混合・分散時間が短くなる。本実施例は、目開き150μmのメッシュを通過させたものを用いた。この場合、カーボンナノチューブは、粉末の表面に露出しているため、粉砕後メッシュから押し出すようにして通過させた。
超音波は、マルチモード周波数の超音波洗浄器(20秒毎に3種類の周波数(28Hz,45Hz,100Hz)を切替える)を用いて発生し、1時間程度かけた。
カーボンナノチューブと活性炭は、1対1の割合で混合したが、3対1でも分散の効果は得られた。活性炭が5%程度になると分散の効果は得られなくなる。
混合・分散工程32において生成した混合物は、乾燥工程33において、ドラフトチャンバー内で約1日かけて乾燥し、粉末の複合材料を生成する。粉末の複合材料は、さらさらしており、単体のカーボンナノチューブでは通過できない目開き45μmのメッシュを通すことができた。
複合材料の活性炭を燃焼するとき、カーボンナノ粒子の一部も燃焼して除去されるから、カーボンナノチューブの純度が高くなる。活性炭を全て除去するまで加熱すると、カーボンナノ粒子もさらに燃焼して除去されるから、カーボンナノチューブの純度は一層高くなるが、反面カーボンナノチューブは、凝集して塊になる。そこでその純度の高くなったカーボンナノチューブを用いて、前記工程を繰返すことにより、純度の高いカーボンナノチューブの複合材料を生成することもできる。
ここで活性炭の燃焼温度は、約600℃であり、単体の凝集しているカーボンナノチューブの燃焼温度は、約800℃であるが、複合材料のカーボンナノチューブは、塊が解れて分散し、活性炭に覆われた状態でばらばらになっているために燃焼し易くなり、燃焼温度は、約700℃に下がる。したがって複合材料を700℃で長時間燃焼すると、カーボンナノチューブも焼失する。そのため複合材料は、前記のように700℃で1分間程度加熱した。その場合、複合材料のカーボンナノチューブは、表面を活性炭に覆われているから、表面の活性炭が燃焼して除去されてから燃焼し始める。
なおカーボンナノチューブ、活性炭、カーボンナノ粒子の燃焼温度については、図7、図8により後述する。
本実施例の複合材料は、活性炭の一部を燃焼するだけで、カーボンナノチューブを露出させることができ、かつその活性炭の燃焼の際、複合材料に含まれているカーボンナノ粒子も略同時に燃焼して除去されるから、カーボンナノチューブは、高密度で均一に分散した状態で露出する。
本実施例の複合材料を構成するカーボンナノチューブと活性炭は、ともに導電性の材料であるから、複合材料は、ディスプレイ等の電子源の材料に適している。
図4は、活性炭を除去(燃焼)する前のカーボンナノチューブの複合材料の模式図、図5は、カーボンナノチューブの複合材料の走査型電子顕微鏡(SEM)の写真、図6は、カーボンナノチューブ単体の走査型電子顕微鏡(SEM)の写真である。
複合材料のカーボンナノチューブは、一本一本についてみると、図4(a)のように、活性炭の粒子がカーボンナノチューブの表面を覆うように付着して分散している。活性炭が付着したカーボンナノチューブは、図4(b)のように、集合し、複合材料を形成している。なお図4(b)の場合、カーボンナノチューブは、説明の便宜上透けて見えているが、実際には活性炭で覆われていて、表面からは見えない。図4(b)の複合材料を加熱して活性炭を燃焼すると、表面の活性炭が燃焼して除去され、カーボンナノチューブが露出する。
図5(a−1)〜(a−3)は、加熱する前の複合材料のSEM写真であり、図5(b-1)〜(b−3)は、700℃まで加熱した後の複合材料のSEM写真である。また図6(a−1)〜(a−3)は、加熱する前の単体のカーボンナノチューブ(粗カーボンナノチューブ)のSEM写真であり、図6(b-1)〜(b−3)は、700℃まで加熱した後の単体のカーボンナノチューブのSEM写真である。なお図5と図6の(a−1)〜(a−3)と(b-1)〜(b−3)の夫々3枚の写真は、同じもの(試料)を異なる倍率で撮影したものである。
以上図5、図6から、カーボンナノチューブは、単体では凝集して大きな塊になるが、複合材料の場合には、カーボンナノチューブの塊は解れて分散し、その分散した状態を保持していることが分かる。
図7、図8は、試料を熱分析(熱重量分析(TG)と示差熱分析(DTA))した結果をグラフにしたもので、図7は、単体のカーボンナノチューブと単体の活性炭の測定結果を示し、図8は、カーボンナノチューブの複合材料の分析結果を示す。
図7、図8において、横軸は、試料の温度(℃)であり、縦軸は、試料の基準材料との温度差(μV)と試料の重量(mg)である。
図7(a)は、単体のカーボンナノチューブ(凝集している粗カーボンナノチューブ)(試料)の分析結果を示し、図7(b)は、単体の活性炭(試料)の分析結果を示す。
図7(a)のカーボンナノチューブの場合、重量(イ)は、加熱温度が700℃を超えると減少し始め、800℃付近で大きく減少する。一方温度差(ロ)は、800℃を超えた付近にピークがある。このことから粗カーボンナノチューブの燃焼温度のピークは、約800度といえる。
図7(b)の活性炭の場合、重量(イ)は、加熱温度が500℃を超えると減少し始め、600℃付近で大きく減少し、その後尽きる。一方温度差(ロ)は、600℃を超えた付近にピークがある。このことから活性炭の燃焼温度のピークは、約600度といえる。
図8は、複合材料(試料)の分析結果を示す。
複合材料の場合には、重量(イ)は、加熱温度が550℃を超えると減少し始め、600℃付近で大きく減少して一旦緩やかになり、600℃を超えてから再び減少し始め、700℃付近で大きく減少し、その後尽きる。一方温度差(ロ)は、600℃の手前に第1のピークがあり、700℃付近に第2のピークがある。このことから、複合材料の活性炭の燃焼温度のピークは、約600℃であり、複合材料のカーボンナノチューブの燃焼温度のピークは、約700℃といえる。
また複合材料に含まれているカーボンナノ粒子は、カーボンナノチューブと同様に活性炭に覆われているから、表面の活性炭が燃焼して除去され、露出したときに燃焼が始まるものと考えられる。しがって複合材料のカーボンナノ粒子は、大部分のものが、図8において、加熱温度が600℃を超えてから燃焼する。
ペースト生成工程35において、複合材料の粉末をペースト用溶媒に混入してペースト状複合材料、即ちペーストを生成し、ペースト塗付工程36において、そのペーストを電子源等の基体に塗布し、活性炭除去工程37において、基体を加熱して活性炭を除去し、カーボンナノチューブを露出させる。
なお複合材料の粉末は、図1の活性炭除去工程34において、活性炭の一部を除去した複合材料を用いてもよい。
混合・分散工程38において、ペースト用溶媒に粉砕したカーボンナノチューブと活性炭を加え、ミリングにより振動させて混合・分散してペースト状の混合物、即ちペーストを生成する。この場合には、図1の乾燥工程33を経ずにペーストを生成することができる。
なお溶媒の粘度が低い場合には、ミリングに替えて超音波を用いてもよい。
32 混合・分散工程
33 乾燥工程
34 活性炭除去工程
35 ペースト生成工程
36 ペースト塗布工程
37 活性炭除去工程
38 混合・分散工程
Claims (7)
- カーボンナノチューブと燃焼温度がカーボンナノチューブより低く、吸着性があるカーボン材料とを、溶媒中で混合・分散して混合物を生成し、その混合物を乾燥する工程からなることを特徴とするカーボンナノチューブの複合材料の製造方法。
- カーボンナノチューブと燃焼温度がカーボンナノチューブより低く、吸着性があるカーボン材料とを、溶媒中で混合・分散して混合物を生成し、その混合物を乾燥し、乾燥した混合物の前記カーボン材料の一部を燃焼してカーボンナノチューブを露出させる工程からなることを特徴とするカーボンナノチューブの複合材料の製造方法。
- カーボンナノチューブと燃焼温度がカーボンナノチューブより低く、吸着性があるカーボン材料とを、溶媒中で混合・分散してペースト状の混合物を生成する工程からなることを特徴とするカーボンナノチューブの複合材料の製造方法。
- 前記混合・分散に超音波を用いることを特徴とする請求項1、請求項2、又は請求項3に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法。
- 前記カーボン材料は、活性炭又はカーボンブラックであることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載のカーボンナノチューブの複合材料の製造方法。
- カーボンナノチューブと活性炭又はカーボンブラックとを、溶媒中で超音波を用いて混合・分散し、乾燥して生成したことを特徴とするカーボンナノチューブの複合材料。
- カーボンナノチューブと活性炭又はカーボンブラックとを、溶媒中で超音波を用いて混合・分散して乾燥し、加熱して活性炭又はカーボンブラックの一部を燃焼してカーボンナノチューブを露出させてあることを特徴とするカーボンナノチューブの複合材料。
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