JP2003286014A - カーボンナノチューブ含有炭素材料及びその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ含有炭素材料及びその製造方法

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JP2003286014A JP2002089734A JP2002089734A JP2003286014A JP 2003286014 A JP2003286014 A JP 2003286014A JP 2002089734 A JP2002089734 A JP 2002089734A JP 2002089734 A JP2002089734 A JP 2002089734A JP 2003286014 A JP2003286014 A JP 2003286014A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出材料として好適に使用できるカーボ
ンナノチューブ含有炭素材料、及び、かかるカーボンナ
ノチューブ含有炭素材料を、超音波照射装置などの専用
の装置を必要とせず、簡単な工程で、製造する方法を提
供する。 【解決手段】 粗大不純物を含有するカーボンナノチュ
ーブ含有粗生成物に少量の溶媒を混合してなるペースト
状混合物を、外力を加えながら、ふるいを通過せしめる
ことにより、カーボンナノチューブを含有すると共に不
純物を含有するカーボンナノチューブ含有炭素材料であ
って、該炭素材料を構成する成分の最大サイズが20μ
m以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ含
有炭素材料及び該炭素材料からなる電子放出材料を製造
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボンナノチュ
ーブ含有炭素材料、特に電子放出材料として好適なカー
ボンナノチューブ含有炭素材料、及びそれらの製造法に
関する。
【0002】
【従来の技術】1991年に発見されたカーボンナノチ
ューブはフラーレンに続く新しい炭素の形態としてその
物性が注目され、材料科学、エレクトロニクスからライ
フサイエンスまでの広範囲の分野への応用が検討されて
いる。
【0003】カーボンナノチューブの製造法として、ア
ーク放電、レーザーアブレーション、化学気相成長法
(CVD法)などの方法が知られている。しかしなが
ら、いずれの方法においてもカーボンナノチューブ以外
に黒鉛状物質やアモルファスカーボン等の不純物が同時
に生成する。
【0004】通常これらの不純物は数ナノメートル程度
のものから数百ミクロン程度までの種々の大きさを持つ
炭素物質の混合物である。また、不純物には、カーボン
ナノチューブ製造時に触媒を使用する場合は、触媒由来
の金属酸化物等の金属不純物も含まれることがある。こ
れらの不純物は、カーボンナノチューブに付着又は絡ま
ることなく、あるいは、カーボンナノチューブに付着又
は絡まった状態で存在する。
【0005】一般には、カーボンナノチューブとともに
生成するこれらの不純物を粗生成物から除去して、カー
ボンナノチューブの純度をできるだけ向上させて使用す
る。例えば、電界放出用途の場合に、カーボンナノチュ
ーブをバインダーでペースト状にして塗布し薄膜を形成
するが、その際に数百ミクロン程度の粗大不純物は電子
放出特性に悪影響を与えるので、粗大な不純物及び他の
不純物をできる限り除去し、できる限り純度の高いカー
ボンナノチューブを単離することが行われている。
【0006】例えば、特開平7−48111号には、カ
ーボン不純物を含むカーボンナノチューブを0.4μm以
下に微粉砕処理後、水等の液体中で分散させて遠心分離
し、その後上澄みを濾過して得た分散物を大気雰囲気
中、500〜800℃で高温焼成する方法が開示されて
いる。
【0007】また、特開平8−198611号には、金
属触媒を用いて製造され、金属触媒と金属の炭化物とカ
ーボンナノチューブ以外の炭素物質を不純物として含む
カーボンナノチューブ粗生成物を、液体中に粉砕、分散
し、液体中に含まれる非晶質炭素、グラファイト等の炭
素物質を遠心分離や浮選により除去し、炭素物質を除去
した後の液体に酸を加えて前記金属不純物を溶解する
か、あるいは、炭素物質を除去した後の液体を磁場中を
通過させることにより精製する方法が開示されている。
【0008】さらに、特開平8−231210号にはカ
ーボンナノチューブ粗生成物からカラムクロマトグラフ
ィ、超遠心分離、超音波粉砕などを行った後、帯電化さ
せることによりカーボンナノチューブを分離する方法が
開示されている。
【0009】しかしながら、これらの方法は、微粉砕処
理、遠心分離及び高温焼成(特開平7−48111
号)、遠心分離と酸溶解又は磁場通過(特開平8−19
8611号)、分離及び帯電化(特開平8−23121
0号)のように異なる複数の処理を組み合わせる点、お
よびこれら処理のための特殊な装置を用いる点で、工業
的な観点からは非効率的である。
【0010】このように、カーボンナノチューブを含有
する炭素材料、特に電子放出材料として使用できる炭素
材料を、簡便な方法で提供する方法は知られていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の実情に鑑み、カーボンナノチューブ含有炭素
材料、特に電子放出材料として好適に使用できるカーボ
ンナノチューブ含有炭素材料、及び、かかるカーボンナ
ノチューブ含有炭素材料を、超音波照射装置などの専用
の装置を必要とせず、簡単な工程で、製造する方法を提
供することを主な課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を行った。その過程で、従来のよ
うに不純物を完全に除去することなく、電子放出材料と
して好適な炭素材料を得ることを着想した。そして更に
検討を続けた結果、(1)数百ミクロン程度の粗大不純物
を含むカーボンナノチューブ含有粗生成物を少量の溶媒
に含浸させ、物理的外力で強制的にふるいを通過せしめ
る場合には、含有される粒子、特に不純物の最大サイズ
が20μm以下の大きさとなった炭素材料が得られるこ
と、(2)こうして得られるカーボンナノチューブ含有炭
素材料は、粗生成物に含まれていた不純物をかなりの量
で含有しているにもかかわらず、電界放出用途において
バインダーでペースト化すると、安定した電子放出特性
を示す薄膜を形成できるという驚くべき事実を発見し
た。
【0013】本発明はこれら知見に基づき、更に検討を
重ねて完成されたものであり、次の炭素材料及び製造方
法を提供するものである。
【0014】項1 カーボンナノチューブを含有すると
共に、カーボンナノチューブ製造時に副生する不純物を
含有するカーボンナノチューブ含有炭素材料であって、
該炭素材料を構成する成分の最大サイズが20μm以下
であることを特徴とするカーボンナノチューブ含有炭素
材料。
【0015】項2 粗大不純物を含有するカーボンナノ
チューブ含有粗生成物に少量の溶媒を混合して得られる
ペースト状の混合物を、外力を加えながら、ふるいを通
過せしめることを特徴とする上記項1に記載の炭素材料
の製造方法。
【0016】項3 ふるいの目開きが20ミクロン以下
であることを特徴とする上記項2に記載の製造方法。
【0017】項4 カーボンナノチューブを含有すると
共に不純物を含有するカーボンナノチューブ含有炭素材
料からなる電子放出材料であって、該炭素材料を構成す
る成分の最大サイズが20μm以下であることを特徴と
する電子放出材料。
【0018】項5 カーボンナノチューブの含有量が、
カーボンナノチューブ含有炭素材料に対して20%以上
である上記項4に記載の電子放出材料。
【0019】項6 粗大不純物を含有するカーボンナノ
チューブ含有粗生成物に少量の溶媒を混合して得られる
ペースト状の混合物を、外力を加えながら、ふるいを通
過せしめることを特徴とする上記項4に記載の電子放出
材料の製造方法。
【0020】項7 ふるいの目開きが20ミクロン以下
であることを特徴とする上記項6に記載の製造方法。
【0021】本発明の炭素材料が電子放出用途において
好適である理由は、完全には解明されてはいないが、不
純物の大きさがペースト塗布膜の膜厚以下となること、
数百ミクロン程度の粗大不純物の中に埋もれていたカー
ボンナノチューブが、上記本発明の解砕処理により表層
部に露出すること等のためと思われる。
【0022】
【発明の実施の形態】粗大不純物を含有するカーボンナ
ノチューブ含有粗生成物 本発明に用いるカーボンナノチューブ含有粗生成物は、
アーク放電、レーザーアブレーション、化学気相成長法
(CVD法)等の従来公知の方法により製造された粗生
成物が、いずれも使用できる。
【0023】これらいずれの方法においてもカーボンナ
ノチューブ以外に黒鉛状物質やアモルファスカーボン等
の炭素物質が不純物として同時に生成する。また、カー
ボンナノチューブ製造時に触媒を使用する場合は、触媒
由来の金属酸化物等の金属不純物も含まれることがあ
る。
【0024】通常、これらの不純物は数ナノメートル程
度のものから数百ミクロン程度までの種々の大きさを持
つ不純物の混合物である。これらの不純物は、単独で、
あるいは、カーボンナノチューブに付着又は絡まった状
態で存在する。
【0025】これら不純物の含有量は、特に限定されな
いが、一般には、サイズ20μm以上の不純物の含量
が、粗生成物に対して1〜99%程度、特に10〜90
%程度である。本明細書において、不純物のサイズは、
不純物の長軸最大長さのサイズを指し、走査型電子顕微
鏡(SEM)で観察することにより測定されるサイズであ
る。
【0026】また、カーボンナノチューブ含有粗生成物
中のカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノ
チューブ、入れ子構造の多層カーボンナノチューブ、ナ
ノフレークカーボンチューブ、アモルファスナノスケー
ルカーボンチューブ等のいずれであってもよい。
【0027】カーボンナノチューブ含有粗生成物中のカ
ーボンナノチューブの含有量(純度)は、特に限定され
ないが、一般には、1〜99%程度、特に1〜90%程
度であるのが好ましい。しかし、電子放出用途に使用す
るには、原料としてのカーボンナノチューブ含有粗生成
物中のカーボンナノチューブの含有量(純度)は、20
%以上、特に20〜99%、好ましくは30%〜99%
であることが望ましい。
【0028】ここで、本明細書において、カーボンナノ
チューブ含有粗生成物中のカーボンナノチューブの含有
量(純度)は、後記実施例に記載の方法により測定した
純度である。
【0029】解砕方法 本発明では、上記カーボンナノチューブ含有粗生成物
に、まず溶媒を加えて混合し、ペースト状混合物を調製
する。粗生成物と溶媒の比率に特に限定はないが、後に
ふるい上で外力を加えることが出来るように、流動しな
い程度に溶媒を加える。一般的にはカーボンナノチュー
ブ含有粗生成物1gに対して1〜100ml、好ましく
は5〜50ml、より好ましくは10〜30mlであ
る。
【0030】溶媒に特に限定はなく、カーボンナノチュ
ーブの分散性(即ち、不純物からのカーボンナノチュー
ブの分離性)が優れた溶媒であることが重要である。一
般的にはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコ
ールなどのアルコール系溶媒、ベンゼン、トルエン、キ
シレンなどの芳香族系炭化水素溶媒、塩化メチレン、ク
ロロホルム、四塩化炭素などの塩化炭化水素系溶媒、水
などが挙げられる。必要に応じて、分散性を向上させる
ために、界面活性剤などを添加することも可能である。
【0031】このようにして得られたペースト状混合物
をふるいにのせ、外力を加えながら、濾過する(フルイ
を通過させる)。この際、カーボンナノチューブ、不純
物とふるいの目開きとの間にせん断力が働く。その結
果、大きな不純物は解砕され、絡み合ったカーボンナノ
チューブは解きほぐされ、カーボンナノチューブに付着
又は絡まっていた不純物はカーボンナノチューブから分
離する。以上の結果、フリーとなったカーボンチューブ
が増大する。
【0032】外力の加え方には特に限定はなく、スパチ
ュラの腹を利用して手でふるいを通過せしめる(即ち、
ペースト状混合物をふるいで裏ごしする)方法や、機械
的に外力を加える方法も可能である。
【0033】使用するふるいに特に限定はなく、解砕す
る不純物の大きさによって選択する。一般的には5〜5
0ミクロンの大きさの目開きを持つふるいを使用するの
が好ましい。特に、ふるいの目開きが20ミクロン以下
であるのが、良好な電子放出特性を得る観点から好まし
い。本明細書において、ふるいの「目開き」は、JISZ-8
801による「目開き」を指す。
【0034】必要であれば、上記溶媒を滴下しつつ、外
力を加えながら、ふるいを通過させてもよい。また、必
要ならば、上記のように外力を加えながらふるいを通過
させたペースト状混合物を、更に1回以上、外力を加え
ながら、ふるいを通過させてもよい。
【0035】ふるいを通過させたペースト状混合物か
ら、溶媒を蒸発させて本発明の炭素材料を得る。溶媒の
蒸発方法は、空気乾燥、減圧乾燥等が採用でき、特に限
定されない。
【0036】本発明の炭素材料及び電子放出材料 前記カーボンナノチューブ含有粗生成物を、前記解砕方
法で解砕してなる本発明の炭素材料は、カーボンナノチ
ューブを含有すると共に、カーボンナノチューブ以外の
炭素物質からなる不純物を含有し、該炭素材料を構成す
る成分(粒子)の最大サイズが20μm以下であること
を特徴とする。
【0037】該不純物は、黒鉛状物質、アモルファスカ
ーボン等の炭素物質及び/又は金属不純物(粗生成物が
金属触媒を使用して製造された場合)が、カーボンナノ
チューブに付着又は絡まることなく、あるいは、カーボ
ンナノチューブに付着又は絡まった状態で存在する。
【0038】ここで、「最大サイズ」とは、本発明の炭
素材料ないし電子放出材料を構成する全ての粒子の中
で、最も大きいサイズを有する粒子のサイズである。
【0039】カーボンナノチューブは、「粒子」とは言
い難いので、「最大サイズ」を検討する場合、その全長
のサイズで検討する。尚、カーボンナノチューブは、
「粒子」とは言い難いが、本明細書では、記載の便宜
上、カーボンナノチューブを「粒子」として記載するこ
とがある。
【0040】不純物のサイズは、該不純物の長軸の長さ
を指すものとし、SEM観察により求める。
【0041】本発明の炭素材料を構成する粒子には、上
記炭素物質や金属不純物等の不純物単独、カーボンナノ
チューブ単独以外に、不純物の凝集体、不純物とカーボ
ンナノチューブとが絡み合った凝集体、及びカーボンナ
ノチューブの凝集体があるが、これら凝集体のサイズも
凝集体長軸のサイズを指す。
【0042】本発明は、本発明の炭素材料ないし電子放
出材料を構成するこれら粒子のうち、最大サイズを有す
るものであっても、20μmを越えないことを特徴とす
る。
【0043】また、本発明のカーボンナノチューブ含有
炭素材料中のカーボンナノチューブの含有量(純度)
は、特に限定されないが、一般には、1〜99%程度、
特に10〜99%程度であるのが好ましい。しかし、電
子放出用途に使用するには、原料としてのカーボンナノ
チューブ含有粗生成物中のカーボンナノチューブの含有
量(純度)は、20%以上、特に20〜99%、特に3
0〜99%であるのが好ましい。
【0044】また、本発明のカーボンナノチューブ含有
炭素材料中の上記不純物の含有量は、原料として使用す
るカーボンナノチューブ含有粗生成物の製造条件等によ
っても異なるが、一般には、本発明の炭素材料に対して
1〜99%、特に1〜90%であるのが好ましい。但
し、電子放出材料として使用する場合、本発明のカーボ
ンナノチューブ含有炭素材料中の上記不純物の含有量
は、80%以下、特に1%〜80%、好ましくは1〜7
0%であるのが望ましい。
【0045】ここで、本明細書において、本発明のカー
ボンナノチューブ含有炭素材料中のカーボンナノチュー
ブの含有量(純度)及び不純物の含有量は、後記実施例
に記載の方法により測定した含有量である。また、本明
細書では、カーボンナノチューブの純度を測定する際に
は、不純物と絡み合っているカーボンナノチューブもカ
ウントして、カーボンナノチューブの純度を決定するも
のとする。
【0046】本発明の炭素材料は、上記のように不純物
を含有しているにもかかわらず、優れたエミッション特
性を有しており、電子放出用途に使用するのに適してい
る。
【0047】電子放出用途に使用するには、上記本発明
の炭素材料(電子放出材料)を、気相成長、印刷、塗布
等の手法で、電極基板上に形成することにより製造され
る。
【0048】例えば、本発明の電子放出材料を媒体に分
散させた分散液を電極上に塗布乾燥することにより、電
子放出体を形成することができる。該媒体としては、有
機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロピルア
ルコール等の炭素数1〜4の低級アルコール、クロロホ
ルム等の炭素数1〜4のハロゲン化炭化水素等を例示で
きる。更にこれら有機溶媒にバインダー(例えば、エポ
キシ樹脂等)を含有させた媒体であってもよい。
【0049】上記媒体に分散させる本発明の電子放出材
料の濃度は、広い範囲から選択できるが、一般には分散
液全重量に対して、5〜80重量%程度、特に10〜5
0重量%程度となる量が好ましい。
【0050】上記分散液を電極基板に塗布する方法とし
ては、各種の塗布方法が採用できるが、例えば、滴下、
スプレー、スピンコート等の方法を例示できる。塗布し
た分散液の乾燥方法も特に限定されず、例えば、空気乾
燥、減圧乾燥、加熱乾燥等を採用できる。
【0051】
【実施例】以下に実施例及び比較例を掲げて本発明をよ
り詳しく説明するが、本発明は下記実施例に限定される
ものではない。尚、実施例及び比較例において、物性の
測定は下記の方法により行った。
【0052】電子放出特性試験 炭素材料の電子放出材料としての好適性を、下記の電子
放出特性試験により評価した。
【0053】ふるい濾過後のカーボンナノチューブ含有
炭素材料0.1gを、エタノール2mlに分散し、ITO
を蒸着したガラス上に滴下して電子放出材料層を形成し
た。次いで、ギャップ200ミクロンで、電子放出特性
を測定した。電流−電圧曲線(IV曲線)から一定の電
界値(電圧/ギャップ)における電流値を求めた。同一
電界値での電流値が大きいほど、エミッション特性に優
れている。
【0054】カーボンナノチューブの含有量(純度)及
び不純物の含有量 原料であるカーボンナノチューブ含有粗生成物及び本発
明により得られたカーボンナノチューブ含有炭素材料中
のカーボンナノチューブ含有量(純度)及び不純物の含
有量は、下記の方法により測定したものである。
【0055】SEMにより上記粗生成物又は本発明の炭素
材料を100の視野で観察し、カーボンナノチューブの
平均存在率を求めて、カーボンナノチューブの含有量
(純度)(%)とした。より詳しくは、カーボンナノチ
ューブのSEM像の面積(Ac)と不純物のSEM像面積(A
i)との合計に対する、Acの割合(%)、即ち、10
0×Ac/(Ac+Ai)、を各視野について求め、そ
の平均値を、カーボンナノチューブの含有量(純度)と
した。
【0056】不純物の含有量(%)は、100−(カー
ボンナノチューブの含有量)により算出した。
【0057】最大サイズの測定 原料であるカーボンナノチューブ含有粗生成物及び本発
明により得られたカーボンナノチューブ含有炭素材料に
ついて、それぞれ、SEMにより100の視野を観察し、
観察した100の視野において最大サイズを有する粒子
のサイズを測定した。
【0058】製造例1:CVD法によるカーボンナノチ
ューブ含有粗生成物の製造図1に示すような2つの加熱
装置(ヒーター)2及び3を備えた反応炉1からなる反
応装置を使用し、次のようにしてナノフレークカーボン
チューブに部分的に炭化鉄が内包された鉄−炭素複合体
を得た。
【0059】工程(1) フェロセン(関東化学株式会社製)0.5gを磁製ボート
20内に薄く広げて敷き詰める。これを石英管からなる
炉内中央に設置し、炉内を圧力50Paまで減圧する。この
とき、真空吸引するラインを取り付けた反応炉端部とは
反対側(図1の反応管の左側)からアルゴンガスを30ml
/minの速度で常圧になるまで供給し、その後再び50Pa
まで減圧する。次いで、ヒーター3で磁製ボート20付
近を200℃、ヒーター2で反応炉1の下流側(図1右
側)を800℃まで減圧のまま昇温する。
【0060】工程(2) 800℃に到達した時点で、アルゴンを導入し、圧力を
6.7×104Paに制御する。一方、熱分解性炭素源と
して、ベンゼン槽にアルゴンガスをバブリングさせて、
揮発したベンゼンとアルゴンの混合ガスを、反応炉容積
1リットル当たり、60ml/minの流速で炉内に導入し、
希釈ガスとして、アルゴンガスを40ml/minの流速で導
入する。
【0061】800℃の反応温度で30分間反応させ、500℃
まで20分で降温後、ヒーター2及び3を取り外して20分
で室温まで空冷することにより、カーボンナノチューブ
を200mg得た。
【0062】実施例1 上記製造例1のCVD法によって得られたカーボンナノ
チューブ粗生成物(カーボンナノチューブ純度50%、
サイズが数百ミクロン以上の不純物含有量10%)50
0mgにエタノール10mlを加えてペースト状の混合
物を得た。得られた混合物を、JISZ−8801の目
開き20ミクロンのふるいの上で、必要に応じてエタノ
ールを滴下しながら、スパチュラの腹で力を加えながら
濾過した(ふるいを通過させた)。
【0063】得られた濾過物を、室温での減圧乾燥によ
り乾燥し、本発明のカーボンナノチューブ含有炭素材料
を得た。
【0064】得られた本発明のカーボンナノチューブ含
有炭素材料をSEMで観察した結果、サイズが数百ミク
ロン以上の不純物はほとんど消失しており、カーボンナ
ノチューブの含有量は50%であり、残部は不純物であ
った。
【0065】また、得られた本発明のカーボンナノチュ
ーブ含有炭素材料を構成する成分(不純物)の最大サイ
ズは、20μmであった。
【0066】このカーボンナノチューブ含有炭素材料の
エミッション特性を測定したところ、電界値3.0V/
μmにおける電流値は10mAであった。
【0067】比較例1 上記製造例1のCVD法によって得られたカーボンナノ
チューブ粗生成物(カーボンナノチューブ純度50%、
数百ミクロン以上の不純物の含有量10%)500mg
にエタノール100mlを加えて懸濁液を得た。この懸
濁液を、JISZ−8801の目開き20ミクロンのふ
るいで吸引濾過した。
【0068】得られた濾過物をSEMで観察した結果、
濾液にはカーボンナノチューブ及び不純物ががほとんど
含まれておらず、実質上溶媒のエタノールのみが含まれ
ていた。即ち、不純物のサイズが大きく、また、ナノチ
ューブが不純物と絡まっているため、吸引濾過しても、
ふるいの目を追加せず、濾液中にはカーボンナノチュー
ブがほとんど含まれていなかった。また、不純物の最大
サイズは、数百μmであった。
【0069】上記吸引濾過後、ふるい上に残った原料の
エミッション特性を測定したところ、電界値3.0V/
μmにおける電流値は7mAであった。
【0070】実施例1と比較例1を比較すると、外力を
加えながらふるいを通過せしめることにより数百ミクロ
ン程度の不純物が解砕されていることがわかる。また、
この解砕により埋もれていたカーボンナノチューブが表
面に露出する割合が増加するためか、電子放出特性が向
上することがわかる。
【0071】
【発明の効果】本発明の製造法によれば、カーボンナノ
チューブ含有不純物に含まれる数百ミクロン程度の粗大
不純物を解砕し、カーボンナノチューブを分散できるこ
とがわかる。この解砕により、不純物の最大粒径が20
μm以下である本発明のカーボンナノチューブ含有炭素
材料が得られる。
【0072】得られた炭素材料は、かなりの量の不純物
を含んでいる場合であっても、電子放出材料として好適
なエミッション特性を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造例1において使用した製造装置の概略図で
ある。
【符号の説明】
1 反応炉 2 ヒーター 3 ヒーター 20 磁製ボート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖見 克英 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 西田 亮一 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 宮保 淳 京都府京都市下京区中堂寺南町17 京都リ サーチパーク 株式会社関西新技術研究所 内 Fターム(参考) 4G146 AA19 AB03 BA04 BA12 BC03 CB04 CB05 CB09 CB10 CB40

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カーボンナノチューブを含有すると共
    に、カーボンナノチューブ製造時に副生する不純物を含
    有するカーボンナノチューブ含有炭素材料であって、該
    炭素材料を構成する成分の最大サイズが20μm以下で
    あることを特徴とするカーボンナノチューブ含有炭素材
    料。
  2. 【請求項2】 粗大不純物を含有するカーボンナノチュ
    ーブ含有粗生成物に少量の溶媒を混合して得られるペー
    スト状の混合物を、外力を加えながら、ふるいを通過せ
    しめることを特徴とする請求項1に記載の炭素材料の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 ふるいの目開きが20ミクロン以下であ
    ることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 カーボンナノチューブを含有すると共に
    不純物を含有するカーボンナノチューブ含有炭素材料か
    らなる電子放出材料であって、該炭素材料を構成する成
    分の最大サイズが20μm以下であることを特徴とする
    電子放出材料。
  5. 【請求項5】 カーボンナノチューブの含有量が、カー
    ボンナノチューブ含有炭素材料に対して20%以上であ
    る請求項4に記載の電子放出材料。
  6. 【請求項6】 粗大不純物を含有するカーボンナノチュ
    ーブ含有粗生成物に少量の溶媒を混合して得られるペー
    スト状の混合物を、外力を加えながら、ふるいを通過せ
    しめることを特徴とする請求項4に記載の電子放出材料
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 ふるいの目開きが20ミクロン以下であ
    ることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
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