JP3755662B2 - カーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CVD法によりカーボンナノチューブを生成した後、精製処理して高純度のカーボンナノチューブを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーボンナノチューブの合成にはアーク放電法、レーザー照射法、熱CVD法が主に用いられている。このうちアーク放電法やレーザー照射法においては、排気装置や高電圧大電流電源などの高価かつ危険な装置を必要とするのに加え、カーボンナノチューブの生成量も少ない。また、生成したカーボンナノチューブには、黒鉛やアモルファスカーボンが混在し、合成目的物であるカーボンナノチューブ自体についても径や長さのばらつきが大きい等の問題がある。
【0003】
また、触媒金属を含有させた基体上で、炭素源となる炭化水素を熱分解させることにより、該基体上に直接カーボンナノチューブを生成させる熱CVD法においては、生成カーボンナノチューブを基体から分離する必要がある。しかし、この分離が極めて困難であり、このため熱CVD法で高純度のカーボンナノチューブを得るのは難しいという問題がある。
【0004】
上記のような熱CVD法において、基体とカーボンナノチューブを高度に分離可能な製造技術として超臨界乾燥により調製した触媒を用いるとするJie Liuらの報告がある〔Chemical Physics Letters,322(2000) p.321-326〕。しかしこの方法は、高圧装置等の高価な装置を必要とし、基体の大量合成が難しいという問題点がある。
【0005】
同じく、上記のような熱CVD法において、酸化マグネシウムを基体として用いた例としてLi Qingwenらの報告がある(Journal Material Chemistry,2002,12,p.1179―1183)。彼らは酸化マグネシウムに鉄、コバルト、ニッケルのうちの一つとモリブデンを組み合わせた金属を担持させてカーボンナノチューブを合成し、触媒と基体材料を塩酸に溶解することにより精製している。
【0006】
しかし、上記Li Qingwenらの報告において、それらいずれの金属を担持した場合にも、精製後には、得られた試料のうちの10wt%分の触媒が残存しており、十分な純度のカーボンナノチューブは得られていない。酸化マグネシウム基体に金属を担持させた触媒体を用いる合成法によれば単層あるいは多層のカーボンナノチューブが得られるが、精製処理後でもそのように多量の不純物が含まれているため、これを直ちに各種用途に供することはできず、実用に供し得る高純度のカーボンナノチューブとするにはさらに研究、開発が必要である。
【0007】
【非特許文献1】
Chemical Physics Letters,322(2000) p.321-326
【非特許文献2】
Journal Material Chemistry,2002,12,p.1179―1183
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記純度、精製上の問題点を解決するため鋭意実験、検討を続けたところ、純度98wt%以上の高純度のカーボンナノチューブを製造し得ることを見い出した。すなわち、本発明は、高比表面積で多孔質酸化マグネシウムからなる基体に触媒金属及び助触媒金属を担持してなる触媒体を用いてカーボンナノチューブを合成した後、特定の精製処理をすることにより、高純度のカーボンナノチューブを製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多孔質酸化マグネシウムからなる基体に対して触媒金属及び助触媒金属を担持してなる触媒体に、反応温度下で炭素源気体を流通させて、カーボンナノチューブを生成した後、生成カーボンナノチューブを含む粗生成物を精製処理して高純度のカーボンナノチューブを製造する方法であって、前記精製処理を、該粗生成物を微細に粉砕した後、酸溶液またはアルカリ溶液と十分に混練し、次いで還流処理することにより基体、触媒金属及び助触媒金属を溶解し、固液分離することにより純度98wt%以上のカーボンナノチューブを製造することを特徴とする高純度カーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、高純度のカーボンナノチューブを製造する方法であり、まず、カーボンナノチューブを多孔質酸化マグネシウムからなる基体に対して触媒金属及び助触媒金属を担持してなる触媒体に反応温度下で炭素原料気体を流通させて生成する。生成カーボンナノチューブは、基体である酸化マグネシウム、触媒金属及び助触媒金属が含まれた粗生成物として得られるので、これら不純物は精製処理してカーボンナノチューブから除去する必要がある。以下、特に必要な場合を除き、触媒金属及び助触媒金属の両者を合わせて適宜「触媒金属」という。
【0011】
本発明においては、その精製処理において、粗生成物を微細に粉砕した後、酸溶液もしくはアルカリ溶液と混練することが必須である。この混練は、本発明において非常に重要であり、十分に徹底して行うことが重要である。これにより不純物である基体、触媒金属を酸溶液もしくはアルカリ溶液に十分溶解する。次いで還流処理する。還流処理後、固液分離し、分離固体を乾燥することにより純度98wt%以上のカーボンナノチューブが得られる。
【0012】
このように、本発明の高純度カーボンナノチューブの製造方法は、まず(1)カーボンナノチューブを合成する触媒体を製造すること、(2)触媒体を用いてカーボンナノチューブを合成して粗生成物を得ること、次いで(3)粗生成物を精製処理することからなるので、以下これら工程を順次説明する。
【0013】
〈(1)カーボンナノチューブ合成用触媒体の製造〉
本発明においては、カーボンナノチューブを生成し成長させるために、多孔質酸化マグネシウムからなる基体に対して触媒金属と助触媒金属を含有させてなる触媒体を用いる。多孔質酸化マグネシウムは粉体の形であるのが好ましく、多孔質酸化マグネシウムの粉体は硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩を熱分解することにより得られる。
【0014】
多孔質酸化マグネシウムの粉体は高純度である必要があり、特にNa、K等のアルカリ金属、硫黄及びシリカからなる不純物の含有量が0.05wt%以下、好ましくは0.01wt%以下であることが重要である。本発明で用いる多孔質酸化マグネシウムとはこのような高純度の多孔質酸化マグネシウムを意味する。また、この粉体の比表面積は30〜150cm2/gの範囲である。
【0015】
上記多孔質酸化マグネシウムの粉体に対して触媒金属と助触媒金属を担持して含有させる。触媒金属としてはPd、Cr、Fe、Co、Ni及びCuから選ばれた金属のうちの少なくとも1種類以上の金属が用いられる。それら金属のうち特に好ましい金属はPd、Fe、Co及びNiのうちの少なくとも1種類以上の金属である。助触媒金属としてはMoが用いられ、これを触媒金属とともに用いることでカーボンナノチューブの生成速度を促進させることができる。
【0016】
多孔質酸化マグネシウムの粉体に対してそれら触媒金属と助触媒金属を担持させる仕方としては、該多孔質酸化マグネシウムの粉体に対して、触媒金属と助触媒金属を含む溶液を接触させる。該溶液としては、好ましくはそれら金属を塩の形で含む溶液が用いられる。それら金属塩は硝酸塩、アセチルアセトン錯塩その他の可溶性塩であるのが好ましい。
【0017】
溶媒としては、水、あるいは低級アルコール(メタノール、エタノール等)などの有機溶媒、または水と水溶性有機溶媒との混合液が用いられ、特に好ましくは水が用いられる。こうして調製した触媒金属及び助触媒金属を含む溶液において、それら金属塩の濃度は、それら金属塩の飽和溶解濃度以下であるが、通常は各金属塩ごとに0.005〜0.5wt%、好ましくは0.005〜0.1wt%である。
【0018】
次いで、触媒金属塩及び助触媒金属塩を含む溶液を多孔質酸化マグネシウムの粉体に接触させて担持させる。その接触法としては、浸漬法やスプレー法、その他適宜の方法が用いられるが、好ましくは浸漬法が用いられる。その接触温度は室温から80℃の範囲、好ましくは50〜60℃の範囲である。多孔質酸化マグネシウムの粉体と触媒金属塩及び助触媒金属塩の溶液との接触により、触媒金属塩及び助触媒金属塩は該粉体に含浸され、担持される。
【0019】
こうして得られる触媒金属及び助触媒金属を担持し含有する多孔質酸化マグネシウムの粉体において、該粉体に対する触媒金属の含有量は、金属として1〜20wt%、好ましくは5〜10wt%である。また、該粉体に対する助触媒金属であるMoの含有量は、金属として0.1〜1.5wt%、好ましくは0.3〜0.8wt%である。
【0020】
多孔質酸化マグネシウムの粉体に含有されたそれら金属の形は、カーボンナノチューブを生成し、その反応速度を促進させる形であればよく、金属の形のほか、金属酸化物や金属水酸化物の形であることができる。金属の形の場合は、上記のようにして得られた金属塩を含有する多孔質酸化マグネシウムの粉体を水素等の還元雰囲気で還元することにより得られる。また、金属酸化物の形の場合、上記のようにして得られた金属塩を含有する多孔質酸化マグネシウムの粉体を焼成することにより得られる。
【0021】
触媒体の形状は、触媒金属及び助触媒金属を含有する多孔質酸化マグネシウムの粉体の形でもよく、触媒金属及び助触媒金属を含有する多孔質酸化マグネシウムの粉体を成形した成形体の形でもよく、触媒金属及び助触媒金属を含有する多孔質酸化マグネシウムの粉体をSiやSiO2等の基板に担持させた形でもよい。こうして作製された触媒体には、その表面に触媒金属と助触媒金属が担持されている。
【0022】
〈(2)カーボンナノチューブの合成〉
以上のようにして製造した触媒体を用いてカーボンナノチューブを合成して粗生成物を製造する。触媒体を電気炉等の反応容器に配置し、これに炭素原料すなわち炭素源を流通させながら、炭素源を触媒体の表面で熱分解させてカーボンナノチューブを生成させる。炭素源としてはメタン、エタン、プロパン等の炭化水素、一酸化炭素、あるいはメタノール、エタノール等の低級アルコールが用いられる。
【0023】
炭素源の熱分解温度、すなわち反応温度は400℃〜1200℃である。本発明においては400℃〜800℃という低い温度においてもカーボンナノチューブを製造することができる。このように低い温度においてもカーボンナノチューブを製造できることから設備コスト、エネルギー消費を少なくできるので、実用上非常に有用である。単層カーボンナノチューブは700℃〜900℃の温度で製造することができる。
【0024】
炭素源がメタンの場合、その流通速度は、ガス空間速度(GHSV)で2000〜200000hr-1、好ましくは5000〜10000hr-1である。メタンを熱分解する場合、その気体中にはアルゴンや水素をキャリアとして混入することができる。また、メタンに硫化水素やメルカプタン等の硫黄化合物を適量加えることにより、触媒体上に真っ直ぐなカーボンナノチューブを形成することができる。
【0025】
〈(3)粗生成物の精製処理〉
カーボンナノチューブは触媒体の表面から成長して生成する。このため、カーボンナノチューブは触媒体、すなわち基体、触媒金属(すなわち触媒金属及び助触媒金属)を含む粗生成物として得られるので、カーボンナノチューブを触媒体から離脱させ、精製処理する必要がある。その精製処理として、本発明においては、まず粗生成物を粉砕して微細化する。粉砕は粗生成物が十分微細化するように行う。粉砕後、必要に応じて例えば200メッシュ以下というようにふるいがけしてもよい。
【0026】
次いで、上記微細粉砕物を酸溶液もしくはアルカリ溶液と混練する。酸水溶液またはアルカリ水溶液としては、硝酸や塩酸の水溶液または水酸化ナトリウム水溶液、もしくはそれらのアセトンまたは過酸化水素水との混合溶液であることが好ましい。
【0027】
上記混練処理は、本発明において非常に重要な処理であり、十分に徹底して行う必要がある。本混練処理は、上記微細粉砕物が少量であれば乳鉢等で行ってもよいが、上記微細粉砕物が多量の場合には例えば湿式混練ミル、連続スクリュー型混練機、高速流動型ミキサー等により上記微細粉砕物と酸溶液もしくはアルカリ溶液の混合物に圧縮、せん断、摩擦作用を徹底して与えて行う。次いで、混練液を沸点下で(沸騰状態で)還流処理する。これにより不純物である基体、触媒金属を酸溶液もしくはアルカリ溶液に十分溶解させ、カーボンナノチューブの精製効率を劇的に向上させることができる。
【0028】
また、上記還流処理に際して、その前に上記混練液を濾過し、固形物を再び酸水溶液またはアルカリ水溶液に浸し、これを還流処理することにより、精製効率をより確実にすることができる。次いで、還流処理済みの溶液を濾過して固形物を分離することにより、純度98wt%以上の高純度のカーボンナノチューブを得ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を基にして本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもちろんである。各実施例及び比較例において、基体としては、Na、K等のアルカリ金属、硫黄及びシリカからなる不純物の含有量が0.01wt%の多孔質酸化マグネシウムの粉体を用いた。
【0030】
《実施例1》
比表面積が130m2/gの多孔質酸化マグネシウムの粉体10.0gを、硝酸鉄〔Fe(NO32・9H2O〕2.2gと酸化モリブデンアセチルアセトナート〔(CH3COCHCOCH32MoO2〕0.12gをメタノール300mlに溶解させて得た溶液中に30分間浸し、さらに3時間、超音波処理により分散させた。次いでこの溶液を減圧乾燥し、乾燥物すなわち粉体形の触媒体を得た。
【0031】
上記乾燥物(=触媒体)をアルミナ製の船形るつぼに入れ、電気炉中に配置した。電気炉の反応管は内径3cm、長さ1mの石英管で、長さ方向の中央部600mmが加熱領域であり、その加熱領域の中央部500mmに乾燥物を配置した。電気炉をアルゴン雰囲気下で800℃まで昇温させた後、メタンとアルゴンの混合ガスを30分間流通させた。
【0032】
得られた生成物を走査型電子顕微鏡(SEM、日立製作所社製 S-5000、以下同じ)により観察したところ、触媒体表面にカーボンナノチューブが生成していることがわかった。図1はその上面から撮影した写真を図面化したものである。図1のとおり、カーボンナノチューブとともに、数多くの微細な触媒粒子が観察される。
【0033】
粗生成物試料、すなわち触媒体を含むカーボンナノチューブの一部を、空気中で800℃まで昇温させながら重量変化を熱天秤で測定した。図4にその重量変化を示している。図4中未精製試料として示すとおり、400℃程度までで全重量の24wt%が消失しているが、それ以降、重量低減は殆どみられない。重量低減分はカーボンナノチューブの消失分に相当するが、試料中に基体、触媒金属が76wt%残存していることがわかる。
【0034】
〈精製処理〉
上記触媒体を含むカーボンナノチューブからなる試料を微細に粉砕し、次いで200メッシュ以下にふるいがけした。この試料を3mol/lの硝酸水溶液に入れ、乳鉢で十分に混錬した。混練後、濾過し、再び3mol/lの硝酸水液中に浸し、1時間沸点下で還流した。次いで、還流液を濾過し、固形物を乾燥して精製試料を得た。得られた試料を走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型電子顕微鏡(TEM、日本電子社製 JEM-2000FX II)で観察した。図2はSEM写真、図3はTEM写真である。図2〜3のとおり、太さ(直径)がいずれも1〜2nm程度の単層カーボンナノチューブがバンドル状になっており、また、触媒の残存はごく僅かしかないことがわかる。こうして単層カーボンナノチューブが700mg得られた。
【0035】
また、上記乾燥固形物、すなわち精製試料を空気中で800℃まで昇温させながら重量変化を熱天秤で測定した。図4にその重量変化を示している。図4中精製試料として示すとおり、試料中の99wt%が消失した。重量低減分は単層カーボンナノチューブの消失分に相当するが、試料中に基体、触媒金属が1wt%しか残存していなかったことがわかる。こうして、基体である酸化マグネシウムや触媒金属である鉄、助触媒金属であるモリブデンがほぼ完全に除去された高純度の単層カーボンナノチューブを得ることができた。
【0036】
《実施例2》
比表面積が30m2/gの多孔質酸化マグネシウムの粉体10.0gを基体として用いた以外は、実施例1と同様にして、Fe及びMoを担持し、触媒体表面にチューブを成長させ、精製処理を行った。これにより単層カーボンナノチューブが700mg得られた。また、この試料を空気中で800℃まで昇温させながら重量変化を熱天秤で測定したところ、試料から99wt%が消失した。重量低減分は単層カーボンナノチューブの消失分に相当する。こうして、基体である酸化マグネシウム、触媒金属である鉄及び助触媒金属であるモリブデンがほぼ完全に除去された高純度の単層カーボンナノチューブを得ることができた。
【0037】
《実施例3》
実施例1で用いたのと同じ多孔質酸化マグネシウムの粉体1.0gを硝酸パラジウム〔Pd(NO32〕1.2gと酸化モリブデンアセチルアセトナート0.01gをメタノールに溶解させて得た溶液中に30分間浸し、さらに3時間超音波処理により分散させた。これを減圧乾燥し、乾燥物(=触媒体)を用いて400℃で実施例1と同様にしてメタンとArの混合ガスを30分間流通させた。粗生成物を、実施例1と同様にして、粉砕し、ふるいがけをした後、精製処理を行い、濾過、乾燥させた。
【0038】
得られた試料を透過型電子顕微鏡で観察したところ、太さ(直径)が20〜30nm程度の多層カーボンナノチューブが生成していることがわかった。また、基体、触媒金属の残存は全く確認できなかった。こうして、不純物が完全に除去された高純度の多層カーボンナノチューブを得ることができた。
【0039】
《比較例1》
実施例1と同様にして触媒体表面に単層カーボンナノチューブを成長させた。得られた粗生成物試料を3mol/lの硝酸水液中に浸し、1時間還流処理した後、濾過し、固形分を乾燥させた。ここでは混練処理は行っていない。この試料を空気中で800℃まで昇温させながら重量変化を熱天秤で測定したところ、試料から90wt%が消失した。重量低減分は単層カーボンナノチューブの消失分に相当するが、生成物試料中に基体、触媒金属が10wt%残存しており、高純度の単層カーボンナノチューブを得ることができなかった。
【0040】
〈比較例2〉
比表面積が8m2/gの多孔質酸化マグネシウムの粉体10.0gを基体とし、実施例1と同様にして、Fe及びMoを担持し、触媒体表面にチューブを成長させ、精製処理を行った。これにより、単層カーボンナノチューブが10mg得られた。得られた単層カーボンナノチューブは高純度であったが、そのように単層カーボンナノチューブは生成量は僅かに10mgであり、実施例1と比較して極端に低下した。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、触媒体及び合成カーボンナノチューブを含む粗生成物を粉砕して微細化した後、酸溶液もしくはアルカリ溶液と十分に混錬し、その溶液を還流処理することにより、高純度のカーボンナノチューブを効率よく製造することができる。本発明の製造方法は、スケールアップが容易であり、これにより多層カーボンナノチューブ及び単層カーボンナノチューブを省エネルギーかつ低コストで大量に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた粉砕前の試料のSEM写真を図面化して示す図
【図2】実施例1で得られた精製処理後の試料のSEM写真を図面化して示す図
【図3】実施例1で得られた精製処理後の試料のTEM写真を図面化して示す図
【図4】実施例1で得られた試料(本発明による精製処理前及び本発明による精製処理後の試料)を空気中で800℃まで昇温させながら重量変化を測定した結果を示す図

Claims (7)

  1. 多孔質酸化マグネシウムからなる基体に対して触媒金属及び助触媒金属を担持してなる触媒体に、反応温度下で炭素源気体を流通させて、カーボンナノチューブを生成した後、生成カーボンナノチューブを含む粗生成物を精製処理して高純度のカーボンナノチューブを製造する方法であって、前記精製処理を、該粗生成物を微細に粉砕した後、酸溶液またはアルカリ溶液と十分に混練し、次いで還流処理することにより基体、触媒金属及び助触媒金属を溶解し、固液分離することにより純度98wt%以上のカーボンナノチューブを製造することを特徴とする高純度カーボンナノチューブの製造方法。
  2. 前記粗生成物を微細に粉砕した粉砕物をふるいがけして粉砕粉体を整粒した後、酸溶液またはアルカリ溶液と混練することを特徴とする請求項1に記載の高純度カーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記酸またはアルカリ溶液が塩酸、硝酸または水酸化ナトリウムの溶液であることを特徴とする請求項1または2に記載の高純度カーボンナノチューブの製造方法。
  4. 前記多孔質酸化マグネシウムからなる基体が、比表面積が30m2/g以上の多孔質酸化マグネシウムの粉体からなる基体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の高純度カーボンナノチューブの製造方法。
  5. 前記触媒金属がPd、Fe、Co及びNiから選ばれる少なくとも1種の金属であり、前記助触媒金属がMoであるこを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の高純度カーボンナノチューブの製造方法。
  6. 前記炭素源が炭化水素、一酸化炭素または低級アルコールであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の高純度カーボンナノチューブの製造方法。
  7. 前記反応温度が400℃から1000℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高純度カーボンナノチューブの製造方法。
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