JP2009242117A - カーボンナノチューブ集合体およびその製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ集合体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、分散性に優れるカーボンナノチューブ集合体を提供すること、また、そのようなカーボンナノチューブ集合体、なかでも強固なバンドルを形成する高グラファイト構造を有する単層から数層よりなるカーボンナノチューブ集合体を、より簡単な処理法により収率で製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】炭素不純物を含む粗カーボンナノチューブ集合体を、温度500℃空気雰囲気下で3時間放置した際の重量減が5重量%以下となるまで酸化処理することを特徴とするカーボンナノチューブの集合体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ集合体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、分散性に優れカーボンナノチューブ集合体に関する。
カーボンナノチューブが最初に広く報告されたのは1991年である。カーボンナノチューブは実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層カーボンナノチューブ、多層に巻いたものを多層カーボンナノチューブという。多層カーボンナノチューブの中でも特に2層に巻いたものを2層カーボンナノチューブという。カーボンナノチューブは、自体が優れた真性の導電性を有し、導電性材料として使用されることが期待されている。
カーボンナノチューブの製造方法として、アーク放電法、レーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られている。なかでも、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを安価に製造する方法として、触媒化学気相成長法が知られている。触媒化学気相成長法では触媒を担体に担持して行う方法が知られている。
通常、カーボンナノチューブは、層数の少ない単層や2層カーボンナノチューブが高グラファイト構造を有しているために導電性や熱伝導性などの特性が高いことが知られている。しかしながら、これらカーボンナノチューブは、強固なバンドル構造を有するため、カーボンナノチューブを1本1本に分散させることか難しく、更に、樹脂や溶媒への分散が非常に困難であるため、ナノ効果が発揮されず、種々の用途への展開が限られている。
これら層数の少ないカーボンナノチューブの中で、2層カーボンナノチューブは最も特性が良好と考えられており、いくつかの合成法が知られている。最近では純度の高い2層カーボンナノチューブの製造法として遠藤らの方法が知られている(非特許文献2、3、4、特許文献1)。この方法は、マグネシアを担体とし、主触媒に鉄塩を、副触媒にモリブデン酸塩を配置し、炭素源を反応させてカーボンナノチューブを合成するもので、2層カーボンナノチューブへの高純度化は以下の手順で実施している。まず、合成後、塩酸に浸漬しマグネシアおよび触媒を除去し、次いで、500℃空気雰囲気化で20分間酸化し単層ナノチューブおよびカーボンナノチューブ表面のアモルファス層を熱分解させる。更に、不活性ガス中1500から2800℃の温度で熱処理し純度の高い2層カーボンナノチューブを製造するものである。
また、カーボンナノチューブの酸化処理自体も上記特許文献1にも記載されるように以前から知られている。例えば、特許文献1ではカーボンナノチューブを500℃で20分間酸化し単層ナノチューブおよびアモルファス層を熱分解することが記載されている。しかしこの酸化処理のみで不十分であり、2層カーボンナノチューブの純度を上げるために不活性ガス中1500から2800℃の温度での熱処理が行われる。
これらの文献には、酸化処理を施してアモルファスを熱分解することは記載されているものの、どの程度まで酸化すべきなのかについては言及されていない。また、多くはSEM(Scannig Electron Microscopy)観察からの知見を元にしたアモルファス低減であり、これらの文献で具体的に示された方法で得られたカーボンナノチューブを分散液などの分散体として分散させようとしても分散性に劣っていたり、再現性にかけていたりして、そこから得られるフィルムも十分なものではなく、産業上の効果が明らかにされていない。
更に、これら多くの酸化方法は、電気炉を使用しており、これまで、工業化に適した処方・方法で検討は行われていない。
このように酸化処理を行うことによりアモルファス層を熱分解し得ることは知られているが、それによって得られたカーボンナノチューブを用いて分散体とするには分散性は不十分であり、再現性のよい分散体を得ることは困難であった。また、それを塗布してフィルムとしたりしても、カーボンナノチューブそれ自体から予想される望ましい効果は発揮できなかった。
特開2005−343726号公報 Nature, vol.433, 476(2005) Chemical Physics Letters,414(2005)444−448 Journal of American Chemical Society,128(2006)12636−12637
本発明は、分散性に優れるカーボンナノチューブ集合体を提供すること、また、そのようなカーボンナノチューブ集合体、なかでも強固なバンドルを形成する高グラファイト構造を有する単層から数層よりなるカーボンナノチューブ集合体を、より簡単な処理法により収率で製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者は課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、カーボンナノチューブを含んだ集合体を酸化性雰囲気で必要充分酸化処理することで分散性に優れたカーボンナノチューブが製造できることを見出した。必要充分とは例えば、空気雰囲気下でカーボンナノチューブからなる集合体を350〜550℃で酸化処理し、この温度内で酸化する物質をほぼ完全に酸化除去したカーボンナノチューブである。このカーボンナノチューブからなる集合体は極度に分散性が向上する。
すなわち本発明は、下記の構成を有する。
(1)アモルファスカーボンを含む粗カーボンナノチューブ集合体を、温度500℃空気雰囲気下で3時間放置した際の重量減が5重量%以下となるまで酸化処理することを特徴とするカーボンナノチューブの集合体の製造方法。
(2)担体に鉄を担持した粉末状の触媒を用い、メタンと前記触媒を500〜1200℃で接触させて合成した、粗カーボンナノチューブ集合体を、酸化処理することを特徴とする(1)記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(3)前記酸化処理が、酸素と不活性ガスの混合ガス中で加熱して酸化処理するものであって、混合ガス中の酸素濃度が、0.1容量%から50容量%である(1)または(2)記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(4)酸化処理温度が350から550℃である(1)〜(3)のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法
(5)前記粗カーボンナノチューブ集合体が、担体に触媒を担持させた粉末状の触媒上にカーボンナノチューブを形成させた粗カーボンナノチューブ集合体である(1)〜(4)のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(6)カーボンナノチューブの酸化装置が流動床である請求項1から5記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(7)カーボンナノチューブ集合体が分散体の製造に用いられるものである(1)〜(6)のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
(8)温度500℃空気雰囲気下で3時間放置した際の重量減が5重量%以下であるカーボンナノチューブの集合体。
本発明の方法によれば、分散性に優れたカーボンナノチューブ集合体を極めて簡単な処理法により、優れた収率で製造することができる。また、本発明のカーボンナノチューブ集合体は、分散性に極めて優れるため、これを使用することで、高度に分散されたカーボンナノチューブが容易かつ再現性よく取得することができ、ナノ効果が期待される分野での製品開発を効果的に実施することができる。
以下本発明について詳述する。本発明のカーボンナノチューブ集合体は例えば空気雰囲気下400〜500℃内で安定であり、重量変化の小さいものである。より具体的にはこの温度領域に3時間放置した場合のカーボンナノチューブ集合体の重量変化が5重量%以下である。更に好ましくは3重量%以下である。これらは例えば、カーボンナノチューブからなる集合体を350から550℃で酸化処理し、この温度内で酸化する物質をほぼ完全に酸化除去することで得られる。本発明のカーボンナノチューブ集合体は、合成時に副生して混入するアモルファスカーボン等の炭素を、特定の状態になるまで酸化処理して除去することにより、カーボンナノチューブの凝集をほぐしやすくし、再現性よく分散性を向上せしめたものである。
かかるカーボンナノチューブ集合体により分散性が再現性よく向上する理由は定かではないが、次のように推定される。すなわちカーボンナノチューブにはアモルファスカーボン等が副生物として含まれる。層数の少ない、例えば単層あるいは2層カーボンナノチューブ集合体では、強固なバンドルを形成するが、そのバンドル間にアモルファスカーボンが入り込み固着している。アモルファスカーボンがバンドルに多く含まれると、例え充分量の分散剤を添加してもなかなか分散させることができない。結果として分散性が十分でなかったり、再現性がでなかったりする。つまり、分散剤によりカーボンナノチューブ同士が分散できる状態にあっても、固着したアモルファスカーボンによりそれが妨げられると推定する。
本発明においては、そのような炭素不純物を必要十分な程度まで除去することにより、固化したアモルファスによるカーボンナノチューブ同士の接着がなくなる。そのため、適切な分散剤と分散剤量を加えることで分散性に優れ、かつ再現性にも優れたカーボンナノチューブ集合体が得られると推定される。
本発明においてカーボンナノチューブ集合体の層数には制限はなく、アモルファスカーボン等の炭素不純物を含むものであれば効果を奏する。本発明において炭素不純物とは、通常合成の過程で副生するアモルファスカーボン等、カーボンナノチューブ以外の炭素およびその相当物を意味する。なかでも単層から数層程度の細いカーボンナノチューブ、特にバンドルを組みやすい、単層ナノチューブおよび/または2層ナノチューブを含むものにおいて有効であり、酸化処理に対する耐性の観点から特に2層カーボンナノチューブを含むものにおいて最も有効である。本発明は単層から数層程度の細いカーボンナノチューブを1本1本を容易に分散できるようにすることでナノ効果を発揮させ、種々の用途への展開を図るものである。
また、本発明においてカーボンナノチューブ集合体とは、複数のカーボンナノチューブが存在している総体(集合体)を意味し、存在形態は特に限定されず、それぞれが独立で、あるいは束状、絡まり合うなどの形態あるいはこれらの混合形態で存在していてもよい。また、種々の層数、直径のものが含まれていてもよい。また、分散液や他の成分を配合した組成物中、あるいは他の成分と複合した複合体中に含まれる場合でも複数のカーボンナノチューブが含まれていればこれら複数のカーボンナノチューブについて、カーボンナノチューブ集合体が含まれていると解する。また、カーボンナノチューブ製造法由来の不純物(例えば触媒)を含み得るが、実質的には炭素で構成されたものを示す。
本発明のカーボンナノチューブ集合体は、カーボンナノチューブのグラフェンシートの欠陥が少ない方が、品質がよく、導電性が向上するため、好ましい。このグラフェンシートの欠陥は、ラマン分光分析法により評価が可能であり、ラマン分光分析によるGバンドとDバンドの高さ比(G/D比)が用いられる。このG/D比が高いカーボンナノチューブ集合体ほど、グラファイト化度が高く、高品質である。ここでラマンG/D比を評価するときは、波長532nmを用いる。G/D比は高いほど良いが、30以上であれば高品質カーボンナノチューブ集合体と言うことができる。G/D比は、好ましくは40以上、200以下であり、さらに好ましくは50以上、150以下である。またカーボンナノチューブ集合体のような固体のラマン分光分析法は、サンプリングによってばらつくことがある。そこで少なくとも3カ所、別の場所をラマン分光分析し、その相加平均をとるものとする。
カーボンナノチューブ集合体の製造方法としては、本発明で規定した条件を満たすカーボンナノチューブ集合体が得られる限り限定はないが、例えば以下の製造方法が例示される。
まず、カーボンナノチューブの合成は、通常用いられる方法で行われるが、例えば担体に鉄などの金属触媒を担持させた粉末状の触媒と、炭素を含むガスとを500〜1200℃で接触させ粗カーボンナノチューブ集合体を製造する。下記に好ましい一例を挙げるが、これに限定されるものではない。
担体としてマグネシアが好ましく採用される。適切な担体を採用することで担体上にカーボンナノチューブの鉄触媒の粒径がコントロールできる。そのため、高品質なカーボンチューブを効率よく多量に合成することができる。さらに、マグネシアは酸性水溶液に溶けるので、酸性水溶液で処理するだけでマグネシアおよび鉄の両者を取り除くこともできるため、精製工程を簡便化することができる。
マグネシアは、市販品を使用しても良いし、合成したものを使用しても良い。マグネシアの中でも軽質マグネシアが好ましい。軽質マグネシアとはかさ密度が小さいマグネシアである。軽質マグネシアのかさ密度は0.20g/mL以下であることが好ましく、0.05〜0.16g/mLであることが触媒の流動性の点からより好ましい。マグネシアに担持する鉄は、0価の状態とは限らない。反応中は0価の金属状態になっていると推定できるが、広く鉄を含む化合物または鉄種でよい。例えば、ギ酸鉄、酢酸鉄、トリフルオロ酢酸鉄、クエン酸アンモニウム鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、ハロゲン化物鉄などの有機塩または無機塩、エチレンジアミン4酢酸錯体やアセチルアセトナート錯体のような錯塩などが用いられる。また鉄は微粒子であることが好ましい。微粒子の粒径は0.5〜10nmであることが好ましい。鉄が微粒子であると外径の細いカーボンナノチューブが生成しやすい。
マグネシアに鉄を担持させる方法は、特に限定されない。例えば、担持したい鉄の塩を溶解させた非水溶液(例えばエタノール溶液)中または水溶液中に、マグネシアを含浸し、攪拌や超音波照射などにより充分に分散混合した後、乾燥させる(含浸法)。さらに空気、酸素、窒素、水素、不活性ガスおよびそれらの混合ガスから選ばれたガス中または真空中、高温(300〜1000℃)で加熱することにより、マグネシアに鉄を担持させてもよい。
鉄担持量は、多いほどカーボンナノチューブの収量が上がるが、多すぎると鉄の粒子径が大きくなり、生成するカーボンナノチューブが太くなる。鉄担持量が少ないと、担持される鉄の粒子径が小さくなり、外径の細いカーボンナノチューブが得られるが、収率が低くなる傾向がある。最適な鉄担持量は、マグネシアの細孔容量や外表面積、担持方法によって異なるが、マグネシアに対して0.1〜20重量%の鉄を担持することが好ましく、特に0.2〜10重量%であることが好ましい。
このようにして得られた、鉄を担持したマグネシアを縦型反応器に充填する。反応器は石英製、アルミナ製等の耐熱材質からなることが好ましい。ここで、縦型反応器としては流動床などが採用される、
流動床の操作は、バッチでも連続でも構わない。流動床での合成温度は、500〜1200℃が好ましく、600〜950℃がより好ましく、さらに好ましくは700℃〜900℃の範囲である。温度が500℃よりも低いと合成量が低下し、また温度が1200℃よりも高いと、使用する反応器の材質や、マグネシア自体の耐熱性の問題などから良好なカーボンナノチューブが合成されない。
希釈ガスは特に限定されないが、窒素、アルゴン、水素、ヘリウム等が好ましく使用される。これらのガスは、メタンの線速や濃度のコントロールおよびキャリヤガスとして効果がある。
上記のような製造工程によって製造された粗カーボンナノチューブ集合体には、副生物のアモルファスが含まれる。本発明では以上のように製造した粗カーボンナノチューブ集合体、すなわち担体に触媒を担持させた粉末状の触媒上にカーボンナノチューブを形成させた集合体を原料とする。
一般に、酸でマグネシア等の担体および鉄等の金属触媒を除去した後のカーボンナノチューブに対し焼成処理を行うことが効率的であると考えられるが、これらカーボンナノチューブはアモルファスと密に凝集し、見掛け一体化しており、アモルファスのみを選択的に酸化除去させることは困難である。つまり一旦アモルファスが酸化し始めると、急激に発熱しカーボンナノチューブまでも酸化、焼失してしまう。このため、これら凝集体を粉砕し粉末状にした上で酸化させることも考えられるが、本操作はナノ物質を含んだ微粉を発生させることになり、局所排気設備など大がかりな設備が必要となり工業的に適さない。
本法では、マグネシア等の担体によりカーボンが希釈された状態にあり、(例えば触媒を除去した製品に比べ、単位体積当たりのカーボン量は大幅に少ない)酸化処理しても適当な放熱、酸素との接触が保たれ、アモルファスからの延焼や、蓄熱による酸化処理温度の上昇が抑制できる。
次に、酸化方法について詳述する。酸化は焼成による方法でする方法、酸化剤で酸化する方法が挙げられる。焼成処理では、カーボンナノチューブとアモルファスの燃焼温度差を利用しアモルファスを選択的に酸化する。焼成操作の制御は酸素濃度または焼成温度、もしくは両者の組み合わせで実施する。例えば、酸素濃度が高い場合には比較的低温で、酸素濃度が低い場合には比較的高温で焼成処理することができる。空気を用いて焼成処理を行う場合は、アモルファスが燃焼する350から550℃の範囲内で焼成処理をすることが好ましい。この場合、空気を間欠的にカーボンナノチューブに接触させて処理することが更に好ましい。間欠的に接触させることで焼成による温度上昇が制御でき、カーボンナノチューブの焼失ロスを低減させることができる。
すなわち、空気添加によりカーボンナノチューブ集合体の温度が上昇するが、大幅に上昇する前に添加を止めることで、カーボンナノチューブの酸化を抑制することができる。
このほか、酸素濃度を低くする方法によっても、このような酸化速度の管理をすることができる。
本発明において、酸素と不活性ガスの混合ガス中で加熱して酸化処理する際の、混合ガス中の酸素濃度は、混合ガス中0.1容量%〜50容量%であることが好ましく、更には混合ガス中0.1容量%〜22容量%が、特に0.1〜15容量%であることが好ましい。焼成温度のみで酸化速度をコントロールするより、酸素濃度もパラメータとして組み合わせることで、より効果的にアモルファスカーボンを選択的に酸化することができる。
焼成装置は固定床(例えば電気炉など)、移動床など挙げられるが、その中で流動床が好適である。流動床は空気との接触が良く均一な酸化が得られ、また、吹き込む空気により除熱されることから、酸化処理の温度安定性が良い。流動床を利用した酸化処理方法について、図1を用いて以下詳述する。
流動床反応器100は内径75mm、長さは1500mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板101を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ライン102、空気供給ライン103,上部には廃ガスライン104および、触媒投入ライン105を具備する。
また、流動床の温度が把握できる様、流動床形成部に熱電対106を配する。更に、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器107を具備し、流動床温度が任意温度に制御できるよう制御できるシステムを取っている。加熱器107には装置内の流動状態が確認できるよう点検口108が設けられている。
本装置に合成後の、具体的には担体に触媒を担持させた粉末状の触媒上にカーボンナノチューブを形成させた集合体原料を触媒投入ライン105から任意量充填する。本操作は合成を終えた後の流動床をそのまま使用しても良い。充填後、最小流動化速度以上の空気を103から連続的に供給を始め、焼成温度に加熱させる。焼成温度は350から550℃
の間で設定される。加熱器が設定温度に到達後、流動床内部温度はアモルファス酸化により発熱するため、内部温度は加熱器の設定温度に比べ数℃から数十℃高くなる。
この温度差は30℃以内が好ましく、急激な酸化を抑制するため昇温速度を遅くする、流動床操作範囲で空気吹き込み速度を上げ、流動床からの除熱を促進させる方法などが取られる。設定された燃焼温度で酸化する成分が減少するに従い、流動床内部温度と加熱炉の温度差が無くなってくるので酸化の度合いを把握することができる。温度差が無くなってから30分以上この状態を保持させ、微量残存するアモルファス分を酸化することが好ましい。
その他の流動床を用いた酸化方法として、原料充填後、最小流動化速度以上の不活性ガスを原料ガス供給ライン102から連続的に供給し、焼成温度に到達した後、空気供給ライン103から間欠的に空気を添加する方法がある。空気添加により流動床内の温度が上昇するので、上昇幅見合いで空気の添加量、添加の間隔を調整する。アモルファス低減と共に、添加毎の発熱が少なくなるので、添加による温度上昇幅は3℃以下になったら、殆ど酸化が終了としたと考え、連続添加に切り替える方法が取られる。後は先の方法と同じく、30分以上この状態を保持させ、微量残存するアモルファス分を酸化させる。
このような方法により、温度500℃空気雰囲気下で3時間放置した際の重量減が5重量%以下となるようなカーボンナノチューブ集合体が得られる。
その他の酸化処理法による場合、種々の酸化処理法を行い、上記条件を満たすカーボンナノチューブ集合体となるまで行うことにより得ることもできる。酸化処理条件の設定はカーボンナノチューブの合成法により炭素不純物の種類、含有量が異なるため、一概にはいえないが、酸化処理後のサンプルについて、上記条件となるか否かを評価しつつ、酸化処理の詳細条件を設定していけばよい。なお、電気炉等、容器内で加熱する場合、燃焼により酸素が消費され、酸欠により十分な炭素不純物の除去が困難な場合があるため、容器の大きさと処理するカーボンナノチューブ集合体の量のバランスを適切にすること、あるいは熱処理中、容器内に必要十分な酸素を供給し得るような設計にすることが望ましい。
かくして得られる本発明のカーボンナノチューブ集合体は、アモルファスカーボン等の炭素不純物が必要十分に低減されているため、媒体中に分散させて分散体にしたときの分散性に優れ、さらに再現性にも優れている。
カーボンナノチューブ分散体の調整方法には特に制限はない。例えば、分散媒が溶媒である場合、カーボンナノチューブ集合体、分散剤および溶媒を、公知の混合分散機(例えばボールミル、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ホモジナイザー、アトライター、デゾルバー、ペイントシェーカー等)を用いて混合し、分散液を製造することができる。
上記分散液は、混合後、遠心分離またはフィルター濾過をすることが好ましい。分散液を遠心分離することによって、未分散のカーボンナノチューブ、や、カーボンナノチューブに残存する金属触媒などが沈殿するので、遠心分離後に上清を回収すれば、未分散のカーボンナノチューブおよび、不純物を除去することができる。
遠心分離する際の遠心力は、100G以上の遠心力であればよく、好ましくは、1000G以上であることが好ましい。
また、フィルター濾過に用いるフィルターは、0.05μmから0.2μmの間で適宜選択することができる。
分散剤としては、界面活性剤、各種高分子材料等を用いることができる。分散剤は、カーボンナノチューブ集合体の分散能や分散安定化能等を向上させるのに役立つ。界面活性剤は、イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤に分けられるが、本発明ではいずれの界面活性剤を用いることも可能である。界面活性剤としては、例えば以下のような界面活性剤があげられる。かかる界面活性剤は単独でもしくは2種以上を混合して用いることができる。
イオン性界面活性剤は、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤および陰イオン性界面活性剤にわけられる。陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩などがあげられる。両イオン性界面活性剤としては、アルキルベタイン系界面活性剤、アミンオキサイド系界面活性剤がある。陰イオン性界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸系界面活性剤、モノソープ系アニオン性界面活性剤、エーテルサルフェート系界面活性剤、フォスフェート系界面活性剤およびカルボン酸系界面活性剤などがあげられる。中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、芳香環を含むもの、すなわち芳香族系イオン性界面活性剤が好ましく、特にアルキルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン酸塩等の芳香族系イオン性界面活性剤が好ましい。
非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの糖エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエチルなどの脂肪酸エステル系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリプロピレングリコールなどのエーテル系界面活性剤、ポリオキシアルキレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルジブチルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキルビスフェニルエーテル、ポリオキシアルキルクミルフェニルエーテル等の芳香族系非イオン性界面活性剤があげられる。中でも、分散能、分散安定能、高濃度化に優れることから、芳香族系非イオン性界面活性剤が好ましく、中でもポリオキシエチレンフェニルエーテルが好ましい。
各種高分子材料としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等の水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロースおよびその塩(ナトリウム塩、アンモニウム塩等)、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アミロース、シクロアミロース、キトサン等の糖類ポリマー等がある。またポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン等の導電性ポリマーおよびそれらの誘導体も使用できる。なかでも、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等の水溶性ポリマーを使用することによりカーボンナノチューブ集合体の導電特性を効率的に発揮することができ好ましい。
水を分散媒とするときは、ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩等のベンゼン環および親水基を有する化合物を分散剤とすることが最も好ましい。その理由はベンゼン環がカーボンナノチューブに、親水基が水にそれぞれ強い親和性を有しているからである。そのことにより分散剤が有効に働き、カーボンナノチューブを水へと分散させる。また親水基はイオン性のものが良い。親水基同士が反発してカーボンナノチューブを相互に乖離させるからである。
カーボンナノチューブ集合体の分散媒は特に限定されない。水系溶媒でも良いし非水系溶媒でも良い。非水系溶媒としては、炭化水素類(トルエン、キシレン等)、塩素含有炭化水素類(メチレンクロリド、クロロホルム、クロロベンゼン等)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ等)、エーテルアルコール(エトキシエタノール、メトキシエトキシエタノール等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル等)、ケトン類(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等)、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、フェノール等)、低級カルボン酸(酢酸等)、アミン類(トリエチルアミン、トリメタノールアミン等)、窒素含有極性溶媒(N、N−ジメチルホルムアミド、ニトロメタン、N−メチルピロリドン等)、硫黄化合物類(ジメチルスルホキシド等)などを用いることができる。
これらのなかでも分散媒としては、水、アルコール、トルエン、アセトン、エーテルおよびそれらを組み合わせた溶媒を含有する分散媒であることが好ましい。水系溶媒が必要である場合、および後述するようにバインダーを用いる場合であって、そのバインダーが無機ポリマー系バインダーの場合には、水、アルコール類、アミン類などの極性溶媒が使用される。また、後述するようにバインダーとして常温で液状のものを用いる場合には、それ自体を分散媒として用いることもできる。
上記分散体における各成分の好ましい配合割合は、以下のとおりである。カーボンナノチューブ集合体の濃度は、0.01重量%以上、20重量%以下が好ましく、0.01〜10重量%がより好ましい。
分散剤の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは、0.01〜50重量%、より好ましくは、0.01〜30重量%である。上記分散剤とカーボンナノチューブ集合体の混合比は、特に限定はないが、分散剤/カーボンナノチューブ集合体の重量比で好ましくは0.1〜20、より好ましくは0.3〜10である。また本発明のカーボンナノチューブ集合体は、分散性に優れるため、いったん所望のカーボンナノチューブ含有量よりも高濃度の分散液を作製し、溶媒で薄めて所望の濃度として使用することも可能である。
このようなカーボンナノチューブ集合体の分散液を調製後、基材上に塗布することで導電性フィルムを形成することができる。カーボンナノチューブ集合体の分散液を塗布する方法は特に限定されない。公知の塗布方法、例えば吹き付け塗装、浸漬コーティング、スピンコーティング、ナイフコーティング、キスコーティング、グラビアコーティング、スクリーン印刷、インクジェット印刷、パット印刷、他の種類の印刷、またはロールコーティングなどが利用できる。また塗布は、何回行ってもよく、異なる2種類の塗布方法を組み合わせても良い。最も好ましい塗布方法は、ロールコーティングである。
本発明においては、分散媒として樹脂を用い、カーボンナノチューブ集合体を分散させて分散体とすることもできる。この時、用いる樹脂には、特に制限が無く、熱可塑性樹脂および硬化性樹脂のいずれも使用することができる。熱可塑性樹脂とは、加熱により溶融成形可能な樹脂を言う。その具体例としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ゴム変性ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、酢酸セルロース樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリケトン樹脂、液晶ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。硬化性樹脂とは、加熱、放射線照射、触媒添加などの手段によって硬化され、実質的に不溶かつ不融性に変化し得る特性を持った樹脂である。その具体例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルテレフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フラン樹脂、ケトン樹脂、キシレン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂などが挙げられる。これらの硬化性樹脂は1種または2種以上を併用して用いることができる。また、樹脂の主成分が熱可塑性樹脂の場合、熱可塑性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の硬化性樹脂を添加することや、逆に主成分が硬化性樹脂の場合に硬化性樹脂の特性を損なわない範囲で少量の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。
樹脂に添加するカーボンナノチューブの量に関しても量は特に制限されない。通常は0.01〜50重量%、好ましくは0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。添加量が多すぎると、ベースとなる樹脂の特性が失われることがあるので、カーボンナノチューブの添加量は少ないほど良い。
カーボンナノチューブを樹脂中に分散させる方法に特に制限は無い。具体的な方法として、樹脂を溶媒に溶解させ、樹脂溶液とした状態でカーボンナノチューブを添加して攪拌および混合して分散させた後、溶媒を除去する方法、熱可塑性樹脂を加熱溶融した状態でカーボンナノチューブを添加し、ミキサーやニーダー、押出機などの溶融混練機で分散させる方法、硬化性樹脂の場合では硬化前のモノマーやプレポリマーの状態にカーボンナノチューブを添加して攪拌および混合して分散させ、次いで樹脂を硬化させる方法、モノマー中にカーボンナノチューブを添加し攪拌および混合して分散させ、次いで重合させる方法など、いずれの方法でも良い。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例中、各種物性評価は以下の方法で行った。
[熱分析]
約10mgの試料を示差熱分析装置(島津製作所製 DTG−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から900℃まで昇温した。そのときのDTA曲線から発熱による燃焼ピーク温度を読みとった。
<実施例1>
(軽質マグネシアへの金属塩の担持)
クエン酸アンモニウム鉄(和光純薬工業社製)5gをメタノール(関東化学社製)250mLに溶解した。この溶液に、軽質マグネシア(和光純薬工業社製、かさ密度は0.16g/mLであった)を50g加え、超音波洗浄機で60分間処理し、40℃から60℃で攪拌しながら乾燥してメタノールを除去し、軽質マグネシア粉末に金属塩が担持された固体触媒を得た。
(2層カーボンナノチューブの合成)
図2に示した縦型反応器でカーボンナノチューブを合成した。
反応器100は内径32mm、長さは1200mmの円筒形石英管である。中央部に石英焼結板101を具備し、石英管下方部には、不活性ガスおよび原料ガス供給ライン102、上部には廃ガスライン104および、触媒投入ライン105を具備する。さらに、反応器を任意温度に保持できるように、反応器の円周を取り囲む加熱器107を具備する。加熱器107には装置内の流動状態が確認できるよう点検口108が設けられている。また、流動床の温度が把握できる様、流動床形成部に熱電対106を配する。
触媒12gを取り、触媒投入ライン105を通して、石英焼結板101上に触媒をセットした。次いで、原料ガス供給ライン102から窒素ガスを1000mL/分で供給開始した。反応器内を窒素ガス雰囲気下とした後、温度を900℃に加熱した(昇温時間30分)。
900℃に到達した後、温度を保持し、原料ガス供給ライン102の窒素流量を2000mL/分に上げ、石英焼結板上の固体触媒の流動化を開始させた。加熱炉点検口108から流動化を確認した後、さらにメタンを95mL/分(メタン濃度4.5vol%)で反応器に供給開始した。該混合ガスを30分供給した後、窒素ガスのみの流通に切り替え、合成を終了させた。
加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から触媒とカーボンナノチューブ集合体を含有する組成物を取り出した。上記操作を繰り返し、得られたカーボンナノチューブ集合体を以下の工程に供した。
得られたカーボンナノチューブ集合体を前記の方法で熱分析した。燃焼ピーク温度は511℃であった。
(カーボンナノチューブ集合体の焼成、精製処理)
カーボンナノチューブ集合体90gを磁性皿(150φ)に取り、マッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、500℃まで1時間で昇温し、300分保持した後、自然放冷した。さらに、上記のカーボンナノチューブから触媒を除去するため、次のように精製処理を行った。カーボンナノチューブを6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で2時間攪拌した。孔径1μmのフィルターを用いてろ過して得られた回収物を、さらに6Nの塩酸水溶液に添加し、80℃のウォーターバス内で1時間攪拌した。これを孔径1μmのフィルターを用いてろ過し、数回水洗した後、ろ過物を120℃のオーブンで一晩乾燥することでマグネシアおよび金属を除去でき、カーボンナノチューブを精製することができた。
(カーボンナノチューブ集合体の熱分析)
約10mgの試料を示差熱分析装置(島津製作所製 DTG−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から500℃まで昇温した。その後、4時間温度を保持し、保持始めから3時間経過した重量減量を読みとった所、2.5重量%であった。
(カーボンナノチューブ集合体分散液調製)
50mLの容器に上記カーボンナノチューブ集合体10mgおよびポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(アルドリッチ社製、30重量%、重量平均分子量20万)100mgを量りとり、蒸留水10mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力25W、20分間分散させカーボンナノチューブ集合体分散液を製造した。得られた液を遠心分離機にて3000G、15分遠心処理した。その後、孔径1μmのフィルターを用いてろ過し、得られたろ過物を120℃乾燥機にて乾燥した。ろ過物の重量を測ったところ、0.2mgであり、高度にカーボンナノチューブを分散させることができた。また、同様の試験を3回繰り返したところ、ろ過物の残量は0.22、0.19、0.25mgであり、実施例1に示した通り、高度に再現性良くカーボンナノチューブを分散することができた。
<比較例1>
(カーボンナノチューブ集合体の焼成、精製処理)
実施例1記載の方法でカーボンナノチューブを合成し、実施例1同様、カーボンナノチューブの集合体90gを磁性皿(150φ)に取った。マッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、500℃まで1時間で昇温し、120分保持した後、自然放冷した。さらに、上記のカーボンナノチューブから触媒を除去するため、実施例1記載の方法で精製処理を行った。
(カーボンナノチューブ集合体の熱分析)
約10mgの試料を示差熱分析装置(島津製作所製 DTG−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から500℃まで昇温した。その後、4時間温度を保持し、保持始めから3時間経過した重量減量を読みとった所、40重量%であった。
(カーボンナノチューブ集合体分散液調製)
50mLの容器に上記カーボンナノチューブ集合体10mgおよびポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(アルドリッチ社製、30重量%、重量平均分子量20万)100mgを量りとり、蒸留水10mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力25W、20分間で氷冷下15分間分散させカーボンナノチューブ集合体分散液を製造した。得られた液を遠心分離機にて3000G、15分遠心処理した。その後、孔径1μmのフィルターを用いてろ過し、得られたろ過物を120℃乾燥機にて乾燥した。ろ過物の重量を測ったところ、9.1mgであり、ほとんど分散させることができなかった。
<比較例2>
(カーボンナノチューブ集合体の焼成、精製処理)
実施例1記載の方法でカーボンナノチューブを合成し、実施例1同様、カーボンナノチューブの集合体90gを磁性皿(150φ)に取った。マッフル炉(ヤマト科学社製、FP41)にて大気下、500℃まで1時間で昇温し、180分保持した後、自然放冷した。さらに、上記のカーボンナノチューブから触媒を除去するため、実施例1記載の方法で精製処理を行った。
(カーボンナノチューブ集合体の熱分析)
約10mgの試料を示差熱分析装置(島津製作所製 DTG−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から500℃まで昇温した。その後、4時間温度を保持し、保持始めから3時間経過した重量減量を読みとった所、30重量%であった。
(カーボンナノチューブ集合体分散液調製)
50mLの容器に上記カーボンナノチューブ集合体10mgおよびポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(アルドリッチ社製、30重量%、重量平均分子量20万)100mgを量りとり、蒸留水10mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力25W、20分間で氷冷下15分間分散させカーボンナノチューブ集合体分散液を製造した。得られた液を遠心分離機にて3000G、15分遠心処理した。その後、孔径1μmのフィルターを用いてろ過し、得られたろ過物を120℃乾燥機にて乾燥した。ろ過物の重量を測ったところ、5.2mgであり、高度に分散させることができなかった。
<実施例2>
(カーボンナノチューブ集合体の焼成、精製処理)
実施例1記載の方法でカーボンナノチューブを合成した。合成後、反応器から触媒とカーボンナノチューブ集合体を含有する組成物を取り出さず、原料ガス供給ライン104から空気を1000mL/分で供給開始した。電気炉温度を500℃に設定し加熱した(昇温時間15分)。500℃到達後、流動床内部温度が540℃程度あったため、500℃設定のまま、流動床温度が低下するのを待った。13分経過後、温度が徐々に低下し始めたので、電気炉温度を流動床内温度が560℃を超えない範囲で、段階的に550℃に昇温した。昇温開始から90分後、炉と流動床温度に差が無くなった。焼成が終了したと判断し、実施例1と同様、加熱を停止させ室温まで放置し、室温になってから反応器から触媒とカーボンナノチューブ集合体を含有する組成物を取り出した。上記操作を繰り返し、得られたカーボンナノチューブ集合体を以下の工程に供した。
得られたカーボンナノチューブ集合体を前記の方法で熱分析した。燃焼ピーク温度は651℃であった。
(カーボンナノチューブ集合体の熱分析)
約10mgの試料を示差熱分析装置(島津製作所製 DTG−60)に設置し、空気中、10℃/分の昇温速度にて室温から500℃まで昇温した。その後、4時間温度を保持し、保持始めから3時間経過した重量減量を読みとった所、2.1重量%であった。
(カーボンナノチューブ集合体分散液調製)
50mLの容器に上記カーボンナノチューブ集合体10mgおよびポリスチレンスルホン酸ナトリウム水溶液(アルドリッチ社製、30重量%、重量平均分子量20万)100mgを量りとり、蒸留水10mLを加えて、超音波ホモジナイザー出力25W、20分間で氷冷下15分間分散させカーボンナノチューブ集合体分散液を製造した。得られた液を遠心分離機にて3000G、15分遠心処理した。その後、孔径1μmのフィルターを用いてろ過し、得られたろ過物を120℃乾燥機にて乾燥した。ろ過物の重量を測ったところ、0.1mgであり、高度にカーボンナノチューブを分散させることができた。
本発明によれば、カーボンナノチューブを含んだ集合体350から550℃で酸化処理し、この温度内で酸化する物質をほぼ完全に酸化除去することでカーボンナノチューブからなる集合体は極度に分散性が向上する。本カーボンナノチューブ集合体を使用することで、高度に分散されたカーボンナノチューブが容易かつ再現性よく取得することができ、ナノ効果が期待される分野での製品開発を効果的に実施することができる。
本発明の焼成操作で用い得る流動床装置の一例を示す概略図である。 本発明の実施例で用いた流動床装置を示す概略図である。
符号の説明
100 反応器
101 石英焼結板
102 不活性ガスおよび原料ガス供給ライン
103 空気供給ライン
104 排ガスライン
105 触媒投入ライン
106 熱電対
107 加熱器
108 流動化点検口

Claims (8)

  1. 炭素不純物を含む粗カーボンナノチューブ集合体を、温度500℃空気雰囲気下で3時間放置した際の重量減が5重量%以下となるまで酸化処理することを特徴とするカーボンナノチューブの集合体の製造方法。
  2. 担体に鉄を担持した粉末状の触媒を用い、メタンと前記触媒を500〜1200℃で接触させて合成した、粗カーボンナノチューブ集合体を、酸化処理することを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  3. 前記酸化処理が、酸素と不活性ガスの混合ガス中で加熱して酸化処理するものであって、混合ガス中の酸素濃度が、0.1容量%から50容量%である請求項1または2記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法
  4. 酸化処理温度が350から550℃である請求項1〜3のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法
  5. 前記粗カーボンナノチューブ集合体が、担体に触媒を担持させた粉末状の触媒上にカーボンナノチューブを形成させた粗カーボンナノチューブ集合体である請求項1〜4のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  6. カーボンナノチューブの酸化装置が流動床である請求項1から5記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  7. カーボンナノチューブ集合体が分散体の製造に用いられるものである請求項1〜6のいずれか記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  8. 温度500℃空気雰囲気下で3時間放置した際の重量減が5重量%以下であるカーボンナノチューブの集合体。
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