JP2008024523A - カーボンナノチューブ分散液の製造方法およびそれを用いた導電性材料 - Google Patents

カーボンナノチューブ分散液の製造方法およびそれを用いた導電性材料 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明によれば、カーボンナノチューブが均一に分散された分散液を効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
【解決手段】基体上で成長したカーボンナノチューブに分散剤および溶媒を加えた後に基体からカーボンナノチューブを剥がす処理を行い、基体を分離することによって、溶媒中にカーボンナノチューブが均一に分散された液を得ることができる。前記分散剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ポリマーのいずれかもしくはこれらの組み合わせであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、カーボンナノチューブ分散液の製造方法に関するものであり、特に基体上で成長したカーボンナノチューブからカーボンナノチューブを剥がして溶媒中に分散させることによって得られるカーボンナノチューブ分散液の製造方法およびそれを用いた導電性材料に関する。
カーボンナノチューブ(以下、CNTという)は、実質的にグラファイトの1枚面を巻いて筒状にした形状を有しており、1層に巻いたものを単層CNT、2層に巻いたものを2層CNT、多層に巻いたものを多層CNTという。CNTはナノテクノロジーの有力な素材として、広範な分野で応用の可能性が検討されている。とりわけカーボンナノチューブは、自体が優れた真性の導電性を有することから導電性材料としての使用、例えば導電性フィルムや導電性樹脂コンポジットなどへの応用が検討されている。カーボンナノチューブをこれらの用途で使用するためにはカーボンナノチューブを溶媒に良好に分散させ、その分散液を基材表面に塗布あるいは材料自体と混合するることが有益であるが、一般にCNTは分散しにくいという問題があり、現状では分散が不完全なまま用いられていることが多い。特に、単層や2〜5層CNTのような層数が少ないCNTは凝集しやすく、分散が困難であった。これは、層数が少ないカーボンナノチューブはチューブ間のファンデルワールス力による凝集力が大きいためであると考えられている。
一方、CNT分散液を各種用途へ応用する際には、できるだけ少量の分散液添加で最大の効果を出すことが求められる。そのためには、層数が少なくかつ良好にCNTが分散した分散液を用いることが好ましい。このような分散液を用いることによってベースとなる材料本来の特性を損ねることなくCNTの添加効果を最大に発揮することが可能となる。
そこで、層数が少ないCNTに種々の界面活性剤を用いて分散させる検討が行われている(例えば特許文献1参照)。ここでは、いくつかの低分子界面活性剤を用いた水分散液を作製している。しかし、この検討で得られたCNT分散液は10000×gの遠心分離によって沈殿する程度の分散であり、本発明において目指している分散液とは異なる「不完全な」分散液である。
また、CNTに高分子型分散剤を添加することで分散させる検討も行われている。例えば、CNTを水に分散させるための分散剤として水溶性高分子ポリビニルピロリドン(PVP)が知られている(非特許文献1参照)。この報告によればPVPを分散剤に用いた水分散液を調製しているが、希薄なCNT水分散液しか調製されていない。
ここで、CNTの製造方法としては、アーク放電法やレーザー蒸発法、化学気相成長法などが知られており、中でもグラファイト層に欠陥の少ない高品質なCNTを安価に製造する方法として触媒化学気相成長法が知られている。さらに触媒化学気相成長法では、CNTの層数を、単層、2〜5層に制御して製造できることが知られている。触媒化学気相成長法は基体表面に担持させた金属触媒からCNTを成長させるため、合成直後のCNTは基体表面で比較的CNT間の距離が離れた状態で存在しており、凝集が少なく分離した状態を保っている。しかし、合成直後のCNTから基体や触媒金属を除去するための精製処理を行うことで、CNTが高密度に存在する状態となり、絡み合って凝集してしまう。このように一旦絡み合ったCNTを用いて分散液を調製する場合、絡み合ったCNTを十分にほぐすことは困難であった。そのため、用いたCNTを全て分散させることは難しく、CNTの一部のみが分散されて残りは凝集したままなので低濃度の分散液となり、収率が悪かった。また、合成直後のCNTを精製した後さらに分散させる工程を行うことは、工程数が増えて複雑となり、効率が悪くコストも増大する結果となっていた。これを解決するためには、絡み合っていない状態のCNTから分散液を調製することが望ましいが、これまでにそのようなCNT分散液を調整する方法は知られていなかった。
特表2004−534714号公報(国際公開第03/006725号パンフレット) Michael J. O’Connel et al. Chemical Physics Letters, 13 July 2001, 265-271
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたものであり、カーボンナノチューブが均一に分散された分散液を効率よく製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、基体上で成長したカーボンナノチューブに分散剤および溶媒を加えた後に基体からカーボンナノチューブを剥がす処理を行うことによって、溶媒中にカーボンナノチューブが均一に分散された液を得ることができることを見いだした。
すなわち、本発明は、下記の構成からなる。
(1)カーボンナノチューブ分散液の製造方法であって、基体上で成長したカーボンナノチューブに分散剤および溶媒を加えた後に基体からカーボンナノチューブを剥がす処理を行い、基体を分離することによってカーボンナノチューブ分散液を得ることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(2)前記分散剤が陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれかもしくはこれらの組み合わせであることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(3)前記分散剤がポリマーであることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(4)基体が粒子状であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(5)基体が平板状であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(6)基体が無機酸化物であることを特徴とする(4)または(5)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(7)カーボンナノチューブが金属触媒を担持させた基体と炭素含有化合物を接触させて得られることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(8)基体上に成長したカーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で観察したときに観察されるカーボンナノチューブの50%以上が単層であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(9)基体上に成長したカーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で観察したときに観察されるカーボンナノチューブの50%以上が2〜5層であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(10)基体からカーボンナノチューブを剥がす処理が物理的手段によるものであることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(11)前記物理的手段が超音波、またはビーズミルであることを特徴とする(10)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(12)基体の分離方法が遠心分離、または濾過であることを特徴とする(1)に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
(13)(1)から(12)のいずれか1項記載の製造方法によって得られたカーボンナノチューブ分散液を基材表面に塗布することによって得られる導電性材料。
(14)基材がフィルム、ガラス、繊維のいずれかである(13)に記載の導電性材料。
(15)(1)から(12)のいずれか1項記載の製造方法によって得られたカーボンナノチューブ分散液を混合することによって得られる導電性材料。
本発明によれば、カーボンナノチューブが均一に分散した分散液を効率よく得ることができる。この分散液は長期保存後も凝集することなく安定であり、任意の希釈を行っても再凝集することがないため、様々な分野への応用が可能である。特に、導電性フィルムを得るために基材表面へ塗布するための塗布液として非常に優れている。
本発明では基体上で成長したカーボンナノチューブを用いる。基体上で成長したカーボンナノチューブとは、基体表面でカーボンナノチューブの合成反応が起こってカーボンナノチューブが成長し、それが基体から離れることなく留まっている状態であるものを指す。この状態は一般にas grown CNTと呼ばれている。ただし、CNTが基体から離れなければ、本発明の製造方法を実施する前に何らかの処理が行われていてもよい。例えば、CNTが燃焼しない程度の低温、例えば350〜400℃で酸化条件下で加熱することによってアモルファスカーボンを酸化除去させることは、基体からCNTが離れる処理ではないので実施してもかまわない。このようなカーボンナノチューブは基体表面で比較的CNT間の距離が離れた状態で存在しており、凝集が少なく分離した状態を保っている。この状態のカーボンナノチューブを用いることで、カーボンナノチューブ同士が凝集することなく、均一な分散液を効率よく得ることが出来る。
このようなカーボンナノチューブを得るための好ましい方法として、グラファイト層に欠陥の少ない高品質なカーボンナノチューブを製造する方法である触媒化学気相成長法(化学気相成長法の中で基体に遷移金属を担持した触媒を用い炭素含有ガスと接触させる方法)がある。カーボンナノチューブは、アーク放電法、レーザー蒸発法でも合成できるが、基体に触媒金属を担持させて触媒金属の凝集を防ぐことで細く層数が少ないカーボンナノチューブが得られやすいという点で、触媒化学気相成長法で合成する方法がもっとも好ましく用いられる。
このときに用いられる基体の形状はどのようなものであってもよいが、粒子状あるいは平板状が好ましい。粒子状基体は一般に担体と呼ばれることもあり、平板状基体は一般に基板と呼ばれることもある。粒子状であると触媒金属を担持させるための基体の表面積を大きくすることができてカーボンナノチューブを成長させるための反応効率がよくなるために好ましい。好ましい粒子状基体のサイズとしては、0.01〜300μmであり、さらに好ましくは0.1〜100μmであり、さらに好ましくは0.5〜30μmである。また、平板状基体もまた好ましい形態である。平板状であると、カーボンナノチューブが成長する方向を制御できるために絡み合いの少ないカーボンナノチューブ組成物を得ることができる。
また、基体上で合成されたCNTを用いて本発明の製造方法を行う前に、アモルファスカーボンのような不純物を除去することが望ましい。アモルファスカーボンの除去方法としては、気相または液相中で酸化剤と接触させることによる選択的酸化除去が考えられるが、CNTが基体から離れない状態を保つためには気相中での酸化反応が望ましい。望ましいアモルファスカーボンの除去方法として、CNTが燃焼しない程度の低温、例えば350〜400℃で酸化条件下で加熱することによってアモルファスカーボンを酸化除去させる方法が挙げられる。
基体の材質としては反応温度に耐えられるものであれば特に限定はなく、例えば無機酸化物やシリコン、金属などが挙げられる。中でもシリカ、アルミナ、ゼオライト、マグネシア、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物が好ましい。特に1〜5層カーボンナノチューブを多く得ることができる点からゼオライトまたはマグネシアを用いることが好ましい。
上記カーボンナノチューブ組成物の製法の好ましい例として、国際公開03/68676号パンフレットに示されているように、担体としてY型ゼオライトを用い、炭素含有ガスとしてエタノールを用いることによって単層カーボンナノチューブが50%以上、さらには80%以上含まれるカーボンナノチューブ組成物を得ることができる。また、他の好ましい例として、特開2004−123505号公報に記載されているように、金属成分として、鉄、コバルトを担持したチタノシリケートなどのメタロシリケートを固体触媒として用い、炭素源として、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、エチレン、プロピレンもしくはアセチレン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレン、あるいは混合物等の非芳香族炭化水素(特に好ましくは、アセチレン、メタノール、エタノール、エチレンなど)を用い、800〜900℃で固体触媒と炭素源を接触させてカーボンナノチューブを形成する方法により2〜5層カーボンナノチューブが50%以上、さらには80%以上含まれるカーボンナノチューブ組成物を得ることができる。一般に導電性材料を得るためにCNTを用いる場合、層数が少ない方が使用量に対する効果が大きいと考えられていることから、できるだけ層数が少ないCNT、すなわち1〜5層を多く含むカーボンナノチューブを用いることが好ましい。しかし、単層カーボンナノチューブは表面同士のファンデルワールス力による引力が非常に強く、バンドルを完全にほぐした状態で高濃度で存在することが難しい。一方、2層以上のCNTは単層CNTと比較するとバンドルを組みにくく、かつ表面が酸化されても内部のカーボンナノチューブが守られるなど導電性においても優れていることから、2〜5層カーボンナノチューブを多く含む組成物を用いる方が特に好ましい。
カーボンナノチューブの層数は次の方法により決定することができる。高分解能透過型電子顕微鏡でカーボンナノチューブの層数が観察できる倍率、例えば倍率200万倍で観察したとき、複数視野から任意に100本のカーボンナノチューブを選択して層数を調べたときの比率がそのカーボンナノチューブ組成物の層数であると見なす。例えば、2〜5層が50%以上含まれるとは、前記方法により2〜5層が100本中50本以上観察されることを意味する。このとき、ある視野で観察される2本のカーボンナノチューブが視野外でつながっていて実質的に1本である場合も考えられるが、視野上でつながって見えなければ2本であるとみなすものとする。
カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/直径)は高いほど好ましく、10以上であることが効率的に導電性を発現でき好ましい。好ましくは50以上であり、さらに好ましくは100以上である。
本発明においてカーボンナノチューブが分散されているとは、分散液内でCNTが均一に分布しており、目視で判別できる程度の凝集物がないことに加え、分散液を高速遠心機を用いて1000G、15分間遠心したときに分散液に含まれているカーボンナノチューブの90重量%以上が沈降せずに溶媒中に存在する状態であることを意味する。この状態を達成しているカーボンナノチューブは溶媒中で非常に良好に分散された状態であると見なすことが出来る。例え、CNTが溶媒中で均一に存在していても目視あるいは光学顕微鏡400倍レベルで凝集物が見られたり、上記遠心力で分散液に含まれるカーボンナノチューブが10%を越えて沈降する場合は、本発明でいうところの分散されている状態とは見なさない。本発明の方法で製造された分散液中のカーボンナノチューブは1本1本単独で存在しても良いし、数本以上が集まって束になった状態(バンドル状態)で存在しても良い。本発明によって得られるCNT分散液は非常に安定であり、25℃で2週間保存後にも沈殿や凝集は見られない。
分散液中のカーボンナノチューブの濃度は次のようにして求めることが出来る。すなわち、一定量、例えば10mlの分散液から濾過、蒸発乾固などによって溶媒を除去し、分散剤を大気中350℃30分で加熱することにより焼失させてカーボンナノチューブのみを回収し、その重量を秤量する。これを先の分散液の体積で除することによってカーボンナノチューブの濃度を求めることができる。
本発明によると、任意の濃度のカーボンナノチューブ分散液を得ることができるが、特に従来調製が困難であった高濃度分散液を得ることができる。具体的には上記方法で求めた分散液濃度が1g/L以上であることが好ましく、さらに好ましくは4g/L以上であり、さらに好ましくは7g/L以上である。分散液濃度の好ましい上限としては、100g/L以下であり、さらに好ましくは50g/L以下であり、さらに好ましくは30g/L以下である。このような高濃度かつ均一な分散液を調製することにより、他の材料へ分散液を添加する場合においてもより少ない添加量で済むため、ベース材料の特性を損ねることなく導電性などの必要な機能を付与することができ、好都合である。また、高濃度の分散液を調製することにより、従来と比較して分散液の製造や保管にかかるコストが少なくて済むため、産業上のメリットも大きい。
本発明の方法で得られたカーボンナノチューブ分散液は従来の方法で得られる分散液と比較して高濃度で調製することができるため、目的に応じて適宜希釈して使用することもできる。例えば、本発明の方法で得られた分散液を分散媒と同じ溶媒で10倍に希釈した希釈液もまた本発明の方法で得られた分散液と同様に安定であり、2週間保存後にも沈殿や凝集は見られない。そのため、例えば、フィルム上に本分散液を塗布して導電性フィルムを作製するときに、濃度および塗布膜厚を調製することにより容易に表面抵抗値が10Ω/sq.から1010Ω/sq.の任意の範囲となる導電・静電性を付与することが可能である。
本発明の分散液を製造する際、カーボンナノチューブを基体から剥がす処理を行う必要があるが、その方法には特に制限はなく、物理的処理または化学的処理により行うことが出来る。例えば物理的処理としては、溶媒中での掻き取り、超音波(超音波バス、超音波ホモジナイザー)、慣用の湿式粉砕法(例えばボールミル法、ビーズミル法、高圧ジェット法、薄膜旋回方式など)による衝撃によって基体からカーボンナノチューブを剥がす方法を採ることができる。中でも超音波ホモジナイザーやビーズミルを用いることが、基体からカーボンナノチューブを剥がす効率がよいために好ましい。また、化学的処理としては、酸を用いて触媒金属を溶解させて基体とカーボンナノチューブを切り離すことで、カーボンナノチューブのみを溶媒中に分散させて回収する方法を例示することができる。
本発明では、基体からカーボンナノチューブを剥がす処理を行う際に分散剤を添加する。分散剤としては、界面活性剤が好ましい。界面活性剤の種類としては、一般に用いられる非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤のどのようなものであってもよい。例えば非イオン性界面活性剤としては、特に制限されないが、具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニル エーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレントリデシ ルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アミノポリオキシエチレン、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステア レート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ナフトールエチレンオキシド付加物、アセチレングリコールエチレンオキシド付加物、ビスフェノールAエ チレンオキシド付加物、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げら れる。陰イオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩類、アルキル硫酸エステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルス ルホコハク酸塩類、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレン アルキルアリール硫酸エステル塩類、アルカンスルホン酸塩類、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類、N −メチル−N−オレオイルタウリン酸塩、α―オレフィンスルホン酸塩類などが挙げられる。陽イオン性界面活性剤および両性界面活性剤としては、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類、アルキルベタイン類、アミノキサイド類が挙げられる。中でもCNTの分散性に優れていることから、非イオン性界面活性剤であるポリオキシエチレンフェニルエーテル類が好ましく用いられる。
また、他の好ましい分散剤としてポリマーが挙げられる。ポリマーの種類としては、目的の溶媒に溶解してCNTを分散させることができれば種類は問わないが、アミド結合を有するもの、エステル結合を有するもの、酸性あるいは塩基性官能基を有するものなどが挙げられ、具体的にはポリペプチド、多糖類、核酸、共役系ポリマーなどが挙げられるが、好ましくはアミド結合を有するもの、特に環状アミド構造を有するポリマーを用いるのが好ましい。このような構造を有するポリマーであればどのようなものでもよいが、本発明の効果を特に顕著に発現しうる点で、ピロリドン骨格を有するポリマーが好ましく、特に、ポリビニルピロリドン(PVP)がよい。PVPは、CNT表面に吸着し、カーボンナノチューブを包むいわゆるラッピング効果を有することから、CNTの凝集を防止することができる。PVPの分子量は特に限定されるものではないが、一般には1万〜200万がよい。CNTの分子量が非常に大きいため、PVPの分子量が小さすぎると十分にCNTをラッピングすることができないし、分子量が大きすぎると溶媒中におけるPVPの分子運動が低下し、十分にCNTをラッピングすることができない。
分散剤の配合割合としては、CNTを分散させることができれば特に限定させるものではないが、好ましくは分散液の重量に対して0.01重量%から20重量%、より好ましくは0.02重量%から10重量%である。また、CNTに対する分散剤の割合も適宜定めることができるが、CNT重量に対し、1/10倍量から100倍量を添加することが好ましい。CNTに対する分散剤の割合が少なすぎると十分な分散果が得られずにCNTが凝集してしまうし、割合が多すぎると、例えば分散液を基材表面へ塗布したときにCNTが分散剤に埋もれてしまい、十分な導電性を発現することができなくなる。
本発明で用いる溶媒に特に制限はないが、使用可能な例として、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、アミルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどの極性アミド系極性有機溶媒、トルエン、キシレンなどの炭化水素類などが挙げられる。これらは1種類のみを用いても良いし2種類以上を混合しても良い。また、酸や塩基、あるいは塩を加えることも適宜行われる。より好ましくは、安全性や入手容易性、さらに特に分散剤存在下での基体から剥がされたカーボンナノチューブの分散性が顕著に良好である点から、水、アルコール類、アミド系極性有機溶媒またはこれらの混合物を挙げることができる。
本発明の方法によって分散液を製造する際、カーボンナノチューブが剥がれた後の基体を分離する必要がある。通常はデカンテーション、遠心分離、フィルター濾過などによって基体、さらには未分散の凝集物を除去することが好ましい。例えば、液を遠心分離することによって、カーボンナノチューブが剥がれた基体、未分散のカーボンナノチューブやカーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある金属触媒などは沈殿するので、遠心上清を回収すれば液中に分散しているカーボンナノチューブを液の形で採取することができる。基体、未分散のカーボンナノチューブおよび、不純物などは沈殿物として除去することができ、それによって、カーボンナノチューブの再凝集を防止でき、液の安定性を向上することができる。さらに、強力な遠心力においては、カーボンナノチューブの太さや長さによって分離することもできる。
遠心分離する際の遠心力は、基体が分離できればよいが、100G以上の遠心力であればよく、好ましくは、1000G以上、より好ましくは10,000G以上である。上限としては特に制限はないが、汎用超遠心機の性能より200,000G以下であることが好ましい。
また、フィルター濾過に用いるフィルターは、孔径0.05μmから10μmの間で適宜選択することができる。それにより、基体、未分散のカーボンナノチューブや、カーボンナノチューブ合成時に混入する可能性のある不純物等のうち比較的サイズの大きいものを除去することができる。
このようにサイズ分画する場合においては、この分画される量を見越して、サイズ分画後の組成が上記範囲となるように調製する。サイズ分画前のカーボンナノチューブの配合割合の決定は、遠心分離後の沈殿物やフィルター上に残った分画物を乾燥させた後、350℃で30分焼成した後秤量し、カーボンナノチューブの濃度を算出する方法により行われる。このようなサイズ分画の結果、カーボンンナノチューブの長さや、層数、その他性状等バンドル構造の有無などでカーボンナノチューブを分離することができる。
本発明の方法によって得られたカーボンナノチューブ分散液は、さまざまな用途に用いることができる。例えば、フィルム、ガラス、繊維などの基材表面に塗布することによって、それらの基材の表面に導電性、静電性を付与させることができる。用いる基材としては、透明、不透明あるいは非着色、着色、さらに平面上や棒状、糸状のいずれも使用できる。特に、本発明の分散液は塗布後の透明性に優れており、基材の透明性を低下させることなく導電性、静電性を付与できるので、透明基材に適用することが好ましい。また、カーボンナノチューブ分散液を塗布した基材の透明性はUV・可視分光光度計で波長550nmの光透過率を測定することにより評価することができる。具体的には、基材の波長550nmの光透過率を100%としたときにカーボンナノチューブ分散液を塗布したフィルムの透過率を測定することによって決定することができる。透明基材として好ましい光透過率は80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
透明基材への適用以外にも例えば、クリーンルームなどの床材や壁材にコーティングすれば帯電防止床壁材として使用できるし、繊維に塗布すれば帯電防止衣服やマット、カーテンなどとして使用できる。
また、基材表面への塗布のみならず、導電性を持たない材料、例えば有機高分子(樹脂)や無機粒子と分散液を混合することにより、該材料全体に導電性、静電性を付与することもできる。
上記のような用途に用いる際、カーボンナノチューブ分散液には、必要に応じて各種界面活性剤、有機もしくは無機バインダー、カップリング剤、架橋剤、安定化剤、沈降防止剤、着色剤、電荷調製剤、滑剤などの添加物を配合することができ、それらの種類、量について特に制限はない。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
<参考例1>
酢酸第1鉄(アルドリッチ社製)0.01gと酢酸コバルト4水和物(ナカライテスク社製)0.21gとをエタノール(ナカライテスク社製)40mLに加え、超音波洗浄機で10分間懸濁した。この懸濁液に結晶性チタノシリケート粉末(エヌイーケムキャット社製“ チタノシリケート”)(TS−1)2.0gを加え、超音波洗浄機で10分間処理し、60℃の恒温下でメタノールを除去することにより、TS−1の結晶表面に上記酢酸金属塩を担持した固体触媒を得た。
内径32mmの石英管中央部の石英ボート上に、上記で調製した固体触媒1.0gをとり、アルゴンガスを600cc/分で供給した。石英管を電気炉中に設置して、中心温度を800℃に加熱した(昇温時間30分)。800℃になったところで、高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を5cc/分で30分間供給した後、アセチレンガスの供給をやめ、温度を室温まで冷却し、ゼオライト上で成長したカーボンナノチューブを取り出した。得られたカーボンナノチューブ1gを電気炉に入れ大気雰囲気で400℃(昇温時間40分)に加熱した。400℃で60分保持した後、室温まで冷却した。
上記のようにして得たカーボンナノチューブ組成物を高分解能透過型電子顕微鏡で倍率200万倍で観察した。複数視野から任意に選択した100本のカーボンナノチューブの層数を調べたところ、2〜5層CNTが92本であった。
さらに上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から700℃まで昇温したところ、700℃到達地点での重量減少は3.5重量%であった。
<参考例2>
Y型ゼオライト(HSZ−390HUA(東ソー(株)製:シリカ/アルミナ比=約400))約1g、酢酸鉄(Fe((CHCOO)Fe)及び酢酸コバルト((CHCOO)Co・4HO)を準備した。鉄及びコバルトがそれぞれ2.5wt%となるように、エタノール20cm中に溶解し、さらにY型ゼオライトを混合した。その後得られたものを10分間超音波にかけ、80℃で24時間乾燥させて、黄白色粉末の触媒を得た。前記黄白色粉末の触媒0.5gを石英ボートの上にのせ、電気炉内の石英チューブ内に設置した。電気炉内を900℃に昇温するまでの間(約30分間)、石英チューブ(内径27mm)内をAr雰囲気下にした。具体的には、Arガスを200sccmで流入させ た。900℃に達した後、石英チューブ内を真空にし、その後約10分間、その温度を維持しつつ、エタノール雰囲気下にした。なお、この際のエタ ノール圧は5〜10Torr(0.67〜1.3kPa)であり、真空ポンプによって100〜300sccmの流れを作った。この流れは、時間当たりのエタ ノールの減量から計算できる。次いで、降温して、ゼオライト上に成長したカーボンナノチューブを得た。これを参考例1と同様に、電気炉で350℃60分加熱した。このカーボンナノチューブ組成物について参考例1と同様に層数を数えたところ、単層CNTが94本であった。
さらに上記のカーボンナノチューブを含有する組成物を島津製作所の熱分析装置DTG−50で大気30ml/分の気流下で昇温速度10℃/分で室温から700℃まで昇温したところ、700℃到達地点での重量減少は2.0重量%であった。
<参考例3>
20gのテトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド(TPAOH)の20〜25%水溶液(東京化成社製20〜25%水溶液)に、0.28gの水酸化ナ トリウム(片山化学社製試薬1級)を添加して攪拌した。さらに、それに5gのヒュームドシリカ(アルドリッチ)を添加し、80℃に加熱し透明な水溶液を得 た。これをオートクレーブに入れて125℃で8時間加熱し、シリカライトの微粒子(平均粒径約80nm)を得た。これに、蒸留水を加えて0.05wt%シリカライト含有のシリカライトコロイドとした。
他方、一辺が1.4cmの正方形で厚さ3mmのα−アルミナの多孔質支持体(日本碍子社製のセラミックス膜(100mm×100mm×3mm)をこの大き さに切断したもの:片面のみアルミナ微粒子を厚さ約50μm分コーティングされたもの、平均細孔径は0.1μm)を乳酸(片山化学製、特級)液中に5分間 浸した。その後、支持体を取り出し微粒子のアルミナがコーティングされた面を上にしてペーパータオルに乗せ、支持体表面から支持体内部に乳酸が染み込み、表面からその液滴が消失するまで放置した。次に上記シリカライトコロイドゾル0.24gをなるべく均一に滴下してコーティングした。室温で風乾した後、550℃で3時間焼成した。さらにこの支持体を40SiO2 :12TPAOH(テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド):430H2 Oの組成のゾル約20gの中に20分間浸した後取り出し、乾燥空気下で24時間放置した。これを150℃で24時間、 水蒸気に曝した。水洗、乾燥後、550℃で24時間焼成し、膜状ゼオライトを得た。
酢酸第一鉄(アルドリッチ社製)0.08gと酢酸コバルト(ナカライテスク社製)0.11gをエタノール(ナカライテスク社製)7mlに溶解した液に、膜状ゼオライトを30分間含浸させ、60℃で乾燥した。内径30mmの石英管の中央部の石英プレート上に金属塩を担持した膜状ゼオライトを置き、アルゴンを60ml/分 で供給した。石英管を電気炉中に設置して中心温度を800℃に加熱した。30分放置後、超高純度アセチレンガス(高圧ガス工業製)を0.5ml/分で30分間 供給した後、アセチレンガスの供給を止め、温度を室温まで冷却した後、表面にカーボンナノチューブが堆積したゼオライト膜を取り出した。このカーボンナノチューブ組成物について参考例1と同様に層数を数えたところ、6層以上の多層が70%であった。
<実施例1>
50mlの容器に参考例1で得たカーボンナノチューブ組成物3g、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)0.1g、N-メチルピロリドン(NMP)30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。この液を高速遠心機を用いて1000G、15分遠心後上清を取り出して担体と分離することにより、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成し界面活性剤を消失させた。焼成後の重量は28mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は2.8g/Lであった。
また、この分散液を25℃で2週間放置後、上澄みをデカンテーションして沈殿の有無を調べたが、沈殿はほとんど見られなかった。
<実施例2>
50mlの容器に参考例2で得たカーボンナノチューブ組成物3g、ポリオキシエチレンフェニルエーテル(アイ・シー・エヌ社製)60mg、蒸留水30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。この液を高速遠心機を用いて1000G、15分遠心後上清を取り出して担体と分離することにより、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成し界面活性剤を消失させた。焼成後の重量は9mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は0.9g/Lであった。
また、この分散液を25℃で2週間放置後、上澄みをデカンテーションして沈殿の有無を調べたが、沈殿はほとんど見られなかった。
<実施例3>
50mlの容器に参考例3で得たカーボンナノチューブ堆積膜状ゼオライト5枚、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)0.1g、イソプロパノール30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理した。この液から膜状ゼオライトをピンセットで取り出し、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成し界面活性剤を消失させた。焼成後の重量は6mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は0.6g/Lであった。
また、この分散液を25℃で2週間放置後、上澄みをデカンテーションして沈殿の有無を調べたが、沈殿はほとんど見られなかった。
<実施例4>
参考例1で得たカーボンナノチューブ組成物50gにポリビニルピロリドンK15(東京化成製)2g、イソプロパノール500mlを加えてスターラーバーで攪拌し、懸濁させた。この液を50μmのジルコニア製ビーズを充填したビーズミル装置(寿工業(株)製UAM-015)で送液量140ml/分で30分処理した。この液を高速遠心機を用いて1000G、15分遠心後上清を取り出して担体と分離することにより、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液を光学顕微鏡400倍で観察すると凝集物は全く確認できず、1000Gで15分間遠心しても沈殿は生じなかった。
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成し界面活性剤を消失させた。焼成後の重量は33mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は3.3g/Lであった。
また、この分散液を25℃で2週間放置後、上澄みをデカンテーションして沈殿の有無を調べたが、沈殿はほとんど見られなかった。
<実施例5>
実施例4で得られたカーボンナノチューブ分散液をポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ(株)社製(ルミラー U36)、光透過率91.3%)上にバーコーター(No.8)を用いて塗布し、80℃乾燥機内で乾燥させカーボンナノチューブを固定化した。得られた塗布フィルムはムラなく均一であり、表面抵抗値は3×10Ω/sq.、基材の透過率を100%としたときの透過率は88%であり、高い導電性および透明性を示した。なお、表面抵抗値はJISK7149準処の4端子4探針法を用いロレスタEP MCP−T360((株)ダイアインスツルメンツ社製)を用いて測定した。光透過率は分光光度計(日立製作所U-2001)の550nmでの光透過率を測定した。
<比較例1>
参考例1で得たカーボンナノチューブ組成物3gを濃度2.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液200mL中に投入後、80℃に保持しながら5時間撹拌した。その後、孔径1μmのメンブレンフィルターで吸引濾過し、固液分離した。得られた固形物を蒸留水1Lで洗浄後、濃度5.1mol/Lの塩酸50mL中に投入し、80℃に保持しながら2時間撹拌した。その後、孔径1μmのメンブレンフィルターを用いて固形物を分離した。濾紙上の固形物を、蒸留水500mLで洗浄後、60℃で乾燥した。乾燥後のカーボンナノチューブ精製物は90mgであった。
50mlの容器に上記工程で得られたカーボンナノチューブ精製物90mg、ポリビニルピロリドンK15(東京化成製)90mg、N-メチルピロリドン(NMP)30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理し、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液は目視で一部凝集物が観察された。また、1000Gで15分間遠心すると20重量%のカーボンナノチューブが沈殿した。
上記の分散液10mlをサンプリングし秤量した後、液を乾燥させ、350℃で30分焼成し界面活性剤を消失させた。焼成後の重量は19mgであったことから、このカーボンナノチューブ分散液の濃度は1.9g/Lであった。これは、実施例1で得られた分散液と比較すると濃度が低い結果となった。
<比較例2>
50mlの容器に参考例1で得られたカーボンナノチューブ3g、イソプロパノール30mlを加えて、超音波ホモジナイザー出力240W、30分間で氷冷下分散処理し、目的のカーボンナノチューブ分散液を得た。この分散液は目視で多くの凝集物が観察された。
さらにこの分散液を1000G、15分間遠心すると、カーボンナノチューブは全て沈殿してしまった。
本発明によれば、CNTが均一に分散した分散液を効率よく製造する方法を提供できる。このようにして製造された分散液は、導電性材料としての使用、特に導電性フィルムや導電性樹脂コンポジットなどの用途に使用できる。

Claims (15)

  1. カーボンナノチューブ分散液の製造方法であって、基体上で成長したカーボンナノチューブに分散剤および溶媒を加えた後に基体からカーボンナノチューブを剥がす処理を行い、基体を分離することによってカーボンナノチューブ分散液を得ることを特徴とするカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  2. 前記分散剤が陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれかもしくはこれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  3. 前記分散剤がポリマーであることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  4. 基体が粒子状であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  5. 基体が平板状であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  6. 基体が無機酸化物であることを特徴とする請求項4または5に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  7. カーボンナノチューブが金属触媒を担持させた基体と炭素含有化合物を接触させて得られることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  8. 基体上に成長したカーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で観察したときに観察されるカーボンナノチューブの50%以上が単層であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  9. 基体上に成長したカーボンナノチューブを高分解能透過型電子顕微鏡で観察したときに観察されるカーボンナノチューブの50%以上が2〜5層であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  10. 基体からカーボンナノチューブを剥がす処理が物理的手段によるものであることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  11. 前記物理的手段が超音波、またはビーズミルであることを特徴とする請求項10に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  12. 基体の分離方法が遠心分離、または濾過であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ分散液の製造方法。
  13. 請求項1から12のいずれか1項記載の製造方法によって得られたカーボンナノチューブ分散液を基材表面に塗布することによって得られる導電性材料。
  14. 基材がフィルム、ガラス、繊維のいずれかである請求項13に記載の導電性材料。
  15. 請求項1から12のいずれか1項記載の製造方法によって得られたカーボンナノチューブ分散液を混合することによって得られる導電性材料。
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