JP2016538228A - 制御された触媒酸化による穴の多い炭素同素体の大量調製 - Google Patents

制御された触媒酸化による穴の多い炭素同素体の大量調製 Download PDF

Info

Publication number
JP2016538228A
JP2016538228A JP2016538898A JP2016538898A JP2016538228A JP 2016538228 A JP2016538228 A JP 2016538228A JP 2016538898 A JP2016538898 A JP 2016538898A JP 2016538898 A JP2016538898 A JP 2016538898A JP 2016538228 A JP2016538228 A JP 2016538228A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
graphene
nanoparticles
temperature
oxidation catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2016538898A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016538228A5 (ja
Inventor
ワトソン,ケント
リン,イー
ゴース,サヤタ
コーネル,ジョン
Original Assignee
ナショナル・インスティチュート・オブ・エアロスペース・アソシエイツ
ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ・アズ・リプレゼンテッド・バイ・ジ・アドミニストレーター・オブ・ザ・ナショナル・エアロノーティクス・アンド・スペース・アドミニストレーション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ナショナル・インスティチュート・オブ・エアロスペース・アソシエイツ, ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ・アズ・リプレゼンテッド・バイ・ジ・アドミニストレーター・オブ・ザ・ナショナル・エアロノーティクス・アンド・スペース・アドミニストレーション filed Critical ナショナル・インスティチュート・オブ・エアロスペース・アソシエイツ
Publication of JP2016538228A publication Critical patent/JP2016538228A/ja
Publication of JP2016538228A5 publication Critical patent/JP2016538228A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/182Graphene
    • C01B32/184Preparation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/182Graphene
    • C01B32/194After-treatment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/05Preparation or purification of carbon not covered by groups C01B32/15, C01B32/20, C01B32/25, C01B32/30
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/152Fullerenes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/158Carbon nanotubes
    • C01B32/159Carbon nanotubes single-walled
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/158Carbon nanotubes
    • C01B32/16Preparation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/158Carbon nanotubes
    • C01B32/168After-treatment
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/15Nano-sized carbon materials
    • C01B32/182Graphene
    • C01B32/198Graphene oxide
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C01INORGANIC CHEMISTRY
    • C01BNON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
    • C01B32/00Carbon; Compounds thereof
    • C01B32/20Graphite
    • C01B32/205Preparation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09CTREATMENT OF INORGANIC MATERIALS, OTHER THAN FIBROUS FILLERS, TO ENHANCE THEIR PIGMENTING OR FILLING PROPERTIES ; PREPARATION OF CARBON BLACK  ; PREPARATION OF INORGANIC MATERIALS WHICH ARE NO SINGLE CHEMICAL COMPOUNDS AND WHICH ARE MAINLY USED AS PIGMENTS OR FILLERS
    • C09C1/00Treatment of specific inorganic materials other than fibrous fillers; Preparation of carbon black
    • C09C1/44Carbon
    • C09C1/48Carbon black
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F9/00Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments
    • D01F9/08Artificial filaments or the like of other substances; Manufacture thereof; Apparatus specially adapted for the manufacture of carbon filaments of inorganic material
    • D01F9/12Carbon filaments; Apparatus specially adapted for the manufacture thereof
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01BCABLES; CONDUCTORS; INSULATORS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR CONDUCTIVE, INSULATING OR DIELECTRIC PROPERTIES
    • H01B1/00Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors
    • H01B1/04Conductors or conductive bodies characterised by the conductive materials; Selection of materials as conductors mainly consisting of carbon-silicon compounds, carbon or silicon

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Nanotechnology (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Geology (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Textile Engineering (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Inert Electrodes (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

大規模に実現可能な方法によって、直径が数nmから100nmを超える範囲の穴を有する穴の多い炭素同素体を大量に調製することが可能になる。最初に、炭素同素体の表面上に炭素酸化触媒のナノ粒子を、容易で制御可能かつ溶媒を用いないプロセスで堆積させる。次いで、この触媒を載せた炭素を空気中で熱処理に供する。炭素酸化触媒のナノ粒子と接触している炭素は選択的に酸化されて、COまたはCO2のようなガス状の副生物となり、表面に穴が残る。次いで、触媒を希釈硝酸中で環流することによって除去し、最終的な穴の多い炭素同素体を得る。穴の平均の大きさは触媒のナノ粒子の大きさと強い相関関係があり、触媒の先駆物質の濃度を調整することによって制御される。空気酸化の工程の温度と時間および触媒を除去する処理の条件は、穴の形態に強く影響を及ぼす。【選択図】図14

Description

連邦政府が後援する研究または開発についての陳述
[01]ここに記載された発明は、NASAの協力契約の下で研究を行う中で合衆国政府の従業員によって成され、パブリック・ロー96-517(米国特許法第202条)の規定に従うものであり、合衆国政府によって(または合衆国政府のために)、政府の目的で、発明についての(または発明に対する)特許権使用料を何ら支払うことなく製造および使用することができる。米国特許法第202条に従って、協力契約の受領者は所有権を保持することを選択した。
[02]本発明は穴の多いグラフェン、グラフェンナノメッシュ、穴の多いカーボンナノチューブ、または穴の多いカーボンナノファイバーに関し、特に、制御された触媒酸化によって形成される穴の多いグラフェン、グラフェンナノメッシュ、穴の多いカーボンナノチューブ、または穴の多いカーボンナノファイバーに関する。
[03]添付の参考文献一覧に挙げた全ての参考文献は引用文献として本明細書に取り込まれるが、しかしそれらの各々について、引用文献として取り込まれるそのような情報または陳述が本発明が特許を取得しようとしていることと一致しないと考えられる場合には、それらの陳述は明らかに出願人によってなされたものとは考えられない。以下の明細書中で括弧の中にある参考文献番号は、添付の参考文献一覧のものに当てはまる。
[04]グラフェンシートは、わずか1原子または数原子の厚さの二次元で共役結合した炭素構造のものである。それらは電子工学、環境発電、転化および貯蔵、ポリマー複合材料、およびその他の可能性のある用途のために現在最も研究されているナノ材料のうちに含まれる。最も理想的な構造を有するグラフェンシートは機械的な剥離(スコッチテープ法)によって実験的に得られるが、それは極めて少ない量でしか製造されない。グラフェンの大量調製のために、最も普及している方法のうちの一つは通常、剥離された単層または数層のシートとして水溶液中に分散可能な酸化グラフェン(GO)への天然黒鉛の強い酸化で開始する。次いで、剥離されたGOシートは、グラフェン(あるいは、もっと正確には「還元された酸化グラフェン(rGO)」)に化学的または熱的に転化することができる。機械的剥離法または化学気相析出法によって調製されたグラフェンシートと比較して、化学的に剥離されたrGOシートは通常、より多くの欠陥を有する。
[05]それにもかかわらず、いかなる方法によって調製されたグラフェンシートであっても固有の欠陥を常に有する。グラフェンの表面上の欠陥の典型的なタイプはストーンウェールズ(五角辺−七角辺の対)または空格子点であり、これらはほとんどがナノメートルのサイズのものである。最近になって、共役結合した炭素の表面上に大きな細孔の開口(すなわち、穴(ホール))を有することで特徴づけられる新しいタイプのグラフェン構造についての幾つかの報告があった。観察するためには高解像度の顕微鏡技術を用いて広範な努力をしばしば要する従来の観点からの欠陥と比較して、これらの新しい穴の多いグラフェン(hG)構造における細孔の開口はずっと大きく(数ナノメートルから数百ナノメートルの範囲)、従って、容易に確認される。平版印刷法によって得られるhG構造(これは「グラフェンナノメッシュ」と称されることもある)は通常、制御された大きさの球形の穴の形状を有する。例えば、Bai等は、ポリスチレン-ポリ(メチルメタクリレート)ジブロック共重合体の相分離領域を利用し、そしてそれらを反応性イオンエッチングによる二次SiOナノメッシュマスクの平版印刷調製のための出発テンプレートとして用いた。次いで、グラフェンのフレークの上の多孔質SiOマスクは、下にある露出した炭素原子を除去するために酸素プラズマの下に置かれた。これにより、(引上げたときに)支持されているか、または自立性のグラフェンナノメッシュであって、直径が数nmから数十nmで様々な周期性を有する球形の穴を伴ったものが得られる。
[06]別の例において、Liang等は、かなり類似した平版印刷プロセスであるが、しかしインプリント(押印)用テンプレートを用いて得られる多孔質ポリスチレンレジスト層を使用するものを報告した。グラフェンナノメッシュ上の周期的な穴は興味深い整調できる半導体特性をもたらしたが、それは独特な電子工学用途のためのトランジスター装置になりうる。
[07]ほぼ完全に構造化した「グラフェンナノメッシュ」についての電子工学を超えた用途における大きな障害は、それらが基質レベルでだけ調製できて、容易には大規模に実現可能ではないことである。あるいは、hGを酸化法によって比較的大量に得ることができたが、しかし、穴の形状、周期性およびサイズの分布をグラフェンナノメッシュよりも幾分制御できなかった。例えば、Kungと共同研究者は、分散したGOと濃硝酸の水性混合物の音波処理によって、様々な大きさの穴を有するGOシートが得られた(そして、還元することによってrGOシートが得られた)、と報告した。ろ過によって得られたhG膜はリチウムイオンの貯蔵において高い性能を示したが、これは黒鉛の表面上の穴のためにイオンの拡散通路が増大したためであった。別の報告において、Starと共同研究者は、ホースラディッシュペルオキシダーゼを用いる穏やかな酵素処理によってGOの酸化を触媒することができ、それにより、反応の過程の全体にわたって(数週間まで)穴の大きさが徐々に増大する穴の多いGOシートが得られることを見いだした。同様の酵素処理はrGOを得るためには有効でなく、これは活動的な酵素の作用が弱かったためであることは、興味深い。
[08]本発明の主な目的は、炭素の同素体またはグラフェンナノメッシュを提供することである。
[09]本発明の目的は、制御された触媒酸化によって形成された炭素の同素体を提供することである。
[10]本発明の目的は、炭素の同素体を大規模に実現可能な量で提供することである。
[11]本発明の目的は、欠陥が最少限の炭素の同素体を提供することである。
[12]本発明の目的は、銀(Ag)、金(Au)または白金(Pt)のナノ粒子、金属酸化物のナノ粒子、またはこれらの組み合わせのような堆積させた金属質のナノ粒子による黒鉛炭素の触媒酸化によってエッチングした表面上に穴を有する炭素同素体構造物を調製するための容易で良好に制御可能な方法を提供することである。
[13]本発明のさらなる目的は、黒鉛の表面上で制御可能な穴のサイズを有する炭素同素体構造物を調製するための方法を提供することである。
[14]本発明のさらなる目的は、大規模に生産することが容易な炭素同素体構造物を調製するための方法を提供することである。
[15]最後に、本発明の目的は、単純で費用対効果が高いやり方で上記の目的を達成することである。
[16]本発明の上記の目的およびさらなる目的、詳細および利点は、添付する図面とともに以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。
[18]本発明は、金属または金属酸化物のナノ粒子を用いてグラフェン表面の制御された触媒酸化を行うことによって穴の多いグラフェンを形成するための方法を提供することにより、これらの要求に対処する。この方法は、固体状の炭素同素体を用意する工程、炭素同素体のシートの表面に炭素酸化触媒のナノ粒子を容易で制御可能かつ溶媒を用いないプロセスで堆積させ、それにより炭素酸化触媒−炭素同素体物質を得る工程、得られた炭素酸化触媒−炭素同素体物質を空気中で熱処理に供する工程、炭素酸化触媒のナノ粒子と接触している炭素を選択的に酸化してガス状の副生物とする工程、および炭素酸化触媒のナノ粒子を除去し、それにより炭素同素体の表面に穴が残るようにする工程を含む。炭素の同素体は好ましくは、グラフェン、酸化グラフェン、還元した酸化グラフェン、熱剥離したグラフェン、グラフェンナノリボン、黒鉛、剥離した黒鉛、膨張黒鉛、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、カーボンブラック、非晶質カーボン、またはフラーレンである。炭素酸化触媒は遷移金属、希土類金属、酸化物、またはこれらの組合せであってよい。最も好ましくは、炭素酸化触媒はFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、AgまたはAuである。好ましい態様において、炭素酸化触媒のナノ粒子−炭素同素体は金属塩の先駆物質と炭素同素体の混合物を高温で加熱することによって調製され、このとき、金属塩の先駆物質は不活性雰囲気中で100〜500℃の間の高温で、最も好ましくは350℃の高温で分解される。金属塩の先駆物質は好ましくは有機基または無機基を伴う化合物であり、より好ましくは金属酢酸塩、金属アセチルアセトネート、金属硝酸塩、金属ハロゲン化物、またはこれらの組み合わせである。加熱は、熱的なもの、電気的なもの、機械化学的なもの、電気化学的なもの、電子衝撃、イオン衝撃、電磁気的なもの、またはこれらの組み合わせのようなエネルギーの入力によって行うことができる。好ましい態様において、炭素酸化触媒のナノ粒子は0.1モル%と20モル%の間の濃度とする。酸化の工程は好ましくは150℃と500℃の間の温度で行われる。炭素酸化触媒のナノ粒子は好ましくは、周囲温度と酸を環流させる温度の間の温度において酸の中の処理によって除去されてもよく、酸は最も好ましくは硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、クロロスルホン酸、リン酸またはこれらの組み合わせである。得られた穴の多い炭素同素体は、電気化学装置のための型枠(プラットフォーム)として電極の中に組み込まれる。電極を本明細書で説明する方法に従って調製してもよい。特に、この方法は、グラフェンのシートを用意し、そしてグラフェンシートの表面上にAgのナノ粒子を堆積させることによって穴の多いグラフェンを形成するために用いることができる。この特定の態様において、それらの工程は前に示した通りである。Agのナノ粒子は0.1モル%と20モル%の間の濃度で金属銀の形になっている。Agのナノ粒子は、周囲温度と酸を環流させる温度の間の温度において、希釈された硝酸の中での処理によって除去される。
[19]本発明の主題とその利点についてのより完全な説明は以下の詳細な説明を参照して行われ、このとき添付図面が参照される。
[20]図1aは (Ag-G)のサンプルのTEM画像を示す。[21]図1bは (Ag-G)10のサンプルのTEM画像を示し、挿入図はグラフェンシートの上にあるAgナノ粒子の平らな境界面の形態を示すSEM画像である。[22]図1cは同じサンプルである (Ag-G)(下)と (Ag-G)10(上)のXRDパターンを示す。[23]図1dは (Ag-G)10のサンプルについてのAg4dの心部領域におけるXPSスペクトルを示す。 [24]図2aは300℃で3時間にわたって空気酸化に供した (Ag-G)10のサンプルの低倍率のSEM画像を示し、穴と溝(トラック)の両方が示されている。[25]図2bは300℃で3時間にわたって空気酸化に供した (Ag-G)10のサンプルのSEM画像を示し、低いアスペクト比の穴に富む領域が示されている。[26]図2cは300℃で3時間にわたって空気酸化に供した (Ag-G)10のサンプルのSEM画像を示し、高いアスペクト比の穴(すなわち、溝)に富む領域が示されている。[27]図2dは300℃で3時間にわたって空気酸化に供した (Ag-G)10のサンプルの高倍率のTEM画像を示し、穴の形態が示されている。 [28]図3aは (Ag-G)10のサンプル(上)と (Ag-G)のサンプル(中)のDTG曲線(空気、5.4℃/分)を示し、出発のグラフェンのサンプル(G、下)と比較している。 [29]図3bは空気中で3〜10時間にわたって表示した温度(上から下へ:250、300、350、400、450、500℃)に加熱して保持した同じ (Ag-G)10のサンプルのTGAトレースの等温領域を示す。 [30]図4aは空気中で250℃において酸化した同じ (Ag-G)10のサンプルのTEM画像を示す。 [31]図4bは空気中で350℃において酸化した同じ (Ag-G)10のサンプルのTEM画像を示す。 [32]図4cは空気中で400℃において酸化した同じ (Ag-G)10のサンプルのTEM画像を示し、挿入図において触媒酸化の結果としての(500nm未満の)小さな横方向の寸法を有する二つのグラフェンシートが示されている。 [33]図5aは空気中で触媒酸化する前(黒)と後(赤)での (Ag-G)10のサンプルのXRDパターンを示し、挿入図は拡大したAg(111)ピークの領域を示す。 [34]図5bは様々な温度((下から上へ)250、300、350および400℃)において空気中で触媒酸化した後の、同じ (Ag-G)10のサンプルのXPS Ag4dスペクトルを示す。 [35]図6aはhGのサンプルのSEM画像を示す。[36]図6bは図6aに示した対応する画像と全く同じ位置で得られたhGのサンプルのTEM画像を示す。[37]図6cはhG10のサンプルのSEM画像を示す。[38]図6dは図6cに示した対応する画像と全く同じ位置で得られたhG10のサンプルのTEM画像を示す。[39]図6eは対照のグラフェンのサンプルのSEM画像を示す。[40]図6fは図6eに示した対応する画像と全く同じ位置で得られた対照のグラフェンのサンプルのTEM画像を示す。 [41]図7aはhG10のシートのTEM画像を示す。[42]図7bは図7aに示した領域から得られた電子回折パターンを示す。[43]図7cは図7aに示した領域から得られた電子回折パターンを示す。[44]図7dは図7aに示した領域から得られた電子回折パターンを示す。 [45]図8aはhG10のサンプル(上、赤)、hGのサンプル(中、青)および同じ工程IIIの条件の下で硝酸中で環流しただけの対照のグラフェンのサンプル(下、黒)のXPSC 1sスペクトルを示す。 [46]図8bはhG10のサンプル(上)、hGのサンプル(中)および同じ工程IIIの条件の下で硝酸中で環流しただけの対照のグラフェンのサンプル(下)のラマンスペクトルを示す。 [47]図9aは比較的大きな規模(2.1gまで)の調製によって得られたhG10のシートのSEM画像を示す。[48]図9bは純粋なウルテム(Ultem)(金色になったもの)および1%hG10を添加したウルテム複合部材(黒色になったもの)の溶融押出しをしたリボンの写真を示す。[49]図9cは純粋なウルテム、1重量%のグラフェンを添加したウルテム複合部材(1%G-ウルテム)、および1重量%のhG10を添加したウルテム複合部材(1%hG10-ウルテム)の最高強さの比較を示す。[50]図9dは純粋なウルテム、1重量%のグラフェンを添加したウルテム複合部材(1%G-ウルテム)、および1重量%のhG10を添加したウルテム複合部材(1%hG10-ウルテム)のヤング率の比較を示す。 [51]図10aは空気中で300℃において10モル%Agを用いたMWNTの触媒酸化を示しているSEM画像を示す。[52]図10bは空気中で300℃において5モル%Auを用いたMWNTの触媒酸化を示しているSEM画像を示す。[53]図10cは空気中で300℃において5モル%Auを用いたグラフェンの触媒酸化を示しているSEM画像を示す。[54]図10dは空気中で300℃において5モル%Ptを用いたグラフェンの触媒酸化を示しているSEM画像を示す。 [55]図11は300℃において空気中で10時間にわたって熱処理に供した(Ag-G)10のサンプルのSEM画像を示す。 [56]図12はhG10のサンプルとhG1のサンプルのDTG曲線(空気、5.4℃/分)を示し、出発のグラフェンのサンプルと比較している。 [57]図13aは10mVs−1(最も内側の曲線)から500mVs−1(最も外側の曲線)までの走査速度におけるhG10の電極のサイクリックボルタンメトリー曲線の形での予備的な電気化学的評価を示す。[58]図13bはhG10の比キャパシタンス(比静電容量)の値の形での予備的な電気化学的評価を示し、対照のグラフェンのサンプル(2時間の硝酸の環流のみ)の値と比較したものである。 [59]図14は本明細書で説明した方法の工程を示す。
[60]以下の詳細な説明は本発明を実施するための最良のものであると現在考えられている態様である。この説明は限定的な意味で解釈されるべきではなく、本発明の態様の一般的な原則を単に例示する目的でなされるものである。本発明の態様と様々な特徴およびその有利な細目を、添付図面において記載および/または例示するとともに以下の説明において示される非限定的な態様と実施例を参照して、さらに十分に説明する。図面で例示された態様は必ずしも一定の縮尺では描かれておらず、またここで明示されていなくても、一つの態様の特徴は他の態様においても当業者が認識するように用いることができる、ということを認識すべきである。周知の構成要素と技術についての説明は、本発明を不明確にすることを避けるために省かれるかもしれない。ここで用いられる各実施例は単に、本発明を実施するやり方についての理解を促進し、また当業者が本発明を実施することをさらに可能にすることを意図したものである。従って、ここで示される実施例と態様は本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本発明の範囲は添付する特許請求の範囲によって明示される。さらに、幾つかの図面を通して同様の引用数字は同じ部分を示していることに留意されたい。
[61]二次元のグラフェンの表面について構造上の操作を行うことは、様々な用途における高い性能を得るためにナノシートの特性を調整する手段として、かなり重要なこととなった。大量の「穴の多いグラフェン」を調製するために、簡単ではあるがかなり大規模に実現可能な方法が説明される。穴の多いグラフェンとは、直径が数nmから100nmを超える範囲の穴を有するグラフェンシートである。それらを調製する方法は、黒鉛炭素の空気酸化のために特定の金属酸化物または金属(例えば、銀(Ag))のナノ粒子の触媒特性を利用する。この方法においては、最初に、グラフェンシートの表面上にAgのナノ粒子を、容易で制御可能かつ溶媒を用いないプロセスで堆積させた。次いで、この触媒を載せたグラフェンのサンプルを空気中で熱処理に供した。Agのナノ粒子と接触している黒鉛炭素は選択的に酸化されて、COまたはCOのようなガス状の副生物となり、グラフェンの表面に穴が残った。次いで、Ag触媒を希釈硝酸中で環流することによって除去し、最終的な穴の多いグラフェン生成物を得た。グラフェン上の穴の平均の大きさはAgのナノ粒子の大きさと強い相関関係があることが見いだされ、従って、銀の先駆物質の濃度を調整することによって、前もって確証されたようにして簡便に制御することができた。加えて、空気酸化の工程の温度と時間および触媒を除去する処理の条件は、穴の形態に強く影響を及ぼすことが見いだされた。穴の多いグラフェン生成物の特徴づけを行った結果、穴の生成は出発のグラフェンシート上に存在する欠陥に富む領域から開始したことが示唆された。その結果、穴の多いグラフェンシート上に残っている黒鉛炭素は高度に結晶質であり、構造的な穴の存在にもかかわらず、全体的な欠陥の密度は著しくは増大しなかった。ポリマー複合材料のための充填剤として穴の多いグラフェンシートを使用することについても、予備的な実験が行われた。その結果、これらのシートは、それらの穴の多い性質のために、出発のグラフェンシートよりも良好な強化用充填剤になりそうであることが示された。これらの材料のその他の独特な用途として可能性があるのは、エネルギー貯蔵の用途である。
[62]本発明は穴の多いグラフェン構造物を調製するための容易で十分に制御可能な方法であり、この構造物は、堆積した金属酸化物または金属のナノ粒子による黒鉛炭素の触媒酸化によって蝕刻されたグラフェンの表面上に穴を有する。穴の多いグラフェンを調製するための上述した文献の方法と比較して、ここで説明する技術は、黒鉛の表面上に制御された穴の大きさを提供するので多目的に使用できるのみならず、容易に大規模に実現可能なものである。このことは、ポリマー複合部材やエネルギー貯蔵のような、大量であることを必要とする多くの用途においてこれらの材料をより簡便に使用することを可能にする。
[63]本発明の好ましい態様において、市販の出発グラフェン材料はGOの熱還元/剥離に類似するプロセスによって調製される(「熱剥離したグラフェン」(TEG))。穴の多いグラフェン(hG)の調製は出発グラフェン材料からの3工程プロセスであり、すなわち、触媒の堆積、触媒酸化、および触媒の除去からなる。各々の工程からの詳細な所見について以下で検討する。
[64]工程I:触媒の堆積
最初の工程において、Agのような触媒のナノ粒子をグラフェンの表面上に堆積し、それによりAgナノ粒子で修飾したグラフェン(Ag-G)を得る。これは、溶媒を用いない高度に大規模化が可能な堆積プロセスを用いて達成されるが、このプロセスは支持基材としての多層カーボンナノチューブ(MWNT)ですでに確立されたものである。本方法においては、酢酸銀のような金属塩とグラフェンを望ましい比率で固体状で混合し、続いて、窒素雰囲気中で熱処理に供する。高温(350℃)の下で、酢酸銀はAg金属にナノ粒子の形で熱分解され、このとき支持基材としてグラフェンが存在し、そしてCO、COのような揮発性の副生物と水を伴う。図1aと1bにおける透過型電子顕微鏡(TEM)の画像で示すように、金属のAgナノ粒子がグラフェンの表面上に良好に分布する。やはり顕微鏡検査の結果によって示されるように、グラフェンの表面は反応後も損なわれておらず、出発グラフェンのサンプルのものと同様に、時折は欠陥としわが存在する。
[65]すでに報告したAg-MWNT系と同様に、Ag-GのサンプルにおけるAgナノ粒子の大きさは、出発の酢酸銀とグラフェンの比率を変えることによって簡便に制御される。一般に、酢酸銀の量が多いほど、同様の固体数であるが平均のサイズがより大きなAgナノ粒子が典型的に生じる。これは、グラフェンの表面欠陥と関連すると思われる金属の固着位置の量が限られているためかもしれない。例えば、1モル%(図1a)と10モル%(図1b)の酢酸銀(約9重量%と47重量%のAg(対C)に相当する)を使用すると、グラフェンで支持されたAgナノ粒子であって、それぞれ約10nmと約21nmの平均サイズを有するものが生じる。これら二つのサンプルをそれぞれ (Ag-G)および (Ag-G)10と呼ぶ。Ag-Gサンプルにおけるナノ粒子の成長は局所的なグラフェンの表面をテンプレートとして用いると思われ、このことは、Agナノ粒子とグラフェンの支持体の間の緊密な接触を示す平らな境界面によって示唆される。グラフェンのしわの寄った部分の上に「座っている」Agナノ粒子を伴った例の走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を、図1bの挿入図に示す。Agナノ粒子とグラフェンの表面との間の接触角度は90°よりも小さい。言い換えると、接触領域の直径はAgナノ粒子の直径よりも幾分か小さい。このことは、全てのAg-Gサンプルならびにその他の金属塩の先駆物質(例えば、酢酸金、酢酸パラジウム、または白金アセチルアセトネート)を用いるサンプルについて、典型的に見られる。
[66]これらのサンプルのX線回折(XRD)分析は、およそ26°における広いグラフェン(002)のピークと38.1°、44.3°、64.5°および77.4°におけるAg(ICDD04-0783)についての主要ピークを示していて(図1c)、それら主要ピークはそれぞれ(111)、(200)、(220)および(311)の結晶面に相当する。酢酸銀の先駆物質についてのピーク(ICDD14-0733、例えば29.2°)は存在せず、このことは酢酸銀がAg金属に完全に分解したことを示唆している。X線光電子分光分析(XPS)によるスペクトル(図1d)は374.4eVと368.4eVにおける鋭いAgの3d3/2および3d5/2のピークを示していて、このことも金属Agの存在と一致する。
[67]工程II:触媒酸化
この工程において、金属酸化物または金属ナノ粒子で修飾したグラフェンのサンプルを開口管炉の中で加熱することによって、制御された空気酸化に供する。例えば、図2aに示すように、(Ag-G)10のサンプルを300℃で3時間処理した後、最初の損なわれていない(すなわち、穴の無い)グラフェンの表面にかなりの数の穴が現れた。これらの穴の大部分は少なくとも一つのAgナノ粒子と関連している。幾つかの穴は溝としても現れたが、これらは明らかに所定の条件の下での付着したAgナノ粒子の方向性の移動と関連していて(図2b)、おそらくはエッチングによって誘起された移動のためである(以下をさらに参照されたい)。それにもかかわらず、比較的大きなサイズのAgナノ粒子は典型的に大きな直径の穴(または幅の大きな溝)を生じさせる。各々の穴または溝は一つだけのAgナノ粒子から生じたのではないかもしれない。というのは、複数の隣接するAgナノ粒子から生じた穴または溝は併合して、枝分れした溝(図2c)または単一の穴(図2d)を形成する場合があるからである。工程Iにおいて窒素の雰囲気が用いられる手順は工程IIについては対照の反応とみなすことができ、工程IIにおいては同じAg-G材料が空気中で加熱される。従って、上の観察結果は明らかに、Agナノ粒子が、それらと接触するグラフェンの炭素原子の酸化を触媒し、一方、貴金属のナノ粒子と結びつかない炭素はグラフェンの構造の中で影響を受けないままになる、ということを示している。
[68]実際には、黒鉛炭素の酸化に対するAgナノ粒子の触媒的な役割は数十年前から知られていて、プロセスにおいてCOとCOが発生する場合には「触媒炭素ガス化」としばしば呼ばれていた。もっと最近では、Severin等が、高度に配向した熱分解黒鉛(HOPG)の支持体の上での「トレンチ(溝)」の形成であって、同様にAgナノ粒子のエッチング活性によって誘起されるものを報告している。機械論的には、Agが触媒するグラフェンの熱酸化は、良好に適合したAgとグラフェンの接触領域(図1bの挿入図に示される例)の周辺で開始し、そこでO分子は最も直接的に接近する、と考えられる。グラフェンのシートは厚さがほんの一層ないし数層しかないので、グラフェンのシート上での炭素の触媒酸化によって、多くの場合、層の全体を貫通することができる。
[69]Agとグラフェンの接触領域の直径は対応するAgナノ粒子よりも小さいけれども、(エッチングによって生じた溝の幅を含めた)穴の直径は、酸化の程度が比較的高い場合には、対応するAgナノ粒子の直径と同等であるか、あるいはそれよりもわずかに大きいかもしれない。これは、非球形のAgナノ粒子の、不均衡なエッチングによって生じた動きのためかもしれない。Severin等によれば、黒鉛の表面上でのAgナノ粒子の動きは、わずかにらせん形でしばしばジグザグ形の動きであるのに加えて自己回転性のはずである。穴と溝のかなり粗い縁(図2cおよび2d)もまた、Agのそのような不均衡な動きから生じたものかもしれない。
[70]観察された溝の長さは、図2a〜2dに示すサンプルについて数十nmから100nmを超えるものまで、変化する。しかし、対応するAgナノ粒子の大きさへの溝の長さの明らかな依存性は無いようであり、溝の長さはシートごとにまちまちであり、時には同じシートの中であっても変化する。このことを理解するには、幾つかのパラメーターを考慮する必要があるかもしれない。例えば、加熱した固体のサンプルにおける局所的な酸素の利用可能性(シートごとに相違する)と所定のグラフェンシートの局所的な表面欠陥の構造(同じシートの中で相違する)は、重要な因子の中に含まれるはずである。それにもかかわらず、比較的長い酸化処理に供したAg-Gサンプルは長い溝を有する傾向があり、それは酸化の程度が比較的高いものに相当する(図11を参照されたい。これは非常に長くて不規則なAgエッチングした溝を示していて、この領域での大部分の触媒Agナノ粒子はおそらくグラフェンシートから分離したことを示す)。
[71]熱重量分析(TGA)や示差熱重量分析(DTG)のような熱分析方法を用いて、グラフェンのAg誘起の触媒酸化についても調査した。この方法において、安定した比較を行うために、加熱速度を5.4℃/分に維持し、また空気の流量を50mL/分とした。図3aにおけるDTGのトレースに示すように、Agナノ粒子が存在しない場合、出発のグラフェンからなる対象のサンプルは約470℃まで重量損失を示さず、重量損失のピークは約605℃にある。Agナノ粒子を堆積した後、重量損失のしきい値は (Ag-G)のサンプルについて約370℃まで著しく低下し(ピークは534℃)、(Ag-G)10のサンプルについてはさらに約250℃まで低下した(ピークは468℃)。これらの結果は、Agナノ粒子は触媒として作用し、そしてグラフェンを酸化させる活性化エネルギーを低下させて、そのため酸化がずっと低い温度で起こる、ということを示している。Agの添加量が多いほど分解のしきい値がより低下するという事実は、そのときにより多くのグラフェンの表面がより大きなサイズのAgナノ粒子と接触するのであると理解できる。
[72]触媒酸化の温度の影響についてさらに調査するために、同じ (Ag-G)10のサンプルを250〜500℃の間の温度に加熱し、このとき同じ加熱速度(5.4℃/分)を用い、等温で3〜10時間保持する。TGA曲線(図3b)の等温部分に示すように、(Ag-G)10のサンプルは様々な保持温度において異なる割合の重量損失を示す。特に、低い方の温度(350℃以下)において、酸化の割合が低いために、酸化がなおも進行してはいるが、等温曲線は擬平坦状に近いように見える。この結果は、Agが触媒するグラフェンの酸化は、適切な保持時間を用いて保持温度を単純に制御することによって広い範囲で炭素の損失を望ましい程度にして制御できることを示唆している。例えば、空気中で250℃と350℃に加熱して3時間保持した (Ag-G)10のサンプルの残りの重量パーセントは、それぞれ93%および83%であった。500℃においては、3時間後の重量損失は約50重量%であり、このことは、Agが出発の (Ag-G)10のサンプルの約47重量%を占めていたことを考えると、グラフェンはほぼ完全に酸化して、炭素は本質的に何も残っていないことを示している。
[73]様々な温度において処理した (Ag-G)10のサンプルのTEM画像は熱分析の結果と一致している。同じ3時間の保持時間において、250℃において処理したサンプル(図4a)は300℃において処理したもの(図2)とかなり類似しているが、ただし、幾分かAgナノ粒子の融合が少なく、また溝が短い。350℃において処理したとき、Agのナノ構造物は融合し、より大きな穴が認められる(図4b)。多くのグラフェンシートは小さな断片に破壊され、それらの大部分は横方向のサイズが500nm未満であり(図4bの挿入図)、一方、最初のグラフェンシートの横方向サイズは通常は数マイクロメートルを超える。グラフェンシートのこの横方向サイズの低下は明らかに、過剰な酸化性エッチングによる結果である。400℃を超える処理温度において、ほんのわずかな量の残留炭素種が大きなAgのクラスターに付着しているのが認められるが(図4c)、これは圧倒的な炭素の酸化が起こったことを示唆している。
[74]様々な温度で処理した同じ (Ag-G)10のサンプルについてのAg元素のXRDとXPSによる特徴づけもまた、上記の所見と一致している。例えば、300℃において処理した後の (Ag-G)10のサンプルのXRD(図5a)は、狭くはあるが同じAgピークを示し、融合によって増大したAgナノ粒子のサイズと一致する。興味深いことに、Agピークはより高い2θの値に(例えば、(111)ピークについて約0.04°だけ)移動もしていて、これはおそらく、最初に密接している支持グラフェンをエッチング除去するとAgの結晶構造の中で応力の解放が起こることを示している。XPS(図5b)においてAg3dの信号(374.3eVおよび368.3eV)は、(Ag-G)10のサンプルを350℃以下の温度において空気中で処理したときのわずかな変化(わずかな拡張)を示していて、これはこの温度範囲における金属Ag種による持続的に活発な触媒としての役割を示唆している。しかし、400℃において処理したサンプルについては、もっと低い運動エネルギーの値に向けてのAg3dの信号(373.7eVおよび367.7eV)の顕著な分裂が観察され、このことは、炭素の大部分が蒸発する間にAg相が激しく酸化したことを示す。
[75](350℃よりも高い)比較的高い酸化温度を使用することにより、高い酸化性炭素の含有量を伴う低い炭素収率(XPSから、図示せず)、比較的小さな横方向の寸法のグラフェンシート、および高度に不規則な穴の構造の最終的なサンプルが得られる。従って、以下の工程IIIについての検討は、300℃において3時間にわたって空気で処理したサンプルに焦点を当てている。
[76]工程III:触媒の除去
Ag触媒を除去するために、工程IIからの部分的に酸化したAg-Gサンプル(300℃の酸化温度)を、希釈した(2.6Mの)硝酸を用いて環流する。次いで、固形分を水で十分に洗浄し、そして乾燥する。このプロセスにおいて、硝酸が金属AgをAg(すなわち、AgNO)に酸化するので、触媒Agナノ粒子はサンプルから完全に除去される。Ag塩は水性分散液に可溶性であり、繰返し洗浄することによって効果的に除去される。最終的な生成物の顕微鏡による分析によって、Agナノ粒子は見いだされない。加えて、これらのサンプルをXPSとXRDの両方を用いて分析するとAgの信号が無いことにより、金属が完全に除去されたことが確認される。
[77]図6に示す電子顕微鏡の画像は、二次電子(SE)モードと透過電子(TE)モード(すなわち、SEMおよびTEM)の両方の下で同じ領域において簡便に画像を得る能力を備えた機器(Hitachi S-5200)からのものである。SEM画像(図6の左側、a、c、e)は上面の形態を強調していて、一方、同じ領域の対応するTEM画像(図6の右側、b、d、f)は試料の厚みを通しての観察を可能にしている。これらの画像(図6a〜d)から、工程IIIの触媒除去を行った後の最終的なサンプルはAgの無い黒鉛表面で明瞭な穴の構造を呈することが明らかである。従って、これらのサンプルを「穴の多いグラフェン」サンプル、すなわち、hGと呼ぶ。これらのサンプルにおける穴は、大部分のhGナノシートの厚み全体を貫通している。TEM画像における幾つかのhGシートの見かけの穴の密度は、対応するSEM画像において認められる密度よりもしばしば高く、このことは、これらのシートが幾つかのシートの積層である可能性を示唆している。対照として、工程IIの触媒酸化処理を行わない (Ag-G)10のサンプルについても硝酸の中での環流(工程IIIのAg除去処理)に供する。かなり穴の多いhGシートとは対照的に、回収したAgの無いグラフェンシートは初期のそのままの外観を保持していて、明らかにこの処理による影響を受けていない(図6eおよびf)。
[78]以上の節で検討したように、Ag-GサンプルにおけるAg触媒の含有量が高いほど、Agナノ粒子の平均のサイズは大きくなり、触媒酸化したときに全体的に(幅の広い溝も含めて)比較的大きな穴が生じる。Agを除去するための硝酸処理を行った後に、hGサンプルにおける穴の相対的なサイズはそのような依存性を受け継いでいる。例えば、図6において明白に示されているように、(Ag-G)10のサンプル(hG10と表示)からのhGサンプルの穴のサイズは約10nmから100nmを超えるまでの範囲(平均の直径が約22nm)であり、(Ag-G)で出発したもの(hGと表示)のサイズ(平均の直径が約5nm)よりもずっと大きい。hGのサンプルは同じ処理温度を用いたときに酸化の程度が低く、そのことが、その平均の穴のサイズをAgとグラフェンの接触領域(これは触媒のAgナノ粒子の平均直径よりも小さい)に近いものにしている。それに対して、(大きなAgとグラフェンの接触領域ならびに低い酸化のしきい値のために)酸化の程度が高いhG10のサンプルは、最初の触媒Agナノ粒子のサイズにより近い直径の穴を有する(時には、穴の融合のために、もっと大きくさえある)。hG10のサンプルにおける穴の比較的広いサイズ分布は、触媒Agナノ粒子の初期の広い分布と、前に検討したように触媒の不規則な形状によるグラフェンシートの不均一なエッチングとが組み合わさった結果である。それにもかかわらず、この結果は、触媒Agナノ粒子の添加量を変えることによって、ひいてはその平均のサイズを変えることによって、hGサンプルの穴のサイズを安定した程度まで制御できることを証明している。
[79]Ag触媒を除去する前の穴の形態(図2d)と比べて、hGサンプルにおける穴の周りの縁は幾分か滑らかであるように見える(図6)。依然として溝状の穴があるけれども、それらの固体群は工程IIからわかるものよりも質的に劣っているように見える。これらの観察結果は、ぶら下がった炭素が最も傷つきやすい場合には、過剰な高温の希釈硝酸(これは中程度に強い酸化剤である)が空気酸化したAg-Gサンプルの穴の縁を攻撃することもあることを示している。その結果、穴の縁において弱く結びついた幾つかの炭素が除去され、これが隣接する穴の融合をしばしば誘起する。(24時間までの)環流時間の変化は最終的なhGサンプルの穴の形態に有意には影響しない。加えて、空気酸化したAg-Gサンプルを同じ希釈硝酸を用いて(ただし、室温で)攪拌するだけでも、同様のAgの除去と穴の形態がもたらされる。しかし、(70%)の濃厚な硝酸を用いて環流してもAgは除去されるが、もっとずっと強い酸化条件の下で炭素が過剰に酸化されるために、おそらく穴が減少した構造を有する比較的小さなシートがもたらされる。それにもかかわらず、硝酸はカルボン酸のような酸素含有基をsp炭素の同素体に導入することが知られているので、様々な濃度の硝酸を用いることの適応性は、特定の用途のために必要な後続の化学的変性を行うためにこれらの官能基の濃度をきめ細かく調整することを可能にするだろう。これらの観察結果を、Kungと共同研究者によって報告された触媒を用いないhGの調製と比較することは興味深い。彼等は穴を発生させるためにGOシートを濃硝酸を用いて音波処理した。明らかに、先行する触媒による空気酸化を用いないと、その場合は、もっとずっと厳しい湿潤酸化条件が必要であり、このためにプロセスは、おそらくは穴のサイズと形態に関して幾分か制御しにくいものになる。
[80]穴が出現するにもかかわらず、調製されたままのhGシートにおける残りの黒鉛構造はなお高度に結晶質のものであり、特に、比較的穏やかな硝酸処理を用いる場合にそうである。図7に示すように、かなり限定した範囲のhGシート(2.6Mの硝酸で8時間環流して得られたhG10のサンプル)の複数の領域から得られた電子回折パターンは、典型的な未変性のグラフェンシートから得られるパターンに類似する明瞭な六角形のパターンを示す。特に、直径が約1.5μmの領域に相当する図7bにおける幾分広いパターンは、rGOのサンプルにおいて通常見られるしわと回旋積層欠陥を伴うグラフェンシートについて典型的なものである。回旋積層欠陥は図7cで示されるパターンにおいてもっと明確に観察されるが、これは直径が約200nmのより小さな領域に相当する。このパターンは5°だけずれた二つの六角形からなり、これは、二つの十分に結晶化したAB積層グラフェンの数層どうしの間の回旋欠陥を原因とするかもしれない(シートのコントラストは、それらの層が単層のものではなさそうであることを示唆している)。直径が約200nmの別の領域からの電子回折パターン(図7d)は一つの六角形のセットだけを示していて、この局部領域が完全なABの積層順序からなることを示唆している。この単一の六角形のセットの角度の配置は図7cにおけるものと調和し、このことは、これら二つの大きく分離した領域(約1.5μmの距離)が長範囲規則性をもった単結晶のグラフェンシートから生じることを示している。
[81]様々な熱的および分光的な特徴づけの結果は、電子回折の測定からのデータとも一致する。例えば、hGとhG10のサンプルのDTG曲線の重量損失のしきい値とピーク温度(図12を参照)は、出発グラフェンのサンプルについての最初の値までほぼ回復するが、これは、図3aに示すAgで触媒した酸化の重量損失の特徴と明白な対照をなしている。hGとhG10のサンプルのXPSスペクトルのC-1sコアレベルの信号(図8a)は、同じ硝酸処理工程の後の対照のグラフェンのサンプルの信号とほぼ同一である。炭素種のC-1s信号は黒鉛(sp)炭素と関連する約284.5eVおよび様々な酸化した炭素に帰するもっと高い運動エネルギーにおける他のピーク(例えば、約285.9eVにおけるC-O、約287.4eVにおけるC=O、および約289.2eVにおけるCOO)にデコンヴォルーション(簡略化)できることは周知である。対照のサンプルと比較してhGサンプルについては黒鉛の領域と酸化した炭素の領域のいずれかにおける変化が無いことは、これらのサンプル(hGサンプル)において存在する炭素について酸化状態の相違がほとんど無いことを示している。これらのサンプルのラマンスペクトル(図8b)もほぼ同一である。特に、D-バンド(約1305cm−1)とG-バンド(約1590cm−1)の相対強度あるいはこれらのバンドのピーク位置またはピーク幅に有意な変化は無い。これらのパラメーターは全て、グラフェンのサンプルの相対的な欠陥濃度と関連しているが、hGサンプルにおいて変化が無いことは、プロセス全体において黒鉛構造の全体に追加の欠陥が導入されないことを強く示唆している。このラマンデータは、他の方法によって調製されたhGシートについての文献の報告とは異なるようであり、このことはエッチング機構の相違によるかもしれない。それにもかかわらず、これらの特徴づけの結果は、最初のAg触媒の堆積は大部分が出発グラフェンシートの本来からある欠陥の位置において成される、という仮定と一致する。従って、その後の触媒酸化と硝酸処理も、これらの欠陥の位置とそれらの近くの炭素に向けて優先的に行われる。従って、ほぼ30%の炭素を除去した後であっても、プロセス全体が終わった後に多くの縁部の炭素を伴うかなり穴の多い構造が生じたとき、全体的な「欠陥」(空所と縁部)の密度または黒鉛炭素の含有量および酸化状態は驚くべきほどに類似したままである。この研究におけるhGサンプルの保持された黒鉛の結晶化度は、出発グラフェンのサンプルの多くの重要な特性(例えば、電子の可動性、導電性、熱伝導性、および機械的特性)がかなり保存されることを示唆している。グラフェンを魅力的な材料にしているのはグラフェンのこれらの特性なのであり、従って、hGサンプルがそれらの特性を保持しているという事実は、これらの特性に依存するその後の適用のために極めて重要である。
[82]hGサンプルを調製するための上記の3工程手順は容易に大規模化することができる。最初の二つの工程は両方とも固体状態で実施され、従って、制限は混合装置と加熱装置のサイズから生じるだけである。最後の工程、すなわち、硝酸処理による触媒の除去は、数グラムのレベルまで極めて簡便に拡大することのできる簡単な湿式プロセスである。例えば、約10gの (Ag-G)10のサンプル(これは約5.3gのグラフェンを含む)を300℃で3時間にわたって触媒空気酸化に供し、それにより約8.6gの触媒酸化した (Ag-G)10を得る。続いて、約5.1gのこの触媒酸化したサンプルを2.6Mの硝酸の中で8時間にわたって環流し、約2.1gのhG10を得る。全体の収率は炭素の重量について約67%と計算され、これは同様の条件の下でもっと小規模に(約50〜100mgのバッチ)調製されたhGサンプルについての収率の値と一致する。この大規模なhG10生成物はまた、上述の小規模なバッチからのサンプルと比較して同等の微視的および分光的な特性を示す。例えば、このサンプルにおけるhG10シートについての平均の穴のサイズは約20nmであり(図9a)、これはもっと小規模なもの(図6c)から調製されたサンプルについてのサイズと同等である。サンプルのラマンスペクトルとXPSスペクトルも極めて類似している(図示せず)。
[83]大規模なサンプルの調製は、複合材料の充填材としてのその可能性についての幾つかの評価も可能にする。最初の論証において、溶融加工が可能なポリエーテルイミドであるウルテムポリマー(ウルテム(登録商標)1000)を、hG10のナノフィラーと溶融混合するためのマトリックスとして用いた。次いで、混合物を約1.9cmの幅の連続リボンに押出した。図9bに示すように、黄色いウルテムリボンと比較して、1重量%のhG10を含む複合リボンは黒色を呈するが、しかし高度に柔軟なままである。試料の加工条件は最適なものからは程遠いが、hG10とウルテムの複合リボンの最高強さとヤング率は純粋なポリマーリボンの値をかなり優っているだけでなく、同じ重量含有量の出発グラフェン充填材を含む複合リボンよりもかなり高いと認められるのは興味深い(図9cおよび9d)。hGシートはかなり穴が多いと思われるけれども、穴が存在するためにhGをベースとする複合材料においては同じ炭素重量について(容量において)より多くのシートが存在していて、そのことにより、hGは損なわれていないグラフェンよりも軽い材料になっていることを考えると、この結果は実際には予想されなかったことである。この結果はまた、hGシートは、出発のグラフェンと比較して、複合強化の観点から(改善されてはいないとしても)大いに保持された機械的強度を有するかもしれないことを示してもいる。これは、穴の多い構造であるにもかかわらず、hGシートにおける残りの黒鉛炭素の二次元結晶性の性質のためかもしれない。
[84]複合材料の段階ならびに単一のグラフェンシートの段階において実験的になおも利用すべき幾つかの追加の前提条件がある。例えば、hGシートを平織りのシートよりも撓みやすい「グラフェンネット」とみなしてもよく、それはちょうど、ネットバッグと通常のバッグを微視的な尺度で比較するのに相当する。加えて、マトリックスと充填材の相互作用の観点から、hGは損なわれていないグラフェンシートにとっても有利であるかもしれない。例えば、穴の構造はポリマーの貫入または増強したもつれた位置を可能にするかもしれず、それによりさらに増強した相互作用がもたらされ、そのため孔縁機能によってさらに改善される可能性がある。
[85]hGを調製するための3工程法は多目的に使用できて、また様々な炭素同素体に対して適用できるのであり、何故ならば、Agを触媒とする炭素の空気酸化はグラフェンシートに特有のものではないからである。例えば、Agナノ粒子で装飾した多層カーボンナノチューブ(MWNT)のサンプルを300℃で3時間加熱することによって、ナノチューブの顕著なAg誘導酸化が観察される(図10a)。この方法に続いて、これらの部分的に酸化したサンプルを用いて「穴の多いカーボンナノチューブ」を調製してもよい。上の例で説明したグラフェンの代わりに用いることのできるその他の材料としては、酸化グラフェン、還元した酸化グラフェン、熱剥離したグラフェン、グラフェンナノリボン、黒鉛、剥離した黒鉛、膨張黒鉛、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、カーボンブラック、非晶質カーボン、およびフラーレンがある。加えて、炭素酸化触媒はAgに限定されず、希土類金属を含めた遷移金属およびそれらの酸化物も触媒として用いてもよい。VIIIA族(Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、IrおよびPt)およびIB族(Cu、AgおよびAu)からの金属は特に好ましい。我々の予備的な実験によって、PtとAuのナノ粒子は両者とも、同様の実験条件の下でMWNTとグラフェンに対して有効な触媒であることが示された(図10b〜d)。貴金属触媒に対するもっと低いコストの代替物を追求することについて、さらなる調査が行われている。水素雰囲気中の還元条件の下でグラフェンの表面をエッチングするために、幾つかの遷移金属のナノ粒子(例えば、Fe、NiおよびCo)が用いられてきたことに注目すると、興味深い。高度に結晶性のグラフェンの表面上でのこれらのナノ粒子の動きはキラリティーパターンに従うようであり、これは、スパッター堆積したAgナノ粒子による懸濁したグラフェンの酸化性エッチングについてBooth等によって観察された通りである。それに対して、本研究およびその他の先行する研究において観察されるグラフェンの触媒酸化性エッチングからのAgナノ粒子の動きは、もっと不規則である。先に検討したように、触媒ナノ粒子の形状は還元性および酸化性のエッチング条件の両方において重要な役割を演じるようである。穴の多い大量のグラフェンであって、より制御された穴の幾何学的形状と形態を有するものは、グラフェンシートの上に堆積したエッチング触媒(Agまたはその他のもの)についてグラフェンを制御し、次いで、酸化性または還元性のいずれかのエッチングを行うことによって得られる、と予想される。金属は炭素の同素体の上に様々な方法で堆積させることができるが、そのような方法としては、(これらに限定はされないが)スパッター、電気化学的堆積、置換堆積、自然堆積、および無溶媒堆積がある。大量の調製を行うためには、無溶媒堆積が特に好ましい。先駆物質として金属化合物を用いるのが好ましい。好ましい金属化合物としては、(これらに限定はされないが)ハリド、ニトレート、カルボキシレート、オキサレート、アセテート、アセチルアセトネート、および任意のその他の無機官能基または有機官能基を有するものがある。触媒酸化を実施するための温度の好ましい範囲は150℃と500℃の間である。
[86]理論的には、hGシートの比表面積(m−1で)は損なわれていない(穴の無い)グラフェンシートと同じであるべきである。しかし、炭素のナノ材料の実際の表面積は後加工の方法によって強い影響を受けることが知られている。現在の研究において、出発グラフェンのサンプルは熱剥離プロセスからのものであり、従って、ブルナウアー・エメット・テラー(BET)法を用いて窒素の吸着-脱着等温線から測定して約590m−1の適度に高い比表面積を有する極めて軽量で綿毛のようなものである。しかし、硝酸中での短時間の環流(およびそれに続く遠心分離、洗浄および乾燥のようなワークアップ工程)のような後加工手順によってサンプルの密度はかなり高まり、その結果、BET表面積の値は低下する(例えば、グラフェンのサンプルについて2.6MのHNOの中での2時間の環流の後に370m−1になる)。この研究において調製されるhGサンプルは同様の条件の下で加工される。それらは約280〜380m−1の範囲の測定されたBET表面積の値を有し、従って、出発グラフェンのサンプルと同等であると考えることができる。この値は製品についての適当な物理的または物理化学的な処理(例えば、凍結乾燥、化学的活性化およびその他の細孔生成技術)によってかなり改善することができ、このときそれは、エネルギー貯蔵、ガス貯蔵および触媒支持体のような用途のための多孔質の(穴の多い)黒鉛表面に十分に近づくであろうことは疑いがない。我々の予備的な実験(図13aと13bを参照されたい)では実際に、損なわれていない(穴の無い)出発のグラフェンシートよりもhGシートの方が超コンデンサ(スーパーキャパシタ)のための電極の型枠(プラットフォーム)としてのより良い選択であると考えられる。hGシートは、積層したシートからなる電極における穴の存在によりイオンの輸送を改善させることができ、このことは、リチウムイオン電池のためのhGペーパーの使用においてKungと共同研究者によって以前に同様に示唆されていた。それにもかかわらず、これらの新規な材料について穴のサイズと密度、比表面積、追加の機能性(特に穴の端部での)、および電極の構造の最適化が達成されれば、そのようなエネルギー貯蔵デバイスのキャパシタンスの値ならびに比出力または比エネルギーの大きな改善が期待される。
[87]ここに開示する方法は、様々なサイズの穴を有するhGシートを制御可能に調製するための簡単な手順である。3工程手順は、グラフェンシートの上へのAgナノ粒子の堆積、高温(典型的に300℃)の下での空気中でのAgを触媒とするグラフェンの酸化、およびAg触媒を除去するための希釈硝酸を用いての環流を含む。Ag触媒の添加量を調節することによって、hGシート製品の穴の大きさを広い範囲で調整することができる(現在の研究で実証された平均の直径は約5nmから数十nmまで)。第二の工程における空気酸化の温度と時間および最後の工程における酸処理の強さも、最終的なhGシートの穴の形態に影響するかもしれない。この手順はかなり大規模化が可能であり、数グラムのhGシートを定常的に製造するのに用いることができることが見いだされた。穴の多い構造にもかかわらず、hGシートは二次元の黒鉛結晶性をかなり保持していることが重要であり、このことは顕微鏡分析と分光分析の組み合わせによって明らかになった。従って、hGシートは電気的、熱的および機械的な特性のような、損なわれていない(穴の無い)グラフェンシートの重要な特性を保っていた。この発見はhGの適用可能性に重大な影響を及ぼす。例えば、hGシートは、かさ密度が比較的低いけれども機械的強度を保持していること、独特なグラフェンの網状構造による寄与、さらには穴の存在に伴うマトリックスと充填材の相互作用の向上の故に、出発の損なわれていないグラフェンシートよりも良好なポリマー複合材料のための補強材になることが、予備的な実験によって示されている。hGシートの導電性と多孔質構造は、それらをエネルギー貯蔵用途における進歩した電極材料として用いることを可能にするかもしれず、そのためにさらに詳細な研究が現在進行中である。
[88]実験の詳細
[89]材料
酢酸銀(I)(99%)をAldrich Chemical Companyから購入した。グラフェンの粉末(Vor-X;グレード:還元070;ロット:BK-77x)をVorbeck Materialsから得た。直径の範囲が約20〜150nmのMWNT(バッチ#UK115b)をケンタッキー大学から購入した。ウルテム(登録商標)1000をGE Plasticsから得た。全ての材料と化学物質を、受け入れたままの状態で使用した。
[90]測定
二次電子(SE)および透過電子(TE)のそれぞれのモードの下でHitachi S-5200電界放出SEM装置を用いてSEM画像とTEM画像を得た。JEOL 2000電界放出TEM装置において電子回折パターンとそれに対応するTEM画像を得た。放射線源(λ=1.5418Å)としてCuKαを用いてSiemens D5000X線回折計においてXRD分析を行った。ThermoFisher ESCAlab 250X線光電子分光計においてXPSスペクトルを得た。532nmと785nmの波長を有する励起レーザーを備えたThermo-Nicolet-Almega分散型ラマン分光計においてラマンスペクトルを得た。Quantachrome Nova 2200e表面積および細孔サイズ分析装置においてBET表面積の測定を行った。Seiko TG/DTA 220 (SSC/5200) 装置において熱重量分析(TGA)と示差熱重量分析(DTG)のトレースを得た。機械的な試験のためにポリマーリボンの試験片を約5cm×5mmのストリップに切り出し、それらの試験を20mmのゲージ長さと10mm/分のクロスヘッド速度においてInstron 5848マイクロ試験機において少なくとも5個の試験片を用いて室温で行った。
[91]工程I−触媒の堆積:Agナノ粒子で修飾したグラフェン(Ag-G)
手順は他で報告されたAgナノ粒子で修飾したMWNTについてのものと同様であった。典型的な反応において、望ましい比率(1または10モル%のAg(対C)、9または47重量%に相当)の入手したままのグラフェン粉末(100mg)と酢酸銀の粉末を、SPEX CertiPrep 8000D高エネルギーシェーカーミルを備えたジルコニアバイアル-ボールセット(SPEX CertiPrep、約20cmの混合装填量、2ボール)を用いて5分にわたって機械的に混合した。次いで、固体の混合物を適当な容器(例えば、アルミニウム皿またはガラスビーカー)に移し、窒素オーブン(Blue M Electric A-5245-Q不活性ガスオーブン、窒素の流量:約60〜80cm/分)の中で350℃になるまで1時間加熱し、そして等温で3時間保持した。次いで、生成物を (Ag-G)または (Ag-G)10のサンプルとして捕集した(下付きの数字はパーセントでのAg対Cのモル比に相当する)。
[92]工程II−触媒酸化:空気酸化したAg-G
典型的な反応において、工程IからのAg-Gのサンプル(100mg)を、空気中で開口管炉または空気オーブンを用いて所定の温度(250〜400℃)まで1時間にわたって加熱し、そして等温で3時間保持した。
[93]工程III−触媒の除去:穴の多いグラフェン(hG)
典型的な反応において、空気酸化したAg-Gのサンプル(50mg)を希釈硝酸(2.6M、30mL)の中で2時間にわたって環流し、それによりAgを除去した。冷却した後、スラリーを遠心分離し、そして上澄みを捨てた。次いで、固形分を10回以上まで再分散と遠心分離のサイクルを行う中で水で繰返し洗浄し、これを上澄みが中性(pH>6)になるまで行った。次いで、固形分を注意深く乾燥して、最終的なhG製品を得た。炭素の重量についての典型的な全体の収率は、hGとhG10のサンプルについてそれぞれ約80%と68%であった(300℃で3時間の空気酸化)。
[94]ウルテムをベースとするナノ複合材料
ナノ複合材料にするための後続の溶融加工を行うために、1重量%のグラフェンのサンプルおよびhGのサンプルと混合するためのポリマーマトリックスとしてウルテムを用いた。用いた混合装置は、RS7500駆動/データ収集装置(Rheometer Services)に装着したローラーブレード(C.W. ブラベンダー)を備えた30mLハーフサイズ混合器であった。パージガスを用いずに、各々のサンプルを325℃および25rpmで150分にわたって処理した。次いで、混合物を、メッシュスクリーン(ろ過網)(穴の直径:約4.76mm)を備えた細断機または粉砕機に通した。リボンを製作するために、素材としてのウルテムのサンプルと1重量%のグラフェンまたはhGの充填材を含むナノ複合材料の両者について、溶融加工した混合物を190℃のローター温度と350℃のヘッド(0.38mm×19.1mm)温度において実験室用混合押出し機(Dynisco LME)に通して押出した。
[95]明らかに、本発明の基本的な精神から逸脱することなく多くの修正を成しうる。従って、添付した特許請求の範囲の中で、本明細書に特に記載したこと以外について本発明を実施できることが、当業者には認識されよう。本明細書に記載して特許請求の範囲で明示している本発明の精神と範囲から逸脱することのない多くの改良、修正および付加は、当業者には明らかであろう。
文献リスト

Claims (24)

  1. 穴の多い炭素同素体を形成するための方法であって、以下の各工程:
    固体状の炭素同素体を用意すること;
    炭素同素体のシートの表面に炭素酸化触媒のナノ粒子を容易で制御可能かつ溶媒を用いないプロセスで堆積させ、それにより炭素酸化触媒−炭素同素体物質を得ること;
    得られた炭素酸化触媒−炭素同素体物質を空気中で熱処理に供すること;
    炭素酸化触媒のナノ粒子と接触している炭素を選択的に酸化してガス状の副生物とすること;および
    炭素酸化触媒のナノ粒子を除去し、それにより炭素同素体の表面に穴が残るようにすること;
    を含む前記方法。
  2. 炭素の同素体は、グラフェン、酸化グラフェン、還元した酸化グラフェン、熱剥離したグラフェン、グラフェンナノリボン、黒鉛、剥離した黒鉛、膨張黒鉛、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンファイバー、カーボンブラック、非晶質カーボン、およびフラーレンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 炭素酸化触媒は遷移金属、希土類金属、酸化物、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 炭素酸化触
    媒はFe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、AgおよびAuからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 炭素酸化触媒のナノ粒子−炭素同素体は金属塩の先駆物質と炭素同素体の混合物を高温で加熱することによって調製され、このとき、金属塩の先駆物質は不活性雰囲気中で分解される、請求項1に記載の方法。
  6. 高温は100℃から500℃までの間である、請求項5に記載の方法。
  7. 加熱は、熱的なもの、電気的なもの、機械化学的なもの、電気化学的なもの、電子衝撃、イオン衝撃、電磁気的なもの、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される形でのエネルギーの入力によって行われる、請求項5に記載の方法。
  8. 高温は350℃である、請求項5に記載の方法。
  9. 金属塩の先駆物質は有機基を伴う化合物である、請求項5に記載の方法。
  10. 金属塩の先駆物質は無機基を伴う化合物である、請求項5に記載の方法。
  11. 金属塩の先駆物質は金属酢酸塩、金属アセチルアセトネート、金属硝酸塩、金属ハロゲン化物、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
  12. 炭素酸化触媒のナノ粒子は0.1モル%と20モル%の間の濃度にある、請求項1に記載の方法。
  13. 酸化の工程は150℃と500℃の間の温度で行われる、請求項1に記載の方法。
  14. 炭素酸化触媒のナノ粒子は、周囲温度と酸を環流させる温度の間の温度において酸の中の処理によって除去される、請求項1に記載の方法。
  15. 酸は硝酸、塩酸、硫酸、酢酸、クロロスルホン酸、リン酸およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  16. 穴の多いグラフェンを形成するための方法であって、以下の各工程:
    グラフェンのシートを用意すること;
    グラフェンのシートの表面にAgナノ粒子を容易で制御可能かつ溶媒を用いないプロセスで堆積させ、それによりAg-G材料を得ること;
    得られたAg-G材料を空気中で熱処理に供すること;
    Agナノ粒子と接触している黒鉛炭素を選択的に酸化してガス状の副生物とすること;および
    Agナノ粒子を除去し、それによりグラフェンのシートの表面に穴が残るようにすること;
    を含む前記方法。
  17. 熱処理は350℃の温度において行われる、請求項16に記載の方法。
  18. Agナノ粒子は金属銀の形になっている、請求項16に記載の方法。
  19. 酸化工程は250℃と400℃の間の温度において行われる、請求項16に記載の方法。
  20. 酸化工程は300℃の温度において行われる、請求項16に記載の方法。
  21. 金属銀は0.1モル%と20モル%の間の濃度にある、請求項18に記載の方法。
  22. Agナノ粒子は、周囲温度と酸を環流させる温度の間の温度において希釈硝酸の中の処理によって除去される、請求項16に記載の方法。
  23. 得られた穴の多い炭素同素体は、電気化学装置のための型枠として電極の中に組み込まれる、請求項16に記載の方法。
  24. 請求項23の方法に従って調製された電極。
JP2016538898A 2013-08-28 2013-08-28 制御された触媒酸化による穴の多い炭素同素体の大量調製 Pending JP2016538228A (ja)

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
PCT/US2013/000198 WO2015030698A1 (en) 2013-08-28 2013-08-28 Bulk preparation of holey carbon allotropes via controlled catalytic oxidation

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016538228A true JP2016538228A (ja) 2016-12-08
JP2016538228A5 JP2016538228A5 (ja) 2018-03-08

Family

ID=52587071

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016538898A Pending JP2016538228A (ja) 2013-08-28 2013-08-28 制御された触媒酸化による穴の多い炭素同素体の大量調製

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP3038976A4 (ja)
JP (1) JP2016538228A (ja)
KR (1) KR20160092987A (ja)
CA (1) CA2932452A1 (ja)
WO (1) WO2015030698A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019013059A1 (ja) * 2017-07-14 2019-01-17 国立大学法人信州大学 グラフェンのナノウィンドウ構造および高純度ガスの製造方法
CN110143587A (zh) * 2019-05-27 2019-08-20 西安交通大学 一种使石墨烯均匀负载微纳米粒子的方法

Families Citing this family (24)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9475709B2 (en) 2010-08-25 2016-10-25 Lockheed Martin Corporation Perforated graphene deionization or desalination
US10376845B2 (en) 2016-04-14 2019-08-13 Lockheed Martin Corporation Membranes with tunable selectivity
US9834809B2 (en) 2014-02-28 2017-12-05 Lockheed Martin Corporation Syringe for obtaining nano-sized materials for selective assays and related methods of use
US10980919B2 (en) 2016-04-14 2021-04-20 Lockheed Martin Corporation Methods for in vivo and in vitro use of graphene and other two-dimensional materials
US10653824B2 (en) 2012-05-25 2020-05-19 Lockheed Martin Corporation Two-dimensional materials and uses thereof
US9610546B2 (en) 2014-03-12 2017-04-04 Lockheed Martin Corporation Separation membranes formed from perforated graphene and methods for use thereof
US9744617B2 (en) 2014-01-31 2017-08-29 Lockheed Martin Corporation Methods for perforating multi-layer graphene through ion bombardment
US10203295B2 (en) 2016-04-14 2019-02-12 Lockheed Martin Corporation Methods for in situ monitoring and control of defect formation or healing
US9592475B2 (en) 2013-03-12 2017-03-14 Lockheed Martin Corporation Method for forming perforated graphene with uniform aperture size
US9572918B2 (en) 2013-06-21 2017-02-21 Lockheed Martin Corporation Graphene-based filter for isolating a substance from blood
EP3100297A4 (en) 2014-01-31 2017-12-13 Lockheed Martin Corporation Perforating two-dimensional materials using broad ion field
CN106029596A (zh) 2014-01-31 2016-10-12 洛克希德马丁公司 采用多孔非牺牲性支撑层的二维材料形成复合结构的方法
EP3116625A4 (en) 2014-03-12 2017-12-20 Lockheed Martin Corporation Separation membranes formed from perforated graphene
EP3188823A4 (en) 2014-09-02 2018-04-25 Lockheed Martin Corporation Hemodialysis and hemofiltration membranes based upon a two-dimensional membrane material and methods employing same
CA2994549A1 (en) 2015-08-05 2017-02-09 Lockheed Martin Corporation Perforatable sheets of graphene-based material
WO2017023377A1 (en) 2015-08-06 2017-02-09 Lockheed Martin Corporation Nanoparticle modification and perforation of graphene
KR20190019907A (ko) 2016-04-14 2019-02-27 록히드 마틴 코포레이션 자유-플로팅 방법을 사용한 대규모 이송을 위한 그래핀 시트 취급 방법
SG11201809016QA (en) 2016-04-14 2018-11-29 Lockheed Corp Selective interfacial mitigation of graphene defects
JP2019517909A (ja) 2016-04-14 2019-06-27 ロッキード・マーチン・コーポレーション 流路を有する二次元膜構造体
CN106413147A (zh) * 2016-09-08 2017-02-15 芜湖桑乐金电子科技有限公司 一种耐高压防潮碳晶板材及其制备方法
CN109706339A (zh) * 2018-12-29 2019-05-03 赛福纳米科技(徐州)有限公司 镀银碳纳米管-石墨烯复合材料的制备方法
CN109573984A (zh) * 2018-12-29 2019-04-05 苏州第元素纳米技术有限公司 纳米银复合碳纳米管的制备方法
CN110759327B (zh) * 2019-10-12 2022-12-02 宁波海秀丰科技有限公司 一种金属碳晶体的制备方法
KR102298215B1 (ko) * 2020-01-09 2021-09-03 건국대학교 산학협력단 고전도성과 다공성을 동시에 갖는 그래핀 산화물 종이 제조 방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000034110A (ja) * 1998-07-15 2000-02-02 Hitachi Ltd 炭素材
WO2009116157A1 (ja) * 2008-03-19 2009-09-24 住友商事株式会社 燃料電池用触媒の製造方法、電極接合体及び燃料電池
JP2012164492A (ja) * 2011-02-04 2012-08-30 Tokyo Institute Of Technology 燃料電池用空気極触媒とその製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110206932A1 (en) * 2009-10-23 2011-08-25 Showa Denko K.K. Surface-modified carbon nanotube and production method thereof
US8920764B2 (en) * 2011-02-11 2014-12-30 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Graphene composition, method of forming a graphene composition and sensor system comprising a graphene composition

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000034110A (ja) * 1998-07-15 2000-02-02 Hitachi Ltd 炭素材
WO2009116157A1 (ja) * 2008-03-19 2009-09-24 住友商事株式会社 燃料電池用触媒の製造方法、電極接合体及び燃料電池
JP2012164492A (ja) * 2011-02-04 2012-08-30 Tokyo Institute Of Technology 燃料電池用空気極触媒とその製造方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
LIN, YI, ET AL.: "BULK PREPARATION OF HOLEY GRAPHENE VIA CONTROLLED CATALYTIC OXIDATION", NANOSCALE, vol. VOL:5, NR:17, JPN5016009363, 4 June 2013 (2013-06-04), pages 7814 - 7824, ISSN: 0003800619 *

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019013059A1 (ja) * 2017-07-14 2019-01-17 国立大学法人信州大学 グラフェンのナノウィンドウ構造および高純度ガスの製造方法
JPWO2019013059A1 (ja) * 2017-07-14 2020-05-07 国立大学法人信州大学 グラフェンのナノウィンドウ構造、グラフェン膜、および高純度ガスの製造方法
US11278849B2 (en) 2017-07-14 2022-03-22 Shinshu University Graphene nanowindow structure and method for producing highly pure gas
CN110143587A (zh) * 2019-05-27 2019-08-20 西安交通大学 一种使石墨烯均匀负载微纳米粒子的方法

Also Published As

Publication number Publication date
CA2932452A1 (en) 2015-03-05
WO2015030698A1 (en) 2015-03-05
EP3038976A1 (en) 2016-07-06
EP3038976A4 (en) 2017-04-19
KR20160092987A (ko) 2016-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2016538228A (ja) 制御された触媒酸化による穴の多い炭素同素体の大量調製
US9120677B2 (en) Bulk preparation of holey graphene via controlled catalytic oxidation
JP2016538228A5 (ja)
Lin et al. Bulk preparation of holey graphene via controlled catalytic oxidation
TWI752933B (zh) 藉由催化劑溶液之奈米碳管混合材料的簡易製備
US8703090B2 (en) Methods for preparation of graphene nanoribbons from carbon nanotubes and compositions, thin films and devices derived therefrom
JP5228323B2 (ja) 単層カーボンナノチューブの製造方法
JP5306482B2 (ja) 乱層構造を持つ黒鉛性構造体からのグラフェンシートの製造方法およびその方法により製造されたグラフェンシート
Wang et al. Synthesis of 3D graphite oxide-exfoliated carbon nanotube carbon composite and its application as catalyst support for fuel cells
US20110244661A1 (en) Large Scale High Quality Graphene Nanoribbons From Unzipped Carbon Nanotubes
US20110206932A1 (en) Surface-modified carbon nanotube and production method thereof
JP5403284B2 (ja) ナノチューブ・ナノホーン複合体、およびその製造方法
JP2022530905A (ja) カーボン-カーボンナノチューブハイブリッド材料およびその製造方法
Sridhar et al. Direct growth of carbon nanofiber forest on nickel foam without any external catalyst
Yang et al. Longitudinal splitting versus sequential unzipping of thick-walled carbon nanotubes: Towards controllable synthesis of high-quality graphitic nanoribbons
KR102026782B1 (ko) 다층 그래핀과 금속합금분말을 이용하여 제조되는 다공성 실리콘-나노 탄소층-다층 그래핀 복합체 및 그 제조방법
JP4567319B2 (ja) カーボンナノチューブの製造方法
JP5776150B2 (ja) カーボンナノホーン集合体及びその製造方法並びにカーボンナノホーンを備える電池及びその製造方法
KR101249403B1 (ko) 나노복합체 멤브레인 및 이의 제조방법
KR102602966B1 (ko) 극성 탄소나노튜브 분산액 및 이의 제조방법
Tkalya Graphene-based polymer nanocomposites
Kumar et al. Bio-inspired engineering of 3D carbon nanostructures
Mohammad et al. Optimization of Cuprous Oxide Nanocrystals Deposition on Multiwalled Carbon Nanotubes
KR20160024245A (ko) 산화된 나노탄소 기반의 투명 전도성 필름의 제조방법
Borane et al. Recent trends in the “bottom-up” and “top down” techniques in the synthesis and fabrication of myriad carbonaceous nanomaterials

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170713

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170713

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20171012

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20171207

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180115

A524 Written submission of copy of amendment under article 19 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A524

Effective date: 20180115

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180522