JP6600180B2 - カーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法およびカーボンナノファイバー−炭素材料複合体 - Google Patents
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Description
しかし、これらの方法により得られたCNFを樹脂の導電材または導電助剤として使用する場合、導電性は十分ではなく、さらなる高導電性(低体積抵抗率)のCNFが求められている。また、これらの方法により得られたCNFを導電性付与剤として樹脂や無機物質に添加した場合、CNFの合成過程で生じたCNFの絡まり合いによりこれらの中に十分に分散できず、導電性が十分発揮されないといった過大もあった。そのため、さらなる高分散性のCNFが求められている。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、下記より構成される。
(1)鉄およびニッケルを主成分とする活性種、または鉄を主成分とする活性種から選択される活性種を、比表面積が0.1〜20m2/gの黒鉛粒子担体に担持した触媒を用いた、炭素含有ガスを炭素源とするカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
(2)炭素含有ガスが一酸化炭素である、(1)に記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
(3)活性種の黒鉛粒子担体への担持率が1〜50質量%である、(1)または(2)に記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
(4)反応温度が550〜650℃であり、全圧が0.05〜0.98MPaであり、一酸化炭素分圧が全圧に対し40〜95%であり、水素分圧が一酸化炭素分圧に対し1〜50%の原料ガスを用い、かつ全原料ガス流速が1NL/g−活性種・分以上の条件下で製造する、(2)または(3)に記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
(5)(1)〜(4)のいずれか一項に記載の製造方法で得られる、9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.05Ω・cm以下、ラマン分光分析で測定されるD/G値が2.4以下、トルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が20体積%以上である、カーボンナノファイバー−炭素材料複合体。
(6)鉄およびニッケルを主成分とする活性種中の鉄及びニッケルの質量比が6:4〜4:6である、(1)〜(4)の何れか一つに記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
(7)(6)に記載の製造方法で得られる、9.8MPaで測定した体積抵抗率が0.03Ω・cm以下、ラマン分光分析で測定されるD/G値が2.2以下、トルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が70体積%以上、の何れか一つ以上の条件を満たすカーボンナノファイバー−炭素材料複合体。
(8)9.8MPaで測定した体積抵抗率が0.03Ω・cm以下、ラマン分光分析で測定されるD/G値が2.2以下、トルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が70体積%以上、の何れか一つ以上の条件を満たす、カーボンナノファイバー−炭素材料複合体。
(9)(6)に記載の製造方法で得られるカーボンナノファイバー−炭素材料複合体を、分級して得られる、トルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が95体積%以上であるカーボンナノファイバー。
本明細書における合成活性とは、単位活性種質量あたり、単位時間あたり得られたCNFの質量である。また本明細書における収量とは単位活性種質量あたり得られたCNFの質量である。担体とは、該活性種を担持するための物質を意味する。
本発明ではCNF−炭素材料複合体を製造するための実質的な触媒の活性種として、鉄およびニッケルを主成分とする活性種、または鉄を主成分とする活性種から選択される活性種を含有する。ここで鉄またはニッケルとは、金属の形態のみならず、酸化物、水酸化物、含水酸化物、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩および炭酸塩等の化合物の形態を含む。
活性種が鉄およびニッケルから構成される触媒を用いた場合、得られるCNFは実質的にカーボンナノチューブ(CNT)である。一方、活性種が鉄の場合、得られるCNFにはヘリンボーン構造が多く含まれる。高い導電性(低い体積抵抗率)や結晶性を与える点や特にファイバーとしての力学強度を勘案すると、カーボンナノチューブ(CNT)構造であることが好ましく、鉄およびニッケルから構成される活性種が好ましい。
活性種が鉄およびニッケルを主成分とする場合、鉄とニッケルの質量比は任意であるが、鉄とニッケルの質量比は6:4〜4:6の範囲であることが好ましい。活性種が鉄およびニッケルを主成分である場合、得られるCNF−炭素材料複合体の結晶性や分散性が向上する。
担体としては、比表面積が0.1〜20m2/gの黒鉛粒子を用いる。本発明の黒鉛粒子とは天然黒鉛または人造黒鉛を示す。本発明の黒鉛粒子の概念は、繊維状炭素、例えば炭素繊維、活性炭素繊維やカーボンナノファイバー(CNF)を含まない。このような黒鉛粒子を担体として用いることで、非常に高いCNF合成活性を得ることができるため、CNF−炭素材料複合体を効率的に得ることができる。通常の金属酸化物系担体とは異なり、導電性である黒鉛粒子を担体に用いることで得られたCNFから担体を除去しなくても、導電性に優れたCNF−炭素材料複合体が得られる特徴がある。また驚くべきことに、比表面積が0.1〜20m2/gの黒鉛粒子を、上記活性種の担体として用いることで分散性に優れるCNF−炭素材料複合体が得られる。これは、CNF合成反応により直接得られるCNFが本質的に高分散性であり、かつ黒鉛粒子担体との相互作用、例えば絡まり合いが少ないからであると考えられる。さらにこのような黒鉛粒子担体を用いた場合、金属活性種との結合力が低く、容易に金属活性種が担体から遊離するという利点がある。
比表面積が0.1m2/g未満では、金属活性種の分散が不十分となり活性が低下してしまう。また、比表面積が20m2/gを超えるとCNFの合成活性が低下し、得られるCNF同士や担体を含むCNF同士の絡み合いが激しくなり分散性が低下してしまう。また、比表面積が20m2/gを超えると分級時に得られたCNFからの担体の分離が不十分となってしまう。
天然黒鉛の例としては塊状黒鉛、鱗片状黒鉛、土状黒鉛が挙げられるがこれら由来の上記黒鉛粒子であればいずれも使用可能である。精製し純度を向上させた天然黒鉛や薄片化した黒鉛も好ましく用いられる。天然黒鉛由来の粒子状黒鉛は例えば日本黒鉛工業から入手できる。
人造黒鉛としては、コークス、ピッチ、コールタール、樹脂から製造されるもので、上記の比表面積を満たすものが使用できる。この範疇にはメソフェーズカーボン、グラッシーカーボンも含まれる。人造黒鉛由来の粒子状黒鉛は、例えば東海カーボン、日立化成、昭和電工、日本黒鉛工業社から購入できる。これら黒鉛粒子は、リチウムイオン電池の負極用材料として用いられている物でも好適に使用できる。
なお、本明細書において担持率は以下の式に基づいて計算した。
担持率=活性種(金属分として)の質量/担体の質量×100(%)
本発明では、炭素含有ガスをCNFの炭素源とする。炭素含有ガスとしては、一酸化炭素が挙げられるが、二酸化炭素や水素との混合ガスとして使用してもよく、窒素ガス等の不活性ガスを含んでいてもよい。一酸化炭素の分圧は全圧に対し40〜95%であることが好ましい。一酸化炭素分圧が40%未満であると、活性が低下してしまうし、また得られるCNFの結晶性や導電性が低下する場合がある。また一酸化炭素分圧が95%より高いと、触媒の失活が激しくなり合成活性、収量が低下する場合がある。
尚、「NL」とは標準状態(0℃、1気圧)に換算したガス量L(リットル)を示し、「NL/g−活性種・分」とは、単位触媒存在下(触媒1gあたり)での1分間のガス流量を示す。
合成活性が50g−CNF/g−活性種・h(時間)以上であることは、経済的にCNFを合成する上で重要で有り、また得られるCNF−炭素材料複合体中に存在する触媒活性種の残量が少なく、種々の用途に用いる上で触媒の除去が容易で有り有利である。
<CNF−炭素材料複合体>
ここでD/G値とは、CNF粉体のラマン分光分析を行った際の、Dバンドピークに由来する面積の総和と、Gバンドピークに由来する面積の総和の比より求めることができる。D/G値が低いほどCNFの結晶性が高いことを示し、CNFの導電性が高くなることを意味する。
さらに、鉄およびニッケルを主成分とし、活性種中の鉄およびニッケルの質量比が6:4〜4:6の場合には、9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.03Ω・cm以下、D/G値が2.2以下、かつトルエン中で測定した1μm以下の分散粒子の割合が全体の70体積%以上である高分散性のCNF−炭素材料複合体を得ることができる。
粒度分布測定において1μm以上のCNF粒子分画は主に多数のCNF繊維の絡み合いにより形成されると考えられ、このような分画成分が多いほど導電材、導電助剤として例えば樹脂や電極材、電池活物質に混ぜる用途では分散性が乏しく導電性向上効果は少ないと考えられる。1μm以下の分散粒子が20体積%以上であるという高分散性は、導電材、導電助剤としての用途に有利である。
しかし特定の用途、例えば電池の電極に用いられる場合、鉄やニッケル等の活性種の除去が必要になる場合もある。これは公知の方法で可能であるが、具体的には特開2006−69850号公報等に記載された、CNFを塩酸、硝酸、硫酸等の酸に分散させた後、ろ過や遠心分離等の手段によってCNFを回収する方法に活性種金属の除去を行うことができる。本発明の本CNF−炭素材料複合体に対して、さらに公知の機械的分散処理、例えば機械式ホモジナイザーやビーズミル、乳化分散機を用いた処理を行っても良い。この場合でも従来のCNFと比較し分散性が良好であるので投入する分散エネルギーや分散コストが低減するメリットがある。
さらに本CNF−炭素材料複合体から高分散、高導電性等の特徴を有するCNFのみを分離して得ることも容易に可能である。本CNF−炭素材料複合体に含まれる担体成分は上記のごとく、CNFあるいは活性金属種との結合力が比較的低いため離れやすい特徴がある。また含まれる担体は比較的小さな比表面積を有する、すなわち比較的大きな粒子径を有するため、高分散性CNFとの分離は下記のような簡単な分級方法により分離することが可能である。
本発明で得られるCNF−炭素材料複合体の担体とCNFへの分離は公知の分級方法が利用可能である。このような分級方法としては重力(粒子の落下速度や落下位置の違い)、慣性力(流体中の慣性力を利用)、遠心力(流体の旋回を利用する)などを利用した方法が挙げられ、湿式、乾式いずれも利用できる。重力を利用する方法として乾式は各種篩、湿式では自然沈降分級、ハイドロセパレータが例示でき、慣性力を利用する方法として乾式ではエアセパレータが例示でき、遠心力を利用する方法としては乾式ではサイクロン、DSセパレータ、ターボクラシフィア、ミクロンセパレータ、湿式では遠心沈降機、液体サイクロンが例示できる。水力分級も使用可能で有り、例えばサイザー、ハイドロッシレーターが例示できる。
ここで、分散処理とは、機械的な分散、粉砕処理、例えば機械式ホモジナイザーやビーズミル、乳化分散機での処理を意味する。また超音波ホモジナイザー、超音波分散機のような強力な超音波照射もこの範疇に入る。超音波出力が100W以下の市販のバス式の超音波洗浄機を使用した10分間以下程度の測定液の懸濁化、均一化処理はこの範疇には入らない。また、分散性に関する測定、つまり本明細書における1μm以下の分散粒子の割合およびメジアン径を測定する際に、測定装置に付属の装置を用い、例えば、73W、2分間超音波処理程度であって、測定に必要な均一化、分散前処理(以下測定前処理)はここで言う分散処理に含まれない。本実施形態のCNFは、同じ測定前処理を施しても従来のCNFと比較し高い分散性を示し、かつ本明細書の分散性に関する基準を満たすことができる。
本発明のCNF−炭素材料複合体は、コスト的に不利な分散処理を行わなくても高分散性を示す点で工業的価値が高いと考えられる。例えば、導電材、導電助剤としての用途に有利であり、より少量の添加で高い導電性を達成することが可能となる。トルエン中での1μm以下の分散粒子においては、CNFは1本ないしは数本程度の絡み合いで分散していると考えられ、極めて分散性が高いと考えられる。
黒鉛粒子担体の比表面積、およびCNF−炭素材料複合体の比表面積は、Mountech社製Macsorb HM model−1201を用い、JIS K6217−2に従いBET一点法で求めた。
尚、CNFの比表面積は以下の式により、含まれる黒鉛粒子担体の寄与を除き算出した。
CNFの比表面積:Sc(m2/g)
CNF−炭素材料複合体の比表面積:So(m2/g)
担体の比表面積:Ss(m2/g)
CNF合成活性(単位活性種あたり単位時間あたり):Act(g−CNF/g−活性種/時間)
含まれる黒鉛粒子担体の質量割合=C
C=100/(Act×5+100)
Sc=(So−Ss×C)/(1−C)
CNF−炭素材料複合体およびCNFの体積抵抗率は、三菱化学アナリティック社製ロレスタGPを用い、23±1℃、相対湿度50%の雰囲気にて、荷重9.8MPaの条件下、四探針法にて求めた。
CNF−炭素材料複合体およびCNFのラマン分光分析は、顕微レーザーラマン分光分析装置(Niolet Almega−XR型、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、レーザー532nm)を用い行った。Dバンド(D1:ピーク位置1330cm−1、D3:1500cm−1、D4:1150cm−1)とGバンド(G+:1600cm−1、G−:1570cm−1)の波形分離を行った後、Dバンドピークに由来する面積の総和とGバンドピークに由来する面積の総和の比(D/G値)を求めた。本D/G値が低いほどCNFの結晶性が高いことを示している。
(参考)
D1:グラファイト結晶構造内の点欠陥、結晶端由来の欠陥に由来
D3:アモルファスカーボンに由来
D4:ポリエンやイオン性不純物に由来
G+:グラファイトの結晶性ピーク:縦光学モード
G−:グラファイトの結晶性ピーク:横光学モード
CNF−炭素材料複合体またはCNFの0.1質量%のトルエン分散液を調製し、市販のバス式超音波洗浄機(US CLEANER US−2Aアズワン社製、超音波出力80W)を用い5分間超音波処理を行い、分散液を均一化させた。
分散粒子の割合及びメジアン径の測定は、粒度分布計(LS 13 320 ユニバーサルリキッドモジュール BECKMAN COULTER社製)を用い、レーザ回折・散乱法(ISO 13320:2009)に準拠して実施した。光学モデルをトルエンの屈折率に設定し、トルエンを充填し、ポンプスピード50%の条件でオフセット測定、光軸調整、バックグラウンド測定を行った後、粒度分布計に調製したトルエン溶液を、粒子によってビームの外側に散乱する光のパーセントを示す相対濃度は8〜12%、もしくはPIDSが40%〜55%になるように加え、粒度分布計付属装置により73W、2分間超音波照射を行い(測定前処理)、30秒循環し気泡を除いた後に粒度分布測定を行った。粒度(粒子径)に対する体積%のグラフを得て、1μm以下の分散粒子の存在割合及びメジアン径D50値を求めた。
測定は、CNF−炭素材料複合体1試料につき、採取場所を変え3回測定用サンプルを採取し、1サンプル毎に3回上記粒度分布測定を行い、1μm以下の分散粒子の存在割合及びメジアン径D50値のそれぞれ計9個のデータのうち、最大値と最小値を除いた7個の平均値を求めた。
J−SP:高純度黒鉛粉末、日本黒鉛工業社製(比表面積10.3m2/g、中心粒径7μm)粉砕品
MAG−D:人造黒鉛粉末、日立化成工業社製(比表面積3.3m2/g、中心粒径24μm)
GC−20SS:グラッシーカーボン、東海カーボン社製(比表面積0.8m2/g、中心粒径8μm)
EC300J:ケッチェンブラック、ライオン社製(比表面積870m2/g、中心粒径0.035μm)
FE400:活性炭素繊維、東邦レーヨン社製(比表面積1180m2/g)
Flotube9000:CNF、Cnano社製(比表面積241m2/g)
HA−05:αアルミナ、電気化学工業社製(比表面積2m2/g、中心粒径5μm)
DAW70:αアルミナ、電気化学工業社製(比表面積0.2m2/g、中心粒径70μm)
硝酸鉄(III)九水和物(関東化学社製高純度試薬純度99.95%)
酢酸鉄(II)(和光純薬社製、特級試薬)
硝酸ニッケル(II)六水和物(関東化学社製、高純度試薬純度99.95%)
酢酸ニッケル(II)四水和物(和光純薬社製、純度98%)
硝酸コバルト(II)六水和物(関東化学社製、高純度試薬)
エチルアルコ−ル(純正化学社製、1級試薬純度99.5%)
(触媒合成例1)
J−SP(高純度黒鉛粉末)1gあたり鉄(以下、断りのない限り金属分を表す)とニッケル(以下、断りのない限り金属分を表す)の合計の担持率が5質量%、鉄とニッケルの質量比が5:5になるように酢酸鉄(II)と酢酸ニッケル(II)四水和物を秤量し、黒鉛粉末1gあたり蒸留水6gおよびエチルアルコ−ル6g(蒸留水:エチルアルコ−ル=1:1質量比)を加え、十分に溶解,分散させた。なす型フラスコをロータリーエバポレーターに取り付け、50℃の水浴内で1時間回転攪拌した。その後ロータリーエバポレーターの減圧を開始し、溶媒を除去した。溶媒除去後エバポレ−タから外し、真空乾燥器にて60℃15時間以上乾燥させた。ヘラを用いて触媒をフラスコから掻きだしメノウ製乳鉢に移し、凝集した触媒を粉砕することで、担持率が5質量%で、鉄とニッケルの質量比が5:5の鉄−ニッケル/黒鉛粒子担持触媒を得た。触媒は乾燥状態で保存した。
鉄とニッケルの担持率の合計が5質量%、鉄とニッケルの質量比が5:5になるよう、原料として硝酸鉄(III)九水和物と硝酸ニッケル(II)六水和物を用いた以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPからMAG−D(人造黒鉛粉末)に変更した以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPからGC−20SS(グラッシーカーボン)に変更した以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
鉄とニッケルの質量比が7:3になるように秤量し用いた以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
鉄とニッケルの質量比が7:3になるように秤量し用いた以外は、触媒合成例2と同様にして触媒を合成した。
鉄とニッケルの質量比が7:3になるように秤量し、担体をJ−SPからMAG−D(人造黒鉛粉末)に変更した以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
鉄とニッケルの質量比が7:3になるように秤量し、担体をJ−SPからGC−20SS(グラッシーカーボン)に変更した以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
酢酸鉄(II)を用い、活性種として鉄の担持率を5質量%とした以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPからMAG−D(人造黒鉛粉末)に変更した以外は、触媒合成例9と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPからGC−20SS(グラッシーカーボン)に変更した以外は、触媒合成例9と同様にして触媒を合成した。
鉄の原料として硝酸鉄(III)九水和物を用いた以外は、触媒合成例11と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPからEC300J(ケッチェンブラック)に変更した以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPからFE400(活性炭素繊維)に変更した以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
硝酸鉄(III)九水和物の代わりに、コバルトの担持率が5質量%となるように硝酸コバルト六水和物(II)を用いた以外は、触媒合成例11と同様にして触媒を合成した。
硝酸鉄(III)九水和物の代わりに、ニッケルの担持率が5質量%となるように硝酸ニッケル(II)六水和物を用いた以外は、触媒合成例11と同様にして触媒を合成した。
硝酸鉄(III)九水和物の代わりに、ニッケルの担持率が5質量%となるように硝酸ニッケル(II)六水和物を用いた以外は、触媒合成例1と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPからCNano社Flotube9000(市販CNF)に変更した以外は、触媒合成例9と同様にして触媒を合成した。
鉄とニッケルの合計が5質量%、鉄とニッケルの質量比が7:3になるように硝酸鉄(III)九水和物と硝酸ニッケル(II)六水和物を秤量し用いた以外は、比較触媒合成例6と同様にして触媒を合成した。
担体をJ−SPから電気化学工業社アルミナHA−05に変更した以外は、触媒合成例9と同様にして触媒を合成した。
鉄とニッケルの合計が5質量%、鉄とニッケルの質量比が7:3になるように硝酸鉄(III)九水和物と硝酸ニッケル(II)六水和物を秤量し、担体を電気化学工業社アルミナDAW70に変更した以外は、比較触媒合成例8と同様にして触媒を合成した。
特許第5003923を参考に、担持触媒以外の触媒として、共沈法触媒を合成した。イオン交換水25mLに硝酸コバルト〔Co(NO3)2・6H2O:分子量291.03〕5.75g(0.02モル)、硝酸マグネシウム〔Mg(NO3)2・6H2O:分子量256.41〕5.10g(0.02モル)を溶解させ、原料溶液(1)を調製した。また、重炭酸アンモニウム〔(NH4)HCO3:分子量79.06〕粉末11g(0.139モル)をイオン交換水55mLに溶解させ、原料溶液(2)を調製した。次に、反応温度40℃で原料溶液(1)と(2)を混合し、その後4時間攪拌した。生成した沈殿物のろ過、洗浄を行い、乾燥した。これを600℃で4時間焼成した後、乳鉢で粉砕し、触媒を取得した(以下、共沈法触媒と略す)。
(実施例1)
原料の一酸化炭素は、(株)鈴木商館から購入した,G1グレード(純度99.95%)を使用した。
石英製の反応管内に、触媒合成例1で得られた担持触媒100mgを仕込んだ触媒ホルダーを設置し、窒素を十分流して窒素置換した。さらに、窒素80%、水素20%の還元ガスを大気圧(0.1MPa)下流しながら昇温し、反応温度である610℃に達してから30分間保持して触媒の還元を行った。引き続き原料ガスを、610℃、大気圧下、原料ガス比CO/H2/N2=50/20/30、全原料ガス流速66NL/g−活性種・分で触媒層を通過させ、CNF−炭素材料複合体の製造を1時間行った。所定の時間反応を行った後に、原料ガスを窒素ガスに切り替え、直ちに冷却した。
(実施例2〜12)
実施例1と同じ条件下、表1に示す触媒を用い反応を実施した。触媒にニッケルを含む場合には、反応終了後、水素を流しながら冷却を行った。得られたCNF質量と用いた触媒質量(活性種質量)、反応時間から、単位触媒活性種、単位時間あたりのCNF合成活性を計算し、さらに得られたCNF−炭素材料複合体の体積抵抗率、D/G値、比表面積および粒度分布(分散性)を測定した。結果を表1に示す。またSEM観察またはTEM観察により得られたCNF−炭素材料複合体の形状を観察したが、その中に含まれるCNFはいずれも本発明のCNFの定義である、平均外径5〜100nm、ファイバー長の外径に対する比を示すアスペクト比(平均)が10以上であり、かつ多層構造であるCNFであることが確認された。
比較触媒合成例1〜10で得られた触媒を用い、実施例1と同様に反応を行い、CNFの分析を行った。
市販のCNF(CNano社、Flotube9000)の体積抵抗率、D/G値、比表面積および粒度分布(分散性)を測定した。
担体としてアルミナを用い、これに鉄または鉄及びニッケルを担持した場合、活性は高いものの得られたCNF−担体複合体の体積抵抗率は本発明の範囲より高く、導電性が低かった。導電性が低い原因の一つとして、担体自体が絶縁性のアルミナであることが挙げられる。しかし、活性は高く得られたCNFの質量は担体のアルミナ質量の約4倍で有り、絶縁性担体の効果よりも得られたCNF自体の導電性が低かったと考えられる。ラマン分光分析で得られた本CNFのD/G値も本発明の範囲より高く結晶性が悪いことも本考察を裏付ける。
しかし、ニッケル単独の場合分散性が低下してしまう。活性種が鉄およびニッケルから構成される触媒を用いた場合、得られるCNFは実質的にカーボンナノチューブ(CNT)である(図1、2)。一方、活性種が鉄の場合、ヘリンボーン構造が多く含まれる(図3、4)。
活性種が鉄およびニッケルから構成される触媒を用いた場合、得られるCNF−炭素材料複合体のトルエン溶媒中1μm以下の分散粒子は全体の50体積%以上、D/G値として2.2以下の高い結晶性を示す。一例として、実施例3で得られたCNF−炭素材料複合体の粒度分布曲線を図5に示す。
活性種の鉄とニッケルの質量比が6:4〜4:6の範囲である場合には、ラマン分光分析で測定されるD/G値が2.2以下の高い結晶性、および体積抵抗率0.030Ω・cm以下の高導電性を有し、かつトルエン中で測定した1μm以下の分散粒子の割合が全体の70体積%以上である高分散性のCNF−炭素材料複合体が得られる。
市販のCNF粉の場合、体積抵抗率は低く導電性は高いが、粒度分布から見た分散性は良くないと考えられる。
なお、表中には体積基準粒子径分布における累積50%粒子径d50の値も示した。本発明の製造方法により得られるCNF−炭素材料複合体のd50値は15μm以下、活性種が鉄およびニッケルから構成される触媒を用いた場合は、d50値は1μm以下、最も好ましい活性種の鉄とニッケルの質量比が6:4〜4:6の範囲である場合にはd50値は0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下である。
(実施例13)
実施例2で得られたCNF−炭素材料複合体100mgをトルエン溶媒100ml中に加え、超音波洗浄機(US 2A アズワン社製、highモード)で5分間超音波分散し均一に分散させた。その後10分間静置し上澄み液80mlを注意深く分離した。CNFの回収率は約10質量%であった。上澄み液を用いて分散性を測定した。その結果、1μm以下の分散粒子の体積割合は全体の99%以上であった。本実施例の担体自体の分散性測定結果と比較すると、実質的にCNFのみが上澄み液に含まれていることがわかった。本CNFのD/G値は2.2であった。このように最も簡単な自然沈降分級でも簡単に、極めて分散性良好なCNFを単離することができる。本粒度分布曲線を図8に示す。図中点線は分級前、実線は分級後を示す。
Claims (8)
- 鉄およびニッケルを主成分とする活性種を、比表面積が0.1〜20m2/gの黒鉛粒子担体に担持した触媒を用いた、炭素含有ガスを炭素源とするカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
- 炭素含有ガスが一酸化炭素である、請求項1に記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
- 活性種の黒鉛粒子担体への担持率が1〜50質量%である、請求項1または2に記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
- 反応温度が550〜650℃であり、全圧が0.05〜0.98MPaであり、一酸化炭素分圧が全圧に対し40〜95%であり、水素分圧が一酸化炭素分圧に対し1〜50%の原料ガスを用い、かつ全原料ガス流速が1NL/g−活性種・分以上の条件下で製造する、請求項2または3に記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
- 9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.05Ω・cm以下、ラマン分光分析で測定されるD/G値が2.4以下、トルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が20体積%以上である、カーボンナノファイバー−炭素材料複合体。
- 鉄およびニッケルを主成分とする活性種中の鉄及びニッケルの質量比が6:4〜4:6である、請求項1〜4の何れか一項に記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体の製造方法。
- ラマン分光分析で測定されるD/G値が2.2以下である、または、ラマン分光分析で測定されるD/G値が2.2以下であり、さらに9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.03Ω・cm以下、トルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が70体積%以上、の何れか一つ以上の条件を満たすカーボンナノファイバー−炭素材料複合体。
- 請求項5、7記載のカーボンナノファイバー−炭素材料複合体を、分級してなる、トルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が95体積%以上である、カーボンナノファイバー。
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