JP2017006888A - カーボンナノファイバー製造用触媒、カーボンナノファイバーの製造方法およびカーボンナノファイバー - Google Patents

カーボンナノファイバー製造用触媒、カーボンナノファイバーの製造方法およびカーボンナノファイバー Download PDF

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Abstract

【課題】より高い活性で、より高い結晶性、高い導電性のCNFを製造するための、特定組成のコバルト/マグネシウムを含有する水酸化物触媒を提供する。さらに、この触媒と一酸化炭素を炭素源として用いた、より高い結晶性、高い導電性のCNFを製造する方法を提供する。【解決手段】CNFを製造する際、コバルトとマグネシウムを含む水酸化物を含有し、コバルト/マグネシウムのモル比が70/30〜30/70の範囲であるコバルト−マグネシウム水酸化物触媒を用いる。さらに、一定の反応条件を満たすCNFの製造方法により、高活性でより高い結晶性、高い導電性のCNFを得ることが出来る。【選択図】 図1

Description

本発明は、カーボンナノファイバー合成用の、特定組成のコバルト及びマグネシウムを含む水酸化物触媒、この触媒と一酸化炭素を炭素源として用いたカーボンナノファイバーの製造方法、並びにこの製造方法により得られるカーボンナノファイバーに関する。
樹脂に導電性付与するためのフィラーとして、あるいは各種電池、特にリチウムイオン電池の電極の導電性付与材として、導電性炭素材であるアセチレンブラックやカーボンナノファイバー(以下CNFと略す)、およびこれらの混合物が用いられる。特にCNFを用いるあるいは添加する場合、比較的低い導電性炭素材含量で高い導電率が得られる特徴があり、期待が集まっている。ここでCNFは一般的に5〜100nmの外径、ファイバー長の外径に対する比を示すアスペクト比は10以上という繊維状の形状を有する。
従来、CNFの製造には、電極放電法、触媒気相成長法、レーザ法等が用いられている。このうち、触媒気相成長法では、工業的にCNFを成長させる遷移金属粒子を触媒とし、炭素源である原料ガス、たとえばアセチレンやベンゼンと接触させることにより、一般的には900℃以上の高温で触媒粒子よりCNFを成長させる。なかでも、コバルト等の遷移金属成分を触媒とし、原料として一酸化炭素を主体とするガスからCNFを製造する方法が、高純度、高品位のCNFを、比較的温和な条件下で得る方法として着目されている(特許文献1〜5)。しかしながらその触媒あたりの収量や活性は十分ではなく、さらなる触媒の高活性が求められている。得られるCNFを導電材、導電助剤として使用する場合、より高い導電率(低い体積抵抗率)のCNFが求められている。また、従来のCNFは、それ自体の分散性が悪く、分散後処理が必要で有りこれにコストがかかることが課題である。
特開2004−299986号公報 特開2004−300631号公報 特開2006−152490号公報 再公表WO2009/110570号公報 再公表WO2012/053334号公報
本発明は、上記問題と実情に鑑み、より高い活性で、より高い結晶性、高い導電性のCNFを製造するための、特定組成のコバルト及びマグネシウムを含む水酸化物触媒を提供することを目的とする。さらに、この触媒と一酸化炭素を炭素源として用いた、より高い結晶性、高い導電性、高い分散性のCNFを製造する方法を提供することを目的とする。
すなわち、上記課題を解決する本発明は、下記より構成される。
(1)コバルトとマグネシウムを含む水酸化物を含有し、コバルト/マグネシウムのモル比が70/30〜30/70の範囲であることを特徴とする、カーボンナノファイバー製造用のコバルト/マグネシウム水酸化物触媒。
(2)(1)記載のコバルト/マグネシウム水酸化物触媒を用いた、一酸化炭素を炭素源としたカーボンナノファイバーの製造方法。
(3)反応温度が600〜800℃であり、一酸化炭素分圧が0.04〜0.98MPaであり、水素分圧が一酸化炭素分圧に対し1〜60%の原料ガスを用い、かつ一酸化炭素ガス流速が1NL/g−触媒・分以上の条件下で製造することを特徴とする、(2)記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
(4)反応温度が670〜800℃であることを特徴とする、(3)記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
(5)(4)記載の製造方法で得られた、9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.010〜0.020Ω・cm、ラマン分光測定で得られるD/G値が0.50〜1.50およびトルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が50体積%以上、の条件を全て満たすカーボンナノファイバー。
(6)9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.010〜0.020Ω・cm、ラマン分光測定で得られるD/G値が0.50〜1.50及びトルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が50体積%以上、の条件を全て満たすカーボンナノファイバー。
CNFを製造する際、特定組成のコバルト及びマグネシウムを含有する水酸化物を触媒として用いることで、より高い活性で、より高い結晶性、高い導電性、高い分散性のCNFを製造することが出来る。
(A)は、実施例1で得られたコバルト−マグネシウム水酸化物触媒のX線回折図である。 (B)は、比較例1で得られたコバルト−マグネシウム酸化物触媒のX線回折図である。 実施例11で得られたCNFの透過型電子顕微鏡写真である。
本明細書におけるカーボンナノファイバー(CNF)の定義は、平均外径5〜100nm、ファイバー長の外径に対する比を示すアスペクト比が10以上であり、中空構造を有する多層カーボンナノチューブ(MWCNT)をも包含する概念である。本明細書におけるカーボンナノファイバー(CNF)の定義には単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は含まれない。単層カーボンナノチューブは高導電性を示す特徴が有るが、カイラリティによる異性体が存在し、またバンドル構造をとる等、実用上の課題が有り、本願の目的とするものではない。本明細書のカーボンナノファイバー(CNF)としては、多層カーボンナノチューブが最も好ましい。本発明のカーボンナノファイバーの代表例として図2に実施例11で合成したCNFのTEM写真を示す。多層カーボンナノチューブであることが示される。
本明細書における合成活性とは、単位触媒重量あたり、単位時間あたり得られたCNFの重量である。また本明細書における収量とは単位触媒重量あたり得られたCNFの重量である。
本発明は、コバルトとマグネシウムを含む水酸化物からなるCNF製造用の触媒であり、コバルト/マグネシウムのモル比が70/30〜30/70の範囲であることを特徴とし、これを用い一酸化炭素を炭素源としてCNFを製造する方法である。ここでコバルトとマグネシウムを含む水酸化物からなる触媒(以下コバルト−マグネシウム水酸化物触媒と記載)について以下説明する。本発明のコバルト−マグネシウム水酸化物触媒はCNF製造の実質的な活性種としてコバルト成分を有し、触媒に含まれる第4〜12族元素の成分中、少なくとも80モル%以上、好ましくは90モル%以上、最も好ましくは98モル%以上がコバルト成分であることを示す。他に含まれても良い第4〜12族元素成分としては鉄、ニッケルの鉄族やマンガン、モリブデンが例示できる。これ以外に第1〜3族の成分が含まれ、本成分中、少なくとも80モル%以上、好ましくは90モル%以上、最も好ましくは98モル%以上がマグネシウム成分である。コバルト/マグネシウムのモル比は上記の通りである。
これらコバルトおよびマグネシウム成分は水酸化物として触媒中に存在する。存在形態は、水酸化コバルトおよび水酸化マグネシウムの混合物であっても、あるいはコバルトとマグネシウムの固溶体型の水酸化物であっても良い。第1〜3族の水酸化物成分は、反応時、あるいは反応前の還元処理時にコバルト活性種がマイグレーションにより結晶成長や一次粒子成長するのを抑制する効果があると考えられる。本コバルト−マグネシウム水酸化物触媒をCNF製造に用いると、昇温、還元前処理時、または還元前処理を行わない場合は反応初期に、触媒はその水酸化物の分解と共にコバルト成分の還元が起こる。このような分解によるガスの生成とコバルトの還元により、より微細なコバルト粒子が形成され、これが活性種となるために、対応する酸化物触媒と比較し高活性となると考えられる。
本発明において、一酸化炭素をCNFの炭素源とするという意味は、用いられる一酸化炭素/二酸化炭素の分圧比が100/100〜100/0の範囲、好ましくは100/10〜100/0の範囲であることを示す。これ以上二酸化炭素が含まれる割合が多いと、CNF製造の際に必要となる水素の消費量が多くなるため、製造コスト的に不利になる。
原料ガス中の炭素源としての一酸化炭素分圧は0.04〜0.98MPaの範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜0.30MPaの範囲、最も好ましくは0.05〜0.10MPaの範囲である。一酸化炭素分圧が0.04MPa未満では、合成活性が低下してしまうし、また得られるCNFの結晶性や導電性が低下してしまう。水素分圧は一酸化炭素分圧に対し1〜60%、好ましくは5%〜50%である。水素分圧が一酸化炭素分圧に対し、1%未満の場合は触媒の失活が起こりやすくなる。一方、水素分圧が一酸化炭素分圧に対し60%を超えると触媒活性が低下する場合があり、得られるCNFの結晶性や導電性が低下する場合がある。尚、原料ガス中には、二酸化炭素以外にも、窒素ガス等の不活性ガスが含まれても良い。
一酸化炭素、水素、二酸化炭素の原料ガスに、不活性ガスを加えた全ガス分圧は特に限定されないが、全圧は、絶対圧で0.05〜0.98MPaが好ましく、0.1(大気圧)〜0.5MPaがより好ましい。全圧が0.98MPaを超えると、製造に当たり高圧対応設備費用やユーティリティが嵩んでしまう可能性がある。また0.1MPa(大気圧)と比較し大きく減圧である場合は、高温の反応器に対し大気(酸素)の混入を防ぐためのシールが難しく、好ましくない場合がある。
本発明においては上記の条件を満たした上で、一酸化炭素の流速は1NL/g−触媒・分以上が好ましく、5NL/g−触媒・分以上がより好ましい。一酸化炭素の流速を1NL/g−触媒・分以上とすることで、CNFを高い合成活性で製造することができる。ここでいう高い合成活性とは、具体的には10g−CNF/g−触媒・h(時間)以上であることを意味する。全ガス流速の上限は特にないが、100NL/g−触媒・分を超えると、ガスの流量が多すぎて、余熱のためのユーティティコストが嵩み、好ましくない。
尚、「NL」とは標準状態(0℃、1気圧)に換算したガス量L(リットル)を示し、「NL/g−触媒・分」とは、単位触媒存在下(触媒1gあたり)での1分間のガス流量を示す。
得られるCNFの物性に関しては、CNFの収量が10g−CNF/g−触媒未満の場合には、得られるCNF中には比較的多くの触媒成分が残留しているため、用途によってはCNFからさらに残留触媒を除去する工程が必要となり好ましくない。本収量以上のCNFを、短時間の反応で達成させるために、本発明の触媒が高い合成活性を示す反応条件は重要である。特に気相流動床による製造を想定した場合、触媒の平均反応時間(滞留時間)は1時間以下にすることが生産性の面で好ましいので、反応時間1時間以下で収量10g−CNF/g−触媒以上を達成できる、言い換えると合成活性が上記10g−CNF/g−触媒・h(時間)以上であることが重要である。
本発明の反応温度は、600〜800℃であることが好ましい。本発明で得られるCNFの比表面積は得に限定はされないが、概ね50〜300m/gの範囲である。本発明で得られるCNFの平均直径は、特に限定されないが実質的には5〜50nmの範囲である。本発明の反応温度はより好ましくは670〜800℃であり、本発明の触媒を用い、本製造条件を満たすことで、9.8MPaで測定した体積抵抗率が0.01〜0.020Ω・cmの範囲である導電性に優れたCNFを高活性で製造することが出来る。またラマン分光測定で得られるD/G値が0.5〜1.50である結晶性に優れたCNFを高活性で製造することが出来る。さらに、分散処理を行わない状態で、トルエン中の1μm以下の分散粒子の存在割合が50体積%以上である、分散性が極めて良好なCNFを得ることができる。
ここで、分散処理とは、機械的な分散、粉砕処理、例えば機械式ホモジナイザーやビーズミル、乳化分散機での処理を意味する。また超音波ホモジナイザー、超音波分散機のような強力な超音波照射もこの範疇に入る。超音波出力が100W以下の市販のバス式の超音波洗浄機を使用した10分間以下程度の測定液の懸濁化、均一化処理はこの範疇には入らない。また、分散性に関する測定、つまり本明細書における1μm以下の分散粒子の割合およびメジアン径を測定する際に、測定装置に付属の装置を用い、例えば、73W、2分間超音波処理程度であって、測定に必要な均一化、分散前処理(以下測定前処理)はここで言う分散処理に含まれない。本実施形態のCNFは、同じ測定前処理を施しても従来のCNFと比較し高い分散性を示し、かつ本明細書の分散性に関する基準を満たすことができる。本発明の触媒を用い、最も好ましい製造条件下で得られるCNFは、上記のごとくラマン分光測定で求められるD/G値が0.5〜1.50、体積抵抗率0.010〜0.020Ω・cm、および、分散処理を行わない状態で、トルエン中の1μm以下の分散粒子の存在割合が50体積%以上という条件をすべて満たす。
本発明を別な観点から表現すると、ラマン分光測定で求められるD/G値が0.5〜1.50、かつ体積抵抗率0.010〜0.020Ω・cm、かつ分散処理を行わない状態で、トルエン中の1μm以下の分散粒子の存在割合が50体積%以上であるという特徴をすべて満たす、高い結晶性と高い導電性、さらに高い分散性を有する新規なCNFである。
本発明の実施に当たり、本発明の製造条件を満たす限り、公知の製造方法や公知の製造装置を用いることが出来る。例えば固定床反応装置や流動床反応装置、バッチ式あるいは回分式反応装置や連続式反応装置を用いることが出来る。
以下、実施例により、本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
<X線回折>
試料水平型多目的X線回折装置Ultima4−N(線源CuKα線、Niフィルター使用、検出器として高速1次元X線検出器/D/teX Ultra 2を使用)を用い、以下の条件で測定を行った。
・測定条件:連続法
・測定範囲:2θで10°−90°
・サンプリング幅:0.02°
・スキャンスピード:2°/min
・電圧:40kV、電流:40 mA
・発散スリット:2/3°
・発散縦スリット:10mm
・散乱スリット:8.00mm
・受光スリット:13.00mm
<比表面積測定>
CNF粉体の比表面積は、Mountech社製Macsorb HM model−1201を用い、JIS K6217−2に従いBET一点法で求めた。CNF中に残留する金属触媒が比表面積測定に与える影響を実質的に排除するために、測定は10g−CNF/g−触媒以上の収量であった試料を用いて測定した。
<体積抵抗率測定>
CNF粉体の体積抵抗率は、三菱化学アナリティック社製ロレスタGPを用い、23℃、相対湿度50%の雰囲気にて、荷重9.8MPaの条件下、四探針法にて求めた。測定にはCNFを100mg用いた。CNF中に残留する金属触媒が体積抵抗率測定に与える影響を実質的に排除するために、測定は10g−CNF/g−触媒・h以上の収量であった試料を用いて行った。
<ラマン分光測定>
CNF粉体のラマン分光測定は、顕微レーザーラマン分光分析装置(Niolet Almega−XR型、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、レーザー532nm)を用い行った。Dバンド(D1:ピーク位置1330cm−1、D3:1500cm−1、D4:1150cm−1)とGバンド(G+:1600cm−1、G−:1570cm−1)の波形分離を行った後、Dバンドピークに由来する面積の総和とGバンドピークに由来する面積の総和の比(D/G値)を求めた。本D/G値が低いほどCNFの結晶性が高いことを示している。
(参考)
D1:グラファイト結晶構造内の点欠陥、結晶端由来の欠陥に由来
D3:アモルファスカーボンに由来
D4:ポリエンやイオン性不純物に由来
G+:グラファイトの結晶性ピーク:縦光学モード
G−:グラファイトの結晶性ピーク:横光学モード
<粒度分布(分散性)測定>
CNF0.1質量%のトルエン溶液を調製し、市販のバス式超音波洗浄機(US CLEANER US−2Aアズワン社製、超音波出力80W)を用い5分間超音波処理を行い、液を懸濁化、均一化させた。分散粒子の割合及びメジアン径の測定は、レーザ回折・散乱法(ISO 13320:2009) により準拠して以下のように測定した。粒度分布計(LS 13 320 ユニバーサルリキッドモジュール BECKMAN COULTER社製)を用いた。光学モデルをトルエンの屈折率に設定し、トルエンを充填し、ポンプスピード50%の条件でオフセット測定、光軸調整、バックグラウンド測定を行った後、粒度分布計に調製したトルエン溶液を、粒子によってビームの外側に散乱する光のパーセントを示す相対濃度は8〜12%、もしくはPIDSが40%〜55%になるように加え、粒度分布計付属装置により73W、2分間超音波照射を行い(測定前処理)、30秒循環し気泡を除いた後に粒度分布測定を行った。粒度(粒子径)に対する体積%のグラフを得て、1μm以下の分散粒子の存在割合及びメジアン径D50値を求めた。測定は、CNF1試料につき、採取場所を変え3回測定用サンプルを採取し、1サンプル毎に3回上記粒度分布測定を行い、1μm以下の分散粒子の存在割合及びメジアン径D50値のそれぞれ計9個のデータのうち、最大値と最小値を除いた7個の平均値を求めた。
<コバルト−マグネシウム水酸化物触媒の合成>
(実施例1)
硝酸マグネシウム六水和物(純正化学株式会社製、試薬特級)、硝酸コバルト六水和物(関東化学株式会社製、高純度試薬)、水酸化カリウム(純正化学株式会社製、試薬特級)を用いた。
硝酸コバルト六水和物および硝酸マグネシウム六水和物を蒸留水に溶解し、各0.8モル/L濃度の水溶液を調製した。さらに、水酸化カリウムを蒸留水に溶解し20重量%の水溶液を調製した。
上記硝酸マグネシウム水溶液と硝酸コバルト水溶液をコバルトとマグネシウムのモル比が54:46になるように混合し、混合水溶液に40℃で攪拌しながら、水酸化カリウム水溶液を滴下してpHを10に調整した。その後40℃に保ちながら2時間撹拌を行い、生じた沈殿を吸引濾過により回収し、得られた固体成分を60℃で1日真空乾燥し、触媒を得た。
X線回折(XRD)測定の結果、水酸化コバルト:Co(OH)、および水酸化マグネシウム:Mg(OH)、またはこれら水酸化物間の置換型固溶体と考えられる回折パターンが得られた。図1(A)にX線回折図を示す。2θで19°付近、38°付近、51°付近の比較的ブロードなメインピークはいずれも水酸化コバルト:Co(OH)、水酸化マグネシウム:Mg(OH)、またはこれら水酸化物間の置換型固溶体に帰属される。
(実施例2)
実施例1と同様な方法で、コバルトとマグネシウムのモル比を33:67とした、コバルト−マグネシウム水酸化物触媒を合成した。
(実施例3)
実施例1と同様な方法で、コバルトとマグネシウムのモル比を67:33とした、コバルト−マグネシウム水酸化物触媒を合成した。
(比較例1)
実施例1と同様にしてコバルト−マグネシウム水酸化物触媒を製造し、これを電気炉にて空気中600℃5時間焼成してコバルト−マグネシウム酸化物触媒を得た。XRD測定の結果、酸化コバルト:CoOおよび酸化マグネシウム:MgO、またはこれら酸化物間の置換型固溶体と考えられる回折パターン、およびCoの回折パターンが得られた。図1(B)にX線回折図を示す。
37°付近、43°付近、62°付近のメインピークはいずれも酸化コバルト:CoOおよび酸化マグネシウム:MgO、またはこれら酸化物間の置換型固溶体に帰属される。19°付近、31°付近、37°付近、45°付近、59°付近、65°付近のピークはCoに帰属される。
(比較例2)
実施例1と同様な方法で、コバルトとマグネシウムのモル比を82:18とした、コバルト−マグネシウム水酸化物触媒を合成した。
(比較例3)
実施例1と同様な方法で、コバルトとマグネシウムのモル比を18:82とした、コバルト−マグネシウム水酸化物触媒を合成した。
(比較例4)
再公表WO2009/110570号公報を参考にして以下のようにコバルト−マグネシウム酸化物系触媒合成を行った。コバルトとマグネシウムの酸化物からなる共沈法触媒を以下の方法により調製した。硝酸コバルト・六水和物(純正化学株式会社製、試薬特級)および硝酸マグネシウム・六水和物(純正化学株式会社製、試薬特級)を蒸留水に溶解し、各0.8モル/L濃度の水溶液を調製した。さらに、炭酸水素アンモニウム(純正化学社製 試薬一級)を蒸留水に溶解し20質量%の水溶液を調製した。
上記硝酸マグネシウム水溶液と硝酸コバルト水溶液をコバルトとマグネシウムのモル比が54:46になるように混合し、混合水溶液に40℃で攪拌しながら、炭酸水素アンモニウム溶液を滴下してpHを10に調整した。その後40℃に保ちながら4時間撹拌を行い、生じた沈殿を吸引濾過により回収し、得られた固体成分を60℃で1日真空乾燥し、続いて400℃で5時間焼成処理を行うことで触媒を得た。
<CNFの製造>
(実施例4〜11)
原料の一酸化炭素は、(株)鈴木商館から購入した,G1グレード(純度99.95%)を使用した。
石英製の反応管内に、実施例1で得られたコバルト−マグネシウム水酸化物触媒10mgを仕込んだ触媒ホルダー(触媒層温度測定用熱電対付き)を設置し、窒素を十分流して窒素置換した。さらに、窒素80%、水素20%の還元ガスを大気圧(0.1MPa)下、表1に示す反応温度に昇温し、反応温度に達してから30分間保持して触媒の還元を行った。引き続き原料ガスを、全原料ガス分圧0.1MPaの条件下、表1に示す原料ガス組成、全原料ガス流速にて触媒層に通過させ、CNFの合成を1時間行った。所定の時間反応を行った後に、原料ガスを窒素ガスに切り替え、直ちに冷却した。得られたCNF重量と用いた触媒重量、反応時間から、単位触媒、単位時間あたりのCNF合成活性を計算し、さらに得られたCNFの体積抵抗率、比表面積、D/G面積比、分散性を求めた。結果を表1に示す。
(実施例12)
石英製の反応管内に、実施例2で得られたコバルト−マグネシウム水酸化物触媒10mgを仕込んだ触媒ホルダーを設置し、窒素を十分流して窒素置換した後に、窒素80%、水素20%の還元ガスを大気圧(101kPa)下、5NL/g−触媒・分で流しながら600℃まで昇温し、反応温度に達してから30分間保持して触媒の還元を行った。その後に表1に示す原料ガス組成、流速で触媒層を通過させ1時間反応を行った。結果を表1に示す。
(実施例13)
石英製の反応管内に、実施例3で得られたコバルト−マグネシウム水酸化物触媒10mgを仕込んだ触媒ホルダーを設置し、窒素を十分流して窒素置換した後に、窒素80%、水素20%の還元ガスを大気圧(101kPa)下、5NL/g−触媒・分で流しながら600℃まで昇温し、反応温度に達してから30分間保持して触媒の還元を行った。その後に表1に示す原料ガス組成、流速で触媒層を通過させ1時間反応を行った。結果を表1に示す。
(比較例5)
比較例5では、比較例1で得られたコバルト−マグネシウム酸化物触媒を用い、実施例4と同様に反応を行ったが合成活性は低く、体積抵抗率およびD/G面積比は高い数値となり、電気伝導率、結晶性が低下する結果となった。
(比較例6、7)
実施例4と同様に製造を行ったが、触媒は比較例2、3で得られたコバルト−マグネシウム水酸化物触媒を用いた。本発明の範囲外の組成を有する触媒を用いた場合、得られたCNF合成活性は低く所定の収量に達しなかったので体積抵抗率、比表面積、ラマン分光の測定を行わなかった。
(比較例8)
比較例4で得られた共沈法コバルト−マグネシウム酸化物系触媒を用い、実施例5と同様に反応を行った。実施例5と比較し、合成活性は低く、また体積抵抗率およびD/G面積比は高い数値となった。また、得られたCNFの分散性は実施例5と比較して著しく低かった。
本発明のコバルト−マグネシウム水酸化物触媒を用いた場合、対応する酸化物触媒や本発明の組成条件を満たさない水酸化物触媒に比べいずれも高い活性でCNFが得られている。さらにコバルト−マグネシウム水酸化物触媒を用いた場合、同じ条件下で比較例のコバルト−マグネシウム酸化物系触媒と比較し、高い電気伝導率(低い体積抵抗率)、かつ低いD/G値(高結晶性)を示すCNFが得られている。
本願における最も好ましい反応条件下である実施例4、5、6、11で得られたCNFは、体積抵抗率が0.010〜0.020Ω・cm、かつラマン分光測定で得られるD/G値が0.50〜1.50であり、さらに好ましく高い電気伝導率(低い体積抵抗率)、かつ低いD/G値(高結晶性)を示した。また、本願における最も好ましい反応条件下である実施例4、5、6、11で得られたCNFは、本願の条件を満たす高い分散性、すなわちトルエン溶媒中、1μm以下の分散粒子が50体積%以上を示した。
一酸化炭素を炭素源としCNFを合成する際、特定組成のコバルト/マグネシウムを含む水酸化物を触媒として用いることで、より高い活性で、より高い結晶性、高い導電性のCNFを製造することが出来る。

Claims (6)

  1. コバルトとマグネシウムを含む水酸化物を含有し、コバルト/マグネシウムのモル比が70/30〜30/70の範囲であることを特徴とする、カーボンナノファイバー製造用のコバルト/マグネシウム水酸化物触媒。
  2. 請求項1記載のコバルト/マグネシウム水酸化物触媒を用いた、一酸化炭素を炭素源としたカーボンナノファイバーの製造方法。
  3. 反応温度が600〜800℃であり、一酸化炭素分圧が0.04〜0.98MPaであり、水素分圧が一酸化炭素分圧に対し1〜60%の原料ガスを用い、かつ一酸化炭素ガス流速が1NL/g−触媒・分以上の条件下で製造することを特徴とする、請求項2記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
  4. 反応温度が670〜800℃であることを特徴とする、請求項3記載のカーボンナノファイバーの製造方法。
  5. 請求項4記載の製造方法で得られた、9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.010〜0.020Ω・cm、ラマン分光測定で得られるD/G値が0.50〜1.50およびトルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が50体積%以上、の条件を全て満たすカーボンナノファイバー。
  6. 9.8MPaの荷重下で測定した体積抵抗率が0.010〜0.020Ω・cm、ラマン分光測定で得られるD/G値が0.50〜1.50およびトルエン溶媒中1μm以下の分散粒子が50体積%以上、の条件を全て満たすカーボンナノファイバー。
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