JP2018030770A - ナノ炭素材料の分散方法、ナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体 - Google Patents

ナノ炭素材料の分散方法、ナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブが本来有する性質を損うことなく、かつ、時間経過しても良好な分散状態を保つことができるナノ炭素材料の分散方法及びナノ炭素材料の分散液を提供する。【解決手段】カーボンナノチューブ及び他の種類のナノ炭素材料から好適に調製された粉体材料を用い、好適な界面活性剤を含む水溶液に上記の粉体材料を加え、超音波処理を行うことにより、極めて優れた分散性を有するナノ炭素材料の分散液を得られることを発見した。【選択図】図1

Description

本発明は、ナノ炭素材料の分散方法、ナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体に関し、特に、従来にない分散剤及び分散処理方法を適用することにより、分散性と電気特性に優れたナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体を提供する技術に関するものである。
従来、炭素は、グラファイト、ダイヤモンド、無定形炭素など、性質が大きく異なる複数の同素体が存在することが明らかとなっていた。1980年代以降次々と新発見されたナノメートルサイズの炭素の同素体は、従来知られていた炭素同素体とは全く異なる原子構造や物性を有することが確かめられ、その工業的利用価値の高さが注目されている。本明細書ではそれらを「ナノ炭素材料」と称し、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、ナノグラフェン、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、カーボンブラック、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノクリスタル、活性炭などであって、数nm〜10μm程度のサイズのものを含むものとする。
ナノ炭素材料は炭素のみから構成されるため、極めて軽量で、高強度で、導電性を有する高分子材料である。その導電性は銅よりも優れ、強度は鋼よりも優れ、耐熱性が高く、多くの薬品に対しても反応せず、大気中で安定である。
ナノ炭素材料の中でも、カーボンナノチューブは、特に優れた電気特性、力学特性、熱特性などを示すものであり、様々な材料への応用が期待され、広く研究開発が行われている。例えば、カーボンナノチューブと樹脂とを混合した複合材とし、あるいはカーボンナノチューブ分散液をバインダーとを混合して乾燥させたものから、様々な用途の材料が得られる。
カーボンナノチューブは、ファンデルワールス力により凝集する性質があり、溶液中ではバンドル構造体を形成するため、そのままでは良好なカーボンナノチューブ複合材料を製造することができず、カーボンナノチューブを溶液中に分散(あるいは可溶化)させる工程が必要となる。カーボンナノチューブが良好に分散された溶液(分散液)を用いることが、カーボンナノチューブ複合材料の特性向上に大きく寄与することから、カーボンナノチューブを溶液中に安定的に分散させる技術に関して多くの提案がなされている。
溶液中のカーボンナノチューブの分散方法としては、有機溶媒(例えば、N−メチルピロリドン;NMP)を用いる方法、酸処理によりカーボンナノチューブを化学修飾する方法、界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム;SDS)によりミセル化する方法などがあり、さらに超音波処理やビーズミル処理などが併用されることも多い。
特許文献1には、アルキルエステル基、ビニリデン基及びアニオン性基を有する界面活性剤、カーボンナノチューブ、水性溶媒を含むカーボンナノチューブ分散液が提案されている(請求項1等)。この分散技術では、界面活性剤のビニリデン基が有する炭素二重結合がカーボンナノチューブと相互作用することによりカーボンナノチューブの分散が促進されるものとされており、従来のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)等の分散剤を用いた場合に比べて分散度が高く([0055]〜[0062]等)、さらにはpH変化に対する安定性が高い([0063]〜[0069]等)カーボンナノチューブ分散液が得られるとの結果が報告されている。
特開2010−13312号公報 特開2006−45034号公報
しかしながら、NMP等の有機溶媒やSDS等の界面活性剤を用いたカーボンナノチューブ分散液は、時間経過により再びカーボンナノチューブが凝集してしまうという問題点や作製したナノ炭素材料に有機溶媒や界面活性剤が不純物として残留してしまうという問題点が解消されていない。
酸処理によりカーボンナノチューブを化学修飾する方法は、溶媒に親和性を有する官能基を共有結合的にカーボンナノチューブ表面に導入するものであるが、これによりカーボンナノチューブが本来有する性質が失われたり、切断されてしまったりするという問題点が解消されていない。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、カーボンナノチューブが本来有する性質を損なうことなく、かつ、時間経過しても良好な分散状態を保つことができるナノ炭素材料の分散方法及びナノ炭素材料の分散液、並びにそれらによって得られるナノ炭素材料複合体を提供しようとするものである。
上記解決課題に鑑みて鋭意研究の結果、本発明者は、
(1)カーボンナノチューブ及び他の種類のナノ炭素材料から好適に調製された粉体材料を用い、
(2)好適な界面活性剤を含む水溶液に上記の粉体材料を加え、超音波処理を行う
ことにより、極めて優れた分散性を有するナノ炭素材料の分散液を得られることを発見し、本発明を成すに至った。
以下、具体的に説明する。
炭素原材料の粉体の調製
カーボンナノチューブ(多層カーボンナノチューブ;MWNTであって、平均直径1〜100nm、平均長さ1〜10μmのものが好ましい)粉体を主材料とし、これにナノオーダーサイズ(平均粒径20nm〜10μm)に粉砕された炭素材料を重量比1〜30%(より好ましくは10〜20%)混合して、ナノ炭素材料の粉体を得る。
カーボンナノチューブ粉体に混合する炭素材料は、グラフェン、カーボンブラック、活性炭のうち、1種類又は2種類以上であるのが好ましい。また、これらに代えてあるいはこれらに加えて、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノクリスタルなどを用いてもよい。
溶媒の調製
低級アルコールを重量比10〜100%含む水溶液に、重量比0.01〜10%の陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を添加したものを溶媒として用いる。
低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうち1種類又は2種類以上を用いるのが好ましい。
陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ドデシルイタコン酸塩のうち1種類又は2種類以上を用いるのが好ましい。
分散処理
上記の溶媒に上記のナノ炭素材料の粉体を加えた溶液に超音波を照射することで分散処理を行う。
こうして得られる本発明のナノ炭素材料の分散液は、優れた分散性を有しており、従来技術で得られるナノ炭素材料分散液が数時間から数日の時間経過により再凝集してしまうのに対し、数日経過後も分散処理直後とほぼ同等の分散性を保っている。
このような優れた分散性は、ナノ炭素材料の粉体に含まれるカーボンナノチューブ以外のナノオーダーサイズの炭素材料がカーボンナノチューブ同士の間に入り込んで固定化され、カーボンナノチューブ同士が凝集するのを防いでいること、さらには溶媒に添加される陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤の分散能力が超音波処理によって高められることにより得られたものと考えられる。
乾燥処理
分散処理によりスラリー状になったナノ炭素材料分散液を、スターラーなどによる高温攪拌で蒸発・乾燥させて、粉体を得る。このとき、分散液に含まれていた低級アルコールと陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤とが揮発するため、炭素成分の純度が高い粉体が得られる。この粉体は、ナノオーダーサイズに粉砕された各種の炭素材料の単体と比べて、顕著に優れた電気特性(低電気抵抗)を有することが確認された。
ナノ炭素材料複合体の作製
上記の粉体を樹脂材料等の基板物質(あるいはバインダー)とともに成形することにより、本発明のナノ炭素材料複合体を得る。このナノ炭素材料複合体は、従来のナノ炭素材料複合体に比べて、顕著に優れた電気特性(低電気抵抗)を有することが確認された。
本発明の概要
以上の知見に基づき、本発明は、低級アルコールを重量比10〜100%含む水溶液に対し、重量比0.01〜10%の陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を添加した溶媒中に、カーボンナノチューブに対し、重量比1〜30%の平均粒径10nm〜10μmの炭素材料を混合した粉体を加えて得た溶液に対し、超音波を照射することで分散処理を行うナノ炭素材料の分散方法を提供するものである。
本発明のナノ炭素材料の分散方法において、前記炭素材料は、グラフェン、カーボンブラック、活性炭のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散方法において、前記炭素材料は、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノクリスタルのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散方法において、前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散方法において、前記陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ドデシルイタコン酸塩のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散方法において、前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散方法において、前記カーボンナノチューブに対し、重量比10〜20%の前記炭素材料を混合することを特徴とする。
また、本発明は、低級アルコールを重量比10〜100%含む水溶液に対し、重量比 0.01〜100%の陰イオン性界面活性剤を添加した溶媒中に、カーボンナノチューブに対し、重量比1〜30%の平均粒径10nm〜10μmの炭素材料を混合した粉体を加えて得た溶液に対し、超音波を照射することで分散処理を行って得られるナノ炭素材料の分散液を提供するものである。
本発明のナノ炭素材料の分散液において、前記炭素材料は、グラフェン、カーボンブラック、活性炭のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散液において、前記炭素材料は、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノクリスタルのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散液において、前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散液において、前記陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ドデシルイタコン酸塩のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散液において、前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
本発明のナノ炭素材料の分散液において、前記カーボンナノチューブに対し、重量比10〜20%の前記炭素材料を混合することを特徴とする。
また、本発明は、上記のナノ炭素材料の分散液を乾燥させた粉体と、樹脂材料又は金属材料とからなるナノ炭素材料複合体を提供するものである。
以上、説明したように、本発明によれば、カーボンナノチューブが本来有する性質を損なうことなく、かつ、時間経過しても良好な分散状態を保つという従来にない高分散性を有することができるナノ炭素材料の分散方法及びナノ炭素材料の分散液、並びにそれらを原料とするナノ炭素材料複合体が提供される。
本発明のナノ炭素材料の分散方法及びナノ炭素材料の分散液の実施例1と比較例とについて、分散液の分散性の観察結果を示す図である。 本発明の実施例1にかかるナノ炭素材料複合体の成形体表面を走査型電子顕微鏡で撮影した画像である。 本発明の実施例1にかかるナノ炭素材料複合体の成形体表面を走査型電子顕微鏡で撮影した画像である。 本発明のナノ炭素材料の分散方法及びナノ炭素材料の分散液の実施例2と比較例とについて、分散液の分散性の観察結果を示す図である。 本発明のナノ炭素材料の分散方法及びナノ炭素材料の分散液の実施例3について、分散液の分散性の観察結果を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明のナノ炭素材料の分散方法、ナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明のナノ炭素材料の分散方法、ナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体の実施例として、ナノ炭素材料分散液及びナノ炭素材料複合体の具体的な製造方法とそれらが示す物性の試験結果について説明する。
炭素原材料の粉体の調製
多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、NC7000(平均直径9.5nm、平均長さ1.5μm、比表面積250〜300m2/g、炭素純度90%))0.1gと、グラファイト・ナノプレートレット(厚さナノメートルオーダーの鱗片状グラファイト粉末;TCNT社製)0.05gと、カーボンブラック粉末(CABOT社製、BP2000)0.05gとを混合して、ナノ炭素材料の粉体を調整した。
溶媒の調製
エタノール16ml、水4mlにドデシル硫酸ナトリウム(0.05g)を溶解して、溶媒を調整した。
分散処理
上記の溶媒に上記のナノ炭素材料の粉体を添加した溶液に、超音波ホモジナイザー(三井電気精機株式会社製、型式:UX−600、発振周波数20±1KHz、最大出力600W)により20分間超音波を照射して、カーボンナノチューブの分散液を得た。
比較例
上記実施例1に対する比較例として、下記4通りの方法でカーボンナノチューブ分散液を作製した。
(A)多層カーボンナノチューブ(上記同様)0.1gを水20mlに添加し、上記同様の超音波処理を行って得たカーボンナノチューブ分散液
(B)多層カーボンナノチューブ(上記同様)0.1gとカーボンブラック粉末(上記同様)0.05gとを混合した粉体を、エタノール16mlと水4mlとからなる溶媒に添加し、上記同様の超音波処理を行って得たカーボンナノチューブ分散液
(C)多層カーボンナノチューブ(上記同様)0.1gとグラファイト・ナノプレートレット(上記同様)0.05gとを混合した粉体を、エタノール16mlと水4mlとからなる溶媒に添加し、上記同様の超音波処理を行って得たカーボンナノチューブ分散液
(D)多層カーボンナノチューブ(上記同様)0.1gとカーボンブラック粉末(上記同様)0.05gとグラファイト・ナノプレートレット(上記同様)0.05gとを混合した粉体を、エタノール16mlと水4mlとからなる溶媒に添加し、上記同様の超音波処理を行って得たカーボンナノチューブ分散液
分散性の試験結果
上記の比較例によるカーボンナノチューブ分散液(A)〜(D)と、本発明の実施例1よるカーボンナノチューブ分散液(E)とをほぼ同時に作製し、保存容器に密封保存して常温下で静置し、5日間の経過を観察した。その観察結果を図1に示す。
図1において、超音波処理直後の時点では、分散液(B)〜(E)は程よく分散されているが、特に分散液(E)の分散性が優れていることが確認される。
超音波処理直後24時間経過した時点では、分散液(B)〜(D)の分散性が失われ、カーボンナノチューブの沈殿が見られる一方で、分散液(E)の分散性は保たれている。
超音波処理直後5日間経過した時点においても、分散液(E)は超音波処理直後と同等の分散性が保たれている。
乾燥処理
上記で得られたスラリー状のカーボンナノチューブ分散液を、スターラーで24時間撹拌(180℃)して蒸発・乾燥させて、乾燥した粉体を得た。
この粉体を再度、エタノール16mlと水4mlとからなる溶媒に添加して撹拌すると、最初と同様の分散性を有するカーボンナノチューブ分散液が得られることが確認された。
ナノ炭素材料複合体の作製
上記の粉体をPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のバインダーと混合し、熱プレス処理(200℃、10トン)して成形体を得た。この成形体は、電気抵抗率が0.3〜0.7Ω・cmと顕著に優れた電気特性を示すものであった。
この成形体の表面を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製、S−3000H)で撮影した画像を図2及び図3に示す。図2は倍率15000倍、図3は倍率6000倍で撮影した画像である。
図2及び図3に示すように、成形体中でカーボンナノチューブが凝集せず分散しており、所々に空孔が形成された構造となっていることが分かった。
炭素原材料の粉体の調製
(2−1)
多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、NC7000(平均直径9.5nm、平均長さ1.5μm、比表面積250〜300m2/g、炭素純度90%))0.1gと、グラファイト・ナノプレートレット(厚さナノメートルオーダーの鱗片状グラファイト粉末;TCNT社製)0.05gとを混合して、ナノ炭素材料の粉体を調整した。
(2−2)
多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、NC7000(平均直径9.5nm、平均長さ1.5μm、比表面積250〜300m2/g、炭素純度90%))0.1gと、カーボンブラック粉末(CABOT社製、BP2000)0.05gとを混合して、ナノ炭素材料の粉体を調整した。
溶媒の調製
エタノール16ml、水4mlにドデシル硫酸ナトリウム(0.05)を溶解して、溶媒を調整した。
分散処理
上記の溶媒に上記のナノ炭素材料の粉体を添加した溶液に、超音波ホモジナイザー(三井電気精機株式会社製、型式:UX−600、発振周波数20±1KHz、最大出力600W)により20分間超音波を照射して、カーボンナノチューブの分散液を得た。
比較例
上記実施例2に対する比較例として、下記2通りの方法でカーボンナノチューブ分散液を作製した(実施例1における比較例(A)及び(C)と同様)。
(A)多層カーボンナノチューブ(上記同様)0.1gを水20mlに添加し、上記同様の超音波処理を行って得たカーボンナノチューブ分散液
(C)多層カーボンナノチューブ(上記同様)0.1gとグラファイト・ナノプレートレット(上記同様)0.05gとを混合した粉体を、エタノール16mlと水4mlとからなる溶媒に添加し、上記同様の超音波処理を行って得たカーボンナノチューブ分散液
分散性の試験結果
上記の比較例によるカーボンナノチューブ分散液(A)及び(C)と、本発明の実施例2(上記2−1の粉体を使用)よるカーボンナノチューブ分散液(B)と、本発明の実施例2(上記2−2の粉体を使用)よるカーボンナノチューブ分散液(D)とをほぼ同時に作製し、保存容器に密封保存して常温下で静置し、6日間の経過を観察した。その観察結果を図4に示す。
図4において、超音波処理直後6日間経過した時点において、分散液(A)及び(C)の分散性が失われ、カーボンナノチューブの沈殿が見られる一方で、分散液(B)及び(D)の分散性は保たれている。
炭素原材料の粉体の調製
多層カーボンナノチューブ(Nanocyl社製、NC7000(平均直径9.5nm、平均長さ1.5μm、比表面積250〜300m2/g、炭素純度90%))0.1gと、活性炭粉末(株式会社ユー・イー・エス製、KD−PWSP(平均粒径6μm))0.05gとを混合して、ナノ炭素材料の粉体を調整した。
溶媒の調製
エタノール16ml、水4mlにドデシル硫酸ナトリウム(0.05g)を溶解して、溶媒を調整した。
分散処理
上記の溶媒に上記のナノ炭素材料の粉体を添加した溶液に、超音波ホモジナイザー(三井電気精機株式会社製、型式:UX−600、発振周波数20±1KHz、最大出力600W)により20分間超音波を照射して、カーボンナノチューブの分散液を得た。
分散性の試験結果
本発明の実施例3よるカーボンナノチューブ分散液(E)を作製し、保存容器に密封保存して常温下で静置し、6日間の経過を観察した。その観察結果を図5に示す。
図5において、超音波処理直後6日間経過した時点において、分散液(E)の分散性は保たれている。
尚、図5に示す分散液(D)は、実施例2における分散液(D)と同一のものである。
以上、本発明のナノ炭素材料の分散方法、ナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体について、具体的な実施の形態を示して説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、原材料、試薬、処理条件、処理手順、測定条件、測定方法について様々な変更・改良を加えることが可能である。
本発明のナノ炭素材料の分散方法、ナノ炭素材料の分散液及びナノ炭素材料複合体は、無機化学分野、有機化学分野、金属科学分野ほか多くの産業において利用することができるものである。

Claims (15)

  1. 低級アルコールを重量比10〜100%含む水溶液に対し、重量比0.01〜10%の陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を添加した溶媒中に、
    カーボンナノチューブに対し、重量比1〜30%の平均粒径10nm〜10μmの炭素材料を混合した粉体を加えて得た溶液に対し、
    超音波を照射することで分散処理を行うナノ炭素材料の分散方法。
  2. 前記炭素材料は、グラフェン、カーボンブラック、活性炭のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノ炭素材料の分散方法。
  3. 前記炭素材料は、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノクリスタルのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノ炭素材料の分散方法。
  4. 前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散方法。
  5. 前記陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ドデシルイタコン酸塩のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散方法。
  6. 前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散方法。
  7. 前記カーボンナノチューブに対し、重量比10〜20%の前記炭素材料を混合することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散方法。
  8. 低級アルコールを重量比10〜100%含む水溶液に対し、重量比0.01〜10%の陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤を添加した溶媒中に、
    カーボンナノチューブに対し、重量比1〜30%の平均粒径10nm〜10μmの炭素材料を混合した粉体を加えて得た溶液に対し、
    超音波を照射することで分散処理を行って得られるナノ炭素材料の分散液。
  9. 前記炭素材料は、グラフェン、カーボンブラック、活性炭のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項8に記載のナノ炭素材料の分散液。
  10. 前記炭素材料は、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンナノホーン、カーボンマイクロコイル、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンナノクリスタルのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項8又は9に記載のナノ炭素材料の分散液。
  11. 前記低級アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンのうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散液。
  12. 前記陰イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ドデシルイタコン酸塩のうち1種類又は2種類以上を含むことを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散液。
  13. 前記カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散液。
  14. 前記カーボンナノチューブに対し、重量比10〜20%の前記炭素材料を混合することを特徴とする請求項8から13のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散液。
  15. 請求項8から13のいずれか1項に記載のナノ炭素材料の分散液を乾燥させた粉体と、樹脂材料又は金属材料とからなるナノ炭素材料複合体。
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