JP2006044421A - 走行制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】先行車に追従する場合でも、自車両が必要以上に加減速しないようにできる。
【解決手段】走行制御装置は、自車両前方に先行車と先々行車とが存在しており(ステップS1、ステップS2)、その先行車が二輪車の場合において(ステップS3)、二輪車と先々行車との車間距離L1が距離L1d(Lmb)以下であり(ステップS8)、かつ自車両と二輪車との相対速度ΔVが相対速度ΔVd以上であり(ステップS9)、かつ道路幅方向において二輪車が先々行車の側面よりも外側にいるときには(ステップS10)、自車両と先々行車との車間距離である先々行車用車間距離L3が目標車間距離Lとなるような走行制御にして、先々行車に追従するようにする。
【選択図】図8

Description

本発明は、自車両と先行車との車間距離を目標車間距離に保ちつつ走行させるようにした走行制御装置に関し、特に先行車の前方に他の車両が存在する場合に好適な走行制御装置に関する。
特許文献1には、先行車と先々行車とが存在する場合の走行制御の技術が開示されている。この特許文献1で開示されている技術では、先行車の減速度と先々行車の減速度とを検出して、大きい方の減速度に基づいて減速制御している。
特開2002−104015号公報
前記特許文献1では、単に大きい減速度を選択して減速制御しているので、自車両が不要に減速してしまう場合がある。特に、先行車が二輪車の場合、二輪車の加減速が四輪車よりも大きいことから、二輪車の減速挙動に応じて自車両も大きく加減速してしまう。これでは、走行制御が運転者に不快感を与えてしまう。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、先行車に追従する場合でも、自車両が必要以上に加減速しないようにできる走行制御装置の提供を目的とする。
本発明に係る走行制御装置は、先行車と先々行車とが所定の距離に近づいた場合、被制御対象車を先行車から先々行車に変更して車間距離制御する。
先行車が先々行車にある程度近づいた場合に先行車は頻繁に加減速するようになるが、この場合、自車両は先々行車を被制御対象車として追従するようになるので、そのような先行車の加減速に不要に追従することがなくなる。
本発明によれば、先行車の加減速に不要に追従することがなくなり、走行制御が運転者に不快感を与えてしまうのを防止できる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の走行制御装置の概略構成図である。
図中、1は、自車両前方に位置する先行車との間の車間距離を検出するための車間距離センサ、2は、車両前方を撮像するためのCCDカメラ、4は、自車速を検出するための車速センサであって、後述の自動変速機6の出力側の回転速度を検出することにより、自車速を検出するようになっている。
車間距離センサ1は、例えばレーザ光を前方に掃射して先行車からの反射光を受光することにより、自車両前方に存在する車両と自車両との車間距離を計測するレーダ装置や電波や超音波を利用して車間距離を計測する測距センサ等を適用することができる。特に、本実施形態では、車両距離センサ1は、先行車及び先々行車と自車両との車間距離を測定できるように構成されている。
CCDカメラ2は、車両前部或いは車室内部に取り付けられ、自車両の走行路前方を撮像する。このCCDカメラ2の撮像画像が後述するコントローラ10の画像処理部12で処理されて、これにより先行車の車種が特定される。これについては後で詳述する。
また、図中、5は、スロットル開度信号に応じてスロットルバルブを開閉し、エンジンの吸入空気量を変えてエンジン出力を調節するスロットルアクチュエータ、6は、車速及びスロットル開度に応じて変速比を変える自動変速機、7は、車両に制動力を発生させる制動制御装置である。
そして、各種センサの検出信号は、コントローラ10に入力され、コントローラ10では、これら各種センサの検出信号に基づいて目標車速Vを算出し、自車速Vspが目標車速Vとなるように、スロットルアクチュエータ5、自動変速機6及び制動制御装置7を制御する。
コントローラ10は、マイクロコンピュータとその周辺機器とを備え、マイクロコンピュータのソフトウェア形態により、図2に示す制御ブロックを構成している。
この制御ブロックは、公知の走行制御装置における制御ブロックと同様に構成され、例えば、車速センサ4からの車速パルスの周期を計測し、自車速を演算する車速信号処理部11と、車間距離センサ1でレーザ光を照射してから先行車の反射光を受光するまでの時間を計測し、自車両前方の自車両の走行車線上に存在する先行車及び先々行車と自車両との間の車間距離Lを演算する測距信号処理部14と、車速信号処理部11で演算した自車速Vsp及び測距信号処理部14で演算された車間距離Lに基づいて、目標車間距離Lを設定すると共に、車間距離Lを目標車間距離Lに維持するための目標車速Vを算出する走行制御部30と、この走行制御部30で算出した目標車速Vに基づいて、自車速Vspを目標車速Vに一致させるように、スロットルアクチュエータ5、自動変速機6及び制動制御装置7を制御する車速制御部13と、さらに、CCDカメラ2からの撮像情報を処理するための画像処理部12とを備えている。
走行制御部30は、測距信号処理部14で算出された車間距離Lに基づいて自車両と先行車との相対速度ΔVを算出する相対速度演算部31と、車速信号処理部11から入力される自車速Vsp及び速度演算部31から入力される相対速度ΔV、或いは図示しない手動スイッチでの操作により運転者により設定される車間距離設定値Lsに基づいて目標車間距離Lを設定する目標車間距離設定部32と、相対速度演算部31で算出した相対速度ΔV及び測距信号処理部14で算出した車間距離Lに基づき、車間距離Lを目標車間距離設定部32で算出された目標車間距離Lに一致させるための目標車速Vを算出する車間距離制御部33とを備えている。
そして、車速制御部13では、目標車速Vと自車速Vspとの差分値から例えば、PID(比例−積分−微分)制御により公知の手順で目標加速度を算出し、目標加減速度が負値である場合には、この目標加減速度を実現し得るように制動制御装置7を制御して制動力を発生させ、逆に、目標加減速度が正値である場合には、前記目標加減速度を実現し得るようにスロットルアクチュエータ5のスロットル開度及び自動変速機6の変速比を制御する。
なお、後で詳述するが、走行制御装置は、条件に応じて、自車両と先行車との車間距離L2又は自車両と先々行車との距離L3を車間距離Lとして扱うことができるようになっている。すなわち、走行制御装置は、条件に応じて、走行制御の被制御対象車を先行車から先々行車に変更して、走行制御を行うことができるようになっている。
次に、測距信号処理部14と走行制御部30とを詳細に説明する。
先ず、先行車と自車両との相対速度ΔVの演算方法について説明する。相対速度ΔVは、図3及び図4に示すように、測距信号処理部14で算出された先行車までの車間距離Lを入力とし、バンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタを用いて近似的に求めることができる。例えば、バンドパスフィルタは、下記(1)式で表す伝達関数で実現することができる。
F(s)=ωc・s/(s+2ζ・ωc・s+ωc) ・・・(1)
なお、(1)式において、ωc=2π・fc、sはラプラス演算子である。なお、フィルタ関数のカットオフ周波数fcは、車間距離Lに含まれるノイズ成分の大きさと、短周期の車体前後加速度変動の許容値とにより決定する。また、相対速度ΔVは、自車両から先行車が遠ざかっていく場合には、正値となり、自車両に先行車が近づく場合には、負値となる。
次に、車間距離Lを目標車間距離Lに保ちつつ走行するための制御則について説明する。基本的な制御系の構成は、図2に示すように、走行制御部30と、車速制御部13とをそれぞれ独立に備える。なお、走行制御部30の出力は目標車速(車速指令値)Vであり、車間距離Lを直接に制御する構成としていない。
走行制御部30の車間距離制御部33では、車間距離Lと相対速度ΔVとに基づいて、車間距離Lを目標車間距離Lに保ちながら走行するための目標車速Vを演算する。具体的には、図5及び下記(2)式で示すように、目標車間距離Lと実際の車間距離Lとの差(L−L)に制御ゲインfdを乗算した値と、相対速度ΔVに制御ゲインfvを乗算した値との和であるΔVを算出し、これを、先行車の車速Vtから減算した値を目標車速Vとする。
=Vt−ΔV ・・・(2)
ΔV=fd・(L−L)+fv・ΔV
なお、制御ゲインfd及びfvは、走行制御性能を決めるパラメータである。ここでは、2個の目標値(車間距離と相対速度)を1個の入力(目標車速)で制御する1入力2出力系であることから、制御法として状態フィードバック(レギュレータ)を用いて制御系を設計している。
以下、前記制御系の設計手順を説明する。
先ず、システムの状態変数x1,x2を下記(3)式で定義する。
x1=Vt−V
x2=L−L ・・・(3)
また、制御入力(コントローラの出力)ΔVを下記(4)式で定義する。
ΔV=Vt−V ・・・(4)
ここで、車間距離Lは下記(5)式のように表すことができる。
L=∫(Vt−V)dt+L0 ・・・(5)
なお、(5)式中のL0は、車間距離制御における停止時の目標車間距離である。
また、車速サーボ系は線形伝達関数によって、例えば下記(6)式のように目標車速Vに対して、実車速Vが一次遅れで近似的に表現することができる。
V=1/(1+τv ・s)
dV/dt=1/τv (V−V) ・・・(6)
したがって、先行車車速Vtが一定であるとすると、前記(3)式、(4)式及び(6)式より、状態変数x1は下記(7)式で表すことができる。
dx1/dt=−1/τv ・x1+1/τv ・ΔV ・・・(7)
また、目標車間距離Lが一定であるとすると、前記(3)式及び(5)式より、前記状態変数x2は下記(8)式で表すことができる。
x2=−(Vt−V)=−x1 ・・・(8)
したがって、前記(7)式及び(8)式より、システムの状態方程式は下記(9)式で表すことができる。
Figure 2006044421
また、状態フィードバックが施された全体システムの状態方程式は下記(10)式で表すことができる。
dX/dt=(A+BF)X ・・・(10)
ただし、制御入力u=FX,F=[fv fd ]である。
したがって、前記(10)式より、全体システムの特性方程式は下記(11)式で表すことができる。
|sI−A' |=s+(1−fv )/τv・s+fd/τv=0
A' =A+BF ・・・(11)
Figure 2006044421
ここで、車速制御部13の車速サーボ系は近似的に線形伝達関数で表現でき、この伝達特性に基づき、車間距離Lが目標車間距離Lへ、また、相対速度ΔVが0へ、それぞれ収束する収束特性が、設計者の意図する特性(減衰係数ζ、固有振動数ωn)となるように、下記(12)式に従って制御ゲインfd,fvを設定する。
fv=1−2ζ・ωn・τv
fd=ωn・τv ・・・(12)
ここで、図6に示すように、相対速度ΔVは先行車と自車両との車速差であることから、先行車車速Vtは自車速Vと相対速度ΔVとに基づいて下記(13)式から算出することができる。
Vt=V+ΔV ・・・(13)
したがって、前記(2)式及び(13)式より、目標車速Vは下記(14)式で表すことができる。
=V−fd(L−L)+(1−fv)ΔV ・・・(14)
なお、目標車間距離Lは接近警報などで用いられる車間時間という概念を用いて設定してもよいが、ここでは制御の収束性にまったく影響を及ぼさないという観点から先行車車速Vtの関数とする。前記(13)式で定義した先行車車速Vtを用いて、目標車間距離Lを、下記(15)式に示すように設定する。
=a・Vt+L0=a・(V+ΔV)+L0 ・・・(15)
なお、(15)式に示すように、先行車車速Vtを自車速Vと相対速度ΔVとから算出した値を用いて目標車間距離Lを設定した場合、相対速度検出値に重畳されるノイズの影響を受けるため、図7に示すように、下記(16)式で表される目標車間距離Lを自車速Vの関数として設定してもよい。
=a・V+L0 ・・・(16)
なお、車間距離制御部33においては、このようにして設定された目標車間距離Lが、図示しない手動スイッチによって設定された車間距離設定値Lsを下回るときには、この車間距離設定値Lsを、目標車間距離Lとして設定するようになっている。
以上が、車間距離Lを目標車間距離Lに保ちつつ、自車両を走行させるための制御則である。
次に、本発明を適用することで可能となる処理を説明する。
先ず、CCDカメラ2からの撮像情報に基づいて、画像処理部12が画像処理を行い、先行車の車種を特定する処理を説明する。
車種を特定できる処理については種々あるが、例えば特許第3125550号の発明がある。この特許第3125550号の発明では、検出した前方物標の寸法と予め記憶している前方物標群の寸法とを比較して、前方物標の車種を特定している。このような発明を利用すれば、CCDカメラ2からの撮像情報に基づいて、画像処理部12が画像処理を行い、先行車や先々行車の車種を特定することができる。
特に、先行車や先々行車の車幅に関する情報を検出することで、二輪車、四輪車等の車種を検出することができる。
また、本発明における先行車、先々行車の検出は、CCDカメラ2からの撮像情報に限らず、例えば車間距離センサ1からの検出信号波形から求めても良い。先行車や先々行車に設けられたリフレクタからの反射光によって、車間距離センサ1の検出信号には大きなピークが得られる。このピークまでの距離と、同じ距離にあるピークの数(1つの場合は二輪車、2つ以上の場合は四輪車)とに応じて、先行車、先々行車とその車種を検出することができる。また、先々行車が四輪車の場合で、先々行車の一方のリフレクタと先行車とが重なっている場合は、先々行車のリフレクタは1つしか検出できないが、ピークを挟んだ両側の信号強度の差が大きければ、先々行車には車幅があり、信号強度が高い方は先々行車のボディからの反射光を捉えているものと判断し、先々行車が車幅を有する四輪車であると推定する。逆に、先々行車のピークの両側の信号強度に差が無い場合は、いずれも背景からの反射光を捉えているものと判断し、先々行車が車幅のない二輪車であると推定する。
なお、先行車と先々行車との検出ができるのは、先行車の車幅から先々行車の車幅がはみ出している場合のみで、先行車が先々行車を完全に隠している場合は先々行車の検出が不可能となる。また、本明細書においては、バイクや自転車等、車幅が小さく、リフレクタが1つしかないような車両を「二輪車」と記し、三つ以上の車輪を有し、車幅方向の端部に夫々リフレクタが設けられた乗用車やトラック等を総称して「四輪車」と記している。 そして、走行制御装置は、先行車や先々行車に基づいて次のような車間距離制御(追従制御)を行う。図8は、その制御のための処理の一例を示すフローチャートである。
先ずステップS1において、コントローラ10は、画像処理部12の画像処理により先行車が存在するか否かを判定する。ここで、コントローラ10は、先行車が存在しない場合、当該図8の処理を終了し、先行車が存在する場合、ステップS2に進む。
ステップS2では、コントローラ10は、先々行車が存在するか否かを判定する。例えば、コントローラ10は、車間距離センサ1による車間距離の検出結果やCCDカメラ2からの撮像情報に基づいて先々行車の有無を判定する。ここで、コントローラ10は、先々行車が存在する場合、ステップS3に進み、先々行車が存在しない場合、ステップS13に進む。
ここで、図9は、前記ステップS1において先行車201を検出し、さらに前記ステップS2において先々行車202を検出した場合の、自車両100とそれら先行車201、先々行車202との位置関係を示す。
ステップS3では、コントローラ10は、図9に示すように先行車201と先々行車202とを同時に検出した場合、先行車201の車種を特定する。先行車201の車種を特定する技術については、前述した特許第3125550号の発明等を利用する。ここで、コントローラ10は、先行車が二輪車の場合、ステップS4で所定のしきい値L1dを二輪車用の設定値Lmbにして、ステップS6に進み、先行車が四輪車(四輪乗用車)の場合、ステップS5で所定のしきい値L1dを四輪車用の設定値Lcarにして、ステップS6に進む。ここで、二輪車用の設定値Lmbは、四輪車用の設定値Lcarよりも大きい値になっている。
ステップS6では、コントローラ10は、自車両と先行車との車間距離(以下、先行車用車間距離という。)L2及び自車両と先々行車との車間距離(以下、先々行車用車間距離という。)L3を検出する。ここで、車間距離L2,L3は図9に示すような値である。
続いてステップS7において、コントローラ10は、先々行車用車間距離L3から先行車用車間距離L2を減算して、先行車と先々行車との車間距離(以下、前方二車両間車間距離という。)L1(=L3−L2)を算出する。前述した設定値Lmb,Lcarは、コントローラ10が先々行車用車間距離L3を変更することによって設定されている。
続いてステップS8において、コントローラ10は、前方二車両間車間距離L1が所定のしきい値L1d以下か否かを判定する。ここで、コントローラ10は、前方二車両間車間距離L1が所定のしきい値L1d以下の場合、ステップS9に進み、前方二車両間車間距離L1が所定のしきい値L1dよりも大きい場合、ステップS13に進む。
ステップS9では、コントローラ10は、自車両と先行車との相対速度ΔVが所定のしきい値ΔVd以上か否かを判定する。ここで、所定のしきい値ΔVdは、正値であり、すなわち、このステップS9では、自車両からの先行車の遠ざかり度合いを判定している。ここで、コントローラ10は、相対速度ΔVが所定のしきい値ΔVd以上の場合、ステップS10に進み、相対速度ΔVが所定のしきい値ΔVd未満の場合、ステップS13に進む。
ステップS10では、コントローラ10は、道路幅方向において、先行車の位置が先々行車の側面よりも外側にあるか否かを判定する。ここで、コントローラ10は、道路幅方向において先行車の位置が先々行車の側面よりも外側にある場合、ステップS11に進み、そうでない場合、ステップS13に進む。
ステップS11では、コントローラ10は、走行制御の演算に用いる車間距離Lを先々行車用車間距離L3に設定する。すなわち、コントローラ10は、車間距離センサ1が検出した自車両と先々行車との車間距離を、走行制御の演算に用いる車間距離Lとする。そして、コントローラ10は、ステップS12に進む。
一方、コントローラ10は、前記ステップS2にて先々行車が存在しない場合、前記ステップS8にて前方二車両間車間距離L1が所定のしきい値L1dよりも大きい場合、前記ステップS9にて相対速度ΔVが所定のしきい値ΔVd未満の場合、又は前記ステップS10にて道路幅方向において先行車の位置が先々行車の側面よりも外側にない場合に進むステップS13では、走行制御の演算に用いる車間距離Lを先行車用車間距離L2に設定する。すなわち、コントローラ10は、車間距離センサ1が検出した自車両と先行車との車間距離を、走行制御の演算に用いる車間距離Lとする。そして、コントローラ10はステップS12に進む。
ステップS12では、前述したように車間距離Lが目標車間距離Lになるように走行制御する。これにより、ステップS11にて車間距離Lが先々行車用車間距離L3に設定された場合には、先々行車を被制御対象車として走行制御がなされ、ステップS13にて車間距離Lが先行車用車間距離L2に設定された場合には、先行車を被制御対象車として走行制御がなされる。
なお、このような車間距離Lの設定値に応じて、すなわち被制御対象車に応じて、前述した走行制御のための演算に用いる値、例えば相対速度ΔV等も変更している。また、目標車間距離Lについては、自車両と先行車との間の目標車間距離Lとして第1の目標車間距離を用意し、自車両の先々行車との間の目標車間距離Lとして第2の目標車間距離(>第1の目標車間距離)を用意しており、車間距離Lが先行車用車間距離L2に設定された場合には、第1の目標車間距離を目標車間距離Lに設定して、先行車を被制御対象車として走行制御がなされ、車間距離Lが先々行車用車間距離L3に設定された場合には、第2の目標車間距離を目標車間距離Lに設定して、先々行車を被制御対象車として走行制御がなされる。
また、第1の目標車間距離や第2の目標車間距離については、先行車や先々行車の車種(二輪車又は四輪車)に応じて、設定するようにしてもよい。
以上のような図8の処理により、自車両は次のように動作する。
すなわち、自車両前方に先行車と先々行車とが存在しており、その先行車が二輪車の場合において、二輪車(先行車)と先々行車との車間距離L1が距離L1d(Lmb)以下であり、かつ自車両と二輪車との相対速度ΔVが相対速度ΔVd以上であり、かつ道路幅方向において二輪車が先々行車の側面よりも外側にいるときには、自車両と先々行車との車間距離である先々行車用車間距離L3が目標車間距離L(第2の目標車間距離)となるような走行制御となり、自車両が先々行車に追従するようになる。
これにより、例えば、自車両が走行制御により二輪車に追従している場合に、その二輪車が先々行車にある程度近づいて当該先々行車を追い越そうとしているとき、自車両が被制御対象車を先々行車に変更して追従するようになる。
また、自車両前方に先行車と先々行車とが存在しており、その先行車が四輪車の場合において、四輪車(先行車)と先々行車との車間距離L1が距離L1d(Lcar)以下であり、かつ自車両と四輪車との相対速度ΔVが相対速度ΔVd以上であり、かつ道路幅方向において四輪車が先々行車の側面よりも外側にいるときには、自車両と先々行車との車間距離である先々行車用車間距離L3が目標車間距離L(第2の目標車間距離)となるような走行制御となり、自車両が先々行車に追従するようになる。
これにより、自車両が走行制御により四輪車に追従している場合に、その四輪車が二輪車ほどではないが、先々行車にある程度近づいて当該先々行車を追い越そうとしているとき、自車両が被制御対象車を先々行車に変更して追従するようになる。
なお、このような走行制御は、走行制御の演算に用いる車間距離Lを先々行車用車間距離L3に設定することで実現されるのであるが、このときの処理では、車間距離Lを先々行車用車間距離L3に徐々に近づけるようにする。これにより、自車両と先々行車との車間距離が目標車間距離Lに徐々に近づくような走行制御となる。これにより、被制御対象車が先行車から先々行車に変更した場合でも、自車両が円滑に先々行車に近づくようになる。
また、車間距離Lを先々行車用車間距離L3に近づける速さを条件に応じて可変にするようにしてもよい。例えば、車間距離Lを先々行車用車間距離L3に近づける速さを速くすれば、被制御対象車を先行車から先々行車に変更した場合に、自車両が先々行車に短時間で近づくようになり、車間距離Lを先々行車用車間距離L3に近づける速さを遅くすれば、被制御対象車を先行車から先々行車に変更した場合に、自車両が先々行車に時間をかけて近づくようになる。例えば、前者の場合、他の車の割り込みを防止することができ、後者の場合、割り込もうとしている他の車がある場合に、その割り込みを円滑にさせることができる。
その一方で、自車両前方に先行車と先々行車とが存在している場合でも、先行車と先々行車との車間距離が大きいとき、すなわち先行車が二輪車であれば、二輪車と先々行車との車間距離L1が距離Lmbよりも大きいとき、又は先行車が四輪車であれば、四輪車と先々行車との車間距離L1が距離Lcarよりも大きいときには、自車両と先行車との車間距離である先行車用車間距離L2が目標車間距離L(第1の目標車間距離)となるような走行制御、すなわち自車両が先行車に追従するようになる。
また、自車両前方に先行車と先々行車とが存在しており、その先行車と先々行車との車間距離がある程度近いときでも、すなわち先行車が二輪車であれば、二輪車と先々行車との車間距離L1が距離Lmb以下のとき、又は先行車が四輪車であれば、四輪車と先々行車との車間距離L1が距離Lcar以下のときでも、自車両と先行車との相対速度ΔVが相対速度ΔVd未満であったり、道路幅方向において先行車が先々行車の側面よりも外側になかったりするときには、自車両と先行車との車間距離である先行車用車間距離L2が目標車間距離L(第1の目標車間距離)となるような走行制御、すなわち自車両が先行車に追従するようになる。
また、先行車が先々行車を追い越して、先々行車が先行車となった瞬間において、先行車との車間距離はまだ先々行車用車間距離L3となっているので、コントローラ10はこの車間距離を先行車用車間距離L2(第1の目標車間距離)に徐々に変わるように自車両の制駆動力を制御する。
次に実施形態における効果を説明する。
前述したように、自車両が走行制御により二輪車に追従している場合に、その二輪車が先々行車にある程度近づいて当該先々行車を追い越そうとしているとき、自車両が被制御対象車を先々行車に変更して追従している。これにより、二輪車が先々行車を追い越そうとして加速していく場合でも、被制御対象車の変更が不感帯として作用して、そのような二輪車の加速に不要に追従することがなくなるので、走行制御が運転者に不快感を与えてしまうのを防止できる。
ここで、二輪車の場合は、その加速特性から先々行車にある程度離れた状態からでも、なんなく先々行車を追い越すことができるが、四輪乗用車の場合には、先々行車にある程度近づいた位置から先々行車を追い越すのが一般的である。このような実情を考慮して、前述したように、先行車が二輪車か四輪車であるかといった、先行車の車種に応じて、先行車と先々行車との車間距離と比較するための所定のしきい値L1dを設定している。具体的には、二輪車の場合の所定のしきい値L1dのほうを大きくしている。これにより、先行車が二輪車の場合には、その二輪車が先々行車を追い越そうとしているとき、早めに被制御対象車を先々行車に変更できるので、実情に合致させて、二輪車の加速に不要に追従してしまうことを防止できる。言い換えれば、先行車の車種に応じて適度なタイミングで被制御対象車を先々行車に変更でき、走行制御が運転者に不快感を与えてしまうのを十分に防止できる。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前述の実施形態では、自車両と先行車との相対速度と、先行車と先々行車との位置関係から、先行車が先々行車を追い越そうとしていることとを検出して、それを条件として被制御対象車を先行車から先々行車に変更している場合を説明した。しかし、これに限定されるものではない。すなわち、単に先行車と先々行車とが所定の距離に近づいた場合、被制御対象車を先行車から先々行車に変更するようにしてもよい。具体的には、前記図8の処理中のステップS9の相対速度ΔVの判定処理、及びステップS10の先行車と先々行車との位置関係の判定処理をなくすことで実現できる。
一般的に、先行車が先々行車にある程度近づいた場合に先行車は頻繁に加減速するようになる。よって、先行車と先々行車とが所定の距離に近づいた場合、被制御対象車を先行車から先々行車に変更することで、そのような先行車の加減速に不要に追従することがなくなり、走行制御が運転者に不快感を与えてしまうのを防止できる。
また、一般的に、二輪車と四輪車の車両特性の違いから、二輪車の方が先々行車から離れた位置で加減速する挙動を示す。これに対して、前述したように、先行車が二輪車か四輪車であるかといった、先行車の車種に応じて、先行車と先々行車との車間距離と比較するための所定のしきい値L1dを設定している。具体的には、二輪車の場合の所定のしきい値L1dのほうを大きくしている。これにより、先行車が二輪車の場合、先行車が四輪車の場合よりも先々行車から離れた位置にあるときでも、早めに被制御対象車を先々行車に変更できるので、二輪車の加減速に不要に追従してしまうことを防止できる。
また、前述の実施形態では、先行車による先々行車の追い越し判定のために相対速度と比較する所定のしきい値ΔVdを用いている。例えば、その所定のしきい値ΔVdを先行車の車種に応じて設定してもよい。
なお、前述の実施形態の説明において、車間距離センサ1及び測距信号処理部14が自車両と先行車及び先々行車との車間距離を検出する車間距離検出手段を実現しており、目標車間距離設定部32が自車両と先行車との間の目標車間距離を第1の目標車間距離、自車両と先々行車との間の目標車間距離を第2の目標車間距離として設定する目標車間距離設定手段を実現しており、スロットルアクチュエータ5、自動変速機6、制動制御装置7、車速制御部13及び走行制御部30が、車間距離検出手段が検出した自車両と先行車との車間距離が目標車間距離設定手段が設定した第1の目標車間距離と一致するように、又は車間距離検出手段が検出した自車両と先々行車との車間距離が目標車間距離設定手段が設定した第2の目標車間距離と一致するように、制駆動力を制御する制駆動力制御手段を実現している。
また、前述の実施形態の説明において、CCDカメラ2又は車間距離センサ1及びコントローラ10におけるステップS3の処理は、先行車及び先々行車の車幅情報を検出し、当該車幅情報に応じて先行車及び先々行車の車種を判断する車両判別手段を実現しており、コントローラ10におけるステップS4及びステップS5の処理は、車両判別手段の判別結果に基づいて、L1d(第2の所定距離)を設定する設定手段を実現している。
また、前述の実施形態の説明では、先々行車用車間距離L3から先行車用車間距離L2を減算して、先行車と先々行車との車間距離L1(=L3−L2)を算出している。そして、前記車間距離L1が所定のしきい値L1d以下であることを一つの条件として、自車両と先々行車との車間距離が目標車間距離Lと一致するように制駆動力を制御している。しかし、本発明はこの構成に限らず、例えば、自車両と先行車との車間距離(L2)が第1の所定距離以上であり、かつ自車両と先々行車との車間距離(L3)が第2の所定距離以下の場合を一つの条件として、自車両と先々行車との車間距離が目標車間距離Lと一致するように制駆動力を制御しても良い。
ここで、例えば、第1の所定距離は、車種により設定されるものであり、第2の所定距離は、前記図示しない手動スイッチによって設定された前記車間距離設定値Lsにある一定値を加えた値であり、二輪車及び四輪車の車種に応じて設定される値である。前述の実施形態では、前記所定のしきい値L1dを二輪車及び四輪車の車種に応じて設定値Lmb又は設定値Lcarに設定することで、先行車が二輪車の場合には、その二輪車が先々行車を追い越そうとしているとき、早めに被制御対象車を先々行車に変更することを可能にしている。これと同様な効果を得るために、第1の所定距離や第2の所定距離を二輪車及び四輪車の車種に応じて設定する。具体的には、先行車が二輪車の場合、第1の所定距離を先行車が四輪車のものよりも小さくしたり、第2の所定距離を先行車が四輪車のものよりも大きくしたりする。ここで、第1の所定距離を小さくしてしまうと、自車両が先行車に近づきすぎてしまうことも考えられるので、好ましくは、先行車が二輪車の場合、第2の所定距離を先行車が四輪車のものよりも大きくするようにする。
本発明の実施形態における走行制御装置の概略構成図である。 前記走行制御装置のコントローラの構成を示すブロック図である。 前記コントローラの測距信号処理部を説明するためのブロック図である。 前記コントローラの相対速度演算部を説明するためのブロック図である。 前記コントローラの車間距離制御部を説明するためのブロック図である。 前記コントローラの車間距離制御部を説明するためのブロック図である。 前記コントローラの目標車間距離設定部を説明するためのブロック図である。 本発明を適用した場合における走行制御の処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 自車両前方に先行車及び先々行車がある状態を示す図である。
符号の説明
1 車間距離センサ
2 CCDカメラ
5 スロットルアクチュエータ
7 制動制御装置
10 コントローラ
12 画像処理部
13 車速制御部
30 走行制御部

Claims (6)

  1. 先行車と先々行車とが所定の距離に近づいた場合、被制御対象車を先行車から先々行車に変更して車間距離制御することを特徴とする走行制御装置。
  2. 自車両と先行車及び先々行車との車間距離を検出する車間距離検出手段と、
    自車両と先行車との間の目標車間距離を第1の目標車間距離、自車両と先々行車との間の目標車間距離を第2の目標車間距離として設定する目標車間距離設定手段と、
    前記車間距離検出手段が検出した自車両と先行車との車間距離が前記目標車間距離設定手段が設定した第1の目標車間距離と一致するように制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、を備え、
    前記制駆動力制御手段は、前記車間距離検出手段が検出した自車両と先行車との車間距離が第1の所定距離以上であり、かつ前記車間距離検出手段が検出した自車両と先々行車との車間距離が第2の所定距離以下の場合、前記車間距離検出手段が検出した自車両と先々行車との車間距離が前記第2の目標車間距離と一致するように制駆動力を制御することを特徴とする請求項1記載の走行制御装置。
  3. 前記先行車が二輪車又は四輪車であるか判別する車両判別手段と、前記車両判別手段の判別結果に基づいて、前記第2の所定距離を設定する設定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項2記載の走行制御装置。
  4. 前記車両判別手段は、先行車の車幅情報を検出し、当該車幅情報に応じて先行車の車種を判別することを特徴とする請求項3記載の走行制御装置。
  5. 前記設定手段は、前記判別結果として前記先行車が二輪車である結果を得た場合、前記第2の所定距離を前記先行車が四輪車のものよりも大きくすることを特徴とする請求項4記載の走行制御装置。
  6. 前記制駆動力制御手段は、前記先行車が自車両から遠ざかる側への速度が所定速度以上であり、かつ前記先行車の位置が道路幅方向で前記先々行車の側面から外側になった場合、前記車間距離検出手段が検出した自車両と先々行車との車間距離が前記第2の目標車間距離と一致するように制駆動力を制御することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一に記載の走行制御装置。
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