JP4622414B2 - 走行制御装置 - Google Patents
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Description
このような制御内容になっていることから、先行車両に追従中にその先行車両の脇から側方車として二輪車が現れても、その二輪車をすり抜けできるという条件が満たされていれば車間距離を変更しない。しかしながら、そのような状況において、二輪車がどのような動きをするか予測するのは難しく、例えば道路脇に停車している駐車車両を二輪車がよけるために自車両前方に割り込んできたときにようやくすり抜け不可能となることで、その走行制御として、二輪車に対して自車両が減速するようになる。このような場合、大きく自車両が減速することになり、その走行制御が運転者に違和感を与えてしまうことになる。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、追従中の先行車両との間に他の車両が割り込むような場合を考慮した走行制御ができる走行制御装置の提供を目的とする。
そして、制駆動力制御手段は、前記他車両検出手段によって前記他の車両が二輪車であると判定され、かつ前記相対速度検出手段が検出した前記他の車両に対する前記先行車両の相対速度が所定のしきい値よりも大きいとき、前記被制御対象を前記先行車両から前記他の車両に変更して前記制駆動力の制御を行う。
図1は、本発明の実施形態の走行制御装置の概略構成図である。
図中1は、自車両前方に位置する先行車両との間の車間距離を検出するための車間距離センサ、2は、車両前方を撮像するためのCCDカメラ、4は、自車速を検出するための車速センサであって、後述の自動変速機6の出力側の回転速度を検出することにより、自車速を検出するようになっている。
CCDカメラ2は、車両前部或いは車室内部に取り付けられ、自車両の走行路前方を撮像する。このCCDカメラ2の撮像画像が後述するコントローラ10の画像処理部12で処理されて、これにより先行車両の車種が特定される。これについては後で詳述する。
そして、各種センサの検出信号は、コントローラ10に入力され、コントローラ10では、これら各種センサの検出信号に基づいて目標車速V*を算出し、自車速Vspが目標車速V*となるように、スロットルアクチュエータ5、自動変速機6及び制動制御装置7を制御する。
この制御ブロックは、公知の走行制御装置における制御ブロックと同様に構成され、例えば、車速センサ4からの車速パルスの周期を計測し、自車速を演算する車速信号処理部11と、車間距離センサ1でレーザ光を掃射してから先行車両の反射光を受光するまでの時間を計測し、自車両前方の自車両の走行車線上に存在する先行車両と自車両との間の車間距離Lを演算する測距信号処理部14と、車速信号処理部11で演算した自車速Vsp及び測距信号処理部14で演算された先行車両との車間距離Lに基づいて、目標車間距離L*を設定すると共に、車間距離Lを目標車間距離L*に維持するための目標車速V*を算出する走行制御部30と、この走行制御部30で算出した目標車速V*に基づいて、自車速Vspを目標車速V*に一致させるように、スロットルアクチュエータ5、自動変速機6及び制動制御装置7を制御する車速制御部13と、さらに、CCDカメラ2からの撮像情報を処理するための画像処理部12とを備えている。
走行制御部30は、測距信号処理部14で算出された車間距離Lに基づいて自車両と先行車両との相対速度ΔVを算出する相対速度演算部31と、車速信号処理部11から入力される自車速Vsp及び速度演算部31から入力される相対速度ΔV、或いは図示しない手動スイッチでの操作により運転者により設定される車間距離設定値Lsに基づいて目標車間距離L*を設定すると共に、ナビゲーション装置等からの走行環境情報に基づいて目標車間距離L*を補正する目標車間距離設定部32と、相対速度演算部31で算出した相対速度ΔV及び測距信号処理部14で算出した車間距離L及び前記ナビゲーション装置3からの走行環境情報に基づき、車間距離Lを前記目標車間距離設定部32で算出された目標車間距離L*に一致させるための目標車速V*を算出する車間距離制御部33とから構成されている。
先ず、先行車両と自車両との相対速度ΔVの演算方法について説明する。相対速度ΔVは、図3及び図4に示すように、測距信号処理部14で算出された先行車両までの車間距離Lを入力とし、バンドパスフィルタ或いはハイパスフィルタを用いて近似的に求めることができる。例えば、バンドパスフィルタは、下記(1)式で表す伝達関数で実現することができる。
F(s)=ωc2・s/(s2+2ζ・ωc・s+ωc2) ・・・(1)
なお、(1)式において、ωc=2π・fc、sはラプラス演算子、ζは減衰係数である。なお、フィルタ関数のカットオフ周波数fcは、車間距離Lに含まれるノイズ成分の大きさと、短周期の車体前後加速度変動の許容値とにより決定する。
V*=Vt−ΔV* ・・・(2)
ΔV*=fd・(L*−L)+fv・ΔV
なお、前記制御ゲインfd及びfvは、走行制御制能を決めるパラメータである。ここでは、2個の目標値(車間距離と相対速度)を1個の入力(目標車速)で制御する1入力2出力系であることから、制御法として状態フィードバック(レギュレータ)を用いて制御系を設計している。
先ず、システムの状態変数x1,x2を下記(3)式で定義する。
x1=Vt−V
x2=L*−L ・・・(3)
また、制御入力(コントローラの出力)ΔV*を下記(4)式で定義する。
ΔV*=Vt−V* ・・・(4)
ここで、車間距離Lは下記(5)式のように表すことができる。
L=∫(Vt−V)dt+L0 ・・・(5)
なお、(5)式中のL0は、車間距離制御における停止時の目標車間距離である。
V=1/(1+τv ・s)
dV/dt=1/τv (V*−V) ・・・(6)
したがって、先行車両車速Vtが一定であるとすると、前記(3)式、(4)式及び(6)式より、前記状態変数x1は下記(7)式で表すことができる。
dx1/dt=−1/τv ・x1+1/τv ・ΔV* ・・・(7)
また、目標車間距離L*が一定であるとすると、前記(3)式及び(5)式より、状態変数x2は下記(8)式で表すことができる。
x2=−(Vt−V)=−x1 ・・・(8)
したがって、前記(7)式及び(8)式より、システムの状態方程式は下記(9)式で表すことができる。
dX/dt=(A+BF)X ・・・(10)
ただし、制御入力u=FX,F=[fv fd ]である。
したがって、前記(10)式より、全体システムの特性方程式は下記(11)式で表すことができる。
|sI−A' |=s2+(1−fv )/τv・s+fd/τv=0
A' =A+BF ・・・(11)
fv=1−2ζ・ωn・τv
fd=ωn2 ・τv ・・・(12)
Vt=V+ΔV ・・・(13)
したがって、前記(2)式及び(13)式より、目標車速V*は下記(14)式で表すことができる。
V*=V−fd(L*−L)+(1−fv)ΔV ・・・(14)
L*=a・Vt+L0=a・(V+ΔV)+L0 ・・・(15)
L*=a・V+L0 ・・・(16)
なお、車間距離制御部33においては、このようにして設定された目標車間距離L*が、図示しない手動スイッチによって設定された車間距離設定値Lsを下回るときには、この車間距離設定値Lsを、目標車間距離L*として設定するようになっている。
以上が、車間距離Lを目標車間距離L*に保ちつつ、自車両を走行させるための制御則である。
本実施形態における走行制御装置は、先行車両の側方(脇)から出現する他の車両を二輪車と仮定し、先行車両やその先行車両の脇に出現する二輪車に基づいて次のような車間距離制御(追従制御)を行う。図8は、その制御のための処理の一例を示すフローチャートである。
ステップS2では、コントローラ10は、二輪車が出現したか否かを判定する。二輪車の出現は次のようにして検出する。ここで、追従中の先行車両の側方に二輪車が出現した場合のイメージは、図9に示すようなイメージになる。
w=2×L×tan(θ/2) ・・・(17)
よって、図9に示すように、先行車両103に追従中にその先行車両103の脇に二輪車102が出現した場合には、先行車両103及び二輪車102それぞれを前方物体としてその幅wを算出して、それぞれの幅wに基づいて各前方物体について先行車両か二輪車かを認識する。
ステップS5では、コントローラ10は、二輪車が減速中か否かを判定する。ここで、コントローラ10は、二輪車が減速中の場合、ステップS6に進み、そうでない場合、ステップS8に進む。
続くステップS7において、コントローラ10は、被制御対象を先行車両から二輪車に切り換えて、当該二輪車についての追従制御を開始する。
ステップS9では、コントローラ10は、緩やかな追従特性にする、すなわち制駆動力の制御の応答性を低くする。例えば、二輪車の加速度が大きいほど、より緩やかな追従特性にするといったようにである。
続くステップS10において、コントローラ10は、被制御対象を先行車両から二輪車に切り換えて、当該二輪車についての追従制御を開始する。
以上が本発明を適用した走行制御の一連の処理手順である。
具体的には、減衰係数ζに1.0よりも大きい係数K1を掛けたり、固有振動数ωnに1.0よりも小さい係数K2を掛けたりすることで、緩やかな追従特性に変更している。また、減衰係数ζに1.0よりも小さい係数K1を掛けたり、固有振動数ωnに1.0よりも大きい係数K2を掛けたりすることで、きびきびとした追従特性に変更している。すなわち、車間距離制御のオーバーシュートを少なくして、きびきびとした追従特性にしている。
ここで、図13は、横軸が時間tを表し、縦軸が車間距離Lを表し、目標車間距離L*に一致(収束)するまでの車間距離Lの変化を示す。また、破線は、変更前の減衰係数ζを用いた車間距離の変化を示し、実線は、大きい値に変更した減衰係数ζを用いた車間距離の変化を示す。この図13(特に矢印Pが示す領域)に示すように、減衰係数ζを大きい値に変更することで、緩やかな追従特性として車間距離Lが目標車間距離L*に一致(収束)するようになる。
前述したように、自車レーンと同一レーンにて二輪車の出現を検出し(前記ステップS2、ステップS3)、かつその二輪車と先行車両との相対速度が所定のしきい値よりも大きく(前記ステップS4)、かつ二輪車が減速している場合(前記ステップS5)、きびきびとした追従特性にしてから、二輪車を被制御対象(追従対象)として追従している(前記ステップS6、ステップS7)。
このようなことから、予めきびきびとした追従特性にしておいて、二輪車を被制御対象(追従対象)にすることで、自車両前方へ二輪車が割り込んでくることを予め考慮した走行制御となり、実際に自車両前方に割り込んできた二輪車に滑らかに追従することができるようになる。
なお、前述の実施形態では、他の車両が二輪車である場合を説明したが、これに限定されるものではなく、他の車両が四輪車であってもよい。
例えば、先行車両が加速しながら、二輪車を追い越すような場合、対向車が迫ってきている可能性が高い。よって、先行車両が加速しているときには予め緩やかな追従特性にしておくことで、そのように先行車両が加速していっても、自車両がつられて加速していくようなことを抑制することができる。さらに、対向車にも注意を払う時間的余裕を得ることができるようになる。
すなわち、二輪車と先行車両との相対速度に応じて追従特性を決めてもよい。例えば、二輪車が減速している場合には、二輪車と先行車両との相対速度が大きいほど、追従特性をよりきびきびしたものとする。これにより、追従制御していた先行車両と速度が大きく異なる二輪車が自車両前方に割り込んできても、自車両が二輪車に近づき過ぎてしまうようなことを防止できる。
また、コントローラ10によるステップS6及びステップS7やステップS9及びステップS10の処理は、相対速度検出手段が検出した相対速度に基づいて、他の車両に対する先行車両の相対速度が所定のしきい値よりも大きい場合、被制御対象を先行車両から他の車両に変更して制駆動力を制御する制駆動力制御手段の機能を実現している。
2 CCDカメラ
5 スロットルアクチュエータ
7 制動制御装置
10 コントローラ
12 画像処理部
13 車速制御部
30 走行制御部
Claims (6)
- 被制御対象である先行車両と自車両との間の車間距離を検出する車間距離検出手段と、前記先行車両と自車両との間の目標車間距離を設定する目標車間距離設定手段と、前記車間距離検出手段が検出した車間距離が前記目標車間距離設定手段が設定した目標車間距離と一致するように制駆動力を制御する制駆動力制御手段と、を備えた走行制御装置において、
自車レーンと同一レーンを走行し、かつ自車両から前記先行車両よりも遠くを走行する他の車両を検出する他車両検出手段と、
前記他の車両に対する前記先行車両の相対速度を検出する相対速度検出手段と、
を備えており、
前記他車両検出手段は、検出した前記他の車両が二輪車であるか否かを判定し、
前記制駆動力制御手段は、前記他車両検出手段によって前記他の車両が二輪車であると判定され、かつ前記相対速度検出手段が検出した前記他の車両に対する前記先行車両の相対速度が所定のしきい値よりも大きいとき、前記被制御対象を前記先行車両から前記他の車両に変更して前記制駆動力の制御を行うことを特徴とする走行制御装置。 - 前記制駆動力制御手段は、前記相対速度検出手段が検出した前記相対速度が所定のしきい値よりも大きく、さらに前記他の車両が減速している場合、当該他の車両の減速度に基づいて前記制駆動力の制御の応答性を決めることを特徴とする請求項1記載の走行制御装置。
- 前記制駆動力制御手段は、前記他の車両の減速度が大きくなるほど、前記制駆動力の制御の応答性を高くしていくことを特徴とする請求項2記載の走行制御装置。
- 前記制駆動力制御手段は、前記相対速度検出手段が検出した前記相対速度が所定のしきい値よりも大きく、さらに前記先行車両が加速している場合、当該先行車両の加速度に基づいて前記制駆動力の制御の応答性を決めることを特徴とする請求項1記載の走行制御装置。
- 前記制駆動力制御手段は、前記先行車両の加速度が大きくなるほど、前記制駆動力の制御の応答性を低くしていくことを特徴とする請求項4記載の走行制御装置。
- 前記制駆動力制御手段は、前記相対速度検出手段が検出した相対速度に基づいて、前記制駆動力の応答性を決めることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の走行制御装置。
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