JP2006027337A - 自動車ドアのベンチレーション構造 - Google Patents

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義弘 小原
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Abstract

【課題】遮音性を低下させることなく、ドア閉じ性を高めることができ、かつ、生産性に優れたベンチレーション構造を提供する。
【解決手段】穴1aを有するドアインナーパネル1の車内側に、穴1aに近接する部分にスリット3aまたはエアー穴を有し、少なくとも穴1aを覆うドアホールシール3を取付け、ドアインナーパネル1の車内側に、ドアホールシール3を挟んだ状態で、かつ、周端部においてドアインナーパネル1との間に部分的または連続的に間隙部Gを形成した状態でドアトリム4を取付け、ドアを閉じた際に、車内のエアーを、間隙部G、スリット3aまたはエアー穴、およびドアインナーパネル1の水抜き穴1bを通して車外へ排出する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、ドア閉じ性を良好に維持するために、自動車のドアに形成されるベンチレーション構造に関するものである。
一般に、自動車のドアには、ドア閉時における車内の圧力上昇を抑制し、ドアドア閉じ性を良くするためにの、いわゆるベンチレーション構造が設けられている。
このベンチレーション構造には、比較的複雑な構造を有するもの(例えば、特許文献1参照)や、ドアストッパーラバーに直径1mm以下のエアー抜き穴を開けたり、ドアに近接するボディパネル部分に穴を開けた簡易な構造のものがある。
特許第3214189号公報
しかし、構造が複雑なものは、製造、取付け作業および製造コストが嵩み、生産性の点において改善の余地がある。
また、構造が簡易なものでは遮音性に問題がある。すなわち、エアー抜き穴を形成してドア閉じ性を高めるということは、そのエアー抜き穴から雑音が車内へ侵入することを許容することであり、遮音性の低下に直結するからである。
本発明はこうした点に鑑み創案されたもので、遮音性を低下させることなく、ドア閉じ性を高めることができ、かつ、生産性に優れたベンチレーション構造を提供することを課題とする。
図1乃至図8を参照して説明する。請求項1に記載の発明は、自動車のドアに形成されるベンチレーション構造であって、穴1aを有するドアインナーパネル1の車内側に,前記穴1aに近接する部分にスリット3aまたはエアー穴を有し,少なくとも前記穴1aを覆うドアホールシール3を取付け、前記ドアインナーパネル1の車内側に,前記ドアホールシール3を挟んだ状態で,かつ,周端部において前記ドアインナーパネル1との間に部分的または連続的に間隙部Gを形成した状態でドアトリム4を取付け、前記ドアを閉じた際に,車内のエアーを,前記間隙部G,スリット3aまたはエアー穴,および前記ドアインナーパネル1の水抜き穴1bを通して車外へ排出してなるものである。
請求項2に記載の発明は、自動車のドアに形成されるベンチレーション構造であって、穴1aを有するドアインナーパネル1の車内側に,前記穴1aに近接する部分にスリット3aまたはエアー穴を有し,少なくとも前記穴1aを覆うドアホールシール3を取付け、前記ドアインナーパネル1の車内側に,前記ドアホールシール3を挟んだ状態で,かつ,周端部において前記ドアインナーパネル1との間に部分的または連続的に間隙部Gを形成した状態でドアトリム4を取付け、前記ドアホールシール3の車外側に,前記スリット3aまたはエアー穴を覆うようにして,遮音機能と防水機能を有する覆い片5を揺動自在に取付け、前記ドアを閉じた際に,車内のエアーを,前記間隙部G,スリット3aまたはエアー穴,および前記ドアインナーパネル1の水抜き穴1bを通して車外へ排出してなるものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、間隙部Gに代えて、または間隙部Gと共に、ドアトリム4のポケット4aの内部またはポケット4周辺の視覚され難い部分に通口Pを形成してなるものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2または3に記載の発明において、車内のエアーを、ドアインナーパネル1の水抜き穴1bに代えて、または当該水抜き穴1bと共に、ベルトラインウエザーストリップ6の前後端と前記ドアインナーパネル1およびドアアウターパネル2との間の隙間Sを通して車外へ排出してなる。
請求項1に記載の発明に係る自動車ドアのベンチレーション構造は、ドアインナーパネル1の車内側にドアホールシール3を挟んでドアトリム4を取付け、かつ、ドアホールシール3にドアインナーパネル1の穴1aに近接してスリット3aまたはエアー穴を形成し、かつ、ドアインナーパネル1とドアトリム4との間に間隙部Gを形成したので、ドアを閉じた際に、車内のエアーを、間隙部G、スリット3aまたはエアー穴、およびドアインナーパネル1が備える水抜き穴1bを通して車外へ円滑に排出することができる。従って、良好なドア閉じ性を得ることができる。
また、このベンチレーション構造は、ドアインナーパネル1とドアトリム4との間にドアホールシール3を設けているので、このドアホールシール3によって十分な遮音性を確保することができる。
さらに、このベンチレーション構造は、簡易な部材であるドアホールシール3を取付け、ドアインナーパネル1に通常形成されている穴1aと水抜き穴1bを利用してエアーを排出するので構成が簡易である。従って、製造および取付け作業が容易であり、製造コストを削減して、生産性を高めることができる。
請求項2に記載の自動車ドアのベンチレーション構造は、請求項1に記載の発明と同様に、良好なドア閉じ性を得ることができると共に十分な遮音性を確保することができ、生産性にも優れる。
また、ドアホールシール3の車外側に、スリット3aまたはエアー穴を覆うようにして、遮音機能と防水機能を有する覆い片5を揺動自在に取付けたので、遮音性をさらに高めることができる。また、雨水や洗車水が、スリット3aまたはエアー穴を通って車内へ侵入するといった事態を未然に防止することができる。
請求項3に記載の発明は、間隙部Gに代えて、または間隙部Gと共に、ドアトリム4のポケット4aの内部またはポケット4周辺の視覚され難い部分に通口Pを形成したので、その通口Pからスリット3aまたはエアー穴、およびドアインナーパネル1の水抜き穴1bを通して車外へ円滑に排出することができる。従って、良好な遮音性を維持しつつ、優れたドア閉じ性を得ることができる。
請求項4に記載の自動車ドアのベンチレーション構造は、車内のエアーを、ドアインナーパネル1の水抜き穴1bに代えて、または当該水抜き穴1bと共に、ベルトラインウエザーストリップ6の前後端と前記ドアインナーパネル1およびドアアウターパネル2との間の隙間Sを通して車外へ排出するので、同様に、良好なドア閉じ性を得ることができると共に十分な遮音性を確保することができる。また、隙間Sも水抜き穴1bと同じように従前から形成されているので特別な製造工程を加える必要がなく、よって、生産性にも優れる。
本発明に係る自動車ドアのベンチレーション構造の実施形態を、図1乃至図5に示す。このベンチレーション構造は、ドアガラスの昇降機構を取付けるための穴1aを有するドアインナーパネル1の車内側に、そのほぼ全面にわたってドアホールシール3を取付けている。このドアホールシール3の穴1aに近接する部分には、スリット3aを形成している。
ドアホールシール3は、一般的に使用されている樹脂フィルムで形成することができるが、遮音性や加工性を考慮すると発泡樹脂やEPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム)で形成することが好ましい。
また、ドアインナーパネル1の車内側の全体にわたって、ドアホールシール3を挟んだ状態でドアトリム4を取付けている。このドアトリム4の周端部とドアインナーパネル1との間には、部分的(間欠的)に複数の間隙部Gを形成している。なお、この間隙部Gは、ドアトリム4周端部の全周にわたって連続的に形成することもできる。
さらに、ドアホールシール3の車外側に、スリット3aを覆うようにして、遮音機能と防水機能を有する覆い片5を揺動自在に取付けている。この覆い片5は、図5に示すように肉薄の樹脂シートで形成することもできるし、また、図6に示すように、それより肉厚の蓋材で形成することもできる。いずれの場合も、その上端部をドアホールシール3に固定することによって、揺動自在に取付けることができる。固定の手段は限定されないが、例えば、溶着によって行うことができる。
本実施形態に係る自動車ドアのベンチレーション構造は、次のように作用する。自動車のドアを閉じると、それによって車内のエアーがドアインナーパネル1とドアトリム4との間に形成した間隙部Gを通った後、スリット3aを通過する。このとき、スリット3aはエアーの圧力によって開口し、それを覆っている覆い片5もエアーの圧力によって揺動するので、エアーは円滑に通過できる。スリット3aを通過したエアーは、ドアインナーパネル1とドアアウターパネル2との間の空間を経て、ドアインナーパネル1に形成されている水抜き穴1bを通過し、車外へ排出される。なお、エアーが通過後は、覆い片5は原形に復帰し、スリット3aを覆う。
このように、本実施形態に係る自動車ドアのベンチレーション構造は、エアーを円滑に車外へ排出することができるので、良好なドア閉じ性を得ることができる。ちなみに、ドア閉じ速度を、従来技術と比較して、少なくとも0.1m/秒程度、上昇させることができ、ドア閉じ性の向上を図ることができる。
また、ドアインナーパネル1の車内側にドアホールシール3を取付けているので充分な遮音性を確保することができる。さらに、簡易な部材であるドアホールシール3を使用し、ドアインナーパネル1に形成されている穴1aと水抜き穴1bを利用するので、構造が簡易であり、取付け作業も容易である。従って、製造コストが廉価で生産性に優れる。
またさらに、スリット3aを、遮音機能と防水機能を有する覆い片5で揺動自在に覆っているので、遮音機能をさらに高めることができると共に、雨水等がスリット3aを通過して車内へ侵入するのを確実に防止することができる。
なお、本実施形態においては、ドアホールシール3にスリット3aを形成しているが、これに代えてエアー穴(小孔)を形成することもできる。また、スリット3a(またはエアー穴)の数は限定されない。
なお、本発明に係る自動車ドアのベンチレーション構造は、図7に示すように、間隙部Gに代えて、または間隙部Gと共に、ドアトリム4のポケット4aの内部やポケット4周辺の視覚され難い部分に通口Pを形成し、この通口Pを通して車内のエアーを排出することができる。
また、図8に示すように、車内のエアーを、ドアインナーパネル1の水抜き穴1bに代えて、または当該水抜き穴1bと共に、ベルトラインウエザーストリップ6の前後端と前記ドアインナーパネル1(ドアトリム4)およびドアアウターパネル2との間の隙間Sを通して車外へ排出することができる。
車内のエアーを、水抜き穴1bと共に隙間Sから車外へ排出することによって、ドア閉じ性をさらに向上させることができる。また、この隙間Sは水抜き穴1bと同様に従来から形成されているものであるため特別の作業工程を加える必要がなく、よって生産性にも優れる。
本発明に係るベンチレーション構造の実施形態を示すもので、当該構造を備えたドアの車内側を示す側面図である。 図1に示すベンチレーション構造を備えたドアの分解側面図である。 図1のD−D線拡大断面図である。 図1のE−E線拡大断面図である。 図1のF−F線断面拡大図である。 本発明に係るベンチレーション構造の他の実施形態を示すもので、図1のF−F線断面拡大図である。 本発明に係るベンチレーション構造の他の実施形態を示すもので、図1のH−H線拡大断面図である。 本発明に係るベンチレーション構造のさらに他の実施形態を示すもので、図1のX部分を示す斜視図である。
符号の説明
1 ドアインナーパネル
1a 穴
1b 水抜き穴
2 ドアアウターパネル
3 ドアホールシール
3a スリット
4 ドアトリム
4a ポケット
5 覆い片
6 ベルトラインウエザーストリップ
7 ドアガラス
8 グラスラン
G 間隙部
P 通口
S 隙間

Claims (4)

  1. 自動車のドアに形成されるベンチレーション構造であって、穴(1a)を有するドアインナーパネル(1)の車内側に,前記穴に近接する部分にスリット(3a)またはエアー穴を有し,少なくとも前記穴を覆うドアホールシール(3)を取付け、前記ドアインナーパネルの車内側に,前記ドアホールシールを挟んだ状態で,かつ,周端部において前記ドアインナーパネルとの間に部分的または連続的に間隙部(G)を形成した状態でドアトリム(4)を取付け、前記ドアを閉じた際に,車内のエアーを,前記間隙部,スリットまたはエアー穴,および前記ドアインナーパネルの水抜き穴(1b)を通して車外へ排出してなる自動車ドアのベンチレーション構造。
  2. 自動車のドアに形成されるベンチレーション構造であって、穴(1a)を有するドアインナーパネル(1)の車内側に,前記穴に近接する部分にスリット(3a)またはエアー穴を有し,少なくとも前記穴を覆うドアホールシール(3)を取付け、前記ドアインナーパネルの車内側に,前記ドアホールシールを挟んだ状態で,かつ,周端部において前記ドアインナーパネルとの間に部分的または連続的に間隙部(G)を形成した状態でドアトリム(4)を取付け、前記ドアホールシールの車外側に,前記スリットまたはエアー穴を覆うようにして,遮音機能と防水機能を有する覆い片(5)を揺動自在に取付け、前記ドアを閉じた際に,車内のエアーを,前記間隙部,スリットまたはエアー穴,および前記ドアインナーパネルの水抜き穴(1b)を通して車外へ排出してなる自動車ドアのベンチレーション構造。
  3. 間隙部(G)に代えて、または間隙部と共に、ドアトリム(4)のポケット(4a)の内部またはポケット周辺の視覚され難い部分に通口(P)を形成してなる請求項1または2に記載の自動車ドアのベンチレーション構造。
  4. 車内のエアーを、ドアインナーパネル(1)の水抜き穴(1b)に代えて、または水抜き穴と共に、ベルトラインウエザーストリップ(6)の前後端と前記ドアインナーパネルおよびドアアウターパネル(2)との間の隙間(S)を通して車外へ排出してなる請求項1、2または3に記載の自動車ドアのベンチレーション構造。
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