JP2006013415A - 赤外線放射素子およびそれを用いたガスセンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】赤外線放射素子Aは、半導体基板1の厚み方向の一表面側に半導体基板1よりも熱伝導率が十分に小さな断熱層2が形成され、断熱層2よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな層状の発熱体3が断熱層2上に形成され、発熱体3上に通電用の一対のパッド4,4が形成されている。ここにおいて、半導体基板1はシリコン基板により構成している。また、断熱層2および発熱体3は、互いに多孔度の異なる多孔質シリコン層により構成し、発熱体3は、断熱層2よりも多孔度の小さな多孔質シリコン層により構成している。このような赤外線放射素子Aをガスセンサにおける赤外放射源として用いることで赤外放射源の長寿命化を図れる。
【選択図】 図1
Description
以下、本実施形態の赤外線放射素子Aについて図1を参照しながら説明する。
λ=2898/T
となり、発熱体3の絶対温度Tと発熱体3から放射される赤外線のピーク波長λとの関係がウィーンの変位則を満たしている。要するに、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、発熱体3としての第2の多孔質シリコン層が擬似黒体を構成しており、図示しない外部電源からパッド4,4間に印加する電圧を調整することにより、発熱体3に発生するジュール熱を変化させる(つまり、発熱体3の温度を変化させる)ことができて、図2に示すように発熱体3から放射される赤外線のピーク波長λを変化させることができる。なお、上述の第2の多孔質シリコン層からなる発熱体3は、第2の多孔質シリコン層の各微細孔の深さを各微細孔の内径の3倍以上の値に設定することにより、黒体放射と同じように赤外線を放射するので、擬似黒体とみなすことができる。
ΔT=2φε/β
で表すことができる。また、発熱体3の絶対温度Tが700〔K〕のとき発熱体3から放射される赤外線のピーク波長λは略4μmとなり、発熱体3の絶対温度Tを700〔K〕よりも高くするにつれてピーク波長λは上述の図2から明らかなように低波長側へシフトするとともに波長4μmの赤外線の放射エネルギが高くなる。したがって、例えば、
ΔT=2φε/β≧400
とすれば、波長4μmの赤外線を比較的高い放射エネルギで放射することができる。言い換えれば、発熱体3の熱伝導度βを
β≦φε/200
の関係を満たすように設定することにより、波長4μmの赤外線を比較的高い放射エネルギで放射することができる。
t=(2α/ωQ)1/2で表すことができる。したがって、周波数fは、
f=α/(πQt2)
となるので、例えば、周波数fを10Hz以上とするには、
α≧10πQt2
の関係を満たすように断熱層2の熱伝導率αを設定すればよい。このような関係を満たすように断熱層2の熱伝導率αを設定することにより、10Hz以上の周波数の入力電圧に追随して発熱体3から赤外線を放射させることが可能となる。
ところで、実施形態1の赤外線放射素子Aでは、発熱体3と半導体基板1との間に断熱層2が介在しているが、一対のパッド4,4を介して発熱体3へ通電した際に半導体基板1を通るリーク電流が流れてしまい、このようなリーク電流は応答速度の低下や消費電力の増加につながると考えられる。
本実施形態の赤外線放射素子Aの構成は実施形態1と略同じであり、図7に示すように、発熱体3の表面に、外部へ放射する赤外線の波長域を制限する多層膜5が積層されている点が相違するだけである。すなわち、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、発熱体3における断熱層2とは反対側に、特定波長域の赤外線のみを透過させるための多層膜5が積層されている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の赤外線放射素子Aの構成は実施形態1と略同じであり、図8に示すように、半導体基板1の厚み方向の他表面(図8における下面)に、発熱体3から半導体基板1側へ放射された赤外線を発熱体3側へ反射する多層膜からなる反射膜6が積層されている点、半導体基板1に空洞部1bが形成されている点などが相違する。ここに、空洞部1b内の媒質は空気となっている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
ところで、実施形態1の赤外線放射素子Aを例えばキャンパッケージの金属製ベースやリードフレームなどのベース部材にダイボンディングした場合、断熱層2の厚さによっては、発熱体3で発生した熱の一部が断熱層2−半導体基板1−ベース部材の経路で放熱されてしまうことがあり、このような経路での放熱は発熱体3への通電時の応答速度の低下につながってしまう。
本実施形態では、実施形態1にて説明した赤外線放射素子Aを赤外放射源として備えたガスセンサについて説明するが、まず、ガスセンサの基本構成について図10を参照しながら説明する。
1 半導体基板
2 断熱層
3 発熱体
4 パッド
Claims (19)
- 発熱体への通電により発熱体を発熱させることで発熱体から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、半導体基板の厚み方向の一表面側に半導体基板よりも熱伝導率の小さな断熱層が形成され、断熱層よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな層状の発熱体が断熱層上に形成されてなることを特徴とする赤外線放射素子。
- 前記半導体基板がシリコン基板であり、前記断熱層および前記発熱体がそれぞれ多孔質シリコン層からなり、前記発熱体は前記断熱層よりも多孔度の小さな多孔質シリコン層からなることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
- 前記発熱体は、前記シリコン基板よりも導電率が高く且つ抵抗温度係数が正となるように不純物がドーピングされてなることを特徴とする請求項2記載の赤外線放射素子。
- 前記発熱体が、前記断熱層上の多孔質半導体層と、多孔質半導体層上に形成された炭素層とからなることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
- 前記発熱体が、前記断熱層上の多孔質半導体層と、多孔質半導体層上に形成されたNiCr層とからなることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
- 発熱体への通電により発熱体を発熱させることで発熱体から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、半導体基板の厚み方向の一表面側に半導体基板よりも熱伝導率の小さな断熱層が形成されるとともに、断熱層よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな層状の発熱体が断熱層の表面側に形成され、発熱体と断熱層との間に、断熱層よりも導電率の小さな絶縁層が設けられてなることを特徴とする赤外線放射素子。
- 前記発熱体が、導電性が付与された炭素層からなることを特徴とする請求項1または請求項6記載の赤外線放射素子。
- 前記発熱体が、NiCr層からなることを特徴とする請求項1または請求項6記載の赤外線放射素子。
- 前記発熱体が、不純物のドーピングにより導電性が付与されたアモルファスシリコン層からなることを特徴とする請求項1または請求項6記載の赤外線放射素子。
- 前記アモルファスシリコン層は、前記断熱層側よりも表面側の方がドーピング濃度を高くしてあることを特徴とする請求項9記載の赤外線放射素子。
- 前記発熱体の表面に多数の凹凸が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の赤外線放射素子。
- 前記凹凸は光学的波動効果を有する形状に形成されてなることを特徴とする請求項11記載の赤外線放射素子。
- 前記発熱体の表面に外部へ放射する赤外線の波長域を制限する多層膜が積層されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれかに記載の赤外線放射素子。
- 前記半導体基板の厚み方向の他表面に、前記発熱体から前記半導体基板側へ放射された赤外線を前記発熱体側へ反射する反射膜が積層されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項13のいずれかに記載の赤外線放射素子。
- 前記半導体基板の厚み方向の他表面側に、前記半導体基板よりも熱伝導率の小さな熱絶縁体部が設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれかに記載の赤外線放射素子。
- 前記熱絶縁体部は、多孔質半導体からなることを特徴とする請求項15記載の赤外線放射素子。
- 赤外放射源から赤外線を所定空間へ放射させて所定空間内の検知対象ガスでの赤外線の吸収を利用して検知対象ガスを検出するガスセンサであって、赤外放射源として請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の赤外線放射素子を備えてなることを特徴とするガスセンサ。
- 前記赤外線放射素子の前記発熱体へ印加する電圧により前記発熱体の温度を制御して前記発熱体から放射される赤外線の波長を変化させる波長調整手段を備えてなることを特徴とする請求項17記載のガスセンサ。
- 前記発熱体から放射されて前記半導体基板を通過した赤外線を前記所定空間側へ反射する反射部材を備えてなることを特徴とする請求項17または請求項18記載のガスセンサ。
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