JP4534645B2 - 赤外線放射素子 - Google Patents

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Description

本発明は、赤外線放射素子に関するものである。
従来から、赤外放射源を利用した各種の分析装置(例えば、赤外線ガス分析計など)が提供されているが、これらの分析装置で用いられている赤外放射源として代表的なものは、ハロゲンランプであって、大型で且つ寿命が比較的短いので、赤外線を利用してガスを検出する小型のガスセンサへの適用は難しい。なお、透光性の気密容器内に放射体としてのフィラメントを収納したハロゲンランプのような赤外放射源においては、フィラメントの形状や放射特性などを工夫することにより小型化を図ったものもあるが、気密容器を必要とするから、小型のガスセンサへの適用は難しいのが現状である。
そこで、小型化が可能な赤外放射源として、マイクロマシンニング技術を利用して形成する赤外線放射素子が各所で研究開発されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
ここにおいて、上記特許文献1〜3には、シリコン基板などをマイクロマシンニング技術により加工して形成した矩形枠状の支持基板の一表面側において2点間に線状の発熱体を架け渡した所謂マイクロブリッジ構造の赤外線放射素子が記載されている。なお、この種のマイクロブリッジ構造の赤外線放射素子は、線状の発熱体への通電に伴うジュール熱により発熱体から赤外線を放射させるものであって、中赤外領域の赤外線を放射可能であり且つ電気的な入力に対する高速応答性を有している。
ところで、赤外線の吸収を利用してガスを検出するガスセンサにおいて検出精度を高くするためには、赤外線放射素子から放射される赤外線の放射量を安定させ短時間で計測することが望ましく、上述のマイクロブリッジ構造の赤外線放射素子では、支持基板が矩形枠状に形成されており、線状の発熱体の周囲が空気なので、発熱体と発熱体周囲との熱容量差を大きくすることができ、発熱体へ流す電流のオンオフに高速で応答するようになっている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示された赤外線放射素子では、線状の発熱体の両端に設けたパッド間へ印加する電圧のオンオフに伴う応答速度を向上させるために、発熱体の周囲を空気または真空として発熱体と周囲との熱容量の差を大きくしてあるが、発熱体が線状の形状に形成されており両端部が支持基板に支持されているだけなので、発熱体が破損したり熱により溶断したりして寿命が短くなってしまうことがあった。
そこで、上記特許文献1〜3に開示された赤外線放射素子に比べて赤外線の放射量を増大させることができるとともに長寿命化を図ることが可能な赤外線放射素子として、多孔質シリコンを断熱層として採用した平面型の赤外線放射素子が提案されている。この種の平面型の赤外線放射素子は、例えば、シリコン基板の一表面側に多孔質シリコンからなる断熱層が形成されるとともに、断熱層上に層状の発熱体層が形成され、発熱体層の両端部上それぞれにパッドが形成されている。
このような平面型の赤外線放射素子を例えば分光式ガスセンサ用の赤外線源として用いる場合、赤外線放射素子を間欠的に駆動することで赤外線を間欠的に放射させ、赤外線を検出する受光素子の出力をロックインアンプにより増幅することで、ガスセンサの出力のS/Nを向上させることができる。
特開平9−153640号公報(段落番号〔0027〕、〔0028〕、図2参照) 特開2000−236110号公報(段落番号〔0017〕、〔0018〕、〔0019〕、図1、図2参照) 特開平10−294165号公報(段落番号〔0014〕、〔0015〕、図1参照)
ところで、赤外線放射素子を間欠的に駆動する際の周波数については、赤外線放射素子の断熱層の断熱性が高いほど高周波とすることができるので、断熱層の断熱性を高めて応答速度を速くしたいという要望がある。一般に、多孔質シリコンからなる断熱層の断熱性を高めるには多孔質シリコンの多孔度を大きくすればよいが、多孔度が大きくなるほど機械的強度が低下し、製造途中や動作中に発生する熱応力などによって断熱層が破壊されやすくなるという不具合があった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、入力に対する応答速度が速く且つ熱応力による断熱層の破壊が起こりにくい赤外線放射素子を提供することにある。
請求項1の発明は、支持基板と、支持基板の一表面側に形成された発熱体層と、支持基板の前記一表面側で支持基板と発熱体層との間に介在する断熱層とを備え、発熱体層への通電により発熱体層から赤外線が放射される赤外線発光素子であって、断熱層は、多数の微細孔を有する多孔質シリコンを用いて形成した多孔質構造体であり、多孔質構造体の少なくとも一部が酸化シリコン若しくは窒化シリコン若しくは酸窒化シリコンからなる絶縁体部となっていることを特徴とする。
この発明によれば、断熱層としての多孔質構造体が多孔質シリコンである場合に比べて多孔度を大きくすることなく断熱層の断熱性が向上するので、入力に対する応答速度を速くすることができ且つ熱応力による断熱層の破壊が起こりにくくなる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記多孔質構造体における前記各微細孔のサイズが、常温常圧での空気の平均自由行程以下であることを特徴とする。
この発明によれば、前記断熱層において空気の対流による熱伝導が起こりにくくなるので、前記断熱層の断熱性が向上し、入力に対する応答速度がより速くなる。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、前記支持基板がシリコン基板からなり、前記断熱層は、シリコン基板の前記一表面側の部分を陽極酸化処理にて多孔質化することにより形成した前記多孔質シリコンに酸化処理若しくは窒化処理若しくは酸窒化処理を施すことにより形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記断熱層における前記絶縁体部を容易に形成することができる。
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記断熱層における前記多孔質構造体では露出部位が前記絶縁体部となり前記絶縁体部の内側に前記多孔質シリコンの結晶の部分が残存しており、前記酸化処理が酸化性ガス雰囲気での急速熱酸化であり、前記窒化処理が窒化性ガス雰囲気での急速熱窒化であり、前記酸窒化処理が酸窒化性ガス雰囲気中での急速熱酸窒化であることを特徴とする。
この発明によれば、断熱層としての多孔質構造体が多孔質シリコンである場合に比べて、断熱層の断熱性の経時変化が起こりにくくなるので、赤外線放射特性の経時安定性が向上し、しかも、前記断熱層の厚み方向において前記発熱体層側の部分と前記支持基板側の部分とで構造が異なる場合(例えば、前記発熱体層側の部分での前記絶縁体部の厚みが前記支持基板側の部分での前記絶縁体部の厚みに比べて厚くなっている場合)に比べて、駆動時の熱応力に起因した前記断熱層の破壊をより確実に防止することができる。
請求項5の発明は、請求項3の発明において、前記断熱層における前記多孔質構造体では露出部位が前記絶縁体部となり前記絶縁体部の内側に前記多孔質シリコンの結晶の部分が残存しており、前記絶縁体部が酸化シリコンであり、前記酸化処理が電気化学的な酸化であることを特徴とする。
この発明によれば、断熱層としての多孔質構造体が多孔質シリコンである場合に比べて、断熱層の断熱性の経時変化が起こりにくくなるので、赤外線放射特性の経時安定性が向上し、しかも、前記断熱層の厚み方向において前記発熱体層側の部分と前記支持基板側の部分とで構造が異なる場合(例えば、前記発熱体層側の部分での前記絶縁体部の厚みが前記支持基板側の部分での前記絶縁体部の厚みに比べて厚くなっている場合)に比べて、駆動時の熱応力に起因した前記断熱層の破壊をより確実に防止することができる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記断熱層における前記多孔質構造体では前記各微細孔以外の全体が前記絶縁体部となっていることを特徴とする。
この発明によれば、断熱層としての多孔質構造体が多孔質シリコンである場合に比べて、断熱層の断熱性の経時変化が起こりにくくなるので、赤外線放射特性の経時安定性が向上し、しかも、前記断熱層の厚み方向において前記発熱体層側の部分と前記支持基板側の部分とで構造が異なる場合(例えば、前記発熱体層側の部分での前記絶縁体部の厚みが前記支持基板側の部分での前記絶縁体部の厚みに比べて厚くなっている場合)に比べて、駆動時の熱応力に起因した前記断熱層の破壊をより確実に防止することができる。また、請求項4,5の発明に比べて前記断熱層の断熱性を向上させることができる。
請求項1の発明では、断熱層としての多孔質構造体が多孔質シリコンである場合に比べて多孔度を大きくすることなく断熱層の断熱性が向上するので、入力に対する応答速度を速くすることができ且つ熱応力による断熱層の破壊が起こりにくくなるという効果がある。
本実施形態の赤外線放射素子は、図1(a)に示すように、半導体基板1の一表面(図1(a)における上面)側に層状の発熱体層3が形成され、発熱体層3と半導体基板1との間に断熱層2が形成され、半導体基板1の上記一表面側に発熱体層3の両端部(図1(a)における左右両端部)それぞれと接する形で一対のパッド4,4が形成されている。したがって、一対のパッド4,4を通して発熱体層3へ電気的な入力(例えば、電圧、電流など)を与える(つまり、発熱体層3へ通電する)ことによって発熱体層3を発熱させることで発熱体層3から赤外線が放射される。ここにおいて、断熱層2は、半導体基板1よりも熱伝導率が十分に小さく、発熱体層3は、断熱層2よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きくなっている。また、半導体基板1の平面形状は矩形状であって、断熱層2および発熱体層3の平面形状も矩形状に形成してある。なお、本実施形態では、半導体基板1が支持基板を構成している。
本実施形態の赤外線放射素子は、発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長をλ〔μm〕、発熱体層3の絶対温度をT〔K〕とすれば、ピーク波長λは、
λ=2898/T
となり、発熱体層3の絶対温度Tと発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λとの関係がウィーンの変位則を満たしている。要するに、本実施形態の赤外線放射素子では、発熱体層3が擬似黒体を構成しており、図示しない外部電源からパッド4,4間に与える電気的な入力を調整することにより、発熱体層3に発生するジュール熱を変化させる(つまり、発熱体層3の温度を変化させる)ことができて、発熱体層3から放射される赤外線のピーク波長λを変化させることができる。なお、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、例えば、一対のパッド4,4間に10V程度の電圧を印加することによりピーク波長λが3μm〜4μmの赤外線を放射させることが可能であり、パッド4,4間に印加する電圧を適宜調整することにより、ピーク波長が4μm以上の赤外線を放射させることも可能である。
半導体基板1としては、主表面(上記一表面)が(100)面、導電形がp形、抵抗率が0.01Ωcmの単結晶のシリコン基板を用いており、断熱層2は、図1(b)に示すように厚み方向(図1(a),(b)の上下方向)に沿った多数の微細孔23を有する多孔質構造体であり、多孔質構造体の露出部位が酸化シリコンからなる絶縁体部22となっている。ここに、断熱層2は、多孔質シリコンの結晶の部分として多数のシリコン微結晶21が残存しており、各シリコン微結晶21の表面を覆うように絶縁体部22が形成されている。要するに、断熱層2を構成する多孔質構造体では絶縁体部22の内側に多孔質シリコンの結晶の部分が残存している。なお、絶縁体部22はシリコンよりも熱伝導率が小さい材料により形成されていればよく、酸化シリコンの熱伝導率はシリコンの熱伝導率よりも2桁小さい。
また、断熱層2を構成する多孔質構造体における各微細孔23のサイズ(内径)は、常温常圧での空気の平均自由行程以下となっている。なお、常温常圧での空気の平均自由行程は、64nmであることが知られている(西川兼康、藤田恭伸著,「機械工学基礎講座 伝熱工学」,理工学社,1982年,p.208)
また、発熱体層3は、例えば、NiCrなどの電熱合金により形成され、パッド4,4は、例えば、タングステン、アルミニウム、金などの金属により形成されている。ここにおいて、発熱体層3の材料は電熱合金に限らず、例えば高融点金属や、グラファイト、グラファイトカーボンなどを採用してもよい。
なお、本実施形態の赤外線放射素子では、断熱層2形成前の半導体基板1の厚さを525μm、断熱層2の厚さを50μm、発熱体層3の厚さを1μm、パッド4の厚さを0.1μmとしてあるが、これらの厚さは一例であって特に限定するものではない。
以下、本実施形態の赤外線放射素子の製造方法について簡単に説明する。
まず、上述のシリコン基板からなる半導体基板1の他表面(図1(a)における下面)側に陽極酸化処理時に用いる通電用電極(図示せず)を形成した後、半導体基板1の上記一表面側における断熱層2の形成予定部位を陽極酸化処理にて多孔質化することで多孔質シリコンを形成する多孔質化工程を行う。ここにおいて、多孔質化工程では、電解液として50wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用い、半導体基板1を主構成とする被処理物を処理槽に入れられた電解液に浸漬し、通電用電極を陽極、半導体基板1の上記一表面側に対向配置された白金電極を陰極として、電源から陽極と陰極との間に所定の電流密度(例えば、50mA/cm)の電流を所定時間(例えば、10分)だけ流すことにより半導体基板1の一部を多孔質化することで多孔質シリコンを形成している。なお、上述のように半導体基板1として導電形がp形で抵抗率が0.01Ωcmのシリコン基板を用いている場合、所定の電流密度を50mA/cm、所定時間を10分とした陽極酸化処理により形成される多孔質シリコンの多孔度は略50%であり、多孔質シリコン中に存在するシリコン微結晶21の結晶粒径および微細孔23の内径が数nmのサイズとなるとともに、微細孔23間の間隔が数nmとなっている。
上述の多孔質化工程の後、多孔質シリコンに酸化処理を施すことにより酸化シリコンからなる絶縁体部22を形成する絶縁体部形成工程を行う。ここにおいて、酸化処理としては、酸化性ガス雰囲気での急速熱酸化を行っているが、急速熱酸化に限らず、電気化学的な酸化、酸素プラズマによる酸化、オゾンガスによる酸化などの酸化方法を採用してもよく、これらのいずれの酸化方法を採用した場合にも絶縁体部22を容易に形成することができる。なお、電気化学的な酸化方法を採用する場合には、上記処理槽内の電解液を適宜入れ替えることにより、多孔質化工程と絶縁体部形成工程とを連続的に行うことが可能となる。
絶縁体部形成工程の後、発熱体層3を形成する発熱体層形成工程、パッド4,4を形成するパッド形成工程を順次行うことによって、赤外線放射素子が完成する。なお、発熱体層形成工程およびパッド形成工程では、例えば、各種のスパッタ法、各種の蒸着法、各種のCVD法などによって膜形成を行えばよい。
以上説明した本実施形態の赤外線放射素子では、断熱層2を構成する多孔質構造体の一部(本実施形態では、多孔質構造体の露出部位)が酸化シリコンからなる絶縁体部22となっているので、断熱層2としての多孔質構造体が多孔質シリコンである場合に比べて多孔度を大きくすることなく断熱層2の断熱性が向上するから、入力に対する応答速度を速くすることができ且つ熱応力による断熱層2の破壊が起こりにくくなる。また、多孔質構造体の露出部位が絶縁体部22となっているので、断熱層2としての多孔質構造体が多孔質シリコンである場合のように駆動時に多孔質シリコンが酸化されてしまうのに比べて、断熱層2の断熱性の経時変化が起こりにくくなり、赤外線放射特性の経時安定性が向上する。
ここにおいて、断熱層2中を熱が伝わる機構として熱伝導と対流とがあるが、断熱層2は断熱層2の厚み方向に直交する面内に均一性良く微細孔23が形成され微細孔23間の間隔が数nmとなっているので、格子振動が伝わりにくく熱伝導による熱の伝導を小さくすることができ、また、各微細孔23の内径が常温常圧での空気の平均自由行程以下となっているので、空気の対流による熱の伝導を小さくすることができる。したがって、断熱層2において空気の対流による熱伝導が起こりにくく、断熱層2の断熱性を向上させることができ、特に発熱体層3の平面サイズが断熱層2の平面サイズよりも小さい場合に有用である。
半導体基板1を陽極酸化処理にて多孔質化することにより形成される多孔質シリコンは、多孔度が同じであっても微細孔の内径や面内均一性が半導体基板1の抵抗率に依存して変化し、半導体基板1の抵抗率が大きくなるほど微細孔の内径が大きくなるとともに面内均一性が低下し、断熱層2についても多孔質シリコンと同様に面内均一性が低下する。ここで、面内均一性が低下するとは、断熱層2の厚み方向に直交する面内において微細孔23間の間隔が不均一で微細孔23が存在しない比較的大きな単結晶シリコンの領域が存在することを意味しており、断熱層2の面内均一性が低下すると断熱層2の厚み方向(深さ方向)への熱伝導が起こりやすくなる。このような理由から、断熱層2の基礎となる半導体基板1としては熱伝導率が40Ωcm以下のシリコン基板を用いることが望ましく、抵抗率が15Ωcm以下のシリコン基板を用いた場合には、断熱層2における各微細孔23のサイズを一般的な走査型電子顕微鏡では識別できないレベル(10nm以下)とすることができ、断熱性および機械的強度の観点において、より望ましい構造の断熱層2を得ることが可能となる。
また、上述の酸化処理として、半導体製造プロセスで一般的な熱酸化を採用して酸化温度を900℃以上とした場合には、断熱層2の厚み方向において発熱体層3側の部分での絶縁体部22の厚みが半導体基板1側の部分での絶縁体部22の厚みに比べて厚くなってしまう傾向があり、このように断熱層2の厚み方向において発熱体層3側の部分と半導体基板1側の部分とで構造が異なると、駆動時の熱応力に起因して断熱層2が破壊されやすくなるが、本実施形態では上述のように酸化処理として急速熱酸化を採用しているので、断熱層2の厚み方向において発熱体層3側の部分での絶縁体部22の厚みが半導体基板1側の部分での絶縁体部22の厚みに比べて厚くなるのを防止することができ、駆動時の熱応力に起因した断熱層2の破壊をより確実に防止することができる。ここに、酸化処理として、上述のように電気化学的な酸化、酸素プラズマによる酸化、オゾンガスによる酸化などの酸化方法を採用した場合にも、断熱層2の厚み方向において発熱体層3側の部分での絶縁体部22の厚みが半導体基板1側の部分での絶縁体部22の厚みに比べて厚くなるのを防止することができ、駆動時の熱応力に起因した断熱層2の破壊をより確実に防止することができる。
また、上述の実施形態では、絶縁体部22を酸化シリコンにより構成しているが、絶縁体部22は酸化シリコンに限らず、窒化シリコン若しくは酸窒化シリコンにより構成してもよい。ここにおいて、絶縁体部22を窒化シリコンにより構成する場合には、多孔質シリコンに施す酸化処理の代わりに窒化処理を採用すればよく、絶縁体部22を酸窒化シリコンにより構成する場合には、多孔質シリコンに施す酸化処理の代わりに酸窒化処理を採用すればよい。なお、窒化処理としては、例えば窒化性ガス(NHガスなど)雰囲気中での急速熱窒化などの窒化方法を採用すればよく、酸窒化処理としては、例えば酸窒化性ガス(NOガス)雰囲気中での急速熱酸窒化などの酸窒化方法を採用すればよい。また、絶縁体部22を一般的な熱酸化により形成する場合には、酸化温度を900℃よりも低温とすればよい。
また、上述の実施形態では、断熱層2を構成する多孔質構造体の一部が絶縁体部22となっているが、図2に示すように断熱層2を構成する多孔質構造体における微細孔23以外の全体を絶縁体部22としてもよく、このような構成を採用すれば、断熱層2の厚み方向において発熱体層3側の部分と半導体基板1側の部分とで構造が異なる場合(例えば、発熱体層3側の部分での絶縁体部22の厚みが半導体基板1側の部分での絶縁体部22の厚みに比べて厚くなっている場合)に比べて、駆動時の熱応力に起因した断熱層2の破壊をより確実に防止することができ、しかも、断熱層2の断熱性が向上する。なお、図2に示すような断熱層2を形成するには、上述の絶縁体部形成工程において、一般的な熱酸化(若しくは熱窒化若しくは熱酸窒化)の条件に比べて比較的低温で比較的長い時間の熱酸化(若しくは熱窒化若しくは熱酸窒化)を行えばよい。
ところで、図3(a)は図1(b)に比べて多孔度が小さく多孔質構造体の露出部位が絶縁体部22となった断熱層2の断面を示し、図3(b)は図3(a)と多孔度が同じで多孔質構造体における微細孔23以外の全体が絶縁体部22となった断熱層2の断面を示しているが、上述の説明からも分かるように、断熱層2としては図1(b)の多孔質構造体よりも多孔度が小さな図3(a)の多孔質構造体が好ましく、図2の多孔質構造体よりも多孔度が小さな図3(b)の多孔質構造体が好ましい。
実施形態を示し、(a)は赤外線放射素子の概略断面図、(b)は断熱層の断面図である。 同上の断熱層の他の構成例を示す断面図である。 (a),(b)は同上の断熱層のそれぞれ異なる構成例を示す断面図である。
符号の説明
1 半導体基板
2 断熱層
3 発熱体層
4 パッド
21 シリコン微結晶
22 絶縁体部
23 微細孔

Claims (6)

  1. 支持基板と、支持基板の一表面側に形成された発熱体層と、支持基板の前記一表面側で支持基板と発熱体層との間に介在する断熱層とを備え、発熱体層への通電により発熱体層から赤外線が放射される赤外線発光素子であって、断熱層は、多数の微細孔を有する多孔質シリコンを用いて形成した多孔質構造体であり、多孔質構造体の少なくとも一部が酸化シリコン若しくは窒化シリコン若しくは酸窒化シリコンからなる絶縁体部となっていることを特徴とする赤外線放射素子。
  2. 前記多孔質構造体における前記各微細孔のサイズが、常温常圧での空気の平均自由行程以下であることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
  3. 前記支持基板がシリコン基板からなり、前記断熱層は、シリコン基板の前記一表面側の部分を陽極酸化処理にて多孔質化することにより形成した前記多孔質シリコンに酸化処理若しくは窒化処理若しくは酸窒化処理を施すことにより形成されてなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の赤外線放射素子。
  4. 前記断熱層における前記多孔質構造体では露出部位が前記絶縁体部となり前記絶縁体部の内側に前記多孔質シリコンの結晶の部分が残存しており、前記酸化処理が酸化性ガス雰囲気での急速熱酸化であり、前記窒化処理が窒化性ガス雰囲気での急速熱窒化であり、前記酸窒化処理が酸窒化性ガス雰囲気中での急速熱酸窒化であることを特徴とする請求項3記載の赤外線放射素子。
  5. 前記断熱層における前記多孔質構造体では露出部位が前記絶縁体部となり前記絶縁体部の内側に前記多孔質シリコンの結晶の部分が残存しており、前記絶縁体部が酸化シリコンであり、前記酸化処理が電気化学的な酸化であることを特徴とする請求項3記載の赤外線放射素子。
  6. 前記断熱層における前記多孔質構造体では前記各微細孔以外の全体が前記絶縁体部となっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の赤外線放射素子。
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