JP5221864B2 - 圧力波発生装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、スピーカや超音波センサ等への使用に好適な圧力波発生装置、およびその製造方法に関するものである。
従来から、圧電効果による機械的振動を利用した超音波発生装置が広く知られている。この種の超音波発生装置としては、例えば、チタン酸バリウムのような圧電材料からなる結晶の両面に電極を設けた構造のものが知られており、両電極間に電気エネルギーを印加することで得られる機械的振動が周囲の媒質(例えば、空気)中に超音波を発生させる。しかしながら、上述の超音波発生装置は、固有の共振周波数をもつので、周波数帯域が狭く、また外部の振動や外気圧の変動の影響を受けやすいといった問題点があった。
これに対して、近年、機械的振動を伴わずに超音波などの圧力波を媒質中に発生させることのできる圧力波発生装置が注目されている(例えば、特許文献1参照)。この圧力波発生装置は、単結晶シリコンからなる基板と、基板の表面に形成される多孔質シリコン層でなる熱絶縁層と、熱絶縁層上に形成されるアルミニウム薄膜でなる発熱体層と、発熱体層に電気的に接続される一対のパッドとを具備している。この圧力波発生装置においては、一対のパッドを介して発熱体層に電気エネルギーが印加されると、駆動電圧波形もしくは駆動電流波形からなる駆動入力波形に応じた温度変化が発熱体層に発生する。この発熱体層の温度変化は、発熱体層と装置近傍の媒質(例えば、空気)との間の熱交換を通じて、媒質の膨張と収縮を熱誘起的に生じさせ、結果的に媒質中に圧力波を発生させる。
特開平11−300274号公報
しかしながら、この種の熱誘起式圧力波発生装置を空気中で使用した場合、入力電力に対する発生した粗密波の音圧の比率として定義される効率が経時的に低下する現象が指摘されている。すなわち、空気中の酸素や水分などによって経時的に多孔質シリコン層の酸化が進行すると、多孔質シリコン層の断熱性が低下し、結果的に上記した効率の低下が生じるのである。
ここに、上述の圧力波発生装置を駆動するにあたって駆動条件が一定(発熱体層へ与える入力電力が一定)であるとすると、熱絶縁層の熱伝導率が経時的に増加することによって、もしくは単位体積当たりの熱容量が増加することによって、発生する粗密波の音圧が低下するので、圧力波発生装置を反射式の超音波センサの送波素子として用いている場合には最大測定距離が低下する(検知エリアが狭くなる)ことになり、対象物が検出できなくなる不具合が生じる。また、スピーカとして使用する場合においても、音圧が低下するといった問題を生じる。尚、上述のような多孔質シリコン層の経時変化は、多孔質シリコン層の形成条件によらずに起こる現象である。
また、多孔質シリコン層上には電気的な抵抗体である発熱体層が形成されるので、圧力波発生装置を長期間使用している間に発熱体層と多孔質シリコンが部分的に反応し、低抵抗化した部分を介して局所的にリーク電流が流れる恐れがある、更には、シリコン基板を介して導電パスが形成されると、非常に大きな電流密度の電流が局所的に流れることになる。このような現象は、圧力波発生装置への入力電力を増加させて大きな音圧を発生させる場合に生じやすく、結果的に発熱体層を焼損させて圧力波発生装置の故障を招く恐れがある。
ここでは、多孔質シリコンでなる熱絶縁層の特性が空気中の酸素などと反応して劣化する場合について説明したが、多孔質シリカや多孔質アルミナなど不活性材料により熱絶縁層を形成する場合においても、空気中に含まれる水分やその他の不純物等の吸着や付着によって熱絶縁層の熱伝導率や単位体積当たりの熱容量に経時変化が生じると予想される。
このように、従来の圧力波発生装置には、周囲の媒質(主として空気)中の成分が熱絶縁層内に拡散することによって生じる種々の不具合を解消する観点から、依然として改善の余地が残されている。
そこで、本発明は上記した問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、熱絶縁層の経時変化による出力低下を抑制できる圧力波発生装置を提供することにある。
すなわち、本発明の圧力波発生装置は、基板と、発熱体層と、基板と発熱体層との間に設けられる熱絶縁層とを含み、発熱体層への通電によって引き起こされる発熱体層の温度変化が、周囲の媒質中に圧力波を発生させる圧力波発生装置であって、熱絶縁層は、多孔質層と、多孔質層と発熱体層との間に設けられ、多孔質層への前記媒質成分の拡散を抑制するバリア層を含み、バリア層は、多孔質層の一部を体積膨張させることにより形成され、多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が小さい構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、熱絶縁層が、多孔質層の発熱体層側の表面に形成されるバリア層を有するので、周囲の媒質(たとえば、空気)中に含まれる酸素や水分などの反応性物質や不純物が多孔質層内に拡散し、多孔質層に吸着したり、付着したり、または反応したりして熱物性が低下するのを抑制でき、結果的に熱絶縁層の経時変化に起因する出力低下を抑制することができる。さらに、バリア層の存在によって空気中の酸素や水分が多孔質層内に拡散し難くなり、多孔質層の熱物性変化および酸素や水分の吸着や付着に起因する熱伝導率や単位体積当たりの熱容量の増大を抑制できることに加えて、バリア層が多孔質層と一体に形成されるので、多孔質層とバリア層の間の良好な界面構造を得ることができる。また、バリア層の多孔度が小さい(すなわち、細孔数が少ない、あるいは細孔径が小さい、若しくはその両方)場合は、バリア層の機械的強度が向上するので、多孔質層の骨格の破損防止効果が得られる。特に、多孔質層が単結晶シリコンに比べて機械的強度の低い多孔質シリコンで形成される場合は、バリア層による多孔質シリコン層の補強効果が高い。尚、バリア層の多孔度が多孔質層とほぼ同じであっても、バリア層の平均細孔径が多孔質層より小さければ、細孔数が多くなるものの、同様の効果を期待できる
尚、多孔質層の一部を体積膨張させて形成したバリア層が多孔質構造を有する場合は、多孔質層の細孔の少なくとも一部がバリア層の細孔に連結された構造となる。一方、バリア層が実質的に空隙のない緻密な構造を有する場合は、多孔質層の孔を塞ぐ封孔層として機能する。
また、上記発明において、多孔質層はシリコンで形成され、バリア層はシリコン化合物を含むことが好ましい。この場合は、多孔質シリコン層を形成した後、多孔質シリコン層の表層部を酸素や水分などで酸化したり、炭素を含む物質と反応させて炭化したり、あるいは窒素を含む物質と反応させて窒化したりしてバリア層を形成できる。この場合のバリア層は、シリコン酸化物、シリコン炭化物、シリコン窒化物のような化学的に安定なシリコン化合物によって形成されるため、バリア層の効果を長期間にわたって安定に持続することができる。
また、バリア層の形成による入力電力Qに対する発生音圧Pの割合を効率(P/Q)とする場合、効率の低下を防止する観点から、バリア層の厚さは、(2αi/ωCi)1/2で規定される熱拡散長(m)以下であることが好ましい。ここに、αiはバリア層の熱伝導率、Ci(J/(m3・K))はバリア層の単位体積あたりの熱容量、ω(=2πf(rad/s))は発熱体層で生じる温度振動の角振動数である。尚、発熱体層に印加される駆動入力波形を正弦波とすると、この正弦波の周波数の2倍の周波数が、発熱体層で生じる温度振動の周波数(f(Hz))に相当する。この場合は、電気入力によって発熱体層に発生するジュール熱のうちバリア層で奪われる熱量を低減して、バリア層下の多孔質層の高い断熱性を有効に活用することができ、結果的に音波発生の効率を高い状態に維持することができる。
また、多孔質層とバリア層の少なくとも一方は、電気絶縁性を有することが好ましい。この場合は、長期間使用しても発熱体と熱絶縁層の間で局所的な電気的リーク経路が形成されず、大きな音圧の圧力波を安定して発生させることのできる動作信頼性の高い圧力波発生装置を提供できる。尚、電気絶縁性を有する材料としては、シリコン酸化物、シリコン炭化物、シリコン窒化物などのシリコン化合物の使用を例示できるが、なかでもシリカを用いることが特に好ましい。塗布法やCVDなどの気相蒸着法によって大面積に一括形成が可能になり、圧力波発生装置の低コスト化を図れる。また、大型スピーカや位相制御による方向性を持つ超音波発生装置の実現が容易になるという長所がある。
また、多孔質層の内部には不活性ガスを充填することが好ましい。あるいは、多孔質層の内部を減圧雰囲気に保持することが好ましい。この場合は、空気中の酸素や水分などの反応性物質が多孔質層に吸着もしくは付着する可能性をさらに低減することができる。
本発明のさらなる目的は、上記目的の達成に適したバリア層の形成工程を含む圧力波発生装置の製造方法を提供することにある。すなわち、本発明の製造方法は、基板上に多孔質層を形成する工程と、多孔質層への周囲の媒質成分の拡散を抑制するバリア層を多孔質層上に形成する工程と、バリア層上に発熱体層を形成する工程とを含み、多孔質層の形成工程は、基板に陽極酸化処理を施すことで基板表面からある深さにわたって第1多孔質層を形成する工程と、続いて異なる条件で陽極酸化処理を基板に施すことで第1多孔質層に隣接する第2多孔質層を基板内に形成する工程とを含み、陽極酸化処理の条件は、第1多孔質層が、第2多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方において小さい構造を有するように決定され、バリア層は、第1多孔質層の少なくとも一部を体積膨張させることにより形成されることを特徴とする。この場合は、多孔度および平均細孔径の少なくとも一方が異なる2種類の多孔質層を陽極酸化処理の条件を変えるだけで形成することができ、また、多孔質層間の良好な界面を得ることができる。また、第1多孔質層が、次工程において形成されるバリア層の基礎を提供する
また、陽極酸化処理によって多孔質層を形成する場合は、陽極酸化処理の条件を、多孔質層の多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が、基板表面から深さ方向に徐々に大きくなるように変化させても良い。この場合は、多孔質層の表層部が、次工程において形成されるバリア層の基礎を提供する。
バリア層の形成工程としては、基板上に設けた断熱性に優れる多孔質層の一部を体積膨張させることが好ましい。すなわち、多孔質層の一部を物理的あるいは化学的に変質させることによって多孔質層の骨格の見かけ上の体積を増加させ、ガスが内部に拡散し難い組織を多孔質層の表層部に形成するのである。具体的には、酸化性ガス、炭化性ガス、窒化性ガスの少なくとも一種の存在下で加熱処理することが好ましい。酸化、炭化、もしくは窒化により多孔質層の一部の骨格体積を増加させて、化学的に安定な酸化物、炭化物、窒化物でなるバリア層を得ることができる。
あるいは、多孔質層の一部を電解質溶液中で電気化学的に酸化してバリア層を形成しても良い。特に、多孔質層の形成に上記した陽極酸化処理を用いる場合は、電解質溶液を変更するだけで同様の処理装置を使用してバリア層を形成することができるので、製造コストの低減を図れる。
本発明のさらに好ましい実施形態にかかる製造方法は、多孔質層の形成工程が、基板の表面からある深さにわたって第1多孔質層を形成する工程と、第1多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が大きい第2多孔質層を第1多孔質層に隣接して基板内に形成する工程を含み、バリア層の形成工程が、第1多孔質層の多孔度と平均細孔径の少なくとも一方を小さくする処理を含むことを特徴とする。この場合は、第2多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が小さい第1多孔質層に対して、さらに多孔度と平均細孔径の少なくとも一方を小さくする処理を施してバリア層を形成するので、空気中の酸素や水分が第2多孔質層内に拡散するのをより効果的に防止することができる。尚、前記処理として、第1多孔質層の少なくとも1部を体積膨張させる処理を実施することが好ましい。
上記した体積膨張処理の他に、多孔質層の表層部をレーザー加熱により溶融してバリア層を形成してもよい。多孔質層の表層部を加熱溶融して緻密な構造とすることで、多孔質内部を密閉できる。また、レーザー加熱処理を不活性ガスもしくは減圧雰囲気で行うことにより、多孔質層内を不活性ガスで満たされた状態、若しくは減圧状態に保持することができ、多孔質層の内部を空気中の酸素や水分から遮断することができる。
このように、本発明によれば、多孔質層の発熱体層側の表面にバリア層を設けたことで、空気中に含まれる酸素や水分などの反応性物質や不純物が多孔質層内に拡散するのを抑制し、出力の経時安定性に優れる圧力波発生装置を提供することができる。さらに、本発明の製造方法によれば、多孔質層の表層部を体積膨張させることでバリア層としての機能を付与できることに加え、多孔質層のみで熱絶縁層が形成される場合に比して、熱絶縁層の機械的強度を向上できる。したがって、本発明は、機械的振動を伴わずに超音波などの圧力波を発生させる従来の熱誘起式圧力波発生装置に内在する問題点を解決したことで、その利用価値の高いものである。
以下、本発明の圧力波発生装置およびその製造方法を、添付図面を参照しながら、好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の圧力波発生装置は、図1に示すように、単結晶シリコンからなる基板1と、金属薄膜からなる発熱体層3と、基板1と発熱体層3との間に設けられる熱絶縁層2と、発熱体層3の両端部に設けられる一対のパッド4とを備えており、一対のパッド4を介した発熱体層3への通電に伴う発熱体層3の温度変化が、周囲の媒質である空気に熱衝撃を与えて圧力波を発生させる。尚、本実施形態においては、発熱体層3に駆動電圧波形もしくは駆動電流波形が印加されるので、発熱体層3にはこの駆動入力波形に応じた温度変化が生じる。この発熱体層の温度変化は、発熱体層と装置近傍の媒質(例えば、空気)との間の熱交換を通じて、媒質の膨張と収縮を熱誘起的に生じさせ、結果的に媒質中に圧力波を発生させる。基板1の上面において、熱絶縁層2が形成されていない領域には、シリコン酸化膜からなる絶縁膜(図示せず)が形成されている。
基板1を構成する材料に特に限定はないが、後述する陽極酸化処理によって基板内に多孔質層を一体に形成する場合は、Si、Ge、SiC、GaP、GaAs、lnP等の半導体材料を使用することが好ましい。例えば、基板1としてSiを使用する場合は、単結晶シリコン基板、多結晶あるいはアモルファスのシリコン基板等を使用できる。また、Si基板は、p形もしくはn形にドープされていてもよい。また、結晶の面方位についても特に限定はない。本実施形態では、p形のシリコン単結晶を基板1として使用している。
発熱体層3としては、イリジウム、タンタル、モリブデン、タングステンなどの高融点金属を使用することができる。また、高い音圧を必要としない場合は、酸化による変質のない貴金属である白金、パラジウム、金等を用いても良い。本実施形態においては、発熱体層3として、高融点金属かつ貴金属のイリジウムを使用している。また、パッド4を構成する材料としては、導電性材料を用いればよく、本実施形態においてはアルミニウムを使用している。
本実施形態の熱絶縁層2は、基板1上に形成される多孔質層20と、多孔質層20と発熱体層3の間に設けられるバリア層25とで構成される。バリア層25は、空気中の酸素や水分などの反応性物質が多孔質層20内に拡散し難くするために、好ましくは外部空気から多孔質層20を遮断するために設けられる。このバリア層25の形成により、圧力波発生装置が長時間にわたって酸素や反応性物質の存在する環境下で使用されても、多孔質層の断熱性が悪化するのを防止でき、結果的に出力の経時安定性に優れる圧力波発生装置を提供することができる。
多孔質層20を構成する材料は、基板1と同じ材料、もしくは基板より熱絶縁性の高い材料を使用することが好ましい。一方、バリア層25は、多孔質層20内への水分や汚染物の拡散を抑制することができれば特に限定されない。しかしながら、後述するように、基板1の一部を多孔質化することにより多孔質層20を形成し、特に、このようにして得られた多孔質層20の一部を用いてバリア層25を形成することが好ましい。一例として、シリコン基板1を多孔質化することにより得られる多孔質シリコンで多孔質層20を形成し、後述する体積膨張処理を多孔質シリコン層の一部に施すことでバリア層25を形成することができる。
ところで、本発明の目的を達成するためには、バリア層25が完全に緻密な構造であることを必須とせず、以下の条件を満たす多孔質構造を有していればよい。すなわち、多孔質層20の多孔度をPs、平均細孔径をRsとすると、バリア層25の多孔度Piおよび平均細孔径Riは、以下の(1)〜(3)のいずれかの条件を満たせばよい。
(1) Ps>Pi かつ Rs=Ri
(2) Ps=Pi かつ Rs>Ri
(3) Ps>Pi かつ Rs>Ri
これらいずれかの条件を満たすことにより、上記したように、多孔質層20内への反応種や汚染物の拡散を抑制できるバリア層25を得ることができる。尚、Ps>Pi+10(%)の条件が満たされる場合は、バリア層25によって多孔質層20を補強し、熱絶縁層2全体の機械的強度を高めることができる。また、多孔質層20内へのガス拡散をより効果的に抑制する観点から、Rs−0.5nm>Riの条件を満たすことが好ましい。尚、理想的には、前記2つの条件の両方を満たすことが好ましい。
また、本発明の目的をより効果的に達成するため、バリア層25は次式によって表される熱拡散長D〔m〕を超えない厚みを有することが好ましい。
D=(2αi/ωCi)1/2
ここに、d〔m〕はバリア層25の厚さ、αi〔W/(m・K)〕はバリア層の熱伝導率、Ci〔J/(m・K)〕はバリア層の熱容量、ω(=2πf〔rad/s〕)は発熱体層3で生じる温度振動の角振動数である。尚、発熱体層3へ与える駆動入力波形を正弦波とすると、当該正弦波の周波数の2倍の周波数が、発熱体層3で生じる理想的な温度振動の周波数f(Hz)に相当する。
例えば、周波数が60kHzの圧力波を発生させたい場合には、駆動入力波形の周波数を30kHzとすればよく、バリア層のαiが1.55〔W/(m・K)〕程度、Ciが1.01×10〔J/(m3・K)〕程度であるとすると、熱が優位に伝わる厚み、すなわち熱拡散長Dは上式よりD≒2.85×10−6〔m〕=2.85μmとなる。したがって、この場合のバリア層25の厚さは2.85μmを超えないように設定すれば、バリア層の下に位置する多孔質層の断熱性が有効に機能することになる。
ところで、熱絶縁層上に形成される発熱体層には、電気入力エネルギー変化に追従した温度変化を生じさせる必要がある。すなわち、所定の周波数の音波を放出させるためには、発熱体層の熱容量を極力小さくして、熱応答性を高める必要がある。そのため、発熱体層は10〜200nm、好ましくは20〜100nm程度という非常に薄い厚みに形成される。このような非常に薄い発熱体層にガス等の周囲媒質の遮蔽性を期待することはできないため、発熱体層とは個別にバリア層を設けて周囲媒質の遮蔽性の向上を図る必要がある。
また、多孔質層20とバリア層25の少なくとも一方が電気絶縁性を有する材料により形成される場合は、熱浸透率が小さく、圧力波発生効率が大きいことに加えて、発熱体層3への通電時に熱絶縁層2にリーク電流が流れるのを抑制することができるので、より大きな音圧の圧力波を安定に発生させることができる。尚、圧力波発生効率は入力電力に対して発生する圧力波の音圧の比率で定義される値である。
電気絶縁性を有する材料の一例として、多孔質シリカにより多孔質層20を形成する場合について説明すると、空気中の水分が多孔質シリカでなる多孔質層20の細孔内に吸着するのを防止する観点から、その平均細孔径は5nm以下であることが好ましい。これにより、熱絶縁層2の細孔を含めた体積熱容量の増大を防止することができて、圧力波発生効率の低下を抑制することができる。また、多孔質層20内に水分が吸着し難くなるので、吸着水分を介してリーク電流が流れるのを防止でき、高湿度雰囲気下においても大きな音圧の圧力波を安定して発生させることができる。
次に、上記した圧力波発生装置の製造方法について説明する。この製造方法は、基板1上に多孔質層20を形成する工程と、多孔質層20上にバリア層25を形成する工程と、バリア層25上に発熱体層3を形成するとともに、発熱体層3の両端部に一対のパッド4を形成する工程とに大別される。
多孔質層20は、基板1として用いるp形のシリコン単結晶基板の表面の所定領域に陽極酸化処理を施して形成することが好ましい。例えば、陽極酸化処理は、図2に示すように、電解液12(例えば、50wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1.2:1で混合した混合液)が収容された処理槽10中に被処理物であるシリコン基板1を浸漬して行われる。処理層10内においては、電流源16に接続された白金電極14が、シリコン基板1の多孔質層が形成されるべき表面に対向するように電解液12中に配置される。通電用電極を陽極、白金電極14を陰極として、電流源16から所定の電流密度の電流を流すことにより陽極酸化処理がシリコン基板1の表面に施される。
また、多孔質層20は、基板1の表面からある深さにわたって第1多孔質層P1を形成した後、第1多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が大きい第2多孔質層P2を第1多孔質層に隣接して基板1内に形成することが好ましい。ここに、第1多孔質層P1の少なくとも一部が、後述するバリア層25の形成に使用される。第1多孔質層P1と第2多孔質層P2の形成には、上記した陽極酸化処理を採用することが特に好ましい。すなわち、基板1に第1条件で陽極酸化処理を施すことで基板表面からある深さにわたって第1多孔質層P1を形成し、引き続いて第1条件とは異なる第2条件で陽極酸化処理を基板に施すことで基板1内に第1多孔質層P1に隣接する第2多孔質層P2を形成することができる。陽極酸化処理の第1条件および第2条件は、第1多孔質層P1が、第2多孔質層P2より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方において小さい構造を有するように決定される。
以下、陽極酸化処理による第1多孔質層P1と第2多孔質層P2の形成をさらに具体的に説明する。あらかじめ設定された電流密度(例えば、5mA/cm)の電流を所定時間流して第1陽極酸化処理を基板1の表面に施すことで、図3(A)および図3(B)に示すように、所定の多孔度および平均細孔径を有する第1多孔質層P1が基板表面から所定深さにわたって形成される。
次いで、第1陽極酸化処理とは異なる電流密度(例えば、100mA/cm)の電流を所定時間流して第2陽極酸化処理を基板1表面に施すことで、図4(A)および図4(B)に示すように、第1多孔質層P1よりも多孔度および平均細孔径の少なくとも一方が大きい第2多孔質層P2が第1多孔質層に隣接して基板内部に形成される。図3(B)および図4(B)は、第2陽極酸化処理により形成された第2多孔質層P2が、第1多孔質層P1よりもポーラスな構造を有していることを概念的に示している。
尚、第2陽極酸化処理が、第1陽極酸化処理によって形成された第1多孔質層P1の多孔度および平均細孔径にはほとんど影響を及ぼすことなく進行し、第1多孔質層の直下に第2多孔質層P2を所定の厚みで形成できることは注目に値する。これは、電解液が新鮮な基板1に接触する部位において陽極酸化処理が優先的に進行し、すでに陽極酸化処理によって形成された多孔質構造においてはほとんど処理が進行しないことによる。尚、上記した条件で形成した第1多孔質層の厚さは0.1μmであり、第2多孔質層厚さは1.6μmである。また、使用した基板1の厚さは525μmである。これらの値は一例であって本発明を限定するものではない。また、電流密度および処理時間は、特に限定するものではなく、電流密度は例えば1〜500mA/cm程度の範囲内で適宜設定すればよい。
得られた第1多孔質層P1および第2多孔質層P2について、細孔径分布をガス吸着法により分析した結果を図5に示す。第1多孔質層P1には、2.73nm付近の細孔径を有する細孔が多く含まれることを示すピークが存在しているのに対し、第2多孔質層P2には、3.39nm付近の細孔径を有する細孔が多く含まれていることを示すピークが存在しており、細孔径は第2多孔質層P2より第1多孔質層P1の方が小さいことがわかる。また、第1多孔質層P1および第2多孔質層P2のそれぞれについて、多孔度をガス吸着法により分析したところ、第1多孔質層P1の多孔度が64.5%であるのに対し、第2多孔質層の多孔度は75.8%であり、多孔度についても第2多孔質層P2より第1多孔質層P1の方が小さいことが確認された。
このように、第2多孔質層P2より平均細孔径と多孔度と少なくとも一方、より好ましくは平均細孔径と多孔度の両方が小さくなるように第1多孔質層P1を形成することにより、次工程において本発明の目的を達成する上で好ましいバリア層25を形成することができる。
尚、多孔質層の形成工程の別の好ましい実施形態として、多孔質層20の多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が、基板1の表面から深さ方向に徐々に大きくなるように陽極酸化処理の条件を連続的に変化させてもよい。この場合は、得られた多孔質層20の表層部において平均細孔径と多孔度の少なくとも一方が最も小さくなる。次工程においては、この表層部にバリア層25が形成される。
次に、バリア層25の形成工程について説明する。バリア層25は、多孔質層の表層部の平均細孔径と多孔度の少なくとも一方、好ましくは平均細孔径と多孔度の両方を小さくする処理によって形成することができる。このような処理としては、多孔質層20の表層部を体積膨張させる処理を採用することが好ましい。例えば、上記した第1陽極酸化処理によって形成した第1多孔質層P1を体積膨張させる場合、酸化性ガスの存在下で第1多孔質層P1を加熱処理すればよい。これにより、図6(A)および図6(B)に示すように、多孔質シリコンでなる第1多孔質層P1が酸化されて体積膨張し、第2多孔質層P2上にバリア層25が形成される。図6(B)は、図3(B)に示す第1多孔質層P1が体積膨張して、細孔寸法および細孔数が減少したバリア層25に変化したことを概念的に示している。また、図6(B)中のハッチングによって示される領域27が体積膨張した部位を表している。このように第1多孔質層P1を体積膨張させて得られるバリア層25には、シリコン酸化物からなるシリコン化合物が含まれる。尚、加熱処理の条件は、体積膨張されるべき多孔質層の材質、および多孔質層の厚みなどに応じて適宜設定される。例えば、温度が120℃、湿度が85%の高温高湿雰囲気に曝すことで第1多孔質層P1を酸化して体積膨張させることができる。あるいは、大気中で200℃程度に加熱して酸化してもよい。
上記した体積膨張処理において注目すべきは、体積膨張が反応性ガスの存在下で加熱して行われるため、外部から供給される反応性ガス(ここでは、酸化性ガス)のほとんどが、第1多孔質層P1を介して第2多孔質層P2に進入する前に第1多孔質層P1を酸化するために消費される。換言すれば、このような体積膨張処理によれば、第2多孔質層P2の平均細孔径および多孔度をほとんど変化させることなく、第1多孔質層P1において優先的に平均細孔径および多孔度の少なくとも一方を減少させてバリア層25を形成することができるのである。尚、第1多孔質層の平均細孔径や多孔度が小さいほど、第1多孔質層P1において優先的に体積膨張を進行させることができる。
図7に、体積膨張処理を実施する前後における第1多孔質層P1の細孔容積−細孔径の関係をガス吸着法により分析した結果を示す。体積膨張処理を行う前の第1多孔質層P1には、前記したように(図5参照)、2.73nm付近の細孔径を有する細孔が多く含まれているのに対し、体積膨張処理によって形成されたバリア層25においては、2.73nm付近の細孔径を有する細孔の大部分が消失しており、細孔容積が大幅に低減された、すなわち初期の細孔の大部分が封孔されたことがわかる。
尚、本発明のバリア層25を形成する目的は、圧力波発生装置の周囲の媒質(主として空気)に含まれる反応性物質や汚染物が熱絶縁層2の多孔質層20として機能する第2多孔質層P2内に拡散するのを防止することにあるので、第1多孔質層P1のすべてを体積膨張させる必要はなく、第1多孔質層P1の一部(表層部)のみを体積膨張させるだけでも目的を達成可能である。また、体積膨張をさせる処理は、酸化性ガスの存在下で加熱することに限定されず、体積膨張を伴う反応であれば利用可能である。例えば、炭化性ガスや窒化性ガスの存在下で加熱することで第1多孔質層P1の少なくとも一部を炭化もしくは窒化させて体積膨張させても良い。この場合は、バリア層25にシリコン窒化物やシリコン炭化物などの化学的に安定なシリコン化合物が含まれる。あるいは、酸化性ガス、炭化性ガス、窒化性ガスから選択される2種以上の存在下で加熱して体積膨張させることも可能である。この場合は、得られたバリア層25にシリコン炭窒化物やシリコン酸窒化物などが含まれる。
上記した体積膨張処理によれば、多孔質層20の表層部や第1多孔質層P1の細孔に封孔材を埋め込む必要がなく、均質なバリア層を容易に形成することができるという長所もある。また、体積膨張処理によって形成されたバリア層25は、第2多孔質層P2でなる多孔質層20と一体に形成されるので、多孔質層20上に異なる材料のバリア層を形成する場合に比して、バリア層25と多孔質層20との間の良好な界面強度が得られる。さらに、機械的強度が単結晶シリコンに比べて低い多孔質層20の骨格が体積膨張したバリア25層によって補強され、結果的に多孔質層20とバリア層25とでなる熱拡散層2の機械的強度の向上を図れるという効果もある。
また、上述の第1多孔質層P1の体積膨張をさせる処理は、発熱体層のダメージがなければ、発熱体層を形成した後に、発熱体層を介してのガス等の拡散を利用して行ってもよい。
このように、上記した体積膨張処理によれば、多くの点で好ましい効果が得られるが、本発明の体積膨張処理は、反応性ガスの存在下で加熱することに限定されない。例えば、多孔質層の一部を酸化用の電解質溶液中で電気化学的に酸化してもよい。この場合は、上述の多孔質層20の形成工程に用いた電解液12に代えて、例えば、1Mの硫酸水溶液からなる電解質溶液を入れた処理槽10内に多孔質層が形成された基板を浸漬し、基板を陽極、白金電極14を陰極として所定の電流密度(例えば、10mA/cm)の電流を流して多孔質層の一部を電気化学的に酸化すればよい。ここで、電気化学的な酸化を終了するタイミングは、陽極と陰極との間の電圧の増加分が所望のバリア層の厚さに対応するように設定した所定値(例えば、15V)以上となった時とすることができる。尚、バリア層の形成に用いる電解質溶液は、前記したものに限定されず、エチレンダリコールなどの有機溶媒に硝酸カリウムを酸化剤として溶かした溶液を用いてもよい。
上述のように、多孔質層を電解質溶液中で電気化学的に酸化してバリア層の形成する場合は、多孔質層を形成するために使用したのと同じ処理装置を用いることができ、電解質溶液を変更するだけで処理可能となるので、製造コストの低減を図れるという長所がある。
また、上述したバリア層25の形成工程のさらなる変更例として、レーザー光により少なくとも多孔質層20の表層部を加熱溶融することでバリア層25を形成してもよい。つまり、レーザアニール法によりバリア層を形成してもよい。この場合は、不活性ガスもしくは真空中で処理を行うことで、多孔質層の細孔内を不活性ガスで満たされた状態、若しくは減圧雰囲気に保持することが可能になる。また、バリア層が緻密な構造を有するので、多孔質層の細孔を塞いだ封孔層として機能し、多孔質層内への反応性物質や汚染物の侵入を遮断することができる。
また、上述したバリア層25の形成工程のさらに別の変更例として、ペースト状の封孔剤を多孔質層20の表層部に塗布し、加圧することでバリア層を形成してもよい。
次に、発熱体層3およびパッド4の形成工程について簡単に説明する。発熱体層3は、図8に示すように、バリア層25の表面にメタルマスクなどを利用してスパッタ法や蒸着法などによって形成できる。また、パッド4も、発熱体層と同様に、メタルマスクなどを利用してスパッタ法や蒸着法などによって発熱体層3上の所定部位に形成できる。本実施形態では、発熱体層3は、厚さが50nmのイリジウム薄膜によって形成され、パッド4は、厚さが0.5μmのアルミニウム薄膜によって形成されている。これらの値は一例であって本発明を限定するものではない。
次に、バリア層の形成が圧力波発生装置の出力の経時安定性に及ぼす効果を確認するために実施した評価試験の一例を紹介する。この評価試験においては、上記した第1多孔質層P1を体積膨張させて形成したバリア層25を有する本発明にかかる圧力波発生装置(D1)と、バリア層25を設けることなく、第2多孔質層P2のみによって熱絶縁層2を形成した従来の圧力波発生装置(D2)とを、温度が120℃、湿度が85%の雰囲気に曝し、所定のテスト時間経過毎に、効率(=音圧〔Pa〕/入力電力〔W〕)を測定した。結果を図8に示す。この図から明らかなように、従来の圧力波発生装置(D2)では、テスト時間の経過とともに、効率が急激に減少するのに対し、本発明の圧力波発生装置(D1)では、効率の減少量は少なく、出力の経時安定性が顕著に改善されているのがわかる。尚、図8の縦軸の「効率変化」は、試験開始前の効率をφ1、試験開始後の効率をφ2とするとき、〔(φ2−φ1)/φ1〕×100として求めた値である。
また、圧力波発生装置(D1)に関して、評価試験前後に熱絶縁層2の多孔質層20の深さ方向におけるシリコン(Si)と酸素(O)の分布をオージエ電子分光法により測定した結果を図10および図11に示す。また、従来の圧力波発生装置(D2)に関して、評価試験後に熱絶縁層2の多孔質層20の深さ方向におけるシリコン(Si)と酸素(O)の分布をオージエ電子分光法により測定した結果を図12に示す。これらの結果より、バリア層なしの従来の圧力波発生装置(D2)に比べ、バリア層25を設けた本発明にかかる圧力波発生装置(D2)においては、多孔質層20の酸化の進行が顕著に抑制されていることがわかる。
上記実施形態では、基板材料に半導体材料を使用した場合について説明したが、熱伝導性が高い金属基板を使用することも可能である。この場合は、金属基板上に多孔質シリカ層などの基板より熱絶縁性の高い多孔質層からなる熱絶縁層かつ電気絶縁層を形成し、その表層部に水分や汚染物の拡散を抑制するバリア層を形成すればよい。
本発明の好ましい実施形態にかかる圧力波発生装置の概略断面図である。 陽極酸化処理の原理を示す概略図である。 (A)は基板に設けた第1多孔質層を示す概略断面図であり、(B)第1多孔質層の構造を示す概略図である。 (A)は第1多孔質層に隣接して基板内に設けた第2多孔質層を示す概略断面図であり、(B)第2多孔質層の構造を示す概略図である。 第1多孔質層および第2多孔質層の細孔径−細孔容積の関係を示すグラフである。 (A)は第2多孔質層に体積膨張処理を施して形成されたバリア層を示す概略断面図であり、(B)バリア層の構造を示す概略図である。 第2多孔質層およびバリア層の細孔径−細孔容積の関係を示すグラフである。 発熱体層およびパッドの形成工程を示す概略断面図である。 バリア層を有する圧力波発生装置の出力の経時安定性を示すグラフである。 評価試験前に本実施形態の圧力波発生装置の熱絶縁層をオージェ電子分光法により分析した結果を示す図である。 評価試験後に本実施形態の圧力波発生装置の熱絶縁層をオージェ電子分光法により分析した結果を示す図である。 評価試験後に従来例の圧力波発生装置の熱絶縁層をオージェ電子分光法により分析した結果を示す図である。
符号の説明
1 基板
2 熱絶縁層
3 発熱体層
4 パッド
20 多孔質層
25 バリア層

Claims (18)

  1. 基板と、発熱体層と、前記基板と前記発熱体層との間に設けられる熱絶縁層とを含み、前記発熱体層への通電によって引き起こされる前記発熱体層の温度変化が、周囲の媒質中に圧力波を発生させる圧力波発生装置であって、前記熱絶縁層は、多孔質層と、前記多孔質層と前記発熱体層との間に設けられ、前記多孔質層への前記媒質成分の拡散を抑制するバリア層を含み、前記バリア層は、前記多孔質層の一部を体積膨張させることにより形成され、前記多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が小さい構造を有することを特徴とする圧力波発生装置。
  2. 前記バリア層は多孔質構造を有し、前記多孔質層の細孔の少なくとも一部が前記バリア層の細孔に連結されることを特徴とする請求項1に記載の圧力波発生装置。
  3. 前記多孔質層はシリコンで形成され、前記バリア層はシリコン化合物を含むことを特徴とする請求項1もしくは2に記載の圧力波発生装置。
  4. 前記シリコン化合物は、シリコンの酸化物、炭化物、窒化物から選択される少なくと一種であることを特徴とする請求項3に記載の圧力波発生装置。
  5. 前記多孔質層は、内部に不活性ガスが充填されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧力波発生装置。
  6. 前記多孔質層は、内部が減圧雰囲気に保持されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧力波発生装置。
  7. 前記バリア層の熱伝導率をαi、前記バリア層の単位体積あたりの熱容量をCi(J/(m・K))、前記発熱体層に印加される駆動入力波形を正弦波とし、前記正弦波の周波数の2倍の周波数を前記発熱体層で生じる温度振動の周波数f(Hz)とし、前記温度振動の角振動数をω=2πf(rad/s)とする時、前記バリア層の厚さは、(2αi/ωCi)1/2で規定される熱拡散長(m)以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の圧力波発生装置。
  8. 前記多孔質層と前記バリア層の少なくとも一方は、電気絶縁性を有する材料で形成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧力波発生装置。
  9. 前記電気絶縁性を有する材料は、シリカを含むことを特徴とする請求項8に記載の圧力波発生装置。
  10. 基板と、発熱体層と、前記基板上と前記発熱体層との間に設けられる熱絶縁層とを含み、前記発熱体層への通電によって引き起こされる前記発熱体層の温度変化が周囲の媒質に熱衝撃を与え、圧力波を発生させる圧力波発生装置の製造方法であって、前記基板上に多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層への前記媒質成分の拡散を抑制するバリア層を前記多孔質層上に形成する工程と、前記バリア層上に前記発熱体層を形成する工程とを含み、前記多孔質層の形成工程は、前記基板に陽極酸化処理を施すことで基板表面からある深さにわたって第1多孔質層を形成する工程と、異なる条件で陽極酸化処理を基板に施すことで前記基板内に第1多孔質層に隣接する第2多孔質層を形成する工程とを含み、前記陽極酸化処理の条件は、前記第1多孔質層が、第2多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方において小さい多孔質構造を有するように決定され、前記バリア層は、前記第1多孔質層の少なくとも一部を体積膨張させることにより形成されることを特徴とする圧力波発生装置の製造方法。
  11. 前記多孔質層は、前記基板に陽極酸化処理を施すことによって形成され、前記陽極酸化処理の条件は、前記多孔質層の多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が、基板表面から深さ方向に徐々に大きくなるように決定されることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  12. 前記バリア層は、前記多孔質層の表層部を体積膨張させることにより形成されることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
  13. 基板と、発熱体層と、前記基板上と前記発熱体層との間に設けられる熱絶縁層とを含み、前記発熱体層への通電によって引き起こされる前記発熱体層の温度変化が周囲の媒質に熱衝撃を与え、圧力波を発生させる圧力波発生装置の製造方法であって、前記基板上に多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層への前記媒質成分の拡散を抑制するバリア層を前記多孔質層上に形成する工程と、前記バリア層上に前記発熱体層を形成する工程とを含み、前記バリア層は、前記多孔質層の一部を体積膨張させることにより形成されることを特徴とする圧力波発生装置の製造方法。
  14. 前記多孔質層の一部を酸化性ガス、炭化性ガス、窒化性ガスの少なくと一種の存在下で加熱することにより体積膨張させることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
  15. 前記多孔質層の一部を電解質溶液中で電気化学的に酸化することにより体積膨張させることを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
  16. 基板と、発熱体層と、前記基板上と前記発熱体層との間に設けられる熱絶縁層とを含み、前記発熱体層への通電によって引き起こされる前記発熱体層の温度変化が周囲の媒質に熱衝撃を与え、圧力波を発生させる圧力波発生装置の製造方法であって、前記基板上に多孔質層を形成する工程と、前記多孔質層への前記媒質成分の拡散を抑制するバリア層を前記多孔質層上に形成する工程と、前記バリア層上に前記発熱体層を形成する工程とを含み、前記バリア層は、前記多孔質層の一部をレーザー加熱により溶融して形成されることを特徴とする圧力波発生装置の製造方法。
  17. 前記多孔質層の形成工程は、前記基板の表面からある深さにわたって第1多孔質層を形成する工程と、前記第1多孔質層より多孔度と平均細孔径の少なくとも一方が大きい第2多孔質層を前記第1多孔質層に隣接して前記基板内に形成する工程を含み、前記バリア層は、前記第1多孔質層の多孔度と平均細孔径の少なくとも一方を小さくする処理によって形成されることを特徴とする請求項10に記載の製造方法。
  18. 前記処理は、前記第1多孔質層の少なくとも1部を体積膨張させる処理であることを特徴とする請求項17に記載の製造方法。
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