JP3557992B2 - 電界放射型電子源の検査方法および電界放射型電子源の検査装置 - Google Patents

電界放射型電子源の検査方法および電界放射型電子源の検査装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射型電子源の検査方法および電界放射型電子源の検査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、導電性基板の一表面側に酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層を形成し、強電界ドリフト層上に表面電極を形成した電界放射型電子源が提案されている(例えば、特許第2966842号、特許第2987140号参照)。この種の電界放射型電子源は、表面電極を導電性基板に対して正極として表面電極と導電性基板との間に直流電圧を印加するとともに、表面電極を陰極として表面電極に対向配置されたコレクタ電極との間に電界を印加することにより表面電極の表面から電子を放射させるものである。なお、この電界放射型電子源の電子放出原理は、弾道型電子放出現象と呼ばれている。
【0003】
ここにおいて、強電界ドリフト層の形成にあたっては、導電性基板上の多結晶シリコン層を陽極酸化処理によって多孔質化することによって半導体微結晶を有する多孔質多結晶シリコン層を形成し、該多孔質多結晶シリコン層のグレインおよび半導体微結晶それぞれの表面に酸化膜を形成している。
【0004】
この電界放射型電子源では、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を放出することができ、また、導電性基板として単結晶シリコン基板などの半導体基板の他にガラス基板などに導電性膜を形成した基板などを使用することもできるから、スピント型電極に比べて、電子源の大面積化および低コスト化が可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の電界放射型電子源は、その製造工程中の半導体微結晶の表面に酸化膜を形成する酸化条件によっては電子源としての性能(例えば、エミッション電流)が低下してしまうことがあった。
【0006】
しかしながら、上述の電界放射型電子源の電子源としての性能の検査は、強電界ドリフト層を形成した後に、表面電極の形成工程、パッド電極の形成工程、ダイシング工程、実装工程などを経てから、真空装置内に設置してエミッション電流などの測定を行っていたので、検査に手間がかかるとともに、当該検査において不良と判定された場合、多くのプロセス、評価に要する時間やコストが無駄になってしまい、結果的に製造コストが高くなってしまうという不具合があった。
【0007】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、簡単に電界放射型電子源の良否判定を行う電界放射型電子源の検査方法および簡単に電界放射型電子源の良否判定が可能な電界放射型電子源の検査装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査方法であって、強電界ドリフト層を励起することにより発光させ、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて強電界ドリフト層の良否を判定することを特徴とし、大気中での検査で強電界ドリフト層の良否を判定できるとともに、強電界ドリフト層が形成された後の製造工程の途中でもウェハの状態で検査を行うことができるので、電界放射型電子源の検査が簡単になるとともに電界放射型電子源の製造コストを低減することができる。
【0011】
請求項の発明は、請求項の発明において、上記強電界ドリフト層を励起するにあたり、上記強電界ドリフト層を光エネルギにより励起するので、非接触、非破壊で上記強電界ドリフト層の検査を行うことができる。
【0012】
請求項の発明は、請求項の発明において、上記強電界ドリフト層を励起するにあたり、上記強電界ドリフト層に電界を印加することにより励起するので、光学的に励起する場合に比べて励起するための光学系が不要になり、上記強電界ドリフト層を簡単に励起することができる。
【0013】
請求項の発明は、請求項ないし請求項の発明において、上記良否を判定するにあたり、多孔質半導体層の酸化若しくは窒化に関連した発光と、半導体微結晶からの発光との両方のピークが検出されるときに良品として判定するので、電子放出効率が高くてエミッション電流が大きな高性能の電界放射型電子源を良品として選別することができる。
【0014】
請求項の発明は、請求項ないし請求項の発明において、上記半導体がシリコンよりなるので、半導体微結晶からの発光のピーク波長の設定が容易になる。
【0015】
請求項の発明は、導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査装置であって、強電界ドリフト層へ光エネルギを与える励起光源と、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて当該強電界ドリフト層の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とするものであり、大気中において非破壊、非接触で簡単に強電界ドリフト層の検査を行うことができ、電界放射型電子源の製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0016】
請求項の発明は、導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査装置であって、強電界ドリフト層へ電界を印加する電源と、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて当該強電界ドリフト層の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とするものであり、大気中において非破壊で簡単に強電界ドリフト層の検査を行うことができ、電界放射型電子源の製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本実施形態の電界放射型電子源は、図2に示すように、導電性基板たるn形シリコン基板1の主表面側に酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に導電性薄膜(例えば、金薄膜)よりなる表面電極7が形成され、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2が形成されている。なお、本実施形態では、導電性基板として抵抗率が導体の抵抗率に比較的近い単結晶のn形シリコン基板1(例えば、抵抗率が略0.01Ωcm〜0.02の(100)基板)を用いており、n形シリコン基板1が導電性層を構成している。
【0018】
図2に示す構成の電界放射型電子源10では、表面電極7を真空中に配置するとともに図3に示すように表面電極7に対向してコレクタ電極21を配置し、表面電極7を導電性層であるn形シリコン基板1に対して正極として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21を表面電極7に対して正極として直流電圧Vcを印加することにより、n形シリコン基板1から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(なお、図3中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子eの流れを示す)。したがって、表面電極7としては、仕事関数の小さな材料を用いることが望ましい。ここにおいて、表面電極7とn形シリコン基板1(オーミック電極2)との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと称し、コレクタ電極21と表面電極7との間に流れる電流をエミッション電流(放出電子電流)Ieと称し、ダイオード電流Ipsに対するエミッション電流Ieが大きい(Ie/Ipsが大きい)ほど電子放出効率が高くなる。なお、本実施形態の電界放射型電子源10では、表面電極7とオーミック電極2との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。
【0019】
ここに、強電界ドリフト層6は、図1に示すように、少なくとも、柱状の多結晶シリコン(グレイン)51と、多結晶シリコン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、多結晶シリコン51間に介在する結晶粒径がナノメータサイズ(5nm以下)のシリコン微結晶63と、シリコン微結晶63の表面に形成されシリコン微結晶63の結晶粒径よりも膜厚が小さなシリコン酸化膜64とから構成されている。要するに、強電界ドリフト層6は、各グレインの表面が多孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持されている。
【0020】
したがって、電界放射型電子源10では、次のようなモデルで電子放出が起こると考えられる。すなわち、表面電極7とn形シリコン基板1(オーミック電極2)との間に表面電極7を正極として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21と表面電極7との間にコレクタ電極21を正極として直流電圧Vcを印加することにより、直流電圧Vpsが所定値(臨界値)に達すると、n形シリコン基板1から強電界ドリフト層6へ熱的励起により電子eが注入される。一方、強電界ドリフト層6へ印加された電界はほとんどシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子はシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され、強電界ドリフト層6における多結晶シリコン51の間の領域を表面に向かって図中の矢印の向きへ(図1の上方向へ向かって)ドリフトし、強電界ドリフト層6の最表面の酸化層(図示せず)を介して表面電極7をトンネルし真空中に放出される。しかして、強電界ドリフト層6ではn形シリコン基板1から注入された電子がシリコン微結晶63に衝突せずにシリコン酸化膜64に印加されている電界で加速されてドリフトして表面電極7を通して放出され(弾道型電子放出現象)、強電界ドリフト層6で発生した熱が柱状の多結晶シリコン51を通して放熱されるから、電子放出時にポッピング現象が発生せず高効率で電子を放出することができる。
【0021】
以下、製造方法について図4を参照しながら説明する。
【0022】
まず、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2を形成した後、n形シリコン基板1の主表面上に所定膜厚(例えば、1.5μm)の半導体層たるノンドープの多結晶シリコン層3を形成(成膜)することにより図4(a)に示すような構造が得られる。なお、多結晶シリコン層3の成膜は、導電性基板が半導体基板の場合には例えばLPCVD法やスパッタ法により行ってもよいし、あるいはプラズマCVD法によってアモルファスシリコンを成膜した後にアニール処理を行うことにより結晶化させて成膜してもよい。また、導電性基板がガラス基板に導電性層を形成した基板の場合には、CVD法により導電性層上にアモルファスシリコンを成膜した後にエキシマレーザでアニールすることにより、多結晶シリコン層を形成してもよい。また、導電性層上に多結晶シリコン層を形成する方法はCVD法に限定されるものではなく、例えばCGS(Continuous Grain Silicon)法や触媒CVD法などを用いてもよい。
【0023】
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、n形シリコン基板1(オーミック電極2)を正極として、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で陽極酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶シリコン層4が形成され図4(b)に示すような構造が得られる。ここにおいて、本実施形態では、陽極酸化処理の条件として、陽極酸化処理の期間、多結晶シリコン層3の表面に照射する光パワーを一定、電流密度を一定としたが、この条件は適宜変更してもよい(例えば、電流密度を変化させてもよい)。
【0024】
次に、急速加熱法(RTO法)によって、多孔質多結晶シリコン層4を酸化することにより、強電界ドリフト層6が形成され、図4(c)に示す構造が得られる。なお、急速加熱法による酸化条件は、ランプアニール装置を用い、炉内を酸素雰囲気として基板温度を所定の酸化温度(例えば、900℃)で所定の酸化時間(例えば、1時間)のアニールを行う。
【0025】
強電界ドリフト層6を形成した後は、強電界ドリフト層6上に導電性薄膜(例えば、金薄膜)からなる表面電極7を例えば蒸着により形成することによって、図4(d)に示す構造の電界放射型電子源10が得られる。
【0026】
なお、本実施形態では、表面電極7の膜厚を15nmとしてあるが、この膜厚は特に限定するものではなく、強電界ドリフト層6を通ってきた電子がトンネルできる膜厚であればよい。また、本実施形態では、表面電極7となる導電性薄膜を蒸着により形成しているが、導電性薄膜の形成方法は蒸着に限定されるものではなく、例えばスパッタ法を用いてもよい。また、本実施形態では表面電極7を金薄膜により構成しているが、厚み方向に積層された少なくとも二層の薄膜電極層により構成してもよい。二層の薄膜電極層により構成する場合には、上層の薄膜電極層の材料として例えば金などを採用し、下層の薄膜電極層(強電界ドリフト層6側の薄膜電極層)の材料として例えば、クロム、ニッケル、白金、チタン、イリジウムなどを採用すればよい。
【0027】
ところで、本願発明者らは、鋭意研究の結果、強電界ドリフト層6をフォトルミネッセンス測定により評価することによって、電界放射型電子源10の性能を検査できるという知見を得た。すなわち、強電界ドリフト層6を形成する場合の多孔質多結晶シリコン層4の酸化条件によっては、形成された強電界ドリフト層6を励起させることで図5中のイに示す発光スペクトルのように多孔質多結晶シリコン層4の酸化に関連した発光のピークしか観測されないものと、図5中のロに示す発光スペクトルのように多孔質多結晶シリコン層4の酸化に関連した発光のピークとシリコン微結晶からの発光のピークとが観測されるものがあるという知見を得た。なお、一般に、シリコン酸化膜からの発光はFバンドと呼ばれ、430〜540nm付近にピークを持つことが知られ、シリコン微結晶からの発光はSバンドと呼ばれ、650〜800nm付近にピークを持つことが知られている。
【0028】
また、電子源の性能を表す一つであるエミッション電流についてイの発光スペクトルを有するものとロの発光スペクトルを有するものとを比較すると、図6に示すように、ロの発光スペクトルを有するものの方が2桁以上も大きな電流密度が得られることが分かった。言い換えれば、エミッション電流は、強電界ドリフト層6にシリコン微結晶63が形成されている方がシリコン微結晶63が形成されていないものに比べて大きくなることが分かった。ここに、図6に示すようにイの発光スペクトルを有するものの方がエミッション電流が小さくなっているのは、シリコン微結晶63が破壊されてシリコン酸化膜64の膜厚が厚くなり、電子が厚いシリコン酸化膜によって散乱されてしまうからであると考えられる。
【0029】
したがって、電子源の性能評価において、エミッション電流の大きさで選別を行うような場合、強電界ドリフト層6を形成した後のウェハの状態(表面電極7が形成されていてもよいし、表面電極7が形成されていなくてもよい)で強電界ドリフト層6を励起することにより強電界ドリフト層6の良否を判定することができ、この良否判定の結果をエミッション電流の大きさでの選別結果として代用することが可能となる。
【0030】
図7に強電界ドリフト層6の良否を判定する検査装置の概略構成を示す。すなわち、図7に示す構成の検査装置では、レーザ光源からなる励起光源101より発生したレーザビームは、2つのミラー102,103により偏向されてウェハよりなるサンプルSの表面に照射される。ここにおいて、ウェハは、電界放射型電子源10が形成された状態のものでもよいし、強電界ドリフト層6が形成され表面電極7形成前の状態のものでもよく、いずれにしても強電界ドリフト層6の形成後の状態にあればよい。要するに、強電界ドリフト層6には励起光源101から光エネルギが与えられて励起して発光することになる。サンプルSの強電界ドリフト層6からの発光は集光光学系104を通して集光されて分光器105にて分光される。分光器105の出力信号は変換部106にて電気信号に変換されて制御部107に入力される。なお、分光器105は、コンピュータからなる制御部107により制御される。
【0031】
制御部107は、強電界ドリフト層6の発光スペクトルの分布に基づいて強電界ドリフト層6の良否を判定する判定手段を有し、判定手段による判定結果は図示しない表示装置に表示される。この判定手段は、発光スペクトルに多孔質多結晶シリコン層4の酸化に関連した発光(例えば、シリコン酸化膜からの発光)のピークとシリコン微結晶からの発光のピークとの両方がある場合に良品と判定し、多孔質多結晶シリコン層4の酸化に関連した発光のピーク波長のみがあってシリコン微結晶からの発光のピーク波長がない場合には不良品と判定するようになっている。なお、励起光源101の波長は、325nmとした。
【0032】
しかして、図7に示す構成の検査装置を用いて強電界ドリフト層6の検査を行う場合、強電界ドリフト層6に光エネルギを与えて強電界ドリフト層6を励起することにより発光させ、強電界ドリフト層6の発光スペクトルのピークの分布に基づいて強電界ドリフト層6の良否を判定するので、大気中での非破壊の検査で強電界ドリフト層6の良否を判定できるとともに、強電界ドリフト層6が形成された後のウェハの状態で検査を行うことができるから、電界放射型電子源10の検査が簡単になるとともに電界放射型電子源10の製造コストを低減することができる。また、この検査装置を用いて良品と判定された電界放射型電子源10は、電子放出効率が高くエミッション電流も高くなるので、高性能な電界放射型電子源の安定した提供に役立てることができる。
【0033】
ここにおいて、強電界ドリフト層6からのフォトルミネッセンス(PL)発光は、表面電極7に覆われていない部分の方が高い発光強度(輝度)を得ることができるので、ウェハの一部に酸化した多孔質多結晶シリコン層4が表面電極7に覆われないで露出する評価用の領域を設けることにより、良否判定を高感度で行うことができる。
【0034】
ところで、図7に示す構成の検査装置では、励起光源101を利用して強電界ドリフト層6を励起しているが、図8に示すように、電源110を利用して強電界ドリフト層6に電界を印加することで強電界ドリフト層6を励起するように構成してもよい。このように構成すれば、図7の構成のように光学的に励起する場合に比べて励起するための光学系(ミラー102,103など)が不要になるので、強電界ドリフト層6を簡単に励起することができる。なお、図8に示す検査装置において他の構成要素は図7に示したものと同じなので同じ構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。
【0035】
なお、多孔質多結晶シリコン層4中のシリコン微結晶63を破壊することなく、シリコン微結晶63の表面にシリコン酸化膜64を形成する方法としては、RTO法を用いて温度上昇時間を数秒以内とする方法や、熱酸化で酸化時間を短くする方法、酸化温度を下げる方法などがある。また、酸化性溶液により酸化する方法、酸により酸化する方法、電気化学的に酸化する方法、プラズマを利用して酸化する方法、紫外線照射により酸化する方法、オゾン雰囲気中で酸化する方法、オゾン雰囲気中で紫外光を照射して酸化する方法などを採用すれば、600℃以下の低温でシリコン微結晶63の破壊を防ぎつつシリコン微結晶63の表面にシリコン酸化膜64を形成することができる。一例として、上述の陽極酸化処理槽を利用して、多孔質多結晶シリコン層4を、70℃に加熱した1モル重量%の硫酸溶液中で、白金電極を負極、n形シリコン基板1を正極として1mA/cmの定電流で電気化学的に酸化することで得た強電界ドリフト層6の発光スペクトルを図9のロに示す。このロの発光スペクトルにおいても上述の多孔質多結晶シリコン層4の酸化に関連した発光のピークとシリコン微結晶からの発光のピークとが観測された。図9のイは多孔質多結晶シリコン層4をRTO法により不適切な条件で酸化して得られた強電界ドリフト層6の発光スペクトルを示す。
【0036】
本実施形態では、導電性基板としてn形シリコン基板1を用いているが、n形シリコン基板1の代わりに、クロムなどの金属基板を用いてもよいし、図10に示すようにガラス基板などの絶縁性基板11の一表面側に導電性層8(例えば、ITO膜)を形成したものを用いてもよい。図10に示す構成の電界放射型電子源10では、表面電極7を真空中に配置するとともに図11に示すように表面電極7に対向してコレクタ電極21を配置し、表面電極7を導電性層8に対して正極として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21を表面電極7に対して正極として直流電圧Vcを印加することにより、導電性層8から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7を通して放出される(なお、図11中の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子eの流れを示す)。
【0037】
ガラス基板の一表面側に導電性層を形成した基板を用いる場合には、半導体基板を用いる場合に比べて、大面積化および低コスト化を図ることができる。
【0038】
ところで、本実施形態では、強電界ドリフト層6を酸化した多孔質多結晶シリコン層により構成しているが、強電界ドリフト層6を窒化した多孔質多結晶シリコン層、あるいは、その他の酸化若しくは窒化した多孔質半導体層により構成してもよい。強電界ドリフト層6を窒化した多孔質多結晶シリコン層により構成する場合には、上述の多孔質多結晶シリコン層4の酸化に関連した発光のピークの代わりに、多孔質多結晶シリコン層4の窒化に関連した発光のピークを有していればよい。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は、導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査方法であって、強電界ドリフト層を励起することにより発光させ、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて強電界ドリフト層の良否を判定するので、大気中での検査で強電界ドリフト層の良否を判定できるとともに、強電界ドリフト層が形成された後の製造工程の途中でもウェハの状態で検査を行うことができ、電界放射型電子源の検査が簡単になるとともに電界放射型電子源の製造コストを低減することができるという効果がある。
【0042】
請求項の発明は、請求項の発明において、上記強電界ドリフト層を励起するにあたり、上記強電界ドリフト層を光エネルギにより励起するので、非接触、非破壊で上記強電界ドリフト層の検査を行うことができるという効果がある。
【0043】
請求項の発明は、請求項の発明において、上記強電界ドリフト層を励起するにあたり、上記強電界ドリフト層に電界を印加することにより励起するので、光学的に励起する場合に比べて励起するための光学系が不要になり、上記強電界ドリフト層を簡単に励起することができるという効果がある。
【0044】
請求項の発明は、請求項ないし請求項の発明において、上記良否を判定するにあたり、多孔質半導体層の酸化若しくは窒化に関連した発光と、半導体微結晶からの発光との両方のピークが検出されるときに良品として判定するので、電子放出効率が高くてエミッション電流が大きな高性能の電界放射型電子源を良品として選別することができるという効果がある。
【0045】
請求項の発明は、請求項ないし請求項の発明において、上記半導体がシリコンよりなるので、半導体微結晶からの発光のピーク波長の設定が容易になる。
【0046】
請求項の発明は、導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査装置であって、強電界ドリフト層へ光エネルギを与える励起光源と、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて当該強電界ドリフト層の良否を判定する判定手段とを備えるものであり、大気中において非破壊、非接触で簡単に強電界ドリフト層の検査を行うことができ、電界放射型電子源の製造コストの低減を図ることが可能となるという効果がある。
【0047】
請求項の発明は、導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査装置であって、強電界ドリフト層へ電界を印加する電源と、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて当該強電界ドリフト層の良否を判定する判定手段とを備えるものであり、大気中において非破壊で簡単に強電界ドリフト層の検査を行うことができ、電界放射型電子源の製造コストの低減を図ることが可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における電界放射型電子源の概略構成図である。
【図2】同上における電界放射型電子源の概略断面図である。
【図3】同上における電界放射型電子源の特性測定原理の説明図である。
【図4】同上における電界放射型電子源の製造方法を説明するための主要工程断面図である。
【図5】同上における電界放射型電子源の特性説明図である。
【図6】同上における電界放射型電子源の特性説明図である。
【図7】同上における検査装置の概略構成図である。
【図8】同上における他の検査装置の概略構成図である。
【図9】同上における電界放射型電子源の特性説明図である。
【図10】同上における他の電界放射型電子源の概略断面図である。
【図11】同上における他の電界放射型電子源の特性測定原理の説明図である。
【符号の説明】
6 強電界ドリフト層
7 表面電極
63 シリコン微結晶
64 シリコン酸化膜

Claims (7)

  1. 導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査方法であって、強電界ドリフト層を励起することにより発光させ、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて強電界ドリフト層の良否を判定することを特徴とする電界放射型電子源の検査方法。
  2. 上記強電界ドリフト層を励起するにあたり、上記強電界ドリフト層を光エネルギにより励起することを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源の検査方法。
  3. 上記強電界ドリフト層を励起するにあたり、上記強電界ドリフト層に電界を印加することにより励起することを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源の検査方法。
  4. 上記良否を判定するにあたり、多孔質半導体層の酸化若しくは窒化に関連した発光と、半導体微結晶からの発光との両方のピークが検出されるときに良品として判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電界放射型電子源の検査方法。
  5. 上記半導体は、シリコンよりなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電界放射型電子源の検査方法。
  6. 導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査装置であって、強電界ドリフト層へ光エネルギを与える励起光源と、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて当該強電界ドリフト層の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とする電界放射型電子源の検査装置。
  7. 導電性層と、導電性層の一表面側に形成された酸化若しくは窒化した多孔質半導体層よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された表面電極とを備え、表面電極を導電性層に対して正極として電圧を印加することにより導電性層から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通して放出される電界放射型電子源の検査装置であって、強電界ドリフト層へ電界を印加する電源と、強電界ドリフト層の発光スペクトルの分布に基づいて当該強電界ドリフト層の良否を判定する判定手段とを備えることを特徴とする電界放射型電子源の検査装置。
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