JP2006000625A - ワイピングシート - Google Patents

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【課題】 拭き取り時の取り扱い性が良好であり、油脂汚れ等の拭き取り性が高く、拭き取った後の対象物への液残りが少ないワイピングシートを提供する。
【解決手段】 少なくとも2種類の極細繊維発生型複合繊維から得られた繊度0.9dtex以下である極細繊維を含む極細繊維層であって、少なくとも1種類の極細繊維発生型複合繊維から得られた極細繊維が変性ビニルアルコール樹脂を含んで成り、他の極細繊維発生型複合繊維から得られた1種類または複数種類の極細繊維が他の樹脂を含んで成るものである、極細繊維層を有する、織物、編物または不織布等の繊維構造物を含む構成のワイピングシートを得る。極細繊維は、例えば、2種類の分割型複合繊維から得ることができる。極細繊維層は、好ましくは、熱接着性樹脂を含む極細繊維を有し、繊維同士が熱接着されている。
【選択図】なし

Description

本発明は、拭き取り時の取り扱い性が良好であり、油脂汚れ等の拭き取り性が高く、拭き取った後の対象物への液残りが少ないワイピングシートに関する。
従来から、拭き取り性が高いワイパーとして分割型複合繊維を用いた不織布が用いられている。例えば、特開平10−280262号公報(特許文献1)には、融点の異なる二成分系分割型複合短繊維(30〜70重量%)と、吸水性短繊維(70〜30重量%)とを混綿して作製した不織ウェブに高圧液体流処理を施して、低融点重合体から成る極細繊維と高融点重合体からなる極細割繊短繊維を発現させるとともに三次元的に交絡させ、次いで、低融点重合体が溶融軟化する温度で熱処理して、構成繊維同士を熱接着させた、不織布を開示し、これをワイパーに使用することを提案している。特開平11−217757号公報(特許文献2)は、エステル系重合体、アミド系重合体、およびエチレン系重合体から選択される、異なる二成分系分割型複合短繊維(30〜70重量%)と、吸水性短繊維(70〜30重量%)を混綿して作製した不織ウェブに高圧液体流処理を施して、割繊率85%以上となるように分割させて割繊短繊維を発現させるとともに三次元的に交絡させた不織布を開示し、この不織布をワイパー等に使用することを提案している。さらに、特開平11−247059号公報(特許文献3)は、二成分系分割型複合短繊維(90〜60重量%)と、熱接着性短繊維(10〜40重量%)を混綿した不織ウェブに高圧液体流処理を施して、低融点重合体からなる極細繊維と高融点重合体からなる極細繊維を発現させるとともに三次元的に交絡させ、次いで、熱接着性短繊維が溶融軟化する温度で処理して、構成繊維同士を熱接着させた不織布を開示し、これをワイパー等に使用することを提案している。さらにまた、特開2001−190469号公報(特許文献4)には、平均繊維長が20mm未満の親水性繊維を50重量%以上含有する親水性繊維層の少なくとも一方の面に、分割型複合繊維を50重量%以上含有し、構成繊維の平均繊維長が30〜100mmである極細繊維層を配し、三次元的絡合により一体化されてなる複合不織布を開示し、これを清拭用不織布として使用することを提案している。
拭き取り性を高めるため、不織布に洗浄剤などの湿潤剤を含浸したウェットワイパーもまた、用いられている。例えば、特開2001−073267号公報(特許文献5)は、粘度平均重合度が200〜600、鹸化度が90〜99.99モル%、ビニルアルコールユニットに対するトライアッド表示による水酸基3連鎖の中心水酸基のモル分率が70〜99.9モル%であり、融点が160℃〜230℃である熱可塑性ポリビニルアルコール100重量部に対して、アルカリ金属イオンがナトリウムイオン換算で0.0003〜1重量部含有されている熱可塑性ポリビニルアルコールからなる繊維を主体繊維として構成されたウェットワイパーを開示している。
清拭用不織布ではないが、特許文献4に記載の清拭用不織布に類似する構成の不織布が特開昭54−82481号公報(特許文献6)において開示されている。同文献は、ドレープ性に優れ、かつ物性も良い不織布として、ステープル状短繊維から構成され、その繊維間が部分的な熱圧着によって結合され、未結合の自由末端が多数存在するような非開口性の不織布を基材(A)とし、それに短繊維ウエブ(B)を重ね合わせ、そのウエブに水流を噴射することにより短繊維ウエブ(B)と基材(A)とを一体化させた不織布を開示しており、基材(A)として再生セルロース繊維のみからなる不織布を用いることをさらに開示している。
特開平10−280262号公報 特開平11−217757号公報 特開平11−247059号公報 特開2001−190469号公報 特開2001−073267号公報 特開昭54−82481号公報
しかし、上記文献に記載の不織布はいずれもワイピングシートとして使用する場合に、次のような問題を有する。第1に、不織布を用いて対象物から液体を拭き取った後、または不織布に湿潤剤を含浸させて対象物を拭いた後に、対象物の表面に液体が残りやすい(即ち、「液残り」が生じやすい)という問題がある。対象物に残った液体は乾燥すると、通常、筋状または斑点状の垢となって対象物の表面に残存する。第2に、いずれの不織布も、汚れの拭き取り性がなお不十分である。第3に、いずれの不織布も、クリーンルーム等の発塵が望まれない環境下で使用するのに必ずしも適したものではなかった。
上記の文献のうち、特許文献4は、拭き取り後の対象物面に残る液体の量を少なくすることを課題とし、この課題を解決するために、積層構造を採用して、極細繊維層表面における親水性繊維の露出を減らすことを提案している。しかしながら、特許文献4に記載の不織布は、例えば、ディスプレイおよびガラス面等、液残りを特に少なくすることが望まれる対象物のワイパーとして使用する場合には、液残りの点でなお改善の余地を有する。また、特許文献4は、油脂汚れ等の拭き取り性を高くするのに適した不織布構成には言及していない。さらに、特許文献4に記載の不織布は、親水性繊維の平均繊維長が小さいために使用中に繊維の脱落が生じやすく、クリーンルーム等で使用するのに必ずしも適したものではなかった。
特許文献6記載の不織布はワイパーとして使用されることを想定しておらず、同文献はワイパー用途に適した不織布の構成を教示していない。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、拭き取り時の取り扱い性が良好であり、油脂汚れ等の拭き取り性が高く、液体等を対象物から拭き取った後、あるいは湿潤剤を含ませて対象物を拭き取った後の対象物への液残りが少ないワイピングシートを得ることを目的とする。
本発明者は、拭き取り後の液残りについて検討した結果、不織布が過度の吸水性を有すると液残りが多くなると考えた。また、不織布を構成する繊維に分割型複合繊維を用いただけでは、拭き取り性は向上しても液残りを有効に減らすことはできないと考えた。そこで、親水性は有しても樹脂自体が積極的に保液しない変性ビニルアルコール樹脂から成る繊維を、極細繊維の形態にて用いてワイピングシートを構成した。その結果、良好な拭き取り性能および液残りの少ないワイピングシートが得られることを見出し、本発明を案出するに至った。
本発明は、少なくとも2種類の極細繊維発生型複合繊維から得られた繊度0.9dtex以下である極細繊維を含む極細繊維層であって、少なくとも1種類の極細繊維発生型複合繊維から得られる極細繊維が変性ビニルアルコール樹脂を含んで成り、他の極細繊維発生型複合繊維から得られた1種類または複数種類の極細繊維が他の樹脂を含んで成るものである、極細繊維層を有する繊維構造物を含む、ワイピングシートを提供する。
このワイピングシートは、対象物(物および人を含む)を拭いた後の対象物の表面への液残りが少なく、かつ油脂汚れ等の拭き取り性が高い。このワイピングシートはまた、変性ビニルアルコール樹脂以外の樹脂から成る極細繊維が極細繊維層の骨格として機能することにより、拭き取り時における繊維の毛羽立ち、および繊維の脱落が少ない。さらに、本発明のワイピングシートは、変性ビニルアルコールを含んで成る極細繊維および他の樹脂を含んで成る極細繊維が、それぞれ別個の極細繊維発生型複合繊維から得られたものであることを特徴とする。この特徴により、本発明のワイピングシートにおいて、極細繊維層は2種類以上の極細繊維がよりランダムに配置された構成を有する。即ち、前記他の樹脂を含んで成る極細繊維は、変性ビニルアルコールを含んで成る繊維の間に種々の方向で存在して骨格としての機能を良好に発揮し、それによりワイピングシートからの発塵量を少なくしている。したがって、本発明のワイピングシートは、例えば、ディスプレイなどのOA機器類、眼鏡、自動車、キッチンおよび靴などの物、ならびに人に付着した、汚れおよび油脂汚れを対象面から拭き取る対物および対人ワイピングシートとして好適に用いることができ、あるいはクリーンルーム等において使用するワイピングシートとして、好適に用いることができる。
ここで、繊維構造物とは、繊維から成るシート状物を広く包含する意味で使用される。具体的には、繊維構造物は、織物、編物、不織布(湿式抄紙不織布を含む)またはそれらの任意の組み合わせを指す。また、本明細書において、「ワイピングシート」は、「ワイピング(wiping)」の意味を広義に解釈し、汚れを拭き取るシートのほか、汚れ以外のもの(例えば、一定期間ガラス面上で展示された文字または絵を描いたインキ、および顔面の化粧料等)を対象物から除去するシート、および対象物(人を含む)の表面に液体またはペーストを塗り広げるシートも含むことに留意されたい。
極細繊維発生型複合繊維は、物理的または化学的作用を受けて極細繊維を生じさせる又は与える、2以上の成分から成る複合繊維であり、そのような複合繊維それ自体は常套的に用いられている。極細繊維は、海島型複合繊維の鞘成分が溶出することにより得られたたものであってよく、あるいは、複数の成分から成る分割型複合繊維が各々の成分に割繊されることにより得られたものであってよい。それらの複合繊維は、例えば、紡績糸またはフィラメント糸にされて、織物または編物の形態にされた後、極細繊維を形成する処理に付してよい。その場合、織物または編物それ自体が極細繊維層となる。あるいは、それらの複合繊維を用いて繊維ウェブを作製した後、繊維同士を交絡させる処理および極細繊維を形成する処理を施して、不織布を構成してよい。複合繊維を含む繊維ウェブは、織物または編物に積層してから、前記交絡処理および極細繊維形成処理に付してよく、その場合、本発明のワイピングは、不織布と織物または編物とから成る複合シートとなる。
本発明のワイピングシートは、好ましくは、極細繊維が複数の成分から成る分割型複合繊維が各々の成分に割繊されることにより得られ、かつ極細繊維層において繊維同士が水流交絡処理により交絡されたものである。そのような極細繊維層は、極細繊維同士が水流の作用により緊密に交絡されて、緻密な拭き取り面を与えるので、優れた拭き取り性を示し、かつ繊維の脱落が小さい。また、そのような極細繊維層は、比較的容易に作製することができるので、使い捨て可能なワイピングシートを構成するのに特に適している。
極細繊維を与える分割型複合繊維は、好ましくは、変性ビニルアルコール樹脂を含有する成分と、少なくとも1つの他の樹脂成分からなる第1分割型複合繊維と、変性ビニルアルコール樹脂を除く少なくとも2つの樹脂成分からなる第2分割型複合繊維である。これらの2種類の分割型複合繊維を使用することにより、極細繊維層において、多くの種類(例えば4種類)の極細繊維が存在することとなる。そのような極細繊維層は、変性ビニルアルコール樹脂以外の樹脂を含む極細繊維を適宜選択することによって、ワイピングシートに所望の性能および物性を付与し得るものとなる。
本発明のワイピングシートは、極細繊維層において繊維同士が熱接着性樹脂により接合されていることが好ましい。具体的には、極細繊維層が、変性ビニルアルコール樹脂を含んで成る極細繊維と、熱接着性樹脂を含んで成る極細繊維と、他の樹脂(変性ビニルアルコール樹脂および熱接着性樹脂以外の樹脂)を含んで成る極細繊維とから成り、熱接着性樹脂で繊維同士を熱接着させたものであることが好ましい。熱接着性樹脂は、具体的には、極細繊維層に含まれる繊維を構成するいずれの樹脂よりも10℃以上低い融点を有する樹脂である。そのような極細繊維層を含むワイピングシートは、拭き取り性、液残り、および繊維の毛羽立ちの点で、より優れた性能を示す。
極細繊維層が、上記2種類の分割型複合繊維の割繊により得られる極細繊維を含む場合、前記第2分割型複合繊維が、前記第1分割型複合繊維を構成する樹脂の融点よりも10℃以上低い熱接着性樹脂を含有する成分と、少なくとも1つの他の樹脂成分とからなる分割型複合繊維であり、極細繊維層を構成する繊維同士が、当該第2分割型複合繊維に由来する熱接着性樹脂により熱接着されていることが好ましい。
本発明のワイピングシートは、極細繊維発生型複合繊維から得られた変性ビニルアルコール樹脂を含んで成る極細繊維、および他の極細繊維発生型複合繊維から得られた他の樹脂を含んで成る極細繊維を少なくとも1種類含む極細繊維層を有する繊維構造物である。かかる繊維構造物から成るワイピングシートは、これを使用して、対象物から液体を拭き取った後、または液体を含浸させたワイピングシートで対象物を拭いた後に、対象物の表面における液残りが少なく、また、油脂汚れ等の拭き取り性が高く、良好な拭き取り性能を示す。さらに、このワイピングシートは、拭き取りが軽く(即ち、対象物の表面での滑り性が良好で、強く擦らなくても汚れを拭き取ることができ)、拭き取り時における繊維の毛羽立ち及び脱落が少なく、また、寸法安定性等の取り扱い性が良好である。これらの良好な特性は、極細繊維層を、変性ビニルアルコール樹脂を含んで成る極細繊維、熱接着性樹脂を含んで成る極細繊維、およびその他の樹脂を含んで成る極細繊維を含む層とし、極細繊維層の繊維同士を当該熱接着性樹脂によって熱接着させることにより、さらに良好なものとなる。
本発明のワイピングシートは、対象面を拭き取ったときの対象面への液残りが少なく、油脂汚れ等の拭き取り性に優れているので、ディスプレイなどのOA機器類、眼鏡および自動車など油脂汚れのある対象面を拭き取るワイパーに好適に用いることができる。
発明を実施するための形態
(実施の形態1)
実施の形態1として、単一の極細繊維層から成る不織布であるワイピングシートを説明する。この形態のワイピングシートにおいて、極細繊維は、シートの表面および内部に位置する。
この形態において、極細繊維層は、第1分割型複合繊維および第2分割型複合繊維の割繊により形成された繊度0.9dtex以下の極細繊維を含む。分割型複合繊維は、複数の樹脂成分から成り、繊維断面において構成成分のうち少なくとも1成分が2個以上に区分されてなり、各構成成分の少なくとも一部が繊維表面に露出し、その露出部分が繊維の長さ方向に連続的に形成されている繊維断面構造を有する。2つの樹脂成分から成る分割型複合繊維の繊維断面構造の例を図1(a)〜(c)に示す。このような分割型複合繊維は、割繊により、楔状または台形状等の異形断面形状を有する極細繊維を与える。かかる形状の繊維は拭き取り効果を向上させ、ワイピングシートにおいて好ましく存在する。図1においては2つの成分から成る分割型複合繊維のみが例示されているが、分割型複合繊維は3以上の成分から構成から構成されてよい。
第1および第2分割型複合繊維の割繊により得られる極細繊維はいずれも、0.9dtex以下の繊度を有する。極細繊維の繊度の下限は、好ましくは0.05dtexであり、その上限は、好ましくは0.5dtexである。極細繊維の繊度が0.9dtexを超えると、対象物への液残りが多くなる可能性がある。
次に、第1分割型複合繊維について説明する。第1分割型複合繊維は、変性ビニルアルコール樹脂を含有する成分と、少なくとも1つの他の樹脂成分からなる。第1分割型複合繊維は各々の成分に割繊されて、繊度が0.9dtex以下である変性ビニルアルコール樹脂を含む極細繊維(以下、この極細繊維を、「極細繊維(VA)」とも呼ぶ)と、他の樹脂成分からなる極細繊維(以下、この極細繊維を「極細繊維(A)」とも呼ぶ)を与える。第1分割型複合繊維によれば、極細繊維(VA)を容易に得ることができるだけでなく、極細繊維(VA)の含有量を容易に調整することができる。また、第1分割型複合繊維によれば、極細繊維(VA)と同時に極細繊維(A)を発現させることができ、極細繊維(A)の種類を適宜選択することにより、所望の拭き取り性を得ることが容易となる。さらにまた、極細繊維(A)は、繊維強度が小さい極細繊維(VA)を補強して、極細繊維層において骨格のごとく作用して、ワイピングシート全体の強度を確保し、また繊維の脱落を少なくする。
極細繊維(VA)は、水などの液体に対して比較的濡れやすい。また、極細繊維同士が交絡した繊維層は、毛細管現象により、高い吸水性を示す。したがって、この形態のワイピングシートは、極細繊維(VA)の高い湿潤性と、極細繊維層における毛細管現象とによって、液体をその内部に良好に吸収することができる。また、極細繊維(VA)は、油脂成分に対する吸着性に優れているため、不織布の表面及び内部において、交絡された極細繊維(VA)が油脂成分を有効に保持することができる。したがって、この極細繊維(VA)を含むワイピングシートは、油脂汚れの拭き取り性に優れる。
変性ビニルアルコール樹脂は、ビニルアルコールと他の単量体との共重合樹脂である。変性ビニルアルコール樹脂におけるビニルアルコール含有量は、50モル%以上70モル%以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましいビニルアルコール含有量は、55モル%以上65モル%以下である。ビニルアルコール含有量が50モル%未満であると、湿潤性が低くなり、液濡れ性が低下することがある。ビニルアルコール含有量が70モル%を超えると、液濡れ性が高くなる傾向にあり、対象物の表面における液残りが多くなることがある。他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソプレン、および1−ヘキセン等のα−オレフィンなどが挙げられる。変性ビニルアルコール樹脂は、特に、エチレン含有量が30モル%以上50モル%以下の範囲内にあるエチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHという)であることが好ましい。EVOHによれば、水などの液体に対して必要以上に濡れず、適度な湿潤性を示すので、これを含む極細繊維層から成るワイピングシートは優れた吸液性を示す。また、上記EVOHは、油脂成分の吸着性に優れ、したがって、これを含む極細繊維層から成るワイピングシートは油脂汚れの保持性に優れる。より好ましいエチレン含有量は、35モル%以上45モル%以下である。
変性ビニルアルコール樹脂はそれ単独で又は他の樹脂との混合物の形態で第1分割型複合繊維の一成分を形成する。変性ビニルアルコール樹脂と他の樹脂との混合物を使用する場合には、変性ビニルアルコール樹脂の割合は50質量%以上であることが好ましい。変性ビニルアルコール樹脂の割合が50質量%未満であると、得られる極細繊維の油脂成分吸着性が不十分となることがある。変性ビニルアルコール樹脂と混合する他の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−アクリル酸メチルコポリマー、ポリビニルアルコール、アイオノマー、および親水化剤として使用される樹脂が挙げられる。変性ビニルアルコール樹脂は、好ましくはそれのみで(即ち、他の樹脂と混合することなく)、他の樹脂成分と分割型複合繊維を構成する。
次に、第1分割型複合繊維を構成する他の樹脂成分(A)について説明する。他の樹脂成分(A)は、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ナイロン6およびナイロン66などのポリアミド樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂から選択される1または複数の樹脂を含有することが好ましく、ポリオレフィン樹脂を含有することがより好ましい。したがって、第1分割型複合繊維が図1に示すように第1成分と第2成分とから成る場合には、第1成分が変性ビニルアルコール樹脂を含有し、第2成分がポリオレフィン樹脂を含有することが好ましい。変性ビニルアルコール樹脂を含有する樹脂成分とポリオレフィン樹脂を含有する樹脂成分との組合せは、水流交絡処理により割繊しやすく、容易に変性ビニルアルコール樹脂を含有する極細繊維を得ることができる。また、変性ビニルアルコール樹脂を含有する樹脂成分とポリオレフィン樹脂を含有する樹脂成分とから成る分割型複合繊維は、適度な液濡れ性を示す変性ビニルアルコール含有極細繊維と、疎水性を示すポリオレフィン含有極細繊維とを与えるので、両者の割合を変更することにより、極細繊維層表面の液体(例えば水)に対する湿潤性を調整することができる。また、疎水性のポリオレフィン含有極細繊維は、ワイピングシートの滑り性を高くするので、これの割合を調整することにより、拭き取り対象面での滑り性を調整することができる。上記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン等の樹脂、およびその共重合樹脂(例えば、エチレン−プロピレン)が挙げられ、これらの樹脂は単独で又は混合して使用してよい。これらのうち、ポリプロピレン樹脂は繊維形成時の取り扱い性に優れることから、特に好ましく使用される。
ポリオレフィン樹脂はそれ単独で又は他の樹脂との混合物の形態で第1分割型複合繊維の一成分を形成する。ポリオレフィン樹脂と他の樹脂との混合物を使用する場合には、ポリオレフィン樹脂の割合は50質量%以上であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂の割合が50質量%未満であると、第1分割型複合繊維の割繊性が低下することがあり、また、ポリオレフィン含有極細繊維の疎水性が不十分となることがある。ポリオレフィン樹脂と混合する他の樹脂としては、例えば、アイオノマーが挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、好ましくはそれのみで(即ち、他の樹脂と混合することなく)、変性ビニルアルコール樹脂を含有する樹脂成分と分割型複合繊維を構成する。
第1分割型複合繊維における変性ビニルアルコール樹脂を含有する成分と他の樹脂成分との容積比(変性ビニルアルコール含有樹脂/他の樹脂)は、9/1〜1/9の範囲内にあることが好ましい。より好ましい容積比は、6/4〜4/6である。第1分割型複合繊維における変性ビニルアルコール樹脂を含有する樹脂成分と他の樹脂成分との容積比が1/9未満であると、極細繊維層において変性ビニルアルコール含有極細繊維の占める割合が少なくなり、対象物への液残りが多くなる傾向にある。容積比が9/1を超えると、極細繊維層において変性ビニルアルコール含有極細繊維の占める割合が多くなって、ワイピングシートの親水性が高くなりすぎることがあり、また、そのような分割型複合繊維の生産性は低くなることがある。
第1分割型複合繊維の繊度は、得ようとする極細繊維(VA)及び極細繊維(A)の繊度に応じて適宜設定すればよい。例えば、その繊度は、0.5dtex以上5dtex以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい第1分割型複合繊維の繊度は、1dtex以上4.4dtex以下の範囲内にある。第1分割型複合繊維の繊度が0.5dtex未満であると、繊維の生産性が低下することがある。第1分割型複合繊維の繊度が5dtexを超えると、極細繊維(VA)を得るのに分割数を増やす必要があり、割繊性が低下することがある。さらに、十分に割繊しなかったときに繊度の大きい繊維が残存することとなり、拭き取り性が低下し、液残り性が多くなることがある。第1分割型複合繊維の分割数は、生産性を考慮すると4以上32以下の範囲内であることが好ましい。
次に、第2分割型複合繊維について説明する。第2分割型複合繊維は、ワイピングシートに所望の物性および拭き取り性を与えるために用いられる。極細繊維層のみを含む不織布において、極細繊維層が第1分割型複合繊維から得られる極細繊維のみを含む場合、極細繊維(VA)の繊維強度が小さいために、ワイピングシートの強度が小さくなり、また、繊維の脱落に起因する発塵が生じやすくなることがある。そこで、かかる不都合を避けるために、第2分割型複合繊維を使用して、これから得られる極細繊維を、第1分割型複合繊維から得られる極細繊維と交絡させて、極細繊維(A)とともに極細繊維層の骨格として作用させて、極細繊維層を補強する。
第2分割型複合繊維は、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ナイロン6およびナイロン66などのポリアミド樹脂、ならびにポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂から選択される2以上の樹脂を用いて、図1〜図3に示すような断面形態を有するように構成される。
第2分割型複合繊維は、好ましくは、熱接着性樹脂を含む成分と、少なくとも1つの他の樹脂成分(B)とからなり、割繊により、熱接着性極細繊維と他の樹脂成分から成る極細繊維(以下、この極細繊維を「極細繊維(B)」とも呼ぶ)を与える繊維である。第2分割型複合繊維によれば、後述する熱接着性極細繊維を容易に得ることができるだけでなく、熱接着性極細繊維の含有量を容易に調整することができる。また、第2分割型複合繊維によれば、熱接着性極細繊維と同時に他の樹脂で構成される極細繊維(B)を得ることができ、他の樹脂を適宜選択することにより、ワイピングシートの物性および/または触感を調節することができる。さらにまた、極細繊維(B)は、極細繊維(A)と同様に、極細繊維層において骨格のごとく作用して、ワイピングシート全体の強度を確保する。
熱接着性極細繊維は、他の繊維と混合され、交絡されて、極細繊維層の表面及び内部に存在している。熱接着性極細繊維は、繊度が小さいので、他の繊維との交点を多く微細な空隙を維持しながら、繊維同士を接着することができる。熱接着性極細繊維により極細繊維層の繊維同士を接着させると、ワイピングシートの滑り性が良好となって、強く対象物を擦らなくとも汚れを取ることができ、かつ拭き取り時における繊維の脱落および液残りが少ないワイピングシートを得ることができる。好ましくは、繊維同士は、第2分割型複合繊維に由来する熱接着性樹脂のみで熱接着される(即ち、太繊度の熱接着性繊維を極細繊維層に混合しない)。それにより対象物の表面を傷つけることなく、繊維の脱落防止、拭き取り性の向上、および液残りの減少という本発明による効果を有効に得ることが可能となる。ここで、「第2分割型複合繊維に由来する熱接着性樹脂」とは、第2分割型複合繊維の割繊により得られる極細繊維に含まれる熱接着性樹脂、および割繊されていない第2分割型複合繊維の一成分を構成する熱接着性樹脂を含む意味である。後述のように、第2分割型複合繊維は、必ずしも完全に分割しないことがあり、そのような場合には、未割繊の第2分割型複合繊維の一部が溶融軟化して繊維同士が熱接着されることもある。そのような熱接着も本発明のワイピングシートにおいて許容されることに留意されたい。
熱接着性樹脂として、前記第1分割型複合繊維を構成する樹脂の融点よりも10℃以上低い樹脂が用いられる。熱接着性樹脂は、第1分割型複合繊維を構成する樹脂の融点よりも15℃以上低い融点を有する樹脂であることが好ましい。熱接着性樹脂は、例えば、ポリエチレン樹脂、プロピレン共重合樹脂、ポリブテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−アクリル酸共重合樹脂、およびエチレン−アクリル酸メチル共重合樹脂などのポリオレフィン樹脂、脂肪族ポリエステル樹脂、ならびに共重合ポリエステル樹脂等から選択される1または複数の樹脂である。これらの熱接着性樹脂は必要に応じて他の高融点樹脂と混合して、第2分割型複合繊維の一成分としてよい。その場合、極細繊維層全体に占める熱接着性樹脂の割合は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。極細繊維層において熱接着性樹脂の割合が5質量%未満であると、熱接着性極細繊維により繊維同士を十分に接着することができないことがある。好ましくは、熱接着性樹脂は他の高融点樹脂と混合することなく使用される。
極細繊維(B)を構成する他の樹脂成分(B)は、熱接着性樹脂よりも融点が10℃以上高い樹脂から選ばれることが好ましく、熱接着性樹脂よりも融点が15℃以上高い樹脂であることがより好ましい。例えば、他の樹脂として、ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ナイロン6およびナイロン66などのポリアミド樹脂、ならびにポリプロピレンおよびポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。他の樹脂成分を2以上の樹脂の混合物とする場合は、混合した樹脂の融点(DSCにより得た融解熱量曲線において最大のピークを示す温度)が熱接着性樹脂の融点よりも10℃以上高くなるように樹脂を選択することが好ましい。他の樹脂成分(B)は、好ましくは、ポリエステル樹脂及びポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂である。ポリエステル樹脂及び/またはポリオレフィン樹脂を一成分とする第2分割型複合繊維を使用すれば、適度な濡れ性を示す極細繊維(VA)と疎水性を示すポリエステル極細繊維及び/またはポリオレフィン極細繊維とを極細繊維層において混在させることができる。それにより、水などの液体に対するワイピングシートの湿潤性と、対象物の表面におけるワイピングシートの滑り性を調整することができる。
第2分割型複合繊維は、熱接着成分としてポリエチレン樹脂を含む成分と、当該ポリエチレン樹脂よりも融点が15℃以上高いポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む成分とを含んでなる繊維であることが好ましい。具体的には、第2分割型複合繊維は、例えば、ポリエチレン樹脂/ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂/ポリプロピレン樹脂の組み合わせから成ることが好ましい。
第2分割型複合繊維が、熱接着性樹脂を含む成分を一成分とする場合でも、熱接着性樹脂は極細繊維層において繊維同士を熱接着する必要は必ずしもない。その場合には、熱接着性極細繊維が、通常、柔らかい触感を不織布に付与するので、ワイピングシートは手触りの良いものとなり、また、柔軟であって、細かい凹凸を有する対象物の表面に追随しやすくなる。したがって、そのようなワイピングシートは、特に人に対して用いられるときには、立体的な皮膚面に良好に接触して汚れ又は拭き取るべき化粧料等を良好に落とす又は液体を良好に塗布することができ、また皮膚への刺激が少ないという点で有利である。
前記第2分割型複合繊維の繊度は、得ようとする熱接着性極細繊維及び極細繊維(B)の繊度に応じて適宜設定すればよい。例えば、その繊度は、0.5dtex以上5dtex以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい第1分割型複合繊維の繊度は、1dtex以上4.4dtex以下の範囲内にある。第2分割型複合繊維の繊度が0.5dtex未満であると、繊維の生産性が低下する場合がある。第2分割型複合繊維の繊度が5dtexを超えると、極細繊維を得るのに分割数を増やす必要があり、割繊性が低下する場合がある。さらに、十分に割繊しなかったときに繊度の大きい繊維が残存することとなり、拭き取り性が低下し、また液残りが多くなることがある。第2分割型複合繊維の分割数は、生産性を考慮すると4以上32以下の範囲内であることが好ましい。
次に、第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維の組み合わせについて、説明する。両者は、第1分割型複合繊維の割繊率が、第2分割型複合繊維のそれに比べて高くなるように組み合わされることが好ましい。第1分割型複合繊維を高度に割繊させた極細繊維(VA)は、適度な液濡れ性および毛細管現象により、ワイピングシートの拭き取り性及び液残りを改良することができる反面、若干剛性が小さくなることがある。そこで、極細繊維層において、第2分割型複合繊維を割繊されていない状態で残存させることにより、未割繊の繊維を骨格として機能させて、ワイピングシートの取り扱い性を向上させ、また単繊維の脱落を防止することが好ましい。また、未分割の第2分割型複合繊維を含むワイピングシートは、拭き取りの対象となる面に追随しやすく、寸法安定性が高いという利点を有する。割繊率は、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維を構成する各々の樹脂成分の組み合わせ、および繊維断面形状等により、調整することができる。
第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維の割繊率の高低は、電子顕微鏡等で不織布の断面を拡大して、双方の割繊度合いを視認することによって確認することができる。あるいは、後述する方法で、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維のそれぞれについて割繊率を測定することによっても確認することができる。
第2分割型複合繊維の割繊率は、20%以上80%以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい割繊率は、70%以下である。第2分割型複合繊維の割繊率が20%未満であると、未割繊の繊維が多くなり、拭き取り性が低下し、液残りが多くなる場合がある。割繊率が80%を超えると、不織布の剛性が小さくなって取り扱い性が低下し、あるいは繊維が脱落し易くなる。
第1分割型複合繊維の割繊率は、70%以上であることが好ましい。より好ましい割繊率は、80%以上である。第1分割型複合繊維の割繊率が70%未満であると、拭き取り性が低下し、液残りが多くなる場合がある。なお、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維のそれぞれ割繊率は、以下のようにして測定される。
[割繊率]
(1)割繊率測定用不織布の作製
第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維の割繊性を相対比較するために、同一条件で不織布を作製して、割繊率を測定する。
まず、第1分割型複合繊維または第2分割型複合繊維100質量%からなる目付40g/mのパラレルカードウェブを用意する。次に、パラレルカードウェブを線径がたて0.17mm、よこ0.2mm、80メッシュの平織りのコンベアネット上に載置して、コンベアネットを4m/分で移動させながら、孔径が0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で一列に配置されたノズルから表裏それぞれ1回ずつ水圧4MPaで柱状水流を噴射して水流交絡処理を施し、自然乾燥させて水流交絡不織布を得る。
(2)割繊率の測定
不織布の機械方向(タテ方向)が断面となるように束ねて空間が生じないようにし、電子顕微鏡にて300倍に拡大して任意に3箇所撮影する。次に、撮影した写真の全体の面積を、割繊率を求めるための母面積とする。それから、各構成成分に完全に分割している単繊維が占める面積を求め、この面積を母面積で除して100を乗じた値を割繊率とする。
極細繊維層は、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維を、質量比で8:2〜3:7(第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維)の割合で含む繊維ウェブを後述する水流交絡処理に付することにより形成されたものであることが好ましい。より好ましくは、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維の質量比は、7:3〜4:6である。第1および第2分割型複合繊維を合わせた質量のうち、第1分割型複合繊維の割合が30質量%未満であると、極細繊維(VA)の含有量が少なくなるので、対象物の表面において液残りが多くなる傾向にある。第1および第2分割型複合繊維を合わせた質量のうち、第1分割型複合繊維の割合が80質量%を超えると、極細繊維(VA)以外の極細繊維の割合が少なくなるので、取り扱い性が低下し、あるいは繊維が脱落し易くなる。極細繊維層において、第1分割型複合繊維は2種類以上含まれていてよい。例えば、変性ビニルアルコール樹脂成分と組み合わせる樹脂が互いに異なる2種類以上の第1分割型複合繊維、および/または変性ビニルアルコール樹脂が互いに異なる2種類以上の第1分割型複合繊維を使用してよい。その場合、2種類以上の第1分割型複合繊維を合わせた質量が、上記好ましい範囲を満たす。第2分割型複合繊維もまた、極細繊維層に2種類以上含まれてよい。その場合、2種類以上の第2分割型複合繊維を合わせた質量が、上記好ましい範囲を満たす。
ここで、水流交絡前の分割型複合繊維の割合でもって極細繊維層を規定しているのは、分割型複合繊維が前述のように完全に各構成成分に分割しない場合には、極細繊維の割合を決定することが困難な場合があることによる。即ち、ここで説明する繊維ウェブ中の分割型複合繊維の好ましい質量比は、ワイピングシートを構成する極細繊維層において、第1分割型複合繊維に由来する繊維(極細繊維および未分割の繊維を含む)と第2分割型複合繊維に由来する繊維(極細繊維、熱接着により溶融した繊維、および未分割の繊維を含む)の好ましい割合に相当する。
極細繊維層は、本発明の効果を損なわない範囲で、第1分割型複合繊維と前記第2分割型複合繊維以外に他の繊維を含んでもよい。他の繊維として、例えば、コットン、パルプおよび麻などの天然繊維、ビスコースレーヨン、溶剤紡糸セルロースおよびキュプラなどの再生繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートまたはポリブチレンサクシネートなどから成るポリエステル繊維、ナイロン6およびナイロン66などから成るポリアミド繊維、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどから成るポリオレフィン繊維、ならびにアクリル繊維等が挙げられる。極細繊維層は、第1分割型複合繊維および熱接着性樹脂を一成分とする第2分割型複合繊維に加えて、それらとは異なる(即ち、変性ビニルアルコール樹脂および熱接着性樹脂を構成成分として含まない)第3分割型複合繊維をさらに含んでいてよい。
実施の形態1のワイピングシートにおいて、極細繊維層は、繊維同士が水流交絡処理により交絡された不織布の形態で存在する。以下、水流交絡処理を含む、この形態のワイピングシートの製造方法を説明する。
まず、第1分割型複合繊維および第2分割型複合繊維、ならびに必要に応じて他の繊維を準備し、繊維ウェブを作製する。繊維ウェブは、例えば、カードウェブ(例えば、パラレルウェブ、ランダムウェブ、セミランダムウェブ、クロスウェブ、およびクリスクロスウェブ)、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、スパンボンドウェブ、およびメルトブローウェブのいずれであってもよい。繊維ウェブは、水流交絡処理による繊維同士の交絡性を考慮すると、カードウェブであることが好ましい。
繊維ウェブの目付は、25g/m以上100g/m以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい目付は、30g/m以上80g/m以下である。目付が25g/m未満であると、不織布の地合いが低下する傾向にある。目付が100g/mを超えると、ワイピングシートとして使用するときの取り扱い性が低下する傾向にあり、またコスト高となる。繊維ウェブの目付は、水流交絡処理の際に1つの層の極細繊維が他の層の極細繊維層に多少移動し、又は繊維が多少脱落するとしても、水流交絡処理後の繊維ウェブ(即ち、極細繊維層)の目付とほぼ同じであるとみなすことができる。したがって、ここで説明したウェブの好ましい目付は、ワイピングシートにおける極細繊維層の好ましい目付に相当する。このことは以下の実施の形態においても同様である。
次いで、前記繊維ウェブをウェブ搬送支持体の上に載置し、繊維ウェブの片面または両面に水流を噴射して水流交絡処理が施される。このとき、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維は割繊するとともに交絡されて一体化し、水流交絡不織布が得られる。水流交絡処理条件は、得ようとする不織布の目付などに応じて適宜設定することができる。例えば、孔径0.05mm以上0.5mm以下のオリフィスが0.5mm以上1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧3MPa以上15MPa以下の水流を、ウェブの表裏面側からそれぞれ1〜4回ずつ噴射するとよい。水流交絡処理の前には、必要に応じて、繊維ウェブに低い水圧(例えば、1MPa)で予備交絡処理を施してよく、または熱エンボス処理を施してよい。水流交絡処理の後、乾燥処理を実施して、ワイピングシートを得る。
第2分割型複合繊維から得られる熱接着性極細繊維および/または未分割の第2分割型複合繊維に含まれる熱接着性樹脂により、繊維同士を熱接着する場合には、乾燥処理に代えて又は乾燥処理の後、熱接着処理が施される。熱接着処理は、例えば、熱ロール処理または熱風処理等により実施される。熱処理の温度は、第2分割型複合繊維を構成する熱接着性樹脂の融点以上、(第1分割型複合繊維を構成する成分及び第2分割型複合繊維の他の樹脂(B)の中で最も融点が低い樹脂の融点−10℃)以下であることが好ましく、(第1分割型複合繊維を構成する成分及び第2分割型複合繊維の他の樹脂(B)の中で最も融点が低い樹脂の融点−15℃)以下であることがより好ましい。熱処理温度をかかる温度範囲に調整することにより、全体として柔軟であって、対象物を擦ったときに対象物を傷つけず、かつ本発明の所期の効果(吸水性および拭き取り性の向上、液残り減少)が有効に達成されるワイピングシートを得ることができる。
(実施の形態2)
実施の形態2として、溶剤(水を含む)に対する溶解性が異なる複数の成分から成る複合繊維の一部の成分を溶出させる手法で形成した極細繊維により、極細繊維層が形成されたワイピングシートについて説明する。樹脂の溶剤溶解性の差を利用して極細繊維を得る手法は既に公知であり、この形態においては、そのような手法を任意に採用することができる。溶剤溶解性が異なる複数の成分は、例えば、海島型となるように複合紡糸されてよく、または図1〜図3に示すような繊維断面を有するように複合紡糸されてよい。特に、海島型複合繊維は溶剤処理に付すまで、太繊度の繊維として取り扱うことができるので、これを使用することは、製造工程上、有利である。
この形態においては、少なくとも2種類の極細繊維発生型複合繊維から得られた極細繊維を含み、少なくとも1種類の複合繊維から変性ビニルアルコール樹脂を含んで成る極細繊維(VA)が得られ、他の複合繊維からその他の樹脂を含んで成る少なくとも1種類の極細繊維(以下、極細繊維(VA)を生じさせる複合繊維とは異なる複合繊維から得られる極細繊維を「極細繊維(C)」とも呼ぶ)が得られることを要する。それにより、極細繊維(VA)および極細繊維(C)がよりランダムに配置された構成を得ることができ、極細繊維(C)を骨格として機能させることができる。また、極細繊維(VA)および少なくとも1種類の極細繊維(C)をそれぞれ異なる極細繊維発生型複合繊維から形成して、例えば水流交絡処理により交絡させると、2種類以上の極細繊維が良好に絡み合って、極細繊維(C)による骨格機能がより良好に発揮される。これに対し、例えば、1種類の極細繊維発生型複合繊維(分割型複合繊維を含む)から得られる極細繊維(VA)および極細繊維(C)は、極細繊維層において束状になって存在する傾向にあり、極細繊維(C)による補強効果を十分に得られない。また、そのような場合に、極細繊維同士を絡み合わせるとしても、2種類の繊維が複雑に絡みあった構成を得ることは困難である。また、極細繊維(C)に代えて、骨格として繊度の大きい繊維を使用して極細繊維層を形成したワイピングシートは、液残りが多くなる。このように、この形態を含む本発明のワイピングシートは、強度の小さい極細繊維(VA)を補強するために用いる繊維もまた極細繊維とし、補強用極細繊維の一部または全部を、変性ビニルアルコール樹脂を含んで成る極細繊維を形成する極細繊維発生型複合繊維とは異なる繊維から形成した点に特徴を有する。なお、先の実施の形態1においては、第2分割型複合繊維から得られる極細繊維(具体的には、極細繊維(B)および熱接着性極細繊維)が、ここでいう極細繊維(C)、即ち、極細繊維(VA)を形成する極細繊維発生型複合繊維(第1分割型複合繊維)とは異なる繊維から得られたものに相当する。
この形態においては、海島型複合繊維から成る紡績糸またはフィラメント糸で織物または編物を作製した後、溶剤処理して極細繊維を形成することができる。織物は、例えば、経糸を極細繊維(VA)を形成する極細繊維発生型複合繊維から成る糸とし、緯糸を極細繊維(C)を形成する極細繊維発生型複合繊維から成る糸として用いて作製してよい。また、例えば、経編物を、そのような2種類の糸を交互に経糸として作製してよい。これらの場合、極細繊維(C)の配置は例えば不織布と比較して、より規則的になる(即ち、ランダムでない)こととなる。しかし、極細繊維(VA)と極細繊維(C)とが織物または編物の交錯点において絡み合うことにより、極細繊維(C)による補強効果は発揮され、また、織物または編物はその構造上、不織布と比較して強度が大きいため、そのような構成は許容される。好ましくは、経糸および緯糸はともに、2種類以上の極細繊維発生型複合繊維から成る、混合フィラメント糸、交撚糸または混紡糸である。2種類以上の複合繊維をこれらの形態の糸とすると、2種類の複合繊維の絡み合いが増えて、極細繊維(C)による補強効果がより向上する。極細繊維(VA)の好ましい材料および構成等については、先に第1分割型複合繊維に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。極細繊維(C)の好ましい材料および構成は、先に第1および第2分割型複合繊維に関連して説明した極細繊維(A)および(B)の好ましい材料および構成と同じであるから、ここではその説明を省略する。織物または編物はまた、2種類以上の極細繊維(C)を含んでよく、それにより所望の特性を織物または編物を付与することが容易となる。あるいは、織物または編物は、熱接着性極細繊維を含んでよく、その場合、この熱接着性繊維が他の繊維同士を熱接着していてよい。それにより織物または編物の強度をより向上させることが可能となる。
あるいはまた、溶剤溶解差を有する複数の成分から成る複合繊維を用いて、極細繊維層を不織布として作製してよい。その場合には、極細繊維層において、熱接着性樹脂を含む極細繊維が含まれ、繊維同士が熱接着性樹脂により熱接着されていることが好ましい。不織布において繊維同士が接着されていないと、繊維の脱落が生じやすくなることがある。溶剤溶解差を有する複数の成分から成る複合繊維を使用する場合には、熱接着性極細繊維は、極細繊維(VA)または他の極細繊維(C)を形成する極細繊維発生型複合繊維から得られてよい。熱接着性極細繊維は、それのみを形成する極細繊維発生型複合繊維から得られることが好ましい。それにより、繊維配置がよりランダムな構成の極細繊維層を得ることができる。分割型複合繊維を使用する場合については先に実施の形態1に関連して説明したとおりである。熱接着性極細繊維の好ましい構成等については、先に第2分割型複合繊維に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。不織布は、上記実施の形態1に関連して例示した繊維ウェブを作製し、これを例えば水流交絡処理またはニードルパンチ処理に付して繊維同士を交絡させた後、溶剤処理に付して極細繊維を形成した後、熱接着処理を施すことにより得られる。あるいは、不織布は、湿式抄紙不織布であってよい。
(実施の形態3)
実施の形態3として、複数の極細繊維層から成る不織布であるワイピングシートについて説明する。本発明のワイピングシートは、実施の形態1で説明した極細繊維層を複数積層した構成のものであってよい。その場合、2つ以上の極細繊維層が、第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維の含有比が互いに異なる繊維ウェブから形成されたものであることが好ましい。それにより、所望の特性を不織布に付与することが可能となる。
2以上の極細繊維層を有するワイピングシートは、対象物の表面に接する不織布の表面を構成する極細繊維層(SU)と、不織布の内部を構成する極細繊維層(IN)とからなる三層構造を有することが好ましい。その場合、不織布表面に第2分割型複合繊維に由来する繊維をより多く存在させ、不織布内部に第1分割型複合繊維に由来する繊維をより多く存在させることが好ましい。それにより、不織布表面から脱落する繊維が少なくなって毛羽立ちがより抑えられ、また、ワイピングシートの滑り性をより向上させることができる。同時に、内部に多く存在する極細繊維(VA)の毛細管現象を利用して油脂等の汚れを拭き取ること及び吸着することができ、また、対象の表面における液残りを少なくすることができる。
具体的には、極細繊維層(SU)は、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維を質量比(第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維)で7:3〜1:9の割合で含む繊維ウェブから得られたものであることが好ましい。また、極細繊維層(IN)は、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維を質量比(第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維)で10:0〜5:5の割合で含む繊維ウェブから得られたものであることが好ましい。極細繊維層(SU)は、第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維が5:5〜2:8である繊維ウェブから得られたものであることがより好ましい。極細繊維層(IN)は、第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維が10:0〜6:4である繊維ウェブから得られたものであることがより好ましく、8:2〜6:4である繊維ウェブから得られたものであることがさらにより好ましい。
2以上の極細繊維層を構成する第1分割型複合繊維および第2分割型複合繊維は、先に実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその詳細な説明を省略する。
2以上の極細繊維層からワイピングシートを構成する場合には、前述の水流交絡処理を、2以上の繊維ウェブを積層した積層ウェブに施す。例えば、前述した割合で2種類の分割型複合繊維を含む2種類の繊維ウェブから、極細繊維層(SU)および極細繊維層(IN)を形成する場合、極細繊維層(SU)を構成する繊維ウェブの目付は、5g/m以上30g/m以下の範囲内にあることが好ましく、極細繊維層(IN)を構成する繊維ウェブの目付は、5g/m以上70g/m以下の範囲内にあることが好ましい。各層の目付を上記範囲内の目付とすることにより、三層積層構造が効果的に形成される。その結果、得られるワイピングシートは、その表面において、単繊維の脱落および毛羽立ちが有効に抑制され、不織布内部の繊維の液濡れ性が効果的に作用して、良好な拭き取り性及び少ない液残りを示す。
水流交絡処理の条件等は先に実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。また、第2分割型複合繊維に含まれる熱接着性樹脂で繊維同士を熱接着させる場合の熱処理条件についても、実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。
(実施の形態4)
実施の形態4として、親水性繊維層を含み、親水性繊維層の両面に極細繊維層が積層された構成のワイピングシートについて説明する。
親水性繊維層を含む場合には、親水性繊維が極細繊維層に含まれる量を少なくして、極細繊維層の表面に露出する量を少なくすることが好ましく、それにより、良好な吸水性を有し、かつ液残りが少ないワイピングシートが得られる。そのため、親水性繊維層は親水性繊維同士がポイントボンドされた及び/または交絡している不織布で構成し、極細繊維層と一体化した後も、なお親水性繊維層において極細繊維層と一体化する前のポイントボンド領域または繊維交絡領域が維持されることが好ましい。したがって、親水性繊維層は、水流交絡処理を施す前に独立したシートとして取り扱うことのできる不織布であることを要する。以下、積層する前の親水性繊維層、即ち、親水性不織布について説明する。
親水性不織布は、再生セルロース繊維を含み、再生セルロース繊維同士が自己接着しているものであることが好ましい。ここで、「再生セルロース繊維」とは、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン(キュプラ)、および溶剤紡糸セルロース繊維等を指す。また、「再生セルロース繊維同士が自己接着する」とは、接着剤を用いずに、再生セルロース繊維の一部分が溶融または軟化して互いに接合することをいう。そのような接合は、再生セルロース繊維の一部を変性させることにより、または再生セルロース繊維の紡糸直後の粘性を利用することにより達成される。
具体的には、親水性不織布として、セルロースザンテートのメチロール化誘導体から成る部分を有するレーヨン短繊維を含む繊維ウェブを作製し、エンボスロール等を使用して熱圧着処理を施してセルロースザンテートのメチロール誘導体を溶融することにより、繊維同士が接着されているポイントボンド領域を形成した不織布が挙げられる。この不織布は、好ましくはそのようなレーヨン短繊維のみから成る。ポイントボンド領域を形成した不織布をさらに例えば水流交絡処理に付すことにより、この不織布には繊維交絡領域がさらに形成されることとなる。ポイントボンド領域を有するレーヨン短繊維から成る不織布、ならびにポイントボンド領域と繊維交絡領域とを有するレーヨン短繊維から成る不織布は、例えばフタムラ化学株式会社から「太閤TCF」の名称で販売されている。「太閤TCF」については、「不織布情報」(平成16年3月10日、(株)不織布情報発行 第22〜23頁)に記載されており、この文献は引用により本明細書に組み込まれる。
ポイントボンド領域を有する親水性不織布において、ポイントボンド領域は、10〜60個/cmの割合で形成され、不織布表面の5%〜60%を占めることが好ましい。ポイントボンド領域の数および割合が少ないと、極細繊維層により多くの親水性繊維が含まれる傾向にあり、本発明の効果を得られない。ポイントボンド領域の数および割合が多いと、親水性不織布と極細繊維層との間の結合力が小さくなる傾向にある。
あるいは、親水性不織布は、再生セルロース繊維を紡糸するとともに、紡糸した繊維が粘性を有する間に繊維同士を部分的に接着させた長繊維不織布であることが好ましい。この長繊維不織布もまた、好ましくは再生セルロース繊維のみから成る。この長繊維不織布をさらに水流交絡処理すると、繊維交絡領域を有する不織布となる。再生セルロース繊維のみから成る長繊維不織布は、例えば、旭化成せんい株式会社から「ベンリーゼ」の名称で、小津産業株式会社から「ベンコット」の名称で販売されている。「ベンリーゼ」および「ベンコット」はキュプラのみから成る不織布である。これらの名称で販売される不織布には種々の形態のものが含まれ、水流交絡処理が施されて繊維交絡領域を有する形態のものも含まれている。
あるいは、長繊維不織布は、長繊維同士が接着しておらず、水流交絡処理等によって、繊維同士が交絡されてシート形態を成しているものであってよい。そのような長繊維不織布は、繊維交絡領域を有する親水性繊維層を構成し得る。親水性層を親水性長繊維を含む層とする場合、極細繊維層と一体化する前の親水性繊維層は、長繊維同士が接着も交絡もしていない形態、即ち、長繊維ウェブであってよい。そのような長繊維ウェブは、独立したシートとして取り扱いにくいものであるため、ワイピングシートは、例えば長繊維ウェブの形成後、直ちに極細繊維層と一体化する方法で、製造される。
親水性不織布は、その目付が10g/m以上180g/m以下の範囲内にあることが好ましく、15g/m以上60g/m以下の範囲内にあることがより好ましい。親水性不織布の目付が10g/m未満であると、ワイピングシートに良好な吸水性を付与できず、またワイピングシートの地合が悪くなる。親水性不織布の目付が180g/mを越えると、これで親水性繊維層を形成したワイピングシートの吸水性は向上するが、親水性繊維層が大量の液体を保持したときに押圧によって液体がワイピングシート外に流出することがある。親水性繊維層から流出される水は液残りの原因となることがある。ここでは、親水性不織布の好ましい目付を説明しているが、親水性不織布の目付は水流交絡処理の際に親水性繊維が極細繊維層に移動することにより若干減少するとしても、最終的に得られるワイピングシートにおける親水性繊維層の目付とほぼ同じであるとみなすことができる。したがって、親水性不織布の好ましい目付の範囲は、ワイピングシートにおける親水性繊維層の好ましい目付の範囲であることに留意されたい。
親水性繊維層の両面に積層される極細繊維層を構成する第1および第2分割型複合繊維および好ましい混合比は、先に実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。
極細繊維層の目付は、5g/m以上100g/m以下であることが好ましく、5g/m以上40g/m以下であることがより好ましい。極細繊維層の目付が5g/m未満であると、ワイピングシートの地合いが悪くなり、また、油脂汚れの拭き取り性能が低下することがある。極細繊維層の目付が100g/mを越えると、ワイピングシート全体としての吸水性がやや低下する傾向にある。
水流交絡処理は、親水性繊維層の両面に、極細繊維層を構成する繊維ウェブを積層した積層体に施す。水流交絡処理の条件等は先に実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。また、第2分割型複合繊維に含まれる熱接着性樹脂で繊維同士を熱接着させる場合の熱処理条件についても、実施の形態1に関連して説明したとおりであるから、ここではその説明を省略する。
以上において説明した実施の形態1〜4のワイピングシートはいずれも乾式のワイピングシートとして用いることができる。その場合、必要に応じて流動パラフィンなどを付着させてよい。乾式のワイピングシートは、対象物の表面から、汚れ又は液体を取り除くシートとして用いてよく、あるいは、ワックスを家具、床、もしくは自動車に塗布する、または化粧料を皮膚に付与するために用いてよい。
また、この実施の形態1〜4のワイピングシートはいずれも、湿潤剤を含浸、噴霧、コーティング等の方法により付着させて、湿潤性のワイピングシートとして用いることができる。ここで、湿潤剤は、ワイピングシートを濡らす液体を指し、例えば、水、アルコール、各種機能剤(例えば、界面活性剤、洗浄剤、防腐剤、防曇剤、および化粧料等)、またはこれらの混合物等である。湿潤剤は、前記不織布100質量部に対して、1000質量部以下の量で付着させてよく、50質量部以上500質量部以下の範囲内の量で付着させることが好ましく、50質量部以上300質量部以下の範囲内の量で付着させることがより好ましい。湿潤性のワイピングシートもまた、汚れを拭き取るシートとして用いてよく、あるいは、含浸させた液体を対象物(人を含む)に付与するために用いてよい。
より具体的には、湿潤性のワイピングシートをOA機器用のワイピングシート使用する場合には、アルコール(特にエタノール)を5〜30質量%、洗浄剤を0.1〜1.0質量%、防腐剤(特にパラベン)を0.3〜1.0質量%、および残部として精製水を含む湿潤剤を付着させることが好ましい。湿潤性のワイピングシートを窓ガラス清掃用のワイピングシートとして使用する場合には、アルコール(特にエタノール)を5〜30質量%、洗浄剤を0.1〜1.0質量%、防腐剤(特に工業用防腐剤)を0.5〜2.0質量%、キレート剤を0.05〜0.2質量%、保湿剤を1.0〜5.0質量%、および残部として精製水を含む湿潤剤を付着させることが好ましい。
以下、本発明のワイピングシートを、実施例により説明する。以下の実施例において、ワイピングシートの厚み、引張強力、破断伸度、割繊率、拭き取り性、液残り、単繊維の脱落、及び液濡れ性は、下記のようにして測定した。
[厚み]
厚み測定機(商品名:THICKNESS GAUGE モデルCR−60A (株)大栄科学精器製作所製)を用い、試料1cmあたり2.94cNの荷重を加えた状態で測定した。
[引張強力、破断伸度]
JIS−L−1096に準じ、幅5cm、長さ15cmの試験片をつかみ間隔10cmで把持し、定速伸長型引張試験機(商品名:テンシロン、オリエンテック(株)製)を使用して引張速度30cm/分で伸長し、試験片の切断時の荷重値および伸長率をそれぞれ引張強力、破断伸度とした。
[割繊率;試料13〜18,比較試料Cのみ]
積層ワイピングシートの機械方向が断面となるように束ねて空間が生じないようにし、電子顕微鏡にて300倍に拡大して任意に3箇所撮影した。撮影した写真において、親水性繊維等の分割型複合繊維でない繊維が占める面積を全体の面積から引いて求めた面積を、割繊率を求めるための母面積とした。次に、各構成成分に完全に分割している単繊維が占める面積を求め、この面積を母面積で除して100を乗じた値を割繊率とした。
[拭き取り性]
(a)泥汚れ拭き取り性
機械方向(縦方向)×幅方向が30cm×21cmとなるように不織布を裁断し、不織布100質量部に対して200質量部の水を含浸させて湿潤性のワイピングシートを作製した。ワイピングシートを四つ折りにして、予め泥汚れを付着させた30cm×50cmの大きさのガラス面を3往復させた後の拭取り状況を目視で観察し、○、○〜△、△、×の四段階で評価した。なお評価基準は下記のとおりとした。
○:汚れが全てきれいに落ちた。
○〜△:汚れが殆ど落ちた。
△:汚れが少し残っている。
×:汚れ残りが多い。
(b)油系ダスト拭き取り性
機械方向×幅方向が20cm×15cmの寸法となるように不織布を裁断した。この不織布を乾燥状態(DRY)のままワイピングシートとして使用し、あるいは不織布100質量部に対してi)200質量部の水を含浸させた湿潤状態(WET:水)のワイピングシート、またはii)エタノール10質量%、洗浄剤0.1質量%、防腐剤としてのパラベン0.3質量%、および残部として精製水を含むOAクリーナー用湿潤剤200質量部含浸させた湿潤状態(WET:アルコール系)のワイピングシートとして使用した。
次に、ガラス板(30cm×50cm)の中央部に10cm×10cmの大きさで油性インキで四角形の枠を描き、その枠内の中央部に、油とJIS Z 8901試験用粉体12種(社団法人日本粉体工業技術協会より購入)を質量比で95:5で混合した疑似ダストを滴下し、幅45mmのハケで、枠内に均一にダストを塗布した。ここでは、油として、1)ダフニーメカニックオイル46(出光興産(株)製)、2)疑似皮脂(組成:スクワラン16.1質量%、トリオレイン31.2質量%、オレイン酸46質量%、流動パラフィン6.7質量%)、および3)オリーブオイル(和光純薬工業(株)製、品番150−00276)を用意した。使用した油は、試料によって異なる。
このダストを、DRYまたはWETの試料を四つ折りにして、10cm×7.5cmの四角形状とし、10cmの辺をマジックで描いた枠に合わせるように置き、ダスト上を3往復させて、汚れの残り具合を目視で観察し、拭き取り性を評価した。拭き取り性は下記の5段階で評価した。
○:ガラス面に汚れの残りがない。
○〜△:ガラス面に微量の汚れが残る。
△:ガラス面に少量の汚れが残る。
△〜×:ガラス面に多量に汚れが残る。
×:ガラス面の汚れが落ちない。
[液残り]
機械方向×幅方向が20cm×15cmの寸法となるように不織布を裁断して、ワイピングシート試料とした。30cm×50cmの大きさのガラス面の上に5ccの水滴をスポイトで垂らし、その水滴の上で、ワイピングシートを四つ折りにしたものを3往復させた後のガラス面に残った水滴の状態を目視で観察し、下記の5段階の等級で評価した。n=2で評価したときの平均等級を液残りとした。
1級:液残りが多く、水滴がかなり大きく、乾燥すると水垢が目立つ。
2級:液残りしており、水滴が大きく、乾燥すると水垢が確認できる。
3級:液残りが所々にあり、水滴は小さいが、乾燥すると多少水垢が確認できる。
4級:液残りが少しあるが、水滴が小さく、乾燥しても水垢が目立たない。
5級:液残りがなく、乾燥しても水垢が存在しない。
[単繊維の脱落]
機械方向(縦方向)×幅方向が30cm×21cmとなるように不織布を裁断して得た試料を、四つ折り(たて約15cm、よこ約10cm)にして、30cm×50cmの大きさのガラス面上の短辺10cm×長辺30cmの面積を、ガラス面の短辺から対向する短辺に向かって不織布の横方向に平行な方向が進行方向となるようにして5分間連続して往復させた。その後のガラス面に残った脱落単繊維の状態を目視で観察し、下記の4段階で評価した。
◎:脱落単繊維が全くまたはほとんど存在していなかった。
○:ガラス面の短辺付近に脱落単繊維が少し残存していた。
△:ガラス面の短辺付近に脱落単繊維がかなり残存していた。
×:ガラス面の短辺及び長辺付近に脱落単繊維がかなり残存していた。
[液濡れ性]
液濡れ性は、以下の手順で測定した。ワイピングシートを湿潤性のワイピングシートとして使用する場合に、適度に液濡れ性がないと、液残りの多いワイピングシートとなる。
(1)ドライ状態のワイピングシートを用意した。
(2)エタノール25質量%、蒸留水75質量%の溶液を調製した。
(3)上記溶液を市販の霧吹きに500ml入れた。
(4)上記ワイピングシートに、霧吹きから上記溶液を3回吹き付け、不織布表面の状態を観察し、下記の三段階で評価した。
○:溶液は不織布内部まで浸み込み、不織布表面に溶液が残っていない。
△:溶液の不織布内部への浸み込みが悪く、不織布表面の所々に液滴が残っている。
×:溶液の不織布内部への浸み込みが悪く、不織布表面に液滴がほとんど残っている。
[吸水速度、吸水性]
吸水速度はJIS−1096 6.26.1 Bによるバイレック法に従って評価し、吸水性はJIS−1096 6.26.1 Aによる滴下法に従って評価した。
[試料1〜3および試料5]
変性ビニルアルコール樹脂を含む第1分割型複合繊維として、第1成分(変性ビニルアルコール樹脂成分)をエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量38モル%、ビニルアルコール含有量62モル%)とし、第2成分をポリプロピレン樹脂とした、繊度が3.3dtex、繊維長が45mmの図1(b)の繊維断面を有する16分割型複合繊維を準備した。一方、第2分割型複合繊維として、第1成分を高密度ポリエチレン樹脂とし、第2成分をポリエチレンテレフタレート樹脂とした、繊度2.2dtex、繊維長51mmの図1(a)の繊維断面を有する8分割型複合繊維を準備した。
次いで、第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維を表1に示す割合で混合し、パラレルカード機を用いて目付約40g/mのカードウェブを作製した。次に、カードウェブを経糸の線径が0.2mm、緯糸の線径が0.2mmであり80メッシュの平織の搬送用支持体上に載置し、カードウェブ上に孔径が0.12mmのオリフィスが1mm間隔でウェブの幅方向に一直線に配列されたノズルから水圧2.5MPaの水流を2回噴射し、ウェブを裏返して同じノズルから水圧4MPaの水流を2回噴射して、水流交絡処理を施した。
次いで、前記水流交絡処理した不織布を、温度140℃に設定された熱風加工機を用いて乾燥と同時に熱処理をして、第2分割型複合繊維が割繊して発現した熱接着性極細繊維及び/または第2分割型複合繊維を構成する熱接着性樹脂により、他の繊維を接着して、本発明のワイピングシートを得た。
[試料4]
第2分割型複合繊維として、第1成分を高密度ポリエチレン樹脂とし、第2成分をポリプロピレン樹脂とした、繊度2.2dtex、繊維長51mmの図1(b)の繊維断面を有する16分割型複合繊維を準備したこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
[試料6〜9]
不織布の表面に配置される極細繊維層(SU)と、不織布の内部に配置される極細繊維層(IN)とから成る三層構成のワイピングシートを作製した。具体的には、極細繊維層(SU)は、試料1で用いたものと同じ第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維を用い、それらを表2に示す割合で混合し、パラレルカード機を用いて、目付約10g/mとなるように作製した。極細繊維層(IN)は同じ分割型複合繊維を使用して、表2に示す割合で混合し、パラレルカード機を用いて、目付約20g/mとなるように作製した。水流交絡処理および熱接着処理を、試料1で採用した条件と同じ条件で実施し、ワイピングシートを得た。
[比較試料A]
第1分割型複合繊維を含まず、第2分割型複合繊維のみを用いて(100質量%)不織布を構成したこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
[比較試料B]
第2分割型複合繊維の代わりに、繊度1.7dtex、繊維長38mmのポリエチレンテレフタレート繊維(PET)(東レ(株)製、商品名:テトロン)を使用したこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
上記試料1〜5の評価結果は表1に、試料6〜9の評価結果は表2に示し、比較試料A〜Bの評価結果は表1に示す。
Figure 2006000625
Figure 2006000625
さらに、試料2の発塵性を、JIS B 9923−1997タンブリング法に従って、評価した。評価の手順は次のとおりである。まず、クリーンルーム(清浄度:ISOクラス5(クラス100))中に設置したタンブリング式発塵試験機を空運転し、試験機内が無塵状態であることを確認した。次いで、試料を試験機のドラム内に投入し、試験機の運転を開始した。試験機は、(株)赤土製作所製のCW−HDT−102であり、運転は、ドラム回転速度を46回転/分、流量0.0102m/秒として実施した。試験機の運転開始30秒後から、0.0283m/分の速度で、粒子計数機(Net One A2400)を用いて、1分間ずつ計5回連続して測定、最大値および最小値を除き、残りの測定値の平均値を発塵数とした。結果を表3に示す。
Figure 2006000625
試料1〜5は、第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維を混合した単層構造の不織布である。これらの試料はいずれも実用可能なレベルであり、特に試料2及び4は、液残り、拭き取り性、単繊維の脱落、及び液濡れ性について、優れた特性を示した。これらの試料の評価結果より、第1分割型複合繊維の不織布全体に占める質量比を多くすることにより、液残りがより少なくなり、拭き取り性及び液濡れ性は向上するものの、単繊維の脱落は多くなる傾向にあることがわかる。
試料6〜9は、表面を構成する極細繊維層(SU)と内部を構成する極細繊維層(IN)とからなる積層構造の不織布である。これらの試料の評価結果より、極細繊維層(SU)に占める第2分割型複合繊維の含有比(質量)を多くし、極細繊維層(IN)に占める第1分割型複合繊維の含有比(質量)を多くすることにより、液残り、拭き取り性及び親水性に関して良好な特性が得られるとともに、単繊維の脱落を抑制し得ることがわかった。特に、試料7及び8は、いずれの特性においても優れていた。
比較試料Aは、第1分割型複合繊維を含有しておらず、第2分割型複合繊維のみで構成されていたために、単繊維の脱落は生じにくかったが、それ以外の性能は実用レベルのものではなかった。また、比較試料Bは、第1分割型複合繊維を含有するものの、他の繊維として繊度の大きいポリエステル繊維を使用したため、液残りが多く、実用レベルではなかった。
[試料10〜13]
試料1〜4の評価結果より、第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維の割合(質量比)が6:4である繊維ウェブを用いて作製したワイピングシートが作製した試料の中で最も良好な性能を示すことがわかった。そこで、試料10〜13として、第1および第2分割型複合繊維をこの割合で含む4種類の試料を作製した。
試料10および12は、カードウェブの目付を約40g/mおよび約50g/mとし、熱処理の温度100℃にしたこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って作製した。その結果、第2分割型複合繊維が割繊して発現した熱接着性極細繊維及び/または第2分割型複合繊維を構成する熱接着性樹脂が、他の繊維同士を熱接着していない、柔軟なワイピングシートが得られた。
試料11および13は、カードウェブの目付を約40g/mおよび約50g/mとしたこと以外は、試料1を製造するときに採用した手順と同様の手順に従って作製した。得られた試料は、試料10および12と比較して、剛性が大きかった。
試料10〜13の評価結果を表4に示す。
Figure 2006000625
試料10および12は、熱接着性樹脂により繊維が熱接着されていないため、試料11および13と比較して、液残り、拭き取り性および単繊維の脱落の点でやや劣っていたものの、実用レベルであった。試料11および13は、いずれの特性においても優れていた。また、試料11および13は、WET状態であると、柔軟であり、より取り扱いやすいものになることがわかった。そこで、試料11がDRY状態であるときと、WET状態であるときとの剛性を比較するために、次の比較試験を実施した。
具体的には、試料11に、水、エタノール水溶液(エタノール20質量%、蒸留水80質量%)、およびOAクリーナー用湿潤剤を試料100質量部に対してそれぞれ200質量部含浸させた3種類のWET状態の試料の剛軟度を、DRY状態の試料と比較した。OAクリーナー用湿潤剤は、エタノール10質量%、洗浄剤0.1質量%、防腐剤としてのパラベン0.3質量%、および残部として精製水を含む。また、試料Aについても、同様にDRY状態とWET状態の剛軟度を比較した。剛軟度は、JIS L 1096 6.19.5Eに準じて、ハンドロオメータ(型式HOM−200 (株)大栄科学精器製作所製)を用いて、測定した。より具体的には、15×17cmの試験片を、幅20mmのスリット上にスリットと直角になるようにセットし、試験片の辺から6.7cm(試験幅の1/3)の位置をペネトレーターのブレードにて8mm押しこみ、このときの抵抗値を剛軟度として評価した。抵抗値は、不織布の縦方向(MD)および横方向(CD)についてそれぞれ、異なる3箇所にて測定し、その平均値を試料の各方向の剛軟度として評価した。評価結果を表5に示す。
Figure 2006000625
この結果より、WET状態の試料は、抵抗値が小さく、明らかに柔らかくなっていることがわかった。また、試料Aは、WET状態にすると、抵抗値が大きくなり、むしろ剛性が大きくなった。試料11のワイピングシートがWET状態で柔らかくなるのは、変性ビニルアルコール樹脂が湿潤剤を吸収して膨潤し、その結果、繊維自体が柔らかくなったことによると考えられる。尤も、この推察は何ら本発明を限定するものではない。
[試料14]
試料1で用いたものと同じ第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維を用い、第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維とを6:4(質量比)の割合で混合し、パラレルカード機を用いて、目付が約10g/mであるカードウェブを作製した。
親水性不織布として、ビスコース法により得られたレーヨン短繊維から成り、ポイントボンド領域を有する、目付20g/mの熱圧着不織布(商品名:太閤TCF、フタムラ化学株式会社製)を用意した。ポイントボンド領域は、繊維同士がセルロースザンテートのメチロール化誘導体の溶融により接着されることにより形成され、使用した不織布において、ポイントボンド領域は約20個/cmの割合で設けられ、不織布表面の約25%を占めていた。この親水性繊維不織布の両面に分割型複合繊維ウェブを積層して、目付が約40g/mである積層体を得た。試料1の製造の際に使用したノズルおよび支持体を用いて、この積層体の一方の表面に向けて、水圧2.5MPaの水流を1回噴射し、積層体を裏返して同じノズルから水圧4MPaの水流を2回噴射して、水流交絡処理を施した。さらに、試料1を製造するときに採用した条件と同じ条件で、熱処理に付して、ワイピングシートを得た。
[試料15]
分割型複合繊維を含む繊維ウェブの目付を約12.5g/mとし、積層体の目付を約45g/mとしたこと以外は、試料14の製造手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
[試料16]
分割型複合繊維を含む繊維ウェブの目付を約15g/mとし、積層体の目付を約50g/mとしたこと以外は、試料14の製造手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
[試料17]
分割型複合繊維を含む繊維ウェブの目付を約17.5g/mとし、積層体の目付を約55g/mとしたこと以外は、試料14の製造手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
[試料18]
分割型複合繊維を含む繊維ウェブの目付を約7.5g/mとし、親水性不織布として試料14で使用した不織布と同じ構成のものであって、目付が40g/mであるものを使用し、積層体の目付を約55g/mとしたこと以外は、試料14の製造手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
[試料19]
親水性不織布として、キュプラから成る長繊維不織布であって、繊維同士が部分的に接着され、かつ繊維交絡領域を含む、目付約25.5gの長繊維不織布(商品名ベンコットSF253:小津産業株式会社製)を使用したこと以外は、試料14の作製手順と同様の手順に従って、ワイピングシートを得た。
[比較試料C]
試料14を作製するのに使用した親水性不織布のみを評価試験に付した。
上記試料14〜19ならびに比較試料Cの評価結果を表6に示す。
Figure 2006000625
試料14〜19は、いずれも、液残り、拭き取り性、および吸水性の点において優れ、また、脱落繊維も少ないものであった。これに対し、親水性不織布それ自体(比較試料C)は、拭き取り性に劣り、脱落繊維が多いものであった。さらに、試料14〜19は、いずれも比較試料Cよりも大きい吸水速度を有していたことから、極細繊維層と親水性不織布とを併用することにより、吸水速度を飛躍的に高くすることが可能になったといえる。
本発明のワイピングシートは、ディスプレイなどのOA機器類、眼鏡、自動車、キッチンおよび靴などの物、ならびに人に付着した、汚れおよび油脂汚れを対象面から拭き取る対物および対人ワイピングシートとして好適に用いることができ、また、拭き取り作業中の発塵量が少ないので、クリーンルームで使用するワイピングシートとして好適に用いることができる。あるいは、本発明のワイピングシートは、人の顔面から化粧料を落とすクレンジングシート、およびマニキュアを拭き取るためのネイルリムーバーとして好適に用いることができる。あるいはまた、本発明のワイピングシートは、ワックスまたはコーティング剤等を塗布するための塗布シートとしても使用することができる。
本発明の分割型複合繊維における繊維断面の一例を示す。
符号の説明
1 第1成分
2 第2成分

Claims (16)

  1. 少なくとも2種類の極細繊維発生型複合繊維から得られた繊度0.9dtex以下である極細繊維を含む極細繊維層であって、少なくとも1種類の極細繊維発生型複合繊維から得られた極細繊維が変性ビニルアルコール樹脂を含んで成り、他の極細繊維発生型複合繊維から得られた複数種類の極細繊維が他の樹脂を含んで成るものである、極細繊維層を有する繊維構造物を含む、ワイピングシート。
  2. 前記他の樹脂を含んで成る極細繊維を少なくとも2種類含み、少なくとも1種類の極細繊維が熱接着性樹脂を含んで成り、当該熱接着性樹脂が、極細繊維層に含まれる繊維を構成するいずれの樹脂よりも10℃以上低い融点を有し、極細繊維層において、繊維同士が当該熱接着性樹脂により熱接着されている、請求項1に記載のワイピングシート。
  3. 前記繊維構造物が、織物、編物、不織布またはそれらの組み合わせである、請求項1または2に記載のワイピングシート。
  4. 前記繊維構造物が不織布であり、前記極細繊維発生型複合繊維が複数の成分から成る分割型複合繊維であり、極細繊維層において極細繊維同士が水流交絡処理により交絡されている、請求項1または2に記載のワイピングシート。
  5. 前記極細繊維が、変性ビニルアルコール樹脂を含有する成分と、少なくとも1つの他の樹脂成分からなる第1分割型複合繊維、および変性ビニルアルコール樹脂を除く少なくとも2つの樹脂成分からなる第2分割型複合繊維から得られたものである、請求項4に記載のワイピングシート。
  6. 前記第2分割型複合繊維が、前記第1分割型複合繊維を構成する樹脂の融点よりも10℃以上低い融点を有する熱接着性樹脂を含有する成分と、少なくとも1つの他の樹脂成分とからなる分割型複合繊維であり、
    前記極細繊維層において、繊維同士が、当該熱接着性樹脂により熱接着されている、
    請求項5に記載のワイピングシート。
  7. 前記極細繊維層が、第1分割型複合繊維及び前記第2分割型複合繊維を質量比(第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維)で8:2〜3:7の割合で含む繊維ウェブから形成したものである、請求項5または6に記載のワイピングシート。
  8. 前記第1分割型複合繊維が、前記第2分割型複合繊維に比べて割繊率の高い繊維である請求項5〜7のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  9. 前記第2分割型複合繊維の割繊率が、20%以上80%以下の範囲内にある請求項5〜8のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  10. 前記変性ビニルアルコール樹脂が、ビニルアルコール含有量が50モル%以上70モル%以下の範囲内にある樹脂である請求項5〜9のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  11. 前記第1分割型複合繊維において、変性ビニルアルコール樹脂を含有する成分がエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を含有する成分であり、他の樹脂成分の少なくとも1つがポリオレフィン樹脂を含む成分である、請求項5〜10のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  12. 前記第2分割型複合繊維において、熱接着性樹脂を含有する成分がポリエチレン樹脂を含む成分であり、他の樹脂成分の少なくとも1つが当該ポリエチレン樹脂よりも融点が20℃以上高いポリオレフィン樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1つの樹脂を含む成分である、請求項6に記載のワイピングシート。
  13. 前記第1分割型複合繊維及び前記第2分割型複合繊維から得られた極細繊維の繊度が、0.5dtex以下である請求項5〜12のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  14. 前記不織布が複数の積層された前記極細繊維層からなり、少なくとも2つの極細繊維層が、第1分割型複合繊維と第2分割型複合繊維の質量比が互いに異なる少なくとも2つの繊維ウェブから得られたものである、請求項5〜13のいずれか1項に記載のワイピングシート。
  15. 前記不織布が、表面を構成する極細繊維層と内部を構成する極細繊維層とからなり、
    前記不織布の表面を構成する繊維層が、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維を質量比(第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維)で7:3〜1:9の割合で含む繊維ウェブから得られたものであり、不織布の内部を構成する繊維層が、第1分割型複合繊維及び第2分割型複合繊維を質量比(第1分割型複合繊維:第2分割型複合繊維)で10:0〜5:5の割合で含む、請求項14に記載のワイピングシート。
  16. 前記不織布100質量部に対し、湿潤剤を1000質量部以下の割合で含浸させた、請求項1〜15のいずれか1項に記載のワイピングシート。
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